JP7141076B2 - 高周波焼入装置 - Google Patents
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Description
どの様な形状のワークであってもこの手順は変わらず、高周波焼入では、誘導加熱による加熱工程の後、冷却工程が実施される。
すなわち、特許文献1の装置は、加熱コイルと冷却ジャケットが、筒状ワークに対して上下に相対移動し、筒状ワークの内面の誘導加熱と冷却が順に実施される様に構成されている。
特に筒状ワークの内径が小径であると、加熱コイルの螺旋の内部に冷却ジャケットを配置することができず、筒状ワークの内部に加熱コイルと冷却ジャケットを同時に配置するのは極めて困難である。
好ましい態様は、前記上側に配置された遮蔽部材の面積は、前記上側に配置された開口の面積より大きい高周波焼入装置である。
さらに好ましい態様は、前記筒状ワークは、前記筒状ワークの下側に開口と、前記冷却ジャケットから噴射された冷却液が、筒状ワークの内部から流出するのを阻害し、前記筒状ワークの下側に配置された遮蔽部材とをさらに有し、前記下側に配置された遮蔽部材は、前記下側に配置された開口と隙間を有するように離れて配置されている高周波焼入装置である。
さらに好ましい態様は、前記下側に配置された遮蔽部材の面積は、前記下側に配置された開口の面積より小さい高周波焼入装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、高周波電流が通電される加熱コイルと共に筒状ワークの内部に配置され、前記筒状ワークの内面の高周波焼入に使用される筒状ワークの内面焼入用冷却ジャケットであって、前記加熱コイルは、一続きの導体で構成されていて前記筒状ワークの開口から内部に入る対向部と、前記開口側へ戻る対向部とが同数設けられたものであり、前記各対向部は筒状ワークの内面に近接するものであって、各対向部同士は離間しており、前記冷却ジャケットは、前記各対向部よりも筒状ワークの内面から離間していることを特徴とする筒状ワークの内面焼入用冷却ジャケットである。
すなわち、加熱コイルの各対向部は、筒状ワークの内面に近接しており、加熱コイルに高周波電流が通電されると、筒状ワークの内面に高周波誘導電流を励起させることができる。また、加熱コイルの各対向部が筒状ワークの内面に近接しているため、筒状ワークの内部における、各対向部が配置された領域よりも内側の領域には空間が存在する。そのため、筒状ワークの内部であって、加熱コイルの各対向部が配置された領域よりも内側の領域の空間に冷却ジャケットを配置することができる。
また、冷却ジャケットは、加熱コイルの各対向部よりも筒状ワークの内面から離間しており、各対向部の間から筒状ワークの内面に冷却液を噴射可能である。すなわち、冷却ジャケットから噴射された冷却液は、各対向部の間を通過して筒状ワークの内面に達する。
そのため、加熱コイルの各対向部に高周波電流を通電して筒状ワークの内面を高周波誘導加熱した後、時間差なく速やかに冷却ジャケットから冷却液を噴射し、筒状ワークの昇温した内面を急冷することができる。換言すると、高周波誘導加熱時に冷却ジャケットが筒状ワークの内部に予め配置されているので、高周波誘導加熱した後に時間差なく速やかに筒状ワークの加熱部位の冷却を開始することができる。よって、本発明によると、筒状ワークの内面の高周波焼入を良好に実施することができる。
さらに、筒状ワークの内径が小径である場合においても、筒状ワークの内部における、加熱コイルが配置された領域よりも内側の領域の空間に冷却ジャケットを配置することができるので、高周波誘導加熱の終了と冷却液の噴射開始とを時間差なく行うことができ、筒状ワークの内面を良好に高周波焼入することができる。
ここで、加熱コイルにおける、筒状ワークの開口から内部に入る対向部と、前記開口側へ戻る対向部は同数であり、各々最低1つずつあればよいが、加熱効率を考慮すると、各々2つ以上あるのが好ましい。すなわち、筒状ワークの開口から内部に入る対向部が2つ以上あり、開口側へ戻る対向部が2つ以上あるのが好ましい。
また、筒状ワークの開口から内部に入る対向部及び開口側へ戻る対向部は、筒状ワークの軸線に沿った直線状のものや、筒状ワークの軸線方向に延びると共に周方向にも延びる曲線状のものとすることができる。すなわち、複数の直線状の導体や複数の曲線状の導体を、間隔を置いて配置し、筒状ワークの内面に近接させる。
すなわち、加熱コイルの各直線部は、筒状ワークの内面に近接しており、筒状ワークの内部における、各直線部が配置された領域よりも内側の領域には空間が存在する。そのため、筒状ワークの内部であって、加熱コイルの各直線部が配置された領域よりも内側の領域の空間に冷却ジャケットを配置することができる。すなわち、冷却ジャケットは、高周波焼入時には、加熱コイルの各直線部よりも筒状ワークの半径方向の中心側に配置されている。
そして、冷却ジャケットは、加熱コイルの各直線部の間から筒状ワークの内面(内周面)に冷却液を噴射可能である。すなわち、加熱コイルの各直線部は、筒状ワークの開口から内部筒状ワークの軸線に沿っている上に、各直線部同士は離間しているので、冷却ジャケットから噴射された冷却液は、各直線部の間を通過して筒状ワークの内面に達する。
そのため、冷却ジャケットから噴射された冷却液によって、筒状ワークの内面における開口側から内部側に至るまで冷却することができる。
その結果、加熱コイルの各直線部に高周波電流を通電して筒状ワークの内面を高周波誘導加熱した後、時間差なく速やかに冷却ジャケットから冷却液を噴射し、筒状ワークの昇温した内面を急冷することができる。換言すると、高周波誘導加熱時に冷却ジャケットが筒状ワークの内部に予め配置されているので、高周波誘導加熱した後に時間差なく速やかに筒状ワークの加熱部位の冷却を開始することができる。よって、本発明によると、筒状ワークの内面の高周波焼入を良好に実施することができる。
さらに、筒状ワークの内径が小径である場合においても、筒状ワークの内部における、加熱コイルが配置された領域よりも内側の領域に冷却ジャケットを配置することができるので、高周波誘導加熱の終了と冷却液の噴射開始とを時間差なく行うことができ、筒状ワークの内面を良好に高周波焼入することができる。
すなわち、加熱コイルの各対向部は、筒状ワークの内面(内周面)に近接しており、加熱コイルに高周波電流が通電されると、筒状ワークの内面に高周波誘導電流を励起させることができる。また、加熱コイルの各対向部が筒状ワークの内面に近接しているため、筒状ワークの内部における、各対向部が配置された領域よりも内側の領域には空間が存在する。そのため、筒状ワークの内部であって、加熱コイルの各対向部が配置された領域よりも内側の領域の空間に冷却ジャケットを配置することができる。
また、冷却ジャケットは、各対向部よりも筒状ワークの内面から離間しており、各対向部の間から筒状ワークの内面に冷却液を噴射可能である。
すなわち、加熱コイルは、筒状ワークの開口から内部に入る対向部と、開口側へ戻る対向部とが同数設けられたものであり、各対向部同士は離間しているので、冷却ジャケットから噴射された冷却液は、各対向部の間を通過して筒状ワークの内面に達する。
そのため、冷却ジャケットから噴射された冷却液によって、筒状ワークの内面は冷却される。
その結果、加熱コイルの各対向部に高周波電流を通電して筒状ワークの内面を高周波誘導加熱した後、時間差なく速やかに冷却ジャケットから冷却液を噴射し、筒状ワークの内面を急冷することができる。
換言すると、高周波誘導加熱時に冷却ジャケットが筒状ワークの内部に予め配置されているので、高周波誘導加熱した後に時間差なく速やかに加熱部位である筒状ワークの内面の冷却を開始することができる。よって、本発明によると、筒状ワークの内面の高周波焼入を良好に実施することができる。
さらに、筒状ワークの内径が小径である場合においても、筒状ワークの内部における、加熱コイルが配置された領域よりも内側の領域に空間を確保することができる。そのため、高周波誘導加熱を実施する際に、当該空間に冷却ジャケットを予め配置しておくことができる。その結果、高周波誘導加熱の終了と冷却液の噴射開始とを時間差なく行うことができ、筒状ワークの内面を良好に高周波焼入することができる。
また、筒状ワークの開口から内部に入る対向部及び開口側へ戻る対向部は、筒状ワークの軸線に沿った直線状のものや、筒状ワークの軸線方向に延びると共に周方向にも延びる曲線状のものとすることができる。すなわち、複数の直線状の導体や複数の曲線状の導体を、間隔を置いて配置し、筒状ワークの内面に近接させる。
また、本発明の高周波焼入装置の加熱コイルと冷却ジャケットの配置構造によると、筒状ワークの内部に加熱コイルの複数の直線部と冷却ジャケットを同時に配置することができ、筒状ワークの内面を高周波誘導加熱した後、時間差なく速やかに冷却液を噴射供給して内面を急冷することができ、筒状ワークの内面の高周波焼入を良好に実施することができる。
図1に示す様に、本発明の実施形態に係る内面焼入用冷却ジャケット3(冷却液供給装置であって、以下単に冷却ジャケット3と称する。)は、高周波誘導加熱装置2と共に高周波焼入装置1を構成している。高周波焼入装置1は、図2に示す筒状ワーク20の内面23(内周面)を高周波焼入するものである。
筐体3aは細長い円筒状の部材であり、内部には空洞が設けられており、周面(円筒側壁)には多数の噴射孔11が設けられている。各噴射孔11は、筐体3aの内部と外部とを連通させる小径の孔であり、筐体3aの円筒側壁の全周囲に渡って等間隔に分布している。各噴射孔11は、筐体3a内に供給された冷却液を外部に向けて噴射するノズルとして機能する。
冷却液供給配管10内には加圧された冷却液が供給されており、冷却液供給配管10の途中の部位には、開閉弁16が設けられている。すなわち、この開閉弁16を開閉することによって、冷却液供給配管10内の加圧された冷却液の、筐体3a側へ供給と供給の遮断とを切り替えることができる。開閉弁16の動作は、図示しない制御装置によって制御されている。また、開閉弁16の開閉動作を、作業者による手動で行うこともできる。
リード部18aの他端側には、変圧器6の二次側に接続される接点部19aが設けられている。また、リード部18bの他端側には、変圧器6の二次側に接続される接点部19bが設けられている。
領域S2の直径は、筐体3aの直径よりも大きい。そのため、仮想円Cの中心に筐体3aの中心を一致させると、筐体3aと加熱コイル7の各直線部8a、9a、8b、9bとの間には隙間が形成される。
すなわち、冷却ジャケット3の筐体3aを、各直線部8a、9a、8b、9bに接触させることなく領域S2内に配置することができる。
また、つなぎ導体部17dの中心軸線は、仮想円C(円周)に沿って湾曲していると共に、戻り側直線部9bとリード部18bとを接続する長さを有している。
筒状ワーク20は貫通孔を有しており、貫通孔には内面23と開口22a、22bが形成されている。この内面23が高周波焼入処理の対象部位である。
図1に示す様に、筒状ワーク20は、上方側に開口22aが配置され、下方側に開口22bが配置される様に、軸線が上下方向を向いた姿勢で図示しない支持機構(支持台)によって支持されている。また、支持機構によって支持された筒状ワーク20は、図示しない駆動機構によって軸心回りに回転駆動が可能である。
図1に示す様に、筒状ワーク20の内部に加熱コイル7と冷却ジャケット3(筐体3a)が配置された状態で、図示しない駆動機構によって筒状ワーク20を回転駆動する。これにより、筒状ワーク20の内面23の全面(全周囲)が、各直線部8a、8b、9a、9bと順次近接対向する。
これにより、筒状ワーク20の内面23の全周に渡って高周波誘導電流が励起され、内面23が一様に高周波誘導加熱されて焼入温度まで昇温する。
そして、加熱コイル7(各直線部8a、9a、8b、9b及び各つなぎ導体部17a~17d)及び冷却ジャケット3(筐体3a)が筒状ワーク20の内部から退避し、筒状ワーク20が図示しない支持機構(支持台)から取り外される。
高周波焼入装置1の各動作や、筒状ワーク20の回転駆動は、図示しない制御装置によって司られている。
焼入温度に達した筒状ワーク20の内面23を冷却する際に、冷却を速やかに進める(すなわち、内面23の温度を速やかに低下させる)ため、図5に示す様に、冷却ジャケット3に遮蔽部材12a、12bを設けることもできる。遮蔽部材12a、12bは、筒状ワーク20の上側の開口22aから挿入される冷却ジャケット3の筐体3aに設けられている。遮蔽部材12a、12bは、筐体3aに対して一体固着されている。
すなわち、遮蔽部材12a、12bは筒状ワーク20と接触しない。また、遮蔽部材12a、12bは、電磁誘導の影響を受けにくい素材で形成されている。これにより、筒状ワーク20の内面23の熱処理に悪影響が及ぼされることが回避されている。
加熱コイル25は、図6(b)に示す様に、往き側直線部28a、戻り側直線部29a、往き側直線部28b、戻り側直線部29bが、つなぎ導体部27a~27cを介して順に接続された構造を有している。つなぎ導体部27a、27cは小径の仮想円(図示せず)の円周上に配置されており、つなぎ導体部27bは、大径の仮想円(図示せず)の円周上に配置されている。すなわち、各直線部28a、29a、28b、29b(対向部)は平行ではなく、各直線部28a、29a、28b、29bの一端側は、大径の仮想円の円周上に配置されており、他端側は小径の仮想円の円周上に配置されている。各直線部28a、28b、29a、29bの他端側が配置された小径の仮想円の直径は、冷却ジャケット3の筐体3aの外径よりも大きく、この小径の仮想円の内部には筐体3aを配置することができる。
換言すると、この小径の仮想円の大きさは、加熱コイル25を内面31の奥に配置することができる上に、加熱コイル25の内部に筐体3aを配置することができる大きさに設定されている。
2、35 冷却ジャケット(内面焼入用冷却ジャケット)
7、25 加熱コイル
8a、8b、24a、24b、28a、28b 往き側直線部
9a、9b、26a、26b、29a、29b 戻り側直線部
12 遮蔽部材
13、36 噴射された冷却液
20、30 筒状ワーク
22a、22b、32 筒状ワークの開口
23、31 筒状ワークの内面
Claims (4)
- 高周波電流が通電される加熱コイルと冷却液を噴射する冷却ジャケットとを、筒状ワークの内部に配置する高周波焼入装置であって、
前記加熱コイルは、一続きの導体で構成されていて前記筒状ワークの上側に配置された開口から内部に入る方向に延びる対向部と、前記上側に配置された開口側へ戻る方向に延びる対向部とが同数設けられたものであり、前記各対向部は筒状ワークの内面に近接するものであって、各対向部同士は離間しており、
前記各対向部は、前記各対向部が配置された領域よりも内側の領域には空間が存在し、
前記冷却ジャケットは、前記各対向部よりも筒状ワークの内面から離間しており、前記各対向部の間から筒状ワークの内面に冷却液を噴射可能であり、
前記冷却ジャケットから噴射された冷却液が、筒状ワークの内部から流出するのを阻害し、前記筒状ワークの上側に配置された遮蔽部材を有し、
前記上側に配置された遮蔽部材は、前記上側に配置された開口と隙間を有するように離れて配置されていることを特徴とする高周波焼入装置。 - 前記上側に配置された遮蔽部材の面積は、前記上側に配置された開口の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入装置。
- 前記筒状ワークは、前記筒状ワークの下側に開口と、前記冷却ジャケットから噴射された冷却液が、筒状ワークの内部から流出するのを阻害し、前記筒状ワークの下側に配置された遮蔽部材とをさらに有し、
前記下側に配置された遮蔽部材は、前記下側に配置された開口と隙間を有するように離れて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波焼入装置。 - 前記下側に配置された遮蔽部材の面積は、前記下側に配置された開口の面積より小さい
ことを特徴とする請求項3に記載の高周波焼入装置。
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