JP2007075095A - miRNA搭載マイクロアレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】 一度にmiRNAを網羅的に解析、検出できるデバイスの提供。さらには、miRNAを網羅的に解析し、且つ実験間での補正を行い、相対的なmiRNA発現解析を行うことによりmiRNAの経時的な発現変化を追跡することができるデバイスを提供する。
【解決手段】 測定デバイスとして、各臓器や組織等で大きな変動なく存在している内在性低分子RNAを検出することができるプローブを搭載したマイクロアレイを使用し、試料をマイクロアレイにハイブリダイズさせて検出データを得、マイクロアレイ間でのデータを内在性低分子RNAの検出データで補正することにより、一度にmiRNAを網羅的に解析、検出でき、且つ経時的な発現変化等を正確に追跡することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、miRNA(マイクロRNA)を効率よく、網羅的に検出するためのデバイスに関する。
miRNA(マイクロRNA)は15〜25 merの短い1本鎖RNAで、このmiRNAがmRNAの3末端のUTR領域に結合することで、様々な翻訳制御を行っていることが、近年報告されている。miRNA概念の発見は1993年に始めて報告されているが(非特許文献1)、miRNAが上記のように翻訳制御機構において大きな役割をなしていることが発見されたのは、2001年である(非特許文献2、非特許文献3)。当初、miRNAは線虫、酵母などから発見されてきたが、現在はヒトで255個、マウスで184個発見されている。これらの配列は公知であり、公共のDBにアクセスすることにより、配列情報等を取得することができる(非特許文献4、非特許文献5)。いくつかのmiRNAは、機能(翻訳抑制機能)が解明されているが、多くのmiRNAの機能は不明である。
従来のmiRNAの検出、測定方法は、miRNAの配列である15〜25 merの相補鎖をオリゴ合成してRIラベルしたものをプローブとするNorthern Blottingが主であった。しかし、その方法では、一度に解析可能な検体数が限られているため、全miRNAを網羅的に解析したり、発現を経時的に追跡することが困難である。
また、市販されている測定キット(Ambion社製 mirVana miRNA Detection kit)を用いた方法も使用されている(非特許文献6、非特許文献7)。この方法は、化学発光型Northern Blottingであるが、精製キットが低分子(500 mer以下)のRNAを精製できることから、精度は比較的高い。しかし、多数のmiRNAを一度に測定することは困難である。
さらには、miRNAに相補的なDNAオリゴをハイブリダイズさせ、それを検出するという方法[RNaseH Inhibition assay(非特許文献8)]も知られているが、多数のmiRNAを一度に測定できない点や、RIを使用する点で煩雑な操作を必要とする。
Cell 75(3)., 843-854, 1993 Cell 107(7)., 823-826, 2001 Cell 116(2)., 89-92, 2004 URL:http://www.biocenter.helsinki.fi/bi/rnd/biocomp/DB1.HTM#RNADB URL:http://www.ambion.com/techlib/resources/miRNA/mirna_list.html URL:http://www.ambion.com/catalog/ProdGrp.html?fkApp=29&fkProdGrp=304 URL:http://www.ambion.com/catalog/proGrp.html?fkApp=29&fkProdGrp=306 Cell 116(2).,23-34, 2001
本発明は、一度にmiRNAを網羅的に検出できる方法およびmiRNA検出用マイクロアレイを提供することを目的とする。また、本発明は、miRNAを網羅的に解析し、且つ実験間での補正を行い、相対的なmiRNA発現解析を行うことにより、miRNAの経時的な発現変化を追跡することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、測定デバイスとして、各臓器や組織等で大きな変動なく存在している内在性低分子RNAを検出することができるプローブを搭載したマイクロアレイを使用し、試料をマイクロアレイにハイブリダイズさせて検出データを得、マイクロアレイ間でのデータを内在性低分子RNAの検出データで補正することにより、一度にmiRNAを網羅的に解析、検出でき、且つ経時的な発現変化等を正確に追跡することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、内在性低分子RNAのキャプチャープローブが搭載されていることを含む、miRNA検出用マイクロアレイである。
さらに本発明は、前記マイクロアレイに核酸試料をハイブリダイズさせ、形成されたハイブリットを、洗浄強度の弱い条件から強い条件まで洗浄条件を変えながら洗浄を行い、洗浄毎にハイブリッドを検出する工程を含むmiRNAの検出方法である。
本発明によれば、マイクロアレイを使用し、試料をマイクロアレイにハイブリダイズさせて検出データを得、マイクロアレイ間でのデータを内在性低分子RNAの発現量で補正することにより、一度にmiRNAを網羅的に解析、検出でき、且つ経時的な発現変化等を正確に追跡することができる。
さらには、miRNA等の低分子核酸をマイクロアレイで検出する際、従来の方法ではマイクロアレイに搭載するプローブ設計の自由度が限定されるのに対し、本発明の検出方法または本発明のマイクロアレイを使用することにより、プローブ設計の自由度は限定されないため、プローブに依存せず、正確なmiRNAの検出を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明は、内在性低分子RNAのキャプチャープローブが搭載されていることを含む、miRNA検出用マイクロアレイである。
マイクロアレイとは、複数の区画にオリゴヌクレオチド、cDNA等のキャプチャープローブ(以下、「プローブ」ともいう)を固定し、遺伝子の発現パターンのモニタリング、新規遺伝子のスクリーニング、遺伝子変異、多型の検出等を行うことができるデバイスである。その形態は様々なものが知られている。例えば、光リソグラフ技術を利用して、基板上に高密度でプローブを固定したマイクロアレイ、ガラス基板等にスポッティングによりプローブを固定したマイクロアレイ等が知られている。また、本発明者らの一部が開発している繊維型マイクロアレイも知られている(特許第3510882号公報参照)。
本発明において、プローブは、既に知られているmiRNAの配列に相補的な配列を設計し、合成することができる。miRNAの配列情報は、例えば、URL:http://www.ambion.com/techlib/resources/miRNA/mirna_list.htmlにアクセスすることにより知ることができる。プローブの鎖長は、10〜100mer、好ましくは10〜40merである。当業者であれば、miRNAの配列情報から、本発明のマイクロアレイに搭載するプローブを適宜設計することができる。プローブは公知の方法により合成することができる。
上記プローブは、マイクロアレイの複数の区画に固定されている。プローブは、各区画に1種類のみ固定しても、複数種、固定しても良い。固定の方法は、マイクロアレイの形態により異なり、例えば、フォトマスクを使用し、作製したマイクロアレイであれば、前述のごとく予めプローブを合成して準備する必要はなく、基板上で所望のプローブを逐次合成することができる。また、スポッティングにより作製されたマイクロアレイであれば、プローブを予め準備し、それらプローブに適当な官能基を付与し、基板にプローブを含む溶液をスポットする。この際、プローブに導入された官能基と基板(必要により表面を修飾)とが化学的結合によりプローブが固定される。また、必要に応じて、miRNAに相補的なプローブには、適当な鎖長のリンカーを結合することも可能である。
上記プローブの他に、本発明では、内在性低分子RNAを検出しうるキャプチャープローブが搭載(保持)されることを特徴とする。内在性低分子RNAとは、例えば、ribosomal RNA(rRNA)、transfer RNA(tRNA)、small nucleolar ribonuleoprotein particle RNA(snoRNA)、small nuclear RNA(U1〜U18snRNA)をいう。このような内在性低分子RNAとしては、5SrRNA、5.8SrRNA、U1snRNA、U2snRNA、U3snRNA、U4snRNA、U5snRNA、U6snRNAが好適に使用される。それらRNAを検出しうるプローブは、マイクロアレイに少なくとも1種類搭載される。これらプローブは後述する検出データの補正に使用される。
内在性低分子RNAを検出しうるキャプチャープローブは、内在性低分子RNAの配列に相補的な配列を設計し、合成することで得ることができる。内在性低分子RNAの配列情報は、例えば、URL: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.htmlにアクセスすることにより知ることができる。当該プローブの鎖長は、前述と同様である。当業者であれば、内在性低分子RNAの配列情報から、本発明のマイクロアレイに搭載するプローブを適宜設計することができる。プローブは公知の方法により合成することができる。
本発明において、キャプチャープローブは、例えばDNA、RNAなどの核酸であればよいが、好ましくはDNAである。
マイクロアレイとしては、基板に複数の貫通孔が存在し、それら貫通孔にはゲルを介してプローブが固定されているマイクロアレイが好適に使用される。そのようなマイクロアレイとしては、特開2000−60554号に記載のマイクロアレイや、本発明者らの一部が開発している繊維型マイクロアレイが例示できる。
以下に、繊維型マイクロアレイについてより詳細に説明する。繊維型マイクロアレイは、例えば、下記のa)〜d)の工程を経て作製することができる。
a)複数本の中空繊維を、中空繊維の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程。
b)前記配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程。
c)核酸プローブを含むゲル前駆体重合性溶液を該ブロック体の各中空繊維の中空部に導入し、重合反応を行い、核酸プローブを含むゲル状物を中空部に保持する工程。
d)中空繊維の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程。
中空繊維材料としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系中空繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系中空繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系中空繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系中空繊維、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系中空繊維、ポリビニルアルコール系中空繊維、ポリ塩化ビニリデン系中空繊維、ポリ塩化ビニル系中空繊維、ポリウレタン系中空繊維、フェノール系中空繊維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系中空繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系中空繊維等が挙げられる。
上記中空繊維は、その長手方向が同一となるように3次元に配列される。配列方法としては、例えば、粘着シート等のシート状物に複数本の中空繊維を所定の間隔をもって平行に配置し、シート状とした後、このシートを螺旋状に巻き取る方法(特開平11−108928号公報参照)が挙げられる。また、複数の孔が所定の間隔をもって設けられた多孔板2枚を孔部が一致するように重ねあわせ、それらの孔部に、中空繊維を通過させ、2枚の多孔板の間隔を開き、2枚の多孔板間の、中空繊維の周辺に硬化性樹脂原料を充満させ硬化させる方法(特開2001−133453号公報参照)が挙げられる。
次に配列体はその配列が乱れないように包埋される。包埋の方法としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を繊維間の隙間に流し込む方法、繊維同士を熱融着により接着する方法等が挙げられる。
次に包埋された配列体の各中空繊維の中空部に、核酸プローブを含むゲル前駆体重合性溶液を導入し、中空部内で重合反応を行う。これにより中空部にゲルが保持され、ゲルには核酸プローブが固定される。
ゲル前駆体溶液としては、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、アリルデキストリン等の単量体の一種類以上と、架橋性モノマーとしてメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を含むものである。予め核酸プローブの末端を不飽和官能基で修飾しておけば、核酸プローブの末端を介してゲル前駆体と共重合することにより、ゲルの構成に核酸プローブが化学結合する(特開2004−163211号公報参照)。
次に、中空繊維の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する。ここで作製された薄片は、マイクロアレイとして使用できる。マイクロアレイの厚みは、0.1mm〜1mm程度である。切断は、例えばミクロトーム、レーザー等により行うことができる。
上述のマイクロアレイでは、中空繊維の中空部、すなわちマイクロアレイの貫通孔中のゲルにプローブが固定されている。よって、プローブは、3次元構造体に固定されているため、プローブはある空間内に固定されていることとなる。プローブの固定されているこの周辺環境は、空間自由度を有し、さらには異なる種類のプローブは物理的な隔壁を隔てて固定されている。よって、上記マイクロアレイは、平面基板上に高密度にプローブが固定されているマイクロアレイと異なり、そこに搭載されたプローブはプローブとして十分に機能し、さらに隣接する種類の異なるプローブとの非特異的反応はない。したがって、プローブは、リンカー、スペーサー等のハイブリダイゼーションに関与しない余分な配列を結合する必要なく設計され、マイクロアレイに固定することが可能である。
次に本発明のマイクロアレイを使用した、miRNAの検出方法について説明する。マイクロアレイに供する核酸試料としては、いずれの由来の試料を用いることも可能である。検出感度を向上させる観点から、予め低分子のRNAとなるように精製することが好ましい。精製方法としては、例えば、グアニジン塩酸法又はフェノール抽出法の後、カラム分画法により500塩基以下の低分子のRNAとする。もしくはmirVana miRNA Isolation kit (Ambion社製)で調製することも可能である。
次に、核酸試料を放射性同位元素での標識、蛍光標識、酵素標識等で標識する。蛍光標識の場合、例えば、Cy3、Cy5、FAM、Alexa Flour(登録商標)、PacificBlueTMでの標識が挙げられる。
次に、標識した核酸試料を含む溶液を本発明のマイクロアレイに供し、核酸試料とプローブとのハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーション操作の後、洗浄等、必要な操作を行いマイクロアレイ上の標識された区画、すなわちプローブとハイブリッドを形成している区画を検出する。検出方法は、標識した試料に応じて、そのデバイス、検出方法が適宜選択される。
ここで洗浄の際に、洗浄強度の度合いの弱い条件から強い条件へと段階的に変えてもよい(段階的洗浄)。ここで、洗浄強度は、核酸試料とプローブとのハイブリダイゼーションを解離させる作用の強さを意味する。
具体的には、まず、マイクロアレイに搭載しているプローブの中で、ストリンジェンシーが最も低いものに洗浄条件を合わせ、洗浄及び検出を行う。次に、当該プローブの中でストリンジェンシーの最も高いものの洗浄条件まで、段階的に洗浄し、その都度ハイブリッドの検出を行う。このような複数回の洗浄及び検出を行うことにより、洗浄条件とハイブリッドの解離条件とが近接しているmiRNAでも検出可能となる。
洗浄効果は、洗浄液の塩濃度、洗浄温度、洗浄液量、洗浄時間等に依存し、特に、洗浄効果に対する塩濃度及び温度の影響は、プローブの核酸組成との関係によって定まる。
洗浄条件を段階的に変更する方法としては、例えば、塩濃度を一定にして、洗浄液の温度を段階的に変えていく方法がある。具体的には、はじめに塩濃度を任意に選ぶ(ただし、Tm(融解温度:melting temperature)計算式の適用範囲内の値を選ぶ)。次いでマイクロアレイ上に搭載されている全てのプローブの内、Tmが最小となるプローブをTm計算式から算出する。その最小のTm値、好ましくは、最小値よりも1℃以上低い洗浄液の温度を第一段階の洗浄条件として選ぶ。その後、同じくアレイ上に搭載されているプローブの内の最大Tm値、好ましくは最大値よりも1℃以上高い温度まで、少なくとも2段階以上、洗浄液温度を変えて洗浄操作を行う。
また、洗浄液の温度を一定にして、洗浄液中の塩濃度を段階的に変える方法を用いることも出来る。具体的には、はじめに洗浄温度を任意に選ぶ(ただし、Tm計算式の適用範囲内の塩濃度から求められうる値を選ぶ)。次いでマイクロアレイ上に搭載されている全てのプローブの内、Tmが最小となるプローブをTm計算式から算出し、その最小Tm値が、規定された洗浄液温度に比べて、同じかもしくは、好ましくは1℃以上高くなるように計算される洗浄液の塩濃度を第一段階の洗浄条件として選び、その後、同じくマイクロアレイ上に搭載されているプローブの内の最大Tm値が、規定された洗浄液温度に比べて好ましくは1℃以上低くなるように計算される塩濃度まで、少なくとも2段階以上、洗浄液の塩濃度を変えて洗浄操作を行う方法がある。
各臓器間でのmiRNAの存在比を測定する場合、同一のマイクロアレイで、複数回の操作が必要となる。そのような場合、内在性低分子RNAを捕捉できるプローブがマイクロアレイに固定されていれば、そのプローブの検出データ(検出シグナル値等)を使用して、マイクロアレイ間でのデータの補正を行うことができる。例えば、1回目の測定で、内在性低分子RNAのシグナル値がA、2回目の測定で、内在性低分子RNAのシグナル値がBである場合、1回目のシグナル値を基準に考えれば、2回目のシグナル値は、検出シグナル値に、A/Bを乗じることにより2回目のシグナル値を補正する。また、その逆も可能である。
上述のごとく本発明のマイクロアレイを用いてmiRNAを測定することにより、一度に網羅的にmiRNAを解析、検出することが可能となり、且つ臓器間のmiRNAの存在比、経時的な発現変化等を正確に測定することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本実施例は、miRNAを効率よく、網羅的に検出し、試料間での相対的な発現差の違いを測定する方法を実証したものである。
1.繊維配列体の調製
直径0.32 mmの孔が5 mm2 四方に0.5 mmピッチで縦横各10列に合計144個配列された、厚さ0.1 mmの多孔板2枚を用い、その多孔板の全ての孔に、カーボンブラックを2.0質量%含有したポリカーボネート中空繊維(外径0.29 mm、内径0.18 mm、長さ600 mm)144本を通過させることにより中空繊維配列体を得た。2枚の繊維ガイド多孔板の間隔を50 mmとし、その間をポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業社製)により固定化することにより、両端に樹脂で固定化されない部分を有する中空繊維配列ブロックを得た。
2.オリゴヌクレオチドのビニル化
表1記載のオリゴヌクレオチドに相補的配列のオリゴヌクレオチドを合成した。表1において、「SEQ No.」は、配列番号を示す。配列番号1〜84は、マウス由来miRNAの塩基配列を示す。配列番号85は外部コントロールの塩基配列であり、配列番号86は内在性低分子RNAの5SrRNA(マウス由来)の塩基配列である。オリゴヌクレオチドの合成は、PEバイオシステムズ社のDNA自動合成機DNA/RNA synthesizer(model1394)を用いて行い、DNA合成の最終ステップで、アミノリンクII(商標名)(アプライドバイオシステム社)を用いて、それぞれのオリゴヌクレオチドの5’末端にアミノ基を導入したオリゴヌクレオチドを合成した。無水メタクリル酸を溶解した炭酸ナトリウム水溶液とDMSOの混合液に合成したオリゴヌクレオチドを添加し、室温で2時間反応させ、末端にビニル基が導入されたオリゴヌクレオチドプローブを合成した。
3.マイクロアレイの製造
水溶液Aを上記中空繊維配列ブロックを構成する各中空繊維内部に導入した。水溶液Aが各中空糸内部に導入された中空繊維配列ブロックを、内部が水蒸気で飽和された密閉ガラス容器に移し、70℃で4時間放置することにより重合反応を行った。水溶液Aで使用するオリゴヌクレオチドは、上記2.で合成した末端にビニル基が導入されたオリゴヌクレオチドである。
水溶液A:
アクリルアミド 4.5質量部
メチレンビスアクリルアミド 0.5質量部
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩 0.1質量部
オリゴヌクレオチド 0.005質量部
上記のごとく得られた中空繊維配列ブロックを、ミクロトームを使用し250μmの厚さで薄片化し、マイクロアレイを得た。
4.生体材料からの蛍光標識低分子RNAの精製
マウス組織・細胞中に存在するmiRNAを検出するため、マウス(C57BL/6 ♀ 7〜9W)の大脳、及び肝臓からmirVanaTM miRNA Isolation kit (登録商標:Ambion)を用いて低分子画分のRNAを分離した。
これらの低分子RNAはそれぞれ1〜5μg使用して、SilencerTM siRNA Labeling Kit (登録商標:Ambion)に記された方法を用いて蛍光標識を行った。
5.ハイブリダイゼーション
上記3.により調製したマイクロアレイに、上記4.で調製した蛍光標識低分子RNAを2μg使用して、最終濃度が6X SSC、0.2% SDS溶液中(容量100μl)で50℃もしくは65℃の条件の暗所で16時間、DNAチップにハイブリダイゼーションした。
6.洗浄及び検出操作
上記5.でハイブリダイゼーションを実施した後は、それぞれ最終濃度が2X SSC、0.2% SDS溶液中(容量20 ml)で45℃、20分間を2回、さらに最終濃度が2X SSC溶液中(容量20 ml)で1回洗浄後に、検出用フォルダーに核酸マイクロアレイを乗せ、さらに0.2X SSC中に浸漬し、カバーガラスをかぶせた後に、冷却CCDカメラ方式の核酸マイクロアレイ自動検出装置で標識核酸試料分子の蛍光シグナル強度を測定した。マウス大脳および肝臓由来の低分子RNAをCy5で標識した測定結果を図1に示した。マウス組織・細胞中由来の核酸試料に含まれるmiRNAが検出されていることが確認できた。
7.データの補正
2枚のチップ間でのデータを補正するため、コントロールスポットとして搭載した5SrRNAの蛍光強度とその平均値を比較した(表2参照)。

表2の結果から、2枚のチップ間でコントロールスポットでの蛍光強度に違いが見られた。よって、このデータを使用して補正係数を以下のように算出した。
補正係数=Brain/Liver
補正係数=1.060
上記補正係数をLiverの各数値に乗じることにより補正値を求めた(表3参照)。
8.発現差の算出
7.で求めた補正値を使用して、両試料間の発現差を算出した。結果は図2に示した。なお、算出方法は、以下により行った。
Liver補正値/Brain=Aとし、log2Aを発現差とする。
マイクロアレイの製造は、実施例1の1〜3に従い実施した。
4.生体材料からの蛍光標識低分子RNAの精製
マウス組織・細胞中に存在するmiRNAを検出するため、マウスの脾臓からmirVanaTM miRNA Isolation kit (登録商標:Ambion)を用いて低分子画分のRNAを分離した。
これらの低分子RNAをそれぞれ1〜5μg使用して、Label IT CyTM3を使用して、Cy3で直接、蛍光標識した。
5.ハイブリダイゼーション
実施例1の3.により調製したマイクロアレイに、上記4.で調製した蛍光標識低分子RNAを2μg使用して、最終濃度が6X SSC、0.2% SDS溶液(5SrRNAを2μg含む)中(容量100μl)で42℃の条件の暗所で6時間、DNAチップにハイブリダイゼーションした。
6.洗浄条件の決定及び検出操作
上記5.でハイブリダイゼーションを実施した後は、それぞれ最終濃度が2X SSC、0.2% SDS溶液中(容量20 ml)、40℃、45℃、50℃で、各々20分間、段階的に洗浄を行った。各温度での洗浄毎に冷却CCDカメラ方式の核酸マイクロアレイ自動検出装置で標識核酸試料分子の蛍光シグナル強度を測定した。結果は、図3に示した。
マウス大脳及び肝臓でのシグナル強度を示した図である。 マウス大脳及び肝臓での発現差を示した図である。 マウス脾臓での洗浄温度毎のシグナル強度を示した図である。
配列番号:85 外部コントロール

Claims (5)

  1. 内在性低分子RNAのキャプチャープローブが搭載されていることを含む、miRNA検出用マイクロアレイ。
  2. 内在性低分子RNAが、ribosomal RNA、transfer RNA、small nucleolar ribonuleoprotein particle RNA、およびsmall nuclear RNAからなる群から選択される少なくとも1つのRNAである、請求項1記載のマイクロアレイ。
  3. 内在性低分子RNAが、5SrRNA、5.8SrRNA、U1snRNA、U2snRNA、U3snRNA、U4snRNA、U5snRNA、およびU6snRNAからなる群から選択される少なくとも1つのRNAである、請求項1記載のマイクロアレイ。
  4. マイクロアレイが、基板に複数の貫通孔が存在し、それら貫通孔にゲルを介してプローブが固定されているものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロアレイに搭載されたプローブに、核酸試料をハイブリダイズさせ、形成したハイブリッドを洗浄強度の弱い条件から強い条件まで洗浄条件を変えながら洗浄を行い、洗浄毎にハイブリッドを検出することを含む、miRNAの検出方法。






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