JP7340457B2 - 粘着性積層体、樹脂膜付き加工対象物の製造方法、及び硬化樹脂膜付き硬化封止体の製造方法 - Google Patents

粘着性積層体、樹脂膜付き加工対象物の製造方法、及び硬化樹脂膜付き硬化封止体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粘着性積層体、並びに、当該粘着性積層体を利用した樹脂膜付き加工対象物の製造方法、及び硬化樹脂膜付き硬化封止体の製造方法に関する。
粘着シートは、部材を半永久的に固定する用途だけでなく、建材、内装材、電子部品等を加工したり検査したりする際に、対象となる部材を仮固定するための仮固定用途に使用される場合がある。
このような仮固定用途の粘着シートには、使用時の接着性と、使用後の剥離性との両立が要求される。
例えば、特許文献1には、基材の少なくとも片面に、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層が設けられた、電子部品切断時の仮固定用の加熱剥離型粘着シートが開示されている。
この加熱剥離型粘着シートは、熱膨張性粘着層の厚さに対して、熱膨張性微小球の最大粒子径を調整し、加熱前の熱膨張性粘着層の表面の中心線平均粗さを0.4μm以下に調整している。
特許文献1には、当該加熱剥離型粘着シートは、電子部品切断時には、被着体との接触面積を確保できるため、チップ飛び等の接着不具合を防止し得る接着性を発揮でき、一方で、使用後には、加熱して熱膨張性微小球を膨張させて、被着体との接触面積を減少させることで、容易に剥離することができる旨の記載がある。
特許第3594853号公報
特許文献1に記載されたような粘着シートを用いた加工の工程では、粘着シートを用いて加工すべき対象物(以下、「加工対象物」ともいう)を仮固定し、加工対象物に対して加工を実施した後、加工対象物が粘着シートから分離される。
ところで、特に電子部品の製造においては、複数の加工工程を経る場合が多い。
加工対象物に対して複数の加工工程が必要である場合、加工を実施した後の加工対象物は、粘着シートから分離された後、再度新たな粘着シートに貼付した上で、次工程の加工に供されることがある。
しかしながら、工程毎に新たな粘着シートに加工対象物を貼付する作業は煩雑であると共に、製品の生産性の低下にも繋がる。
例えば、粘着シートに貼付されて所定の加工を施された半導体チップ等の加工対象物に対し、当該加工対象物の裏面側を保護したり、ダイ接着機能を付与したりするために、硬化樹脂膜が形成されることがある。かかる目的から、硬化性樹脂層を有する樹脂膜形成用シートが用いられることがある。
この場合、粘着シートから加工対象物を分離した後、別途用意した、硬化性樹脂層を有する樹脂膜形成用シートを当該加工対象物に貼付し、硬化性樹脂層に硬化させて、硬化樹脂膜を形成することが一般的である。
つまり、硬化樹脂膜付きの加工対象物を得るには、このように、所定の加工を施すための粘着シートと、硬化樹脂膜を形成するための樹脂膜形成用シートとを貼付するといった2つの貼付作業が必要であった。
本発明は、加工対象物を支持体に固定して所定の加工を実施することができると共に、加工後にはわずかな力で支持体から一括して容易に分離することができ、且つ、支持体から分離することで、樹脂膜付き加工対象物を得ることができる粘着性積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、基材及び粘着剤層を有し、いずれかの層に熱膨張性粒子を含む層を含む、熱膨張性の粘着シート(I)と、基材及び硬化性樹脂層を有する樹脂膜形成用シート(II)とを備え、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材とが直接積層してなる粘着性積層体が、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[13]に関する。
[1]基材(Y1)及び粘着剤層(X1)を有し、いずれかの層に熱膨張性粒子を含む、熱膨張性の粘着シート(I)と、
基材(Y2)及び硬化性樹脂層(Z2)を有する樹脂膜形成用シート(II)と、を備え、
粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層してなり、
所定の加工を施す際に、加工対象物を支持体に固定するために用いられる粘着性積層体であって、
粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面は、前記支持体と貼付される面であり、
樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面は、前記加工対象物を貼付する面であり、
前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上の温度での加熱処理によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離可能である、粘着性積層体。
[2]前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)が60~270℃である、上記[1]に記載の粘着性積層体。
[3]粘着シート(I)が有する基材(Y1)が、前記熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)を有する、上記[1]又は[2]に記載の粘着性積層体。
[4]粘着シート(I)が有する基材(Y1)が、熱膨張性基材層(Y1-1)と非熱膨張性基材層(Y1-2)とを有する、上記[3]に記載の粘着性積層体。
[5]粘着シート(I)が有する基材(Y1)の熱膨張性基材層(Y1-1)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層してなる、上記[3]又は[4]に記載の粘着性積層体。
[6]粘着シート(I)が、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)により基材(Y1)が挟持された構成を有し、
粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成を有し、
粘着シート(I)の第2粘着剤層(X12)の表面は、前記支持体と貼付される面である、上記[3]~[5]のいずれか一つに記載の粘着性積層体。
[7]粘着シート(I)が、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)により基材(Y1)が挟持された構成を有し、
第1粘着剤層(X11)が、前記熱膨張性粒子を含む熱膨張性粘着剤層であり、
第2粘着剤層(X12)が、非熱膨張性粘着剤層であり、
粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成を有し、
粘着シート(I)の第2粘着剤層(X12)の表面は、前記支持体と貼付される面である、上記[1]又は[2]に記載の粘着性積層体。
[8]基材(Y2)の粘着シート(I)が積層した側の表面が、剥離処理が施された表面である、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載の粘着性積層体。
[9]硬化性樹脂層(Z2)が、重合体成分(A)及び硬化性成分(B)を含む硬化性組成物(z)から形成された層である、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の粘着性積層体。
[10]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の粘着性積層体を用いて、樹脂膜付き加工対象物を製造する方法であって、
下記工程(α-1)~(α-3)を有する、樹脂膜付き加工対象物の製造方法。
・工程(α-1):前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面に加工対象物を載置又は貼付する工程
・工程(α-2):前記加工対象物に所定の加工を実施する工程
・工程(α-3):前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、樹脂膜付き加工対象物を得る工程
[11]工程(α-2)において、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する、上記[10]に記載の樹脂膜付き加工対象物の製造方法。
[12]工程(α-2)の後、工程(α-3)の前に、下記工程(α-2’)を有する、上記[10]に記載の樹脂膜付き加工対象物の製造方法。
・工程(α-2’):硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程。
[13]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の粘着性積層体を用いて、硬化樹脂膜付き硬化封止体を製造する方法であって、
下記工程(β-1)~(β-3)を有する、硬化樹脂膜付き硬化封止体の製造方法。
・工程(β-1):前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)に半導体チップを載置する工程
・工程(β-2):前記半導体チップを封止材で被覆し、当該封止材を硬化させて、前記半導体チップが封止されてなる硬化封止体と、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程
・工程(β-3):前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、硬化樹脂膜付き硬化封止体を得る工程
本発明の粘着性積層体は、加工対象物を支持体に固定して所定の加工を実施することができると共に、加工後にはわずかな力で支持体から一括して容易に分離することができ、且つ、支持体から分離することで、樹脂膜付き加工対象物を得ることができる。
本発明の第一態様の粘着性積層体の構成を示す、当該粘着性積層体の断面模式図である。 本発明の第二態様の粘着性積層体の構成を示す、当該粘着性積層体の断面模式図である。 本発明の第三態様の粘着性積層体の構成を示す、当該粘着性積層体の断面模式図である。 (a)は、本発明の粘着性積層体を介して、支持体に加工検査対象物を固定した状態の一例を示す断面模式図であり、(b)は、加熱処理によって、界面Pで分離した状態を示す断面模式図である。
本明細書において、対象となる層が「非熱膨張性層」であるか否かは、以下のように判断する。
対象となる層を、熱膨張性粒子を含む層に含まれる熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)で、3分間加熱処理する。下記式から算出される体積変化率が5%未満である場合、当該層は「非熱膨張性層」であると判断する。
・体積変化率(%)={(加熱処理後の前記層の体積-加熱処理前の前記層の体積)/加熱処理前の前記層の体積}×100
本明細書において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
本明細書において、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
[粘着性積層体の構成]
本発明の粘着性積層体は、基材(Y1)及び粘着剤層(X1)を有し、いずれかの層に熱膨張性粒子を含む、熱膨張性の粘着シート(I)と、基材(Y2)及び硬化性樹脂層(Z2)を有する樹脂膜形成用シート(II)と、を備え、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層してなり、所定の加工を施す際に、加工対象物を支持体に固定するために用いられる。
本発明の粘着性積層体において、粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面は、支持体と貼付される面である。
つまり、粘着シート(I)は、少なくとも一つの粘着剤層(X1)を有し、一つの粘着剤層(X1)の表面は、支持体の表面と貼付される。
なお、粘着シート(I)が、基材(Y1)の両面に第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)を有する場合、第2粘着剤層(X12)の表面は、支持体と貼付される面であり、第1粘着剤層(X11)の表面は、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)と貼付される面となる。
また、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面は、加工対象物を貼付する面である。硬化性樹脂層(Z2)は、硬化可能な樹脂層であって、硬化処理を施すことで、硬化樹脂膜を形成することができる。硬化処理は、所定の加工を施す際に、並行して行ってもよく、所定の加工を施した後に行ってもよい。
そして、本発明の粘着性積層体は、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)以上の温度での加熱処理によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離可能である。以降の説明では、当該加熱処理のことを「分離用加熱処理」ともいう。
そのため、本発明の粘着性積層体を用いて、加工対象物を支持体に固定し、当該加工対象物に所定の加工を施した後、前記加熱処理によって、界面Pで分離させることで、加工対象物に樹脂膜形成用シート(II)が積層した、樹脂膜付き加工対象物を得ることができる。
ここで、樹脂膜付き加工対象物は、硬化性樹脂層(Z2)が硬化して形成された硬化樹脂膜付き加工対象物であってもよく、硬化性樹脂層(Z2)が未硬化である硬化性樹脂膜付き加工対象物であってもよい。
なお、以下の記載において、「樹脂膜」とは、硬化性樹脂層(Z2)が硬化して形成された「硬化樹脂膜」と、硬化性樹脂層(Z2)が未硬化である「硬化性樹脂膜」の双方を示す。
図1~3は、それぞれ、本発明の第一態様、第二態様、及び第三態様の粘着性積層体の構成を示す断面模式図である。以下、図1~3を適宜参照して、本発明の一態様の粘着性積層体の構成について説明する。
<第一態様の粘着性積層体>
本発明の第一態様の粘着性積層体としては、例えば図1(a)、(b)に示す粘着性積層体1a、1bが挙げられる。
粘着性積層体1a、1bは、基材(Y1)及び粘着剤層(X1)を有する粘着シート(I)と、基材(Y2)及び硬化性樹脂層(Z2)を有する樹脂膜形成用シート(II)とを備え、粘着シート(I)の基材(Y1)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成を有する。
本発明の粘着性積層体においては、分離用加熱処理によって界面Pで分離することができるように、粘着シート(I)のいずれかの層を、熱膨張性粒子を含む層としている。
本発明の粘着性積層体は、分離用加熱処理によって、熱膨張性粒子が膨張し、熱膨張性粒子を含む層の表面に凹凸が生じる。これにより、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との接触面積が減少する。
その結果、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面上に加工対象物を貼付し、所定の加工を施した後、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離させることで、樹脂膜形成用シート(II)に貼付された加工対象物を得ることができる。
そのため、本発明の粘着性積層体は、当該粘着性積層体を介して加工対象物を支持体に固定して所定の加工を実施することができると共に、所定の加工を実施した後には当該加工対象物をわずかな力で支持体から界面Pで一括して容易に分離することができる。支持体から分離した後には、樹脂膜形成用シート付きの加工対象物を得ることができる。
したがって、本発明の粘着性積層体を用いることで、例えば、以下のような利点がある。
・次工程で、分離後の加工対象物に樹脂膜形成用シートを貼付する作業を行う必要がない。
・加工対象物が薄膜化され脆弱である場合にも、加工対象物に樹脂膜形成用シートが貼付されているため、支持性能が付与され、次工程への搬送等の取扱性を良好なものとできる。
本発明の第一態様において、基材(Y1)は、図1に示す粘着性積層体1a、1bのように、熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)を有することが好ましい。
なお、基材(Y1)は、図1(a)に示す粘着性積層体1aのように、熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)のみを有する単層構成であってもよい。
また、基材(Y1)は、図1(b)に示す粘着性積層体1bのように、熱膨張性基材層(Y1-1)と、非熱膨張性基材層(Y1-2)とを有する複層構成であってもよい。
図1(a)に示す粘着性積層体1aは、分離用加熱処理によって、基材(Y1)を構成する熱膨張性基材層(Y1-1)に含まれる熱膨張性粒子が膨張し、基材(Y1)の樹脂膜形成用シート(II)側の表面に凹凸が生じて、基材(Y1)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との接触面積が減少する。
一方で、粘着性積層体1aが有する粘着剤層(X1)は、支持体と貼付されているため、基材(Y1)の粘着剤層(X1)側の表面には凹凸が形成され難い。これにより、樹脂膜形成用シート(II)と接している基材(Y1)の表面に凹凸を効率的に形成することができる。
その結果、粘着性積層体1aは、粘着シート(I)の基材(Y1)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで、わずかな力で一括して容易に分離可能となる。
なお、粘着性積層体1aが有する粘着剤層(X1)を、支持体に対する粘着力が高くなるような粘着剤組成物から形成することで、界面Pで、より容易に分離可能となるように設計することも可能である。
また、図1(b)に示す粘着性積層体1bは、分離用加熱処理によって、基材(Y1)を構成する熱膨張性基材層(Y1-1)に含まれる熱膨張性粒子が膨張し、基材(Y1)の樹脂膜形成用シート(II)側の表面に凹凸が生じて、基材(Y1)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との接触面積が減少する。
一方で、基材(Y1)を構成する非熱膨張性基材層(Y1-2)は、加熱処理による膨張の程度が小さいため、基材(Y1)の粘着剤層(X1)側の表面には凹凸が形成され難い。これにより、基材(Y1)の樹脂膜形成用シート(II)側の表面に凹凸を効率的に形成することができる。
その結果、粘着性積層体1bは、粘着シート(I)の基材(Y1)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで、わずかな力で一括して容易に分離可能となる。
上記観点から、本発明の第一態様において、図(b)に示す粘着性積層体1bのように、基材(Y1)が、一方の表面側に熱膨張性基材層(Y1-1)を有し、他方の表面側に非熱膨張性基材層(Y1-2)を有するものであることが好ましい。
また、本発明の第一態様において、界面Pでよりわずかな力で一括して容易に分離可能な粘着性積層体とする観点から、粘着性積層体1a、1bは、粘着シート(I)が有する基材(Y1)の熱膨張性基材層(Y1-1)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成であることが好ましい。
<第二態様の粘着性積層体>
本発明の第二態様の粘着性積層体としては、例えば、図2(a)、(b)に示す粘着性積層体1c、1dが挙げられる。
図2に示す粘着性積層体1c、1dは、粘着シート(I)が、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)により基材(Y1)が挟持された構成を有し、粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成を有する。
なお、粘着性積層体1c、1dにおいて、第2粘着剤層(X12)の表面は、支持体と貼付される面となる。
本発明の第二態様において、図2に示す粘着性積層体1c、1dのように、基材(Y1)は、熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)を有することが好ましい。
なお、基材(Y1)は、図2(a)に示す粘着性積層体1cのように、熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)のみを有する単層構成であってもよい。また、基材(Y1)は、図2(b)に示す粘着性積層体1dのように、熱膨張性基材層(Y1-1)と、非熱膨張性基材層(Y1-2)とを有する複層構成であってもよい。
また、基材(Y1)が、熱膨張性基材層(Y1-1)と、非熱膨張性基材層(Y1-2)とを有する複層構成である場合、熱膨張性基材層(Y1-1)は樹脂膜形成用シート(II)側に配置され、非熱膨張性基材層(Y1-2)は第2粘着剤層(X12)側に配置されることが好ましい。
図2(a)に示す粘着性積層体1cは、分離用加熱処理によって、基材(Y1)を構成する熱膨張性基材層(Y1-1)中の熱膨張性粒子が膨張し、第1粘着剤層(X11)側の基材(Y1)の表面に凹凸が生じる。そして、基材(Y1)の表面に生じた凹凸によって第1粘着剤層(X11)も押し上げられ、樹脂膜形成用シート(II)側の第1粘着剤層(X11)の表面にも凹凸が形成される。これにより、第1粘着剤層(X11)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との接触面積が減少する。
一方で、粘着性積層体1cが有する第2粘着剤層(X12)は、支持体と貼付されているため、基材(Y1)の第2粘着剤層(X12)側の表面には凹凸が形成され難い。そのため、基材(Y1)の第1粘着層(X11)側の表面に、効率的に凹凸が形成されて、第1粘着剤層(X11)の表面にも凹凸が形成され易くなる。
その結果、粘着性積層体1cは、粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで、わずかな力で一括して容易に分離可能となる。
なお、粘着性積層体1cが有する第2粘着剤層(X12)を、支持体に対する粘着力が高くなるような粘着剤組成物から形成することで、界面Pでより容易に分離可能となるように設計することも可能である。
また、図2(b)に示す粘着性積層体1dは、分離用加熱処理によって、基材(Y1)を構成する熱膨張性基材層(Y1-1)に含まれる熱膨張性粒子が膨張し、基材(Y1)の第1粘着剤層(X11)側の表面に凹凸が生じる。そして、基材(Y1)の表面に生じた凹凸によって第1粘着剤層(X11)も押し上げられ、第1粘着剤層(X11)の樹脂膜形成用シート(II)側の表面にも凹凸が形成される。これにより、第1粘着剤層(X11)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との接触面積が減少する。
一方で、基材(Y1)を構成する非熱膨張性基材層(Y1-2)は、加熱処理による膨張の程度が小さいため、基材(Y1)の第2粘着剤層(X12)側の表面には凹凸が形成され難い。これにより、基材(Y1)の第1粘着剤層(X11)側の表面に凹凸を効率的に形成することができる。
その結果、粘着性積層体1dは、粘着シート(I)の基材(Y1)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで、わずかな力で一括して容易に分離可能となる。
ここで、本発明の第二態様においても、界面Pでよりわずかな力で一括して容易に分離可能な粘着性積層体とする観点から、粘着性積層体1c、1dは、粘着シート(I)が有する基材(Y1)の熱膨張性基材層(Y1-1)と、第1粘着剤層(X11)とが直接積層した構成であることが好ましい。この場合、更に、第1粘着剤層(X11)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成であることがより好ましい。
<第三態様の粘着性積層体>
本発明の第一態様の粘着性積層体1a、1b、本発明の第二態様の粘着性積層体1c、1dは、いずれも、基材(Y1)を構成する層の一つとして、熱膨張性粒子を含む層が含まれるものである。
一方で、本発明の第三態様の粘着性積層体として、粘着シート(I)の基材(Y1)の界面P側の表面に、前記熱膨張性粒子を含む熱膨張性粘着剤層を設け、基材(Y1)の他方の表面に、非熱膨張性粘着剤層を設けた構成であってもよい。
このような態様としては、例えば、図3に示す粘着性積層体2のように、粘着シート(I)が、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)により基材(Y1)が挟持された構成を有し、第1粘着剤層(X11)が、熱膨張性粒子を含む熱膨張性粘着剤層であり、第2粘着剤層(X12)が、非熱膨張性粘着剤層であり、粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成を有するものが挙げられる。
なお、粘着性積層体2のような上記構成において、第2粘着剤層(X12)の表面は、支持体と貼付される面である。
また、粘着性積層体2のような上記構成において、基材(Y1)は、非熱膨張性基材であることが好ましい。
図3に示す粘着性積層体2においては、分離用加熱処理によって、第1粘着剤層(X11)である熱膨張性粘着剤層の表面に凹凸が生じ、第1粘着剤層(X11)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との接触面積が減少する。
一方で、第1粘着剤層(X11)の基材(Y1)側の表面は、非熱膨張性基材である基材(Y1)が積層しているため、凹凸は生じ難い。そのため、第1粘着剤層(X11)の、樹脂膜形成用シート(II)側の表面に効率的に凹凸が形成される。
その結果、粘着性積層体2は、粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで、わずかな力で一括して容易に分離可能となる。
<剥離材を有する粘着性積層体の構成>
本発明の一態様の粘着性積層体において、支持体を貼付する粘着剤層(X1)の表面及び加工対象物を貼着する硬化性樹脂層(Z2)の表面の一方又は双方に、さらに剥離材を積層した構成としてもよい。
例えば、図1(a)、(b)に示す粘着性積層体1a、1bにおいて、粘着剤層(X1)及び硬化性樹脂層(Z2)の一方の粘着表面に、両面に剥離処理が施された剥離材が積層したものを、ロール状に巻いた構成としてもよい。図2(a)、(b)に示す粘着性積層体1c、1d、図3に示す粘着性積層体2についても、同様にロール状に巻いた構成としてもよい。
[粘着性積層体の各種物性]
本発明の一態様の粘着性積層体は、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)以上の温度での加熱処理によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで、わずかな力で一括して容易に分離可能となる。
ここで、本発明の一態様の粘着性積層体において、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)以上の温度での加熱処理によって、界面Pで分離する際の剥離力(F)としては、通常0~2000mN/25mm、好ましくは0~1000mN/25mm、より好ましくは0~150mN/25mm、更に好ましくは0~100mN/25mm、より更に好ましくは0~50mN/25mmである。
なお、剥離力(F)が0mN/25mmである場合には、実施例に記載の方法で剥離力を測定しようとしても、剥離力が小さ過ぎるために測定不可となる場合も含まれる。
また、加熱処理前において、加工対象物を十分に固定して、加工作業に悪影響を及ぼさないようにする観点から、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との層間密着性は高いことが好ましい。
上記観点から、本発明の一態様の粘着性積層体において、加熱処理を行う前における、界面Pで分離する際の剥離力(F)としては、好ましくは100mN/25mm以上、より好ましくは130mN/25mm以上、更に好ましくは160mN/25mm以上であり、また、好ましくは50000mN/25mm以下である。
本発明の一態様の粘着性積層体において、剥離力(F)は剥離力(F)よりも大きい。具体的には、剥離力(F)と剥離力(F)との比〔(F)/(F)〕は、好ましくは0~0.9、より好ましくは0~0.8、更に好ましくは0~0.5、より更に好ましくは0~0.2である。
なお、剥離力(F)を測定する際の温度条件としては、膨張開始温度(t)以上であって、熱膨張性粒子が膨張する温度であればよい。
また、剥離力(F)を測定する際の温度条件としては、膨張開始温度(t)未満であればよいが、基本的には、室温(23℃)である。
ただし、剥離力(F)及び剥離力(F)のより具体的な測定条件及び測定方法は、実施例に記載の方法に基づく。
本発明の一態様の粘着性積層体において、室温(23℃)における、粘着シート(I)が有する粘着剤層(X1)(第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12))の粘着力としては、好ましくは0.1~10.0N/25mm、より好ましくは0.2~8.0N/25mm、更に好ましくは0.4~6.0N/25mm、より更に好ましくは0.5~4.0N/25mmである。
粘着シート(I)が第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)を有する場合、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)の粘着力は、それぞれ上記範囲であることが好ましいが、支持体との密着性を向上させ、界面Pで一括してより容易に分離可能とする観点から、支持体と貼付される第2粘着剤層(X12)の粘着力が、第1粘着剤層(X11)の粘着力よりも高いことがより好ましい。
また、本発明の一態様の粘着性積層体において、貼付される加工対象物との密着性を良好とする観点から、樹脂膜形成用シート(II)が有する硬化性樹脂層(Z2)の表面が、粘着性を有することが好ましい。
具体的には、室温(23℃)における、樹脂膜形成用シート(II)が有する硬化性樹脂層(Z2)の粘着力としては、好ましくは0.01~5N/25mm、より好ましくは0.05~4N/25mm、更に好ましくは0.1~3N/25mmである。
なお、本明細書において、粘着剤層(X1)(第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12))、並びに、硬化性樹脂層(Z2)の粘着力は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
粘着シート(I)が有する基材(Y1)、及び、樹脂膜形成用シート(II)が有する基材(Y2)は、非粘着性の基材である。
本発明において、非粘着性の基材か否かの判断は、対象となる基材の表面に対して、JIS Z0237:1991に準拠して測定したプローブタック値が50mN/5mmφ未満であれば、当該基材を「非粘着性の基材」と判断する。
本発明の一態様で用いる粘着シート(I)が有する基材(Y1)及び樹脂膜形成用シート(II)が有する基材(Y2)の表面におけるプローブタック値は、それぞれ独立に、通常50mN/5mmφ未満であるが、好ましくは30mN/5mmφ未満、より好ましくは10mN/5mmφ未満、更に好ましくは5mN/5mmφ未満である。
なお、本明細書において、熱膨張性基材の表面におけるプローブタック値の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法による。
以下、本発明の粘着性積層体を構成する各層について説明する。
[粘着シート(I)の構成]
本発明の粘着性積層体が有する粘着シート(I)は、基材(Y1)及び粘着剤層(X1)を有し、分離用加熱処理によって、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面で分離できるように、いずれかの層に熱膨張性粒子を含む、熱膨張性の粘着シートである。
本発明の一態様において、熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)は、好ましくは60~270℃である。
本発明の一態様で用いる粘着シート(I)としては、以下の態様のものが好ましい。
・第1態様の粘着シート(I):基材(Y1)として、熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)を有する粘着シート(I)。
・第2態様の粘着シート(I):基材(Y1)の両面側に、熱膨張性粒子を含む熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)と、非熱膨張性粘着剤層である第2粘着剤層(X12)を有する粘着シート(I)。
・基材(Y1)が非熱膨張性基材である、粘着シート(I)。
以下、本発明の一態様で用いる、第1態様及び第2態様の粘着シート(I)について説明する。
<第一態様の粘着シート(I)>
第一態様の粘着シート(I)としては、図1~2に示すように、基材(Y1)が、熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)を有するものが挙げられる。
第一態様の粘着シート(I)において、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pでわずかな力で一括して容易に分離可能とする観点から、粘着剤層(X1)は、非熱膨張性粘着剤層であることが好ましい。
具体的には、図1に示す粘着性積層体1a、1bが有する粘着シート(I)においては、粘着剤層(X1)が、非熱膨張性粘着剤層であることが好ましい。また、図2に示す粘着性積層体1c、1dが有する粘着シート(I)においては、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)のいずれもが、非熱膨張性粘着剤層であることが好ましい。
第一態様の粘着シート(I)の分離用加熱処理前の基材(Y1)の厚さは、好ましくは10~1000μm、より好ましくは20~700μm、更に好ましくは25~500μm、より更に好ましくは30~300μmである。
第一態様の粘着シート(I)の分離用加熱処理前の粘着剤層(X1)の厚さは、好ましくは1~60μm、より好ましくは2~50μm、更に好ましくは3~40μm、より更に好ましくは5~30μmである。
なお、本明細書において、例えば、図2に示すように、粘着シート(I)が、複数の粘着剤層を有する場合、上記の「粘着剤層(X1)の厚さ」は、それぞれの粘着剤層の厚さ(図2では、粘着剤層(X11)及び(X12)のそれぞれの厚さ)を意味する。
また、本明細書において、粘着性積層体を構成する各層の厚さは、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
第一態様の粘着シート(I)において、分離用加熱処理前における、熱膨張性基材層(Y1-1)と粘着剤層(X1)との厚さ比〔(Y1-1)/(X1)〕としては、好ましくは1000以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは60以下、より更に好ましくは30以下である。
当該厚さ比が1000以下であれば、加熱処理によって、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pでわずかな力で一括して容易に分離可能となる粘着性積層体とすることができる。
なお、当該厚さ比は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは5.0以上である。
また、第一態様の粘着シート(I)では、基材(Y1)が、図1(a)に示すような、熱膨張性基材層(Y1-1)のみから構成されたものであってもよく、図1(b)に示すような、樹脂膜形成用シート(II)側に熱膨張性基材層(Y1-1)を有し、粘着剤層(X1)側に非熱膨張性基材層(Y1-2)を有するものであってもよい。
第一態様の粘着シート(I)において、分離用加熱処理前における、熱膨張性基材層(Y1-1)と非熱膨張性基材層(Y1-2)との厚さ比〔(Y1-1)/(Y1-2)〕としては、好ましくは0.02~200、より好ましくは0.03~150、更に好ましくは0.05~100である。
<第二態様の粘着シート(I)>
第二態様の粘着シート(I)としては、図3に示すように、基材(Y1)の両面側に、それぞれ、熱膨張性粒子を含む熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)と、非熱膨張性粘着剤層である第2粘着剤層(X12)を有するものが挙げられる。
なお、第二態様の粘着シート(I)は、熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接接触する。
なお、第二態様の粘着シート(I)において、基材(Y1)は、非熱膨張性基材層であることが好ましい。
第二態様の粘着シート(I)において、分離用加熱処理前における、熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)と、非熱膨張性粘着剤層である第2粘着剤層(X12)との厚さ比〔(X11)/(X12)〕としては、好ましくは0.1~80、より好ましくは0.3~50、更に好ましくは0.5~15である。
また、第二態様の粘着シート(I)において、分離用加熱処理前における、熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)と、基材(Y1)との厚さ比〔(X11)/(Y1)〕としては、好ましくは0.05~20、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.2~3である。
以下、粘着シート(I)を構成するいずれかの層に含まれる熱膨張性粒子について説明した上で、基材(Y1)を構成する熱膨張性基材層(Y1-1)、非熱膨張性基材層(Y1-2)、及び粘着剤層(X1)に関して詳述する。
<熱膨張性粒子>
本発明で用いる熱膨張性粒子は、加熱により膨張する粒子であればよいが、膨張開始温度(t)が60~270℃に調整された粒子であることが好ましい。膨張開始温度(t)は、粘着性積層体の用途に応じて適宜選択される。
なお、本明細書において、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、以下の方法に基づき測定された値を意味する。
(熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)の測定法)
直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに、測定対象となる熱膨張性粒子0.5mgを加え、その上からアルミ蓋(直径5.6mm、厚さ0.1mm)をのせた試料を作製する。
動的粘弾性測定装置を用いて、その試料にアルミ蓋上部から、加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、試料の高さを測定する。そして。加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定し、正方向への変位開始温度を膨張開始温度(t)とする。
熱膨張性粒子としては、熱可塑性樹脂から構成された外殻と、当該外殻に内包され、且つ所定の温度まで加熱されると気化する内包成分とから構成される、マイクロカプセル化発泡剤であることが好ましい。
マイクロカプセル化発泡剤の外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。
外殻に内包された内包成分としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソノナン、イソデカン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ネオペンタン、ドデカン、イソドデカン、シクロトリデカン、ヘキシルシクロヘキサン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ナノデカン、イソトリデカン、4-メチルドデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、2,2,4,4,6,8,8-ヘプタメチルノナン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン、シクロトリデカン、ヘプチルシクロヘキサン、n-オクチルシクロヘキサン、シクロペンタデカン、ノニルシクロヘキサン、デシルシクロヘキサン、ペンタデシルシクロヘキサン、ヘキサデシルシクロヘキサン、ヘプタデシルシクロヘキサン、オクタデシルシクロヘキサン等が挙げられる。
これらの内包成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、内包成分の種類を適宜選択することで調整可能である。
本発明の一態様で用いる、熱膨張性粒子の23℃における膨張前の平均粒子径は、好ましくは3~100μm、より好ましくは4~70μm、更に好ましくは6~60μm、より更に好ましくは10~50μmである。
なお、熱膨張性粒子の膨張前の平均粒子径とは、体積中位粒子径(D50)であり、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布において、膨張前の熱膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が50%に相当する粒子径を意味する。
本発明の一態様で用いる、熱膨張性粒子の23℃における膨張前の90%粒子径(D90)としては、好ましくは10~150μm、より好ましくは20~100μm、更に好ましくは25~90μm、より更に好ましくは30~80μmである。
なお、熱膨張性粒子の膨張前の90%粒子径(D90)とは、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布において、熱膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が90%に相当する粒子径を意味する。
本発明の一態様で用いる熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)以上の温度まで加熱した際の体積最大膨張率は、好ましくは1.5~100倍、より好ましくは2~80倍、更に好ましくは2.5~60倍、より更に好ましくは3~40倍である。
<熱膨張性基材層(Y1-1)>
本発明の一態様の粘着性積層体において、粘着シート(I)の基材(Y1)が、熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)を有する場合、熱膨張性基材層(Y1-1)は、下記要件(1)を満たすものであることが好ましい。
・要件(1):熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)における、熱膨張性基材層(Y1-1)の貯蔵弾性率E’(t)が、1.0×10Pa以下である。
なお、本明細書において、所定の温度における熱膨張性基材層(Y1-1)の貯蔵弾性率E’は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
上記要件(1)は、熱膨張性粒子が膨張する直前の熱膨張性基材層(Y1-1)の剛性を示す指標といえる。
熱膨張性粒子の膨張前において、熱膨張性基材層(Y1-1)の貯蔵弾性率E’は昇温に伴い低下する。しかし、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)に到達する前後で、熱膨張性粒子が膨張し始めることで、熱膨張性基材層(Y1-1)の貯蔵弾性率E’の低下が抑制される。
その一方で、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pでわずかな力で容易に分離可能とするためには、膨張開始温度(t)以上の温度まで加熱することで、粘着シート(I)の基材(Y2)と積層している側の表面に、凹凸が形成され易くする必要がある。
つまり、上記要件(1)を満たす熱膨張性基材層(Y1-1)は、膨張開始温度(t)で熱膨張性粒子が膨張して十分に大きくなり、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)と積層している側の粘着シート(I)の表面に、凹凸が形成され易い。
その結果、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pでわずかな力で容易に分離可能となる粘着性積層体となり得る。
本発明で用いる熱膨張性基材層(Y1-1)の要件(1)で規定する貯蔵弾性率E’(t)は、上記観点から、好ましくは9.0×10Pa以下、より好ましくは8.0×10Pa以下、更に好ましくは6.0×10Pa以下、より更に好ましくは4.0×10Pa以下である。
また、膨張した熱膨張性粒子の流動を抑制し、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)と積層している側の粘着シート(I)の表面に形成される凹凸の形状維持性を向上させ、界面Pでわずかな力でより容易に分離可能とする観点から、熱膨張性基材層(Y1-1)の要件(1)で規定する貯蔵弾性率E’(t)は、好ましくは1.0×10Pa以上、より好ましくは1.0×10Pa以上、更に好ましくは1.0×10Pa以上である。
上記要件(1)を満たす熱膨張性基材層(Y1-1)とする観点から、熱膨張性基材層(Y1-1)中の熱膨張性粒子の含有量は、熱膨張性基材層(Y1-1)の全質量(100質量%)に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~35質量%、更に好ましくは10~30質量%、より更に好ましくは15~25質量%である。
なお、熱膨張性基材層(Y1-1)と積層する他の層との層間密着性を向上させる観点から、熱膨張性基材層(Y1-1)の表面に対して、酸化法や凹凸化法等による表面処理、易接着処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、及び紫外線照射処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
熱膨張性基材層(Y1-1)は、樹脂及び熱膨張性粒子を含む樹脂組成物(y)から形成することが好ましい。
なお、樹脂組成物(y)には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、基材用添加剤を含有してもよい。
基材用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。
なお、これらの基材用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの基材用添加剤を含有する場合、それぞれの基材用添加剤の含有量は、前記樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
熱膨張性基材層(Y1-1)の形成材料である樹脂組成物(y)に含まれる熱膨張性粒子については、上述のとおりである。
熱膨張性粒子の含有量は、樹脂組成物(y)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~35質量%、更に好ましくは10~30質量%、より更に好ましくは15~25質量%である。
熱膨張性基材層(Y1-1)の形成材料である樹脂組成物(y)に含まれる樹脂としては、非粘着性樹脂であってもよく、粘着性樹脂であってもよい。
つまり、樹脂組成物(y)に含まれる樹脂が粘着性樹脂であっても、樹脂組成物(y)から熱膨張性基材層(Y1-1)を形成する過程において、当該粘着性樹脂が重合性化合物と重合反応し、得られる樹脂が非粘着性樹脂となり、当該樹脂を含む熱膨張性基材層(Y1-1)が非粘着性となればよい。
樹脂組成物(y)に含まれる前記樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1000~100万、より好ましくは1000~70万、更に好ましくは1000~50万である。
また、当該樹脂が2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
樹脂の含有量は、樹脂組成物(y)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは50~99質量%、より好ましくは60~95質量%、更に好ましくは65~90質量%、より更に好ましくは70~85質量%である。
なお、上記要件(1)を満たす熱膨張性基材層(Y1-1)を形成する観点から、樹脂組成物(y)に含まれる前記樹脂としては、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
また、上記アクリルウレタン系樹脂としては、以下の樹脂(U1)が好ましい。
・ウレタンプレポリマー(UP)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物とを重合してなるアクリルウレタン系樹脂(U1)。
(アクリルウレタン系樹脂(U1))
アクリルウレタン系樹脂(U1)の主鎖となるウレタンプレポリマー(UP)としては、ポリオールと多価イソシアネートとの反応物が挙げられる。
なお、ウレタンプレポリマー(UP)は、更に鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであることが好ましい。
ウレタンプレポリマー(UP)の原料となるポリオールとしては、例えば、アルキレン型ポリオール、エーテル型ポリオール、エステル型ポリオール、エステルアミド型ポリオール、エステル・エーテル型ポリオール、カーボネート型ポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いるポリオールとしては、ジオールが好ましく、エステル型ジオール、アルキレン型ジオール及びカーボネート型ジオールがより好ましく、エステル型ジオール、カーボネート型ジオールが更に好ましい。
エステル型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;等のジオール類から選択される1種又は2種以上と、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4'-ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物から選択される1種又は2種以上と、の縮重合体が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
アルキレン型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;等が挙げられる。
カーボネート型ジオールとしては、例えば、1,4-テトラメチレンカーボネートジオール、1,5-ペンタメチレンカーボネートジオール、1,6-ヘキサメチレンカーボネートジオール、1,2-プロピレンカーボネートジオール、1,3-プロピレンカーボネートジオール、2,2-ジメチルプロピレンカーボネートジオール、1,7-ヘプタメチレンカーボネートジオール、1,8-オクタメチレンカーボネートジオール、1,4-シクロヘキサンカーボネートジオール等が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(UP)の原料となる多価イソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらの多価イソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの多価イソシアネートは、トリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
これらの中でも、本発明の一態様で用いる多価イソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる1種以上がより好ましい。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられるが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
本発明の一態様において、アクリルウレタン系樹脂(U1)の主鎖となるウレタンプレポリマー(UP)としては、ジオールとジイソシアネートとの反応物であり、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマーが好ましい。
当該直鎖ウレタンプレポリマーの両末端にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、ジオールとジイソシアネート化合物とを反応してなる直鎖ウレタンプレポリマーの末端のNCO基と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる方法が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリルウレタン系樹脂(U1)の側鎖となる、ビニル化合物としては、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用することがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用する場合、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの配合割合としては、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.5~30質量部、更に好ましくは1.0~20質量部、より更に好ましくは1.5~10質量部である。
当該アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8、より更に好ましくは1~3である。
また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、上述の直鎖ウレタンプレポリマーの両末端にエチレン性不飽和基を導入するために用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと同じものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル以外のビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタ(アクリルアミド)等の極性基含有モノマー;等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル化合物中の(メタ)アクリル酸エステルの含有量としては、当該ビニル化合物の全量(100質量%)に対して、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
ビニル化合物中のアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの合計含有量としては、当該ビニル化合物の全量(100質量%)に対して、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
本発明の一態様で用いるアクリルウレタン系樹脂(U1)は、ウレタンプレポリマー(UP)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物とを混合し、両者を重合することで得られる。
当該重合は、さらにラジカル開始剤を加えて行うことが好ましい。
本発明の一態様で用いるアクリルウレタン系樹脂(U1)において、ウレタンプレポリマー(UP)に由来の構成単位(u11)と、ビニル化合物に由来する構成単位(u12)との含有量比〔(u11)/(u12)〕としては、質量比で、好ましくは10/90~80/20、より好ましくは20/80~70/30、更に好ましくは30/70~60/40、より更に好ましくは35/65~55/45である。
(オレフィン系樹脂)
樹脂組成物(y)に含まれる樹脂として好適な、オレフィン系樹脂としては、オレフィンモノマーに由来の構成単位を少なくとも有する重合体である。
上記オレフィンモノマーとしては、炭素数2~8のα-オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1-ヘキセン等が挙げられる。
これらの中でも、エチレン及びプロピレンが好ましい。
具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE、密度:880kg/m以上910kg/m未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度:910kg/m以上915kg/m未満)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度:915kg/m以上942kg/m未満)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度:942kg/m以上)、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂(PP);ポリブテン樹脂(PB);エチレン-プロピレン共重合体;オレフィン系エラストマー(TPO);ポリ(4-メチル-1-ペンテン)(PMP);エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH);エチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)等のオレフィン系三元共重合体;等が挙げられる。
本発明の一態様において、オレフィン系樹脂は、さらに酸変性、水酸基変性、及びアクリル変性から選ばれる1種以上の変性を施した変性オレフィン系樹脂であってもよい。
例えば、オレフィン系樹脂に対して酸変性を施してなる酸変性オレフィン系樹脂としては、上述の無変性のオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその無水物を、グラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記の不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
なお、不飽和カルボン酸又はその無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン系樹脂に対してアクリル変性を施してなるアクリル変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、側鎖として、アルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記のアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~20、より好ましくは1~16、更に好ましくは1~12である。
上記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、後述のモノマー(a1’)として選択可能な化合物と同じものが挙げられる。
オレフィン系樹脂に対して水酸基変性を施してなる水酸基変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、水酸基含有化合物をグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記の水酸基含有化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等が挙げられる。
(アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂)
本発明の一態様において、樹脂組成物(y)には、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
そのような樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;アクリルウレタン系樹脂には該当しないポリウレタン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
ただし、上記要件(1)を満たす熱膨張性基材層(Y1-1)を形成する観点から、樹脂組成物(y)中のアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有割合は、少ない方が好ましい。
アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有割合としては、樹脂組成物(y)中に含まれる樹脂の全量100質量部に対して、好ましくは30質量部未満、より好ましくは20質量部未満、より好ましくは10質量部未満、更に好ましくは5質量部未満、より更に好ましくは1質量部未満である。
(無溶剤型樹脂組成物(y1))
本発明の一態様で用いる樹脂組成物(y)の一態様として、質量平均分子量(Mw)が50000以下のエチレン性不飽和基を有するオリゴマーと、エネルギー線重合性モノマーと、上述の熱膨張性粒子を配合してなり、溶剤を配合しない、無溶剤型樹脂組成物(y1)が挙げられる。
無溶剤型樹脂組成物(y1)では、溶剤を配合しないが、エネルギー線重合性モノマーが、前記オリゴマーの可塑性の向上に寄与するものである。
無溶剤型樹脂組成物(y1)から形成した塗膜に対して、エネルギー線を照射することで、上記要件(1)を満たす熱膨張性基材層(Y1-1)を形成し易い。
なお、無溶剤型樹脂組成物(y1)に配合される熱膨張性粒子の種類や形状、配合量(含有量)については、上述のとおりである。
無溶剤型樹脂組成物(y1)に含まれる前記オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、50000以下であるが、好ましくは1000~50000、より好ましくは2000~40000、更に好ましくは3000~35000、より更に好ましくは4000~30000である。
また、前記オリゴマーとしては、上述の樹脂組成物(y)に含まれる樹脂のうち、質量平均分子量が50000以下のエチレン性不飽和基を有するものであればよいが、上述のウレタンプレポリマー(UP)が好ましい。
なお、当該オリゴマーとしては、エチレン性不飽和基を有する変性オレフィン系樹脂も使用し得る。
無溶剤型樹脂組成物(y1)中における、前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの合計含有量は、無溶剤型樹脂組成物(y1)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50~99質量%、より好ましくは60~95質量%、更に好ましくは65~90質量%、より更に好ましくは70~85質量%である。
エネルギー線重合性モノマーとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート、トリシクロデカンアクリレート等の脂環式重合性化合物;フェニルヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレート等の芳香族重合性化合物;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等の複素環式重合性化合物等が挙げられる。
これらのエネルギー線重合性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無溶剤型樹脂組成物(y1)中における、前記オリゴマーと、前記エネルギー線重合性モノマーとの含有量比[オリゴマー/エネルギー線重合性モノマー]は、質量比で、好ましくは20/80~90/10、より好ましくは30/70~85/15、更に好ましくは35/65~80/20である。
本発明の一態様において、無溶剤型樹脂組成物(y1)は、さらに光重合開始剤を配合してなることが好ましい。
光重合開始剤を含有することで、比較的低エネルギーのエネルギー線の照射によっても、十分に硬化反応を進行させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロへキシル-フェニル-ケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロルニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8-クロールアンスラキノン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の配合量は、前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの全量(100質量部)に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.01~4質量部、更に好ましくは0.02~3質量部である。
<非熱膨張性基材層(Y1-2)>
基材(Y1)を構成する非熱膨張性基材層(Y1-2)の形成材料としては、例えば、紙材、樹脂、金属等が挙げられ、本発明の一態様の粘着性積層体の用途に応じて適宜選択することができる。
紙材としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等が挙げられる。
これらの形成材料は、1種から構成されていてもよく、2種以上を併用してもよい。
2種以上の形成材料を併用した非熱膨張性基材層(Y1-2)としては、紙材をポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたものや、樹脂を含む樹脂フィルム又はシートの表面に金属膜を形成したもの等が挙げられる。
なお、金属層の形成方法としては、例えば、上記金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、又は、上記金属からなる金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられる。
なお、非熱膨張性基材層(Y1-2)と積層する他の層との層間密着性を向上させる観点から、非熱膨張性基材層(Y1-2)が樹脂を含む場合、非熱膨張性基材層(Y1-2)の表面に対しても、上述の熱膨張性基材層(Y1-1)と同様に、酸化法や凹凸化法等による表面処理、易接着処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
また、非熱膨張性基材層(Y1-2)が樹脂を含む場合、当該樹脂と共に、樹脂組成物(y)にも含有し得る、上述の基材用添加剤を含有してもよい。
非熱膨張性基材層(Y1-2)は、上述の方法に基づき判断される、非熱膨張性層である。
そのため、上述の式から算出される非熱膨張性基材層(Y1-2)の体積変化率(%)としては、5%未満であるが、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、更に好ましくは0.1%未満、より更に好ましくは0.01%未満である。
また、非熱膨張性基材層(Y1-2)は、体積変化率が上記範囲である限り、熱膨張性粒子を含有してもよい。例えば、非熱膨張性基材層(Y1-2)に含まれる樹脂を選択することで、熱膨張性粒子が含まれていたとしても、体積変化率を上記範囲に調整することは可能である。
ただし、非熱膨張性基材層(Y1-2)中の熱膨張性粒子の含有量は、少ないほど好ましい。
具体的な熱膨張性粒子の含有量としては、非熱膨張性基材層(Y1-2)の全質量(100質量%)に対して、通常3質量%未満、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
<粘着剤層(X1)>
本発明の一態様で用いる粘着シート(I)が有する粘着剤層(X1)は、粘着性樹脂を含む粘着剤組成物(x1)から形成することができる。
また、粘着剤組成物(x1)は、必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、重合性化合物、重合開始剤等の粘着剤用添加剤を含有してもよい。
以下、粘着剤組成物(x1)に含まれる各成分について説明する。
なお、粘着シート(I)が、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)を有する場合においても、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)も、以下に示す各成分を含有する粘着剤組成物(x1)から形成することができる。
(粘着性樹脂)
本発明の一態様で用いる粘着性樹脂としては、当該樹脂単独で粘着性を有し、質量平均分子量(Mw)が1万以上の重合体であればよい。
本発明の一態様で用いる粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、粘着力の向上の観点から、好ましくは1万~200万、より好ましくは2万~150万、更に好ましくは3万~100万である。
具体的な粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂等のゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
本発明の一態様で用いる粘着性樹脂は、上記の粘着性樹脂の側鎖に重合性官能基を導入した、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂であってもよい。
当該重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
また、エネルギー線としては、紫外線や電子線が挙げられるが、紫外線が好ましい。
本発明の一態様において、優れた粘着力を発現させる観点から、粘着性樹脂が、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
なお、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)を有する粘着シート(I)を用いる場合、樹脂膜形成用シート(II)と接触している第1粘着剤層(X11)にアクリル系樹脂が含まれることで、第1粘着剤層の表面に凹凸を形成させ易くすることができる。
粘着性樹脂中のアクリル系樹脂の含有割合としては、粘着剤組成物(x1)又は粘着剤層(X1)に含まれる粘着性樹脂の全量(100質量%)に対して、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは70~100質量%、より更に好ましくは85~100質量%である。
(アクリル系樹脂)
本発明の一態様において、粘着性樹脂として使用し得る、アクリル系樹脂としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは10万~150万、より好ましくは20万~130万、更に好ましくは35万~120万、より更に好ましくは50万~110万である。
本発明の一態様で用いるアクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレート(p1’)(以下、「モノマー(p1’)」ともいう)に由来する構成単位(p1)及び官能基含有モノマー(p2’)(以下、「モノマー(p2’)」ともいう)に由来する構成単位(p2)を有するアクリル系共重合体(P)がより好ましい。
モノマー(p1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは2~10、より更に好ましくは4~8である。
なお、モノマー(p1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
モノマー(p1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのモノマー(p1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(p1’)としては、ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
構成単位(p1)の含有量は、アクリル系共重合体(P)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50~99.9質量%、より好ましくは60~99.0質量%、更に好ましくは70~97.0質量%、より更に好ましくは80~95.0質量%である。
モノマー(p2’)が有する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
つまり、モノマー(p2’)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
これらのモノマー(p2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、モノマー(p2’)としては、水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、上述した水酸基含有化合物と同じものが挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物、2-(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
構成単位(p2)の含有量は、アクリル系共重合体(P)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.5~35質量%、更に好ましくは1.0~30質量%、より更に好ましくは3.0~25質量%である。
アクリル系共重合体(P)は、さらにモノマー(p1’)及び(p2’)以外の他のモノマー(p3’)に由来の構成単位(p3)を有していてもよい。
なお、アクリル系共重合体(P)において、構成単位(p1)及び(p2)の含有量は、アクリル系共重合体(P)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%である。
モノマー(p3’)としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。
また、アクリル系共重合体(P)は、側鎖に重合性官能基を導入した、エネルギー線硬化型のアクリル系共重合体としてもよい。
当該重合性官能基及び当該エネルギー線としては、上述のとおりである。
なお、重合性官能基は、上述の構成単位(p1)及び(p2)を有するアクリル系共重合体と、当該アクリル系共重合体の構成単位(p2)が有する官能基と結合可能な置換基と重合性官能基とを有する化合物とを反応させることで導入することができる。
前記化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(架橋剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物(x1)は、上述のアクリル系共重合体(P)のように、官能基を有する粘着性樹脂を含有する場合、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤は、官能基を有する粘着性樹脂と反応して、当該官能基を架橋起点として、粘着性樹脂同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの架橋剤の中でも、凝集力を高めて粘着力を向上させる観点、及び入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
架橋剤の含有量は、粘着性樹脂が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、官能基を有する粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、更に好ましくは0.05~5質量部である。
(粘着付与剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物(x1)は、粘着力をより向上させる観点から、さらに粘着付与剤を含有してもよい。
本明細書において、「粘着付与剤」とは、上述の粘着性樹脂の粘着力を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が1万未満のオリゴマーを指し、上述の粘着性樹脂とは区別されるものである。
粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは400~10000、より好ましくは500~8000、更に好ましくは800~5000である。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3-ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂、及びこれらを水素化した水素化樹脂等が挙げられる。
粘着付与剤の軟化点は、好ましくは60~170℃、より好ましくは65~160℃、更に好ましくは70~150℃である。
なお、本明細書において、粘着付与剤の「軟化点」は、JIS K 2531に準拠して測定した値を意味する。
粘着付与剤は、単独で用いてもよく、軟化点や構造が異なる2種以上を併用してもよい。
そして、2種以上の複数の粘着付与剤を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、上記範囲に属することが好ましい。
粘着付与剤の含有量は、粘着剤組成物(x1)の有効成分の全量(100質量%)又は粘着剤層(X1)の全質量(100質量%)に対して、好ましくは0.01~65質量%、より好ましくは0.05~55質量%、更に好ましくは0.1~50質量%、より更に好ましくは0.5~45質量%、更になお好ましくは1.0~40質量%である。
(光重合開始剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物(x1)が、粘着性樹脂として、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂を含む場合、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤を含有することで、比較的低エネルギーのエネルギー線の照射によっても、十分に硬化反応を進行させることができる。
なお、光重合開始剤としては、上述の無溶剤型樹脂組成物(y1)に配合されるものと同じものが挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~5質量部、更に好ましくは0.05~2質量部である。
(粘着剤用添加剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物(x1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の添加剤以外にも、一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
このような粘着剤用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤(触媒)、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの粘着剤用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの粘着剤用添加剤を含有する場合、それぞれの粘着剤用添加剤の含有量は、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
なお、図3に示す粘着性積層体2が有するような、上述の第2態様の粘着シート(I)を用いる場合、熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)は、さらに熱膨張性粒子を含有する熱膨張性粘着剤組成物(x11)から形成される。
当該熱膨張性粒子は、上述のとおりである。
熱膨張性粒子の含有量としては、熱膨張性粘着剤組成物(x11)の有効成分の全量(100質量%)又は熱膨張性粘着剤層の全質量(100質量%)に対して、好ましくは1~70質量%、より好ましくは2~60質量%、更に好ましくは3~50質量%、より更に好ましくは5~40質量%である。
一方、粘着剤層(X1)が非熱膨張性粘着剤層である場合、非熱膨張性粘着剤層の形成材料である非熱膨張性粘着剤組成物中の熱膨張性粒子の含有量は極力少ないほど好ましい。
熱膨張性粒子の含有量としては、非熱膨張性粘着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)又は非熱膨張性粘着剤層の全質量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
なお、図2に示す粘着性積層体1c、1dのように、非熱膨張性粘着剤層である、第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)を有する粘着シート(I)を用いる場合、23℃における、非熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、好ましくは1.0×10Pa以下、より好ましくは5.0×10Pa以下、更に好ましくは1.0×10Pa以下である。
非熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)の貯蔵せん断弾性率G’(23)が1.0×10Pa以下であれば、例えば、図2に示す粘着性積層体1c、1dのような構成とした際に、分離用加熱処理による熱膨張性基材層(Y1-1)中の熱膨張性粒子の膨張により、樹脂膜形成用シート(II)と接触している第1粘着剤層(X11)の表面に凹凸が形成され易くなる。その結果、粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pでわずかな力で一括して容易に分離可能となる粘着性積層体とすることができる。
なお、23℃における、非熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、好ましくは1.0×10Pa以上、より好ましくは5.0×10Pa以上、更に好ましくは1.0×10Pa以上である。
[樹脂膜形成用シート(II)の構成]
本発明の粘着性積層体において、樹脂膜形成用シート(II)は、基材(Y2)の一方の表面側に硬化性樹脂層(Z2)を有し、基材(Y2)の他方の表面側には粘着シート(I)が直接積層する。
また、本発明の一態様の粘着性積層体において、樹脂膜形成用シート(II)は、基材(Y2)と硬化性樹脂層(Z2)との間に、粘着剤層(X2)を有していてもよい。
ここで、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)と粘着シート(I)との界面Pでわずかな力で一括して容易に分離可能とする観点から、基材(Y2)は、非熱膨張性基材であることが好ましい。
上述の式から算出される基材(Y2)の体積変化率(%)としては、5%未満であるが、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、更に好ましくは0.1%未満、より更に好ましくは0.01%未満である。
以下、基材(Y2)、硬化性樹脂層(Z2)、及び粘着剤層(X2)について説明する。
<基材(Y2)>
基材(Y2)の形成材料としては、上述の非熱膨張性基材層(Y1-2)の形成材料と同様のものが挙げられる。
なお、基材(Y2)は樹脂を含むことが好ましく、少なくとも粘着シート(I)と積層する側の基材(Y2)の表面には、樹脂を含む樹脂層が形成されていることがより好ましく、基材(Y2)が樹脂フィルム又は樹脂シートであることが更に好ましい。
また、分離用加熱処理後に界面Pでわずかな力で一括して容易に分離可能とする観点から、基材(Y2)の粘着シート(I)が積層した側の表面は、剥離処理が施された表面であることが好ましい。
また、半導体チップ等の加工対象物を硬化性樹脂層(Z2)に貼付する際の位置ズレを防止しやすいものとする観点、及び、加工対象物を貼付する際に、加熱時において硬化性樹脂層(Z2)への過度な沈み込みを防止しやすいものとする観点から、基材(Y2)の23℃における貯蔵弾性率E’(23)としては、1.0×10Pa以上であることが好ましい。
なお、基材(Y2)は、体積変化率が上記範囲である限り、熱膨張性粒子を含有してもよいが、上記観点から、基材(Y2)中の熱膨張性粒子の含有量は、少ないほど好ましい。
基材(Y2)中の熱膨張性粒子の含有量としては、基材(Y2)の全質量(100質量%)に対して、通常3質量%未満、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
基材(Y2)の厚さは、好ましくは10~1000μm、より好ましくは20~700μm、更に好ましくは25~500μm、より更に好ましくは30~300μmである。
<硬化性樹脂層(Z2)>
硬化性樹脂層(Z2)は、硬化して硬化樹脂膜を形成し得る組成物から形成されていればよいが、重合体成分(A)及び硬化性成分(B)を含む硬化性組成物(z)から形成された層であることが好ましい。
なお、硬化性組成物(z)は、更に、着色剤(C)、カップリング剤(D)、及び無機充填材(E)から選ばれる1種以上を含有してもよい。
また、硬化性組成物(z)は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、架橋剤、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤等の添加剤も含有してもよい。
以下、硬化性樹脂層(Z2)の形成材料である硬化性組成物(z)に含まれる上記成分(A)~(F)について、説明する。
(重合体成分(A))
硬化性組成物(z)に含まれる重合体成分(A)は、質量平均分子量が2万以上であり、少なくとも1種の繰り返し単位を有する化合物を意味する。硬化性樹脂層(Z2)中に重合体成分(A)を含有することで、主に、硬化性樹脂層(Z2)に可とう性及び造膜性を付与し、シート性状維持性を良好とすることができる。
重合体成分(A)の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは2万以上、より好ましくは2万~300万、より好ましくは5万~200万、更に好ましくは10万~150万、より更に好ましくは20万~100万である。
成分(A)の含有量は、硬化性組成物(z)の有効成分の全量(100質量%)又は硬化性樹脂層(Z2)の全質量(100質量%)に対して、好ましくは5~50質量%、より好ましくは8~40質量%、更に好ましくは10~30質量%である。
重合体成分(A)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体成分(A)としては、アクリル系重合体、ポリエステル、フェノキシ系樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体等が挙げられる。
なお、本明細書において、エポキシ基を有するアクリル系重合体(A1)や、エポキシ基を有するフェノキシ樹脂は、熱硬化性を有しているが、上述の「重合体成分」に該当するものであれば、これらは硬化性成分(B)ではなく、重合体成分(A)の概念に含まれるものとする。
これらの中でも、重合体成分(A)が、アクリル系重合体(A1)を含むことが好ましい。
重合体成分(A)中のアクリル系重合体(A1)の含有割合は、重合体成分(A)の全量(100質量%)に対して、好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
(アクリル系重合体(A1))
アクリル系重合体(A1)の質量平均分子量(Mw)は、硬化性樹脂層(Z2)に可とう性及び造膜性を付与する観点から、好ましくは2万~300万、より好ましくは10万~150万、更に好ましくは15万~120万、より更に好ましくは25万~100万である。
アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、硬化性樹脂層(Z2)の被着体に対する接着性の観点、及び、樹脂膜形成用シート(II)を用いて製造される樹脂膜付き加工対象物の信頼性の向上の観点から、好ましくは-60~50℃、より好ましくは-50~30℃、更に好ましくは-40~10℃、より更に好ましくは-35~5℃である。
アクリル系重合体(A1)としては、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体が挙げられ、具体的には、炭素数1~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう)に由来する構成単位(a1)を含むアクリル系重合体が好ましく、構成単位(a1)と共に官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう)に由来する構成単位(a2)を含むアクリル系共重合体がより好ましい。
成分(A1)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、成分(A1)が共重合体である場合、当該共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数は、硬化性樹脂層(Z2)に可とう性及び造膜性を付与する観点から、好ましくは1~18であり、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8である。当該アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
モノマー(a1’)としては、上述のモノマー(p1’)と同じものが挙げられる。
これらのモノマー(a1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、樹脂膜形成用シート(II)を用いて製造される樹脂膜付き加工対象物の信頼性向上の観点から、モノマー(a1’)が、炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、メチル(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
上記観点から、炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a11)の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは1~80質量%、より好ましくは5~80質量%、更に好ましくは10~80質量%である。
また、樹脂膜形成用シート(II)を用いて製造される樹脂膜付き加工対象物の当該樹脂膜のグロス値を上昇させ、レーザーマーキング適性を向上させる観点から、モノマー(a1’)が、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、炭素数4~6のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含むことがより好ましく、ブチル(メタ)アクリレートを含むことが更に好ましい。
上記観点から、炭素数4以上(好ましくは4~6、更に好ましくは4)のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a12)の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは1~70質量%、より好ましくは5~65質量%、更に好ましくは10~60質量%である。
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは50~99質量%、更に好ましくは55~90質量%、更に好ましくは60~90質量%である。
モノマー(a2’)としては、上述のモノマー(p2’)と同じものが挙げられるが、ヒドロキシ基含有モノマー及びエポキシ基含有モノマーから選ばれる1種以上が好ましい。
なお、モノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、上述の水酸基含有化合物と同じものが挙げられ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
エポキシ含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、3-エポキシシクロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;グリシジルクロトネート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
構成単位(a2)の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~45質量%、更に好ましくは10~40質量%、より更に好ましくは10~30質量%である。
なお、アクリル系重合体(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記の構成単位(a1)及び(a2)以外の他のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、α-オレフィン等が挙げられる。
<硬化性成分(B)>
硬化性成分(B)は、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬質の樹脂膜を形成する役割を担うものであり、質量平均分子量が2万未満の化合物である。
硬化性成分(B)として、熱硬化性成分(B1)及び/又はエネルギー線硬化性成分(B2)を用いることが好ましく、硬化性樹脂層(Z2)から形成される樹脂膜の着色を抑える観点、硬化反応を十分に進行させる観点、並びに、コスト低減の観点から、熱硬化性成分(B1)を用いることがより好ましい。
熱硬化性成分(B1)としては、少なくとも加熱により反応する官能基を有する化合物を含有することが好ましい。
また、エネルギー線硬化性成分(B2)は、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)を含有し、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。
これらの硬化性成分が有する官能基同士が反応し、三次元網目構造が形成されることにより硬化が実現される。
なお、熱硬化性成分(B1)を用いる場合、形成される硬化性樹脂層(Z2)を、界面Pで分離する前に硬化させる際には、熱膨張開始温度(t)未満の温度で加熱して硬化させる。
また、エネルギー線硬化性成分(B2)を用いる場合には、形成される硬化性樹脂層(Z2)を、加熱処理とは別に、エネルギー照射を行ない、硬化させる。
硬化性成分(B)の質量平均分子量(Mw)は、(A)成分と組み合わせて用いることで、硬化性樹脂層(Z2)を形成するための組成物の粘度を抑制し、取り扱い性を向上させる等の観点から、好ましくは20,000未満、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは100~10,000である。
(熱硬化性成分(B1))
熱硬化性成分(B1)としては、エポキシ系熱硬化性成分が好ましい。
エポキシ系熱硬化性成分は、エポキシ基を有する化合物であるエポキシ化合物(B11)と共に、熱硬化剤(B12)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
エポキシ化合物(B11)としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等の分子中に2官能以上有し、質量平均分子量が2万未満であるエポキシ化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物(B11)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(B11)の含有量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは1~500質量部、より好ましくは3~300質量部、更に好ましくは10~150質量部、より更に好ましくは20~120質量部である。
(熱硬化剤(B12))
熱硬化剤(B12)は、エポキシ化合物(B11)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が好ましい。
当該官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及び酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸無水物が好ましく、フェノール性水酸基、又はアミノ基がより好ましく、アミノ基が更に好ましい。
フェノール基を有するフェノール系熱硬化剤としては、例えば、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
アミノ基を有するアミン系熱硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。
これらの熱硬化剤(B12)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化剤(B12)の含有量は、エポキシ化合物(B11)100質量部に対して、好ましくは0.1~500質量部、より好ましくは1~200質量部である。
(硬化促進剤(B13))
硬化性樹脂層(Z2)の熱硬化の速度を調整するために、硬化促進剤(B13)を用いてもよい。硬化促進剤(B13)は、熱硬化性成分(B1)として、エポキシ化合物(B11)と併用することが好ましい。
硬化促進剤(B13)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
これらの硬化促進剤(B13)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤(B13)の含有量は、硬化性樹脂層(Z2)の接着性の向上の観点、及び樹脂膜形成用シート(II)を用いて製造される樹脂膜付き加工対象物の信頼性の向上の観点から、エポキシ化合物(B11)及び熱硬化剤(B12)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.1~6質量部、更に好ましくは0.3~4質量部である。
(エネルギー線硬化性成分(B2))
エネルギー線硬化性成分(B2)としては、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)を単独で用いてもよいが、化合物(B21)と共に、光重合開始剤(B22)を組み合わせて用いることが好ましい。
(エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21))
エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)(以下、「エネルギー線反応性化合物(B21)」ともいう)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4-ブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
これらのエネルギー線反応性化合物(B21)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、エネルギー線反応性化合物(B21)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~30,000、より好ましくは300~10,000である。
エネルギー線反応性化合物(B21)の含有量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは1~1500質量部含まれ、より好ましくは3~1200質量部である。
(光重合開始剤(B22))
上述のエネルギー線反応性化合物(B21)と共に、光重合開始剤(B22)と併用することで、重合硬化時間を短くし、光線照射量を少なくても、硬化性樹脂層(Z2)の硬化を進行させることができる。
光重合開始剤(B22)としては、上述の無溶剤型樹脂組成物(y1)に配合されるものと同じものが挙げられる。
光重合開始剤(B22)の含有量は、硬化反応を十分に進行させると共に、残留物の生成を抑える観点から、エネルギー線反応性化合物(B21)100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
成分(B)の含有量は、硬化性樹脂層(Z2)の全量(100質量%)に対して、好ましくは5~50質量%、より好ましくは8~40質量%、更に好ましくは10~30質量%、より更に好ましくは12~25質量%である。
なお、成分(B)の含有量には、上述のエポキシ化合物(B11)、熱硬化剤(B12)、及び硬化促進剤(B13)を含む熱硬化性成分(B1)、並びに、エネルギー線反応性化合物(B21)、及び光重合開始剤(B22)を含むエネルギー線硬化性成分(B2)の合計含有量である。
<着色剤(C)>
硬化性樹脂層(Z2)には、さらに着色剤(C)を含むことが好ましい。
硬化性樹脂層(Z2)に着色剤(C)を含有することで、硬化性樹脂層(Z2)から形成される樹脂膜を有する加工対象物、例えば樹脂膜を有する半導体チップを機器に組み込んだ際、周囲の装置から発生する赤外線等を遮蔽して、半導体チップの誤作動を防止することができる。
着色剤(C)としては、有機又は無機の顔料及び染料を用いることができる。
染料としては、例えば、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等のいずれの染料であっても用いることが可能である。
また、顔料としては、特に制限されず、公知の顔料から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、電磁波や赤外線の遮蔽性が良好で、且つレーザーマーキング法による識別性をより向上させる観点から、黒色顔料が好ましい。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が挙げられるが、半導体チップの信頼性を高める観点から、カーボンブラックが好ましい。
なお、これらの着色剤(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(C)の含有量は、硬化性樹脂層(Z2)の全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~25質量%、更に好ましくは1.0~15質量%、より更に好ましくは1.2~5質量%である。
<カップリング剤(D)>
硬化性樹脂層(Z2)には、さらにカップリング剤(D)を含むことが好ましい。
カップリング剤(D)を含むことで、硬化性樹脂層(Z2)中のポリマー成分と、半導体チップ等の加工対象物表面や充填材表面とを結合して、接着性や凝集性を向上させることができる。また、硬化性樹脂層(Z2)から形成される樹脂膜の耐熱性を損なうことなく、耐水性を向上させることもできる。
カップリング剤(D)としては、成分(A)や成分(B)が有する官能基と反応する化合物が好ましく、シランカップリング剤がより好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
これらの(D)カップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤(D)としては、オリゴマータイプのカップリング剤が好ましい。
オリゴマータイプのカップリング剤も含めたカップリング剤(D)の分子量としては、好ましくは100~15000、より好ましくは150~10000、より好ましくは200~5000、更に好ましくは250~3000、より更に好ましくは350~2000である。
成分(D)の含有量は、硬化性樹脂層(Z2)の全量(100質量%)に対して、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~7質量%、更に好ましくは0.10~4質量%、より更に好ましくは0.15~2質量%である。
<無機充填材(E)>
硬化性樹脂層(Z2)には、さらに無機充填材(E)を含むことが好ましい。
無機充填材(E)を含むことで、硬化性樹脂層(Z2)の硬化後の樹脂膜における熱膨張係数を適度な範囲に調整することが可能となり、半導体チップ等の加工対象物に対して硬化後の樹脂膜の熱膨張係数を最適化することができ、硬化性樹脂層(Z2)により形成された樹脂膜と加工対象物とを含む製品、例えば、加工対象物が半導体チップである場合には半導体チップの信頼性を向上させることができる。また、硬化後の樹脂膜の吸湿率を低減させることも可能となる。
無機充填材(E)としては、非熱膨張性のものであればよく、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維及びガラス繊維等の非熱膨張性粒子が挙げられる。
これらの無機充填材(E)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、シリカ又はアルミナが好ましい。
無機充填材(E)の平均粒子径としては、樹脂膜形成用シート(II)を用いて製造される樹脂膜付き加工対象物の当該樹脂膜のグロス値を向上させる観点から、好ましくは0.3~50μm、より好ましくは0.5~30μm、更に好ましくは0.7~10μmである。
成分(E)の含有量は、硬化性樹脂層(Z2)の全量(100質量%)に対して、好ましくは25~80質量%、より好ましくは30~70質量%、更に好ましくは40~65質量%、より更に好ましくは45~60質量%である。
<粘着剤層(X2)>
樹脂膜形成用シート(II)が有する粘着剤層(X2)は、上述の粘着剤組成物(x1)を用いて形成することができ、好適な成分や各成分の含有量の好適範囲も、粘着剤組成物(x1)と同じである。
なお、硬化性樹脂層(Z2)は硬化して硬化樹脂膜を形成した後、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)以外の層は除去される。
そのため、粘着剤層(X2)は、硬化前の硬化性樹脂層(Z2)とは良好な層間密着力を有する一方で、硬化性樹脂層(Z2)が硬化して硬化樹脂膜を形成した後には、容易に剥離できるように調整することが好ましい。
上記観点から、粘着剤層(X2)の形成材料である粘着剤組成物は、粘着性樹脂として、側鎖に重合性官能基が導入されたエネルギー線硬化型の粘着性樹脂を含むことが好ましい。
粘着剤層(X2)の厚さは、好ましくは1~60μm、より好ましくは2~50μm、更に好ましくは3~40μm、より更に好ましくは5~30μmである。
<剥離材>
本発明の一態様の粘着性積層体は、被着体と貼付する粘着剤層(X1)及び硬化性樹脂層(X2)の表面に、さらに剥離材を積層してもよい。
剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10~200μm、より好ましくは25~170μm、更に好ましくは35~80μmである。
[樹脂膜付き加工対象物の製造方法]
本発明の粘着性積層体は、加工対象物を支持体に固定して所定の加工を実施することができると共に、加工後にはわずかな力で支持体から一括して容易に分離することができ、且つ、分離後には、硬化樹脂膜を形成可能な樹脂膜付き加工対象物を得ることができる。
そのため、本発明の粘着性積層体を用いることで、加工前に加工対象物を支持体に固定するために加工対象物に粘着シートを貼付する作業と、加工後に加工対象物から粘着シートを除去して樹脂膜形成用シートを貼付する作業とを、一度に行うことができ、生産性の向上が期待できる。
より具体的な、樹脂膜付き加工対象物の製造方法としては、下記工程(α-1)~(α-3)を有する方法が挙げられる。
・工程(α-1):前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面に加工対象物を載置又は貼付する工程
・工程(α-2):加工対象物に所定の加工を実施する工程
・工程(α-3):熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、樹脂膜付き加工対象物を得る工程
また、必要に応じて、工程(α-2)の後、工程(α-3)の前に、下記工程(α-2’)を有することが好ましい。
・工程(α-2’):硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程。
以下、図4を適宜参照しながら、上述の各工程について説明する。
<工程(α-1)>
工程(α-1)では、前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面に加工対象物を載置又は貼付する工程である。
図4(a)は、図1(a)に示す本発明の第一態様の粘着性積層体1aを介して、支持体に加工対象物を固定した状態を示す、断面模式図である。
工程(α-1)では、図4(a)に示すように、本発明の第一態様の粘着性積層体1aを介して、支持体50に加工対象物60を固定し、前記支持体、前記粘着性積層体、及び前記加工検査対象物をこの順で積層する。
なお、図4においては、図1(a)に示す粘着性積層体1aを用いた例を示しているが、他の構成を有する本発明の粘着性積層体を用いる場合においても、同様に、前記支持体、前記粘着性積層体、及び前記加工検査対象物をこの順で積層する。
なお、粘着性積層体に貼付される加工対象物としては、例えば、半導体チップ、半導体ウエハ、化合物半導体、半導体パッケージ、電子部品、サファイア基板、ディスプレイ、パネル用基板等が挙げられる。
前記支持体は、工程(α-2)において加工対象物を固定し、加工の精度を高めるために用いられる。
前記支持体は、粘着性積層体の粘着剤層(X1)の粘着表面の全面に貼付されることが好ましい。
したがって、支持体は、板状であることが好ましい。また、粘着剤層(X1)の粘着表面と貼付される側の支持体の表面の面積は、図4に示すように、粘着剤層(X1)の粘着表面の面積以上であることが好ましい。
前記支持体を構成する材質としては、加工対象物の種類や、工程(α-2)で施される加工に応じて、機械強度や耐熱性等の要求される特性を考慮の上、適宜選択される。
具体的な支持体を構成する材質としては、例えば、SUS等の金属材料;ガラス、シリコンウエハ等の非金属無機材料;エポキシ樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の樹脂材料;ガラスエポキシ樹脂等の複合材料等が挙げられ、これらの中でも、SUS、ガラス、及びシリコンウエハ等が好ましい。
なお、エンジニアリングプラスチックとしては、ナイロン、ポリカーボネート(PC)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
支持体の厚さは、次工程の加工の種類等を考慮して適宜選択されるが、好ましくは20μm以上50mm以下であり、より好ましくは60μm以上20mm以下である。
また、工程(α-1)における温度条件としては、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)未満であればよいが、0~80℃の環境下(膨張開始温度(t)が60~80℃である場合には、膨張開始温度(t)未満の環境下)で行われることが好ましい。
<工程(α-2)>
工程(α-2)では、工程(α-1)で本発明の粘着性積層体の硬化性樹脂層(Z2)に貼付した前記加工対象物に、所定の加工を実施する工程である。
工程(α-2)で施す加工としては、例えば、樹脂を用いた対象物に対する封止処理、対象物の研削処理、ダイシング(個片化)処理、回路形成処理、エッチング処理、めっき処理、スパッタ処理、蒸着処理、別途用意した粘着シートを用いたラミネート処理等が挙げられる。
なお、本工程(α-2)では、これらの加工を2種以上併用して行ってもよい。
工程(α-2)における温度条件としては、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)未満の温度環境下にて行われることが好ましい。
また、工程(α-2)において、上記加工の実施と並行して、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて硬化樹脂膜を形成してもよい。例えば、本工程で行われる加工が、加熱を伴う処理を行う場合、その熱によって硬化性樹脂層(Z2)を硬化させ、硬化樹脂膜を形成することができる。
なお、工程(α-2)の加工時に硬化性樹脂層(Z2)の硬化が行われない場合、必要に応じて、工程(α-2)の後、工程(α-3)の前に、工程(α-2’)として、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程を経てもよい。
工程(α-2’)において、硬化性樹脂層(Z2)を加熱によって硬化させる場合、温度条件としては、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)未満の温度環境下にて行われることが好ましい。
<工程(α-3)>
工程(α-3)では、熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、樹脂膜付き加工対象物を得る工程である。
図4(b)は、加熱処理によって、界面Pで分離した状態を示す断面模式図である。
図4(b)では、前記加熱処理によって、加工検査対象物が樹脂膜形成用シート(II)上に積層した状態で分離した状態を示している。
工程(α-3)における、加熱処理の際の「膨張開始温度(t)以上の温度」としては、「膨張開始温度(t)+10℃」以上「膨張開始温度(t)+60℃」以下であることが好ましく、「膨張開始温度(t)+15℃」以上「膨張開始温度(t)+40℃」以下であることがより好ましい。
ここで、加熱処理時の熱源は、支持体側に設けることが好ましい。前記粘着性積層体の粘着シート(I)と樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離させやすくできる。
このようにして、界面Pで分離後、樹脂膜形成用シート(II)が加工対象物に貼付された樹脂膜付きの加工対象物を得ることができる。
なお、分離後においても、硬化性樹脂層(Z2)が未硬化である場合、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させることで、硬化樹脂膜を形成することができる。
硬化樹脂膜を形成後、硬化性樹脂層(Z2)以外の樹脂膜形成用シート(II)は、除去することで、硬化樹脂膜付き加工対象物を得ることができる。
[硬化樹脂膜付き硬化封止体の製造方法]
本発明の粘着性積層体を用いることで、生産性を向上させて、硬化樹脂膜付き硬化封止体も製造することができる。
より具体的な、硬化樹脂膜付き硬化封止体の製造方法としては、下記工程(β-1)~(β-3)を有する製造方法が挙げられる。
・工程(β-1):前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)に半導体チップを載置する工程
・工程(β-2):前記半導体チップを封止材で被覆し、当該封止材を硬化させて、前記半導体チップが封止されてなる硬化封止体と、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程
・工程(β-3):前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、硬化樹脂膜付き硬化封止体を得る工程
<工程(β-1)>
工程(β-1)は、前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X1)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)に半導体チップを載置する工程である。
工程(β-1)で使用する上記支持体は、上述のとおりである。
また、半導体チップは、従来公知のものを使用することができ、その回路面には、トランジスタ、抵抗、コンデンサー等の回路素子から構成される集積回路が形成されている。
そして、半導体チップは、回路面とは反対側の裏面が、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面で覆われるように載置されることが好ましい。この場合、載置後、半導体チップの回路面が表出した状態となる。
半導体チップの載置には、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いることができる。
半導体チップの配置のレイアウト、配置数等は、目的とするパッケージの形態、生産数等に応じて適宜決定すればよい。
ここで、FOWLP、FOPLP等のように、半導体チップをチップサイズよりも大きな領域を封止材で覆って、半導体チップの回路面だけではなく、封止材の表面領域においても再配線層を形成するパッケージに適用されることが好ましい。
そのため、半導体チップは、硬化性樹脂層(Z2)の表面の一部に載置されるものであり、複数の半導体チップが、一定の間隔を空けて整列された状態で、当該表面に載置されることが好ましく、複数の半導体チップCPが、一定の間隔を空けて、複数行且つ複数列のマトリックス状に整列された状態で当該表面に載置されることがより好ましい。
半導体チップ同士の間隔は、目的とするパッケージの形態等に応じて適宜決定すればよい。
<工程(β-2)>
工程(β-2)は、前記半導体チップを封止材で被覆し(以下、「被覆処理」ともいう)、当該封止材を硬化させて(以下、「硬化処理」ともいう)、前記半導体チップが封止されてなる硬化封止体と、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程である。
工程(β-2)の被覆処理においては、まず、半導体チップと、硬化性樹脂層(Z2)の表面の少なくとも半導体チップの周辺部と、を封止材で被覆する。封止材は、半導体チップの表出している面全体を覆いつつ、複数の半導体チップ同士の間隙にも充填される。
封止材は、半導体チップ及びそれに付随する要素を外部環境から保護する機能を有するものである。
封止材としては、半導体封止材料として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる、例えば、熱硬化性樹脂を含む封止材や、エネルギー線硬化性樹脂を含む封止材等が挙げられる。
また、封止材は、室温で、顆粒状、シート状等の固形であっても、組成物の形態となった液状であってもよいが、作業性の観点から、シート状の封止材が好ましい。
封止材を用いて、半導体チップ及びその周辺部を被覆する方法としては、従来、半導体封止工程に適用されている方法の中から、封止材の種類に応じて適宜選択して適用することができ、例えば、ロールラミネート法、真空プレス法、真空ラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、トランスファーモールディング法、圧縮成形モールド法等を適用することができる。
そして、被覆処理を行った後、封止材を硬化させて、半導体チップが硬化封止材に封止されてなる硬化封止体を得る。
なお、工程(β-2)の被覆処理及び硬化処理は、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)未満の温度条件で行われることが好ましい。
また、被覆工程と硬化工程とは、別々に実施してもよいが、被覆工程において封止材を加熱する場合には、当該加熱によって、そのまま封止材を硬化させ、被覆工程と硬化工程とを同時に実施してもよい。
なお、本工程(β-2)において、封止材を硬化させる硬化処理において、硬化性樹脂層(Z2)も硬化させて硬化樹脂膜を形成する。
硬化性樹脂層(Z2)が、熱硬化性である場合は、封止材を硬化させる硬化処理による加熱により、封止材と共に、硬化性樹脂層(Z2)も硬化させることができる。
また、硬化性樹脂層(Z2)が、エネルギー線硬化性である場合は、別途エネルギー線を硬化性樹脂層(Z2)に照射することで、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成することができる。
<工程(β-3)>
工程(β-3)は、前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、硬化樹脂膜付き硬化封止体を得る工程である。
熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、熱膨張性粒子が膨張し、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)側の粘着シート(I)の表面に凹凸が生じる。その結果、界面Pでわずかな力で一括して容易に分離することができる。
工程(β-3)における前記加熱処理の温度条件としては、上述のとおりである。
界面Pで分離後、硬化性樹脂層(Z2)以外の樹脂膜形成用シート(II)の層を除去することで、硬化樹脂膜付き硬化封止体を得ることができる。
この後、硬化封止体を半導体チップの回路面が露出するまで研削して、回路面に対して再配線を行ったり、外部電極パッドを形成し、外部電極パッドと外部端子電極とを接続させる等の工程を経てもよい。また、硬化封止体に外部端子電極が接続された後、個片化させ、半導体装置を製造することもできる。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例及び実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
<質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
<各層の厚さの測定>
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した。
<熱膨張性粒子の平均粒子径(D50)、90%粒子径(D90)>
レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて、23℃における膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布を測定した。
そして、粒子分布の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が50%及び90%に相当する粒子径を、それぞれ「熱膨張性微粒子の平均粒子径(D50)」及び「熱膨張性粒子の90%粒子径(D90)」とした。
<熱膨張性基材層(Y1-1)の貯蔵弾性率E’>
形成した熱膨張性基材層(Y1-1)を、縦5mm×横30mm×厚さ200μmの大きさとし、剥離材を除去したものを試験サンプルとした。
動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製,製品名「DMAQ800」)を用いて、試験開始温度0℃、試験終了温度300℃、昇温速度3℃/分、振動数1Hz、振幅20μmの条件で、所定の温度における、当該試験サンプルの貯蔵弾性率E’を測定した。
<粘着剤層(X11)及び(X12)の貯蔵せん断弾性率G’>
形成した粘着剤層(X11)及び(X12)を、直径8mmの円形に切断したものを、剥離材を除去し、重ね合わせて、厚さ3mmとしたものを試験サンプルとした。
粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名「MCR300」)を用いて、試験開始温度0℃、試験終了温度300℃、昇温速度3℃/分、振動数1Hzの条件で、ねじりせん断法によって、所定の温度における、試験サンプルの貯蔵せん断弾性率G’を測定した。
<プローブタック値>
測定対象となる基材を一辺10mmの正方形に切断した後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間静置したものを試験サンプルとした。
23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、タッキング試験機(日本特殊測器株式会社製,製品名「NTS-4800」)を用いて、試験サンプルの表面におけるプローブタック値を、JIS Z0237:1991に準拠して測定した。
具体的には、直径5mmのステンレス鋼製のプローブを、1秒間、接触荷重0.98N/cmで試験サンプルの表面に接触させた後、当該プローブを10mm/秒の速度で、試験サンプルの表面から離すのに必要な力を測定し、得られた値を、その試験サンプルのプローブタック値とした。
<分離用加熱処理前の粘着剤層の粘着力の測定>
剥離フィルム上に形成した粘着剤層の粘着表面上に、厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製、製品名「コスモシャインA4100」)を積層し、基材付き粘着シートとした。
そして、剥離フィルムを除去し、表出した粘着剤層の粘着表面を、被着体であるステンレス鋼板(SUS304 360番研磨)に貼付し、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、24時間静置した後、同じ環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、23℃における粘着力を測定した。
<硬化性樹脂層(Z2)の粘着力の測定>
表出している硬化性樹脂層(Z2)の表面を、被着体であるステンレス鋼板(SUS304 360番研磨)に貼付し、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、24時間静置した後、同じ環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、23℃における粘着力を測定した。
製造例1(ウレタンプレポリマーの合成)
窒素雰囲気下の反応容器内に、質量平均分子量1,000のカーボネート型ジオール100質量部(固形分比)に対して、イソホロンジイソシアネートを、カーボネート型ジオールの水酸基とイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基との当量比が1/1となるように配合し、さらにトルエン160質量部を加え、窒素雰囲気下にて、撹拌しながら、イソシアネート基濃度が理論量に到達するまで、80℃で6時間以上反応させた。
次いで、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)1.44質量部(固形分比)をトルエン30質量部に希釈した溶液を添加して、両末端のイソシアネート基が消滅するまで、更に80℃で6時間反応させ質量平均分子量2.9万のウレタンプレポリマーを得た。
製造例2(アクリルウレタン系樹脂の合成)
窒素雰囲気下の反応容器内に、製造例1で得たウレタンプレポリマー100質量部(固形分比)、メチルメタクリレート(MMA)117質量部(固形分比)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)5.1質量部(固形分比)、1-チオグリセロール1.1質量部(固形分比)、及びトルエン50質量部を加え、撹拌しながら、105℃まで昇温した。
そして、反応容器内に、さらにラジカル開始剤(株式会社日本ファインケム製、製品名「ABN-E」)2.2質量部(固形分比)をトルエン210質量部で希釈した溶液を、105℃に維持したまま4時間かけて滴下した。
滴下終了後、105℃で6時間反応させ、質量平均分子量10.5万のアクリルウレタン系樹脂の溶液を得た。
製造例3(硬化性組成物の調製)
下記に示す種類及び配合量(いずれも「有効成分比」)の各成分を配合し、さらにメチルエチルケトンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)61質量%の硬化性組成物の溶液を調製した。
・アクリル系重合体:配合量=28質量部
n-ブチルアクリレート10質量部、メチルアクリレート70質量部、グリシジルメタクリレート5質量部、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合してなるアクリル系重合体(質量平均分子量:80万、ガラス転移温度:-1℃)、上記成分(A1)に相当。
・エポキシ化合物(1):配合量=10.4質量部
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、製品名「jER828」、エポキシ当量=184~194g/eq)、上記成分(B11)に相当。
・エポキシ化合物(2):配合量=5.2質量部
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、製品名「エピクロンHP-7200HH」、エポキシ当量=255~260g/eq)、上記成分(B11)に相当。
・エポキシ化合物(3):配合量=1.7質量部
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、製品名「jER1055」、エポキシ当量=800~900g/eq)、上記成分(B11)に相当。
・熱硬化剤:配合量=0.42質量部
ジシアンジアミド(ADEKA社製、製品名「アデカハードナーEH-3636AS」、活性水素量=21g/eq)、上記成分(B12)に相当。
・硬化促進剤:配合量=0.42質量部
2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、製品名「キュアゾール2PHZ」)、上記成分(B13)に相当。
・着色剤:配合量=0.20質量部
カーボンブラック(三菱化学株式会社製、製品名「#MA650」、平均粒子径=28nm)、上記成分(C)に相当。
・シランカップリング剤:配合量=0.09質量部
3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM403」)、上記成分(D)に相当。
・無機充填材:配合量=55.5質量部
シリカフィラー(アドマテックス社製、製品名「SC2050MA」、平均粒子径=0.5μm)、上記成分(E)に相当。
以下の実施例での各層の形成で使用した粘着性樹脂、添加剤、熱膨張性粒子、剥離材、及び接着性樹脂の詳細は以下のとおりである。
<粘着性樹脂>
・アクリル系共重合体(i):2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=80.0/20.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有する、Mw60万のアクリル系共重合体。
・アクリル系共重合体(ii):n-ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)/アクリル酸=86.0/8.0/5.0/1.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有する、Mw60万のアクリル系共重合体。
<添加剤>
・イソシアネート架橋剤(i):東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度:75質量%。
・光重合開始剤(i):BASF社製、製品名「イルガキュア184」、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン。
<熱膨張性粒子>
・熱膨張性粒子(i):株式会社クレハ製、製品名「S2640」、膨張開始温度(t)=208℃、平均粒子径(D50)=24μm、90%粒子径(D90)=49μm。
<剥離材>
・重剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET382150」、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、シリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm。
・軽剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET381031」、PETフィルムの片面に、シリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm。
実施例1
図2(b)に示す粘着性積層体2bにおいて、粘着シート(I)の第2粘着剤層(X12)及び粘着シート(II)の粘着剤層(X2)上に、さらに剥離材を積層した構成を有する粘着性積層体を、以下の手順にて作製した。
[1]粘着シート(I)の作製
(1-1)第1粘着剤層(X11)の形成
粘着性樹脂である、上記アクリル系共重合体(i)の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)5.0質量部(固形分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)25質量%の粘着剤組成物を調製した。
そして、上記重剥離フィルムの剥離剤層の表面に、当該粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で60秒間乾燥して、厚さ5μmの非熱膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X11)を形成した。
なお、23℃における、第1粘着剤層(X11)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、2.5×10Paであった。
また、上記方法に基づき測定した、第1粘着剤層(X11)の粘着力は、0.3N/25mmであった。
(1-2)第2粘着剤層(X12)の形成
粘着性樹脂である、上記アクリル系共重合体(ii)の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)0.8質量部(固形分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)25質量%の粘着剤組成物を調製した。
そして、上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面に、当該粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で60秒間乾燥して、厚さ10μmの第2粘着剤層(X12)を形成した。
なお、23℃における、第2粘着剤層(X12)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、9.0×10Paであった。
また、上記方法に基づき測定した、第2粘着剤層(X12)の粘着力は、1.0N/25mmであった。
(1-3)基材(Y1)の作製
製造例2で得たアクリルウレタン系樹脂の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)6.3質量部(固形分比)、触媒として、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)1.4質量部(固形分比)、及び上記熱膨張性粒子(i)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の樹脂組成物を調製した。
なお、得られた樹脂組成物中の有効成分の全量(100質量%)に対する、熱膨張性粒子(i)の含有量は20質量%であった。
そして、非熱膨張性基材である、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、製品名「コスモシャインA4100」、プローブタック値:0mN/5mmφ)の表面上に、当該樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で120秒間乾燥して、厚さ50μmの熱膨張性基材層(Y1-1)を形成した。
ここで、上記の非熱膨張性基材であるPETフィルムは、非熱膨張性基材層(Y1-2)に相当する。
なお、熱膨張性基材層(Y1-1)の物性値を測定するサンプルとして、上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面に、当該樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で120秒間乾燥して、厚さ50μmの熱膨張性基材層(Y1-1)を同様に形成した。
そして、上述の測定方法に基づき、熱膨張性基材層(Y1-1)の各温度における貯蔵弾性率及びプローブタック値を測定した。当該測定結果は、以下のとおりであった。
・23℃における貯蔵弾性率E’(23)=2.0×10Pa
・100℃における貯蔵弾性率E’(100)=3.0×10Pa
・208℃における貯蔵弾性率E’(208)=5.0×10Pa
・プローブタック値=0mN/5mmφ
(1-4)各層の積層
上記(1-3)で作製した基材(Y1)の非熱膨張性基材層(Y1-2)と、上記(1-2)で形成した第2粘着剤層(X12)とを貼り合わせると共に、熱膨張性基材層(Y1-1)と、上記(1-2)で形成した第2粘着剤層(X12)とを貼り合せた。
そして、軽剥離フィルム/第2粘着剤層(X12)/非熱膨張性基材層(Y1-2)/熱膨張性基材層(Y1-1)/第1粘着剤層(X11)/重剥離フィルムをこの順で積層してなる、粘着シート(I)を作製した。
[2]樹脂膜形成用シート(II)の作製
基材(Y2)として、上記重剥離フィルムを用いた。当該重剥離フィルムの剥離処理面上に、製造例3で調製した硬化性組成物の溶液を塗布し塗膜を形成し、当該塗膜を120℃で2分間乾燥させて、厚さ25μmの硬化性樹脂層(Z2)を形成した。
なお、形成した硬化性樹脂層(Z2)の粘着力は0.5N/25mmであった。
そして、形成した硬化性樹脂層(Z2)の表面に上記軽剥離フィルムを積層し、基材(Y2)/硬化性樹脂層(Z2)/軽剥離フィルムをこの順で積層してなる、樹脂膜形成用シート(II)を作製した。
[3]粘着性積層体の作製
上記[1]で作製した粘着シート(I)の重剥離フィルムを除去し、表出した第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)である重剥離フィルムの剥離処理が施されていない表面とを貼り合せ、粘着性積層体を得た。
当該粘着性積層体について、加熱処理前及び加熱処理後の、粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離する際の剥離力(F)、(F)を下記方法に基づき測定した。
その結果、剥離力(F)=200mN/25mm、剥離力(F)=0mN/25mmとなり、剥離力(F)と剥離力(F)との比〔(F)/(F)〕は0であった。
<剥離力(F)の測定>
作製した粘着性積層体を23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、24時間静置した後、粘着性積層体の粘着シート(II)が有する重剥離フィルムを除去し、表出した粘着剤層(X2)をステンレス板(SUS304、360番研磨)に貼付した。
次いで、粘着性積層体が貼付されたステンレス板の端部を、万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロン UTM-4-100」)の下部チャックへ固定した。
また、粘着性積層体の粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と粘着シート(II)の基材(Y2)との界面Pで剥離するように、万能引張試験機の上部チャックで粘着性積層体の粘着シート(I)を固定した。
そして、上記と同じ環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分で、界面Pで剥離した際に測定された剥離力を「剥離力(F)」とした。
<剥離力(F)の測定>
作製した粘着性積層体の粘着シート(II)が有する重剥離フィルムを除去し、表出した粘着剤層(X2)をステンレス板(SUS304、360番研磨)に貼付した。
そして、ステンレス板及び粘着性積層体を、240℃で3分間加熱し、粘着性積層体の熱膨張性基材層(Y1-2)中の熱膨張性粒子を膨張させた。
その後は、上述の剥離力(F)の測定と同様にし、上記条件にて、粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と粘着シート(II)の基材(Y2)との界面Pで剥離した際に測定された剥離力を「剥離力(F)」とした。
なお、剥離力(F)の測定において、万能引張試験機の上部チャックで、粘着性積層体の粘着シート(I)を固定しようとした際、界面Pで粘着シート(I)が完全に分離してしまい、固定ができない場合には、測定を終了し、その際の剥離力(F)は「0mN/25mm」とした。
実施例2
以下の手順により、硬化樹脂膜付き硬化封止体を作製した。
(1)半導体チップの載置
実施例1で作製した粘着性積層体が有する粘着シート(I)側の軽剥離フィルムを除去し、表出した粘着シート(I)の第2粘着剤層(X12)の粘着表面を支持体(ガラス)と貼付した。
そして、樹脂膜形成用シート(II)側の軽剥離フィルムも除去し、表出した樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面上に、9個の半導体チップ(それぞれのチップサイズは6.4mm×6.4mm、チップ厚さは200μm(♯2000))を、各半導体チップの回路面とは反対側の裏面が当該表面と接するように、必要な間隔で空けて載置した。
(2)硬化封止体の形成
9個の前記半導体チップと、当該半導体チップの少なくとも周辺部の硬化性樹脂層(Z2)の表面とを、封止樹脂フィルムによって被覆し、真空加熱加圧ラミネーター(ROHM and HAAS社製の「7024HP5」)を用いて、封止樹脂フィルムを硬化させ、硬化封止体を作製した。
なお、封止条件は、下記のとおりである。
・予熱温度:テーブル及びダイアフラム共に100℃
・真空引き:60秒間
・ダイナミックプレスモード:30秒間
・スタティックプレスモード:10秒間
・封止温度:180℃×60分間
なお、この封止樹脂フィルムの硬化と共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)も、上記の環境下で硬化させて、硬化樹脂膜とした。
(3)界面Pでの分離
上記(2)の後、粘着性積層体を熱膨張性粒子の膨張開始温度(208℃)以上となる240℃で3分間の加熱処理を行った。そして、粘着シート(I)の粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pにて、一括して容易に分離することができた。
そして、分離後に、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)も除去し、硬化樹脂膜付き硬化封止体を得た。
1a、1b、1c、1d、2 粘着性積層体
(I) 粘着シート
(X1) 粘着剤層
(X11) 第1粘着剤層
(X12) 第2粘着剤層
(Y1) 基材
(Y1-1) 熱膨張性基材層
(Y1-2) 非熱膨張性基材層
(II) 樹脂膜形成用シート
(Y2) 基材
(Z2) 硬化性樹脂層
50 支持体
60 加工対象物
P 界面

Claims (10)

  1. 第1粘着剤層(X11)及び第2粘着剤層(X12)により基材(Y1)が挟持された構成を有し、且つ前記基材(Y1)が熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層(Y1-1)を有する、熱膨張性の粘着シート(I)と、
    基材(Y2)及び硬化性樹脂層(Z2)を有する樹脂膜形成用シート(II)と、を備え、
    粘着シート(I)の第1粘着剤層(X11)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)とが直接積層した構成を有し、
    所定の加工を施す際に、加工対象物を支持体に固定するために用いられる粘着性積層体であって、
    粘着シート(I)の第2粘着剤層(X12)の表面は、前記支持体と貼付される面であり、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面は、前記加工対象物を貼付する面であり、
    前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上の温度での加熱処理によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離可能である、
    粘着性積層体。
  2. 前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)が60~270℃である、請求項1に記載の粘着性積層体。
  3. 粘着シート(I)が有する基材(Y1)が、更に非熱膨張性基材層(Y1-2)を有する、請求項1又は2に記載の粘着性積層体。
  4. 第1粘着剤層(X11)が、前記熱膨張性粒子を含む熱膨張性粘着剤層であり、第2粘着剤層(X12)が、非熱膨張性粘着剤層である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着性積層体。
  5. 基材(Y2)の粘着シート(I)が積層した側の表面が、剥離処理が施された表面である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着性積層体。
  6. 硬化性樹脂層(Z2)が、重合体成分(A)及び硬化性成分(B)を含む硬化性組成物(z)から形成された層である、請求項1~5のいずれか一項に記載の粘着性積層体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項の粘着性積層体を用いて、樹脂膜付き加工対象物を製造する方法であって、
    下記工程(α-1)~(α-3)を有する、樹脂膜付き加工対象物の製造方法。
    ・工程(α-1):前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X12)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)の表面に加工対象物を載置又は貼付する工程
    ・工程(α-2):前記加工対象物に所定の加工を実施する工程
    ・工程(α-3):前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、樹脂膜付き加工対象物を得る工程
  8. 工程(α-2)において、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する、請求項7に記載の樹脂膜付き加工対象物の製造方法。
  9. 工程(α-2)の後、工程(α-3)の前に、下記工程(α-2’)を有する、請求項7に記載の樹脂膜付き加工対象物の製造方法。
    ・工程(α-2’):硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程。
  10. 請求項1~6のいずれか一項の粘着性積層体を用いて、硬化樹脂膜付き硬化封止体を製造する方法であって、
    下記工程(β-1)~(β-3)を有する、硬化樹脂膜付き硬化封止体の製造方法。
    ・工程(β-1):前記粘着性積層体の粘着シート(I)の粘着剤層(X12)の表面を支持体に貼付すると共に、樹脂膜形成用シート(II)の硬化性樹脂層(Z2)に半導体チップを載置する工程
    ・工程(β-2):前記半導体チップを封止材で被覆し、当該封止材を硬化させて、前記半導体チップが封止されてなる硬化封止体と、硬化性樹脂層(Z2)を硬化させて、硬化樹脂膜を形成する工程
    ・工程(β-3):前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上での加熱によって、粘着シート(I)と、樹脂膜形成用シート(II)の基材(Y2)との界面Pで分離し、硬化樹脂膜付き硬化封止体を得る工程。
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