JP2003103232A - 焼却灰の処理方法 - Google Patents
焼却灰の処理方法Info
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Abstract
問題となる含有物を効率的に且つ確実に除去することが
可能である焼却灰の処理方法を提供する。 【解決手段】 都市ゴミ焼却炉より排出される焼却灰
を、主灰と飛灰とに別々の受槽に回収する回収工程、該
回収工程の主灰受槽の主灰を粉砕し、平均粒径200μ
m以下の大きさの粉砕粒子を得る粉砕工程、該回収工程
の飛灰受槽の飛灰を還元雰囲気下、300ないし450
℃の温度で処理してダイオキシン類を分解する脱ダイオ
キシン工程、及び、粉砕工程より得られる主灰と脱ダイ
オキシン工程より得られる飛灰とを水洗し、塩素成分が
低減された固形分を回収する洗浄工程を含む焼却灰の処
理方法。
Description
ら排出される焼却灰の新規な処理方法に関するものであ
って、より詳しくは、焼却灰をセメント原料として使用
する場合に問題となる含有物を効率的に且つ確実に除去
することが可能である焼却灰の処理方法である。
れ、その際焼却灰が発生する。かかる焼却灰は殆どが埋
め立てられていたが、近年、環境に対する意識が高ま
り、これを端に廃棄することなく、再利用する方法が検
討されるようになってきた。該焼却灰の主成分はカルシ
ウムや珪素の化合物であり、例えば、セメント製造用の
原料として再利用することが考えられている。
有しているためこれを除去する必要があり、かかる塩素
分の除去方法として、水洗による除去が提案されてい
る。即ち、焼却灰を水洗することにより、塩化物として
含有される塩素分を可溶分として除去し、不溶分である
カルシウムや珪素の化合物を固形物として分離し、これ
をセメント製造用の原料として使用する。
分が含まれているため、これを水洗処理するに際し、種
々の焼却炉から排出される焼却灰を一様に取り扱うこと
は困難であり、単なる水洗処理では、セメント製造用の
原料として適切な固形分が得難いことが本発明者らの実
験によって確認された。
て流動床炉とストーカー炉とがあり、複数の都市ゴミ焼
却炉より焼却灰を収集する場合、これらの炉から排出さ
れる種々の焼却灰が混在する。即ち、流動床炉での焼却
灰は、炉の排気ガスと共に同伴して排出され、これを捕
集して飛灰として排出され、また、ストーカー炉では、
焼却灰は、上記飛灰と共に炉の底部に残る主灰としても
排出される。そして、これらの焼却灰を一様に水洗処理
しようとした場合、ハンドリングに問題が生じたり、塩
素の除去率が低かったり、固形物中にダイオキシン類が
濃縮して含有され、取扱い時に問題がある。
は、焼却灰として飛灰と主灰を受け入れて処理する際
に、塩素が高度に除去され、しかも、ダイオキシン類を
効率的に除去された固形分を回収することが可能な、焼
却灰の処理方法を提供することにある。
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、焼却灰を種類別に
受け入れ、それぞれの特性に応じた特定の処理を行った
後に水洗することにより、上記課題を全て解決し得るこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
される焼却灰を、主灰と飛灰とに別々の受槽に回収する
回収工程、該回収工程の主灰受槽の主灰を粉砕して平均
粒径200μm以下の大きさの粒子とする粉砕工程、該
回収工程の飛灰受槽の飛灰を還元雰囲気下、300ない
し450℃の温度で処理してダイオキシン類を分解する
脱ダイオキシン工程、及び、粉砕工程より得られる主灰
と脱ダイオキシン工程より得られる飛灰とを水洗し、塩
素成分が低減された固形分を回収する洗浄工程を含むこ
とを特徴とする焼却灰の処理方法である。本発明によれ
ば、飛灰と主灰の有するそれぞれの特性に応じて、水洗
前の処理工程を実施することにより、水洗工程を同一設
備で問題なく実施することができ、効率的な処理が可能
となる。また、得られた固形分は塩素及びダイオキシン
類の含有量が低く、セメント製造用原料として有用な固
形物を効率よく得ることが可能である。
ミの焼却炉から排出される焼却灰のうち、主灰は、主と
して、ストーカー炉の炉の下部より燃え滓として排出さ
れる焼却灰であり、冷却焼却後に水と接触するため、水
分を20ないし50%(重量)程度含有する塊状物とし
て得られる。また、その塩素含有量は、0.5ないし
5.0%(重量)に及ぶ。一方、飛灰は、ストーカー炉
の排ガスや流動床炉の排ガスより捕捉される微粉であ
り、一般に5ないし35%(重量)程度の割合で塩素を
含有している。また、飛灰は、主灰に対してダイオキシ
ン類の含有量が多く、約80倍ものダイオキシン類を含
有している。
洗等に及ぼす影響について研究を重ねた結果、これらを
一様に水洗処理した場合、塩素含有量が低減しないのは
主灰の塊状の形態が影響し、これを粉砕することにより
水洗後に得られる固形分の塩素含有量を著しく低減し得
ること、また、ダイオキシン類の除去は、飛灰のみを処
理することが効率的に除去することができ、しかも、そ
れにより、得られる固形物中のダイオキシン類量を著し
く減少することができるという知見を得た。従って、本
発明においては、本発明の処理工程の基本的な工程を示
す概略図である図1に示すように、先ず、焼却灰を回収
する段階から、主灰と飛灰とを別々に回収する回収工程
1を設けることが重要である。
2及び飛灰受槽3を設け、都市ゴミ焼却炉から排出され
る焼却灰を別々に受け入れる工程である。主灰受槽2に
受け入れられた主灰は、水洗に先立って粉砕し、平均粒
径が200μm以下、好ましくは、150μm以下、更
に好ましくは、50ないし100μmとなるように調整
することが必要である。
んだ塊状で受け入れられる主灰は、平均粒径が200μ
m以下に粉砕することにより、水洗による塩素含有量の
低減効果が著しく向上する。上記粉砕は、上記粒径に粉
砕が可能な公知の粉砕機を使用して行うことができる。
物が多く含まれる場合があり、これらを予め除去するこ
とが好ましい。また、粉砕後においても、未粉砕物や粉
砕前に除去しきれていない異物を除去することが好まし
い。図2は、かかる異物の除去工程を含む本発明の代表
的な工程を示す概略図である。図2に示すように、主灰
を粉砕する粉砕工程の前に、回収された主灰に含有され
る異物を除去する第一異物除去工程、粉砕工程後に、粉
砕された主灰より、未粉砕の異物を除去する第二異物除
去工程を有する。
は磁選により、また、粗大塊状物は篩により除去するこ
とが好ましい。かかる篩の目開きは、50ないし10m
mが適当である。また、第二異物除去工程においては、
篩による除去が好ましい。かかる篩の目開きは、10な
いし2mmが適当である。
除去工程、第二異物除去工程を経て処理された前記平均
粒径の粒子よりなる主灰は、洗浄工程6に供給される。
本発明において、飛灰受槽3に受け入れられた飛灰は、
水洗に先立って、脱ダイオキシン工程5にて、ダイオキ
シン類の分解を行うことが重要である。即ち、脱ダイオ
キシン類の条件は、上記の如く高温であり、主灰を含め
て一様に行なおうとした場合、かかる湿潤状態の主灰を
含むと、処理時間、処理エネルギーが余分にかかると共
に、ダイオキシン類濃度が飛灰に比べて著しく低い主灰
を混合することにより、被処理物の該ダイオキシン類の
濃度が低下し、全体としてダイオキシン類の除去率が低
下する。
雰囲気下、300ないし450℃、好ましくは、350
ないし450℃の温度で処理すればよい。上記無酸素雰
囲気下とは、酸素が完全に存在しない場合の他に、装置
等の構造により不可避的に侵入する酸素、被処理物に同
伴される酸素等が含有されている態様を含むものであ
る。一般に、上記酸素の存在量は、1容量%以下である
ことが好ましい。かかる脱ダイオキシン類は、無酸素雰
囲気を窒素ガスにより形成し、加熱機により加熱を行う
態様が好ましい。
より、水銀成分も蒸発せしめて除去できることが確認さ
れ、比較的高濃度の水銀を含む都市ごみ焼却飛灰の脱水
銀工程としても有効であることが本発明により明らかと
なった。
御可能な箱型電気炉、雰囲気制御可能な内部攪拌機能有
する横円筒型加熱炉等公知のものが特に制限なく使用さ
れる。 脱ダイオキシン工程5より得られる処理飛灰
は、特に粉砕を行う必要なく、洗浄工程に供給される。
供される飛灰は、各地域の都市ゴミ焼却炉にて発生する
ものが集められる場合が多く、それらの化学組成が互い
に異なり焼結温度が相違する傾向にあるため、各都市ゴ
ミ焼却炉にて発生した飛灰を、一定の加熱温度に設定し
たダイオキシン類熱分解装置にて連続的に順次処理する
と該装置内で飛灰が焼結し、運転トラブルが発生するこ
とがある。
程での処理温度より高い焼結温度を有する飛灰、具体的
には、該処理温度より50℃以上、好ましくは100℃
以上高い焼結温度を有する飛灰を含む複数種の飛灰を混
合して脱ダイオキシン類処理工程に供することが好まし
い。
オキシン工程での処理温度より高い焼結防止剤、具体的
には、該処理温度より50℃以上、好ましくは100℃
以上高い焼結温度を有する無機物を飛灰と混合して脱ダ
イオキシン工程に供する態様も好ましい。上記焼結防止
剤の例としては、セメント原料として悪影響を及ぼさな
い無機物が特に制限なく使用できる。例えば、石灰石、
石炭灰およびコンクリートを挙げることができる。焼結
防止剤として用いる石灰石、石炭灰およびコンクリート
の平均粒子径は、飛灰の平均粒子径と同一程度とするこ
とが好ましい。
合或いは飛灰と焼結防止剤との混合は、公知の方法が特
に制限なく採用される。例えば、これらの粉体を仕込ん
だ容器内に空気、窒素等の気体を吹き込み、該粉体を浮
遊移動せしめて混合する方法撹拌翼を備えた容器内で機
械的に混合する方法などが挙げられる。
類処理工程での処理温度より高い飛灰或いは焼結防止剤
の配合量は、添加される飛灰の焼結温度、粒子径等によ
り異なり一概に限定することはできない。従って、かか
る配合量は、予め実験を行い、飛灰或いは焼結防止剤を
混合後の焼結温度が脱ダイオキシン類処理工程の処理温
度より高くなる温度、即ち、該処理温度において飛灰の
装置の内壁への焼結して堆積しない温度となる量を適宜
決定すればよい。
された主灰、飛灰をそれぞれ、或いは同時に水スラリー
化した後、ろ過し、更に、必要に応じて水を使用して洗
浄ろ過を行うことによって実施することができる。この
場合、飛灰は予め脱ダイオキシン類処理されているの
で、主灰と共に、同一の洗浄設備で洗浄処理することが
可能であり、効率的に洗浄を行うことができる。
灰は、スラリー化槽に供給され、水と混合されて水スラ
リーとされる。かかる水スラリーは、フィルタープレス
を代表とする内部洗浄が可能なろ過器よりなる同一の洗
浄設備で洗浄及びろ過され、固形分とろ液とに分離され
る。
カ、カルシウム化合物を主成分とするため、セメント製
造工場にてセメント製造用原料として使用される。この
場合、上記固形分は水分を含有しているため、セメント
製造工場における原料調整工程でセメント原料と混合
し、ドライヤーを経てサスペンションプレピーターに供
給することが好ましい。また、本発明において、固形分
を分離して得られる排液は、排水処理工程7で公知の排
水処理を行い、処理排水9として排出すればよい。
明の処理方法は、焼却灰をセメント原料として使用する
場合に、原料としては好ましくない含有物を効率的に且
つ確実に除去することが可能であり、得られた固形分は
セメント原料として有効に使用することができる。
実施例を示すが、本発明は、これらの添付図面に記載さ
れた工程に限定されるものではない。尚、実施例及び比
較例における、各物性測定、試験法は、下記の方法に従
って行った。
て測定した。 (2)ダイオキシン類濃度測定 ダイオキシン類類を試料の酸処理後、ジクロロメタンお
よびトルエン(溶媒)により抽出し、濃縮した後、ガス
クロマトグラフ/質量分析計(正式名)(GC/MS)
によって測定した。
図2に示す工程に従って、下記のように本発明を実施し
た。 (回収工程)先ず、回収工程1において、都市ごみ焼却
灰を、飛灰と主灰とに分けて飛灰受槽3及び主灰受槽2
にそれぞれ回収した。受入の時点で飛灰は粉状(平均粒
子径;約10μm)であり、異物も含んでいない。一
方、都市ごみ焼却主灰は、受入時点で多量の異物を含
み、塊状である。灰は、塊状物(平均粒子径;約5m
m)として存在し、また、異物は、金属類、ガラス類、
未燃の紙類、その他であった。飛灰中の塩素含有量は9
7000ppm及びダイオキシン類含有量は96ng−
TEQ/gであった。また、主灰中の塩素含有量は49
00ppm及びダイオキシン類含有量は0.0073n
g−TEQ/gであった。
除去工程10に導き、目開き20mmの篩と磁選機によ
り、粗大異物及び金属を分離した。次いで、粗大異物を
分離後の主灰を粉砕機で表1に示す平均粒径に粉砕した
後、第二異物工程11にて、目開き5mmの篩により、
小異物を除去した。上記処理を経て得られた主灰の平均
粒径を表1に示す。
は、雰囲気制御可能な電気炉において、窒素雰囲気下、
1時間、加熱処理を実施した。尚、上記窒素雰囲気下に
おける酸素濃度は、0.5容量%であった。また、加熱
処理は、表1に示す温度で行った。
シン工程を経て得られた主灰及び飛灰を混合し、洗浄水
/灰(質量比)10となるような洗浄水量でスラリー化
し、同一のフィルタープレスを使用してろ過し、次い
で、洗浄水/灰(質量比)20となる量の水で洗浄し
た。洗浄によって得られた固形分は、CaO、SiO
2 、Al2 O3 、Fe2 O3 を主成分としたもので、そ
の塩素含有量及びダイオキシン類含有量を表1に示す通
りであった。
ト原料と共に、原料調合工程に供給し、ドライヤーで乾
燥後、サスペンションプレヒーター上部より投入してセ
メントの製造に供したが、問題なく使用することが可能
であった。また、上記のろ過排水について、ダイオキシ
ン類濃度を測定した結果を表1に併せて示した。
灰とを8:2の割合で同一の受槽に回収し、実施例1に
準じて第一異物除去工程、粉砕工程、及び第二異物除去
工程を経た後、脱ダイオキシン工程で順次処理し、次い
で、洗浄水/灰(質量比)10となるような洗浄水量で
スラリー化し、フィルタープレスによってろ過した。次
いで、洗浄水/灰(質量比)20となる量の水で洗浄し
た。洗浄によって得られた固形分の塩素含有量は、21
00ppm、及びダイオキシン類含有量は、31ng−
TEQ/gであった。また、ろ過排水のダイオキシン類
濃度は、16pg−TEQ/gであった。上記説明より
理解できるように、本発明の工程を実施することによっ
て、都市ごみ焼却灰を効率よく、且つ安全にセメント産
業に利用可能となる。
て表2に示すAないしCの3種類の飛灰を同量ずつ混合
して使用し、脱ダイオキシン類処理工程の電気炉におけ
る焼結状態を観察した結果、飛灰の焼結は殆ど発生しな
かった。また、上記飛灰を実施例1と同様にして、主灰
との水スラリーを調整後洗浄して得られた固形分は、セ
メント原料として問題なく使用することができた。
代えて石炭灰を使用した以外は同様にして脱ダイオキシ
ン類処理を実施し、該処理工程の電気炉における焼結状
態を観察した結果、飛灰の焼結は殆ど発生しなかった。
また、上記飛灰を実施例1と同様にして、主灰との水ス
ラリーを調整後洗浄して得られた固形分は、セメント原
料として問題なく使用することができた。
である。
である。
Claims (6)
- 【請求項1】 都市ゴミ焼却炉より排出される焼却灰
を、主灰と飛灰とに別々の受槽に回収する回収工程、該
回収工程の主灰受槽の主灰を粉砕して平均粒径200μ
m以下の大きさの粉砕粒子を得る粉砕工程、該回収工程
の飛灰受槽の飛灰を無酸素雰囲気下、300ないし45
0℃の温度で処理してダイオキシン類を分解する脱ダイ
オキシン工程、及び、粉砕工程より得られる主灰と脱ダ
イオキシン工程より得られる飛灰とを水洗し、塩素成分
が低減された固形分を回収する洗浄工程を含むことを特
徴とする焼却灰の処理方法。 - 【請求項2】 洗浄工程より回収された、塩素成分が低
減された固形分をセメント製造工程の原料調合工程に原
料として供給する、請求項1記載の焼却灰の処理方法。 - 【請求項3】 粉砕工程の前に、回収された主灰に含有
される異物を除去する第一異物除去工程を有する、請求
項1又は2記載の焼却灰の処理方法。 - 【請求項4】 粉砕工程後に、粉砕された主灰より未粉
砕の異物を除去する第二異物除去工程を有する請求項1
ないし3の何れか1項に記載の焼却灰の処理方法。 - 【請求項5】 飛灰が、脱ダイオキシン工程での処理温
度より高い焼結温度を有する飛灰を含む、化学組成が異
なる複数種の飛灰よりなる請求項1ないし4の何れか1
項に記載の焼却灰の処理方法。 - 【請求項6】 飛灰と焼結温度が脱ダイオキシン工程で
の処理温度より高い焼結防止剤とを混合して脱ダイオキ
シン工程に供する請求項1ないし5の何れか1項に記載
の焼却灰の処理方法。
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