JP2005134339A - 生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレート、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光顕微鏡による生体高分子の動き、生物反応の観察、遺伝子関連、又は創薬開発におけるハイスループットスクリーニング用途におけるマイクロアレイスキャナーを用いた、スポット別の蛍光強度を測定する場合において好適な樹脂製プレートと製造方法を提供する。
【解決手段】生物化学用途の蛍光分析に使用されるプレートであって、波長300nm以上、800nm以下の波長領域における光の透過率が80%以上であり、かつその波長領域の光を照射したときに自家蛍光を発せず、化学構造にベンゼン環を有しない樹脂製であり、開口面積が1mm以下で、かつ、深さが10μm以上の凹部を表面に複数有する樹脂製プレートを提供する。また、金属構造体を形成するステップと、金属構造体のパターンを転写して樹脂製プレートを形成するステップを備えた樹脂製プレートの製造方法も提供する。
【選択図】図7

Description

本発明は、生物化学用途、例えば蛍光顕微鏡による生体高分子の動きの観察、生物反応の観察、遺伝子関連、又は創薬開発におけるハイスループットスクリーニング用途におけるマイクロアレイスキャナーを用いた、スポット別の蛍光強度測定などの用途において好適な樹脂製プレート、及びその製造方法に関するものである。
分子が紫外・可視の光を吸収した後、光を放出し基底状態へ戻る過程を蛍光過程という。蛍光分析は高感度であるため、現在では微量成分の分析にとって最も重要な手段の一つとなっている。蛍光過程で放出される蛍光によって分析をする装置としては、蛍光顕微鏡、マイクロアレイスキャナー等が挙げられる。
蛍光顕微鏡は生体高分子の動きや、生物反応の観察等に用いられる。蛍光色素を光らせるための光(励起光)を照射する光学系と、それにより発生した蛍光(蛍光放射光)を観察する光学顕微鏡を組み合わせたものである。
マイクロアレイスキャナーは、遺伝子関連、又は創薬開発におけるハイスループットスクリーニング用途等でその性能を発揮している。例えば、遺伝子関連用途では、オリゴDNAを基板上で合成、又はcDNAをスライドガラスにスポットしたDNAマイクロアレイに使用され、蛍光色素(Cy5:赤、Cy3:緑)でラベルし、各スポットの蛍光強度をマイクロアレイスキャナーで解析するなどの用途に用いられている。(特許文献1参照)
創薬開発におけるハイスループットスクリーニング用途では、主に試料セルとなる凹部(ウェル)を多数表面に有するいわゆるウェルプレートを使用する。ハイスループットスクリーニングとは、コンビナトリアル合成したものから、例えば、リード化合物(創薬のための先導化合物、スクリーニングで見いだされた化合物)を見いだしたり、最適化したりする際に、多数の化合物を高速でふるいわける技術のことである。現在、ハイスループットスクリーニングを可能にした要因として、微量のサンプルを測定できる技術が発展したこと、コンピュータやロボットの発達、試験管にかわって24あるいは96個のサンプルを一度に処理できるプレートが普及してきたことがあげられる。今後、構造的に多様性のある化合物はさらに蓄積され、スクリーニングの標的はさらに増加すると予測され、96穴プレートから384穴プレート(反応液の微量化)へ移行することにより創薬開発の加速(迅速化)、微量化(コストダウン)が期待されている。
遺伝子関連用途、又はハイスループットスクリーニング用途で使用されるマイクロアレイスキャナーは、検出系にレーザーを使用し、レーザー波長としては、例えば、488nm、543nm、594nm、663nm等を用いて、サンプルの蛍光強度測定を行っている。マイクロアレイスキャナーの特徴は、サンプル励起のためのレーザー光の直径が5μm程度と小さく、ウェルプレート、又はガラス上のスポットからの蛍光強度を極めて高感度に検出することが可能なことである。
蛍光分析の特徴は、微量成分の分析に適していることであり、なかでもレーザー光によるマイクロアレイスキャナーは、サンプルの微量化にともない解析装置としての位置付けが重要となることが予測される。
しかしながら、従来使用されていたガラス製プレート、例えば、幅25mm、長さ75mmのスライドガラスは高価であるという問題を有していた。
また、遺伝子関連用途、又はハイスループットスクリーニング用途では、サンプルを微量化し、スポット数、又はウェルプレートの穴数を増やすことで解析効率を上げることが試みられてきたが、感度低下の問題を解決する必要が生じた。対策としてガラス製プレートに微細凹加工を施し、サンプル量を増すことでスポット数、又はウェルプレートの穴数は減らすことなく、感度を向上することが検討されてきた。また、微細加工された凹部によるサンプル量の増大は、サンプルの乾燥による失活を抑制することも期待されている。ガラス製プレート表面への凹部の微細加工は、エッチング法、なかでも加工コストを考慮してウェットエッチングが検討されてきたが、1枚づつ、フォトリソグラフ法により作製したマスクを用いて水溶性エッチングすることは、従来のガラス製プレートのコストを数10倍高めてしまい極めて高価となるという問題を有していた。
係る問題を解決する方法として、まず、スライドガラスを樹脂製プレートに置き換える検討がなされてきた。しかしながら、測定波長の光、例えば紫外線が樹脂製プレートを透過しないために測定できないこと、自家蛍光を発するために蛍光強度が識別できないこと、プレート表面の反射率が高いためにバックグラウンドの背景色を高めてしまい測定できないこと、又は透明性が低いために使用できないこと等の問題を有していた。
微細凹凸パターンを有するガラス製プレートを、樹脂製プレートに変更するための方法として、金型を使用して、該金型の表面パターンを写し取る成形法が考えられる。この方法は、金型を1枚作製することで数千枚、又は数万枚の樹脂製プレートを作製することが可能であり、低コスト化が可能であると予測される。
しかしながら、ここでも測定波長の光、例えば紫外線が樹脂製プレートを透過しないために測定できないこと、自家蛍光を発するためのサンプルの蛍光強度が識別できないこと、プレート表面の反射率が高いためにバックグラウンドの背景色を高めてしまい測定できないこと、又は透明性が低いために使用できないこと等の問題を有していることには変わりはなかった。
特開2003−121442(段落0073〜0084参照)
上記したように、スライドガラスを樹脂製プレートに置き換えようとすると、測定波長の光が樹脂製プレートを透過しない、自家蛍光を発する、プレートの反射率が高い、又は透明性が低いなどのために生物化学用途に使用できないという課題がある。
また、微細凹凸パターンを有するガラス製プレートを、樹脂製プレートに変更しようとすると、測定波長の光が樹脂製プレートを透過しない、自家蛍光を発する、プレートの反射率が高い、又は透明性が低いために使用できないという課題がある。
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、光、特に紫外線の透過率、自家蛍光、片面の反射率、透明性(可視光領域の全光線透過率、ヘイズ値)を一定範囲内とすることで、生物化学用途に使用される樹脂製プレートとして好適なものが得られることを見出して本発明を完成した。
すなわち本発明は、波長300nm以上、800nm以下の波長領域における光の透過率が80%以上であり、かつ、波長230nm以上、800nm以下の波長領域の光を照射したときに自家蛍光を発せず、化学構造にベンゼン環を有しない樹脂からなることを特徴とする、生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートである。また、上記の生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートは、波長300nm以上、800nm以下の波長領域で、片面の光反射率が1.0%以上、4.9%以下であることを特徴とするものであってもよい。さらに、上記の生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートは、開口面積が1mm以下で、かつ、深さが10μm以上の凹部を表面に複数有することを特徴とするものであってもよい。
また本発明は、生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂性プレートの製造方法であって、基板上にパターンを形成するステップと、基板上に形成されたパターン、又はその転写パターンにしたがって金属を付着させ、前記樹脂製プレートが有する構造パターンの反対パターンを有する金属構造体を形成するステップと、
前記金属構造体のパターンを転写して樹脂製プレートを形成するステップとを備えたことを特徴とする生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートの製造方法である。そして、前記基板上にパターンを形成するステップにおいて、レジストパターンを形成するステップが、レジスト層が所望の高さ、又は深さを有する構造体に形成されるまで、複数回レジスト層の形成、露光を繰り返すステップを含んでいても良い。
さらに本発明は、前記基板上にレジストパターンを形成するステップにおいて、複数回レジスト層の形成、露光を繰り返す際、露光における各層のパターンの位置が同じ位置になるように、パターンの位置を合わせるマスク位置合わせステップをさらに備えていてもよいし、前記基板上にレジストパターンを形成するステップにおいて、複数回レジスト層の形成、露光を繰り返す際、異なるパターンのマスクを用いることで、少なくとも2以上の異なる深さの凹部を備えるレジストパターンを形成してもよい。
本発明により、生物化学用途、例えば蛍光顕微鏡による生体高分子の動き、生物反応の観察、遺伝子関連、又は創薬開発におけるハイスループットスクリーニング用途におけるマイクロアレイスキャナーを用いた、スポット別の蛍光強度を測定する場合において好適な樹脂製プレートを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂性プレートは、
(a)紫外線透過率
(b)自家蛍光
(c)表面反射率
(d)透明性(全光線透過率、ヘイズ値)
が一定範囲内であることを特徴とする。
(a)紫外線透過率について説明する。
蛍光過程によって分析する蛍光顕微鏡、マイクロアレイスキャナー等は、蛍光色素を光らせるための光(励起光)を照射する光学系と、それにより発生した蛍光(蛍光放射光)を観察、又は蛍光強度測定することで解析を行う。光(励起光)の波長は蛍光色素の感度に応じて多様であり、励起光は、観察側の反対側から樹脂製プレートを通して照射されることが多いため、樹脂製プレートの光透過率の高いことが蛍光(蛍光放射光)を観察、又は蛍光強度測定するうえで必要となる。また、樹脂プレートの観察側から励起光を照射する場合にも、樹脂プレートの光透過率が低いと、光を吸収して温度が上がるなどの問題が生じやすいため、樹脂製プレートの光透過率が高いことは重要である。
ガラス製プレートと同等の光透過率とするには、紫外線領域を含んだ波長300nm以上、800nm以下の波長領域において光透過率が80%以上であることが必要である。上記の条件を満たすため、樹脂製プレートには紫外線吸収剤が含まれていないことが必要である。上記の条件を満たすためには、PC(ポリカーボネート)、ポリスチレン等、その化学構造にベンゼン環を有している材料は、使用しないことが必要である。さらに上記の条件を満たすため、他の成分としては、酸化防止剤、粘度向上剤、耐熱安定剤、膠着防止剤等の添加物のなかで、紫外線吸収剤が含まれていないことが必要である。
(b)自家蛍光について説明する。
自家蛍光とは、ポリマー分子が紫外・可視の光を吸収した後、光を放出して自ら蛍光を発するという現象のことをいう。ガラス製プレートは自家蛍光を発しないのに対し、樹脂製プレートの多くは自家蛍光を発するため、サンプルから発生した蛍光(蛍光放射光)を識別することができなくなり、これまで蛍光分析の特徴である微量分析が不可能であった。
ガラス製プレートと同様に、自家蛍光の影響を受けないためには、波長230nm以上、800nm以下の波長領域の光を照射によっては自家蛍光を発しないことが必要である。上記の条件を満たすために、材料としては、PC(ポリカーボネート)、ポリスチレン等、その化学構造にベンゼン環を有するものを含まないことが必要である。上記の条件を満たすため、他の成分としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度向上剤、耐熱安定剤、膠着防止剤等の添加物のなかで、紫外線吸収剤が含まれていないことに加え、自家蛍光の可能性を極力排除するため、可能な限り少量、もしくは添加しないことが好ましい。
(c)表面の反射率について説明する。
ガラス製プレートに用いられるガラス材料の屈折率は、1.430〜1.450のものが多いのに対し、例えば、化学構造にベンゼン環を有しているポリカーボネート(PC)は1.60と高い。そのため、ガラス製プレートの表面(片面)光反射率は3.5%程度であるのに対し、ポリカーボネートは5.0〜6.0%と高い。マイクロアレイスキャナーを用いた場合、検出系のレーザーはプレートに対し垂直に照射され、その反射光を検出する構成であるため、反射率差は表裏両面の影響を受けることとなり、ガラス製プレートとの差異は大きくなる。マイクロアレイスキャナーの検出系は、ガラス製プレートの表面反射率を基準に設定されており、ガラス製プレート単体で測定すると、検出画面は、例えば、黒、青色で統一されており、サンプルからの蛍光(蛍光放射光)であるCy5:赤、Cy3:緑を識別可能に調整されている。ガラス製プレートを樹脂製プレートに置き換えた場合、表面反射率が高いことに起因して、検出系への光量が増し、検出画面のバックグラウンド(背景)を高めてしまい、装置側の感度によっては、蛍光(蛍光放射光)を識別できなる可能性がある。
ガラス製プレートと同様、表面反射率の影響を受けないようにするためには、波長300nm以上、800nm以下の波長領域で、片面の光反射率を1.0%以上、4.9%以下とすることが望ましい。上記範囲内を満たすための方法としては、まず、屈折率の低い材料を選択することがあげられる。例えば、屈折率が1.490のポリメチルメタクリレートを選択することで、片面の反射率を4.5%程度に抑制することが可能となる。
上記の条件を満たすために表面反射率を調整する方法としては、例えば、湿式、又は乾式により表面コートを行うことがあげられる。湿式で表面コートするとは、低屈折率ポリマーを含有する溶液を、ディッピング法、スピンコート法等によりコートする方法である。乾式で表面コートするとは、Si等の低屈折率無機材料をスパッタリング法等により、コートする方法である。いずれの方法も、量産化に支障ない低コスト化が可能な方法を選ぶことができる。
(d)透明性について説明する。
蛍光分析装置によっては、励起光により発光した蛍光(蛍光放射光)は、サンプル、及び樹脂プレートを透過しなければ識別できない。したがって、樹脂プレートには高い光透過性(透明性)が要求される。
蛍光(蛍光放射光)を識別するために必要な透明性は、可視光の全光線透過率80%以上、ヘイズ値10%以内というものである。上記の条件を満たすため、材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等の光学特性に優れる材料を使用することが好ましく、結晶しやすい樹脂であるポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、非結晶状態で使用することが好ましい。
上記の生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートは、開口面積が1mm以下で、かつ、深さが10μm以上の凹部を表面に複数有することが好ましい。より好ましい凹部の開口面積は0.5mm以下であり、より好ましい凹部の深さは、50μm以上である。凹部の数は、測定の目的に応じて適宜選択可能であるが、測定装置上および製造上の制約条件が許すかぎり多いことが求められ、例えば24個以上、望ましくは100個以上であるのが好ましい。表面に凹部を有することにより、ハイスループットスクリーニング等の用途に好適に用いられると同時に、サンプル数を減らすことなくサンプル量を増やせるため測定感度を高めることが可能となる。
上記の表面に複数の凹部を有する生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートを得るための方法、即ち、基板上にパターンを形成するステップと、基板上に形成されたパターン、又はその転写パターンにしたがって金属を付着させ、前記樹脂製プレートの構造パターンの反対パターンを有する金属構造体を形成するステップと、前記金属構造体のパターンを転写して樹脂製プレートを形成するステップとを備えた製造方法について説明する。
本発明により得られる樹脂製プレートは、従来のパターン付きガラス製プレートと対比しても充分に高い精度を発揮することができる。また、当該樹脂製プレートは精密であると同時に安価に形成することができるため、製造コストを極力抑えられる利点を発揮できるような産業上大量に使用される用途に適用した場合に、特に効果的である。
前記金属構造体を形成するステップにおいて、基板上に形成されたパターンの転写パターンを複数作製し、それに金属を付着させ金属構造体を作製することで、金属構造体を作製するコストを更に低減することが可能である。基板上に形成されたパターンの転写パターンを作製する方法としては、例えば、金属を付着させる方法、樹脂を流し込み、熱、光等で硬化させる方法があげられる。
基板上にレジストパターンを形成する方法において、レジスト層が所望の高さ、又は深さを有する構造体に形成されるまで、複数回レジスト層の形成、露光を繰り返ことも有用である。特に粘度の低いレジストを使用した場合、1回のレジストコートで所望の高さ、又は深さを得ようとすると、レジストの平面性が損なわれることが懸念される。例えば、スピンコート法でレジストを塗布する場合、複数回のレジスト塗布を行うことで、高い平面精度を保持したうえで、所望の高さ、又は深さを有する構造体を得ることが可能となる。また、レジスト層の形成、露光を複数回繰り返し、所望の高さ、又は深さを得ることも可能である。特に、使用するレジストの感度に起因し、1回の露光で所望の高さ、又は深さを得られない場合は、レジスト層の形成、露光を複数回繰り返すことで可能となる。
露光における各層のパターンとマスクとの位置合わせには、基板とマスクの同位置に切削加工を施しピン固定する方法、レーザー干渉計を用い位置を合わせる方法、基板とマスクの同位置に位置マークを作製し、光学顕微鏡で位置合わせをする方法等があげられる。光学顕微鏡で位置合わせをする方法は、例えば、フォトリソグラフ法にて基板に位置マークを作製し、マスクにはレーザー描画装置で位置マークを描画する。光学顕微鏡を用いた手動操作においても、5μm以内の精度が簡単に得られる点で有効である。
樹脂製プレートは、各種の表面処理が可能になる点においても好適である。サンプルの付着/離脱を促すため、親水/疎水化処理等の表面処理が適用できる。例えば、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射などを用いる方法、細胞の付着を促すタンパク質であるコラーゲン等を塗布する方法が挙げられる。また、一部分を被覆しておき、任意の部分を改質することも可能である。
基板上にパターンを形成するステップと、前記基板上に形成された前記パターンにしたがって金属を付着し、金属構造体を形成するステップと、前記金属構造体を使用して、樹脂成形品を形成するステップによる樹脂製プレートの製造方法について、更に詳細に説明する。
図4に示すように本形態の樹脂製プレートは、
(i)基板上への第1レジスト層の形成(図4工程a)
(ii)基板とマスクAとの位置合わせ
(iii)マスクAを用いた第1レジスト層の露光
(iv)第1レジスト層の熱処理(省略可能)(ここまで図4工程b)
(v)第1レジスト層上への第2レジスト層の形成(図4工程c)
(vi)基板とマスクBとの位置合わせ
(vii)マスクBを用いた第2レジスト層の露光
(viii)第2レジスト層の熱処理(省略可能)(ここまで図4工程d)
(ix)レジスト層の現像(図4工程e)
を行い、所望のレジストパターンを形成する。
さらに、
(x)形成されたレジストパターンを導電化処理した後、形成されたレジストパターンにしたがって、基板上に金属構造体をメッキにより堆積させる。(図4工程f,g)
(xi)この金属構造体を型として、樹脂成形品を形成する(図4工程h)
ことによって、樹脂製プレートが製造される。
(v)〜(viii)の工程は任意であり、設ける凹部の深さが一種類のみの場合は省略が可能である一方、3種類以上の深さが必要なときには(v)〜(viii)の工程を複数回繰り返すこともできる。
(vi)および(viii)の工程は、レジストとして後述する化学増幅系ネガレジストを用いない場合には省略してもよい。
レジストパターン形成処理について更に詳細に説明する。
基板上に、例えば、深さ30μmと深さ100μmの構造体を得ようとした場合、第1レジスト層(厚さ70μm)、第2レジスト層(厚さ30μm)順に形成し、各層に露光、または露光、熱処理を行う。現像工程では、最初に第2レジスト層である深さ30μmのパターンが得られ、次に第1レジスト層と第2レジスト層を合わせた深さ100μmのパターンが得られる。深さ100μmのパターンが得られた時点で、第2レジスト層である深さ30μmのパターンを現像液に溶解、または変形させないためには、各層の現像液への溶解性を制御させることが要求される。
スピンコート方式によりレジスト層を形成する場合、第2レジスト層のベーク(溶剤の乾燥)時間を調整することによって、耐アルカリ性を発現させることが可能である。
光分解型のポジ型レジストを用いて、耐アルカリ性を発現させる方法の一つとして、ベーク時間(溶剤の乾燥時間)を長くし、レジストを硬化させることがあげられる。通常、レジストは膜厚、シンナー等の溶剤濃度、および感度に応じてベーク時間を設定している。この時間を長くすることによって耐アルカリ性を持たせることが可能となる。また、第1レジスト層のベークが進行しすぎると、レジストが極度に硬化し、後の現像において光が照射された部分を溶解させパターンを形成することが困難になることから、ベーク時間を短くする等、適宜選択することが好ましい。ベークに用いる装置は、溶剤を乾燥できれば特に限定されるものではなく、オーブン、ホットプレート、熱風乾燥機等があげられる。光架橋型のネガ型レジストと比較して、耐アルカリ性の発現幅は制限されるため、設定するレジスト厚さは、各層を合わせて5〜200μmの範囲内が好ましく、10〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
光架橋型のネガ型レジストを用いて耐アルカリ性を発現させる方法として、ベーク時間の最適化の他に、架橋密度の最適化があげられる。通常、ネガ型レジストの架橋密度は、露光量によって設定することが可能である。化学増幅系ネガ型レジストの場合、露光量および熱処理時間によって架橋密度を設定することが可能である。この露光量、または熱処理時間を長くすることによって、耐アルカリ性を発現させることが可能となる。光架橋型のネガ型レジストの場合、設定するレジスト厚さは、各層を合わせて5〜500μmの範囲内が好ましく、10〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
(i)基板上への第1レジスト層の形成について説明する。
成形品形成ステップで得られる樹脂製プレートの平面度は、基板1上へ第1レジスト層2を形成する工程にて決定づけられる。すなわち、基板1上に第1レジスト層2を形成した時点の平面度が金属構造体、ひいては樹脂製プレートの平面度に反映される。
基板1上に第1レジスト層2を形成する方法は何ら限定されないが、一般的にスピンコート方式、ディッピング方式、ロール方式、ドライフィルムレジストの貼り合わせ等を挙げることができる。なかでも、スピンコート方式は、回転しているガラス基板上にレジストを塗布する方法で、直径300mmを超えるガラス基板にレジストを高い平面度で塗布する利点がある。従って、高い平面度を実現できる観点から、スピンコート方式が好ましく用いられる。
用いられるレジストはポジ型レジスト、ネガ型レジストのいずれもが使用可能である。いずれも、レジストの感度、露光条件により、レジストの焦点深度が変わるため、例えばUV露光装置を使用した場合、露光時間、UV出力値をレジスト厚さ、感度に応じて種類を選択するのが望ましい。
用いるレジストがウェットレジストの場合、例えばスピンコート方式で所定のレジスト厚さを得るには、スピンコート回転数の変更による方法と、粘度調整による方法とがある。スピンコート回転数の変更による方法は、スピンコーターの回転数を適宜設定することによって所望のレジスト厚さを得る方法である。粘度調整による方法は、レジスト厚さが厚い場合、又は塗布面積が大きくなる場合には、平面度が低下することが懸念されるため、実際使用上で要求される平面度に応じて粘度を調整する方法である。
例えばスピンコート方式の場合、1回で塗布するレジスト層の厚さは、高い平面度を保持することを考慮し、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは、20〜50μmの範囲内であることが望ましい。高い平面度を保持したうえで、所望のレジスト層の厚さを得るためには、レジスト層を複数回に分けて形成することができる。
第1レジスト層2にポジ型レジストを使用した場合、ベーク時間(溶剤の乾燥)が過度に進行しすぎると、レジストが極度に硬化し、後の現像においてパターンを形成することが困難になることから、設定するレジスト厚さが100μm以上でない場合、ベーク時間を短くする等、適宜選択することが好ましい。
(ii)基板とマスクAとの位置合わせについて説明する。
第1レジスト層2のパターンと、第2レジスト層4のパターンにおける位置関係を所望の設計通りにするためには、マスクA3を用いた露光時に、正確な位置合わせを行うことが必要となる。位置合わせには、基板とマスクAの同位置に切削加工を施しピン固定する方法、レーザー干渉計を用い位置だしする方法、基板とマスクAの同位置に位置マークを作製、光学顕微鏡で位置合わせをする方法等があげられる。光学顕微鏡で位置合わせをする方法は、例えば、フォトリソグラフ法にて基板に位置マークを作製し、マスクAにはレーザー描画装置で位置マークを描画する。光学顕微鏡を用いた手動操作においても、5μm以内の精度が簡単に得られる点で有効である。
(iii)マスクA3を用いた第1レジスト層2の露光について説明する。
図4(b)に示される工程で使用するマスクA3は何ら限定されないが、エマルジョンマスク、クロムマスク等を挙げることが出来る。レジストパターン形成ステップでは、使用するマスクA3によって寸法、および精度が左右される。そして、その寸法、および精度は、樹脂製プレートにも反映される。したがって、樹脂製プレートの各寸法、および精度を所定のものとするためには、マスクAの寸法、および精度を規定する必要がある。マスクAの精度を高める方法は何ら限定しないが、例えば、マスクAのパターン形成に使用するレーザー光源をより波長の短いものに変えることを挙げることができるが、設備費用が高額であり、マスクA製作費が高額となるため、樹脂製プレートが実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが望ましい。
マスクAの材質は温度膨張係数、UV透過吸収性能の面から石英ガラスが好ましいが比較的高価であるため、樹脂成形品が実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが望ましい。設計通りの所望の深さ、または高さが異なる構造体、または第1レジストパターンと第2レジストパターンが異なる構造体を得るには、第1レジスト層、および第2レジスト層の露光に用いるマスクのパターン設計(透過/遮光部)が確実であることが必要であり、CAE解析ソフトを使用したシミュレーションもその解決策の一つである。
露光に用いられる光線は設備費用が安価である紫外線またはレーザー光であることが好ましい。シンクロトロン放射光は、設備費用が高額であり、実質的に樹脂製プレートの価格が高額となるものの、露光深度が深いものを得たい場合などに用いることができる。
露光時間や露光強度等の露光条件はレジスト層2の材質、厚み等により変化するため、得られるパターンに応じて適宜調節することが好ましい。特に凹凸パターンの寸法、および精度に影響を与えるため、露光条件の調節は重要である。また、レジストの種類により焦点深度が変わるため、例えばUV露光装置を使用した場合、露光時間、UV出力値をレジストの厚さ、感度に応じて選択するのが望ましい。
(iv)第1レジスト層2の熱処理について説明する。露光後の熱処理は、レジストパターンの形状を補正するためにアニールといわれる熱処理が知られている。ここでは、化学架橋を目的とし、化学増幅系ネガレジストを使用した場合のみに行う。化学増幅系ネガレジストとは、主に、2成分系、または3成分系からなり、露光時の光によって、例えば、化学構造の末端のエポキシ基が開環し、熱処理によって架橋反応させるものである。熱処理時間は、例えば膜厚100μmの場合、設定温度100℃の条件下においては数分で架橋反応は進行する。第1レジスト層の熱処理が進行しすぎると、後の現像において未架橋部分を溶解させパターンを形成することが困難になることから、設定するレジスト厚さが100μm以上でない場合、熱処理時間を短くする、または後の第2レジスト層の熱処理のみとする等、適宜選択することが好ましい。
(v)第1レジスト層2上への第2レジスト層4の形成について説明する。
(i)について説明したことに加え、以下の点を記す。
スピンコート方式にて、ポジ型レジストを使用してレジスト層を形成する場合、ベーク時間を通常の1.5〜2.0倍程度とすることで、耐アルカリ性を発現させることができる。これにより、第1レジスト層2と第2レジスト層4の現像終了時、第2レジスト層4のレジストパターンの溶解、または変形を防止することができる。
(vi)基板1とマスクB5との位置合わせについて説明する。(ii)について説明したことと同様の要領にて、位置合わせを実施する。
(vii)マスクB5を用いた第2レジスト層4の露光について説明する。(iii)について説明したことと同様の要領にて、露光を実施する。
(viii)第2レジスト層4の熱処理について説明する。(iv)について説明したことに加え、以下の点を記す。
第2レジスト層4の熱処理は、後の現像において第1レジスト層2のパターンが得られた時点で、第2レジスト層4のパターンが溶解、または変形させないために行う。熱処理によって化学架橋が進行し、架橋密度を高めることで耐アルカリ性が発現する。耐アルカリ性を発現させるための熱処理時間は、通常の1.1〜2.0倍の範囲からレジストの厚さに応じて適宜選択することが好ましい。
(ix)レジスト層2,4の現像について説明する。
上記までで露光されたレジスト層を、所定の現像液を用いて現像することで所望のパターンを有するレジストパターン6が得られる。現像液としては、ここまでの工程で用いたレジストに対応するものから適宜選択すればよい。現像時間、現像温度、現像液濃度等の現像条件はレジスト厚みやパターン形状に応じて適宜調節することが好ましい。例えば、必要な深さを得るために現像時間を長くしすぎると、所定の寸法よりも大きくなってしまうため、適宜条件を設定することが好ましい。
レジスト層全体の厚みが増してくると、現像工程において、パターン底部の幅(または直径)よりも表面の幅(または直径)が広くなることが懸念される。レジストを複数層形成する場合、各レジスト層の形成において、感度の異なるレジストを段階に分けて形成することが好ましい場合がある。この場合には、例えば、表面に近い層のレジストの感度を底部に近い層よりも高くすることなどが挙げられる。さらに具体的には、感度の高いレジストとして東京応化工業株式会社製のBMR C−1000PMを、そして感度の低いレジストとして東京応化工業株式会社製のPMER−N−CA3000PMを用いることができる。その他、レジストの乾燥時間を変えることにより感度を調整するようにしてもよい。例えば、東京応化工業株式会社製のBMR C−1000PMを使用した場合、スピンコート後のレジスト乾燥時、1層目の乾燥時間を110℃で40分、2層目の乾燥時間を110℃で20分とすることで、1層目の感度を高めることができる。
樹脂製プレートの上面、または微細パターン底部の平面精度を高める方法としては、例えば、レジスト塗布で使用するレジスト種類(ネガ型、ポジ型)を変更する方法、金属構造体の表面を研磨する方法などがあげられる。
尚、所望の造型深さを得るために複数のレジスト層を形成する場合、それら複数のレジスト層を同時に露光・現像処理する、あるいは、一つのレジスト層を形成及び露光処理した後、さらにレジスト層の形成及び露光処理を行い、2つのレジスト層を同時に現像処理することが可能である。
(x)金属構造体形成ステップについてさらに詳細に説明する。
金属構造体形成ステップとはレジストパターン形成ステップで得られたレジストパターン6に沿って金属を堆積させ、レジストパターン6から凹凸面を写し取ることにより、金属構造体8を得る工程である。
図4に示されるように、この工程では予めレジストパターンに沿って導電性膜7を形成する。該導電性膜7の形成方法は特に限定されないが、好ましくは蒸着、スパッタリング等を用いることができる。導電性膜7に用いられる導電性材料としては金、銀、白金、銅、アルミニウムなどを挙げることができる。
図4に示されるように、導電性膜7を形成した後、パターンに沿って金属をメッキにより堆積して金属構造体8を形成する。金属を堆積させるメッキ方法は特に限定されないが、例えば電解メッキ、無電解メッキ等を挙げることができる。用いられる金属は特に限定されないが、ニッケル、ニッケル−コバルト合金、銅、金を挙げることができ、経済性・耐久性の観点からニッケルが好ましく用いられる。
金属構造体8はその表面状態に応じて研磨しても構わない。ただし、汚れが造形物に付着することが懸念されるため、研磨後、超音波洗浄を実施することが好ましい。また、金属構造体8はその表面状態を改善するために、離型剤等で表面処理しても構わない。なお、金属構造体8に写し取られたパターンの深さ方向の傾斜角度は、樹脂成形品の形状から50°〜90°であることが望ましく、より望ましくは60°〜87°である。
メッキにより堆積した金属構造体8はレジストパターン6から分離される。
金属構造体8は、レジストパターン6からパターンを直接写し取るだけでなく、レジストパターン6の転写パターンおよびさらにその転写パターン等に対してさらにメッキ等を行うことでも製造することができる。ここで、レジストパターン6の転写パターンは、メッキ、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いて得ることができる。この転写パターンの作製は元のレジストパターン6の形状を保持できる限り何回行っても良いが、得られる金属構造体8のパターンは、常に樹脂製プレート9の構造パターンの反対形状を有している。レジストパターン6の転写パターンのいずれかが充分な強度を有していれば、一つのレジストパターン6から複数の金属構造体8を得ることができる。
(xi)成形品形成ステップについて更に詳細に説明する。
成形品形成ステップは、図4に示されるように、前記金属構造体8を型として、樹脂製プレート9を形成する工程である。樹脂成形品の形成方法は特に限定されないが、例えば射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、押出成形によるロール転写法等を挙げることができ、生産性、型転写性の観点から射出成形が好ましく用いられる。所定の寸法を選択した金属構造体を型として射出成形で樹脂製プレート9を形成する場合、金属構造体8の形状を高い転写率で樹脂製プレートに再現することが可能である。転写率を確認する方法としては、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)等を使用して行うことができる。
金属構造体8を型として、例えば射出成形で樹脂製プレート9を形成する場合、1枚の金属構造体で1万枚〜5万枚、場合によっては20万枚もの樹脂製プレートを得ることができ、金属構造体の製作にかかる費用負担を大幅に解消することが可能である。前述したように一つのレジストパターン6から複数の金属構造体8を作製する場合には、さらに費用負担を軽減できる。また、射出成形1サイクルに必要な時間は5秒〜30秒と短く、生産性の面で極めて効率的である。射出成形1サイクルで同時に複数個の樹脂製プレートを形成可能な成形金型を使用すれば、更に生産性を向上することが可能となる。上記成形方法では金属構造体を金属型として用いても、金属構造体を予め用意した金属型内部にセットして用いても構わない。
樹脂製プレートの平面度の最小値は、工業的に再現し易い観点から1μm以上であることが好ましい。樹脂製プレートの平面度の最大値は、例えば、該成形品にソリ等が発生して光学系ユニットと接触しない等、支障とならない観点から200μm以下であることが好ましい。樹脂成形品の造形部に対する寸法精度は、工業的に再現し易い観点から±0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。
樹脂製プレートの厚さに対する寸法精度は、工業的な再現のし易さの観点から±0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。樹脂製プレートの厚さは特に規定されないが、射出成形における取り出し時の破損、取り扱い時の破損、変形、歪みなどを考慮し、0.2〜10mmの範囲内であることが好ましい。樹脂製プレートの寸法は特に限定されないが、リソグラフィー法でレジストパターンを形成する際、例えば、レジスト層の形成をスピンコート法にて行う場合、直径400mmの範囲の中から採取できるよう用途に応じて適宜選択することが好ましい。
本発明が対象とする生化学用途は、例えば蛍光顕微鏡による生体高分子の動き、生物反応の観察、遺伝子関連、又は創薬開発におけるハイスループットスクリーニング用途が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明における蛍光分析は、蛍光過程で放出される蛍光によって分析をする手法であって、そのための装置としては、蛍光顕微鏡、マイクロアレイスキャナー等が挙げられるが、これら装置を用いるものに限定されるものではない。
本発明にしたがって、樹脂製プレートを形成する方法について、図を参照しながら以下により具体的に説明する。実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、本発明にしたがって、生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートについて、以下に具体的に説明する。
<実施例1>
(株)クラレ製アクリル(パラペット GH−S、紫外線吸収剤なし、他の添加剤なし)を使用し、射出成形にて、横25mm×縦75mm、厚さ1.0mmの樹脂製プレートを製造した。
<実施例2>
三井化学(株)製ポリプロピレン樹脂(三井ポリプロ、紫外線吸収剤なし)を使用し、射出成形にて、横25mm×縦75mm、厚さ1.0mmの樹脂製プレートを製造した。)
<比較例>
比較のために、(株)帝人製のポリカーボネート(パンライト)を使用し、射出成形にて前記と同様の寸法のプレートを製造した。
[蛍光分析による比較評価]
日立製作所製の分光光度計(型式:U−2001)を使用した比較評価を行った(図5参照)。
前記アクリル製プレート、及びポリプロピレン製プレートは、励起波長300nm以上で90%以上の透過率を有し、高い適用範囲を示すのに対し、前記ポリカーボネート製プレートは、85%の透過率に到達するのが400nm以上であるため、適用範囲の制約を受けることが確認された。
また、前記ポリカーボネート製プレートは、励起波長250nm付近の紫外線を照射することで、350nmを中心とした蛍光を発するため、350nm付近に蛍光スペクトルを有するサンプルの評価は困難であることが予想される。
[マイクロアレイスキャナーによる比較評価]
ガラス製プレートと同様、表面反射率を低くし、検出系のバックグラウンドを高めてしまわないことを確認するために、前記アクリル製プレートと前記ポリカーボネート製プレートとの比較評価を行った。日立製作所製のスペクトロフォトメーター(型式:U-4000)を用いた測定では、波長400nmから800nmにおける反射率が、ポリカーボネート製プレートが5.0〜5.8%と高いのに対し、アクリル製プレート、及びポリプロピレン製プレートは、4.2%〜4.5%と低いことが確認された。
パーキンエルマーライフサイエンスジャパン(株)社製マイクロアレイスキャナー(型式:ScanArray)を使用し、レーザー波長488nmにて樹脂製プレートのバックグラウンド測定を行った。図1に示す、アクリル製プレートのバックグラウンドは低く、ほとんどベースの黒色であるのに対し、図2に示す、ポリカーボネート製プレートは強いバックグラウンド(緑色)を示すことが確認された。ポリプロピレン製プレートのバックグランドも、アクリル製プレートと同様、ほとんどベースの黒色であり、測定に充分な低反射率であることが確認された。
[蛍光顕微鏡による観察]
取り出したニワトリ繊維芽細胞およびラット繊維芽細胞をサンプルとして、そのそれぞれを異なる蛍光色素(Cy5:赤、Cy3:緑)でラベルし、実施例1で作製したアクリル製プレート上に流し込んだ後、蛍光顕微鏡により観察した。また、実施例3で作製したポリカーボネート製プレートを用いた場合においても同様に蛍光顕微鏡により観察した。
アクリル製プレートでは、それぞれ蛍光波長の異なるCy5:赤、Cy3:緑の蛍光が識別可能であったのに対し、ポリカーボネート製プレートでは、バックグラウンドであるプレートからの蛍光が高く、サンプルが発する蛍光を識別することができなかった。
<実施例3>
更に、アクリル製プレートのバックグラウンドを低くするために、湿式による表面コートを行った。コートはディッピング法により行い、コート材料は、日本精化(型式:NSC-EX-K211-8、8.0wt%)製を使用した。
日立製作所製のスペクトロフォトメーター(型式:U-4000)を用いた測定では、波長400nmから800nmにおける反射率が、未コート品が4.2〜4.5%であったのに対し、更に3.5%〜3.7%に抑制されていることが確認された。
パーキンエルマーライフサイエンスジャパン(株)社製マイクロアレイスキャナー(型式:ScanArray)を使用し、レーザー波長488nmにて樹脂製プレートのバックグラウンド測定を行った。図3に示す、アクリル製プレートをコート有り/無し部分を拡大してみると、コートを施した面は更にバックグラウンドを下げることができ、ガラス製プレートと同等であることが確認された。
本発明にしたがって、樹脂成形品を形成する方法について、図4を参照しながら以下により具体的に説明する。
図4(a)を参照して、まず基板上に、有機材料(東京応化工業製「PMER N-CA3000PM」をベースとする1回目のレジスト塗布を行った。
そして、図4(b)を参照して第1レジスト層を形成した後、基板と所望のマスクパターンに加工したマスクAとの位置合わせを行った。
次にUV露光装置(キャノン製「PLA−501F」波長365nm、露光量300mJ/cm)により、第1レジスト層をUV光により露光を行った後、ホットプレート(100℃×4分)を用いて第1レジスト層の熱処理を行った。
図4(c)を参照して、まず基板上に、有機材料(東京応化工業製「PMER N-CA3000PM」をベースとする2回目のレジスト塗布を行った。
そして、図4(d)を参照して第2レジスト層を形成した後、基板と所望のマスクパターンに加工したマスクBとの位置合わせを行った。
次にUV露光装置(キャノン製「PLA−501F」波長365nm、露光量100mJ/cm)により、第2レジスト層をUV光により露光を行った後、ホットプレート(100℃×8分)を用いて第2レジスト層の熱処理を行った。
図4(e)に示すように、前記レジスト層を有する基板を現像し、基板上にレジストパターンを形成した(現像液:東京応化工業製「PMER現像液P-7G」)。
そして、図4(f)に示すように前記レジストパターンを有する基板表面に蒸着、またはスパッタリングを行い、レジストパターンの表面に銀からなる導電性膜を堆積させた。この工程において、他に白金、金、銅などを堆積させることができる。
次に、図4(g)に示すように前記レジストパターンを有する基板をメッキ液に浸け、電気メッキを行い、レジストパターンの谷間に金属構造体(以下、Ni構造体)を得た。この工程において、他に銅、金などを堆積させることができる。
図4(h)に示すように、得られたNi構造体を金型として、射出成形でプラスチック材をNi構造体に充填し、プラスチック成形体を得た。
射出成形に用いた材料は、(株)クラレ製アクリル(パラペット GH−S)を使用し、紫外線吸収剤なしに加え、他の外添剤も添加しないものを使用した。
<実施例4>
上記の方法におけるレジストパターンを形成する工程として、レジスト塗布を3回繰り返して第1レジスト層を形成、各層に露光、熱処理を実施した後、残りの工程を実施して、図6に示すような横25mm×縦75mm、厚さ1.0mmの基板に、300μmの容器深さを有する樹脂製プレートを製造した。
<実施例5>
上記の方法におけるレジストパターンを形成する工程として、レジスト塗布を3回繰り返して第1レジスト層を形成、各層に露光、熱処理を実施、さらにレジスト塗布を1回繰り返して第2レジスト層を形成、露光、熱処理を実施した後、残りの工程を実施して、図7に示すような横75mm×縦50mm、厚さ1.5mmの基板に、30μmと300μmの容器深さを有する樹脂製プレートを製造した。
<実施例6>
上記の方法におけるレジストパターンを形成する工程として、レジスト塗布を1回行って第1レジスト層を形成、露光、熱処理を実施、さらにレジスト塗布を3回繰り返して第2レジスト層を形成、各層に露光、熱処理を実施した後、残りの工程を実施して、図8に示すような横75mm×縦50mm、厚さ1.2mmの基板に、20μmと300μmの凸パターンを有する樹脂製プレートを製造した。
この発明の実施例において、マイクロアレイスキャナーによるバックグラウンド測定結果を示す図である。 この発明の比較例において、マイクロアレイスキャナーによるバックグラウンド測定結果を示す図である。 この発明の実施例において、マイクロアレイスキャナーによるバックグラウンド測定結果を示す図である。 この発明の実施例において、樹脂製プレートを形成する工程を示す模式図である。 実施例1および比較例1の樹脂製プレートの分光透過スペクトルである。 図4に示す工程によって製造された、樹脂製プレートを示す図である。 図4に示す工程によって製造された、樹脂製プレートを示す図である。 図4に示す工程によって製造された、樹脂製プレートを示す図である。
符号の説明
1 基板
2 第1レジスト層
3 マスクA
4 第2レジスト層
5 マスクB
6 レジストパターン
7 導電性膜
8 金属構造体
9 樹脂製プレート

Claims (7)

  1. 波長300nm以上、800nm以下の波長領域における光の透過率が80%以上であり、かつ、波長230nm以上、800nm以下の波長領域の光を照射したときに自家蛍光を発せず、化学構造にベンゼン環を有しない樹脂からなることを特徴とする、生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレート。
  2. 波長300nm以上、800nm以下の波長領域で、片面の光反射率が1.0%以上、4.9%以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製プレート。
  3. 開口面積が1mm以下で、かつ、深さが10μm以上の凹部を表面に複数有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製プレート。
  4. 生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂性プレートの製造方法であって、基板上にパターンを形成するステップと、基板上に形成されたパターン、又はその転写パターンにしたがって金属を付着させ、前記樹脂製プレートが有する構造パターンの反対パターンを有する金属構造体を形成するステップと、
    前記金属構造体のパターンを転写して樹脂製プレートを形成するステップとを備えたことを特徴とする生物化学用途において蛍光分析に使用される樹脂製プレートの製造方法。
  5. 前記基板上にパターンを形成するステップにおいて、レジストパターンを形成するステップが、レジスト層が所望の高さ、又は深さを有する構造体に形成されるまで、複数回レジスト層の形成、露光を繰り返すステップを含むことを特徴とする請求項4記載の樹脂製プレートの製造方法。
  6. 前記基板上にレジストパターンを形成するステップにおいて、複数回レジスト層の形成、露光を繰り返す際、露光における各層のパターンの位置が同じ位置になるように、パターンの位置を合わせるマスク位置合わせステップをさらに備えることを特徴とする請求項4または5記載の樹脂製プレートの製造方法。
  7. 前記基板上にレジストパターンを形成するステップにおいて、複数回レジスト層の形成、露光を繰り返す際、異なるパターンのマスクを用いることで、少なくとも2以上の異なる深さの凹部を備えるレジストパターンが形成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の樹脂製プレートの製造方法。


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