JP3878710B2 - 有底筒状ワークの移動焼入装置及び移動焼入方法 - Google Patents

有底筒状ワークの移動焼入装置及び移動焼入方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有底筒状ワークの内周面に焼入を施す有底筒状ワークの移動焼入装置及び移動焼入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、等速ジョイントのカップ部のような有底筒状ワークの内周面に焼入を施す有底筒状ワークの焼入装置は、有底筒状ワークの内側に挿入される加熱コイルと、この加熱コイルと有底筒状ワークとを相対的に移動させる移動機構と、前記加熱コイルで加熱された部分を冷却する冷却液を供給する冷却機構とを有している。
【0003】
有底筒状ワークは開口部を下向きにした状態で焼入が施されるのであるが、加熱コイルは、焼入を施すべき有底筒状ワークの内面に所定の間隔を有して対向された状態で有底筒状ワークに開口部から挿入される。有底筒状ワークは加熱コイルとは相対的に移動されつつ内周面が加熱コイルによって加熱される。
【0004】
有底筒状ワークの内周面の加熱が終了したならば、冷却液噴射ジャケットから冷却液を噴射して加熱された有底筒状ワークの内周面を冷却する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の有底筒状ワークの焼入装置及び焼入方法には、以下のような問題点がある。
すなわち、冷却液噴射ジャケットは、加熱コイルで加熱された部分に冷却液を噴射するものであるから、加熱コイルの下方に設けられる必要がある。このため、最後に加熱された内周面は、冷却液が噴射されず、未冷却のまま残ることが避けられなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて創案されたもので、有底筒状ワークの内周面に焼入を施す場合に、未冷却のまま残ることがない有底筒状ワークの移動焼入装置及び移動焼入方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有底筒状ワークの移動焼入装置は、有底筒状ワークの穴部の内周面を加熱するための加熱コイルと、加熱後の有底筒状ワークの穴部の内周面を冷却液の噴射により冷却するための冷却液噴射ジャケットと、有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するために、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを当該有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させる移動機構と、有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を留めるために、有底筒状ワークの穴部の開口部を開閉可能に塞ぐ開閉手段とを具備する
【0008】
前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する閉塞部材と、この閉塞部材を開口部を閉塞する位置と開放する位置との間で移動させる移動部とを備えている。
【0009】
また、前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する袋体と、この袋体を脹らませる膨張手段とを備えており、前記袋体は膨らむと開口部を閉塞し、萎むと開口部を開放するようにしてもよい。
【0010】
また、前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する閉塞部材を有しており、前記閉塞部材と加熱コイルとの間の寸法は、加熱コイルが加熱すべき最も奥の位置にある場合に有底筒状ワークの開口部を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材は、加熱コイルと有底筒状ワークとを相対的に移動させる移動機構によって移動させられるように構成してもよい。
【0011】
また、前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞するシャッタ部材と、このシャッタ部材を開口部を閉塞する位置と開放する位置との間で移動させる移動部とを有するようにしてもよい。
【0012】
さらに、前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する閉塞部材を有しており、前記閉塞部材と加熱コイルとの間の寸法は、加熱コイルが加熱を開始すべき位置にある場合に有底筒状ワークの開口部を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材は、加熱コイルと有底筒状ワークとを相対的に移動させる移動機構に移動させられるように構成することも可能である。
【0013】
また、本発明に係る有底筒状ワークの別の移動焼入装置は、有底筒状ワークの穴部の内周面を加熱するための加熱コイルと、加熱後の有底筒状ワークの穴部の内周面を冷却液の噴射により冷却するための冷却液噴射ジャケットと、有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するために、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを当該有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させる移動機構と、有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を留めるために、有底筒状ワークの穴部の開口部に向かって流体を噴射する噴射手段とを具備する
【0014】
この場合に前記噴射手段は有底筒状ワークを載置する載置台に設けられていることが望ましい。
【0015】
一方、本発明に係る有底筒状ワークの移動焼入方法は、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを移動機構により有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させることにより、当該有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するに当たり、当該穴部の開口部を閉塞部材によって閉塞し、当該穴部内の空間に前記冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を溜めるようになっている。
【0016】
本発明に係る有底筒状ワークの別の移動焼入方法は、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを移動機構により有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させることにより、当該有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するに当たり、噴射手段により当該穴部の開口部に向けて流体を噴射させ、当該穴部内の空間に前記冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を溜めるようになっている
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図、図2は本発明の第1の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図、図3は本発明の第2の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置の概略的構成図、図4及び図5は本発明の第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図、図6は本発明の第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図、図7は本発明の第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図、図8及び図9は本発明の第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図、図10は本発明の第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図、図11及び図12は本発明の第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図、図13は本発明の第6の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置の概略的構成図である。
【0018】
本発明の第1の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置は、有底筒状ワークWの開口部W1から挿入されて、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する加熱コイル100と、この加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる移動機構 (図示省略) と、前記加熱コイル100で加熱された内周面W2を冷却する冷却液Lを供給する冷却機構200とを有する有底筒状ワークの焼入装置であって、前記冷却機構200は、有底筒状ワークWの開口部W1を開閉する開閉手段210と、この開閉手段210で閉塞された有底筒状ワークWの内側空間W3に冷却液Lを供給する供給手段220とを備えている。
【0019】
この有底筒状ワークの焼入装置で内周面に焼入が施される有底筒状ワークWは、一方が開口部W1として開口した筒状のワークであって、例えば自動車の等速ジョイントのカップ部がこれに相当する。
【0020】
加熱コイル100は、有底筒状ワークWの内周面W2に沿った加熱導体110と、この加熱導体110を図外の電源に接続する給電導体120とを有している。また、この加熱導体110及び給電導体120は、加熱コイル100自身を冷却するための冷却液が流れるようにパイプが用いられる。さらに、この加熱コイル100の加熱導体110には、例えばフェライト等からなるコア130が取り付けられている。
【0021】
前記給電導体120は、加熱コイル100の中心軸に沿うように設けられている。また、この給電導体120は、2つで1組となっており、絶縁性を有する板材140で相互に絶縁されている。
【0022】
有底筒状ワークWは、開口部W1を下向きにした状態で載置台300に載置されている。この載置台300は、固定されており、載置台300に設けられた開口310から前記加熱コイル100が有底筒状ワークWの開口部W1に挿入されるようになっている。そして、この加熱コイル100は、図外の移動機構によって上下動するようになっている。
【0023】
前記加熱コイル100で加熱された内周面W2に冷却液Lを噴射する冷却機構200は、有底筒状ワークWの開口部W1を開閉する開閉手段210と、この開閉手段210で閉塞された有底筒状ワークWの内側空間W3に冷却液Lを供給する供給手段220と有している。
【0024】
前記供給手段220は、冷却液Lを噴射する冷却液噴射ジャケット221と、この冷却液噴射ジャケット221に接続される供給パイプ222と、この供給パイプ222と接続される噴射ポンプ (図示省略) と、後述する開閉手段210に取り付けられるオーバーフロー管223と、このオーバーフロー管223に設けられるバルブ224とを有している。
【0025】
前記冷却液噴射ジャケット221は、加熱コイル100の下側のコア130に取り付けられており、有底筒状ワークWの内周面W2に対向した面には、複数の噴射孔221Aが開設されている。
【0026】
また、前記供給パイプ222は、前記給電導体120と同様に加熱コイル100の中心軸に沿うように設けられている。
【0027】
前記開閉手段210は、周縁部にパッキン211Aが設けられ、当該パッキン211Aが有底筒状ワークWの開口部W1の内周面に水密に密着する閉塞部材211と、この閉塞部材211を上下動させる駆動部 (図示省略) とを有している。
【0028】
前記閉塞部材211の中心には、前記給電導体120と供給パイプ222とが貫通させられる開口211Bが開設されている。また、この開口211Bには、前記オーバーフロー管223の開口端部223Aが臨んでいる。さらに、開口211Bと給電導体120、供給パイプ222及びオーバーフロー管223との間はパッキン226によって水密性が維持されている。
【0029】
前記閉塞部材211が上限に移動すると、有底筒状ワークWの内側空間W3は、図1に示すようにして閉塞されることになる。また、前記閉塞部材221が下降すると、有底筒状ワークWの内側空間W3は開放されたことになる。
【0030】
駆動部は、閉塞部材211を上下動させることができるものであればどのような構成であってもよいが、例えばボールネジによる機構が考えられる。
【0031】
次に、上述したように構成された有底筒状ワークの焼入装置による有底筒状ワークWの焼入作業について説明する。
まず、有底筒状ワークWを載置台300に載置する。この際、有底筒状ワークWの開口部W1と、載置台300の開口310とは一致させておく。また、オーバーフロー管223のバルブ224は供給される冷却液Lの量より少ない量を通過させることができる程度に開けておく。
【0032】
この状態で、開口310を介して加熱コイル100を有底筒状ワークWの内側空間W3へと挿入する。そして、加熱コイル100に電流を供給して、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する。
【0033】
また、この時、開閉手段210の閉塞部材211を上昇させて有底筒状ワークWの開口部W1を閉塞する。詳しくは、閉塞部材211のパッキン211Aが有底筒状ワークWの内周面W2に当接すると、加熱された内周面W2によって溶解させられて水密性が維持できなくなるおそれがあるので、載置台300の開口310を閉塞することになる。しかし、これでも有底筒状ワークWの開口部W1が閉塞されていることにはかわりがない。
【0034】
加熱コイル100に電流を供給しつつ、加熱コイル100を上昇させる。すなわち、加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる。この移動によって、有底筒状ワークWの内周面W2は加熱される。
【0035】
この加熱と同時に冷却液噴射ジャケット221からは冷却液Lを内周面W2、すなわち加熱された部分に向かって噴射する。これによって、有底筒状ワークWの内周面W2には、焼入が下側から順次施されることになる。
【0036】
有底筒状ワークWは、開口部W1が閉塞部材211で閉塞されているとともにバルブ224もある程度閉じているので、その内側空間W3には冷却液Lが順次溜まることになる。
【0037】
有底筒状ワークWの内周面W2の加熱が終了しても冷却液Lの供給は継続させる。これにより、冷却液Lは、有底筒状ワークWの内側空間W3に充満する。なお、バルブ224が僅かに開いているので、内側空間W3の内圧が高くなり、冷却液Lの供給が停止されるということはない。
【0038】
最後に加熱された内周面W2、すなわち最も奥側の内周面W2は、有底筒状ワークWの内側空間W3に充満した冷却液Lによって冷却される。従って、最後に加熱された内周面W2に確実に焼入が施されることになる。
【0039】
有底筒状ワークWの内周面W2の焼入が終了したならば、図2に示すように、閉塞部材211を下降させて、開口部W1を開放して有底筒状ワークWの内側空間W3の冷却液Lを抜く。これと同時に、加熱コイル100も下降させて、次の有底筒状ワークWの内周面W2の焼入に備える。
【0040】
次に、図3を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置を説明する。なお、この第2の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が第1の実施の形態に係るものと相違する点は、前記冷却機構200の開閉手段230のみであるので、相違する開閉手段230のみを説明し、その他の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
この第2の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置における開閉手段230は、伸縮性、耐熱性及び気密性を有する素材からなる袋体231と、この袋体231に気体を供給する図外のポンプ(膨張手段に該当する)と、このポンプ前記袋体231とを連結するパイプ233と、袋体231の上面部に備えつけられる板材232とを有している。
【0042】
前記板材232は、有底筒状ワークWの開口部W1の内径より小さい外径を有しており、その中心に給電導体120、供給パイプ222及びオーバーフロー管223を貫通させる貫通孔 (図示省略) が開設されている。この板剤232は、膨らんだ袋体231が有底筒状ワークWの内側空間W3に侵入することを防止する役目を有している。
【0043】
また、袋体231は、前記板材232の貫通孔と同様に、その中心に給電導体120、供給パイプ222及びオーバーフロー管223を貫通させる貫通孔 (図示省略) が開設されている。この袋体231は、気体が入っていない状態、すなわち萎んだ状態(図3に破線で示した状態)では、前記開口部W1の内径より小さくなり、気体が入った状態(図3に実線で示した状態)、すなわち膨らんだ状態では、板材232と開口部W1との間の隙間に入り込んで、開口部W1の内周面に密着するようになっている。
【0044】
加熱コイル100で有底筒状ワークWの内周面W2を加熱しつつ冷却液Lを噴射している状態では、有底筒状ワークWは、開口部W1が袋体231で閉塞されているとともにバルブ224もある程度閉じているので、その内側空間W3には冷却液Lが順次溜まることになる。
【0045】
有底筒状ワークWの内周面の加熱が終了しても冷却液Lの供給は継続させる。これにより、冷却液Lは、有底筒状ワークWの内側空間W3に充満する。なお、バルブ224が僅かに開いているので、内側空間W3の内圧が高くなり、冷却液Lの供給が停止されるということはない。
【0046】
最後に加熱された内周面W2、すなわち最も奥側の内周面W2は、有底筒状ワークWの内側空間W3に充満した冷却液Lによって冷却される。従って、最後に加熱された内周面W2に確実に焼入が施されることになる。
【0047】
有底筒状ワークWの内周面W2の焼入が終了したならば、図3に破線で示すように、袋体231を萎ませて、板材232及び袋体231と開口部W1との間に隙間を形成して、開口部W1を開放して有底筒状ワークWの内側空間W3の冷却液Lを抜く。また、加熱コイル100の下降と同時に、袋体231も下降させて、次の有底筒状ワークWの内周面W2の焼入に備える。
【0048】
次に、図4〜図6を参照しつつ本発明の第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置について説明する。なお、この第3の実施の形態の説明で、上述した第1及び第2の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置と略同一の部分には同一の符号を付するとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0049】
この有底筒状ワークの焼入装置は、有底筒状ワークWの開口部W1から挿入されて、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する加熱コイル100と、この加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる移動機構 (図示省略) と、前記加熱コイル100で加熱された内周面W2を冷却する冷却液Lを供給する冷却機構200とを有する有底筒状ワークの焼入装置であって、前記冷却機構200は、有底筒状ワークWの開口部W1を開閉する開閉手段210と、この開閉手段210で閉塞された有底筒状ワークWの内側空間W3に冷却液Lを供給する供給手段220とを備えており、前記開閉手段210は、有底筒状ワークWの開口部W1を閉塞する閉塞部材211を有しており、前記閉塞部材211と加熱コイル100との間の寸法は、加熱コイル100が加熱すべき最も奥の位置にある場合に有底筒状ワークWの開口部W1を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材211は、加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる移動機構 (図示省略) によって移動させられるように構成されている。
【0050】
この第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置では、開閉手段210の開閉部材211の移動を、第1の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置のように独立したものではなく、加熱コイル100を移動させる移動機構で行うようにしている。そして、この開閉部材211と加熱コイル100との間の間隔は常に一定であり、加熱コイル100が有底筒状ワークWの内周面W2の最後の部分、すなわち奥側に近い部分に対向すると、開口部W1を閉塞するような間隔に設定されている。
【0051】
また、この有底筒状ワークの焼入装置では、第1の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置のバルブ224に相当するものが存在しない。すなわち、この有底筒状ワークの焼入装置における供給手段220を構成するオーバーフロー管223は、その先端が加熱コイル100と同じ高さ位置まで延びているため、有底筒状ワークWの内側空間W3全体に冷却液Lが溜まるまでオーバーフローすることがないためである。
【0052】
次に、上述した第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置による有底筒状ワークWの焼入作業について説明する。
まず、有底筒状ワークWを載置台300に載置する。この際、有底筒状ワークWの開口部W1と、載置台300の開口310とは一致させておく。
【0053】
この状態で、開口310を介して加熱コイル100を有底筒状ワークWの内側空間W3へと挿入する。そして、加熱コイル100に電流を供給して、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する。
【0054】
また、この時点では、図4に示すように、開閉部材211は有底筒状ワークWの開口部W1には達していないため、開口部W1は開放された状態にある。この状態で、冷却液噴射ジャケット221からは加熱コイル100によって加熱された有底筒状ワークWの内周面W2に向かって冷却液Lを噴射する。
【0055】
さらに、図5に示すように、加熱コイル100を上昇させて、すなわち加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させて、有底筒状ワークWの内周面W2の加熱を行う。この加熱と同時に冷却液噴射ジャケット221からは冷却液Lを内周面W2、すなわち加熱された部分に向かって噴射する。これによって、有底筒状ワークWの内周面W2には、焼入が下側から順次施されることになる。
【0056】
最後に加熱されるべき内周面W2、すなわち最も奥側の内周面W2に加熱コイル100が達すると、図6に示すように、開口部W1は開閉部材211によって閉塞される。このため、有底筒状ワークWの内側空間W3には、冷却液Lが充満されることになる。従って、最後に加熱された内周面W2に確実に焼入が施されることになる。なお、開閉部材211によって内側空間W3が閉塞されていても、オーバーフロー管223が外部と連通しているため、内側空間W3の内圧が高くなり、冷却液Lの供給が停止されるということはない。また、内側空間W3の容積以上の冷却液Lが供給された場合にはオーバーフロー管223から外部に排出される。
【0057】
有底筒状ワークWの内周面W2の焼入が終了したならば、加熱コイル100とともに閉塞部材211を下降させて、開口部W1を開放して有底筒状ワークWの内側空間W3の冷却液Lを抜く。これにより、次の有底筒状ワークWの内周面W2の焼入に備える。
【0058】
次に、図7〜図9を参照しつつ本発明の第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置について説明する。なお、この第4の実施の形態の説明で、上述した第1、第2及び第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置と略同一の部分には同一の符号を付するとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0059】
本発明の第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置は、有底筒状ワークWの開口部W1から挿入されて、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する加熱コイル100と、この加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる移動機構 (図示省略) と、前記加熱コイル100で加熱された内周面W2を冷却する冷却液Lを供給する冷却機構200とを有する有底筒状ワークの焼入装置であって、前記冷却機構200は、有底筒状ワークWの開口部W1を開閉する開閉手段210と、この開閉手段210で閉塞された有底筒状ワークWの内側空間W3に冷却液Lを供給する供給手段220とを備えており、前記開閉手段は、有底筒状ワークWの開口部W1を閉塞するシャッタ部材212と、このシャッタ部材212を開口部W1を閉塞する位置と開放する位置との間で移動させる移動部 (図示省略) とを有している。
【0060】
前記シャッタ部材212は、一対の半円形状の板材から構成されている。このシャッタ部材212は、開口部W1を閉塞するように載置台300に設けられた開口310の外側から内側に向かって前記移動部によって移動させられる。すなわち、このシャッタ部材212は、図7に示す矢印A方向に往復移動するのである。
【0061】
開口部W1及び開口310の中心部には、給電導体120や供給パイプ222が通っているので、シャッタ部材212には開口部W1を閉塞した場合に給電導体120等と干渉しないように半円状の凹部212Aが設けられている。この凹部212Aは、シャッタ部材212が開口部W1を閉塞しても給電導体120等との間に若干の隙間があるように設定されている。
【0062】
また、この有底筒状ワークの焼入装置におけるオーバーフロー管223は、開口部W1と同じ高さ位置に開口しているとともに、バルブ224が設けられている。
【0063】
次に、上述した第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置による有底筒状ワークWの焼入作業について説明する。
まず、有底筒状ワークWを載置台300に載置する。この際、有底筒状ワークWの開口部W1と、載置台300の開口310とは一致させておく。
【0064】
この状態で、図7に示すように、開口310を介して加熱コイル100を有底筒状ワークWの内側空間W3へと挿入する。
【0065】
次に、図8に示すように、シャッタ部材212を移動させて開口部W1を閉塞する。そして、加熱コイル100に電流を供給して、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する。この状態で、冷却液噴射ジャケット221からは加熱コイル100によって加熱された有底筒状ワークWの内周面W2に向かって冷却液Lを噴射する。なお、この状態ではバルブ224は開放状態にあり、オーバーフロー管223を介して冷却液Lは外部に排出される。
【0066】
さらに、図9に示すように、加熱コイル100を上昇させて、すなわち加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させて、有底筒状ワークWの内周面W2の加熱を行う。この加熱と同時に冷却液噴射ジャケット221からは冷却液Lを内周面W2、すなわち加熱された部分に向かって噴射する。これによって、有底筒状ワークWの内周面W2には、焼入が下側から順次施されることになる。
【0067】
最後に加熱されるべき内周面W2、すなわち最も奥側の内周面W2に加熱コイル100が達すると、図9に示すように、バルブ224を閉じる。このため、有底筒状ワークWの内側空間W3には、冷却液Lが充満されることになる。従って、最後に加熱された内周面W2に確実に焼入が施されることになる。なお、シャッタ部材212によって内側空間W3が閉塞されていても、シャッタ部材212の凹部212Aと給電導体120等との間には隙間があるので、内側空間W3の内圧が高くなり、冷却液Lの供給が停止されるということはない。
【0068】
有底筒状ワークWの内周面W2の焼入が終了したならば、加熱コイル100を下降させるとともに、シャッタ部材212を外側に移動させて開口部W1を開放して、有底筒状ワークWの内側空間W3の冷却液Lを抜く。これにより、次の有底筒状ワークWの内周面W2の焼入に備える。
【0069】
次に、図10〜図12を参照しつつ本発明の第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置について説明する。なお、この第5の実施の形態の説明で、上述した第1、第2、第3及び第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置と略同一の部分には同一の符号を付するとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0070】
本発明の第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置は、有底筒状ワークWの開口部W1から挿入されて、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する加熱コイル100と、この加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる移動機構 (図示省略) と、前記加熱コイル100で加熱された内周面W2を冷却する冷却液Lを供給する冷却機構200とを有する有底筒状ワークの焼入装置であって、前記冷却機構200は、有底筒状ワークWの開口部W1を開閉する開閉手段210と、この開閉手段210で閉塞された有底筒状ワークWの内側空間W3に冷却液Lを供給する供給手段220とを備えており、前記開閉手段210は、有底筒状ワークWの開口部W1を閉塞する閉塞部材215を有しており、前記閉塞部材215と加熱コイル100との間の寸法は、加熱コイル100が加熱を開始すべき位置にある場合に有底筒状ワークWの開口部W1を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材215は、加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる移動機構に移動させられるように構成されている。
【0071】
この第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置では、加熱コイル100の移動につれて、閉塞部材215で閉塞された有底筒状ワークWの内側空間W3の容積が変動する。従って、加熱コイル100が上昇している場合には、前記容積は減少する。また、この有底筒状ワークの焼入装置における閉塞部材215には1又は2以上の排水流量調整弁225が設けられている。なお、前記閉塞部材215の周囲にはパッキン215Aが設けられている。
【0072】
次に、上述した第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置による有底筒状ワークWの焼入作業について説明する。
まず、有底筒状ワークWを載置台300に載置する。この際、有底筒状ワークWの開口部W1と、載置台300の開口310とは一致させておく。
【0073】
この状態で、図10に示すように、開口310を介して加熱コイル100を有底筒状ワークWの内側空間W3へと挿入する。
【0074】
すると、図11に示すように、閉塞部材215が開口部W1内に入り込み、開口部W1を閉塞する。この状態で、加熱コイル100に電流を供給して、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する。この状態で、冷却液噴射ジャケット221からは加熱コイル100によって加熱された有底筒状ワークWの内周面W2に向かって冷却液Lを噴射する。なお、この状態では排水流量調整弁225は開放状態にあり、冷却液Lはすべて外部に排出される。
【0075】
さらに、図12に示すように、加熱コイル100を上昇させて、すなわち加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させて、有底筒状ワークWの内周面W2の加熱を行う。この加熱と同時に冷却液噴射ジャケット221からは冷却液Lを内周面W2、すなわち加熱された部分に向かって噴射する。これによって、有底筒状ワークWの内周面W2には、焼入が下側から順次施されることになる。
【0076】
最後に加熱されるべき内周面W2、すなわち最も奥側の内周面W2に加熱コイル100が達すると、図12に示すように、排水流量調整弁225を僅かに開けた状態にする。このため、有底筒状ワークWの内側空間W3には、冷却液Lが充満されることになる。従って、最後に加熱された内周面W2に確実に焼入が施されることになる。なお、排水流量調整弁225は僅かに開いているので、内側空間W3の内圧が高くなり、冷却液Lの供給が停止されるということはない。
【0077】
有底筒状ワークWの内周面W2の焼入が終了したならば、排水流量調整弁225を開放して冷却液Lを外部に排出し、加熱コイル100を下降させるとともに、閉塞部材215をも下降させる。これにより、次の有底筒状ワークWの内周面W2の焼入に備える。
【0078】
なお、本発明に係る有底筒状ワークの焼入装置における開閉手段は、上述した5種類のものに限定されることはない。この開閉手段は、有底筒状ワークWの開口部W1を開閉させることができ、開口部W1を閉塞した場合に内側空間W3に冷却液Lを溜めることができるものであればよく、上述した5種類のものの他にカメラの絞り機構のように、複数枚の羽根を組み合わせてその外径を自由に変更することができるようにしたものや、雨傘のように萎んだり広がったりするようになったものであってもよい。
【0079】
上述した第1〜第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置は、有底筒状ワークWの開口部W1を開閉手段210等によって完全に閉塞してから有底筒状ワークWの内部空間W3に冷却液Lを供給しているが、次のように開口部W1を完全に閉塞することなく冷却液Lが内部空間W3に所定時間留まっていられるように構成したものであってもよい。
【0080】
この第6の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置は、図13に示すように、有底筒状ワークWの開口部W1から挿入されて、有底筒状ワークWの内周面W2を加熱する加熱コイル100と、この加熱コイル100と有底筒状ワークWとを相対的に移動させる図外の移動機構と、前記加熱コイル100で加熱された内周面W2を冷却する冷却液Lを供給する冷却機構200とを有する有底筒状ワークの焼入装置であって、前記冷却機構200は、有底筒状ワークWの開口部W1に向かって流体としての空気Aを噴射する噴射手段と、前記有底筒状ワークWの内部空間W3に冷却液Lを供給する供給手段220とを備えており、前記空気Aは供給手段220から供給された冷却液Lを有底筒状ワークWの内部空間W3に留めておくことができるものである。
【0081】
この有底筒状ワークの焼入装置が、上述した有底筒状ワークの焼入装置と相違する点は、開閉手段210等の代わりに噴射手段がある点であり、その他の点は大略同一である。この噴射手段は、有底筒状ワークWの開口部W1を機械的に閉塞するものではなく、内部空間W3に供給される冷却液Lが内部空間W3に所定時間留めておくことができるようなものである。
【0082】
例えば、この噴射手段としては、開口310の内側面にスリット320が開設された載置台300と、このスリット320に対して高圧の空気を供給する図外のポンプとを有するものが考えられる。前記スリット320は、図13に示すように、有底筒状ワークWの内部空間W3に向かうように形成されている。
【0083】
このスリット320から高圧の空気Aを噴射させるとともに、冷却液Lを内部区間W3に供給すると、高圧の空気Aにより一種のエアシャッターが形成され、内部空間W3に供給された冷却液Lは内部空間W3の内部に短い時間であるが留まるようになる。例えば、内部空間W3の容積が200ccであった場合、冷却液Lは20リットル/分供給されるため、内部空間W3は0.6秒で冷却液Lに満たされることになる。従って、0.6秒だけ冷却液Lを内部空間W3に留めておくことができれば、順次供給される冷却液Lによって内部空間W3は常に冷却液Lで満たされていることになる。
【0084】
また、噴射されるものは、必ずしも高圧の空気Aでなければならないことはなく、流体であれば水や冷却液L等の液体であってもよい。これは、焼き入れ条件等によって適宜選択することが可能である。
【0085】
また、載置台300にスリット320を設けて噴射手段としたが、載置台300とは別の噴射手段を設けてもよい。
【0086】
【発明の効果】
本発明に係る有底筒状ワークの移動焼入装置は、有底筒状ワークの穴部の内周面を加熱するための加熱コイルと、加熱後の有底筒状ワークの穴部の内周面を冷却液の噴射により冷却するための冷却液噴射ジャケットと、有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するために、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを当該有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させる移動機構と、有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を留めるために、有底筒状ワークの穴部の開口部を開閉可能に塞ぐ開閉手段とを具備する
【0087】
この有底筒状ワークの移動焼入装置によると、前記開閉手段が、有底筒状ワークの穴部の開口部を塞ぎ、当該有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液が溜まるようになっているので、従来の有底筒状ワークの焼入装置では焼入できなかった部分、すなわち冷却液が噴射されない奥側の内周面も冷却液で冷却することができる。従って、すべての内周面に確実に焼入を施すことができる。
【0088】
また、前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する閉塞部材と、この閉塞部材を開口部を閉塞する位置と開放する位置との間で移動させる移動部とを有している。開閉手段をこのように構成すると、閉塞部材の僅かな移動で有底筒状ワークの開口部を閉塞、開放することができるので、内側空間に確実に冷却液を貯溜したり、排除したりすることができる。
【0089】
また、前記開閉手段を、有底筒状ワークの開口部を閉塞する袋体と、この袋体を脹らませる膨張手段とを有し、前記袋体は膨らむと開口部を閉塞し、萎むと開口部を開放するように構成すれば、開口部の形状が多少歪んでいても確実に閉塞することが可能である。
【0090】
また、前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する閉塞部材を有しており、この閉塞部材と加熱コイルとの間の寸法は、加熱コイルが有底筒状ワークの穴部の加熱すべき最も奥の位置にあるときに、当該有底筒状ワークの穴部の開口部を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材は、前記移動機構によって移動させられるように構成すれば、閉塞部材のみを移動させる前記移動部に相当するものが不要になるので、小型化、コストダウンを図ることができる。
【0091】
また、前記開閉手段を、有底筒状ワークの開口部を閉塞するシャッタ部材と、このシャッタ部材を開口部を閉塞する位置と開放する位置との間で移動させる移動部とを有するものとすれば、移動部を有底筒状ワークの横方向に設置することができるので、有底筒状ワークの軸心方向にスペースの余裕がない場合に好適である。
【0092】
さらに、前記開閉手段を、有底筒状ワークの穴部の開口部を閉塞する閉塞部材を有しており、前記閉塞部材と加熱コイルとの間の寸法は、加熱コイルが有底筒状ワークの穴部の加熱を開始すべき位置にあるときに、当該有底筒状ワークの穴部の開口部を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材は、前記移動機構に移動させられるように構成すれば、最後に加熱された部分を冷却している時には、初めに加熱された部分には冷却液がかかっていないので、最初に加熱した部分の過冷却を防止することができる。
【0093】
また、本発明に係る有底筒状ワークの別の移動焼入装置は、有底筒状ワークの穴部の内周面を加熱するための加熱コイルと、加熱後の有底筒状ワークの穴部の内周面を冷却液の噴射により冷却するための冷却液噴射ジャケットと、有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するために、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを当該有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させる移動機構と、有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を留めるために、有底筒状ワークの穴部の開口部に向かって流体を噴射する噴射手段とを具備する。
【0094】
このため、噴射手段から噴射される流体により有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を留めておくことができるので、上述したような開口部を閉塞する開閉手段が不要となる。開閉手段は、ある程度水密に構成することが重要であり、その点に困難性を伴うことが多いが、噴射手段であれば、噴射される流体の圧力等を適宜調整することによって同等の効果がえられる。従って、この方が機構も簡単になるとともに確実な冷却が可能となる。
【0095】
一方、本発明に係る有底筒状ワークの移動焼入方法は、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを移動機構により有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させることにより、当該有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するに当たり、当該穴部の開口部を閉塞部材によって閉塞し、当該穴部内の空間に前記冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を溜めるようになっている。
【0096】
このため、冷却液が有底筒状ワークの内側空間に溜まるので、従来の有底筒状ワークの焼入装置では焼入できなかった部分、すなわち冷却液が噴射されない奥側の内周面も冷却液で冷却することができる。従って、すべての内周面に確実に焼入を施すことができる。
【0097】
また、本発明に係る有底筒状ワークの別の移動焼入方法は、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを移動機構により有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させることにより、当該有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するに当たり、噴射手段により当該穴部の開口部に向けて流体を噴射させ、当該穴部内の空間に前記冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を溜めるようになっているので、従来の有底筒状ワークの焼入装置では焼入できなかった部分、すなわち冷却液が噴射されない奥側の内周面も冷却液で冷却することができる。従って、すべての内周面に確実に焼入を施すことができる。また、この流体の噴射により冷却液を内部空間に留めておくほうが、装置全体の構成を簡単にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置の概略的構成図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を開放した状態の概略的構成図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置が有底筒状ワークの開口部を閉塞した状態の概略的構成図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る有底筒状ワークの焼入装置の概略的構成図である。
【符号の説明】
100 加熱コイル
200 冷却機構
210 開閉手段
220 供給手段
W 有底筒状ワーク
W1 (有底筒状ワークの)開口部
W2 (有底筒状ワークの)内周面
L 冷却液

Claims (10)

  1. 有底筒状ワークの穴部の内周面を加熱するための加熱コイルと、加熱後の有底筒状ワークの穴部の内周面を冷却液の噴射により冷却するための冷却液噴射ジャケットと、有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するために、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを当該有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させる移動機構と、有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を留めるために、有底筒状ワークの穴部の開口部を開閉可能に塞ぐ開閉手段とを具備することを特徴とする有底筒状ワークの移動焼入装置。
  2. 前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する閉塞部材と、この閉塞部材を開口部を閉塞する位置と開放する位置との間で移動させる移動部とを具備したことを特徴とする請求項1記載の有底筒状ワークの移動焼入装置。
  3. 前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する袋体と、この袋体を脹らませる膨張手段とを具備しており、前記袋体は膨らむと開口部を閉塞し、萎むと開口部を開放することを特徴とする請求項1記載の有底筒状ワークの移動焼入装置。
  4. 前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞する閉塞部材を有しており、この閉塞部材と加熱コイルとの間の寸法は、加熱コイルが有底筒状ワークの穴部の加熱すべき最も奥の位置にあるときに、当該有底筒状ワークの穴部の開口部を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材は、前記移動機構によって移動させられることを特徴とする請求項1記載の有底筒状ワークの移動焼入装置。
  5. 前記開閉手段は、有底筒状ワークの開口部を閉塞するシャッタ部材と、このシャッタ部材を開口部を閉塞する位置と開放する位置との間で移動させる移動部とを具備したことを特徴とする請求項1記載の有底筒状ワークの移動焼入装置。
  6. 前記開閉手段は、有底筒状ワークの穴部の開口部を閉塞する閉塞部材を有しており、前記閉塞部材と加熱コイルとの間の寸法は、加熱コイルが有底筒状ワークの穴部の加熱を開始すべき位置にあるときに、当該有底筒状ワークの穴部の開口部を閉塞するように設定されており、前記閉塞部材は、前記移動機構に移動させられることを特徴とする請求項1記載の有底筒状ワークの移動焼入装置。
  7. 有底筒状ワークの穴部の内周面を加熱するための加熱コイルと、加熱後の有底筒状ワークの穴部の内周面を冷却液の噴射により冷却するための冷却液噴射ジャケットと、有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するために、前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを当該有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させる移動機構と、有底筒状ワークの穴部内の空間に冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を留めるために、有底筒状ワークの穴部の開口部に向かって流体を噴射する噴射手段とを具備することを特徴とする有底筒状ワークの移動焼入装置。
  8. 前記噴射手段は有底筒状ワークを載置する載置台に設けられていることを特徴とする請求項7記載の有底筒状ワークの移動焼入装置。
  9. 前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを移動機構により有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させることにより、当該有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するに当たり、当該穴部の開口部を閉塞部材によって閉塞し、当該穴部内の空間に前記冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を溜めるようにしたことを特徴とする有底筒状ワークの移動焼入方法。
  10. 前後に連結された加熱コイル及び冷却液噴射ジャケットを移動機構により有底筒状ワークの穴部の開口部から挿入し、その奥側方向に相対的に移動させることにより、当該有底筒状ワークの穴部の内周面を移動焼入するに当たり、噴射手段により当該穴部の開口部に向けて流体を噴射させ、当該穴部内の空間に前記冷却液噴射ジャケットから噴射された冷却液を溜めるようにしたことを特徴とする有底筒状ワークの移動焼入方法。
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