JP2007240245A - 生体分子検査素子用基材及び生体分子検査素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自家蛍光性が低く、紫外線透過率が高く、DNA等の基準生体分子の固定化が容易で、検出障害となる気泡の発生がなく、且つ加工性や生産性に優れる生体分子検査素子用基材及び生体分子検査素子を提供する。
【解決手段】 光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上である脂環オレフィン重合体に、5重量%のクロロホルム溶液において10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上であり且つ分子量が1500以上であるヒンダードアミン化合物を配合して混練することによりペレット状の樹脂組成物を得、この樹脂組成物を射出成形して、水の接触角が85°以下である生体分子検査素子用基材を得る。
【選択図】 無し。
【解決手段】 光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上である脂環オレフィン重合体に、5重量%のクロロホルム溶液において10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上であり且つ分子量が1500以上であるヒンダードアミン化合物を配合して混練することによりペレット状の樹脂組成物を得、この樹脂組成物を射出成形して、水の接触角が85°以下である生体分子検査素子用基材を得る。
【選択図】 無し。
Description
本発明は生体分子検査素子用基材及び生体分子検査素子に関し、さらに詳しくは、基材自体の自家蛍光性が低く、紫外線透過率が高く、DNA等の生体分子の固定化が容易で、且つ加工性や生産性に優れる生体分子検査素子用基材及び生体分子検査素子に関する。
従来より、標的生体分子であるDNAや蛋白質などに蛍光物質を標識しこれにレーザ光を照射してその蛍光物質を励起し、これにより発生した蛍光を読取ってDNAや蛋白質などを検出し解析する装置がある。この装置にはバイオ生体分子検査素子、マイクロプレート、又はマイクロビーズなどの生体分子検査素子が用いられる。
生体分子検査素子には、所定の規則に従って配列された基準生体分子が固定されており、この基準生体分子に標的生体分子を接触させ、標的生体分子がどの基準生体分子とハイブリゼーションしたかどうかを検出できるようにしたものである。
生体分子検査素子には、所定の規則に従って配列された基準生体分子が固定されており、この基準生体分子に標的生体分子を接触させ、標的生体分子がどの基準生体分子とハイブリゼーションしたかどうかを検出できるようにしたものである。
標識した蛍光物質の蛍光は非常に微弱であるため、生体分子検査素子の自家蛍光性が高いとバックグランドが上がりシグナル検出感度の低下を招くことになる。
従来、生体分子検査素子用の基材には、ガラスやシリコンといった自家蛍光性の低い素材が用いられている。しかしながら、これらの素材から製造された基材は表面加工の難しさから量産性に難があり、使用後に焼却処理できないため、製造や廃棄処理のために高いコストがかかる。
従来、生体分子検査素子用の基材には、ガラスやシリコンといった自家蛍光性の低い素材が用いられている。しかしながら、これらの素材から製造された基材は表面加工の難しさから量産性に難があり、使用後に焼却処理できないため、製造や廃棄処理のために高いコストがかかる。
このようなガラス製生体分子検査素子の欠点を克服するために、環状オレフィン誘導体を開環重合し次いで水素添加した飽和重合体又はα−オレフィンと環状オレフィン誘導体の付加共重合し、次いで水素添加した飽和重合体を用いたDNA生体分子検査素子用基材が提案され(特許文献1)、脂環オレフィン重合体からなる成形品であって、表面に微小なキャピラリー流路あるいは凹パターンを有する検査素子用の生体分子検査素子用基材が提案されている(特許文献2)。
また、ノルボルネン樹脂のような脂環オレフィン重合体からなる基材の表面に酸素又は酸素を含むガス雰囲気下の低温プラズマ放電と純水浸漬処理とを含む酸化処理を施し、水酸基を導入させた、マイクロ生体分子検査素子用プラスチック基材が提案されている(特許文献3)。これらの文献によると、脂環オレフィン重合体は自家蛍光性が低く、耐熱性が高いので、生体分子検査素子基材として好適であると述べている。
また、ノルボルネン樹脂のような脂環オレフィン重合体からなる基材の表面に酸素又は酸素を含むガス雰囲気下の低温プラズマ放電と純水浸漬処理とを含む酸化処理を施し、水酸基を導入させた、マイクロ生体分子検査素子用プラスチック基材が提案されている(特許文献3)。これらの文献によると、脂環オレフィン重合体は自家蛍光性が低く、耐熱性が高いので、生体分子検査素子基材として好適であると述べている。
ところが、本発明者の検討によると、特許文献1又は2で提案されている生体分子検査素子用基材では、DNA等の基準生体分子を固定することが難しく、また、微小なキャピラリー流路あるいは凹パターンの表面において、水性媒体に溶解又は分散される検体に気泡が生じるなどして検出障害を生じることがわかった。また特許文献3で提案されている基材は、上記のごとき複数の工程からなる酸化処理を施さなければならず、生産性に難があることがわかった。
そこで、本発明は、自家蛍光性が低く、紫外線透過率が高く、DNA等の基準生体分子の固定化が容易で、検出障害がなく、且つ加工性や生産性に優れる生体分子検査素子用基材及び生体分子検査素子を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、自家蛍光性が低く、紫外線透過率が高く、DNA等の基準生体分子の固定化が容易で、検出障害がなく、且つ加工性や生産性に優れる生体分子検査素子用基材及び生体分子検査素子を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、脂環オレフィン重合体に特定範囲の紫外線透過率と特定範囲の分子量とを有するヒンダードアミン化合物を配合してなる樹脂組成物を成形し、成形体表面の、水との接触角を下げることによって、検出障害の原因となる気泡が生じなくなったばかりか、表面処理を施すことなく生体分子を容易に固定できることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討することによって、完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、
(1) 光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上である脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物からなり、且つ水の接触角が85°以下である生体分子検査素子用基材。
(2) 23℃の水中に30日間、該生体分子検査用基材を浸漬した後の水の接触角が85°以下である前記(1)の生体分子検査素子用基材。
(3) 樹脂組成物は、5重量%のクロロホルム溶液において10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上であり、且つ分子量が1500以上であるヒンダードアミン化合物をさらに含有するものである前記(1)又は(2)の生体分子検査素子用基材。
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかの生体分子検査素子用基材の表面に基準生体分子を固定化してなる、標的生体分子を基材の表面に接触させ、前記生体分子間で生じた特異的な反応を検出するための生体分子検査用素子。
(5) 前記特異的な反応を紫外線及び/又は蛍光を用いて検出するための前記(4)の生体分子検査素子。提供される。
(1) 光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上である脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物からなり、且つ水の接触角が85°以下である生体分子検査素子用基材。
(2) 23℃の水中に30日間、該生体分子検査用基材を浸漬した後の水の接触角が85°以下である前記(1)の生体分子検査素子用基材。
(3) 樹脂組成物は、5重量%のクロロホルム溶液において10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上であり、且つ分子量が1500以上であるヒンダードアミン化合物をさらに含有するものである前記(1)又は(2)の生体分子検査素子用基材。
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかの生体分子検査素子用基材の表面に基準生体分子を固定化してなる、標的生体分子を基材の表面に接触させ、前記生体分子間で生じた特異的な反応を検出するための生体分子検査用素子。
(5) 前記特異的な反応を紫外線及び/又は蛍光を用いて検出するための前記(4)の生体分子検査素子。提供される。
本発明の生体分子検査素子用基材は、自家蛍光性が低く、紫外線の透過率が高い。さらにDNAや断片等の基準生体分子を、表面処理等を施すことなく容易に固定することができる。この基材に基準生体分子を固定させた本発明の生体分子検査素子は、低い自家蛍光性と、高い紫外線透過性を有するので、標的生体分子を高い感度で検出することができ、遺伝子解析等に好適である。
本発明の生体分子検査素子用基材が上記のような効果を奏する理由は定かではないが、10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上であり且つ分子量が1500以上のヒンダードアミン化合物と、脂環オレフィン重合体とを含有する光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上である樹脂組成物を成形したものは、その表面に官能基が多数導入されているものと考えられる。その官能基によって生体分子の固定が容易になったものと推定される。
本発明の生体分子検査素子用基材が上記のような効果を奏する理由は定かではないが、10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上であり且つ分子量が1500以上のヒンダードアミン化合物と、脂環オレフィン重合体とを含有する光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上である樹脂組成物を成形したものは、その表面に官能基が多数導入されているものと考えられる。その官能基によって生体分子の固定が容易になったものと推定される。
本発明の生体分子検査素子用基材は、樹脂組成物からなるものである。該樹脂組成物は、光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上である。光線透過率が低いと、検出感度の低下を生じる恐れがある。光線透過率は紫外可視分光光度計(ジャスコインタナショナル社製;製品名「V−550」)により測定した。
本発明に用いる樹脂組成物は、脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物であり、好ましくは、下記のヒンダードアミン化合物と脂環オレフィン重合体とを含有する樹脂組成物である。
(脂環オレフィン重合体)
本発明に用いられる脂環オレフィン重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環構造を有する重合体である。脂環構造は主鎖及び側鎖のいずれに有していてもよい。
脂環構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、重合体の熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
脂環構造を構成する炭素原子数は、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲にある。炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性に優れた生体分子検査素子が得られるので好ましい。
脂環オレフィン重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環オレフィン重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、耐熱性に優れた生体分子検査素子が得られるので好ましい。
尚、脂環オレフィン重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位以外の残部は、使用目的に応じて適宜選択される。
本発明に用いられる脂環オレフィン重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環構造を有する重合体である。脂環構造は主鎖及び側鎖のいずれに有していてもよい。
脂環構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、重合体の熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
脂環構造を構成する炭素原子数は、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲にある。炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性に優れた生体分子検査素子が得られるので好ましい。
脂環オレフィン重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環オレフィン重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、耐熱性に優れた生体分子検査素子が得られるので好ましい。
尚、脂環オレフィン重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位以外の残部は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環オレフィン重合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体などが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の点から、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン重合体、及びビニル脂環式炭化水素重合体が好ましく、ノルボルネン系重合体及びビニル脂環式炭化水素重合体がより好ましく、ノルボルネン系重合体が特に好ましい。
これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の点から、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン重合体、及びビニル脂環式炭化水素重合体が好ましく、ノルボルネン系重合体及びビニル脂環式炭化水素重合体がより好ましく、ノルボルネン系重合体が特に好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環重合体、及びこれらの水素化物;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。
本発明においてノルボルネン系モノマーとは、化1で表されるノルボルネン構造を有する化合物である。
ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環重合体、及びこれらの水素化物;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。
本発明においてノルボルネン系モノマーとは、化1で表されるノルボルネン構造を有する化合物である。
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、テトラシクロ[7.4.0.02,7.110,13]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体などが挙げられる。尚、上記置換基の数に制限はない。上記置換基の具体例としてはアルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。環に置換基を有するものとしては、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。これらノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体、又はノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、開環重合触媒の存在下で、少なくともノルボルネン系モノマーを重合することによって得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンモノマーなどを挙げることができる。
開環重合触媒としては、ルテニウム及びオスミウムなどの金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物などの助触媒とからなる触媒;などを挙げることができる。
ノルボルネン系モノマーの付加重合体、又はノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体は、付加重合触媒の存在下に重合することによって得られる。付加重合触媒としては、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。
ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。これらモノマーは、単独で若しくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ノルボルネン系モノマーとこれと付加共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
ノルボルネン系モノマーとこれと付加共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素化物又はノルボルネン系モノマーの付加重合体の水素化物は、通常、上記開環重合体又は付加重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、それに水素を接触させて、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
(2)単環の環状オレフィン重合体
単環の環状オレフィン重合体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンモノマーの付加重合体などが挙げられる。
単環の環状オレフィン重合体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンモノマーの付加重合体などが挙げられる。
(3)環状共役ジエン重合体
環状共役ジエン重合体としては、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエンモノマーを1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などが挙げられる。
環状共役ジエン重合体としては、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエンモノマーを1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などが挙げられる。
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン重合体又は環状共役ジエン重合体の分子量は、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。分子量が上記範囲にあると、生体分子検査素子用基材を容易に成形加工でき、生体分子検査素子用基材の機械的強度が高度にバランスされて好適である。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系モノマーの重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系モノマーの重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、さらに、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系モノマーと、これらのモノマーと共重合可能な他のモノマーとのランダム重合体、ブロック重合体などの重合体及びそれらの水素化物などが挙げられる。ブロック重合体としては、そのブロック構造に制限はなく、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロック構造であっておよいし、傾斜ブロック重合体であってもよい。
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系モノマーの重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系モノマーの重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、さらに、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系モノマーと、これらのモノマーと共重合可能な他のモノマーとのランダム重合体、ブロック重合体などの重合体及びそれらの水素化物などが挙げられる。ブロック重合体としては、そのブロック構造に制限はなく、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロック構造であっておよいし、傾斜ブロック重合体であってもよい。
ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン(トルエン溶液を用いた場合はポリスチレン)換算の重量平均分子量で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲である。重量平均分子量がこの範囲にあると、生体分子検査素子用基材を容易に成形加工でき、生体分子検査素子用基材の機械的強度が高度にバランスされて好適である。
本発明に用いられる脂環オレフィン重合体のメルトフローレイト(MFR)は、好ましくは1〜100g/10分、より好ましくは2〜70g/10分、特に好ましくは3〜50g/10分である。MFRがこの範囲にあると生体分子検査素子用基材を容易に成形加工できるので好ましい。尚、メルトフローレイト(MFR)は、温度280℃、荷重2.16kgの条件でJIS K7210に準じ測定した値である。
本発明に用いられる脂環オレフィン重合体のガラス転移温度(Tg)は、70℃以上であると好ましく、100〜250℃の範囲であるとより好ましく、100〜200℃の範囲であると特に好ましく、100〜140℃の範囲であると最も好ましい。Tgがこの範囲であると、生体分子検査素子用基材を容易に成形加工でき、生体分子検査素子用基材の耐熱性が高度にバランスされ好ましい。
(ヒンダードアミン化合物)
本発明に用いられる好適な樹脂組成物に含まれるヒンダードアミン化合物は、5重量%のクロロホルム溶液において10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上、好ましくは85%である。
また、本発明に用いられる好適な樹脂組成物に含まれるヒンダードアミン化合物は分子量が1500以上、好ましくは2000以上である。
本発明に用いられる好適な樹脂組成物に含まれるヒンダードアミン化合物は、5重量%のクロロホルム溶液において10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上、好ましくは85%である。
また、本発明に用いられる好適な樹脂組成物に含まれるヒンダードアミン化合物は分子量が1500以上、好ましくは2000以上である。
好適なヒンダードアミン化合物は、窒素原子に隣接する2つの炭素原子の双方にそれぞれ置換基が結合したピペリジン環を複数含有するものである。窒素原子に隣接する2つの炭素原子の双方にそれぞれ結合する置換基は、メチル基、エチル基などのアルキル基であることが好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
ヒンダードアミン化合物としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−アミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]などのピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量ヒンダードアミン化合物;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
これらのうち、特に好適なヒンダードアミン化合物は、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]である。
これらのうち、特に好適なヒンダードアミン化合物は、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]である。
本発明に用いられる樹脂組成物は、脂環オレフィン重合体100重量部に対してヒンダードアミン化合物を好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、特に好ましくは1〜5重量部、最も好ましくは0.5〜2重量部含有している。
本発明に用いられる脂環オレフィン重合体には、さらに必要に応じて各種配合剤を含有していてもよい。
配合剤としては、酸化防止剤、熱安定剤等の安定剤;可塑剤等の樹脂改質剤;帯電防止剤;他の種類の重合体(ゴムや樹脂);などが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、生体分子検査素子用基材の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、脂環オレフィン重合体100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
配合剤としては、酸化防止剤、熱安定剤等の安定剤;可塑剤等の樹脂改質剤;帯電防止剤;他の種類の重合体(ゴムや樹脂);などが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、生体分子検査素子用基材の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、脂環オレフィン重合体100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
他の種類の重合体(ゴムや樹脂)としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴムなどのイソブチレン系重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム重合体、イソプレン・スチレンランダム重合体、アクリロニトリル・ブタジエン重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック重合体、イソプレン・スチレン・ブロック重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック重合体などのジエン系重合体;ポリブチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル系重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン重合体などのビニル化合物の重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素系重合体;などが挙げられる。これらの重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。上記重合体の中でも、ゴム弾性、機械強度、柔軟性、分散性の点で、ジエン系重合体が好ましく、該重合体の主鎖中の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が特に好ましい。
樹脂組成物は、その調製方法によって制限されず、例えば、前記脂環オレフィン重合体及び前記ヒンダードアミン化合物並びに必要に応じて用いられる配合剤を混練し、ペレット状にする方法;溶媒中で脂環オレフィン重合体及び前記ヒンダードアミン化合物並びに必要に応じて含有される配合剤を混合し、次いで溶媒を除去する方法などが挙げられる。
混練では、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、フィーダールーダーなどの溶融混練機等を用いることができる。混練温度は、180〜400℃の範囲であると好ましく、200〜350℃の範囲であるとより好ましい。また、混練する際に、各成分を一括添加しても良いし、数回に分けて添加しても良い。また添加順序も特に制限されない。
本発明の生体分子検査素子用基材は、生体分子と接触させる面の水の接触角が85°以下、好ましくは10〜60°である。尚、水の接触角は、温度25℃/湿度50%の環境下において、接触角計(協和界面科学社製;製品名「DropMaster300」)を使用してθ/2法で測定した値である。
また、本発明の生体分子検査素子用基材は、23℃の水中に30日間、浸漬した後の、生体分子と接触させる面の水の接触角が好ましくは85°以下である。30日間の水浸漬後での接触角が小さいことによって、安定した生体分子の固着性が得られる。
水の接触角は、ヒンダードアミン化合物の種類及び配合量の種類及び配合量によって調整することができる。
また、本発明の生体分子検査素子用基材は、23℃の水中に30日間、浸漬した後の、生体分子と接触させる面の水の接触角が好ましくは85°以下である。30日間の水浸漬後での接触角が小さいことによって、安定した生体分子の固着性が得られる。
水の接触角は、ヒンダードアミン化合物の種類及び配合量の種類及び配合量によって調整することができる。
本発明の生体分子検査素子用基材は、生体分子と接触させる面の表面粗さ(算術表面粗さ)が、好ましくは0.01〜1.5μm、より好ましくは0.05〜1μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmである。表面粗さは、表面粗さ計(ランクテーラーホブソン社製;製品名「フォームタリサーフ」)を用いてJIS B0601に準じ測定した値である。表面粗さは、生体分子検査素子用基材の成形に用いる金型の表面を、ラッピング研磨することなどにより調整することができる。
本発明の生体分子検査素子用基材は、検査のための混合、分離、抽出、ろ過、吸着、化学反応、生物反応、流動、貯蔵などを行うための微小なキャピラリーアレイやスポットを配列したマイクロアレイが上面に形成されたものであり、他の化学的、生物的素子や検査部品と組み合わせて生体分子検査素子となるものである。本発明の生体分子検査素子用基材は、具体的には、マイクロアレイスキャナー用生体分子検査素子、フローサイトメーター用生体分子検査素子、電気泳動用生体分子検査素子、及び血液検査素子に好適に用いられる。
本発明の生体分子検査素子用基材がキャピラリーアレイ型の場合、基材上に複数の物理的又は化学的な単位操作を行うためのスポットとそれを結ぶキャピラリーから構成される。スポット部には検査を行うための、化学物質、酵素類、DNR、RNA、たんぱく質などの基準生体分子が固定化され、各種反応、分離、抽出などが行われるようになっている。また、キャピラリー部にも、検査対象液体を移送する機能のほかに、分離、吸着、ろ過などの単位操作機能を付加させることもできる。
生体分子検査素子用基材の大きさは、通常、10〜200mm×10〜50mmの矩形形状であり、厚みは目的により適宜選択可能であるが、通常、0.5〜5mmの間から適宜選択される。
生体分子検査素子用基材の大きさは、通常、10〜200mm×10〜50mmの矩形形状であり、厚みは目的により適宜選択可能であるが、通常、0.5〜5mmの間から適宜選択される。
スポット部は、通常、円柱、直方体、球面体上の凹地形状であり、その形状は目的により適宜選択される。通常、その深さは、検査対象の貯槽を目的とした場合、0.001〜3mmであり、基材の厚みを超えない範囲で適宜選択され、円柱状の場合には、底面の寸法は、直径が0.1〜10mm、直方体形状の場合には、底面が0.1〜5mm×0.5〜5mmである。また、各種単位操作を目的とした場合には、その深さは0.1〜100μmの範囲で適宜選択され、円柱状の場合にはその寸法は、直径が0.5〜5mm、直方体形状の場合には、幅が0.1〜5mm、長さが0.5〜5mmである。
キャピラリー部の形状は、矩形、半円柱形、V字形状など適宜選択でき、通常その深さは1〜300μm、幅は1〜300μmである。
キャピラリー部の形状は、矩形、半円柱形、V字形状など適宜選択でき、通常その深さは1〜300μm、幅は1〜300μmである。
本発明の生体分子検査素子用基材がマイクロアレイ型の場合、複数の検査を1枚の生体分子検査素子上で行うため、微小な検査用スポットが1枚の生体分子検査素子用基材上に配列された形状である。検査用スポットは、円柱形状、円球形状、砲弾形状、深さ方向へのキャピラリー形状、多角形柱形状、円錐形状、多角錐形状、円錐台形状、多角錐台形状など公知の形状を適宜選択することが可能である。また、検査用スポットには、化学物質や生化学高分子あるいは酵素類などの基準生体分子を固定化するためのパターンが形成されていても良い。スポットの開口部の直径あるいは1辺の、長さは通常10〜700μmであり、深さは通常1〜500μmの範囲で適宜目的に応じて選択される。
本発明の生体分子検査素子用基材は、公知の成形手段、例えば、微小なキャピラリー流路あるいは凹パターンを形成した金型を用い、キャビティーを減圧にする方法及び射出圧縮成形法の少なくとも1つの方法を適用した射出成形法、あるいはキャビティーを減圧にする方法と射出圧縮成形法を組み合わせた方法などを用いて形成することができる。
本発明の生体分子検査素子用基材を作成するための金型の材質や構造は公知のものを採用することが可能である。好ましい材質としては、通常の炭素鋼、ステンレス鋼、あるいはこれらをベースにした公知の合金類が用いられ、表面は焼き入れ処理あるいはクロム、チタン、ダイヤモンドなど公知のコーティング処理、あるいはニッケル系金属、銅合金などパターン加工のための金属めっきを施すことができる。
検査生体分子検査素子に形成されるパターンは、上記金属類あるいはめっき面、あるいはスタンパーとして、その表面に直接、放電加工機、切削加工機といった、公知の加工機でパターンを形成しても良く、部分めっきなどの方法でパターンを形成しても良い。
検査生体分子検査素子に形成されるパターンは、上記金属類あるいはめっき面、あるいはスタンパーとして、その表面に直接、放電加工機、切削加工機といった、公知の加工機でパターンを形成しても良く、部分めっきなどの方法でパターンを形成しても良い。
生体分子検査素子用基材の成形条件は、成形手段に応じて適宜選択することができ、成形時の樹脂温度は通常200℃〜400℃、好ましくは210℃〜350℃である。また金型を使用する場合の金型温度T0℃は、使用する脂環オレフィン重合体のガラス転移温度Tgとの関係が、通常、室温<T0<(Tg+15)℃、好ましくは(Tg−30)<T0<(Tg+10)℃、より好ましくは(Tg−20)<T0<(Tg+5)℃に設定される(ただし、(Tg−30)<室温、あるいは(Tg−20)℃<室温である場合は、室温<T0℃とする。)。射出成形条件は、特に限定されるものではないが、射出速度は、生体分子検査素子用基材の大きさや成形機のシリンダーサイズにより異なるが、例えば、シリンダー径が28mmの場合、通常、50mm/秒以上、好ましくは60〜150mm/秒の高速で成形することが好ましく、保圧は成形品の形状が保持できる程度の最小圧・時間に調整してかけることが好ましい。
また、本発明に使用される脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物は、予め乾燥して用いることが好ましい。通常の熱風乾燥あるいは除湿乾燥機を用いることもできるが、生体分子検査素子用基材の色相の観点から、減圧乾燥機あるいは窒素などの不活性ガスの循環による乾燥機を使用することが好ましい。
また、本発明に使用される脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物は、予め乾燥して用いることが好ましい。通常の熱風乾燥あるいは除湿乾燥機を用いることもできるが、生体分子検査素子用基材の色相の観点から、減圧乾燥機あるいは窒素などの不活性ガスの循環による乾燥機を使用することが好ましい。
上記の方法で製造された生体分子検査素子用基材は、さらに必要に応じて、親水性、疎水性、特定波長光線透過性、耐酸性、耐アルカリ性、ガスバリアー性、反射防止、ハードコート、光触媒性などの機能を持つ公知のコーティング加工を施すことが可能である。
コーティングは、真空蒸着法、スパッタ法、化学蒸着法などの乾式コーティング法、あるいは、本発明の樹脂組成物を不可溶な溶媒を用いた刷毛塗り、ロールコーティング、ディッピング、スピンコーティング、吹き付けなどの方法により塗布した後、目的により熱風、真空などの乾燥、熱や活性光線で硬化などを行う湿式コーティングなどの方法を採用することが可能である。
コーティングは、真空蒸着法、スパッタ法、化学蒸着法などの乾式コーティング法、あるいは、本発明の樹脂組成物を不可溶な溶媒を用いた刷毛塗り、ロールコーティング、ディッピング、スピンコーティング、吹き付けなどの方法により塗布した後、目的により熱風、真空などの乾燥、熱や活性光線で硬化などを行う湿式コーティングなどの方法を採用することが可能である。
本発明の生体分子検査素子用基材は、医療や食品用途で採用されている方法で殺菌することが可能である。殺菌方法としては、高温蒸気によるオートクレーブ殺菌、γ線殺菌、電子線殺菌などの方法が用いることができる。
脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物は、オートクレーブ殺菌では、熱による変形、高温水蒸気成分による樹脂の失透、ガンマ線や電子線の殺菌においては、熱による変形及びこれら活性光線による劣化変色が少なく、検査素子用の生体分子検査素子用基材として好適に用いることが可能である。
脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物は、オートクレーブ殺菌では、熱による変形、高温水蒸気成分による樹脂の失透、ガンマ線や電子線の殺菌においては、熱による変形及びこれら活性光線による劣化変色が少なく、検査素子用の生体分子検査素子用基材として好適に用いることが可能である。
本発明の生体分子検査素子用基材は、必要に応じて、核酸類や酵素類などによる修飾や反応薬品の塗布・固定化などの処理が施され、他の検査用冶具などと組み合わせて検査機器を構成することにより、医療検査や食品検査などに用いることが可能である。
本発明の生体分子検査用素子は、標的生体分子を基材の表面に接触させ、前記生体分子間で生じた特異的な反応を検出するために用いられるものである。
この生体分子検査用素子は、前記生体分子検査素子用基材の表面に基準生体分子を固定化してなるものである。基準生体分子は標的生体分子に応じて適宜選択できる。
この生体分子検査用素子は、前記生体分子検査素子用基材の表面に基準生体分子を固定化してなるものである。基準生体分子は標的生体分子に応じて適宜選択できる。
そして、前記特異的な反応を紫外線及び/又は蛍光を用いて検出することができる。本発明の生体分子検査素子は自家蛍光性が低いので生体分子の検出感度が高い。
以下、本発明について、製造例、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例に限定されるものではない。これらの例において、特に断りのない限り、部は重量基準、圧力はゲージ圧である。また、各種物性の測定法は、次の通りである。
(1)表面粗さ
表面粗さ計(ランクテーラーホブソン社製;製品名「フォームタリサーフ」)を用いてJIS B0601に準じ樹脂型表面の、算術表面粗さ(Ra)を測定した。
表面粗さ計(ランクテーラーホブソン社製;製品名「フォームタリサーフ」)を用いてJIS B0601に準じ樹脂型表面の、算術表面粗さ(Ra)を測定した。
(2)接触角
成形品を得た直後及び23℃の水に30日間浸漬した後の成形品について、温度25℃、湿度50%の条件で、接触角計(協和界面科学社製;製品名「DropMaster300」)を用いて、樹脂型表面の水との接触角θをθ/2法で測定した。
成形品を得た直後及び23℃の水に30日間浸漬した後の成形品について、温度25℃、湿度50%の条件で、接触角計(協和界面科学社製;製品名「DropMaster300」)を用いて、樹脂型表面の水との接触角θをθ/2法で測定した。
(3)生体分子検査素子用基材の蛍光強度
マイクロアレイスキャナー(Amersham Bio Science社製;製品名「GenePix 4000B」)を用いて蛍光強度を測定し、Cy3(蛍光波長:532nm)における蛍光強度を解析ソフト(製品名「GenePix Pro 4.0」)を用いて数値化した。尚、表中には、数値化した結果をメディアン値として記載した。
マイクロアレイスキャナー(Amersham Bio Science社製;製品名「GenePix 4000B」)を用いて蛍光強度を測定し、Cy3(蛍光波長:532nm)における蛍光強度を解析ソフト(製品名「GenePix Pro 4.0」)を用いて数値化した。尚、表中には、数値化した結果をメディアン値として記載した。
(4)生体分子の固着性
生体分子の固着性を模擬的に確認するため、アミノ基を含有する化合物が成形品表面に固着されるかどうかを、以下の方法で確認した。
成形品をγ−アミノプロピルトリエトキシシランの2%メタノール溶液に2時間浸漬した。成形品を前記メタノール溶液から取り出し、超純水に浸漬し1時間放置した。成形品を超純水から取り出し真空乾燥した。この処理は、成形品表面にγ−アミノプロピルトリエトキシシランが固着しアミノ基を導入することを意図している。
次いで該成形品を、りん酸緩衝生理食塩水にグルタルアルデヒドを濃度1%になるように溶解させ溶液に浸漬して、4時間放置した。グルタルアルデヒド溶液から取り出し、洗浄し、乾燥した。この処理は、成形品にアミノ基が導入されていれば、そのアミノ基とグルタルアルデヒドが反応しアルデヒド基に変換されることを意図している。
次に、成形品を超純水に1時間浸漬した。成形品を超純水から取り出し真空乾燥した。これをFT−IR(Nicolet社製;製品名「AVATER−320」)を用いてアルデヒド基の有無を調べた。アルデヒド基が検出されればアミノ基を含有する化合物が成形品表面に固着されていたことになる。
表中、アルデヒド基が検出されたものは、「○」アルデヒド基が検出されなかったものは「×」とした。
生体分子の固着性を模擬的に確認するため、アミノ基を含有する化合物が成形品表面に固着されるかどうかを、以下の方法で確認した。
成形品をγ−アミノプロピルトリエトキシシランの2%メタノール溶液に2時間浸漬した。成形品を前記メタノール溶液から取り出し、超純水に浸漬し1時間放置した。成形品を超純水から取り出し真空乾燥した。この処理は、成形品表面にγ−アミノプロピルトリエトキシシランが固着しアミノ基を導入することを意図している。
次いで該成形品を、りん酸緩衝生理食塩水にグルタルアルデヒドを濃度1%になるように溶解させ溶液に浸漬して、4時間放置した。グルタルアルデヒド溶液から取り出し、洗浄し、乾燥した。この処理は、成形品にアミノ基が導入されていれば、そのアミノ基とグルタルアルデヒドが反応しアルデヒド基に変換されることを意図している。
次に、成形品を超純水に1時間浸漬した。成形品を超純水から取り出し真空乾燥した。これをFT−IR(Nicolet社製;製品名「AVATER−320」)を用いてアルデヒド基の有無を調べた。アルデヒド基が検出されればアミノ基を含有する化合物が成形品表面に固着されていたことになる。
表中、アルデヒド基が検出されたものは、「○」アルデヒド基が検出されなかったものは「×」とした。
(5)成形品の光線透過率
射出成形法でスライドガラス形状(76mm×26mm×1mm)に形成した成形品を紫外可視分光光度計(ジャスコインタナショナル社製;製品名「V−550」)により測定した。
射出成形法でスライドガラス形状(76mm×26mm×1mm)に形成した成形品を紫外可視分光光度計(ジャスコインタナショナル社製;製品名「V−550」)により測定した。
(6)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC法)により測定した。
示差走査熱量計(DSC法)により測定した。
(7)分子量の測定
特に記載しない限り、シクロヘキサンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定されるポリイソプレン換算値として測定した。
特に記載しない限り、シクロヘキサンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定されるポリイソプレン換算値として測定した。
(実施例1)
脂環オレフィン重合体(日本ゼオン製;製品名「ゼオノア1060R」)100部に対し、ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]を0.5部添加して、ドライブレンドした。
ドライブレンド物を240℃で2軸混練し、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形してスライドガラス形状(76mm×26mm×1mm)に形成した。
このスライドガラス状成形品について、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
脂環オレフィン重合体(日本ゼオン製;製品名「ゼオノア1060R」)100部に対し、ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]を0.5部添加して、ドライブレンドした。
ドライブレンド物を240℃で2軸混練し、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形してスライドガラス形状(76mm×26mm×1mm)に形成した。
このスライドガラス状成形品について、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]の量を1.0部にした以外は、実施例1と同様にしてスライドガラス状(76mm×26mm×1mm)成形品を得、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]の量を1.0部にした以外は、実施例1と同様にしてスライドガラス状(76mm×26mm×1mm)成形品を得、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]をグリセリンモノステアレートに変えた以外は、実施例2と同様にしてスライドガラス状(76mm×26mm×1mm)成形品を得、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]をグリセリンモノステアレートに変えた以外は、実施例2と同様にしてスライドガラス状(76mm×26mm×1mm)成形品を得、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]を添加しなかった他は実施例1と同様にしてスライドガラス状(76mm×26mm×1mm)成形品を得、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチル−4−ピペリジル}イミノ]]を添加しなかった他は実施例1と同様にしてスライドガラス状(76mm×26mm×1mm)成形品を得、表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
(参考例1)
実施例1と同様にして、DNAマイクロアレイ用コートスライドグラス(松浪硝子工業社製;製品名「ノンコート」)の表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、DNAマイクロアレイ用コートスライドグラス(松浪硝子工業社製;製品名「ノンコート」)の表面粗さ、接触角、生体分子の固着性、光線透過率を求めた。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明の生体分子検査素子用基材(実施例1〜4)は、蛍光強度が従来のガラス製基材(参考例1)に比べ低くなっていることがわかる。また従来から提案されている樹脂製基材(比較例1)に比べ生体分子の固着性が大幅に改善されていることがわかる。
Claims (5)
- 光路長1mm厚で330nm〜340nmにおける光線透過率が80%以上である脂環オレフィン重合体を含有する樹脂組成物からなり、且つ水の接触角が85°以下である生体分子検査素子用基材。
- 23℃の水中に30日間、該生体分子検査用基材を浸漬した後の水の接触角が85°以下である請求項1に記載の生体分子検査素子用基材。
- 樹脂組成物は、5重量%のクロロホルム溶液において10mm光路セルで測定した280nm〜300nmの光線透過率が80%以上であり、且つ分子量が1500以上であるヒンダードアミン化合物をさらに含有するものである請求項1又は2に記載の生体分子検査素子用基材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の生体分子検査素子用基材の表面に基準生体分子を固定化してなる、標的生体分子を基材の表面に接触させ、前記生体分子間で生じた特異的な反応を検出するための生体分子検査用素子。
- 前記特異的な反応を紫外線及び/又は蛍光を用いて検出するための請求項4に記載の生体分子検査素子。
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- 2006-03-07 JP JP2006060725A patent/JP2007240245A/ja active Pending
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