JP7344385B2 - 切削インサート、切削工具及び切削加工物の製造方法 - Google Patents

切削インサート、切削工具及び切削加工物の製造方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月26日に出願された日本国特許出願2020-091489号の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
本開示は、一般的には、被削材の切削加工に用いられる切削インサートに関する。切削加工としては、例えば、転削加工及び旋削加工が挙げられる。旋削加工としては、例えば、外径加工、内径加工及び端面加工などが挙げられる。
被削材を切削加工する際に用いられる切削インサートとして、例えば特開2000-107911号公報(特許文献1)及び特表2019-517930号公報(特許文献2)に記載の切削インサートが挙げられる。特許文献1及び2に記載の切削インサートは、いずれも鋭角コーナを備えた上面を有する。鋭角コーナの内角として様々な値が設定され得る。
鋭角コーナの内角が小さい値(例えば30°程度)である場合には、鋭角コーナの耐久性が低下する恐れがある。そのため、切削加工時において、例えば送り量を小さくするなどの対応が必要である。しかしながら、切削加工の高能率化のため送り量を大きくすることも求められる。すなわち、切削加工の高能率化のため、鋭角コーナの耐久性の向上が課題であった。
本開示の限定されない一面の切削インサートは、上面、下面、側面及び切刃を有してもよい。上面は、凸曲線形状の第1角と、第1角にそれぞれ接続された第1辺及び第2辺と、を有してもよい。下面は、上面の反対側に位置してもよい。側面は、上面及び下面の間に位置してもよい。切刃は、上面及び側面の交わりに位置してもよい。上面の中心及び前記下面の中心を通る仮想的な直線が中心軸である。上面及び下面の間に位置し、中心軸に直交する仮想的な平面が基準面である。切刃は、第1角に位置する第1切刃と、第1辺に位置する第2切刃と、を有してもよい。第1切刃は、第1部位を有してもよい。第1部位は、第1角の中央及び第1辺の間に位置して、第1辺から離れるにしたがって基準面に近づいてもよい。上面は、切刃に沿って位置するすくい面をさらに有してもよい。すくい面は、第1部位に沿って位置する第1領域を有してもよい。第1領域におけるすくい角は、第1角の中央に近づくにしたがって小さくなってもよい。第1切刃は、第3部位をさらに有してもよい。第3部位は、第1角の中央を含んで位置してもよい。すくい面は、第3部位に沿って位置する第3領域を有してもよい。第3領域は、平らであってもよい。第3領域におけるすくい角は、第1領域におけるすくい角よりも小さくてもよい。
限定されない実施形態の切削インサートを示す斜視図である。 図1に示す領域A1を拡大した拡大図である。 図1に示す切削インサートにおける上面を正面視した平面図である。 図3に示す領域A2を拡大した拡大図である。 図4に示す切削インサートをB1方向から見た側面図である。 図4に示す切削インサートをB2方向から見た側面図である。 図4に示す切削インサートをB3方向から見た側面図である。 図4に示す領域と同じ拡大図である。 図8に示す切削インサートにおけるIX断面の断面図である。 図8に示す切削インサートにおけるX断面の断面図である。 図8に示す切削インサートにおけるXI断面の断面図である。 図8に示す切削インサートにおけるXII断面の断面図である。 図8に示す切削インサートにおけるXIII断面の断面図である。 限定されない実施形態の切削工具を示す斜視図である。 図14に示す切削工具の側面図である。 限定されない実施形態の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。 限定されない実施形態の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。 限定されない実施形態の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。
本開示における限定されない一面の切削インサート1(以下、単にインサート1ともいう。)について図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図において、説明の便宜上、限定されない実施形態を説明する上で必要な主要部材のみが簡略化して示される。したがって、インサート1は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各部材の寸法比率等を忠実に表すとは限らない。
<切削インサート>
インサート1は、図1に示す限定されない一例のように、上面3、下面5、側面7及び切刃9を有してもよい。
上面3は、多角形状であってもよい。図3に示す限定されない一例のように、上面3が四角形状であってもよい。上面3は、複数の角及び複数の辺を有してもよい。図3に示す限定されない一例のように、上面3が4つの角及び4つの辺を有してもよい。
複数の角の1つが第1角11であってもよい。第1角11は上面3を正面視した場合の内角が鋭角であってもよい。なお、以下の説明においては、上面3の正面視を、上面視と言い換えてもよい。第1角11の大きさは特定の値に限定されない。例えば、第1角11が、20°~85°に設定され得る。特に、第1角11が、20°~40°のように小さい値に設定され得る。
複数の辺のうち第1角11から延びた2つの辺が第1辺13及び第2辺15であってもよい。すなわち、上面3は、第1角11と、第1角11にそれぞれ接続された第1辺13及び第2辺15と、を有してもよい。なお、上面3は四角形に限定されない。例えば、上面3が、三角形、五角形又は六角形であっても何ら問題ない。
上記した多角形状とは、厳密に多角形の形状であることに限定されない。図4に示す限定されない一例のように、上面視した場合において、各角が、丸みを帯びた形状、言い換えれば、外側に向かって凸となる曲線形状であってもよい。また、上面視した場合において、4つの辺は、それぞれ厳密な直線形状に限定されない。例えば、上面視した場合において、4つの辺が、それぞれ外側に向かってわずかに凸となる形状、又はわずかに凹となる形状であってもよい。
なお、角が丸みを帯びた形状である場合においては、この角を間に挟んで位置する2つの辺をそれぞれ引き延ばした2つの仮想直線の、上面視における交差角を内角と見做してもよい。例えば、第1角11が丸みを帯びた形状である場合においては、第1辺13及び第2辺15をそれぞれ引き延ばした2つの仮想直線の、上面視における交差角が内角であってもよい。さらに、上記した2つの辺が直線形状ではない場合においては、これらの辺における角に接する端部における接線を上記した仮想直線と見做してもよい。
下面5は、上面3の反対側に位置してもよい。下面5は、上面3と同じ形状であってもよく、また、上面3とは異なる形状であってもよい。下面5は、上面3と同様に多角形状であってもよい。上面3及び下面5がそれぞれ多角形状である場合に、下面5は上面3に対して相似形であってもよい。
例えば、下面5は、上面3に対して一回り小さい形状であってもよい。下面5は、上面3に対して平行であってもよく、また、上面3に対して傾斜してもよい。下面5は、インサート1をホルダに取り付ける際にホルダに当接する当接面として機能してもよい。
側面7は、上面3及び下面5の間に位置してもよい。側面7は、上面3に接続されてもよく、また、上面3から離れてもよい。また、側面7は、下面5に接続されてもよく、また、下面5から離れてもよい。上面3の角が丸みを帯びた形状である場合において、側面7のうち角に接続される部分は凸曲面の形状であってもよい。また、上面3の辺が直線形状である場合において、側面7のうち辺に接続される部分は平らな面形状であってもよい。
例えば、上面3が4つの丸みを帯びた角及び4つの直線形状の辺を有する場合に、側面7は、4つの凸曲面の領域と、4つの平らな領域と、を有してもよい。なお、本開示において、「平ら」とは、曲面でないことを意味する。すなわち、「平ら」とは、必ずしも上面3に平行である、或いは、水平である、という意味には限定されない。
また、本開示において、「平ら」とは、厳密な意味での平面であることを要求しない。インサート1の製造において不可避な程度の凹凸を許容してもよい。具体的には、0.5μm程度の表面粗さの凹凸を有してもよい。
側面7は、上面3及び下面5に対して直交する方向に延びてもよく、上面3及び下面5に対して傾斜してもよい。例えば、下面5が上面3に対して一回り小さい形状である場合において、側面7は、図5~図7に示す限定されない一例のように、上面3から離れて下面5に近づくにしたがって中心軸O1に近づくように傾斜してもよい。ここで、上面3の中心及び下面5の中心を通る仮想的な直線が上記の中心軸O1であってもよい。
切刃9は、上面3及び側面7の交わりに位置してもよい。言い換えれば、切刃9は、上面3の外周縁に位置してもよい。切刃9は、切削加工物を製造するために被削材を切削加工する際に、被削材を切削するために用いられてもよい。切刃9は、上面3及び側面7の交わりの全体に位置してもよく、また、上面3及び側面7の交わりの一部のみに位置してもよい。
切刃9は、図2に示す限定されない一例のように、第1角11に位置する第1切刃17と、第1辺13に位置する第2切刃19と、を有してもよい。また、切刃9は、第2辺15に位置する第3切刃20をさらに有してもよい。第1角11が丸みを帯びた形状である場合に、第1切刃17は凸曲線形状であってもよい。また、第1辺13が直線形状である場合に、第2切刃19は直線形状であってもよい。
上面3及び側面7の交わりであって切刃9が位置する部分には、いわゆるホーニング加工が施されてもよい。すなわち、上面3及び側面7の交わりは、2つの面が交わることによる厳密な線形状ではなくてもよい。上記の交わりが厳密な線形状ではなくホーニング加工が施された構成である場合には、切刃9の耐久性が高くなり得る。例えば、上面3及び側面7の交わりであって切刃9が位置する部分に、曲面形状となるRホーニング加工が施されてもよい。
図6に示す限定されない一例のように、第1切刃17は、複数の部位によって構成されてもよい。例えば、第1切刃17は、第1部位17aを有してもよい。第1部位17aは、第1角11の中央11a及び第1辺13の間に位置して、第1辺13から離れるにしたがって基準面S1に近づいてもよい。ここで、上面3及び下面5の間に位置し、中心軸O1に直交する仮想的な平面が基準面S1であってもよい。
第1切刃17のうち、第1角11の中央11a及び第1辺13の間に位置する部分の全体が第1部位17aであってもよく、また、第1角11の中央11a及び第1辺13の間に位置する部分の一部のみが第1部位17aであってもよい。
図4に示す限定されない一例のように、上面3は、切刃9に沿って位置するすくい面21をさらに有してもよい。すくい面21は、被削材を切削加工する際に切屑が流れる面として機能してもよい。また、上面3がすくい面21を有する場合に、側面7が、逃げ面を有してもよい。
すくい面21は、切刃9に接続されてもよいが、厳密に切刃9に接続される構成に限定されない。例えば、すくい面21及び切刃9の間に、一般的にランド面と呼ばれる幅の狭い領域が位置してもよい。
すくい面21は、切刃9から離れるにしたがって基準面S1に近づいてもよい。言い換えれば、すくい面21は、切刃9から離れるにしたがって下方に向かって傾斜してもよい。ここで、基準面S1に対するすくい面21の傾斜角がすくい角θであってもよい。すくい角θの大きさは特定の値に限定されない。例えば、すくい角θが、3°~25°に設定され得る。すくい角θは、例えば次の手順によって評価してもよい。
まず、切刃9における測定の対象点を特定する。次に、上面視した場合に、この対象点において切刃9に直交する断面を示す。この断面において、基準面S1及びすくい面21がそれぞれ線で示されるため、これらの線の交わる角度を測定する。この角度が、すくい角θである。なお、すくい面21が平らでない場合においては、上記の断面においてすくい面21が曲線形状で示される。この場合には、上記した断面において、すくい面21のうち基準面S1に対する傾斜角の最大値が、すくい角θであってもよい。
すくい面21は、第1部位17aに沿って位置する第1領域21aを有してもよい。このとき、第1領域21aにおけるすくい角θは、第1角11の中央11aに近づくにしたがって小さくなってもよい。上面視した場合において、第1角11のコーナ二等分線に直交する方向でのインサート1の幅は、第1角11の中央11aに近づくにしたがって狭くなる。そのため、第1角11の中央11aに近づくにしたがってインサート1の強度が低下し易い。
第1領域21aにおけるすくい角θが、第1角11の中央11aに近づくにしたがって小さくなる場合には、第1角11の中央11aに近づくにしたがってインサート1の肉厚が大きくなり易い。そのため、第1角11の中央11aにおけるインサート1の耐久性を高くできる。結果として、切削加工の高能率化を図ることができる。
第1領域21aにおけるすくい角θが第1角11の中央11aに近づくにしたがって小さくなるか否かは、下記の手順によって評価できる。まず、第1部位17aにおいて等間隔に位置する4つの点を測定の対象点として設定する。次に、上面視した場合に、これら4つの対象点において切刃9に直交する断面を、図10に示す限定されない一例のように、それぞれ示す。そして、これら4つの断面のそれぞれにおいて、すくい角θを測定する。
4つの断面におけるすくい角θを比較した場合に、すくい角θが第1角11の中央11aに近づくにしたがって小さくなる場合には、第1部位17aにおける4つの対象点に挟まれた部分に沿って位置するすくい面21の部位が第1領域21aである。そして、この第1領域21aにおけるすくい角θが第1角11の中央11aに近づくにしたがって小さくなる、と評価できる。第1領域21aにおけるすくい角θの最小値と最大値の差は、例えば、2°以上であってもよい。
第1切刃17は、第1部位17aに加えて、以下に詳述する第2部位17b、第3部位17c、第4部位17d及び第5部位17eのうち少なくとも1つをさらに有してもよい。すなわち、第1切刃17は、第2部位17b、第3部位17c、第4部位17d又は第5部位17eのいずれか1つを有してもよく、また、第2部位17b、第3部位17c、第4部位17d及び第5部位17eのうち2つ以上を有してもよい。
また、すくい面21は、第1領域21aに加えて、以下に詳述する第2領域21b、第3領域21c、第4領域21d、第5領域21e及び第6領域21fのうち少なくとも1つをさらに有してもよい。すなわち、すくい面21は、第2領域21b、第3領域21c、第4領域21d、第5領域21e又は第6領域21fのいずれか1つを有してもよく、また、第2領域21b、第3領域21c、第4領域21d、第5領域21e及び第6領域21fのうち2つ以上を有してもよい。
第2部位17bは、第1部位17a及び第1辺13の間に位置してもよい。このとき、第2部位17bは、第1辺13から離れるにしたがって基準面S1から離れてもよい。第2領域21bは、第2部位17bに沿って位置してもよい。そして、図1に示す限定されない一例のように、第2領域21bにおけるすくい角θを評価する。このとき、第2領域21bにおけるすくい角θが、第1部位17aに近づくにしたがって大きくなってもよい。
第1部位17aよりも第1辺13の近くに位置する第2部位17bは、いわゆるさらい刃として用いることが可能である。第2領域21bにおけるすくい角θが、第1部位17aに近づくにしたがって大きくなる場合には、第2部位17bにおける切削性が高められ得る。そのため、被削材における加工面の面精度が向上し得る。言い換えれば、加工面の表面粗さを小さくできる。
第2領域21bにおけるすくい角θが第1部位17aに近づくにしたがって大きくなるか否かは、第1領域21aにおけるすくい角θの評価と同様に、等間隔に位置する4つの点を測定の対象点として設定し、すくい角θを評価すればよい。第2領域21bにおけるすくい角θの最小値と最大値の差は、例えば、0.1°以上であってもよい。
第2切刃19が、図6に示す限定されない一例のように、第1切刃17に近づくにしたがって基準面S1から離れる場合において、第2部位17bが、第1辺13から離れるにしたがって基準面S1から離れるのであれば、切刃9の耐久性を高くできる。
これは、第1切刃17及び第2切刃19の境界付近において切刃9の延びる方向の変化が小さくなるからである。切刃9の延びる方向の変化が小さい場合には、切刃9の各部位に加わる切削負荷の方向が急激に変化しにくい。第1切刃17及び第2切刃19の境界付近には切削負荷が集中し易いが、切刃9が上記の構成である場合には、切削負荷の方向が急激に変化しにくいため、切刃9の耐久性を高くできる。
第3部位17cは、第1角11の中央11aを含んで位置してもよい。このとき、第3部位17cの2つの端部の一方が、第1角11の中央11aに位置してもよく、また、第1角11の中央11aが第3部位17cの2つの端部の間に位置してもよい。第3領域21cは、第3部位17cに沿って位置してもよい。そして、図に示す限定されない一例のように、第3領域21cにおけるすくい角θを評価する。
このとき、第3領域21cにおけるすくい角θが、第1領域21aにおけるすくい角θより小さくてもよい。より具体的には、第3領域21cにおけるすくい角θの最小値が、第1領域21aにおけるすくい角θの最小値より小さくてもよい。
上記した通り、第1角11の中央11aに近づくにしたがってインサート1の強度が低下し易い。第3部位17cに沿って位置する第3領域21cにおけるすくい角θが、第1領域21aにおけるすくい角θより小さい場合には、第1角11の中央11aの近傍でのインサート1の強度を高くできる。そのため、第1角11の中央11aにおけるインサート1の耐久性をさらに高くできる。結果として、切削加工の更なる高能率化を図ることができる。
すくい面21が第3領域21cを有する場合において、この第3領域21cは、曲面であってもよく、また、平らであってもよい。第3領域21cが平らである場合には、第1角11の中央11aの近傍でのインサート1の強度をさらに高くできる。そのため、第1角11の中央11aにおけるインサート1の耐久性をより一層高くできる。
第4部位17dは、第1角11の中央11a及び第2辺15の間に位置してもよい。このとき、第4部位17dは、第2辺15から離れるにしたがって基準面S1に近づいてもよい。第4領域21dは、第4部位17dに沿って位置してもよい。そして、第4領域21dにおけるすくい角θを評価する。このとき、第4領域21dにおけるすくい角θが、第1角11の中央11aに近づくにしたがって小さくなってもよい。
インサート1が、このような第4部位17d及び第4領域21dをさらに有する場合には、インサート1の汎用性を高くできる。例えば、第3切刃20及び第4部位17dを用いて切削加工を行う場合においても、第2切刃19及び第1部位17aを用いて切削加工を行う場合と同様に、第1角11の中央11aにおけるインサート1の耐久性が高く、切削加工の高能率化を図ることができる。そのため、いわゆる右勝手及び左勝手の両方の切削加工に対応できる。
第5部位17eは、第4部位17d及び第2辺15の間に位置してもよい。このとき、第5部位17eは、第2辺15から離れるにしたがって基準面S1から離れてもよい。第5領域21eは、第5部位17eに沿って位置してもよい。そして、第5領域21eにおけるすくい角θを評価する。このとき、第5領域21eにおけるすくい角θは、第4部位17dに近づくにしたがって大きくなってもよい。
第4部位17dよりも第2辺15の近くに位置する第5部位17eは、第2部位17bと同様に、いわゆるさらい刃として用いることが可能である。第5領域21eにおけるすくい角θが、第4部位17dに近づくにしたがって大きくなる場合には、第5部位17eにおける切削性が高められ得る。そのため、被削材における加工面の面精度が向上し得る。言い換えれば、加工面の表面粗さを小さくできる。
インサート1が上記した第2部位17b及び第5部位17eの両方を有する場合には、上記した右勝手及び左勝手のいずれの切削加工においても、被削材における加工面の面精度が向上し得る。
第1領域21aは、曲面であってもよく、また、平らであってもよい。第1領域21aが平らである場合には、第1部位17aの近傍でのインサート1の強度が高められ得る。そのため、インサート1の耐久性をより一層高くできる。
第6領域21fは、第2切刃19に沿って位置してもよい。ここで、第6領域21fは、曲面であってもよく、また、平らであってもよい。第6領域21fが平らである場合には、第2切刃19で生じた切屑が第6領域21f上を滑らかに進み易い。そのため、切屑排出性を向上できる。
ここで、第1領域21a及び第6領域21fが、それぞれ平らであって、且つ、同じ平面上に位置してもよい。この場合には、第1部位17aで生じた切屑が、第1領域21aから第6領域21fへと滑らかに進み易い。第1部位17aで生じた切屑は第6領域21fで生じた切屑よりも厚みが薄くなり易いため、切屑の流れが不安定になり易い。しかしながら、第1部位17aで生じた切屑が、第1領域21aから第6領域21fへと滑らかに進み易いため、切屑排出性をさらに向上できる。
インサート1は、図1に示す限定されない一例のように、上面3及び下面5において開口する貫通孔23を有してもよい。貫通孔23の中心軸は、インサート1の中心軸O1と一致してもよい。貫通孔23は、インサート1をホルダに固定する際に例えばネジを挿入するために用いることが可能である。インサート1をホルダに固定する際には、ネジの代わりに例えばクランプ部材を用いてもよい。
インサート1の大きさは特に限定されない。例えば、多角形状である上面3の一辺の長さは、10~25mm程度に設定できる。また、上面3から下面5までの高さ、言い換えれば中心軸O1に沿った方向での高さは、2~5mm程度に設定できる。
インサート1の材質としては、例えば、超硬合金及びサーメットなどが挙げられ得る。超硬合金の組成としては、例えば、WC-Co、WC-TiC-Co及びWC-TiC-TaC-Coが挙げられ得る。ここで、WC、TiC及びTaCは硬質粒子であってもよく、Coは結合相であってもよい。
また、サーメットは、セラミック成分に金属を複合させた焼結複合材料であってもよい。サーメットの一例として、炭化チタン(TiC)又は窒化チタン(TiN)を主成分としたチタン化合物が挙げられ得る。ただし、インサート1の材質が上記の組成に限定されない。
インサート1の表面は、化学蒸着(CVD)法又は物理蒸着(PVD)法を用いて被膜でコーティングされてもよい。被膜の組成としては、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)及びアルミナ(Al)などが挙げられ得る。
<切削工具>
次に、本開示における限定されない一面の切削工具101について図面を用いて説明する。
切削工具101は、図14及び図15に示す限定されない一例のように、第1端105aから第2端105bに向かって延びたホルダ105を有してもよい。ホルダ105は、第1端105aの側にポケット103(インサートポケット)を有してもよい。切削工具101は、ポケット103に位置する上記のインサート1を備えてもよい。切削工具101においては、切刃9の少なくとも一部がホルダ105の第1端105aから突出するように、インサート1が装着されてもよい。
ホルダ105は、細長く伸びた棒形状をなしてもよい。そして、ホルダ105の第1端105aの側には、ポケット103が1つ設けられてもよい。ポケット103は、インサート1が装着される部分であり、ホルダ105における第1端105aの側の端面に対して開口してもよい。このとき、ポケット103がホルダ105の側面に対しても開口している場合には、インサート1の装着を容易に行うことができる。
ポケット103は、ホルダ105の下面に対して概ね平行な着座面と、この着座面に対して傾斜する拘束側面と、を有してもよい。
ポケット103にはインサート1が位置してもよい。このとき、インサート1の下面5がポケット103に直接に接してもよく、また、インサート1とポケット103との間にシートが挟まれてもよい。
図14に示す限定されない一例のように、インサート1は、ネジ107によって、ホルダ105に固定されてもよい。例えば、ホルダにネジ孔が設けられ、ネジ107をインサート1の貫通孔23に挿入するとともに、上記のネジ孔でネジ107が固定されることによって、インサート1がポケット103に拘束されてもよい。
なお、インサート1が、クランプ部材によって、ホルダ105に固定されてもよい。すなわち、クランプ部材の頭部がインサート1の貫通孔の内壁に押し当てられることによって、インサート1がポケット103に拘束されてもよい。
ホルダ105の部材としては、鋼、鋳鉄などが用いられてもよい。特に、これらの部材の中で鋼が用いられた場合には、ホルダ105の靱性が高い。
限定されない実施形態においては、いわゆる旋削加工に用いられる切削工具が例示される。旋削加工としては、例えば、内径加工、外径加工及び端面加工などが挙げられる。なお、切削工具としては旋削加工に用いられるものに限定されない。例えば、転削加工に用いられる切削工具に上記のインサート1を用いてもよい。
<切削加工物の製造方法>
次に、本開示における限定されない一面の切削加工物の製造方法について図面を用いて説明する。
切削加工物203は、被削材201を切削加工することによって作製される。実施形態における切削加工物203の製造方法は、以下の工程を備える。すなわち、
(1)被削材201を回転させる工程と、
(2)回転している被削材201に上記実施形態に代表される切削工具101を接触させる工程と、
(3)切削工具101を被削材201から離す工程と、
を備える。
より具体的には、まず、図16に示す限定されない一例のように、被削材201を軸O2の周りで回転させるとともに、被削材201に切削工具101を相対的に近付けてもよい。次に、図17に示す限定されない一例のように、切削工具101における切刃9の少なくとも一部を被削材201に接触させて、被削材201を切削してもよい。そして、図18に示す限定されない一例のように、切削工具101を被削材201から相対的に遠ざけてもよい。
図16に示す限定されない一例のように、軸O2を固定するとともに被削材201を回転させた状態で切削工具101をY1方向に移動させることによって、切削工具101を被削材201に近づけてもよい。
また、図17に示す限定されない一例のように、回転している被削材201にインサート1における切刃9として用いられる部分の少なくとも一部を接触させた状態で切削工具101をY2方向に移動させることによって、被削材201を切削してもよい。
また、図18に示す限定されない一例のように、被削材201を回転させた状態で切削工具101をY3方向に移動させることによって、切削工具101を被削材201から遠ざけてもよい。
なお、それぞれの工程において、切削工具101を動かすことによって、切削工具101を被削材201に接触させる、あるいは、切削工具101を被削材201から離しているが、当然ながらこのような形態に限定されない。
例えば、(1)の工程において、被削材201を切削工具101に近づけてもよい。同様に、(3)の工程において、被削材201を切削工具101から遠ざけてもよい。切削加工を継続する場合には、被削材201を回転させた状態を維持して、被削材201の異なる箇所にインサート1における切刃9の少なくとも一部を接触させる工程を繰り返してもよい。
なお、被削材201の材質の代表例としては、焼入鋼、炭素鋼、合金鋼、ステンレス、鋳鉄、又は非鉄金属などが挙げられ得る。
1・・・切削インサート(インサート)
3・・・上面
5・・・下面
7・・・側面
9・・・切刃
11・・・第1角
11a・・中央
13・・・第1辺
15・・・第2辺
17・・・第1切刃
17a・・第1部位
17b・・第2部位
17c・・第3部位
17d・・第4部位
17e・・第5部位
19・・・第2切刃
20・・・第3切刃
21・・・すくい面
21a・・第1領域
21b・・第2領域
21c・・第3領域
21d・・第4領域
21e・・第5領域
21f・・第6領域
23・・・貫通孔
101・・・切削工具
103・・・ポケット
105・・・ホルダ
107・・・ネジ
201・・・被削材
203・・・切削加工物
O1・・・中心軸
O2・・・軸
S1・・・基準面
θ・・・すくい角

Claims (10)

  1. 凸曲線形状の第1角と、前記第1角にそれぞれ接続された第1辺及び第2辺と、を有する上面と、
    前記上面の反対側に位置する下面と、
    前記上面及び前記下面の間に位置する側面と、
    前記上面及び前記側面の交わりに位置する切刃と、を有し、
    前記上面の中心及び前記下面の中心を通る仮想的な直線が中心軸であって、
    前記上面及び前記下面の間に位置し、前記中心軸に直交する仮想的な平面が基準面であって、
    前記切刃は、
    前記第1角に位置する第1切刃と、
    前記第1辺に位置する第2切刃と、を有し、
    前記第1切刃は、前記第1角の中央及び前記第1辺の間に位置して、前記第1辺から離れるにしたがって前記基準面に近づく第1部位を有し、
    前記上面は、前記切刃に沿って位置するすくい面をさらに有し、
    前記すくい面は、前記第1部位に沿って位置する第1領域を有し、
    前記第1領域におけるすくい角は、前記第1角の前記中央に近づくにしたがって小さくなり、
    前記第1切刃は、前記第1角の前記中央を含んで位置する第3部位をさらに有し、
    前記すくい面は、前記第3部位に沿って位置する第3領域をさらに有し、
    前記第3領域におけるすくい角は、前記第1領域におけるすくい角よりも小さく、
    前記第3領域は、平らである、切削インサート。
  2. 凸曲線形状の第1角と、前記第1角にそれぞれ接続された第1辺及び第2辺と、を有する上面と、
    前記上面の反対側に位置する下面と、
    前記上面及び前記下面の間に位置する側面と、
    前記上面及び前記側面の交わりに位置する切刃と、を有し、
    前記上面の中心及び前記下面の中心を通る仮想的な直線が中心軸であって、
    前記上面及び前記下面の間に位置し、前記中心軸に直交する仮想的な平面が基準面であって、
    前記切刃は、
    前記第1角に位置する第1切刃と、
    前記第1辺に位置する第2切刃と、を有し、
    前記第1切刃は、前記第1角の中央及び前記第1辺の間に位置して、前記第1辺から離れるにしたがって前記基準面に近づく第1部位を有し、
    前記上面は、前記切刃に沿って位置するすくい面をさらに有し、
    前記すくい面は、前記第1部位に沿って位置する第1領域を有し、
    前記第1領域は平らであり、
    前記第1領域におけるすくい角は、前記第1角の前記中央に近づくにしたがって小さくなる、切削インサート。
  3. 前記すくい面は、前記第2切刃に沿って位置する平らな第6領域をさらに有し、
    前記第1領域及び前記第6領域が同じ平面上に位置する、請求項に記載の切削インサート。
  4. 前記第1切刃は、前記第1角の前記中央を含んで位置する第3部位をさらに有し、
    前記すくい面は、前記第3部位に沿って位置する第3領域をさらに有し、
    前記第3領域におけるすくい角は、前記第1領域におけるすくい角よりも小さい、請求項2又は3に記載の切削インサート。
  5. 前記第3領域は、平らである、請求項に記載の切削インサート。
  6. 前記第1切刃は、前記第1部位及び前記第1辺の間に位置して、前記第1辺から離れるにしたがって前記基準面から離れる第2部位をさらに有し、
    前記すくい面は、前記第2部位に沿って位置する第2領域をさらに有し、
    前記第2領域におけるすくい角は、前記第1部位に近づくにしたがって大きくなる、請求項1又は2に記載の切削インサート。
  7. 前記第1切刃は、前記第1角の前記中央及び前記第2辺の間に位置して、前記第2辺から離れるにしたがって前記基準面に近づく第4部位をさらに有し、
    前記すくい面は、前記第4部位に沿って位置する第4領域をさらに有し、
    前記第4領域におけるすくい角は、前記第1角の前記中央に近づくにしたがって小さくなる、請求項1~2及び4~6のいずれか1つに記載の切削インサート。
  8. 前記第1切刃は、前記第4部位及び前記第2辺の間に位置して、前記第2辺から離れるにしたがって前記基準面から離れる第5部位をさらに有し、
    前記すくい面は、前記第5部位に沿って位置する第5領域をさらに有し、
    前記第5領域におけるすくい角は、前記第4部位に近づくにしたがって大きくなる、請求項に記載の切削インサート。
  9. 第1端から第2端に向かって延びた棒形状であって、前記第1端に位置するポケットを有するホルダと、
    前記ポケット内に位置する、請求項1~8のいずれか1つに記載の切削インサートと、を有する切削工具。
  10. 被削材を回転させる工程と、
    回転する前記被削材に請求項9に記載の切削工具を接触させる工程と、
    前記切削工具を前記被削材から離す工程と、を備えた切削加工物の製造方法。
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