JP7339111B2 - マイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体 - Google Patents
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Description
特許文献3には、支持体上に特定構成の感光性樹脂組成物から樹脂層を形成する工程、該樹脂層の一部を紫外線露光及び現像する工程、現像後の樹脂層の上に蓋材を載置して積層体を得る工程、及び得られた積層体を紫外線露光する工程、を有するマイクロ流体装置の製造方法によれば、リソ後のパターン化した樹脂層が十分な強度とタックを有することで、良好な流路等を有するマイクロ流体装置を製造できることが記載されている。
[1] 支持フィルムと感光性樹脂組成物層とで構成されたマイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体であって、
前記マイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体が露光後に波長515nm及び600nmのいずれか一方又は両方における透過率80%以上を有し、
前記支持フィルムと前記感光性樹脂組成物層との密着強度が、3gf/inch以上、100gf/inch以下である、
マイクロ流路用感光性樹脂積層体。
[2] 直描式露光用である、上記態様1に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
[3] 前記感光性樹脂組成物層は、無機性値(I)と有機性値(O)との比(I/O)が1.0以下である感光性樹脂組成物で構成されている、上記態様1又は2に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
[4] 前記感光性樹脂組成物層は、露光後に弾性率2GPa以下及び破断伸度30%以上を有する、上記態様1~3のいずれかに記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
[5] 前記感光性樹脂組成物層の膜厚が、100μm以上である、上記態様1~4のいずれかに記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
[6] 前記感光性樹脂組成物層の膜厚において、30℃、1質量% Na2CO3水溶液による25μm当たりの現像時間が、15~50秒/25μmである、上記態様1~5のいずれかに記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
[7] 前記感光性樹脂組成物層は、(a)カルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子、(b)付加重合性モノマー、及び(c)光重合開始剤、を含み、
(b)付加重合性モノマーが、下記(式I):
C-((CH2)R1)((CH2)R2)((CH2)R3)((CH2)R4)
・・・(式I)
(式中、R1~R4は各々独立に一価の有機基を指す。)
で示される構造を有しかつ分子量200~600であるモノマーを(b)付加重合性モノマー中50質量%以上含む組成物で構成されている、上記態様1~6のいずれかに記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
本実施形態は、支持フィルムと感光性樹脂組成物層とで構成されたマイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体を提供する。なお「支持フィルムと感光性樹脂組成物層とで構成された」とは、当該積層体が、実質的に支持フィルムと感光性樹脂組成物層とからなるが、本発明の効果を損なわない範囲で他の要素が存在する可能性まで排除するものではないことを意味する。本実施形態に係るマイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体(以下、単に「感光性樹脂積層体」ともいう。)は、フォトリソグラフィーによるマイクロ流路の形成に特に適した特性を有し、例えば、マイクロ流路の隔壁材、蓋材等として使用されることができる。
ロイコ染料としては、例えば、トリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリ-ン]、及びフルオラン染料が挙げられる。
を含む。
感光性樹脂組成物層は、感光性樹脂組成物を支持フィルムに塗布及び乾燥して積層することにより形成されることができる。感光性樹脂組成物は、感光性樹脂積層体に感光性を付与できる限り、任意の高分子及び/又はモノマーを含むことができ、所望により、光重合開始剤、その他の添加剤などをさらに含んでよい。
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子は、α,β-不飽和カルボキシル基含有単量体を重合成分としており、アルカリ可溶性高分子の酸当量が100~600、かつ、重量平均分子量が5,000~500,000であることが好ましい。カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子中のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物がアルカリ水溶液から成る現像液又は剥離液に対して、現像性又は剥離性を有するために必要である。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子の質量を言う。酸当量のより好ましい下限は250であり、またより好ましい上限は450である。(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の酸当量は、現像耐性が向上し、解像度及び感光性樹脂組成物層の硬化物(本開示で、「硬化レジスト膜」ともいう。)と他の部材との密着性が向上する点、さらに溶媒又は感光性樹脂組成物中の他の成分、特に後述する(b)付加重合性モノマーとの相溶性を確保するという観点から100以上が好ましく、現像性及び剥離性が向上する点から600以下が好ましい。酸当量の測定は、平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM-555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法により行われる。
示差屈折率計:RI-1530
ポンプ:PU-1580
デガッサー:DG-980-50
カラムオーブン:CO-1560
カラム:順にKF-8025、KF-806M×2、KF-807
溶離液:THF。
(b)付加重合性モノマーは、分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合は、末端エチレン性不飽和基であることが好ましい。
現像速度の観点から、(b)付加重合性モノマーが、(式I)で示される構造を有しかつ分子量200~600であるモノマーを、(b)付加重合性モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは100質量%の量で含む。
C-((CH2)R1)((CH2)R2)((CH2)R3)((CH2)R4)
・・・(式I)
ここで、R1~R4は一価の有機基を指す。
例として、トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量296)、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(例:EO3モル変性体、分子量428)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量338)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(分子量352)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量284)、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(分子量408)、ペンタエリスリトールEO変性テトラメタクリレート(例:EO4モル変性体、分子量584)、ペンタエリスリトールEO変性テトラアクリレート(例:EO4モル変性体、分子量528)、などを挙げることができる。
4-n-オクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート;
2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)シクロヘキシル)プロパン;
ヘキサメチレンジイソシアネートとノナプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化物等のウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、平均28モルのブチレンオキサイドを付加したポリブチレングリコールとヘキサメチレンジアミンとから合成されるポリウレタンジオールのジメタクリレート、イソシアヌル酸エステル化合物の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上併用してもよく、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物と併用することもできる。
(c)光重合開始剤としては、感光性樹脂の光重合開始剤として通常使用されるものを適宜使用できる。例えば、ヘキサアリールビスイミダゾール(以下、トリアリールイミダゾリル二量体ともいう。)を使用することができる。
2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体;
2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,3,4-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体;
2,2’-ビス-(2,3,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体;
2,2’-ビス-(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、2,2’-ビス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、及び2,2’-ビス-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体が挙げられる。
9-(4-メチルフェニル)アクリジン、9-(4-エチルフェニル)アクリジン、9-(4-n-プロピルフェニル)アクリジン、9-(4-n-ブチルフェニル)アクリジン、9-(4-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(4-エトキシフェニル)アクリジン、9-(4-アセチルフェニル)アクリジン、9-(4-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(4-クロロフェニル)アクリジン;
9-(4-ブロモフェニル)アクリジン、9-(3-メチルフェニル)アクリジン、9-(3-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(3-アセチルフェニル)アクリジン、9-(3-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(3-ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9-(3-クロロフェニル)アクリジン、9-(3-ブロモフェニル)アクリジン、9-(2-ピリジル)アクリジン、9-(3-ピリジル)アクリジン、9-(4-ピリジル)アクリジンが挙げられる。中でも、9-フェニルアクリジンが望ましい。
アクリジン化合物は、感光性樹脂層の露光後の硬化性の観点からハロゲン化合物と組み合わせて用いる事が好ましい。ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(p-クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、クロル化トリアジン化合物等が挙げられる。中でも硬化性の観点からトリブロモメチルフェニルスルホンが好ましい。
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、及び4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾイン等のベンゾインエーテル類;
ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-O-ベンゾインオキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。
マイクロ流路の無色透明性を要求する場合や蛍光発光を抑制してマイクロ流路デバイスの発光シグナルを検出し易くするという観点から、オキシム化合物が好ましい。例えば、BASFジャパン株式会社製Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、株式会社ADEKA製アデカアークルズNCI-831などを挙げることができる。
感光性樹脂組成物には、上記(a)~(c)の成分の他に各種の添加剤を含有させることができる。
支持フィルムは、フィルムの形態で感光性樹脂組成物層を支持する。支持フィルムとしては、波長510nm及び600nmの光、並びに露光光源から放射される光を透過するものが好ましい。このような支持フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されていてよい。解像度の観点からヘーズ値が5以下のフィルムが好ましい。ヘーズ値3以下がより好ましく、ヘーズ値2.5以下がさらに好ましく、ヘーズ値1以下がよりさらに好ましい。支持フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、感光性樹脂積層体の膜厚の観点又は感光性樹脂組成物層の塗工時の熱収縮の影響を低減する観点から、10~30μmのものが好ましく用いられる。例えば、帝人フィルム(株)製GR-19及びGR-16、三菱樹脂(株)製R310-16及びR340G16、東レポリエステルフィルム(株)製FB40(16μm膜厚)及びFB60(16μm膜厚)などを挙げる事ができる。
剥離線とは、支持フィルムと感光性樹脂組成物層との密着性が過度に高い場合に生じる、支持フィルム剥離後の感光性樹脂組成物層表面の微小な段差である。通常、剥離線は剥離方向と略垂直な方向に発生する。剥離線は感光性樹脂組成物層の膜厚不均一性の原因になり、マイクロ流路に保持される流体の体積の不均一さにつながることがあるため、剥離線の発生を抑制することが望ましい。上記密着強度は、本開示の[実施例]の項に記載する条件で測定される値(すなわちピール角度180度での値)である。
感光性樹脂積層体の製造方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂組成物層を構成する感光性樹脂組成物を、溶剤と混合して感光性樹脂組成物調合液として準備しておいて、支持フィルムにバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持フィルム上に感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂組成物層を積層して得ることができる。所望により、感光性樹脂組成物層上に保護フィルムをさらに積層してもよい。
本実施形態のマイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体は、POCT(Point of Care Testing)キット、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)用デバイス、マイクロリアクター等の種々のマイクロ流路デバイスの部材として使用できる。一態様において、マイクロ流路デバイスは、流体(液体又は気体)が通過するマイクロ流路が表面に形成されている基材と、該マイクロ流路を覆うように配置された蓋材と、流体をマイクロ流路に導入する導入部と、流体をマイクロ流路から排出する排出部とを備える。基材は、無機(例えば、シリコン、ガラス、炭素材料等)又は有機(例えば各種ポリマー)の材質であってよい。一態様において、流体はポンプ、遠心力等によってデバイスの所望の位置に送達されてよい。一態様において、マイクロ流路は、基材上に配置された隔壁材(例えば基材上にフォトリソグラフィーによって形成された硬化レジスト膜である隔壁材)によって形成されている。一態様において、マイクロ流路は、基材表面の溝状の切削によって形成されている。
基材に感光性樹脂積層体をラミネートし、感光性樹脂組成物層のパターン露光及び現像によってマイクロ流路の隔壁材としての硬化レジスト膜を形成するマイクロ流路形成工程と、
マイクロ流路を覆うように少なくとも上記隔壁材に感光性樹脂積層体をラミネートし、全面露光によってマイクロ流路の蓋材としての硬化レジスト膜を形成するマイクロ流路シール工程と、
を含む方法で製造できる。
(1)基板上に複数の隔壁を形成してマイクロ流路を形成する工程;
(2)基板に貫通孔を設ける工程;
(3)基板の裏面側から貫通孔を通じて分析部を嵌め込む工程;
(4)基板の表面側から蓋材をラミネートする工程;
(5)所望により、マイクロ流路が形成された基板を部分的に切削して外形を整える工程;及び
(6)所望により、隔壁を洗浄する工程;
を含む。各工程の順序は製造工程の効率に応じて自由に前後させることができる 。
最初に実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法を説明し、次いで、得られたサンプルについての評価方法及びその評価結果を示す。表1~3に、感光性樹脂組成物調合液中の材料成分の名称、樹脂組成物調合液中の配合量(固形分基準での質量部)、及び評価結果の一部を示す。
実施例及び比較例における評価用サンプルは次のとおりにして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製1>
下記表1の実施例1及び実施例6に示す組成(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す)の感光性樹脂組成物及び溶媒としてエタノールを加え十分に攪拌及び混合して感光性樹脂組成物調合液とし、支持体としての16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、FB40)の表面にバーコーターを用いて均一に塗布、乾燥し、感光性樹脂組成物層を形成して、感光性樹脂積層体を得た。感光性樹脂組成物層の厚みは240μmであった。感光性樹脂組成物層に残存した溶媒は1.5質量%であった。
次いで、感光性樹脂組成物層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護フィルムとしてタマポリ株式会社製GF-18を貼り合わせた。
下記表1の実施例2~5及び比較例1、2に示す組成(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す)の感光性樹脂組成物及び溶媒としてエタノールを加え十分に攪拌及び混合して感光性樹脂組成物調合液とし、支持体としての16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、FB40)の表面にバーコーターを用いて均一に塗布、95℃で5分間乾燥し、感光性樹脂組成物層を形成して、感光性樹脂積層体を得た。感光性樹脂組成物層の厚みは25μmであった。
次いで、感光性樹脂組成物層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護フィルムとしてタマポリ株式会社製GF-818を貼り合わせた。
下記表1の実施例1~5及び比較例1、2に示す組成(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す)の感光性樹脂組成物及び溶媒としてエタノールを加え十分に攪拌及び混合して感光性樹脂組成物調合液とし、支持体としての16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、FB40)の表面にバーコーターを用いて均一に塗布、95℃で5分間乾燥し、感光性樹脂組成物層を形成して、感光性樹脂積層体を得た。感光性樹脂組成物層の厚みは5μmであった。次いで、感光性樹脂組成物層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護フィルムとしてタマポリ株式会社製GF-18を貼り合わせた。
1.比(I/O)の算出
表1に示す組成に基づき、ベース樹脂(B)及びモノマー(M)の無機性値(I)及び有機性値(O)から、各例に係る感光性樹脂組成物の比(I/O)を下記のように算出した。
まず、各ベース樹脂(B)に関し、有機概念図に基づいて、無機性値(I)を算出して表1に示される配合量(質量)を乗じてB(I×配合量)値を算出し、そして有機性値(O)を算出して配合量を乗じてB(O×配合量)値を算出する。
同様に、各モノマー(M)について、有機概念図に基づいて、無機性値(I)を算出して表1に示される配合量を乗じてM(I×配合量)値を算出し、そして有機性値(O)を算出して配合量を乗じてM(O×配合量)値を算出する。
全ベース樹脂(B)のB(I×配合量)値の合計値と全モノマー(M)のM(I×配合量)値の合計値とを合算して、合算値I(B+M)を得る。
全ベース樹脂(B)のB(O×配合量)値の合計値と全モノマー(M)のM(O×配合量)値の合計値とを合算して、合算値O(B+M)を得る。
I(B+M)をO(B+M)で除して、I(B+M)/O(B+M)を算出して比(I/O)とする。
上記<感光性樹脂積層体の作製3>で得られた感光性樹脂積層体を、保護フィルムが積層された状態で、株式会社オーク製作所製露光機HMW-201KBにより500mJ/cm2露光し、10分後、保護フィルムを剥離し、株式会社日立ハイテクサイエンス製分光光度計U-3010により透過率を測定した。分析は、支持フィルムと感光性樹脂組成物層とが積層された状態で実施し、分析光が感光性樹脂組成物層側から入射するような状態で測定した。
上記<感光性樹脂積層体の作製2>で得られた感光性樹脂積層体を、保護フィルムが積層された状態で、株式会社オーク製作所製露光機HMW-201KBにより500mJ/cm2露光し、保護フィルムを剥離したのち、最小現像時間の2倍の時間で現像し、縦5cm、横5mmの試験片を作製した。試験片は、支持フィルムから剥離された状態で、23℃、相対湿度50%の環境で1日保存した。試験片を株式会社エー・アンド・デイ製引張試験機テンシロンRTM-500を用いて、引っ張り速度100mm/min、で引張試験を実施した。得られた応力-ひずみ曲線の初期勾配から、感光性樹脂組成物層の硬化物の弾性率を求めた。試験片が破断したときの伸度をその試験片の伸度として求めた。
上記<感光性樹脂積層体の作製3>で得られた感光性樹脂積層体から保護フィルムを剥離した。射出成型により、幅70μm、深さ30μm、長さ2.5mmの流路の片側が直径5mmの円形貫通孔に接続されたアクリル樹脂製マイクロ流路を作製した。流路は1セット9本、15セットが円形の基板上に放射状に配置された。株式会社タカトリ製真空ラミネーターを用い、真空度50Pa、70℃で、表1の感光性樹脂積層体を前記マイクロ流路に貼りつけた。貼り付け後、株式会社オーク製作所製露光機HMW-201KBにより500mJ/cm2露光しシールを完了した。流路内で発光基質SuperSignalTM West Femtoを使った発光実験を行った。マイクロ流路発光検出性を以下のようにランク分けした。
◎:問題なく発光検出ができる。
〇:発光のコントラストに影響があり検出感度が下がっている。
△:発光のコントラストに大きな影響があり検出感度が下がっている。
×:発光が検出できない。
上記「4.マイクロ流路発光検出性評価」と同様にマイクロ流路をシールし、マイクロ流路を作製した。マイクロ流路にイオン交換水を導入し、1時間後に感光性樹脂組成物層の硬化物の状態を観察した。耐水性を以下のようにランク分けした。
◎:シワが見られない。
〇:円形貫通孔の周りにシワが見られる。
△:流路の一部でシワが見られる。
×:流路全体でシワが見られる。
<マイクロ流路パターンの作製1>
上記<感光性樹脂積層体の作製1>で得られた感光性樹脂積層体から保護フィルムを剥離除去し、6インチシリコンウエハー上に、常圧式のラミネーター(大成ラミネーター株式会社製VA-400III)によって、速度0.2m/min、シリンダー圧力0.2MPa、ロール温度70℃で、2回ラミネートし、6インチシリコンウエハー上に厚さ480μmの感光性樹脂組成物層と支持フィルムとを積層した。
さらに、表3の実施例7~12に示すような配合と膜厚で<感光性樹脂積層体の作製1>に準じた方法で感光性樹脂積層体を作製し、上記<マイクロ流路パターンの作製1>に準じた方法で、表3の実施例7~12に示すような流路深さ、並びに、流路長辺(a)、流路短辺(b)及び流路幅(c)で台形の秤量用マイクロ流路を作製した。但し、基材は円形のアクリル板を使用した。感光性樹脂積層体の感光性樹脂層の膜厚が小さい場合、96個の流路を配置するのに直径の大きなアクリル板が必要であった。また、25μm当たりの現像時間が長い場合、長時間の現像が必要であり生産性が低い傾向であった。
<感光性樹脂積層体の作製2>
実施例2~5の感光性樹脂組成物組成にて作製した感光性樹脂積層体から保護フィルムを剥離除去し、ニッカン工業株式会社製フレキシブルプリント配線板用銅張積層板NIKAFLEX F-30VC1 25RC11(H)にラミネートし、株式会社オーク製作所製露光機HMW-201KBにより500mJ/cm2露光し、最小現像時間の2倍の時間で現像し、幅42mm、長さ20cmの試験片を作製した。これを23℃、相対湿度50%で1日調湿し、円筒形マンドレル試験機で折り曲げ試験し、クラックが発生しなかったマンドレルの最小値をマンドレル評価値とした。以下のようにランク分けした。この値が良好なほどフレキシブル性に富んだマイクロ流路を作製できる。
◎:3mmφ以下
〇:3mmφを超え6mmφ以下
△:6mmφを超え10mmφ以下
×:10mmφを超える。
<感光性樹脂積層体の作製3>
実施例1~6及び比較例1、2の感光性樹脂組成物組成にて作製した感光性樹脂積層体20cm x 20cmから保護フィルムを剥離除去し、ジェットスクラブ整面された銅張積層板20cm x 10cmに20cm x 10cm分のフィルムが余るようにラミネートした。その後、銅張積層板にラミネートされた部分とフィルムのまま余った部分とをまたぐように、幅1inchの短冊状にカッターで感光性樹脂積層体をカットした。このようにして半分だけが銅張積層板上にラミネートされた1inch幅の短冊状サンプルを得た。その後23℃、相対湿度50%の環境で1日調湿し、短冊状サンプルのラミネートされていない部分を保持し引張試験することにより、支持フィルムと感光性樹脂組成物層との密着強度を評価した。尚、引張試験において、引張試験装置は、株式会社エー・アンド・デイ製引張試験機テンシロンRTM-500、ピール角度は180度、引っ張り速度は100m/min、の条件で実施した。密着強度の極大値を密着強度の値とした。
「8.支持フィルム密着強度評価」で引張試験サンプルを作製する間に支持フィルムと感光性樹脂組成物層との間で不必要な剥離が発生するか観察した。また、引張試験後の感光性樹脂組成物層表面を観察し、剥離線の有無を観察した。観察結果を以下のようにランク分けした。
◎:不必要な剥離及び剥離線のいずれも確認できない。
〇:不必要な剥離又は剥離線のいずれかが確認された。
×:不必要な剥離がサンプルの半分以上の面積で確認された。又は、凹凸が明らかな剥離線が観察された。
11 注入口
12 廃液部
13 秤量部
(a) 流路長辺
(b) 流路短辺
(c) 流路幅
(d) 隔壁幅
Claims (7)
- 支持フィルムと感光性樹脂組成物層とで構成されたマイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体であって、
前記マイクロ流路デバイス用感光性樹脂積層体が露光後に波長515nm及び600nmのいずれか一方又は両方における透過率80%以上を有し、
前記支持フィルムと前記感光性樹脂組成物層との密着強度が、3gf/inch以上、100gf/inch以下であり、
前記感光性樹脂組成物層が、
(a)カルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子;
(b)付加重合性モノマー;及び
(c)光重合開始剤;
を含み、
前記感光性樹脂組成物層がラジカルネガ型である、
マイクロ流路用感光性樹脂積層体。 - 直描式露光用である、請求項1に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
- 前記感光性樹脂組成物層は、無機性値(I)と有機性値(O)との比(I/O)が1.0以下である感光性樹脂組成物で構成されている、請求項1又は2に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
- 前記感光性樹脂組成物層は、露光後に弾性率2GPa以下及び破断伸度30%以上を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
- 前記感光性樹脂組成物層の膜厚が、100μm以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
- 前記感光性樹脂組成物層の膜厚において、30℃、1質量% Na2CO3水溶液による25μm当たりの現像時間が、15~50秒/25μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
- (b)付加重合性モノマーが、下記(式I):
C-((CH2)R1)((CH2)R2)((CH2)R3)((CH2)R4)
・・・(式I)
(式中、R1~R4は各々独立に一価の有機基を指す。)
で示される構造を有しかつ分子量200~600であるモノマーを(b)付加重合性モノマー中50質量%以上含む組成物で構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ流路用感光性樹脂積層体。
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