JP7340651B2 - 階段用の接続部材 - Google Patents
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Description
露出階段の場合、施工に際してはいくつかの方法があるが、一例としては、ササラ桁1の上端を柱や梁等の階上構造部材2に固定して施工される(図7)。この例では、ササラ桁1に座彫り1cを設け、この座彫り1c部分にコーチボルト4を挿入し、階上構造部材2に固定していた。
(1)金具が露出していて見苦しい
設置後も、木材であるササラ桁表面に金具の一部が露出している。例えば、特許文献1に示された金具は、ササラ桁にスリットを加工し、このスリット部分に金具を挿入する構造とされているが、スリットはササラ桁端部の上下に突き通しで設けられているので、スリットの奥に金具の金属部分が見える。更に、ピン部分も直径10ミリ程度ではあるが、木材とは異質の金属製頭部が露出している。
地震等で大きな外力が作用した場合には、ササラ桁が階上構造部材から外れて、階段自体が崩壊する恐れもあった。
釘は強度が低いので論外として、金具でもピン接合程度の簡単な接合に留まっている場合が大半であり、十分な強度とは言えなかった。又、ピンは施工の容易さから多用されるが、本材部分の乾燥に伴う収縮や木材部分の割れによって弛みが生じて保持力が急激に低下してしまう危険性もあった。
特許文献1乃至3に記載の発明はいずれも金具を使用した接合部分が強固な接合とは言い難く、単に簡単な固定と位置決めの精度向上を果たしているに過ぎない。
接続金具を用いる際に、金具は階上構造部材側に装着されて、ササラ桁側にはスリット等の受け口が設けられるが、金具がササラ桁の受け口周辺の木材部分に接触して傷を付ける場合があった。
前記接続金具(10)は、
本体板(11)と、
前記本体板(11)の上端から前方に向かって立設する上板(13)と、
前記本体板(11)の左右両端から立設され前記上板(13)より上方に延びた耳部(12b)を有する側板(12)とが一体的に形成されてなり、
前記接続部材(10,20)にはさらに第二接続金具(20)とボルト(B)と踏板(3)とを含み、
前記ボルト(B)の全長は前記上板(13)の下端から前記側板(12)の耳部(12b)上端の高さよりも長く、
前記接続金具(10)は前記上板(13)に、孔(13a)が形成されており、
前記接続金具(10)が前記第二接続金具(20)と嵌合された状態で、上方から前記上板(13)の孔(13a)を介して前記ボルト(B)が前記第二接続金具(20)に螺合され、さらに前記踏板(3)が、前記一方の部材(1)の溝(1b)の設けられた上面を覆うことを特徴とする。
また、一方の部材に設けられた溝の奥壁に接続金具を取り付けた場合であっても同様に耳部を利用して位置合わせすることができる。また接続金具は、一方の部材に設けられた溝の奥壁に取り付けられるので、接続金具は露出せず、美観に優れる。
図1乃至図6を参照して、本発明の第一実施形態に係る階段の取付構造及び階段用の接続部材10,20を説明する。
本実施形態において、階段は露出階段であり、この露出階段から見て梁等の階上構造部材2の方向を前方とし、また露出階段のササラ桁1の厚さ方向を左右方向とした。
この露出階段用の接続部材10,20は、これを介して露出階段を階上構造部材2に取り付けるものであり、第一接続金具10と、第二接続金具20と、を備える。
第一本体板11は鉛直方向に延び、縦に二つの取付孔(図示しない)が形成されている。この取付孔を介して第一接続金具10はササラ桁1の取付溝1bの奥壁に取り付けられる。
第一側板12は、二枚あり、それぞれが第一本体板11の左右両端から前方に向かって立設し互いに向かい合う。また、第一側板12の相対する位置にそれぞれ支持孔12aが形成されている。
第一本体板11と二枚の第一側板12と第一上板13は一枚の金属の板状部材をプレス加工によって一体的に形成してなる。これらの厚さは2.3mmである。
また、係止部15の長さは第一側板12の外側表面間と略等しく、二つの支持孔12aに係止部15を挿通した状態では第一側板12の外側表面から係止部15が突出せず、係止部15の先端が第一側板12の外側表面と面一になっている。
第二本体板21は、鉛直方向に延び、縦に二つの取付孔が形成されている。この取付孔を介して第二接続金具20は階上構造部材2に取り付けられる。
第二側板22は、上方が開口するように略U字状の案内溝22aが形成された受けフックをそれぞれ構成しており、第二側板22自体の形状は略J字状となっている。
また、受けフックの案内溝22aはその下部において上方から下方になるにつれて僅かに前方に向かうように形成されている。別の表現をすると、案内溝22aの前壁が僅かに前方に向かって凹むとともに、案内溝22aの後壁が僅かに前方に向かってカーブしている。
第二側板22の外側表面間の距離は、第一側板12の内側表面間の距離よりも短い。
このような第二本体板21と二枚の第二側板22と第二上板23は、一枚の金属の板状部材をプレス加工によって一体的に形成してなる。これらの厚みも2.3mmである。
第二上板23の略中央に雌ネジ23aが形成されている。つまり、第二上板23の略中央に孔が形成されるとともにその孔にタップが切られている。
この雌ネジ23aの位置は、第一接続金具10と第二接続金具20との嵌合時において第一上板13の孔13a直下となる第二上板23の部分である。
ササラ桁1は露出階段において左右それぞれに配置される。ここでは左右一方について説明する。
図1の破線で示したように、ササラ桁1の上部の接続端部1aには、上方及び前方に開口する取付溝1bが形成されている。一方、接続端部1aは下方には開口していない。取付溝1b自体の形状は直方体状である。
詳しくは、第一本体板11が取付溝1bの後方奥壁にボルトに取付けられたときに、第一側板12の前端はササラ桁1の接続端部1aの前端と面一になる。また、第一接続金具10と第二接続金具20を連結するボルトBの頭がササラ桁1の接続端部1aの上端から露出しないだけ第一上板13は下方に配置されている。
次に、ボルトBを第一上板13の孔13aを介して第二上板23の雌ネジ23aに対して螺合させる。このように螺合させると、係止部15が案内溝22aに押し付けられた状態となる。
また、この嵌合時には第一上板13と第二上板23とが離間した状態となる。
最後に、踏板3をササラ桁1の接続端部1aの上面に着脱自在に取付ける。
特に、ササラ桁1の接続端部1aの上面に踏板3を取付けた状態とすると、第一接続金具10と第二接続金具20は完全に外部からは見えなくなる。しかも階段として必要な部材である踏板3によって隠蔽可能であり、隠蔽用に新たな部材を用いる必要がない。
また、第一接続金具10は露出していないこと、第二接続金具20は組み立て前には露出しているが、完成後には隠れるササラ桁端面部に向けて接合されるので、ササラ桁1や階上構造部材2の完成後に見える木材部分に傷が付き難い。
また、受けフック22の案内溝22aが、上方から下方になるにつれて前方に向かうように形成されたので、嵌合時に係止部15が案内溝22aの後壁と摺動し案内されることでササラ桁1がそれ自身の自重によって階上構造部材2側に引き寄せられる。
地震等で下から突き上げられる力が加わっても、外れることを防止できる。
しかも、第一上板13と第二上板23とが離間した状態となるので、ボルトBを螺合させると第一上板13が撓んで弾性によってテンションが掛かったままになり、ボルトBの緩み止めになる。
また、第二接続金具20の取付け位置を決定すれば、それに第一接続金具10が嵌合するだけであるので、全体としての位置調整も容易である。
図8乃至図11を参照して、本発明の実施形態2に係る階段の取付構造及び階段用の接続部材10,20を説明する。
本実施形態において、露出階段から見て梁等の階上構造部材2の方向を前方とし、また露出階段のササラ桁1の厚さ方向を左右方向とした。
この露出階段用の接続部材10,20は、これを介して露出階段を階上構造部材2に取り付けるものであり、第一接続金具10と、第二接続金具20と、を備える。
第一本体板11は鉛直方向に延び、縦に二つの取付孔11a(直径12mm)と、一つの仮止め孔11b(直径6mm)が形成されている。下側の取付孔11aは支持孔12aよりも離して低い位置に設けられている。この取付孔11aを介して第一接続金具10はササラ桁1の取付溝1bの奥壁にコーチボルトで取り付けられる。
第一上板13は、第一本体板11の上端から前方に向かって立設する。また、第一上板13の略中央に長孔13a(9mm径で長さ12mm)が形成されている。
第一側板12は、二枚あり、それぞれが第一本体板11の左右両端から前方に向かって立設し互いに向かい合い、その上端は第一上板13の位置よりも上方に延びる耳部12bを持っている。耳部12bの高さは、第一上板13の下端面から10mmである。また、第一側板12の相対する位置にそれぞれ支持孔12aが直径約9.1mmおよび直径約9mmで形成されている。
係止部15は、直径が第一側板12の支持孔12aの直径に略等しい棒状部材である。ここでは直径約9mmの丸棒である。そして、左右方向に延びるように第一側板12の支持孔12aを挿通し、渡すようにして二つの支持孔12aによって支持される。このとき係止部15は支持孔12aに通し、片側は圧入して固定される。
また、係止部15の長さは第一側板12の外側表面間(41mm)と略等しく、二つの支持孔12aに係止部15を挿通した状態では第一側板12の外側表面から係止部15が突出せず、係止部15の先端が第一側板12の外側表面と面一又は僅かにへこんでいる。
固定しない場合は、両方の支持孔を9.1mmとし、脱落を防止するために、係止部15の長さは少なくとも2つの第一側板12の間隔と1枚分の板厚を加えた長さ(38.7mm)より長くされる。
第二本体板21は、鉛直方向に延び、縦に二つの取付孔21a(直径12mm)と、一つの仮止め孔21b(直径6mm)が形成されている。上側の取付孔21aは案内溝22aの下部22bよりも離して高い位置に設けられている。この取付孔21aを介して第二接続金具20は階上構造部材2にコーチボルトで取り付けられる。また、その中心を示すために、第二本体板21の下端と、上部の取付孔21aにV字型の切り欠きを設けている。
第二側板22は、上方が開口するように略U字状の案内溝22aが形成された受けフックをそれぞれ構成しており、第二側板22自体の形状は略J字状となっている。
また、受けフックの案内溝22aの下部22bは係止部15の径(直径9mm)よりも大きな径で、円弧と線分とからなる、前後にわずかに長い長円の一部形状であり、案内溝の前部22cは上方から下方になるにつれて僅かに前方に向かうように形成されており、また案内溝の後端22dも上方から下方になるにつれて前方に向かうように形成されている。この形状により、金具同士を結合する際に、係止部15を容易に入れることが出来る。
受けフックの案内溝の下部22bの長円部分は、半径6mmの円弧、2mmの直線状の平坦部、半径6mmの円弧からなっており、階段を設置する際に、受けフックにて係止部15を受けた後、ササラ桁1の前後方向の位置調整をする際に、係止部15が平坦部付近に有る場合には、水平方向に容易に移動が可能である。言い換えると、その範囲外では、水平方向だけでなく円弧に沿って垂直方向へも動く必要がある。受けフックの案内溝の下部の表面は、設置後の系止部15とのずれを抑えるために、表面を荒く仕上げ、あるいは、有る程度の凹凸を付けた処理をしても良い。
第二側板22の外側表面間の距離は、第一側板12の内側表面間の距離よりも短い。
このような第二本体板21と二枚の第二側板22と第二上板23は、板状部材をプレス加工によって一体的に形成してなる。この厚みも2.3mmである。
第二上板23の略中央に雌ネジ23aが形成されている。つまり、第二上板23の略中央に孔が形成されるとともにその孔にタップ(M8タップ)が切られている。
この雌ネジ23aの位置は、第一接続金具10と第二接続金具20との嵌合時において第一上板13の長孔13aの略中央直下となる第二上板23の部分である。
ササラ桁1は露出階段において左右それぞれに配置される。あるいは、片方がササラ桁1、もう一方を壁あるいは側板によって露出階段の踏板を支えることもある。ここでは一つのササラ桁について説明する。
図9(e)に示したように、ササラ桁1の上部の接続端部1aには、上方及び前方に開口する取付溝1bが形成されている。一方、取付溝1bは下方には開口していない。取付溝1b自体の形状はU字形状の溝である。
詳しくは、第一本体板11が取付溝1bの後方奥壁にコーチボルトで取付けられたときに、図10に示すように、第一側板12の前端はササラ桁1の接続端部1aの前端と面一か僅かにへこんだ位置になり、また、第一接続金具10の耳部12b上端がササラ桁1の接続端部1aの上端と面一か僅かにへこんだ位置になるように、第一接続金具10は配置される。
次に、ササラ桁1を、ササラ桁1前面が階上構造部材2に密着するように前進させた上で、ボルトを第一上板13の長孔13aを介して第二上板23の雌ネジ23aに対して螺合させる。
また、ボルト(図示しない)の頭は、耳部12bの長さよりも短いので、取付溝1bの内部に納まっている。
最後に、踏板をササラ桁1の接続端部1aの上面に木ねじによって着脱自在に取付ける。更に、木ねじの頭を踏板に埋め込んで隠すために頭の上部に着脱可能な蓋を施しても良い。このとき、ボルトの長さを所定長さを超える長さとすることで、ボルトが緩んだ場合でも、ボルトの頭が踏板下面に当って、ボルトの脱落を防げる。この所定の長さは、第二上板23上端から第一側板12上端(耳部12b上端)の距離となり、この例では10mmとなる。
ササラ桁1は、上部を接続金具10,20で固定された後、その下部を床の構造材など所定の部材に固定される。
また、ボルトとして、耳部12bの高さよりも十分長いものを用いれば、ボルトが極端に緩んだ場合でも、踏み板3が取り付けられている限り、踏板3でボルト頭部が抑えられてボルト自体が外れ落ちないので安全である。
ササラ桁1と階上構造部材2とを接続する際に、金具へ落とし込むだけで済むので、例えばササラ桁1を叩き込む必要がない、コーチボルトをねじ込むなどの力をかける必要がない、あるいは、工具が接する可能性がないため、設置後に見える部分に傷を与えることや、隠蔽する余分な部材を用意する必要が無い。
これらは、特に完成後に見えるようにデザインされた階段のササラ桁の取り付けでは、その施工時点から見える部分に傷をつけないような施工が望まれ、例えば、壁に隠れる構造部材同士の接続に際しては、接合部分や金具をきつく設計した上で叩き込むことで強固な接続を実現しているのとは異なり、本願の構成では、接続に際して叩き込むなど傷を付ける可能性の有ることを行わなくても良く、施工の最後にボルトを締めることで、きつく強固に結合することも行われている。
さらに、ササラ桁を接合する梁の面が、鉛直からずれて傾いている場合に、きつく設計して接合した場合、叩いても勘合しないことが有る。また、ササラ桁が長いこととも相まって、他端で寸法ずれが生じるなどの課題が生じるが、本願第二実施例の接続金具には案内溝に余裕があり、梁の傾きの影響も吸収できるメリットがある。
また、きつく設計し叩き込む接合とは異なり、本願の金具での接合は、ササラ桁を取り外すことも容易となり、リフォームやメンテナンスにおいても有効である。
階段設置後、踏み鳴りなどが発生し、メンテナンスが必要な際には、接続金具10,20の上部にかかる踏板3を外して、例えばササラ桁1の位置を調整し、接続金具10,20のボルトを増し締めすることで容易にこれに対応できる。
また、第二接続金具20の受けフックの案内溝の下部形状の円弧は、類似の曲線であっても良い。
また、第二接続金具20の第二上板23にタップを切ったが、雌ネジ23aが形成されていればよく、例えばナットを溶接していてもよい。
また、第一上板13と第二上板23とが離間した状態としたが、これに限られるものではない。
階段踏板を支えるものとして、ここではササラ桁1との言葉を使用しているが、側板に溝を加工して踏み板を挿入するような側板も同様に本件接続金具にて上部を梁に接続することが出来、このような側板も含めてササラ桁1と表現している。
また、耳部12bの形状は、図12に示すようないろいろな形状が考えられ、その上端がササラ桁1の上端に沿って装着される際の位置あわせとなる形状であれば、更にこれらにも限定されるものではない。
以上では、ササラ桁を梁などの階上構造材に取り付けると記載しているが、梁などの表面に、石膏ボードや合板、更にはクロス貼りなどを行って表面仕上げ材が施された後に、梁部分に対して第二接続金具20を取り付けてササラ桁を取り付ける場合も含まれる。
1a 接続端部
1b 取付溝
1c 座彫り
2 階上構造部材
3 踏板
4 コーチボルト
10 第一接続金具(接続部材)
11 第一本体板
11a 取付孔
11b 仮止め孔
12 第一側板
12a 支持孔
12b 耳部
13 第一上板
13a 孔
15 係止部(第一嵌合部)
20 第二接続金具(接続部材)
21 第二本体板
21a 取付孔
21b 仮止め孔
22 第二側板(受けフック、第二嵌合部)
22a 案内溝
22b 下部
22c 前部
22d 後端
23 第二上板
23a 雌ネジ
B ボルト
Claims (1)
- 2つの部材を互いに接合する階段用の接続部材の内、一方の部材に設けられた溝の奥壁に取り付けられる接続金具において、
前記接続金具は、
本体板と、
前記本体板の上端から前方に向かって立設する上板と、
前記本体板の左右両端から立設され前記上板より上方に延びた耳部を有する側板とが一体的に形成されてなり、
前記接続部材にはさらに第二接続金具とボルトと踏板とを含み、
前記ボルトの全長は前記上板の下端から前記側板の耳部上端の高さよりも長く、
前記接続金具は前記上板に、孔が形成されており、
前記接続金具が前記第二接続金具と嵌合された状態で、上方から前記上板の孔を介して前記ボルトが前記第二接続金具に螺合され、さらに前記踏板が、前記一方の部材の溝の設けられた上面を覆うことを特徴とする階段用の接続部材。
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