JP2010259340A - 貫通孔マイクロアレイとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイブリダイゼーションによって得られるシグナル強度が、スポット内において均一であるマイクロアレイを提供する。
【解決手段】複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイであって、前記貫通孔の内径が120μm以下であるマイクロアレイ。または、複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むマイクロアレイの製造方法。(1)内径120μm以下の複数の貫通孔を有するブロック体を製造する工程(2)前記貫通孔の中でゲル前駆体溶液を重合する工程(3)前記ブロック体をスライスし、薄片化する工程。
【選択図】なし

Description

本発明は核酸等の生体関連物質を検出するために用いられる生体関連物質検出用マイク
ロアレイ、及びその製造方法に関する。
近年ライフサイエンスの分野において、遺伝情報を調べるツールとして、DNAマイクロアレイが用いられている。
生物の遺伝情報を記録する媒体であるDNAやそこから転写されるRNAは、4種類の核酸塩基から構成される生体高分子である。DNAはアデニン(以下Aと略す)、グアニン(以下Gと略す)、シトシン(以下Cと略す)、チミン(以下Tと略す)で構成され、RNAはA、G、C、ウラシル(以下Uと略す)で構成されている。これらの核酸塩基はその相補性により、AはTまたはUと、GはCと塩基対間水素結合により対合する。この原理を利用して塩基配列の相同性を調べたり、相同な核酸を検出する方法はハイブリダイゼーション法と呼ばれる。DNAマイクロアレイは、このハイブリダイゼーション法をチップ基盤上で行う評価ツールの一つであり、植物、動物、微生物等の遺伝情報を解析するため用いられる。
DNAマイクロアレイの基盤には既知遺伝子と相補な塩基配列を持った、DNAプローブと呼ばれるDNA分子が高密度に配列・固定化されており、一度の実験で数千〜数万の遺伝子発現情報が得られることから、医療分野、農林水産分野、環境分野など様々な分野での応用が期待されている。
DNAマイクロアレイの一種として、中空繊維を利用した、貫通孔にゲルを介してDNAプローブが固定されたマイクロアレイが開発されている(特許文献1,2)。
上記マイクロアレイは、例えば以下の(1)〜(3)を順次行う方法により製造される(図1)。
(1)複数本の中空繊維を、中空繊維の各繊維軸が同一方向となるように配列し、その配列をポリウレタン樹脂等の接着剤を用いて固定し、中空繊維配列体を包埋したブロック体を製造する工程。
(2)DNAプローブを含むゲル前駆体重合性溶液を各中空繊維の中空部に導入し、重合反応を行い、各中空繊維の中空部にDNAプローブを保持する工程。
(3)中空繊維の長手方向に交叉する方向でブロック体をスライスし、薄片化する工程。
このようにして得られたDNAマイクロアレイは、例えば以下のようにして核酸の検出に用いることができる。
まず、DNAマイクロアレイに検体溶液を接触させ、各スポットに搭載されているDNAプローブと検体である核酸とのハイブリダイゼーション反応を行う。検体溶液中にDNAプローブと相補的な配列を有する核酸が存在していれば、該核酸がハイブリダイゼーション反応によりDNAプローブに結合する。このハイブリダイゼーションを検出することで、検体中に目的の核酸がどの程度存在しているかを調べることが出来る。
ハイブリダイゼーションを検出する方法としては、一般的には蛍光ラベル化法が利用される。即ち、予め検体の方に蛍光ラベル化を施しておくか、あるいは、蛍光ラベルが結合するサイトを検体の塩基配列中に導入しておき、ハイブリダイゼーション反応後に、各スポットの蛍光シグナル強度を測定する方法である。シグナル強度の測定には、スポット半径より若干小さい半径の円をスポットの内側に設定し、その円内に含まれるシグナル強度データを取得する手法がよく用いられる。
特開2000-245460号公報 特開2000-270878号公報
しかし、上記方法により製造した貫通孔にゲルを介してプローブが固定されたマイクロアレイは、検体ハイブリダイゼーション後の各スポットのシグナル強度が不均一となる場合があった。具体的には、スポット中央部のシグナル強度が外周部に比べて低くなり、シグナルがリング状となる現象が確認されている。
この現象は、DNAマイクロアレイによる遺伝子情報解析において問題となり得る。前述のように、ハイブリダイゼーションの検出工程においては、マイクロアレイのスポット半径より若干小さい半径の円をスポットの内側に設定し、その円内に含まれるシグナル強度データを取得する。ところが、スポットのシグナル強度が不均一の場合、内側の円をどの位置に設定するかによって、取得するデータに差が生じてしまう。この結果、マイクロアレイ実験に再現性がなくなったり、データの正確性が損なわれたりする恐れがある。
以上のことから遺伝情報に関するデータを正確に取得するために、DNAマイクロアレイに共通して求められる品質特性の一つは、ハイブリダイゼーションによって得られるシグナル強度が、スポット内において均一となることである。この問題を解決することは、遺伝情報解析ツールとしてのDNAマイクロアレイの性能を最大限に発揮させる上で、極めて重要な課題となっている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、マイクロアレイの貫通孔の内径に着目し、貫通孔の内径を規定することで、均一なシグナル強度が得られることを今般見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイであって、前記貫通孔の内径が120μm以下であることを特徴とするマイクロアレイである。
また本発明は、複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むマイクロアレイの製造方法である。
(1)内径120μm以下の複数の貫通孔を有するブロック体を製造する工程
(2)前記貫通孔の中でゲル前駆体溶液を重合する工程
(3)前記ブロック体をスライスし、薄片化する工程
本発明のマイクロアレイによれば、スポット中央部と外周部とのシグナル強度の差がなくなり、スポット内で均一なシグナル強度を得ることができた。
また、本発明のマイクロアレイの製造方法によれば、スポット内でシグナル強度が均一となるマイクロアレイを製造することができた。
本発明は、複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイであって、前記貫通孔の内径が120μm以下であることを特徴とするマイクロアレイである。
本発明のマイクロアレイは、基盤に複数の貫通孔を有する。各貫通孔にはゲルが充填されており、ゲルには生体関連物質が固定化されている。つまり、貫通孔の一つ一つがマイクロアレイの区画となるのである。
貫通孔に充填されるゲルとしては、重合性の化学ゲルが好ましい。重合性の化学ゲルとしては、例えば、単量体としてアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメチルメタクリレート、メチルピロリドン、(メタ)アクリル酸、アリルデキストリン等の単量体の一種類または二種類以上と、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体とを用いたものを挙げることができる。
ゲルの全モノマー濃度は、2〜7重量%が好ましく、3〜5重量%であることがより好ましい。全モノマー濃度が2重量%以上であれば、より高強度のゲルが得やすく、また全モノマー濃度が7重量%以下であれば、検体のゲル中への拡散性が向上したゲルが得られやすい。
ゲルに固定化される生体関連物質としては、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖質、脂質、細胞、抗原、抗体等が挙げられる。これらの生体関連物質は、マイクロアレイにおけるキャプチャープローブとして働く。
マイクロアレイにおけるキャプチャープローブとは、検体溶液中に存在する検出対象物を捕捉するものである。生体関連物質として核酸を使用する場合には、検出すべき遺伝子の塩基配列に相補的な塩基配列を有する核酸がキャプチャープローブとなる。この場合、キャプチャープローブである核酸は、ハイブリダイゼーション反応により、検体中に存在する相補的な核酸配列を検出することができる。また生体関連物質として抗体を使用する場合には、検出すべき抗原に対応する抗体がキャプチャープローブとなる。
生体関連物質のゲルへの固定化方法は、特に限定はされず、例えば特許第4022149号に記載の方法によって固定化することができる。具体的には、前記生体関連物質の末端に重合性官能基を導入して、ゲル形成時にゲルのポリマー分子鎖に共有結合で固定化する方法である。それ以外に、ゲル形成の後、反応性官能基で修飾した生体関連物質をゲルのポリマー分子鎖に反応させて結合する方法でもよい。例えば、「マイクロアレイ・バイオチップ最新技術(シー・エム・シー出版)」第4章に記載の反応などが利用できる。
マイクロアレイの貫通孔の内径は120μm以下のものが好ましい。内径を120μm以下とすることで、スポットの中央部と外周部のシグナル強度をほぼ均一にすることができる。シグナルをより均一にするためには、内径は110μm以下であることがより好ましく、90μm以下であることがさらに好ましい。一方、重合反応時の酸素による重合阻害を防止する観点から、内径は10μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることがさらに好ましい。
貫通孔の孔方向の長さは、100μm以上、500μm以下であることが好ましく、200μm以上、300μm以下であることがより好ましい。100μm以上であれば、ゲル組成物が安定的に中空管内に保持され易く、500μm以下であれば、検体がゲル中を停滞することなく、移動することが出来る。
マイクロアレイ上のスポットの総数や密度には特に限定はないが、配列密度は5から20スポット/mmであることが好ましい。
また本発明は、複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むマイクロアレイの製造方法である。
(1)内径120μm以下の複数の貫通孔を有するブロック体を製造する工程
(2)前記貫通孔の中でゲル前駆体溶液を重合する工程
(3)前記ブロック体をスライスし、薄片化する工程
第一の工程では、内径120μm以下の複数の貫通孔を有するブロック体を製造する。一例としては、まず、内径120μm以下の複数の管状体を、管状体の長手方向が同一となるように配列して配列体を製造する。管状体は、中空部を有する管状の形態であれば、ガラス管、ステンレス管、中空繊維、パルプなどいずれの形態であってもよい。加工性、取り扱いの容易さを考慮すると中空繊維を使用することが好ましい。なお、中空繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維などが挙げられる。また、管状体は、多孔質管状体、非多孔質管状体のいずれでもよいが、ゲル前駆体溶液の中空繊維外への拡散や、ゲルの乾燥を抑制する点から、非多孔質管状体であることが好ましい。
管状体の材質は特に限定はなく、シリカ、ガラスなどの無機材料や、以下に示す有機材料などが挙げられる。有機材料としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミドなどのポリアミド系材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネートなどのポリエステル系材料、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系材料、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリレート系材料、ポリビニルアルコール系材料、ポリ塩化ビニリデン系材料、ポリ塩化ビニル系材料、ポリウレタン系材料、フェノール系材料、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系材料、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系材料などが挙げられる。また、カーボンブラックなどの黒色顔料が含有されていてもよい。
次に、この配列体を樹脂等で包埋し、ブロック体を製造する。包埋とは、配列された管状体等の配列が乱れないように、管状体間に樹脂等を流し込み配列を固定することをいう。ここで包埋の際に使用される樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
ブロック体の製造は上記の方法に限定されず、例えば先に樹脂ブロック体を製造した後、ボーリング等により内径120μm以下の複数の貫通孔を設けてもよい。
第二の工程では、第一の工程で得られたブロック体の貫通孔の中でゲル前駆体溶液を重合する。ゲル前駆体溶液に生体関連物質を含有させておけば、生体関連物質を含むゲル状物を貫通孔内に保持することができる。
ゲル前駆体溶液とは、ゲル形成性重合性単量体、多官能性単量体、重合開始剤、及び水等を含むものである。生体関連物質をゲル形成時にゲルのポリマー分子鎖に共有結合で固定化する場合には、ゲル前駆体溶液は、末端に重合性官能基を導入した生体関連物質を更に含んでいても良い。
重合開始剤としては、例えば、APSやKPSなどの過硫酸塩を用いるレドックス系開始剤の他、2,2'-アゾビス(4-シアノペンチルカルボン酸)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等のアゾ系の開始剤が利用できる。重合反応の際に用いる溶媒は、水またはエタノールなどを用いることができる。またゲル組成物に添加するものとして、上記以外にグリセリンなどを添加してもよい。重合時の反応温度は、20℃(室温)〜80℃が好ましい。20℃〜30℃で重合させる場合は、APSまたはKPSと重合促進剤としてテトラメチランジアミン(TEMED)を併用することが好ましい。また40℃〜80℃で重合させる場合には、上記に示したアゾ系の開始剤を用いることが好ましい。アゾ系開始剤を用いる場合は、反応させたい温度に応じた、対応の半減期温度特性を有する開始剤を選ぶことがより好ましい。
ゲル前駆体溶液を重合する際は、酸素による重合阻害が起こる。これは、ゲル前駆体溶液に中に溶解している酸素や、包埋材である樹脂ブロックに溶解している内在酸素が原因と考えられている。貫通孔の内径が大きい場合には、貫通孔の中央部と外周部とで重合反応の効率が異なってくる。すなわち、外周部の方が包埋材の内在酸素による重合阻害の影響を受けやすく、ゲルがゆるくなるのに対し、中央部は包埋材の内在酸素による重合阻害の影響を受けにくく、ゲルが密になると考えられる。そのため、このようなゲルを貫通孔に保持したマイクロアレイでは、スポットの中央部と外周部とで、シグナル強度に差が出て、シグナルが不均一になるのである。一方、本発明のように貫通孔の内径を120μm以下に制限すると、包埋材の内在酸素による重合阻害の影響が、貫通孔内の全ての位置でほぼ等しくなり、均一なゲルができると考えられる。
第三の工程では、第二の工程で貫通孔にゲルを充填したブロック体をスライスし、薄片化する。ブロック体の薄片化には、ミクロトーム、レーザー等を使用することができる。
以上の工程により、貫通孔を有するマイクロアレイを製造することができる。
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明する。
(1)DNAマイクロアレイの製造
中空繊維の製造
三菱エンジニアリング(株)製のポリカーボネートを溶融紡糸し、長さ600mmの非多孔質中空繊維4種類(内径180μm/外径300μm、内径150μm/外径300μm、内径110μm/外径300μm、内径70μm/外径300μm)を製造した。
繊維配列体を包埋したブロック体の製造
図2に示す配列固定器具を利用して繊維配列体を包埋したブロック体を製造した。なお、図中x軸は繊維の長手方向と一致する。
まず、直径0.32mmの孔が、孔の中心間距離を0.42mmとして、縦12列、横19列で合計228個設けられた厚さ0.1mmの多孔板を2枚準備した。2枚の多孔板を重ね合わせ、そのすべての孔に、製造した内径の異なる4種類の中空繊維を図3の配置になるように1本ずつ通過させた。
x軸方向に各繊維に0.1Nの張力をかけた状態で2枚の多孔板の位置を移動させて、中空繊維の一方の端部から20mmの位置と100mmの位置の2ヶ所に固定した。即ち、多孔板の間隔を80mmとした。
次いで、多孔板間の空間の周囲3面を板状物で囲った。このようにして上部のみが開口状態にある容器を得た(図2)。
次にこの容器の上部から容器内に樹脂原料を流し込んだ。樹脂としては、ポリウレタン樹脂接着剤ニッポラン4276、コロネート4403(日本ポリウレタン工業(株)製)の総重量に対し、2.5質量%のカーボンブラックを添加したものを使用した。25℃で1週間静置して樹脂を硬化させた。次いで多孔板と板状物を取り除き、内径の異なる4種類の中空繊維を配置した繊維配列体を包埋したブロック体を得た。
次に該繊維配列体の一方の中空繊維端を上記と同様の樹脂原料で封止した。
DNAプローブの充填
表1に示す配列番号1から10のオリゴDNAを合成した。これらをキャプチャープローブとして用いるため、末端にメタクリル基を導入した。
次に表2に示す組成及び質量比で混合した単量体及び開始剤を含むゲル前駆体重合性溶液を、表1に示したオリゴDNA毎にそれぞれ調製した。
次に、中空繊維の中空部に上記ゲル前駆体重合性溶液を充填するため、該重合性溶液の入った容器(図4に示す配置)及び上記で作製したブロック体をデシケーター内に設置した。デシケーター内を減圧状態にしたのち、中空繊維の各糸の封しされていない端部を所定の前記重合性溶液の入った容器に浸漬した。デシケーター内に窒素ガスを封入し、中空繊維の中空部にDNAプローブを含むゲル前駆体重合性溶液を導入した。次いで、容器内を70℃とし、3時間かけて重合反応を行った。
このようにしてDNAプローブがゲル状物を介して中空繊維の中空部に保持された中空繊維配列体を包埋したブロック体を得た。
薄片化
次に得られたブロック体を、ミクロトームを用いて繊維の長手方向と直交する方向でスライスし、厚さ250μmの薄片シート(DNAマイクロアレイ)を得た。すなわち、内径180μmの中空繊維を用いた部分が、スポット径180μmのスポットということになる。
(2)検体とのハイブリダイゼーション
検体液の調製
標的核酸を含む検体液の調製を以下の手順に従って行った。
まず、マウスの脳のtotal RNA 1μgを用いて、DNAマイクロアレイにハイブリダイゼーションさせるビオチン標識aRNAを調製した。ビオチン標識aRNAの調製はMessage Amp II Biotin Kit (Ambion社製)を用い、キット付属の方法に従って実施した。これらのaRNA 5μgをキット付属の断片化Bufferで断片化した。断片化は、94℃で7.5分間行った。
ハイブリダイゼーション
上記で作製した検体液を用いて、DNAマイクロアレイのハイブリダイゼーションを行った。
DNAマイクロアレイ1枚に対し、以下の組成のハイブリ液を調製した。65℃で17時間ハイブリダイゼーションを行った。
Nuclease-Free Water 79μl (Applied Biosystems社製)
1M Tris-HCl 18μl (Invitrogen社製)
1M NaCl 18μl (Applied Biosystems社製)
断片化aRNA(5μg) 20μl
0.5% Tween 20 15μl (ナカライテスク社製)
合 計 150μl
上記組成の各バッファー類は原液をそれぞれNuclease-Free Waterにて希釈したものを使用した。
洗浄
ハイブリダイゼーションが終了したDNAマイクロアレイを、以下の条件で洗浄した。
(1)2×SSC/0.2%SDS溶液(45℃)中で、20分間。この条件で2回洗浄した。
(2)(1)の後、2×SSC溶液(45℃)中で、10分間。この条件で1回洗浄した。
染色
ストレプトアビジン-Cy5(1 mg,GEヘルスケア,#PA45001)に滅菌水1mlを加え、あわ立たないようにゆっくりと溶解した後、102μlずつ8本に分注した。そのうちの1本から100μlとり、50mlの0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液に混合した。この溶液中に、洗浄が終了したDNAマイクロアレイを取り出して浸漬した。30分間室温、暗所で静置し、染色反応を行った。
洗浄
DNAマイクロアレイを染色液中から取り出し、滅菌水(25℃)の入ったコニカルチューブに浸漬した。コニカルチューブのふたを締め、ローテーターを使って攪拌し、下記時間毎に洗浄用滅菌水を替えて洗浄する操作を実施した;
5分間攪拌⇒20分間攪拌⇒20分間攪拌⇒30分間攪拌⇒60分間攪拌
検出
三菱レイヨン社製の冷却CCD式蛍光検出装置(型番:0060304)を用い、下記検出条件で、洗浄を施したDNAマイクロアレイの各スポットの蛍光シグナルを検出した。
露光時間は、125msec、4secの2条件で測定を行い、単位秒当りのシグナル強度をシグナル強度データとして採用した。
(3)結果
各スポット径でのシグナル分布の比較
各スポット径の蛍光画像を表3、表4に示した。スポット径が180μmおよび150μmのスポットでは、スポット中央部の蛍光強度が低くなっているのに対して、110μmおよび70μmのスポット径のものでは、同現象はほとんど見られなかった。
各スポット径でのシグナル強度の比較
今回マイクロアレイに搭載した2種類のプローブ(NM_009696−65−953,NM_007471−65−2240)について、各スポット径でのシグナル強度の結果を表5に示した。マイクロアレイ上の同一プローブ3スポットをそれぞれn=3回で測定した結果と、その平均値を、各スポット径で比較した。
結果は表5に示す通り、スポット径が小さくなるにつれ、平均強度が大きくなる傾向が見られた。
本発明にかかる生体関連物質検出用ゲルマイクロアレイは遺伝子発現解析等に使用される。
中空繊維を利用した貫通孔を有するマイクロアレイ製造プロセスの概略図 中空繊維配列体を製造する配列固定器具の概略図 スポット径の異なるスポットを配置したマイクロアレイのスポット配置図 マイクロアレイのプローブ配置図

Claims (2)

  1. 複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイであって、前記貫通孔の内径が120μm以下であることを特徴とするマイクロアレイ。
  2. 複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にゲルを介して生体関連物質が固定されているマイクロアレイの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むマイクロアレイの製造方法。
    (1)内径120μm以下の複数の貫通孔を有するブロック体を製造する工程
    (2)前記貫通孔の中でゲル前駆体溶液を重合する工程
    (3)前記ブロック体をスライスし、薄片化する工程
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JP2014176308A (ja) * 2013-03-13 2014-09-25 Mitsubishi Rayon Co Ltd マイクロアレイ、その製造方法、及びその用途

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