JP7339424B2 - V型8気筒エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、2つのバンクのバンク角が60°であるV型8気筒エンジンに関する。
近年、船外機の高出力化、船外機を搭載する船艇の高速化及び安定走行化が進行している。これに伴い、複数の船外機を多機掛けする船舶も登場している。また、船外機についても、搭載されるエンジンの大型化及び多気筒化が進行している。例えば、大型の船外機については、V型6気筒エンジン又はV型8気筒エンジンを搭載する船外機が主流となっている。このうち、一般的なV型8気筒エンジンでは、2つのバンクのバンク角(狭角)が60°~65°、90°、120°又は180°であるエンジンが既に開発されている。なお、特開平8-226493号公報には、90°以外のバンク角のV型8気筒エンジンの設計手法が開示されている。
ここで、V型8気筒エンジンを搭載する船外機を設計する場合、船外機におけるエンジンの搭載空間のサイズ、冷却系及び排気系等、限られた空間に各コンポーネントを配置する必要がある。特に、現行の船外機の仕様との整合性は重要であり、機種毎に仕様がバラバラでは、製造、コスト及びメンテナンスの面で問題がある。例えば、V型のエンジンでは、バンクの内側及び外側に吸気系及び排気系を自由にレイアウトすることが可能である。しかしながら、機種毎に仕様がバラバラでは、製造工程が複雑化すると共に、共用部品が少なくなるので、コストがかかる。また、機種毎にメンテナンスの手法が異なれば、一層複雑化する。
さらに、船外機の幅及び長さの関係上、多機掛け、例えば、5つの船外機を並列に搭載した船艇では、幅や長さの大きい船外機は、商品戦略上好ましくない。なお、船外機の長さ方向は、エンジンのヘッドからクランクシャフトの方向(船艇の前後方向)であり、幅方向は、長さ方向に直交する方向(船艇の左右方向)である。
船外機において、大きな容積を占めるのはエンジンである。船外機では、一般に、舵は存在しない。そのため、船外機自身を左右に振ることで舵の効果を得ている。この場合、全ての船外機を同じ方向に同じ角度だけ振るとは限らない。例えば、入港又は出港の際は、船外機の向きや角度を微妙に変えることもある。その際、船外機の幅や長さが大きいと互いに干渉するので、船艇に搭載される船外機の個数には、制限がある。
このように、現行の機種に対して、基本的な仕様及びサイズを大きく変更することなく、高出力のV型8気筒エンジンを設計するためには、例えば、従来と同様に、吸気系をバンクの内側、排気系をバンクの外側とする必要がある。この場合、バンク角は、陸上の車両では、燃焼面から90°が一般的であるが、船外機では、幅及び長さのバランスから90°よりも狭角であることが望ましい。
以上のように、V型8気筒エンジンの仕様を設定した場合、振動と爆発のタイミングとが課題となる。例えば、バンク角を60°に設定した場合、2つのバンク間のクランクピンのオフセットを30°とすることが一般的だが、この場合、クランクシャフトに発生する主要な慣性力としては、一次慣性力、二次慣性力、一次慣性偶力及び二次慣性偶力等がある。このうち、一次慣性力、二次慣性力及び二次慣性偶力については、従来の構成でも相殺が可能である。これに対して、一次慣性偶力を相殺するためには、エンジンの回転に対して逆回転する偶力バランサを搭載する等の対策が必要となる。しかしながら、バランサを取り付けるためには、エンジン内にバランサを設置するための空間と、バランサを取り付けるための追加の部品とが別途必要となる。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、特別な部品を用いることなく、一次慣性偶力を相殺することができるV型8気筒エンジンを提供することを目的とする。
本発明の態様は、2つのバンクのバンク角が60°であるV型8気筒エンジンに関する。前記V型8気筒エンジンは、クランクシャフトと、前記各バンクの気筒の各々に配置された8つのピストンと、前記各ピストンに設けられたピストンピンに小端部が係合し、前記クランクシャフトに設けられたクランクピンに大端部が係合する8つのコネクティングロッドとを有する。この場合、それぞれのバンクについて、4つのピストンピンにコネクティングロッドを介して連結される4つのクランクピンは、前記クランクシャフトの一端部から視て、90°間隔で配置されている。また、一方のバンク側の4つのクランクピンに対して、他方のバンク側の4つのクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされている。
本発明によれば、それぞれのバンクについて、クランクシャフトの一端部から視て、4つのクランクピンが90°間隔で配置され、一方のバンク側の4つのクランクピンに対して、他方のバンク側の4つのクランクピンが、60°オフセットされている。これにより、特別な部品を追加することなく、一次慣性偶力を相殺することが可能となる。
図1Aは、本実施形態に係るエンジンの概略平面図であり、図1Bは、図1Aのエンジンの概略正面図である。 本実施形態に係るエンジンの第1実施例の概略平面図である。 図2の第1実施例の模式的側面図である。 図2の第1実施例の模式的側面図である。 主運動系の1気筒分の構成を模式的に図示した説明図である。 本実施形態に係るエンジンの第2実施例の概略平面図である。 図6の第2実施例の模式的側面図である。 図6の第2実施例の模式的側面図である。 エンジンの点火順序を示す説明図である。 第1実施例の座標系を図示した概略平面図である。 第2実施例の座標系を図示した概略平面図である。 cosθ、-cosθ、sinθ及び-sinθの関係を示す図である。 図13Aは、一方のバンク側を基準とする座標において、該一方のバンク側に作用する一次慣性力のXB1方向成分の説明図であり、図13Bは、一方のバンク側を基準とする座標において、該一方のバンク側に作用する一次慣性力のYB1方向成分の説明図である。 図14Aは、一方のバンク側を基準とする座標において、該一方のバンク側に作用する二次慣性力のXB1方向成分の説明図であり、図14Bは、一方のバンク側を基準とする座標において、該一方のバンク側に作用する二次慣性力のYB1方向成分の説明図である。 図15Aは、一方のバンク側を基準とする座標において、該一方のバンク側に作用する二次慣性偶力のXB1軸回り成分の説明図であり、図15Bは、一方のバンク側を基準とする座標において、該一方のバンク側に作用する二次慣性偶力のYB1軸回り成分の説明図である。 図16Aは、第1実施例の一次慣性偶力の説明図であり、図16Bは、第2実施例の一次慣性偶力の説明図である。 クランクピンのオフセット角度を図示した概略平面図である。 オフセット角度と一次慣性偶力との関係を示す説明図である。
以下、本発明に係るV型8気筒エンジンについて、好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。
[1.本実施形態の概略構成]
本実施形態に係るV型8気筒エンジン10(以下、本実施形態に係るエンジン10という。)は、図1A~図2に示すように、2つのバンク12、14のバンク角が60°であり、且つ、それぞれのバンク12、14に4つの気筒16が設けられたV型のエンジンである。本実施形態に係るエンジン10は、例えば、船外機用のエンジンに適用される。
エンジン10は、クランクシャフト20、クランクシャフト20を収容するクランクケース22、及び、クランクケース22から60°のバンク角(狭角)で2つのバンク12、14が延出するシリンダブロック24等を有する。
それぞれのバンク12、14には、4つの気筒16が設けられている。図1A及び図1Bでは、クランクシャフト20が延在するZ方向に沿って、一方のバンク12に「#1~#4」の気筒番号の4つの気筒16が設けられると共に、他方のバンク14に「#5~#8」の気筒番号の4つの気筒16が設けられる場合を図示している。他方のバンク14の気筒16は、Z方向に沿って、一方のバンク12の4つの気筒16の間にオフセットして配設されている。
なお、本実施形態において、Z軸の正方向(Z方向)は、クランクシャフト20の一端部20aを指向する方向である。そのため、Z軸の負方向は、クランクシャフト20の他端部20bを指向する方向である。また、Y軸の正方向(Y方向)は、図1A及び図1Bの紙面上、Z軸に直交し、且つ、Z軸から左方に延在する方向である。さらに、X軸の正方向(X方向)は、Y軸及びZ軸に直交し、且つ、図1Aの紙面上、Y軸及びZ軸から上方に延在する方向である。
さらにまた、エンジン10の回転方向は、図1Aの紙面上、クランクシャフト20の軸回りに回転する方向であればよい。本実施形態では、図1Aのように、反時計回りに回転する方向がエンジン10の回転方向である場合を図示しており、反時計回りの方向を正転とする。そのため、例えば、エンジン10を船外機に適用する場合、Z方向を上方向、X方向を後方向、Y方向を左方向として、該エンジン10を船外機に搭載する。
そして、本実施形態に係るエンジン10は、クランクシャフト20を含むエンジン10の主運動系26の構成として、図2~図5に示す構成(第1実施例)と、図6~図8に示す構成(第2実施例)との2つのタイプがある。ここでは、第1実施例の構成を最初に説明し、次に、第2実施例の構成について、第1実施例とは異なる点を説明する。
[2.第1実施例]
第1実施例において、エンジン10は、クランクシャフト20と、2つのバンク12、14の気筒16の各々に配置された合計で8つのピストン28と、8つのピストン28とクランクシャフト20とを連結する合計で8つのコネクティングロッド30とを有する。それぞれのコネクティングロッド30は、対応するピストン28に設けられたピストンピン32に小端部30aが係合し、一方で、クランクシャフト20に設けられたクランクピン34に大端部30bが係合する。
なお、図2では、各ピストンピン32及び各クランクピン34に対応する「#1~#8」の気筒番号を付記すると共に、各気筒16でのコネクティングロッド30を介したピストンピン32とクランクピン34との連結を模式的に図示している。また、図2では、#1、#5の気筒番号について、ピストン28の位置も併せて図示している。
さらに、図2では、代表的に、#5の気筒番号について、ピストン28、ピストンピン32、コネクティングロッド30及びクランクピン34の連結状態を破線で図示している。実際には、他の気筒番号についても、#5の気筒番号と同様な連結状態となっているが、以下の説明では、便宜上、このような連結状態を実線で簡略化して図示する。
さらに、図2では、X軸に対する#1の気筒番号のクランクピン34の角度をθとして図示する。また、図3及び図4では、各コネクティングロッド30を直線に模式化して図示している。
クランクシャフト20は、Z軸を通る5つの主回転軸36と、各主回転軸36の間に配設される8つのクランクピン34と、主回転軸36の径方向に延出してクランクピン34と主回転軸36とを連結する複数のクランクウェブ38とから構成される。
なお、図3は、X方向から視た(図1Aの紙面で上方向から視た)主運動系26の構成図である。図4は、Y方向から視た(図1Bの紙面で左方向から視た)主運動系26の構成図である。ここで、主運動系26とは、クランクシャフト20、各ピストン28、各ピストンピン32及び各コネクティングロッド30を含む。
図3及び図4に示すように、クランクシャフト20には、クランクシャフト20の一端部20a(Z軸の正方向側)から他端部20b(Z軸の負方向側)に向かって、それぞれのバンク12、14の気筒16に対応するクランクピン34が交互に配設されている。すなわち、クランクシャフト20の一端部20aから他端部20bに向かって、#1、#5、#2、#6、#3、#7、#4、#8の気筒番号の順で、各気筒16に応じたクランクピン34が配設されている。
つまり、一方のバンク12(図2の左側のバンク12)側の4つのクランクピン34は、クランクシャフト20の一端部20aから他端部20bに向かって、#1、#2、#3、#4の気筒番号の順に、Z方向に沿った所定の間隔でクランクシャフト20に設けられている。また、他方のバンク14(図2の右側のバンク14)側の4つのクランクピン34は、クランクシャフト20の一端部20aから他端部20bに向かって、一方のバンク12側の4つのクランクピン34と交互に配置されるように、#5、#6、#7、#8の気筒番号の順に、Z方向に沿った所定の間隔でクランクシャフト20に設けられている。
そして、第1実施例では、それぞれのバンク12、14について、4つのピストンピン32にコネクティングロッド30を介して連結される4つのクランクピン34は、図2に示すように、Z方向から視て(クランクシャフト20の一端部20aから視て)、90°間隔で配置されている。また、一方のバンク12(図2の左側のバンク12)側の4つのクランクピン34に対して、他方のバンク14(図2の右側のバンク14)側の4つのクランクピン34は、Z方向から視て、60°オフセットされている。
すなわち、それぞれのバンク12、14について、Z方向から視たときに、4つのクランクピン34のうち、クランクシャフト20の一端部20a側(#1、#5の気筒番号)のクランクピン34と他端部20b側(#4、#8の気筒番号)のクランクピン34とは、クランクシャフト20の主回転軸36を挟んで点対称に配置されている。また、Z方向から視たときに、クランクシャフト20の一端部20a側のクランクピン34と他端部20b側のクランクピン34との間における2つのクランクピン34のうち、一端部20a寄り(#2、#6の気筒番号)のクランクピン34は、一端部20a側のクランクピン34に対して270°ずらして配置される。さらに、他端部20b寄り(#3、#7の気筒番号)のクランクピン34は、一端部20a側のクランクピン34に対して90°ずらして配置されている。そして、一方のバンク12側の4つのクランクピン34に対して、他方のバンク14側の4つのクランクピン34は、60°オフセットされている。
より詳しく説明すると、図2に示すように、一方のバンク12側の4つのクランクピン34は、#1、#3、#4、#2の気筒番号の順番に、エンジン10の回転方向(正方向)に90°間隔で配置されている。一方、他方のバンク14側の4つのクランクピン34は、一方のバンク12側の4つのクランクピン34から60°オフセットした状態で、#5、#7、#8、#6の気筒番号の順番に、エンジン10の回転方向(正方向)に90°間隔で配置されている。つまり、#1及び#5の気筒16が対となり、これら2つの気筒16は、60°の位相差で開いた状態でオフセットされている。また、他の気筒についても、#2及び#6の気筒16、#3及び#7の気筒16、#4及び#8の気筒16は、それぞれ、対となって60°の位相差で開いてオフセットされている。
[3.第1実施例の一次慣性偶力]
第1実施例では、一次慣性偶力を相殺するため、上記のように主運動系26を構成することで、図5に示すように、主運動系26の1気筒分について、ピストンピン32側の質量である往復部質量mrecと、クランクピン34側の質量である回転部質量mrotとについて、回転部質量mrotが往復部質量mrecの-1/2である場合(mrot=(-1/2)×mrec)には、クランクシャフト20に対して、後述するウェイト40の付加を不要にしている。
ここで往復部質量mrecとは、ピストン28、ピストンピン32及びコネクティングロッド30のピストン28側の等価質量の合計値である。また、回転部質量mrotとは、クランクピン34及びクランクウェブ38のクランク半径上の等価質量と、コネクティングロッド30のクランクピン34側の等価質量との合計値を示す。なお、往復部質量mrec及び回転部質量mrotは、周知であるため(例えば、「日本機械学会、『機械工学便覧』、丸善株式会社、2001年9月25日、p.A3-142(第13章 往復機械の力学)」を参照)、その詳細な説明を省略する。
また、回転部質量mrotが往復部質量mrecの-1/2である場合(mrot=(-1/2)×mrec)とは、往復部質量mrecの半分の質量が、主回転軸36を中心にクランクピン34とは点対称の位置にあることを意味する。いわゆるクランクシャフトのオーバーバランス率50%に相当する。
一方、回転部質量mrotが往復部質量mrecの-1/2でない場合(mrot≠(-1/2)×mrec)には、エンジン10の回転時にクランクシャフト20に発生する一次慣性偶力に釣り合うウェイト40を、クランクシャフト20の一端部20a側及び他端部20b側の2箇所に付加している。図2~図4には、ウェイト40の配置例を図示している。
この場合、他端部20b側のウェイト40は、#1の気筒番号のクランクピン34に対してθwtの角度位置に付加する。例えば、図2では、後述する(36)式及び(37)式によって発生するモーメントMx、Myを相殺することができるようにウェイト40をクランクシャフト20に付加すればよい。すなわち、#1の気筒番号のクランクピン34の位相から11.57°の角度位置にウェイト40を置けばよい。
また、一端部20a側のウェイト40は、Z方向から見たときに、主回転軸36を挟んで、他端部20b側のウェイト40と点対称(反対側)の位置に付加する。例えば、図2では、#1の気筒番号のクランクピン34の位相から、191.57°の角度位置にウェイト40を置けばよい。
さらに、ウェイト40は、クランクシャフト20において、気筒16毎に振り分けて付加することも可能である。
なお、上記のように、ウェイト40を付加することなく、又は、ウェイト40を付加することにより、一次慣性偶力を相殺することができる理由については、後述する。
[4.第2実施例の一次慣性偶力]
第2実施例は、図6~図8に示すように、クランクシャフト20における一端部20aと他端部20bとの間のクランクピン34の配置等が第1実施例の場合とは異なる。
第2実施例の構成は、図6に示すように、それぞれのバンク12、14について、Z方向から視たときに、クランクシャフト20の一端部20a側(#1、#5の気筒番号)のクランクピン34と他端部20b側(#4、#8の気筒番号の)のクランクピン34との間における2つのクランクピン34のうち、他端部20b寄り(#3、#7の気筒番号)のクランクピン34が一端部20a側のクランクピン34に対して270°ずらして配置されると共に、一端部20a寄り(#2、#6の気筒番号)のクランクピン34が一端部20a側のクランクピン34に対して90°ずらして配置される点で、第1実施例の構成とは異なる。
より詳しく説明すると、図6に示すように、一方のバンク12側の4つのクランクピン34は、#1、#2、#4、#3の気筒番号の順に、エンジン10の回転方向(正方向)に90°間隔で配置されている。また、他方のバンク14側の4つのクランクピン34は、一方のバンク12側の4つのクランクピン34から60°オフセットした状態で、#5、#6、#8、#7の気筒番号の順に、エンジン10の回転方向(正方向)に90°間隔で配置されている。つまり、第2実施例でも、#1及び#5の気筒16が対となり、これらの2つの気筒16は、60°の位相差で開いた状態でオフセットされている。また、他の気筒についても、#2及び#6の気筒16、#3及び#7の気筒16、#4及び#8の気筒16は、それぞれ、対となって60°の位相差で開いてオフセットされている。
これにより、第2実施例の構成では、図7及び図8に示すように、#2、#3、#6、#7の気筒番号に対応するクランクピン34の位置が、図3及び図4に示す第1実施例の構成でのクランクピン34の位置とは異なる。従って、第2実施例において、#2、#3、#6、#7の気筒16では、図6~図8に示すように、第1実施例の構成(図2~図4参照)と比較して、ピストン28の位置も異なることに留意する。
なお、第2実施例でも、第1実施例と同様に、ウェイト40を付加することなく、又は、ウェイト40を付加することにより、一次慣性偶力を相殺することができる。ウェイト40を付加する手法は、第1実施例と同様であるため、詳細な記述は省略するが、一端部20a側と他端部20b側との各々にウェイト40を設けることにより、一次慣性偶力を相殺することができる。この場合、他端部20b側のウェイト40は、#1の気筒番号のクランクピン34の位相から48.43°の角度位置にウェイト40を置けばよい。また、一端部20a側のウェイト40は、#1の気筒番号のクランクピン34の位相から、228.43°の角度位置にウェイト40を置けばよい。
[5.爆発間隔]
図9は、エンジン10における各気筒16の点火順序の一覧を示す説明図である。この点火順序(爆発間隔)の説明では、図2及び図6でエンジン10の回転が時計回りの方向を正転とすることに留意する。第1実施例及び第2実施例について、それぞれ、点火順序は、4つのパターン(A~D)が存在する。第1実施例が図2~図4のように構成され、第2実施例が図6~図8のように構成されるので、各気筒16の点火タイミングは、60°間隔、90°間隔及び120°間隔の組み合わせの不等間隔爆発となる。
例えば、第1実施例のパターンAの点火タイミングは、以下の通りである。1番目の#1の気筒16と2番目の#5の気筒16との間では、図2のように、2つのクランクピン34の間隔が60°で、且つ、一方のバンク12から他方のバンク14まで+60°となるため、爆発間隔は、120°となる(60°+60°=120°)。2番目の#5の気筒16と3番目の#4の気筒16との間では、2つのクランクピン34の間隔が120°で、且つ、他方のバンク14から一方のバンク12まで-60°となるため、爆発間隔は、60°となる(120°-60°=60°)。以下同様に、3番目の#4の気筒16と4番目の#2の気筒16との間では90°の爆発間隔となる。4番目の#2の気筒16と5番目の#6の気筒16との間では120°の爆発間隔となる。5番目の#6の気筒16と6番目の#3の気筒16との間では60°の爆発間隔となる。6番目の#3の気筒16と7番目の#7の気筒16との間では120°の爆発間隔となる。7番目の#7の気筒16と8番目の#8の気筒16との間では90°の爆発間隔となる。8番目の#8の気筒16と1番目の#1の気筒16との間では60°の爆発間隔となる。
但し、それぞれのバンク12、14で着目すると、4つの気筒16の点火タイミングは、90°間隔、180°間隔及び270°間隔の組み合わせの不等間隔爆発となる。例えば、第1実施例のパターンAでは、1番目の#1の気筒16と3番目の#4の気筒16との間では180°の爆発間隔となる(120°+60°=180°)。3番目の#4の気筒16と4番目の#2の気筒16との間では90°の爆発間隔となる。4番目の#2の気筒16と6番目の#3の気筒16との間では180°の爆発間隔となる(120°+60°=180°)。6番目の#3の気筒16と1番目の#1の気筒16との間では270°の爆発間隔となる(120°+90°+60°=270°)。
つまり、それぞれのバンク12、14における爆発間隔は、クランクピン34のオフセットが30°である従来の60°のバンク角のV型のエンジンや、クロスプレーンクランクシャフトのようなバンク角が90°のV型8気筒エンジンと同様の爆発間隔となる。この結果、本実施形態に係るエンジン10は、従来のV型8気筒エンジンと同等の出力性能を有するものと考えられる。
[6.エンジン10の回転によって主運動系26に発生する力]
次に、本実施形態に係るエンジン10において、エンジン10の回転によって主運動系26に発生する各種の力と、第1実施例及び第2実施例の各構成によって、これらの力を相殺することができることについて、図10~図18を参照しながら説明する。ここでは、必要に応じて、図1A~図9も参照しながら説明する。
図10は、第1実施例の構成における座標系を図示したものである。図11は、第2実施例の構成における座標系を図示したものである。図10及び図11において、クランクシャフト20から一方のバンク12側の各気筒16に沿って延びる方向をXB1方向とし、XB1方向に直交する方向をYB1方向とする。また、クランクシャフト20から他方のバンク14側の各気筒16に沿って延びる方向をXB2方向とし、XB2方向に直交する方向をYB2方向とする。すなわち、X軸、Y軸及びZ軸の座標系は、基準座標系であり、XB1軸、YB1軸及びZ軸の座標系は、一方のバンク12側を基準とする座標系であり、XB2軸、YB2軸及びZ軸の座標系は、他方のバンク14側を基準とする座標系である。
<6.1 単気筒エンジンの場合>
先ず、図5の説明図を単気筒のエンジンの模式的構成とみなしたときに、該エンジンの回転によってクランクシャフト20に作用する主要な慣性力について説明する。ここで、前述の「機械工学便覧」(第13章 往復機械の力学、p.A3-142)の記載内容に基づけば、慣性力のX方向成分Fx及びY方向成分Fyは、次の(1)式及び(2)式で表わされる。
Fx=r×ω×(mrec+mrot)×cosθ+(r/L)×ω
×mrec×cos2θ (1)
Fy=r×ω×mrot×sinθ (2)
ここで、rは、クランクシャフト20の半径である。ωは、角速度である(ω=2πf、f:エンジン(クランクシャフト20)の回転周波数)。Lは、コネクティングロッド30の長さである。
なお、(1)式の第1項目「r×ω×(mrec+mrot)×cosθ」は、一次慣性力を示す。また、(1)式の第2項目「(r/L)×ω×mrec×cos2θ」は、二次慣性力を示す。さらに、(2)式中の「r×ω×mrot×sinθ」は、一次慣性力のみ示している。すなわち、図5の構成では、二次慣性力のY方向成分は発生しない。
<6.2 一次慣性力>
これに対して、本実施形態に係るエンジン10は、V型8気筒である。ここで、代表的に、第1実施例の構成において、エンジン10が回転した際に発生する力について説明する。
先ず、第1実施例の構成において、一方のバンク12側に作用する該一方のバンク12側を基準とする座標系(XB1-YB1-Z座標系)における一次慣性力のXB1方向成分Fxb1は、上記(1)式に基づき、下記の(3)式で表わされる。
Fxb1=Fx11+Fx21+Fx31+Fx41
=(mrec+mrot)×r×ω×cosθ
+(mrec+mrot)×r×ω×cos(θ+270°)
+(mrec+mrot)×r×ω×cos(θ+90°)
+(mrec+mrot)×r×ω×cos(θ+180°)
=(mrec+mrot)×r×ω×{cosθ
+cos(θ+270°)+cos(θ+90°)
+cos(θ+180°)}
=(mrec+mrot)×r×ω×(cosθ+sinθ
-sinθ-cosθ)
=(mrec+mrot)×r×ω×0
=0 (3)
なお、Fx11~Fx41は、#1~#4の気筒16に発生する一次慣性力のXB1方向成分である。また、図12には、θに対するcosθ、-cosθ、sinθ及び-sinθの変化を図示している。
また、一方のバンク12側に作用する該一方のバンク12側を基準とする座標系における一次慣性力のYB1方向成分Fyb1についても、上記(2)式に基づき、(3)式と同様に計算すれば、下記の(4)式で表わされる。
Fyb1=0 (4)
ここで、(3)式及び(4)式に対応する一次慣性力の変化を、図13A(XB1方向成分の結果)及び図13B(YB1方向成分の結果)に示す。
なお、他方のバンク14側は、一方のバンク12側に対してクランクピン34を60°オフセットしている構成である。そのため、他方のバンク14側についても、一方のバンク12側と同様に、一次慣性力は0となる。つまり、それぞれのバンク12、14内で一次慣性力が釣り合う。従って、第1実施例の構成では、クランクシャフト20に一次慣性力が発生しない。
<6.3 二次慣性力>
次に、第1実施例の構成における二次慣性力について検討する。単気筒エンジンの場合、(2)式からも明らかなように、二次慣性力のY方向成分は発生しない。そのため、ここでは、一方のバンク12側について、該一方のバンク12の座標系における二次慣性力のXB1方向成分Fxb2のみ検討する。Fxb2は、上記(1)式に基づき、下記の(5)式で表わされる。
Fxb2=Fx12+Fx22+Fx32+Fx42
=(r/L)×mrec×r×ω×cos2θ
+(r/L)×mrec×r×ω×cos(2θ+540°)
+(r/L)×mrec×r×ω×cos(2θ+180°)
+(r/L)×mrec×r×ω×cos(2θ+360°)
=(r/L)×mrec×r×ω×(cos2θ-cos2θ-cos2θ+cos2θ)
=0 (5)
ここで、Fx12~Fx42は、#1~#4の気筒16に発生する二次慣性力のXB1方向成分である。(5)式等に対応する二次慣性力の変化を、図14A(XB1方向成分の結果)及び図14B(YB1方向成分の結果)に示す。
前述のように、他方のバンク14側は、一方のバンク12側に対してクランクピン34を60°オフセットしている構成であるため、他方のバンク14側についても、一方のバンク12側と同様に、二次慣性力は0となる。つまり、それぞれのバンク12、14内で二次慣性力が釣り合う。従って、第1実施例の構成では、クランクシャフト20に二次慣性力が発生しない。
<6.4 二次慣性偶力>
次に、第1実施例の構成における二次慣性偶力について検討する。前述のように、一方のバンク12の座標系では、二次慣性力のYB1方向成分は発生しないので、二次慣性力のXB1方向成分によって発生するYB1軸回りのモーメントである二次慣性偶力Myb12を検討する。Myb12は、上記(1)式及び(5)式に基づき、下記の(6)式で表わされる。
Myb12=Fx12×L1+Fx22×L2+Fx32×L3
+Fx42×L4
=(r/L)×mrec×r×ω×cos2θ×L1
+(r/L)×mrec×r×ω×cos(2θ+540°)×L2
+(r/L)×mrec×r×ω×cos(2θ+180°)×L3
+(r/L)×mrec×r×ω×cos(2θ+360°)×L4
=(r/L)×mrec×r×ω
×(cos2θ×L1-cos2θ×L2-cos2θ×L3
+cos2θ×L4)
=(r/L)×mrec×r×ω
×(cos2θ×s-cos2θ×s)
=0 (6)
ここで、L1~L4は、#1~#4の気筒16に対応するコネクティングロッド30をZ軸に投影した点のZ座標値である。sは、ボアピッチである。(6)式において、L1~L4とボアピッチsとの関係は、下記(7)式及び(8)式の通りである。
L1-L2=s (7)
-L3+L4=-s (8)
(6)式等に対応する二次慣性偶力の変化を、図15A(XB1軸回り成分の結果)及び図15B(YB1軸回り成分の結果)に示す。
なお、他方のバンク14側は、一方のバンク12側に対してクランクピン34を60°オフセットしている構成であるため、他方のバンク14側についても、一方のバンク12側と同様に、二次慣性偶力は0となる。つまり、それぞれのバンク12、14内で二次慣性偶力が釣り合う。従って、第1実施例の構成では、クランクシャフト20に二次慣性偶力が発生しない。
<6.5 第2実施例での各慣性力及び二次慣性偶力>
第2実施例の構成は、第1実施例の構成と比較して、#2及び#3のクランクピン34の配置と、#6及び#7のクランクピン34の配置とが入れ替わっているだけなので、第1実施例の構成と同様に、それぞれのバンク12、14内で一次慣性力、二次慣性力及び二次慣性偶力が釣り合う。従って、第2実施例の構成でも、一次慣性力、二次慣性力及び二次慣性偶力は発生しない。
<6.6 第1実施例の構成での一次慣性偶力>
これに対して、第1実施例及び第2実施例の各構成とも、一次慣性偶力は発生する可能性がある。ここで、第1実施例について、一方のバンク12側の一次慣性偶力に関し、一方のバンク12の座標系において、XB1軸回りのモーメントであるMxb11は、下記の(9)式で表わされる。
Mxb11=Fy11×L1+Fy21×L2+Fy31×L3
+Fy41×L4
=mrot×r×ω×{sin(θ-30°)×L1
+sin(θ-30°+270°)×L2
+sin(θ-30°+90°)×L3
+sin(θ-30°+180°)×L4}
=-mrot×r×ω×s
×{3×sin(θ-30°)-cos(θ-30°)}
(9)
Fy11~Fy41は、#1~#4の気筒16に発生する一次慣性力の各バンクの座標系でのY方向成分、すなわち、一次慣性力のYB1方向成分である。また、(9)式において、ボアピッチsとL1~L4との関係は、下記の(10)式及び(11)式の通りである。
L1-L4=3×s (10)
L2-L3=s (11)
ここで、下記(12)式の一般的な三角関数の合成式を用いて、上記の(9)式を後述する(13)式に変更する。
A×sinφ+B×cosφ=(A+B1/2×sin(φ+α)
(12)
この場合、α=tan-1(B/A)である。また、A及びBは、任意の数である。従って、(12)式を用いると、上記(9)式は、下記(13)式のように表わされる。
Mxb11=-mrot×r×ω×s×(3+11/2
×sin{θ-30°-tan-1(1/3)}
=-101/2×mrot×r×ω×s
×sin{θ-30°-tan-1(1/3)} (13)
また、一方のバンク12側の一次慣性偶力に関し、一方のバンク12の座標系において、YB1軸回りのモーメントであるMyb11は、下記の(14)式で表わされる。なお、(14)式中のボアピッチsは、上記(10)式及び(11)式の通りである。
Myb11=Fx11×L1+Fx21×L2+Fx31×L3
+Fx41×L4
=(mrec+mrot)×r×ω×
×{cos(θ-30°)×L1
+cos(θ-30°+270°)×L2
+cos(θ-30°+90°)×L3
+cos(θ-30°+180°)×L4}
=(mrec+mrot)×r×ω×s
×{sin(θ-30°)+3×cos(θ-30°)}
(14)
ここで、β=tan-1(A/B)とし、下記(15)式の一般的な三角関数の合成式を用いると、上記(14)式は、下記(16)式のように表わされる。
A×sinφ+B×cosφ=(A+B1/2×cos(φ-β)
(15)
Myb11=(mrec+mrot)×r×ω×s×(1+31/2
×cos{θ-30°-tan-1(1/3)}
=101/2×(mrec+mrot)×r×ω×s
×cos{θ-30°-tan-1(1/3)} (16)
これに対して、他方のバンク14側の一次慣性偶力に関し、他方のバンク14の座標系(XB2-YB2-Z座標系)において、XB2軸回りのモーメントであるMxb21は、上記のMxb11と同様に、下記の(17)式で表わされる。
Mxb21=Fy51×L5+Fy61×L6+Fy71×L7
+Fy81×L8
=-mrot×r×ω×s×(sinθ+3×cosθ)
(17)
ここで、L5~L8は、図3及び図4のように、#5~#8の気筒16に対応するコネクティングロッド30をZ軸に投影した点のZ座標値である。また、Fy51~Fy81は、#5~#8の気筒16に発生する一次慣性力の各バンクの座標系でのY方向成分、すなわち、一次慣性力のYB2方向成分である。さらに、(17)式において、L5~L8とボアピッチsとの関係は、下記(18)式及び(19)式の通りである。
L5-L8=3×s (18)
L6-L7=s (19)
そして、(15)式を用いると、上記の(17)式は、下記の(20)式で表わされる。
Mxb21=-101/2×mrot×r×ω×s
×cos{θ-tan-1(1/3)} (20)
また、他方のバンク14側の一次慣性偶力に関し、他方のバンク14の座標系において、YB2軸回りのモーメントであるMyb21は、上記のMyb11と同様に、下記の(21)式で表わされる。
Myb21=Fx51×L5+Fx61×L6+Fx71×L7
+Fx81×L8
=-(mrec+mrot)×r×ω×s
×(3×sinθ-cosθ) (21)
なお、Fx51~Fx81は、#5~#8の気筒16に発生する一次慣性力のXB2方向成分である。そして、(12)式を用いると、上記の(21)式は、下記の(22)式で表わされる。
Myb21=-101/2×(mrec+mrot)×r×ω×s
×sin{θ-tan-1(1/3)} (22)
上記の(13)式、(16)式、(20)式及び(22)式は、図10及び図11に示すXB1-YB1-Zの座標系及びXB2-YB2-Zの座標系でそれぞれ表現されている。これらの式をX-Y-Zの座標系に座標変換すれば、一方のバンク12側の一次慣性偶力のX軸回りのモーメントMx11と、他方のバンク14側の一次慣性偶力のX軸回りのモーメントMx21とを求めることができる。ここで、一般的な座標変換の式は、下記の(23)式~(25)式で表わされる。
X=x×cosφ-y×sinφ (23)
Y=x×sinφ+y×cosφ (24)
Figure 0007339424000001
ここで、(23)式~(25)式は、二次元直交座標系において、任意の点(x、y)を原点の回りにφの角度だけ回転させた点の座標(X、Y)を求める式である。従って、(23)式~(25)式を用いることで、XB1-YB1及びXB2-YB2の各座標系で構成されている一次慣性偶力のモーメントを、X-Y座標系のモーメントに変換することができる。ここで、一方のバンク12側で説明すると、XB1-YB1座標系の原点を中心に、時計回りに30°回転させれば、X-Y座標系に変換することができる。従って、(23)式及び(24)式から、以下のように、モーメントの式を展開することができる。
すなわち、一方のバンク12側の一次慣性偶力のX軸回りのモーメントMx11は、(13)式及び(16)式と、#1の気筒16について(23)式中のφが30°であることから、下記の(26)式で表わされる。
Mx11=Mxb11×cos(30°)-Myb11
×sin(30°)
=101/2×r×ω×s×[-mrot
×sin{θ-30°-tan-1(1/3)}×cos(30°)
-(mrec+mrot)
×cos{θ-30°-tan-1(1/3)}×sin(30°)]
=101/2×r×ω×s×[-mrot
×{sin{θ-30°-tan-1(1/3)}×cos(30°)
+cos{θ-30°-tan-1(1/3)}×sin(30°)}
-mrec×cos{θ-30°-tan-1(1/3)}
×(1/2)] (26)
ここで、下記(27)式の一般的な三角関数の加法定理の式を用いて、上記の(26)式を後述する(28)式に変更する。
sinα×cosβ+cosα×sinβ=sin(α+β) (27)
Mx11=101/2×r×ω×s
×[-mrot×sin{θ-30°-tan-1(1/3)+30°}
-(1/2)×mrec×cos{θ-30°-tan-1(1/3)}]
=101/2×r×ω×s×[-(1/2)×mrec
×cos{θ-30°-tan-1(1/3)}
-mrot×sin{θ-tan-1(1/3)}] (28)
また、他方のバンク14側の一次慣性偶力のX軸回りのモーメントMx21についても、上記のMx11と同様に、下記(29)式で表わされる。
Mx21=101/2×r×ω×s×[(-1/2)×mrec
×sin{θ-tan-1(1/3)}-mrot
×cos{θ-tan-1(1/3)-30°}] (29)
さらに、一方のバンク12側の一次慣性偶力のY軸回りのモーメントであるMy11と、他方のバンク14側の一次慣性偶力のY軸回りのモーメントであるMy21とについても、上記のMx11、Mx21と同様に、下記の(30)式及び(31)式で表わされる。
My11=101/2×r×ω×s×[(mrec+mrot)
×cos{θ-tan-1(1/3)}
+(1/2)×mrec×sin{θ-30°
-tan-1(1/3)}] (30)
My21=101/2×r×ω×s×[-(mrec+mrot)
×sin{θ-30°-tan-1(1/3)}-(1/2)
×mrec×cos{θ-tan-1(1/3)}] (31)
そして、クランクシャフト20全体に作用する一次慣性偶力のX軸回りのモーメントMxは、Mx11の(28)式及びMx21の(29)式と、一般的な因数分解の公式であるA×C+A×D+B×C+B×D=(A+B)×(C+D)とを用いて、下記の(32)式で表わされる。
Mx=Mx11+Mx21
=101/2×r×ω×s×[(-1/2)×mrec
×cos{θ-30°-tan-1(1/3)}
-mrot×sin{θ-tan-1(1/3)}]
+101/2×r×ω×s×[(-1/2)×mrec
×sin{θ-tan-1(1/3)}-mrot
×cos{θ-tan-1(1/3)-30°}]
=101/2×r×ω×s×{(-1/2)×mrec-mrot}
×[cos{θ-30°-tan-1(1/3)}
+sin{θ-tan-1(1/3)}] (32)
ここで、下記(33)式の一般的な三角関数の加法定理の数式を用いて、上記の(32)式を変更する。
cos(α-β)=cosα×cosβ+sinα×sinβ (33)
なお、(33)式中、α及びβは、任意の角度である。従って、(33)式を用いると、(32)式中のcos{θ-30°-tan-1(1/3)}は、下記(34)式のように表わされる。
cos{θ-30°-tan-1(1/3)}
=cos{θ-tan-1(1/3)}×cos(30°)
+sin{θ-tan-1(1/3)}×sin(30°)
=cos{θ-tan-1(1/3)}×(31/2/2)
+sin{θ-tan-1(1/3)}×(1/2)
=(31/2/2)×cos{θ-tan-1(1/3)}
+(1/2)×sin{θ-tan-1(1/3)} (34)
(34)式を(32)式に代入すると、Mxは、下記の(35)式のように表わされる。
Mx=101/2×r×ω×s×{(-1/2)×mrec-mrot}
×[(31/2/2)×cos{θ-tan-1(1/3)}
+(3/2)×sin{θ-tan-1(1/3)}] (35)
ここで、(12)式を用いると、Mxは、下記の(36)式のように表わされる。(36)式では、式を整理するため、数値の部分を1つにまとめ、mrec及びmrotの係数を整数化し、sinの部分に180°を加えて位相を反転し、数式全体のマイナスの符号を消去している。
Mx=101/2×r×ω×s×{(3/2)+(31/2/2)1/2
×(1/2)×2×{(-1/2)×mrec-mrot}
×sin[θ-tan-1(1/3)+30°]
=-(301/2/2)×r×ω×s×(mrec+2×mrot)
×sin[θ-tan-1(1/3)+30°]
=(301/2/2)×r×ω×s×(mrec+2×mrot)
×sin[θ+210°-tan-1(1/3)] (36)
一方、クランクシャフト20全体に作用する一次慣性偶力のY軸回りのモーメントMyは、(30)式及び(31)式を用いて、Mxと同様に座標変換すると、下記の(37)式で表わされる。
My=My11+My12
=101/2×r×ω×s×{(-1/2)×mrec-mrot}
×[sin{θ-30°-tan-1(1/3)}
-cos{θ-tan-1(1/3)}]
=(301/2/2)×r×ω×s×(mrec+2×mrot)
×sin{θ+120°-tan-1(1/3)} (37)
以上から、各気筒16毎に、mrot=(-1/2)×mrecとすれば、一次慣性偶力を相殺することができる。また、mrot≠(-1/2)×mrecの場合は、後述のようにして1次慣性偶力を相殺することができる。
ここで、θの符号は正であり、Mx及びMyは、図16Aに示すように、振幅が同じで、位相が90°遅れる。そのため、一次慣性偶力は、エンジン10の回転方向と同じ方向のすりこぎ運動となる。従って、一次慣性偶力に対しては、図2~図8に示したように、バランスウェイトとしてのウェイト40を付加すれば、相殺することが可能である。
この場合、ウェイト40は、図2及び図10に示すθwtの角度位置で他端部20b側に配置される。また、ウェイト40は、一端部20a側において、主回転軸36を挟んで、他端部20b側のウェイト40とは180°位相が異なる角度位置にも配置される。すなわち、2つのウェイト40が配置される。
また、ウェイト40の慣性モーメントは、(36)式及び(37)式中に示したように、(301/2/2)×r×s×(mrec+2×mrot)となる。図16Aでは、付加したウェイト40による偶力(ウェイト40によるX軸回りのモーメントMxwt、ウェイト40によるY軸回りのモーメントMywt)によって、クランクシャフト20に発生する一次慣性偶力であるMx、Myを相殺する場合を図示している。
ここで、ウェイト40によるX軸回りのモーメントMxwtは、下記の(38)式で表わすことができる。この場合、モーメントMxwtの位相は、(36)式のsinの部分の位相を180°ずらした位相となる。
Mxwt=(301/2/2)×r×ω×s×(mrec+2×mrot)
×sin{θ+30°-tan-1(1/3)} (38)
また、ウェイト40によるY軸回りのモーメントMywtは、下記の(39)式で表わすことができる。この場合、モーメントMywtの位相は、(37)式のsinの部分の位相を180°ずらした位相となる。
Mywt=(301/2/2)×r×ω×s×(mrec+2×mrot)
×sin{θ+300°-tan-1(1/3)} (39)
より詳しく説明すると、図2及び図10に示すように、他端部20b側にて、θwtの角度位置にウェイト40が配置されると共に、一端部20a側にも、主回転軸36を挟んで該他端部20b側のウェイト40とは反対側の角度位置にウェイト40が配置される。2つのウェイト40によって、(36)式及び(37)式に示す位相に対して、180°位相がずれたモーメントMxwt、Mywtが発生する。これにより、一次慣性偶力を相殺することができる。
ここで、他端部20b側のウェイト40の位相であるθwtは、#1の気筒番号のクランクピン34からの角度であるため、それを求めると、tan-1(1/3)≒18.43°であるため、下記の(40)式で表わされる。
θwt=210°-tan-1(1/3)-180°
=30°-tan-1(1/3)
≒11.57° (40)
従って、他端部20b側では、#1の気筒番号のクランクピン34の角度位置から、11.57°の位相にウェイト40を設けるとよい。
また、一端部20a側に配置されるウェイト40については、他端部20b側のウェイト40に対して、180°回転した位置に設けるとよい。ここで、一端部20a側に配置されるウェイト40の角度位置θwaは、下記の(41)式で表わされる。
θwa=θwt+180°=11.57°+180°
=191.57° (41)
また、ウェイト40の慣性モーメントは、(38)式及び(39)式中に示したように、(301/2/2)×r×s×(mrec+2×mrot)となる。図16Aでは、付加したウェイト40による偶力(モーメントMxwt、Mywt)によって、クランクシャフト20に発生する一次慣性偶力であるMx、Myを相殺する場合を図示している。
<6.7 第2実施例の構成での一次慣性偶力>
第2実施例の構成においても、第1実施例での一次慣性偶力の数式と同様の計算を行うと、クランクシャフト20に発生する一次慣性偶力は、(36)式及び(37)式に対して、位相を2×tan-1(1/3)だけずらせばよいことが分かる。すなわち、第1実施例と同様に、2つのバンク12、14の各成分を座標変換することで、下記の(42)式及び(43)式で表わすことができる。
Mx=(301/2/2)×r×ω×s×(mrec+2×mrot)
×sin{θ+210°+tan-1(1/3)} (42)
My=(301/2/2)×r×ω×s×(mrec+2×mrot)
×sin{θ+120°+tan-1(1/3)} (43)
第2実施例の構成でも、第1実施例の構成と同様に、一次慣性偶力は、正転型のすりこぎ運動となる。そのため、ウェイト40を付加することで、一次慣性偶力を相殺することが可能である。
第1実施例と同様であるため、ここでは、詳細を省略し、結果のみ記載する。第2実施例においても、ウェイト40は、図6及び図11に示す#1の気筒番号のクランクピン34からθwtの角度位置に配置される。ここで、θwtは、下記の(44)式で表わされる。
θwt=210°+tan-1(1/3)-180°
=30°+tan-1(1/3)
≒48.43° (44)
よって、図6及び図11に示す#1のクランクピン34の角度位置から48.43°の位相で、他端部20b側にウェイト40を設けるとよい。また、一端部20a側に配置されるウェイト40については、他端部20b側のウェイト40に対して、180°回転した角度位置に設けるとよい。ここで、一端部20aに配置されるウェイト40の角度位置θwaは、下記の(45)式で表わされる。
θwa=48.43°+180°=228.43° (45)
また、ウェイト40の慣性モーメントは、(42)式及び(43)式中に示したように、(301/2/2)×r×s×(mrec+2×mrot)となる。図16Bでは、付加したウェイト40による偶力Mxwt、Mywtによって、クランクシャフト20に発生する一次慣性偶力であるMx、Myを相殺する場合を図示している。
<6.8 クランクピン34のオフセットと一次慣性偶力との関係>
次に、本実施形態に係るエンジン10について、クランクピン34のオフセットと一次慣性偶力との関係について説明する。図17に示すように、X軸と#1の気筒番号のクランクピン34との成す角度をθとし、一方のバンク12側のクランクピン34に対する他方のバンク14側のクランクピン34のオフセット角度をΨとする。本実施形態では、上述した第1実施例及び第2実施例の各構成を採用することにより、図18に示すように、Ψ=60°において、一次慣性偶力の振幅Mmagを0にすることができる。なお、一次慣性力、二次慣性力及び二次慣性偶力については、各バンク毎に0であるので、オフセット角度Ψを変更しても、常に0のままである。
具体的に、第1実施例において、一次慣性偶力Mx、Myは、mrot=(-1/2)×mrecの関係式を用いて、(36)式及び(37)式から(46)式及び(47)式に書き替えることができる。
Mx=(101/2/2)×r×ω×s×mrec
×{2-2×cos(Ψ-60°)}1/2
×sin[θ-tan-1(1/3)-tan-1{sin(Ψ-60°)
/(1-cos(Ψ-60°))}-60°] (46)
My=(101/2/2)×r×ω×s×mrec
×{2-2×cos(Ψ-60°)}1/2
×sin[θ-tan-1(1/3)-tan-1{sin(Ψ-60°)
/(1-cos(Ψ-60°))}+30°] (47)
これにより、一次慣性偶力の振幅Mmagは、下記の(48)式で表わすことができる。
Mmag=(101/2/2)×r×ω×s×mrec
×{2-2×cos(Ψ-60°)}1/2 (48)
(48)式で表わされた振幅を0にするには、Ψ=60°にすればよいことが分かる。なお、第2実施例についても、同様の結果が得られる。
[7.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るエンジン10(V型8気筒エンジン)は、2つのバンク12、14のバンク角が60°であり、クランクシャフト20と、各バンク12、14の気筒16の各々に配置された8つのピストン28と、各ピストン28に設けられたピストンピン32に小端部30aが係合し、クランクシャフト20に設けられたクランクピン34に大端部30bが係合する8つのコネクティングロッド30とを有する。
この場合、それぞれのバンク12、14について、4つのピストンピン32にコネクティングロッド30を介して連結される4つのクランクピン34は、Z方向から視て(クランクシャフト20の一端部20aから視て)、90°間隔で配置されている。また、一端部20a又は他端部20bからZ方向に沿って、一方のバンク12側の4つのクランクピン34に対して一対となる他方のバンク14側の4つのクランクピン34は、Z方向から視て、60°オフセットされている。
このように、それぞれのバンク12、14について、4つのクランクピン34が90°間隔で配置され、一方のバンク12側の4つのクランクピン34に対して、他方のバンク14側の4つのクランクピン34が、60°オフセットされているので、特別な部品を追加することなく、一次慣性偶力を相殺することが可能となる。
ここで、第1実施例の構成では、一方のバンク12側の4つのクランクピン34は、クランクシャフト20の一端部20aから他端部20bに向かって、所定の間隔でクランクシャフト20に設けられている。また、他方のバンク14側の4つのクランクピン34は、クランクシャフト20の一端部20aから他端部20bに向かって、一方のバンク12側の4つのクランクピン34間に配置されるように、所定の間隔でクランクシャフト20に設けられている。
この場合、一端部20aから他端部20bを視たときに、それぞれのバンク12、14について、4つのクランクピン34のうち、一端部20a側のクランクピン34と他端部20b側のクランクピン34とがクランクシャフト20を挟んで点対称に配置されている。また、一端部20a側のクランクピン34と他端部20b側のクランクピン34との間の2つのクランクピン34のうち、一端部20a寄りのクランクピン34は、一端部20a側のクランクピン34に対して270°ずらして配置される。さらに、他端部20b寄りのクランクピン34は、一端部20a側のクランクピン34に対して90°ずらして配置されている。
しかも、一方のバンク12側の4つのクランクピン34に対して、他方のバンク14側の4つのクランクピン34は、60°オフセットされている。
このように構成することで、簡単な構成で一次慣性偶力を容易に相殺することができる。
また、第2実施例の構成は、Z方向から視て、一端部20a側のクランクピン34と他端部20b側のクランクピン34との間の2つのクランクピン34のうち、他端部20b寄りのクランクピン34は、一端部20a側のクランクピン34に対して270°ずらして配置されると共に、一端部20a寄りのクランクピン34は、一端部20a側のクランクピン34に対して90°ずらして配置されている点で、第1実施例の構成とは異なる。この構成でも、一次慣性偶力を容易に相殺することができる。
また、エンジン10において、各気筒16の点火タイミングは、60°間隔、90°間隔及び120°間隔の組み合わせの不等間隔爆発である。しかしながら、それぞれのバンク12、14で見ると、4つの気筒16の点火タイミングは、90°間隔、180°間隔及び270°間隔の組み合わせの不等間隔爆発である。つまり、それぞれのバンク12、14で見ると、従来のV型8気筒エンジンと点火タイミングは同じになる。これにより、従来のV型8気筒エンジンと同等の出力を確保することが可能となる。
また、クランクシャフト20、各ピストン28及び各コネクティングロッド30を含む主運動系26において、ピストンピン32側の質量である往復部質量mrecと、クランクピン34側の質量である回転部質量mrotとについて、回転部質量mrotが往復部質量mrecの-1/2である場合(mrot=(-1/2)×mrec)には、クランクシャフト20に対するウェイト40の付加が不要である。一方、回転部質量mrotが往復部質量mrecの-1/2でない場合(mrot≠(-1/2)×mrec)には、エンジン10の回転時にクランクシャフト20に発生する一次慣性偶力に釣り合うウェイト40をクランクシャフト20に付加すればよい。
これにより、エンジン10の回転方向とは逆回転するバランサ等が不要となり、一次慣性偶力を相殺することができる。この結果、エンジン10の軽量化、低コスト化、省スペース化を図ることができる。
また、ウェイト40は、クランクシャフト20における各気筒16に対応する箇所に振り分けて複数付加することもできる。これにより、クランクシャフト20全体として、ウェイト40で作られるモーメントを一次慣性偶力と釣り合うように設定すれば、一次慣性偶力を相殺することができる。
以上より、各種の振動を低減することができるので、本実施形態に係るエンジン10を船外機用のエンジンとして好適に採用することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることは勿論である。

Claims (7)

  1. 2つのバンク(12、14)のバンク角が60°であるV型8気筒エンジン(10)において、
    クランクシャフト(20)と、
    前記各バンクの気筒(16)の各々に配置された8つのピストン(28)と、
    前記各ピストンに設けられたピストンピン(32)に小端部(30a)が係合し、前記クランクシャフトに設けられたクランクピン(34)に大端部(30b)が係合する8つのコネクティングロッド(30)と、
    を有し、
    それぞれのバンクについて、4つのピストンピンにコネクティングロッドを介して連結される4つのクランクピンのうち、前記クランクシャフトの一端部(20a)側のクランクピンと前記クランクシャフトの他端部(20b)側のクランクピンとは、前記一端部から視て、前記クランクシャフトを挟んで点対称に配置され、
    前記一端部側のクランクピンと前記他端部側のクランクピンとの間の2つのクランクピンのうち、前記一端部寄りのクランクピンは、前記一端部側のクランクピンに対して270°ずらして配置されると共に、前記他端部寄りのクランクピンは、前記一端部側のクランクピンに対して90°ずらして配置され、
    一方のバンクの前記一端部側のクランクピンに対して、他方のバンクの前記一端部側のクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされ
    前記一方のバンクの前記他端部側のクランクピンに対して、前記他方のバンクの前記他端部側のクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされ、
    前記一方のバンクの前記一端部寄りのクランクピンに対して、前記他方のバンクの前記一端部寄りのクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされ、
    前記一方のバンクの前記他端部寄りのクランクピンに対して、前記他方のバンクの前記他端部寄りのクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされている、V型8気筒エンジン。
  2. 2つのバンクのバンク角が60°であるV型8気筒エンジンにおいて、
    クランクシャフトと、
    前記各バンクの気筒の各々に配置された8つのピストンと、
    前記各ピストンに設けられたピストンピンに小端部が係合し、前記クランクシャフトに設けられたクランクピンに大端部が係合する8つのコネクティングロッドと、
    を有し、
    それぞれのバンクについて、4つのピストンピンにコネクティングロッドを介して連結される4つのクランクピンのうち、前記クランクシャフトの一端部側のクランクピンと前記クランクシャフトの他端部側のクランクピンとは、前記一端部から視て、前記クランクシャフトを挟んで点対称に配置され、
    前記一端部側のクランクピンと前記他端部側のクランクピンとの間の2つのクランクピンのうち、前記他端部寄りのクランクピンは、前記一端部側のクランクピンに対して270°ずらして配置されると共に、前記一端部寄りのクランクピンは、前記一端部側のクランクピンに対して90°ずらして配置され
    方のバンクの前記一端部側のクランクピンに対して、他方のバンクの前記一端部側のクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされ
    前記一方のバンクの前記他端部側のクランクピンに対して、前記他方のバンクの前記他端部側のクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされ、
    前記一方のバンクの前記一端部寄りのクランクピンに対して、前記他方のバンクの前記一端部寄りのクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされ、
    前記一方のバンクの前記他端部寄りのクランクピンに対して、前記他方のバンクの前記他端部寄りのクランクピンは、前記一端部から視て、60°オフセットされている、V型8気筒エンジン。
  3. 請求項1又は2記載のV型8気筒エンジンにおいて、
    前記各気筒の点火タイミングは、60°間隔、90°間隔及び120°間隔の組み合わせの不等間隔爆発である、V型8気筒エンジン。
  4. 請求項記載のV型8気筒エンジンにおいて、
    それぞれのバンクについて、4つの気筒の点火タイミングは、90°間隔、180°間隔及び270°間隔の組み合わせの不等間隔爆発である、V型8気筒エンジン。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のV型8気筒エンジンにおいて、
    前記クランクシャフト、前記各ピストン及び前記各コネクティングロッドを含む主運動系(26)において、
    前記ピストンピン側の質量である往復部質量と、前記クランクピン側の質量である回転部質量とについて、前記回転部質量が前記往復部質量の-1/2である場合には、前記クランクシャフトに対するウェイト(40)の付加が不要であり、
    一方で、前記回転部質量が前記往復部質量の-1/2でない場合には、前記V型8気筒エンジンの回転時に前記クランクシャフトに発生する一次慣性偶力に釣り合うウェイトを前記クランクシャフトに付加する、V型8気筒エンジン。
  6. 請求項記載のV型8気筒エンジンにおいて、
    前記ウェイトは、前記クランクシャフトにおける前記各気筒に対応する箇所に振り分けて複数付加される、V型8気筒エンジン。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載のV型8気筒エンジンにおいて、
    当該V型8気筒エンジンは、船外機用のエンジンである、V型8気筒エンジン。
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