JP7336127B2 - 誘導加熱装置、並びに、誘導加熱コイル - Google Patents

誘導加熱装置、並びに、誘導加熱コイル Download PDF

Info

Publication number
JP7336127B2
JP7336127B2 JP2019056229A JP2019056229A JP7336127B2 JP 7336127 B2 JP7336127 B2 JP 7336127B2 JP 2019056229 A JP2019056229 A JP 2019056229A JP 2019056229 A JP2019056229 A JP 2019056229A JP 7336127 B2 JP7336127 B2 JP 7336127B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
induction coil
proximity
primary
heat treatment
proximity portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019056229A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020161218A (ja
Inventor
哲正 渡邊
昭宏 花木
Original Assignee
富士電子工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 富士電子工業株式会社 filed Critical 富士電子工業株式会社
Priority to JP2019056229A priority Critical patent/JP7336127B2/ja
Publication of JP2020161218A publication Critical patent/JP2020161218A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7336127B2 publication Critical patent/JP7336127B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • General Induction Heating (AREA)

Description

本発明は、熱処理対象物を高周波誘導加熱することによって熱処理するための誘導加熱装置及び誘導加熱コイルに関するものである。特に、本発明は、中心が回転中心と一致していない偏芯部を有する熱処理対象物を熱処理するための誘導加熱装置及び誘導加熱コイルに関するものである。
鉄鋼材料からなるワーク(熱処理対象物)は、高周波焼入することによって、耐摩耗性等の耐久性を向上させることができる。ここで、ワークを高周波誘導加熱するためには、高周波電流が通電された加熱コイルをワークの表面に近接させる必要がある。そのため、加熱コイルはワークの表面に沿うように形成されている。
ワークには様々な形状を呈するものがあり、大径部と小径部が連続した軸状のワークを熱処理する場合には、ワークの長手方向(軸方向)に沿った加熱コイルを使用することにより、大径部と小径部とその境界部分を同時に熱処理することができる。その結果、大径部から小径部にかけて一様に熱処理することができる。このような加熱コイルが、例えば特許文献1に開示されている。
実公平1-36907号公報
ところで、ワークを誘導加熱する際には、加熱コイルをワークの全周囲に渡って近接対向させる必要がある。そこで従来は、ワークを回転させることにより、停止した加熱コイルに対してワークの全周囲を順に近接対向させている。そのため、ワークの大径部と小径部は、同芯状に配置されていなければならない。すなわち、大径部の中心と小径部の中心が一致していない場合には、大径部の中心周りにワークを回転させた場合、小径部が大径部の中心周りを、円を描くように公転移動する。その結果、特許文献1に開示されているような固定された加熱コイルでは、ワークが回転した際にワークと接触してしまう。
そこで、中心がワークの回転中心と一致する大径部を誘導加熱する大径部用コイルと、この大径部用コイルとは別の、中心がワークの回転中心と一致しない小径部を誘導加熱する小径部用コイルを用い、小径部の公転移動に追従するように小径部用コイルを移動させることが考えられる。しかし、この場合には、大径部用コイルと小径部用コイルにそれぞれ高周波電力を供給するために、個別に高周波電源(高周波発振機)を用意する必要があり、装置がコスト高となる。
そこで本発明は、一つの高周波電源と複数の誘導コイルで、熱処理対象物の複数箇所を同時に熱処理することができる誘導加熱装置及び誘導加熱コイルを提供することを課題としている。
上記課題を解決するための関連の発明は、熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための加熱コイルを有する誘導加熱装置であって、前記加熱コイルは、電源から電力が供給される一次誘導コイルと、当該一次誘導コイルによって誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であることを特徴とする誘導加熱装置である。
この発明では、加熱コイルは、電源から電力が供給される一次誘導コイルと、一次誘導コイルによって誘導電流が励起される二次誘導コイルを有している。よって、一次誘導コイルと二次誘導コイルは物理的に繋がっておらず、二次誘導コイルは誘導電流が励起される範囲で一次誘導コイルに対して自由に相対移動することができる。
また、一次誘導コイルの二次誘導コイル側近接部が、二次誘導コイルと近接しているので、二次誘導コイルには誘導電流が励起される。
さらに、一次誘導コイルの一次側熱処理対象物近接部と、二次誘導コイルの二次側熱処理対象物近接部が、それぞれ熱処理対象物の異なる部位に同時に近接することができる。よって、一次誘導コイルと二次誘導コイルで熱処理対象物を同時に熱処理することができる。
関連の発明は、前記誘導加熱装置は、中心が回転中心と一致した非偏芯部と、中心が回転中心と一致していない偏芯部を有する熱処理対象物を誘導加熱するものであり、前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部のいずれか一方が偏芯部に近接する部位であり、他方が非偏芯部に近接する部位であり、前記熱処理対象物が回転した際に、前記偏芯部に近接する部位が偏芯部に追従して移動可能であることを特徴とする上記の誘導加熱装置である。
この発明では、中心が回転中心と一致した非偏芯部と、中心が回転中心と一致していない偏芯部を有する熱処理対象物であっても、一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部のいずれか一方を偏芯部に近接させ、他方を非偏芯部に近接させて、偏芯部と非偏芯部を同時に誘導加熱することができる。
すなわち、熱処理対象物が回転した際に、偏芯部に近接する部位(一次側熱処理対象物近接部又は二次側熱処理対象物近接部)が偏芯部に追従して移動し、偏芯部を熱処理することができる。
換言すると、熱処理対象物が回転中心に対して同芯ではない偏心した部位を有していたとしても、中心が回転中心と一致した部位と、中心が回転中心から偏心した部位に対して、一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部のいずれかをそれぞれ近接させることによって、熱処理対象物を良好に熱処理することができる。
関連の発明は、一次誘導コイルの前記二次誘導コイル側近接部と前記二次誘導コイルは、電磁誘導が可能な所定の範囲内で近接した状態を維持しながら相対移動が可能であることを特徴とする上記の誘導加熱装置である。
この発明では、一次誘導コイルの二次誘導コイル側近接部と二次誘導コイルは、電磁誘導が可能な所定の範囲内で近接した状態を維持しながら相対移動が可能であるので、熱処理対象物における二次誘導コイルが近接する部位には、常に誘導電流(二次誘導電流)が励起され、当該部位を連続して誘導加熱することができる。
関連の発明は、高周波電流が通電される一次誘導コイルと、前記一次誘導コイルに近接して高周波誘導電流が励起される二次誘導コイルを有する誘導加熱コイルであって、前記一次誘導コイルと前記二次誘導コイルは、熱処理対象物における異なる熱処理対象部位に同時に近接可能であり、前記二次誘導コイルと前記一次誘導コイルは、互いに相対移動しながら熱処理対象物を誘導加熱可能であることを特徴とする誘導加熱コイルである。
この発明では、一次誘導コイルと二次誘導コイルは、熱処理対象物における異なる熱処理対象部位に同時に近接可能であるので、熱処理対象物における異なる熱処理対象部位を同時に熱処理可能である。また、二次誘導コイルと一次誘導コイルは、互いに相対移動しながら熱処理対象物を誘導加熱可能であるので、歪な形状の熱処理対象物の異なる部位を同時に誘導加熱(熱処理)することができる。
関連の発明は、熱処理対象物は回転中心を有し、熱処理対象物は、中心が回転中心と一致した非偏芯部と、中心が回転中心と一致しない偏芯部を有するものであり、前記一次誘導コイルと二次誘導コイルのいずれか一方が非偏芯部に近接し、いずれか他方が偏芯部に近接することを特徴とする上記の誘導加熱コイルである。
この発明では、一次誘導コイルと二次誘導コイルのいずれか一方が熱処理対象物の非偏芯部に近接し、いずれか他方が熱処理対象物の偏芯部に近接するので、熱処理対象物を回転させて非偏芯部と偏芯部を同時に誘導加熱することができる。
請求項1に記載の発明は、熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための加熱コイルを有する誘導加熱装置であって、前記加熱コイルは、電源から電力が供給される一次誘導コイルと、当該一次誘導コイルによって誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、前記第一の端部と第三の端部とを結ぶ線分は、前記第二の端部と第四の端部とを結ぶ線分と略平行であり、前記第一の端部と第三の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、前記第二の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の管部材からなり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、互いに同芯で且つ平行に配置されていることを特徴とする誘導加熱装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第一の一次誘導コイル側近接部又は第二の一次誘導コイル側近接部によって前記二次誘導コイルに誘導電流を励起することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置である。
請求項3に記載の発明は、熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための加熱コイルを有する誘導加熱装置であって、前記加熱コイルは、電源から電力が供給される一次誘導コイルと、当該一次誘導コイルによって誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、前記第一の端部と第二の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、前記第三の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の部分を含む管部材からなり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、前記略半円弧形状の部分が互いに同芯で且つ平行となるように配置されていることを特徴とする誘導加熱装置である。
請求項4に記載の発明は、前記誘導加熱装置は、中心が回転中心と一致した非偏芯部と、中心が回転中心と一致していない偏芯部を有する熱処理対象物を誘導加熱するものであり、前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部のいずれか一方が偏芯部に近接する部位であり、他方が非偏芯部に近接する部位であり、前記熱処理対象物が回転した際に、前記偏芯部に近接する部位が偏芯部に追従して移動可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の誘導加熱装置である。
請求項5に記載の発明は、前記加熱コイルを水平面に置いた時の鉛直方向を上下方向とし、前記熱処理対象物が回転する回転軸と前記上下方向との両者と直角を成す方向を前後方向として、前記熱処理対象物が回転した際に、前記偏芯部に近接する部位が偏芯部に追従して前後方向および上下方向に移動可能であることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱装置である。
請求項6に記載の発明は、一次誘導コイルの前記二次誘導コイル側近接部と前記二次誘導コイルは、電磁誘導が可能な所定の範囲内で近接した状態を維持しながら相対移動が可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導加熱装置である。
請求項7に記載の発明は、熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための誘導加熱コイルであって、高周波電流が通電される一次誘導コイルと、前記一次誘導コイルに近接して高周波誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、前記第一の端部と第三の端部とを結ぶ線分は、前記第二の端部と第四の端部とを結ぶ線分と略平行であり、前記第一の端部と第三の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、前記第二の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の管部材からなり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、互いに同芯で且つ平行に配置されていることを特徴とする誘導加熱コイルである。
請求項8に記載の発明は、前記第一の一次誘導コイル側近接部又は第二の一次誘導コイル側近接部によって前記二次誘導コイルに誘導電流を励起することを特徴とする請求項7に記載の誘導加熱コイルである。
請求項9に記載の発明は、熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための誘導加熱コイルであって、高周波電流が通電される一次誘導コイルと、前記一次誘導コイルに近接して高周波誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、前記第一の端部と第二の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、前記第三の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の部分を含む管部材からなり、前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、前記略半円弧形状の部分が互いに同芯で且つ平行となるように配置されていることを特徴とする誘導加熱コイルである。
請求項10に記載の発明は、熱処理対象物は回転中心を有し、熱処理対象物は、中心が回転中心と一致した非偏芯部と、中心が回転中心と一致しない偏芯部を有するものであり、前記一次誘導コイルと二次誘導コイルのいずれか一方が非偏芯部に近接し、いずれか他方が偏芯部に近接することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の誘導加熱コイルである。
請求項11に記載の発明は、前記誘導加熱コイルを水平面に置いた時の鉛直方向を上下方向とし、前記熱処理対象物が回転する回転軸と前記上下方向との両者と直角を成す方向を前後方向として、前記熱処理対象物が回転した際に、前記偏芯部に近接する部位が偏芯部に追従して前後方向および上下方向に移動可能であることを特徴とする請求項10に記載の誘導加熱コイルである。
本発明の誘導加熱装置及び誘導加熱コイルは、熱処理対象物を良好に熱処理することができる。
本実施形態に係る誘導加熱装置の加熱コイルの一次誘導コイルと二次誘導コイルが、ワークに近接している状態を示す斜視図であり、(a)~(d)は、回転するワークの偏芯部に二次誘導コイルが追従している状態を示す。 (a)~(d)は、図1(a)~図1(d)に示す一次誘導コイルと二次誘導コイル及びワークの平面図である。 (a)~(d)は、図1(a)~図1(d)に示す一次誘導コイルと二次誘導コイル及びワークの側面図である。 図1(a)の加熱コイルとワークの斜視図であり、ワークから加熱コイルを離間させ、さらに加熱コイルの一次誘導コイルと二次誘導コイルを離間させた状態を示す。 図4とは別の加熱コイルとワークの斜視図であり、ワークから加熱コイルを離間させ、さらに加熱コイルの一次誘導コイルと二次誘導コイルを離間させた状態を示す。 図5に示す本実施形態に係る誘導加熱装置の加熱コイルが、ワークに近接している状態を示す斜視図であり、(a)~(d)は、回転するワークの偏芯部に一次誘導コイルが追従している状態を示す。 (a)~(d)は、図6(a)~図6(d)に示す加熱コイル及びワークの平面図である。 (a)~(d)は、図6(a)~図6(d)に示す加熱コイル及びワークの側面図である。 (a)~(d)は、誘導加熱装置の系統図である。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る誘導加熱装置について説明する。
本実施形態では、軸状のワークWが熱処理対象物である。図4に示すようにワークWは、第1小径部A、第2小径部E、大径部Bを有している。第1小径部A、第2小径部Eは、大径部Bの両側に配置されている。本実施形態では、第1小径部A、第2小径部Eは同径であり、共通の軸線である中心線Cを有している。大径部Bの軸芯である中心線Dは、中心線Cと一致していない。すなわち、中心線Dと中心線Cは離間(偏心)している。ワークWは、図示しない支持機構(回転駆動機構)によって両端が支持されると共に、さらに両端の第1小径部A、第2小径部Eの中心線Cを回転中心として回転駆動される。
本実施形態に係る誘導加熱装置1は、図9(a)~図9(d)に示すように、高周波電源4、トランス5、加熱コイル6(誘導加熱コイル)を有する。高周波電源4は、商用の交流電源2から供給される電力から高周波電力を発生させる高周波発振機3を有する。また、トランス5の一次側は高周波発振機3に接続されており、トランス5の二次側が加熱コイル6に接続されている。
なお、図9は概念図であり、描写は正確ではない。すなわち、図9ではリード部9aが二次誘導コイル側近接部11bと繋がっており、リード部9bが二次誘導コイル側近接部11a、11cと繋がっている状態を描写しているが、図4に示すように、実際にはリード部9aには二次誘導コイル側近接部11aが繋がっており、リード部9bには二次誘導コイル側近接部11cが繋がっている。
加熱コイル6(図4)は、銅又は銅合金等の良導体で形成された管状(中空)の一次誘導コイル7と二次誘導コイル8で構成されている。すなわち、一次誘導コイル7と二次誘導コイル8は別部材であり、両者で加熱コイル6が構成されている。
一次誘導コイル7は、リード部9a、9b、一次側熱処理対象物近接部10a~10d、二次誘導コイル側近接部11a~11c、迂回部12a、12b、退避部13a~13dを有する。リード部9a、9b、一次側熱処理対象物近接部10a~10d、二次誘導コイル側近接部11a~11c、及び退避部13a~13dは、同一面内に配置されている。
リード部9a、9bは、一続きの管状部材からなる一次誘導コイル7の両側の部位であり、接点16a、16b(図9)が設けられている。接点16a、16bは、トランス5の二次側の接点17a、17b(図9)と接続されている。
図4に示すように、リード部9a、9bは絶縁された状態で平行に配置されており、リード部9a、9bには、それぞれ二次誘導コイル側近接部11a、11cが接続されている。二次誘導コイル側近接部11a、11cは、リード部9a、9bと直交している。また、二次誘導コイル側近接部11a、11cは、同一直線上に配置されており、それぞれリード部9a、9bを基点として互いに正反対の方向にのびている。
二次誘導コイル側近接部11a、11cには、それぞれ退避部13a、13dが接続されている。退避部13a、13dは、二次誘導コイル側近接部11a、11cに対して、リード部9a、9bとは反対側へのびており、二次誘導コイル側近接部11a、11cと直交している。また、退避部13a、13dは、同じ長さであって、互いに所定の距離をおいて平行状態で対向している。
退避部13a、13dには、それぞれ一次側熱処理対象物近接部10a、10dが接続されている。一次側熱処理対象物近接部10a、10dは、同一直線上に配置されており、退避部13a、13dを基点として互いに正反対の方向にのびている。また、リード部9a、9b、二次誘導コイル側近接部11a、11c、退避部13a、13b、一次側熱処理対象物近接部10a、10bは、同一面内に配置されている。
一次側熱処理対象物近接部10a、10dには、それぞれ迂回部12a、12bが接続されている。迂回部12a、12bは、同じ半径の半円弧形状を呈しており、一次側熱処理対象物近接部10a、10dが含まれる面と直交する面内に配置されている。また、迂回部12a、12bは、平行状態で対向している。
迂回部12a、12bには、一次側熱処理対象物近接部10b、10cが接続されている。すなわち、迂回部12aの両端には、一次側熱処理対象物近接部10a、10bが接続されており、迂回部12bの両端には、一次側熱処理対象物近接部10d、10cが接続されている。一次側熱処理対象物近接部10b、10cは、同一直線上に配置されており、それぞれ迂回部12a、12bとの接続部を基点として互いに接近する方向にのびている。
一次側熱処理対象物近接部10b、10cは、それぞれ一次側熱処理対象物近接部10a、10dと所定の距離をおいて平行状態で対向している。すなわち、迂回部12aは、平行姿勢で対向した一次側熱処理対象物近接部10a、10bを接続しており、同様に、迂回部12bは、平行姿勢で対向した一次側熱処理対象物近接部10c、10dを接続している。
一次側熱処理対象物近接部10b、10cには、退避部13b、13cが接続されている。退避部13b,13cは、一次側熱処理対象物近接部10b、10cと直交しており、互いに平行姿勢で対向している。また、退避部13a、13bは、同一直線上に配置されており、退避部13d、13cは、別の同一直線上に配置されている。
退避部13b、13cは、二次誘導コイル側近接部11bで接続されている。二次誘導コイル側近接部11bは、リード部9a、9bと連続した二次誘導コイル側近接部11a、11cと所定の距離をおいて平行に配置されている。一次誘導コイル7は、迂回部12a、12b以外は全て同一面内に配置されている。
一次誘導コイル7は、以上説明したように各部が接続された構造を有している。
一次側熱処理対象物近接部10a、10bは、ワークWの第2小径部Eと近接対向する部位であり、一次側熱処理対象物近接部10a、10bの間隔は、ワークWの第2小径部Eの直径よりも若干大きい。すなわち、一次側熱処理対象物近接部10a、10bの間に、一次側熱処理対象物近接部10a、10bと接触することなく第2小径部Eを配置することができる。そして、一次側熱処理対象物近接部10a、10bに高周波電流が通電された際に、第2小径部Eに高周波誘導電流が励起される程度に、第2小径部Eと一次側熱処理対象物近接部10a、10bが離間するように、一次側熱処理対象物近接部10a、10bの間隔は設定されている。
同様に、一次側熱処理対象物近接部10d、10cは、ワークWの第1小径部Aと近接対向する部位であり、一次側熱処理対象物近接部10d、10cの間隔は、ワークWの第1小径部Aの直径よりも若干大きい。すなわち、一次側熱処理対象物近接部10d、10cの間に、一次側熱処理対象物近接部10d、10cと接触することなく第1小径部Aを配置することができる。そして、一次側熱処理対象物近接部10d、10cに高周波電流が通電された際に、第1小径部Aに高周波誘導電流が励起される程度に、第1小径部Aと一次側熱処理対象物近接部10d、10cが離間するように、一次側熱処理対象物近接部10d、10cの間隔は設定されている。
仮に、ワークWの第1小径部A、第2小径部Eの直径が相違する場合には、一次側熱処理対象物近接部10a、10bの間隔と、一次側熱処理対象物近接部10c、10dの間隔は相違し、それぞれ第1小径部A、第2小径部Eの周面に近接対向できる間隔に設定される。
リード部9a、9bと連続した二次誘導コイル側近接部11a、11cと、二次誘導コイル側近接部11bは、所定の間隔をおいて対向している。二次誘導コイル側近接部11a、11c、及び11bは、後述の二次誘導コイル8の一次誘導コイル側近接部15a、15bと近接対向する部位である。
二次誘導コイル側近接部11a、11cと、二次誘導コイル側近接部11bの間隔は、一次誘導コイル側近接部15a、15bと接触することがなく、且つ、一次誘導コイル側近接部15a、15bに誘導電流を励起させることができる大きさに設定されている。
すなわち、二次誘導コイル側近接部11a~11cに対して一次誘導コイル側近接部15a、15bが相対移動するが、一次誘導コイル側近接部15aが二次誘導コイル側近接部11a、11cに近接したときには、一次誘導コイル側近接部15bが二次誘導コイル側近接部11bから離間し、逆に一次誘導コイル側近接部15aが二次誘導コイル側近接部11a、11cから離間した際には、一次誘導コイル側近接部15bが二次誘導コイル側近接部11bに近接する。よって、二次誘導コイル8には、一次誘導コイル側近接部15a、15bの少なくとも一方が一次誘導コイル7に近接して電磁誘導を受け、高周波誘導電流が励起される。
次に二次誘導コイル8について説明する。
図4に示すように二次誘導コイル8は、二次側熱処理対象物近接部14a、14bと一次誘導コイル側近接部15a、15bを有する。
二次側熱処理対象物近接部14a、14bは、略半円弧形状を呈する管部材であり、互いに同芯で且つ平行に配置されている。二次側熱処理対象物近接部14a、14bは、ワークWの大径部Bに近接対向する部位であり、二次側熱処理対象物近接部14a、14bは、大径部Bの軸芯方向(中心方向)の長さ(幅)の両側付近に配置される。
一次誘導コイル側近接部15aは、厚みを有する板状の部材であり、内部には冷却液を流通させることができる空洞(図示せず)が設けられている。一次誘導コイル側近接部15aの幅寸法は、一次誘導コイル7の退避部13a、13dの間隔よりも小さい。
また、一次誘導コイル側近接部15aは、一次誘導コイル7の二次誘導コイル側近接部11a、11cと近接する部位であり、一次誘導コイル側近接部15aの高さ寸法は、二次誘導コイル8が後述のように円軌道を描いて移動する際における上下の移動距離と同程度の大きさである。一次誘導コイル側近接部15aは、二次側熱処理対象物近接部14a、14bの一方側の端部と通電可能に接続されている。また、一次誘導コイル側近接部15aの内部の図示しない空洞は、二次側熱処理対象物近接部14a、14bの内部と連通している。
一次誘導コイル側近接部15bは、一次誘導コイル側近接部15bと同様の構造を呈している。一次誘導コイル側近接部15bは、一次誘導コイル7の二次誘導コイル側近接部11bと近接する部位であり、二次側熱処理対象物近接部14a、14bの他端側の端部と通電可能に接続されている。また、一次誘導コイル側近接部15bの内部の図示しない空洞は、二次側熱処理対象物近接部14a、14bの内部と連通している。また、二次誘導コイル8には、図示しない冷却液循環配管が接続されており、二次誘導コイルの各部材には冷却液が循環供給可能である。
二次誘導コイル8には、電源が接続されていない。
一方、図9に示すように、一次誘導コイル7には、高周波電源4側からトランス5を介して高周波電力を供給可能である。そして、二次誘導コイル8は、前述のように部分的に一次誘導コイル7と近接する部位があり、一次誘導コイル7に高周波電流が通電されると、二次誘導コイル8には、高周波誘導電流が励起される。
一次誘導コイル7に高周波電流が通電されると、一次側熱処理対象物近接部10a~10dに近接するワークWの第1小径部A、第2小径部Eに高周波誘導電流が励起され、第1小径部A、第2小径部Eが高周波誘導加熱されて昇温する。
また、一次誘導コイル7に高周波電流が通電されると、二次誘導コイル8に高周波誘導電流(一次誘導電流)が励起される。そして、二次側熱処理対象物近接部14a、14bに近接するワークWの大径部Bには高周波誘導電流(二次誘導電流)が励起され、大径部Bが高周波誘導加熱されて昇温する。本実施形態においては、一次誘導コイル側近接部15a、15bは、一次誘導コイル7の二次誘導コイル側近接部11a~11cに近接するのみならず、大径部Bにも近接している。
ここで、ワークWの第1小径部A、第2小径部E及び大径部Bを全周囲に渡って熱処理するためには、ワークWを回転(加熱コイル6との相対回転)させる必要がある。ところが、ワークWは回転中心から偏心した中心(中心線D)をもつ大径部Bを有しているため、中心線C周りにワークWを回転させると、大径部Bが中心線Cの周囲を、円軌道を描いて移動する(公転移動する)。そのため、誘導加熱装置1には、図示しない移動機構が設けられており、この移動機構によって二次誘導コイル8は、大径部Bの公転移動に追従するように移動することができる。すなわち、二次誘導コイル8は、二次側熱処理対象物近接部14a、14bが大径部Bに近接対向した状態を維持するように大径部Bに追従して移動する。
図1(a)~図1(d)、図2(a)~図2(d)、図3(a)~図3(d)は、それぞれワークWが回転した際の、加熱コイル6の動作を示している。図1(a)、図2(a)、図3(a)に示す状態をワークWの回転角0(ゼロ)度の状態とすると、図1(b)~図1(d)、図2(b)~図2(d)、図3(b)~図3(d)は、それぞれワークWの回転角90度、180度、270度の状態を示している。ワークWは回転するが、一次誘導コイル7は設置された位置で停止している。また、二次誘導コイル8は、ワークWの大径部Bに追従して移動する。
ワークWを誘導加熱する際、図示しない回転駆動機構によってワークWを回転させると共に、図示しない移動機構によって加熱コイル6の二次誘導コイル8をワークWの大径部Bに追従するように公転移動させる。そして、高周波電源4(図9)から加熱コイル6(一次誘導コイル7)に高周波電力を供給する。これらの動作は、図示しない制御装置によって制御されている。
ワークWの回転中心は、第1小径部A、第2小径部Eの中心線Cと一致している。よって、ワークWが回転すると、ワークWの第1小径部A、第2小径部Eは中心線Cを中心に回転(自転)する。すなわち、第1小径部A、第2小径部Eは、ワークWにおける非偏芯部を構成している。そして、第1小径部Aの全周囲が、一次誘導コイル7の一次側熱処理対象物近接部10c、10dと順に対向し、第2小径部Eの全周囲が、一次誘導コイル7の一次側熱処理対象物近接部10a、10bと順に対向する。一次誘導コイル7には高周波電流が通電されているため、第1小径部A、第2小径部Eの全周囲が一様に誘導加熱(熱処理)されて昇温する。
一方、ワークWの大径部Bは、中心線Cを中心に円軌道を描いて移動する。すなわち、大径部Bは、ワークWにおける偏芯部を構成し、大径部Bの中心線Dが中心線Cの周囲を円軌道を描くように移動する。その際、二次誘導コイル8の二次側熱処理対象物近接部14a、14bが、大径部Bと近接対向した状態を維持するように、図示しない移動機構によって大径部Bに追従して移動する。すなわち二次誘導コイル8は、図1(a)~図1(d)に示すように、中心線Cの周囲を、円軌道を描くように移動(公転)している。
ここで、移動する二次誘導コイル8の一次誘導コイル側近接部15a、15bと、停止した一次誘導コイル7の二次誘導コイル側近接部11a~11cは、近接対向する部位が刻々と変化しながら近接対向状態が維持されている。
すなわち、図1(a)、図3(a)に示すワークWの回転角0(ゼロ)度のときには、二次誘導コイル側近接部11a~11cに対して、一次誘導コイル側近接部15a、15bの比較的下方の部位が対向しているが、図1(c)、図3(c)に示すワークWの回転角度180度のときには、二次誘導コイル側近接部11a~11cに対して、一次誘導コイル側近接部15a、15bの比較的上方の部位が対向している。よって、一次誘導コイル7の二次誘導コイル側近接部11a~11cに対して、二次誘導コイル8の一次誘導コイル側近接部15a、15bのいずれかの部位が常に対向している。
また、一次誘導コイル側近接部15aから二次誘導コイル側近接部11a、11cまでの距離と、一次誘導コイル側近接部15bから二次誘導コイル側近接部11bまでの距離は、ワークWの回転角に応じて変動する。そして、一次誘導コイル側近接部15aから二次誘導コイル側近接部11a、11cまでの距離が比較的近いときには、一次誘導コイル側近接部15aに高周波誘導電流が励起され、一次誘導コイル側近接部15bから二次誘導コイル側近接部11bまでの距離が比較的近いときには、一次誘導コイル側近接部15bに高周波誘導電流が励起される。
具体的には、図1(b)、図2(b)、図3(b)に示すワークWの回転角度90度のときには、一次誘導コイル側近接部15aが二次誘導コイル側近接部11a、11cから離れているが、一次誘導コイル側近接部15bが二次誘導コイル側近接部11bに接近するため、二次誘導コイル8は一次誘導コイル側近接部15bで電磁誘導を受け、二次誘導コイル8に高周波誘導電流が励起される。
同様に、図1(d)、図2(d)、図3(d)に示すワークWの回転角度270度のときには、一次誘導コイル側近接部15bが二次誘導コイル側近接部11bから離れているが、一次誘導コイル側近接部15aが二次誘導コイル側近接部11a、11cに接近するため、二次誘導コイル8は一次誘導コイル側近接部15aで電磁誘導を受け、二次誘導コイル8に高周波誘導電流が励起される。
すなわち、一次誘導コイル7と二次誘導コイル8は、少なくともいずれかの部位同士が互いに高周波誘導(電磁誘導)可能に近接している。換言すると、一次誘導コイル7の二次誘導コイル側近接部11a~11cと、二次誘導コイル8は、電磁誘導が可能な所定の範囲内で近接した状態を維持しながら相対移動が可能である。そのため、二次誘導コイル8には高周波誘導電流が常時、又は略常時励起されている。その結果、ワークWの大径部B(偏芯部)の全周囲が、一様に誘導加熱されて昇温する。
本実施形態では、一次誘導コイル7の一次側熱処理対象物近接部10a~10dは、ワークWの第1小径部A又は第2小径部Eに近接し、同時に、二次誘導コイル8の二次側熱処理対象物近接部14a、14bが大径部B(第1小径部A、第2小径部Eとは異なる熱処理対象部位)に近接可能である。そして、第1小径部A、第2小径部E、及び大径部Bを同時に誘導加熱可能である。
次に、図5~図8を参照しながら別の実施形態に係る加熱コイル26(誘導加熱コイル)について説明する。加熱コイル26は、図9に示す誘導加熱装置1において、加熱コイル6の代わりにトランス5に接続して使用される。
また、本実施形態におけるワークWは、図4に示すワークWと同じであり、ワークWに関する重複する説明は省略する。
図5に示すように、加熱コイル26は、一次誘導コイル27と二次誘導コイル28a、28bで構成されている。一次誘導コイル27と二次誘導コイル28a、28bは別部材であり、互いに接続されていない。
一次誘導コイル27は、銅又は銅合金等の良導体からなる一続きの管部材で形成されている。すなわち、一次誘導コイル27は中空の線状部材で構成されている。一次誘導コイル27は、リード部29a、29b、一次側熱処理対象物近接部30a~30c、二次誘導コイル側近接部31a、31b、接続部32a~32dを有する。
リード部29a、29bは、一続きの管状部材からなる一次誘導コイル27の両側の部位を構成し、端部には誘導加熱装置1のトランス5(図9)の二次側と接続する接続端子が設けられている。リード部29a、29bは、上下方向にのびており、互いに左右方向及び前後方向に離間している。ここで、左右方向と前後方向は、図5に示す方向である。
リード部29a、29bには、それぞれ一次側熱処理対象物近接部30a、30cが接続されている。一次側熱処理対象物近接部30a、30cは、中心角が90度程度の円弧形状を呈する部位である。一次側熱処理対象物近接部30a、30cの上端は、それぞれリード部29a、29bと接続されており、一次側熱処理対象物近接部30a、30cは、互いに左右反対側の下方へ湾曲している。また、一次側熱処理対象物近接部30a、30cの下端は、同一水平面内に配置されている。
一次側熱処理対象物近接部30a、30cの下端には、接続部32a、32dの一端が接続されている。接続部32a、32dは、前後方向にのびる直線形状を呈する部位である。すなわち、接続部32aの後端が一次側熱処理対象物近接部30aの下端と接続されており、接続部32dの前端が一次側熱処理対象物近接部30cの下端と接続されている。接続部32aは、一次側熱処理対象物近接部30aの下端から前方へのびており、接続部32dは、一次側熱処理対象物近接部30dの下端から後方へのびている。接続部32aは、一次側熱処理対象物近接部30aの湾曲の外側に配置されており、接続部32dは、一次側熱処理対象物近接部30cの湾曲の外側に配置されている。接続部32a、32dの長さは、本実施形態では同じである。
接続部32a、32dの他端の上面部分には、二次誘導コイル側近接部31a、31bの一端が接続されている。二次誘導コイル側近接部31a、31bは、一次側熱処理対象物近接部30a、30cの半径よりも大きい半径の半円弧形状(中心角180度程度)の部位である。
二次誘導コイル側近接部31a、31bは、接続部32a、32dと接続された端部を基点に上方にのびて湾曲している。また、二次誘導コイル側近接部31a、31bの他端には、直線状の接続部32b、32cが接続されている。
接続部32bは二次誘導コイル側近接部31aの他端を基点として後方へのびている。接続部32bと接続部32aは、同じ長さであり、互いに平行である。また、接続部32bと接続部32aは、同一面内に配置されている。接続部32cは二次誘導コイル側近接部31bの他端を基点として前方へのびている。接続部32cと接続部32dは、同じ長さであり、互いに平行である。また、接続部32cと接続部32dは、同一面内に配置されている。
接続部32bの他端(後端)と接続部32cの他端(前端)は、一次側熱処理対象物近接部30bを介して接続されている。
一次側熱処理対象物近接部30bは、円弧部36、37と橋渡し部38を有する。円弧部36、37は、中心角が90度程度の円弧状の部位であり、円弧部36、37の半径は一次側熱処理対象物近接部30a、30cと同様である。
橋渡し部38は、前後方向にのびる直線状の部位であり、リード部29a、29bの間に配置されている。橋渡し部38とリード部29a、29bは、図示しない絶縁部材によって電気的に絶縁されている。橋渡し部38の前端部分は、円弧部36の上端と接続されている。また、橋渡し部38の後端部分は、円弧部37の上端部分と接続されている。すなわち、円弧部36、37の上端同士は、橋渡し部38を介して接続されており、一次側熱処理対象物近接部30bは、円弧部36、37が橋渡し部38で接続された構造を有する。
また、円弧部36の下端は、接続部32bの他端(後端)と接続されており、円弧部37の下端は、接続部32cの他端(前端)と接続されている。
以上説明したように一次誘導コイル27は、リード部29aからリード部29bに至るまで、線状の良導体が一続きに連続した構造を呈している。
二次誘導コイル28aは、第1二次側熱処理対象物近接部33a、第2二次側熱処理対象物近接部34a、一次誘導コイル側近接部35a、接続部39aを有する。
一次誘導コイル側近接部35aは、前後方向にのびる軸線を中心線とした半円弧形状を呈する部位である。
第1二次側熱処理対象物近接部33aは前後方向に長さを有し、第1二次側熱処理対象物近接部33aの前端部分は一次誘導コイル側近接部35aの右後端部分と接続されており、第1二次側熱処理対象物近接部33aの後端部分は第2二次側熱処理対象物近接部34aと接続されている。
第2二次側熱処理対象物近接部34aは、左円弧部40a、直線部41a、右円弧部42aを有している。右円弧部42aは、前後方向にのびる軸線を中心線とした中心角が略90度の円弧状の部位であり、右円弧部42aの一端側(下端側)は、第1二次側熱処理対象物近接部33aの後端部分と接続されている。右円弧部42aの他端側(上端側)は、直線部41aの後端部分と連続している。直線部41aは、前後方向を向いている。
直線部41aの前端部分は、左円弧部40aと連続している。左円弧部40aは、右円弧部42aと同様の大きさ形状を呈しており、左円弧部40aの一端側(上端側)は直線部41aの前端部分と連続している。すなわち、両円弧部は直線部41aの前後で且つ左右に配置されている。また、左円弧部40aの他端側(下端側)は、前後方向に長さを有する接続部39aを介して一次誘導コイル側近接部35aの左後端部分と接続されている。
すなわち、二次誘導コイル28aは、一次誘導コイル側近接部35a、第1二次側熱処理対象物近接部33a、第2二次側熱処理対象物近接部34a、接続部39が環状に接続された構造を有する。また、図示していないが、二次誘導コイル28aには冷却液が循環供給される配管が接続されている。すなわち、図示しない配管を介して二次誘導コイル28aに供給された冷却液は、二次誘導コイル28a内を循環した後に外部へ排出される。
二次誘導コイル28bは、二次誘導コイル28aと同様の構造を有しており、重複する説明は省略する。なお、二次誘導コイル28bでは、二次誘導コイル28aにおける各部の符号の数字の後ろに付した「a」を「b」とした。具体的には、一次誘導コイル側近接部の符号は「35b」とした。二次誘導コイル28bは、二次誘導コイル28aと前後方向の向きを逆にして配置されている。
二次誘導コイル28a、28bには、電源が接続されていない。
一方、一次誘導コイル27には、図9に示す高周波電源4側からトランス5を介して高周波電力を供給可能である。そして、二次誘導コイル28a、28bは、部分的に一次誘導コイル27と近接する部位があり、一次誘導コイル27に高周波電流が通電されると、二次誘導コイル28a、28bには、高周波誘導電流が励起される。
加熱コイル26(一次誘導コイル27、二次誘導コイル28a、28b)は、図示しない駆動機構によってワークWの設置位置と、ワークWから退避する退避位置との間を移動可能である。さらに、加熱コイル26がワークWに近接配置された際、一次誘導コイル27は、図示しない駆動機構によって円軌道を描く動作が可能である。
本実施形態においては、一次誘導コイル27(一次側熱処理対象物近接部30a~30c)が、ワークWの大径部Bに近接し、二次誘導コイル28a(第1二次側熱処理対象物近接部33a、第2二次側熱処理対象物近接部34a)が、ワークWの第2小径部Eに近接し、二次誘導コイル28b(第1二次側熱処理対象物近接部33b、第2二次側熱処理対象物近接部34b)が、ワークWの第1小径部Aに近接する。
ワークWは、図示しない回転駆動機構によって中心線Cを中心に回転する。その際、第1小径部Aと第2小径部Eは、中心線Cを中心に回転(自転)する。また、大径部Bの中心線Dは、図6(a)~図6(d)に示すように、中心線Cの周囲を円軌道を描いて移動する。すなわち、大径部Bは、中心線Cの周囲を偏心回転移動する。
図6(a)~図6(d)、図7(a)~図7(d)、図8(a)~図8(d)は、それぞれワークWが回転した際の、加熱コイル26の動作を示している。図6(a)、図7(a)、図8(a)に示す状態をワークWの回転角0(ゼロ)度の状態とすると、図6(b)~図6(d)、図7(b)~図7(d)、図8(b)~図8(d)は、それぞれワークWの回転角90度、180度、270度の状態を示している。ワークWは回転するが、二次誘導コイル28a、28bは設置された位置で停止している。また、一次誘導コイル27は、ワークWの大径部Bに追従して移動する。
ワークWを誘導加熱する際、図示しない回転駆動機構によってワークWを回転させると共に、図示しない移動機構によって加熱コイル26の一次誘導コイル27をワークWの大径部Bに追従するように公転移動させる。そして、高周波電源4(図9)から加熱コイル26(一次誘導コイル27)に高周波電力を供給する。これらの動作は、図示しない制御装置によって制御されている。
ワークWの回転中心は、第1小径部A、第2小径部Eの中心線Cと一致している。よって、ワークWが回転すると、ワークWの第1小径部A、第2小径部Eは中心線Cを中心に回転(自転)する。そして、第1小径部Aの全周囲が、二次誘導コイル28bの第1二次側熱処理対象物近接部33b、第2二次側熱処理対象物近接部34bと順に対向し、第1小径部Aの全周囲が、一次誘導コイル7の一次側熱処理対象物近接部10a、10bと順に対向する。一次誘導コイル7には高周波電流が通電されているため、第1小径部A、第2小径部Eの全周囲が一様に誘導加熱されて昇温する。
一方、ワークWの大径部Bは、中心線Cを中心に円軌道を描いて移動する。すなわち、大径部Bは、大径部Bの中心線Dが中心線Cの周囲を円軌道を描くように移動する。その際、一次誘導コイル27の一次側熱処理対象物近接部30a~30cが、大径部Bと近接対向した状態を維持するように、図示しない移動機構によって大径部Bに追従して移動する。すなわち一次誘導コイル27は、図6(a)~図6(d)に示すように、中心線Cの周囲を、円軌道を描くように移動(公転)している。
ワークWの大径部Bに近接対向した一次誘導コイル27(一次側熱処理対象物近接部30a~30c)は、図示しない駆動機構によって、図8(a)~図8(d)に示すように、ワークW(大径部B)の偏心回転移動に追従するように移動(公転)する。すなわち、ワークWが一回転する間に、大径部Bの全周に対して一次誘導コイル27(一次側熱処理対象物近接部30a~30c)が順に近接対向する。
そして、一次誘導コイル27に高周波電流が通電されると、一次側熱処理対象物近接部30a~30cに近接する大径部Bの周面に高周波誘導電流が励起され、大径部Bの全周面が高周波誘導加熱される。
一方、二次誘導コイル28a、28bの第1二次側熱処理対象物近接部33a、33b、第2二次側熱処理対象物近接部34a、34bは、それぞれワークWの第1小径部A、第2小径部Eに近接している。そして、ワークWが中心線Cを中心に回転すると、第1小径部Aと第2小径部Eは中心線Cを中心に回転(自転)し、第1小径部Aと第2小径部Eの全周面が、停止した第1二次側熱処理対象物近接部33a、33b及び第2二次側熱処理対象物近接部34a、34bと順に近接対向する。
また、二次誘導コイル28a、28bの一次誘導コイル側近接部35a、35bの外周面の一部が、一次誘導コイル27の二次誘導コイル側近接部31a、31bの内周面の一部と近接する。そして、ワークWが中心線Cを中心に回転すると、一次誘導コイル27がワークW(大径部B)に追従して移動する。その際、二次誘導コイル側近接部31a、31bの内周面と、一次誘導コイル側近接部35a、35bの外周面の相対位置が変化して、互いの近接対向する部位が変化する。しかし、二次誘導コイル側近接部31a、31bの内周面と、一次誘導コイル側近接部35a、35bの外周面は互いに近接した状態がほぼ保たれている。
すなわち、二次誘導コイル28a、28b(一次誘導コイル側近接部35a、35b)に高周波誘導電流が励起されるように、一次誘導コイル27(二次誘導コイル側近接部31a、31b)と二次誘導コイル28a、28b(一次誘導コイル側近接部35a、35b)の間の距離がほぼ保たれている。そして、一次誘導コイル27に高周波電流が通電されると、二次誘導コイル28a、28bに高周波誘導電流(一次誘導電流)が励起される。その結果、ワークWの第1小径部Aと第2小径部Eに高周波誘導電流(二次誘導電流)が励起され、第1小径部Aと第2小径部Eが高周波誘導加熱される。
すなわち、一次誘導コイル27が公転移動しても、一次誘導コイル27と二次誘導コイル28a、28bは、いずれかの部位同士が互いに高周波誘導(電磁誘導)可能に近接している。そのため、二次誘導コイル28a、28bには高周波誘導電流が常時、又は略常時励起されている。その結果、ワークWの大径部Bの全周囲が、一様に高周波誘導加熱される。
1 誘導加熱装置
6 加熱コイル(誘導加熱コイル)
7 一次誘導コイル
8 二次誘導コイル
10a~10d 一次側熱処理対象物近接部
11a~11c 二次誘導コイル側近接部
14a、14b 二次側熱処理対象物近接部
A、E 第1、第2小径部(非偏芯部)
B 大径部(偏芯部)
C 第1、第2小径部(非偏芯部)の中心線
D 大径部(偏芯部)の中心線
W ワーク(熱処理対象物)

Claims (11)

  1. 熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための加熱コイルを有する誘導加熱装置であって、
    前記加熱コイルは、電源から電力が供給される一次誘導コイルと、当該一次誘導コイルによって誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、
    前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、
    前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、
    前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、
    前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、
    前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、
    前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、
    前記第一の端部と第三の端部とを結ぶ線分は、前記第二の端部と第四の端部とを結ぶ線分と略平行であり、
    前記第一の端部と第三の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、
    前記第二の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、
    前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の管部材からなり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、互いに同芯で且つ平行に配置されていることを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記第一の一次誘導コイル側近接部又は第二の一次誘導コイル側近接部によって前記二次誘導コイルに誘導電流を励起することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための加熱コイルを有する誘導加熱装置であって、
    前記加熱コイルは、電源から電力が供給される一次誘導コイルと、当該一次誘導コイルによって誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、
    前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、
    前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、
    前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、
    前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、
    前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、
    前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、
    前記第一の端部と第二の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、
    前記第三の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、
    前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の部分を含む管部材からなり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、前記略半円弧形状の部分が互いに同芯で且つ平行となるように配置されていることを特徴とする誘導加熱装置。
  4. 前記誘導加熱装置は、中心が回転中心と一致した非偏芯部と、中心が回転中心と一致していない偏芯部を有する熱処理対象物を誘導加熱するものであり、
    前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部のいずれか一方が偏芯部に近接する部位であり、他方が非偏芯部に近接する部位であり、
    前記熱処理対象物が回転した際に、前記偏芯部に近接する部位が偏芯部に追従して移動可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の誘導加熱装置。
  5. 前記加熱コイルを水平面に置いた時の鉛直方向を上下方向とし、前記熱処理対象物が回転する回転軸と前記上下方向との両者と直角を成す方向を前後方向として、前記熱処理対象物が回転した際に、前記偏芯部に近接する部位が偏芯部に追従して前後方向および上下方向に移動可能であることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱装置。
  6. 一次誘導コイルの前記二次誘導コイル側近接部と前記二次誘導コイルは、電磁誘導が可能な所定の範囲内で近接した状態を維持しながら相対移動が可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導加熱装置。
  7. 熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための誘導加熱コイルであって、
    高周波電流が通電される一次誘導コイルと、
    前記一次誘導コイルに近接して高周波誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、
    前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、
    前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、
    前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、
    前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、
    前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、
    前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、
    前記第一の端部と第三の端部とを結ぶ線分は、前記第二の端部と第四の端部とを結ぶ線分と略平行であり、
    前記第一の端部と第三の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、
    前記第二の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されており、
    前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の管部材からなり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、互いに同芯で且つ平行に配置されていることを特徴とする誘導加熱コイル。
  8. 前記第一の一次誘導コイル側近接部又は第二の一次誘導コイル側近接部によって前記二次誘導コイルに誘導電流を励起することを特徴とする請求項7に記載の誘導加熱コイル。
  9. 熱処理対象物に近接して誘導電流を励起させ、当該熱処理対象物を熱処理するための誘導加熱コイルであって、
    高周波電流が通電される一次誘導コイルと、
    前記一次誘導コイルに近接して高周波誘導電流が励起される二次誘導コイルを有し、
    前記一次誘導コイルは、二次誘導コイル側近接部と一次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記二次誘導コイル側近接部は、二次誘導コイルに近接する部位であり、
    前記二次誘導コイル側近接部は、第一の二次誘導コイル側近接部と第二の二次誘導コイル側近接部を含み、
    前記一次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物に近接する部位であり、
    前記二次誘導コイルは、一次誘導コイル側近接部と二次側熱処理対象物近接部を有し、
    前記一次誘導コイル側近接部は、第一の一次誘導コイル側近接部と第二の一次誘導コイル側近接部とを含み、
    前記第一の一次誘導コイル側近接部は、前記第一の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記第二の一次誘導コイル側近接部は、前記第二の二次誘導コイル側近接部と近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、熱処理対象物における前記一次側熱処理対象物近接部によって熱処理される部位とは異なる部位に近接する部位であり、
    前記二次側熱処理対象物近接部は、第一の二次側熱処理対象物近接部と第二の二次側熱処理対象物近接部とを含み、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部は、第一の端部と第二の端部とを有しており、
    前記第二の二次側熱処理対象物近接部は第三の端部と第四の端部とを有しており、
    前記第一の端部と第二の端部とは、前記第一の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、
    前記第三の端部と第四の端部とは、前記第二の一次誘導コイル側近接部と通電可能に接続されて環状を成しており、
    前記一次側熱処理対象物近接部と二次側熱処理対象物近接部が、同時に熱処理対象物に近接可能であり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、いずれも略半円弧形状の部分を含む管部材からなり、
    前記第一の二次側熱処理対象物近接部と前記第二の二次側熱処理対象物近接部は、前記略半円弧形状の部分が互いに同芯で且つ平行となるように配置されていることを特徴とする誘導加熱コイル。
  10. 熱処理対象物は回転中心を有し、
    熱処理対象物は、中心が回転中心と一致した非偏芯部と、中心が回転中心と一致しない偏芯部を有するものであり、
    前記一次誘導コイルと二次誘導コイルのいずれか一方が非偏芯部に近接し、いずれか他方が偏芯部に近接することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の誘導加熱コイル。
  11. 前記誘導加熱コイルを水平面に置いた時の鉛直方向を上下方向とし、前記熱処理対象物が回転する回転軸と前記上下方向との両者と直角を成す方向を前後方向として、前記熱処理対象物が回転した際に、前記偏芯部に近接する部位が偏芯部に追従して前後方向および上下方向に移動可能であることを特徴とする請求項10に記載の誘導加熱コイル。
JP2019056229A 2019-03-25 2019-03-25 誘導加熱装置、並びに、誘導加熱コイル Active JP7336127B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019056229A JP7336127B2 (ja) 2019-03-25 2019-03-25 誘導加熱装置、並びに、誘導加熱コイル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019056229A JP7336127B2 (ja) 2019-03-25 2019-03-25 誘導加熱装置、並びに、誘導加熱コイル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020161218A JP2020161218A (ja) 2020-10-01
JP7336127B2 true JP7336127B2 (ja) 2023-08-31

Family

ID=72639636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019056229A Active JP7336127B2 (ja) 2019-03-25 2019-03-25 誘導加熱装置、並びに、誘導加熱コイル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7336127B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004022210A (ja) 2002-06-12 2004-01-22 Fuji Electronics Industry Co Ltd シャフト状ワーク誘導加熱コイル
US20080041844A1 (en) 2006-08-04 2008-02-21 Ajax Tocco Magnethermic Corporation Apparatus and method for hardening bearing surfaces of a crankshaft
JP2015228313A (ja) 2014-05-30 2015-12-17 富士電子工業株式会社 カムシャフトの誘導加熱装置、並びに、カムシャフトの誘導加熱方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004022210A (ja) 2002-06-12 2004-01-22 Fuji Electronics Industry Co Ltd シャフト状ワーク誘導加熱コイル
US20080041844A1 (en) 2006-08-04 2008-02-21 Ajax Tocco Magnethermic Corporation Apparatus and method for hardening bearing surfaces of a crankshaft
JP2015228313A (ja) 2014-05-30 2015-12-17 富士電子工業株式会社 カムシャフトの誘導加熱装置、並びに、カムシャフトの誘導加熱方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020161218A (ja) 2020-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6170050B2 (ja) 誘導コイルユニット
JP7336127B2 (ja) 誘導加熱装置、並びに、誘導加熱コイル
KR20160132837A (ko) 열처리 장치 및 열처리 방법
JP7168086B2 (ja) 移動焼入れ装置及び移動焼入れ方法
JP3582783B2 (ja) トリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法およびその方法に使用する高周波コイル
JP6146139B2 (ja) 多段形状軸部材の加熱装置、加熱方法及び加熱コイル
JP4658027B2 (ja) 軸状部材加熱用の高周波誘導加熱コイル
JP2654869B2 (ja) 高周波誘導加熱コイル
JP2004169133A (ja) 等速ジョイント用高周波焼入装置
JP2020020027A (ja) コイルばねの加熱方法、座巻部加熱装置、およびコイルばね
WO2024057405A1 (ja) 移動焼入れ方法及び移動焼入れ装置
JP2019067528A (ja) 加熱コイル
CN112205073B (zh) 加热线圈、加热装置以及工件的制造方法
JP2002194425A (ja) 高周波誘導加熱コイル
JP6290714B2 (ja) カムシャフトの誘導加熱装置、並びに、カムシャフトの誘導加熱方法
JP7141076B2 (ja) 高周波焼入装置
JP2016201241A (ja) 高周波誘導加熱コイル
JP7473961B2 (ja) 誘導加熱方法
JP2011241415A (ja) 誘導加熱装置及び誘導加熱方法
JP2001115211A (ja) シャフト状ワークの高周波焼入装置及び高周波焼入方法
CN114150118B (zh) 热处理装置及热处理方法
JP2008274438A (ja) 軸状部材加熱用の高周波誘導加熱装置
JP2006019230A (ja) 誘導加熱装置及び誘熱焼入装置
JP6001421B2 (ja) 誘導加熱コイル体
JP2023150355A (ja) 誘導加熱コイル及び高周波焼入れ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221222

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230727

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230814

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7336127

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150