以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態では、画像形成装置内に設けられた少なくとも2つの電極間の静電容量を検出する静電容量検出部と、画像形成装置の状態を検知する装置状態検知部とを備え、静電容量と装置状態検知部の出力情報とに基づき画像形成装置の異常を検知する。そして異常が検知されない場合の上記の静電容量に基づき、トナー堆積量を検出する。これにより、静電容量の検出値がトナー堆積量によるものか、又は静電容量検出部の異常によるものかを見分け、異常が検知されない場合の静電容量を用いることで、画像形成装置内のトナー堆積量を適切に検出する。
ここで、画像形成装置の状態は、例えば、カバー部の開閉状態、又は画像形成装置に着脱可能に設けられるプロセスカートリッジ等の部材の着脱状態の少なくとも何れか一方である。
以下、タンデム方式といわれる二次転写機構を備える電子写真方式の画像形成装置を一例として、実施形態を説明する。
この画像形成装置は、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ機能等を一つの筐体に搭載したMFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)である。また記録媒体には、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、オーバーヘッドプロジェクターシート(OHPシート)、カード、ハガキ等の厚紙又は封筒等が挙げられるが、ここでは用紙Pを記録媒体の一例として説明する。
<画像形成装置100の構成例>
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の構成の一例を示す図であり、実施形態に係る画像形成装置100の要部を示す断面図である。図1に示すように画像形成装置100は、中央に中間転写ユニットを備え、中間転写ユニットは、無端ベルトである中間転写ベルト10を備えている。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14~16に掛け廻され、時計廻りに回動駆動される。
また、画像形成装置100は、3つの支持ローラ14~16のうちの第2の支持ローラ15の左方に、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニングユニット17を備える。
第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に配置された中間転写ベルト10に対向するようにして、イエロー(Y)の作像部、マゼンタ(M)の作像部、シアン(C)の作像部、及びブラック(K)の作像部から構成される作像部20が設けられ、各色の作像部が中間転写ベルト10の移動方向に沿って配置されている。
なお、各色の作像部は、使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成となっている。そのため、説明及び図面では、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略して説明する。
作像部20は、各色の感光体ドラム40と、帯電ローラ18と、現像ユニットと、クリーニングユニットとを備え、画像形成装置100に対して着脱可能に装着されている。
画像形成装置100には、画像形成装置100の内部を保護するため、前方(紙面の手前側)に傾けて開閉可能なカバー部が設けられている。画像形成装置100のユーザやメンテナンスを行うサービスマンは、カバー部を開けて画像形成装置100の内部にアクセスし、作像部20を画像形成装置100内の所定箇所に着脱することができる。
この作像部20は、例えば、感光体ドラム40の寿命に応じて交換可能プロセスカートリッジドラムユニット(以下、PCDUという)である。
また、画像形成装置100は、作像部20の上方には、光ビーム走査部21を備える。光ビーム走査部21は、各色の感光体ドラム40に、画像形成のための光ビーム(レーザ光)を照射することで、各色の感光体ドラム40に画像データに応じた静電潜像を形成することができる。
各色の感光体ドラム40の静電潜像は現像ユニットにより現像され、現像された各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に重ね合わせされて一次転写される。これにより、中間転写ベルト10上にカラーのトナー像が形成される。トナー像は、像担持体の一例としての中間転写ベルト10に担持され、中間転写ベルト10の移動方向に沿って移動される。なお、作像部20の構成は、別途、図2を参照して詳述する。
また、画像形成装置100は、中間転写ベルト10の下方に2次転写ユニット22を備えている。2次転写ユニット22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を架け渡し、中間転写ベルト10を押し上げて第3の支持ローラ16に押当てるようにして配置されている。2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10上に形成されたトナー像を、用紙P上に二次転写させることができる。
さらに、画像形成装置100は、2次転写装置22の側方に、定着ユニット25を備えている。定着ユニット25は、トナー像が二次転写された状態で搬送されてきた用紙P上のトナー像を、用紙Pに定着させる。定着ユニット25は、無端ベルトである定着ベルト26と、加熱ローラと、加圧ローラ27とを備え、定着ベルト26及び加圧ローラ27による熱と圧力とにより、用紙Pの表面に転写されたトナー像を用紙Pに定着させることができる。
また、画像形成装置100は、2次転写ユニット22、及び定着ユニット25の下方に、表面に画像形成された直後の用紙Pの裏面にも画像形成するために、用紙Pの表裏を反転させて送り出すシート反転ユニット28を備えている。
次に、画像形成装置100において、用紙P上に画像が形成される一連の流れを説明する。
画像形成装置100は、操作部(図示を省略)における「コピー」のスタートボタンが押されると、原稿自動搬送部であるADF(Auto Document Feeder)400の原稿給紙台30上に原稿が載置されている場合には、ADF400に、原稿をコンタクトガラス32上に向けて搬送させる。一方、原稿給紙台30上に原稿が載置されていない場合には、コンタクトガラス32上に手置きされた原稿を読むために、第1キャリッジ33、及び第2キャリッジ34を備える画像読み取りユニット300を駆動させる。
画像読み取りユニット300において、第1キャリッジ33に含まれる光源は、コンタクトガラス32に光を照射する。原稿面からの反射光は、第1キャリッジ33に含まれる第1ミラーにより第2キャリッジ34に向けて反射され、第2キャリッジ34に含まれるミラーで反射される。そして、原稿面からの反射光は、結像レンズ35により読取りセンサであるCCD(Charge Coupled Device)36の撮像面上で結像させられる。CCD36は原稿面の像を撮像し、CCD36により撮像された画像信号に基づいてY、M、C、BKの各色の画像データが生成される。
また、画像形成装置100は、「プリント」のスタートボタンが押された時や、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像形成の指示があった時、FAX(Facsimile)の出力指示があった時には、中間転写ベルト10の回動駆動を開始させるとともに、作像部20の各ユニットの作像準備を行う。
その後、画像形成装置100は、各色の作像プロセスを開始する。各色用の感光体ドラム40に各色の画像データに基づいて変調されたレーザが照射され、静電潜像が形成される。そして、静電潜像が現像された各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に、一枚の画像として重ね合わされて形成される。
その後、中間転写ベルト10上のトナー画像の先端が2次転写ユニット22に進入するタイミングで、用紙Pの先端が2次転写ユニット22に進入するように、タイミングをはかって用紙Pが2次転写ユニット22に送り込まれる。そして、2次転写ユニット22により、中間転写ベルト10上のトナー像が用紙Pに二次転写される。トナー像が二次転写された用紙Pは、定着ユニット25に送り込まれ、トナー像が用紙Pに定着される。
ここで、二次転写位置までの用紙Pの給紙について説明する。用紙Pは、給紙テーブル200の給紙ローラ42のうちの1つが回転駆動することで、給紙ユニット43に多段に備えられた給紙トレイ44のうちの1つから繰り出される。その後、分離ローラ45で1枚だけ分離され、搬送コロユニット46に進入し、搬送ローラ47により搬送される。その後、画像形成装置100内の搬送コロユニット48に導かれ、搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てられて一時停止された後、上述したように、2次転写のタイミングに合わせて2次転写ユニット22に向けて送り出される。
また、ユーザが手差しトレイ51に用紙Pを差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51に用紙Pを差し込んだ場合には、画像形成装置100は、給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51上の用紙Pの一枚を分離して手差し給紙路53に引き込む。そして、上述したものと同様に、レジストローラ49に突き当てて一旦停止させてから、上述した2次転写のタイミングに合わせて2次転写ユニット22に送り出す。
定着ユニット25で定着されて排出された用紙Pは、切換爪55で排出ローラ56に案内され、排出ローラ56により排出されて、排紙トレイ57上にスタックされる。或いは、切換爪55でシート反転ユニット28に案内され、シート反転ユニット28により反転されて再び二次転写位置に導かれる。その後、用紙Pの裏面にも画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写体クリーニングユニット17で除去され、再度の画像形成に備えられる。
画像形成装置100は、このようにして、用紙Pにカラー画像を形成することができる。
<作像部20の構成例>
次に、画像形成装置100における作像部20の構成について、図2を用いて説明する。
図2は、作像部20の構成の一例を示す図であり、各色の作像部のうちの1つの構成例を示している。上述したように、その他の3色の作像部は、使用するトナーの色が異なる点を除き、同様の構成であるため、図示と説明を省略し、1つの作像部のみを説明する。
作像部20は、感光体ドラム40と、帯電ローラ18と、現像器29と、クリーニングブレード13と、除電器19と、一次転写ローラ62とを備える。帯電ローラ18には帯電用高圧電源181が電気的に接続され、一次転写ローラ62には転写用高圧電源621が電気的に接続されている。
像担持体の一例としての感光体ドラム40は、負帯電性の有機感光体であり、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。感光体ドラム40は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、保護層、すなわち表面層が順次積層されている。感光体ドラム40の導電性支持体には、体積抵抗が1010Ωcm以下の導電性材料等を用いることができる。
帯電ローラ18は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材である。帯電用高圧電源181から所定の電圧が印加され、帯電ローラ18に対向する感光体ドラム40の表面を一様に帯電する。帯電ローラ18の汚れを除去するクリーニングローラを、帯電ローラ18に接触させて設けた構成としてもよい。
帯電ローラ18と感光体ドラム40との間には微小な空隙が設けられ、帯電ローラ18は感光体ドラム40に対し非接触な状態で配置されている。このような状態で感光体ドラム40を帯電させる帯電方式は、非接触帯電方式と称される。
非接触帯電方式は、帯電ローラ18と感光体ドラム40を接触させて帯電させる接触帯電方式に比べ、感光体ドラム40上に残留するトナーや潤滑剤などの異物が帯電ローラ18に付着し難いため、異物の付着による帯電ムラを抑えることができる。但し、実施形態は、非接触帯電方式に限定されるものではなく、接触帯電方式に適用しても良い。帯電用高圧電源181は、帯電ローラ18に帯電バイアスを印加する。
現像器29は、感光体ドラム40に対向する現像ローラ29aを有している。現像ローラ29aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブとを備える。マグネットによって現像ローラ29a上に複数の磁極が形成されて、現像ローラ29a上に現像剤が担持される。
クリーニングブレード13は、感光体ドラム40表面に付着する未転写トナー等の付着物を機械的に掻き取る。クリーニングブレード13は、ウレタンゴム等のゴム材料からなり略板状に形成されたブレード状部材であり、感光体ドラム40表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。
除電器19は、トナー像が転写された後に、感光体ドラム40表面の電荷を除去する。
帯電ローラ18で一様に帯電された感光体ドラム40は、画像データに応じて光ビーム走査部21による光ビームで露光される。感光体ドラム40表面には静電潜像が形成される。現像器29は、感光体ドラム40表面に形成された静電潜像に、トナーを付着させる。これにより感光体ドラム40表面にトナー像が現像される。
転写用高圧電源621で生成された電圧が一次転写ローラ62に印加されることで、感光体ドラム40表面のトナー像は、中間転写ベルト10に転写される。中間転写ベルト10のトナー像は、二次転写ユニット22で用紙Pに転写され、定着ユニット25で用紙Pに定着される。感光体ドラム表面の残トナー等は、クリーニングブレード13で除去される。また、感光体ドラム40表面の電荷は、除電器19により除去される。
<画像形成装置100のハードウェア構成例>
次に、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。図3は、画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置100は、コントローラ910と、近距離通信回路920と、エンジン制御部930と、操作パネル940と、ネットワークI/F950と、制御基板960とを備える。
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901と、システムメモリ(MEM-P)902と、ノースブリッジ(NB)903と、サウスブリッジ(SB)904と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906と、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907と、HDDコントローラ908と、記憶部であるHD909とを備える。また、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
これらのうち、CPU(Central Processing Unit)901は、画像形成装置100の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを備える。
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM(Read Only Memory)902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM(Random Access Memory)902bとからなる。
なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDD908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。
なお、ASIC906には、USBのインタフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインタフェースを接続するようにしても良い。
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。
AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。なお、図2で説明した作像部20は、このプリンタ部932に含まれている。
操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940bを備えている。
コントローラ910は、画像形成装置100全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
なお、画像形成装置100は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。
ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
また、ネットワークI/F950は、ネットワークを利用してデータ通信をするためのインタフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
制御基板960は、静電容量検出基板970を介して櫛歯状電極980に電気的に接続され、また透過型フォトインタラプタ990にも電気的に接続されている。制御基板960は、静電容量検出基板970に含まれる静電容量検出回路971が出力する静電容量の検出値に基づき、画像形成装置100内に堆積されたトナーの堆積量を検出するための電気基板である。
また、制御基板960は、CPU961と、ROM962と、RAM963と、出力I/F964とを備えている。CPU961は、プロセッサであり、制御基板960の各部の動作及び処理を制御する。ROM962は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。RAM963は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU961が情報を処理する際の作業領域として用いられる。出力I/F964は、制御基板960における処理結果を出力するインタフェースである。
なお、CPU961が所定のプログラムを実行することで実現する機能を、ASICやFPGA(field programmable gate array)等で実現するように構成することもできる。
[第1実施形態]
<制御基板960の機能構成>
次に、画像形成装置100に含まれる制御基板960の機能構成について説明する。
ここで、電子写真方式の画像形成装置では、装置内でのトナーの飛散により装置内が汚染されたり、飛散したトナーが装置内に堆積し、堆積したトナーの塊が感光体等の像担持体に落下して、画像形成された用紙である印刷物に点状の汚れ(ポチ汚れ)等の画像不良が生じたりする場合がある。
図4は、画像形成装置100内でのトナーの堆積例を説明する図であり、画像形成装置100内に設置された感光体ドラム40と、現像ローラ29aと、現像ローラ29a等を支持する支持部材291とを示す断面図である。
飛散したトナーは画像形成装置100内の至る所に飛散して堆積するが、支持部材291における感光体ドラム40と対向する部分である領域Dに堆積してある程度の塊になると、重力により感光体ドラム40上に落下して印刷物にポチ汚れが発生する場合がある。
実施形態では、画像形成装置100内におけるこのようなトナーの堆積量を検出し、検出結果に基づきポチ汚れ等の画像不良が発生すると判断された場合には、画像形成装置100のメンテナンスを行うサービスマンに報知する等の対応を行う。
上述したように画像形成装置100の内部における領域D(図4参照)は、ポチ汚れに直接結びつくトナー堆積領域であるため、この領域Dにおけるトナー堆積量を検出すると好適である。
図5は、画像形成装置100に備えられた制御基板960の機能構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、制御基板960は、異常検知部965と、トナー堆積量検出部966と、出力部967とを備えている。
これらのうち、異常検知部965及びトナー堆積量検出部966の機能は、図3のCPU961が所定のプログラムを実行すること等により実現される。また出力部967の機能は、出力I/F964等により実現される。
異常検知部965は、画像形成装置100の内部で、画像形成装置100のカバー部に近接して設けられた透過型フォトインタラプタ990の出力電圧と、静電容量検出回路971が出力する静電容量の検出値とに基づき、静電容量検出回路971の異常を検知する機能を有する。異常検知部965は、異常の検知結果をトナー堆積量検出部966に出力する。
ここで、透過型フォトインタラプタ990は装置状態検知部の一例である。また、透過型フォトインタラプタ990の出力電圧は、画像形成装置100におけるカバー部の開閉状態を示す信号であり、装置状態検知部の出力情報の一例である。
静電容量検出回路971が出力する静電容量は、作像部20に対応するPCDU20aに設けられた櫛歯状電極980における電極間の静電容量である。この櫛歯状電極980は電極の一例であり、静電容量検出回路971は静電容量検出部の一例である。
トナー堆積量検出部966は、静電容量検出回路971から入力した静電容量の検出値に基づき、画像形成装置100の内部に堆積したトナー堆積量を検出する。また、トナー堆積量検出部966は、異常検知部965の検知結果に基づき、異常が検知されない場合の静電容量を用いて上記のトナー堆積量を検出できる。
出力部967は、トナー堆積量検出部966による検出結果を、コントローラ910のネットワークI/F950(図3参照)等を介して、画像形成装置100のメンテナンスを行うサービスマンに報知する。但し、出力部967の機能は、このような報知機能に限定されるものではない。画像形成装置100の操作パネル940に出力してパネル表示部940aに表示してもよいし、ネットワークI/F950を介してPC(Personal Computer)やサーバー等の外部装置に出力してもよい。また、HD909に出力してHD909に記憶させてもよい。
また、制御基板960の備える機能の一部又は全部を、コントローラ910が備えたり、PCやサーバー等の外部装置が備えたり、これらが処理を分散して機能を実現したりすることもできる。
以下に各部の詳細について説明する。
<櫛歯状電極980と透過型フォトインタラプタ990の構成、機能等の詳細>
次に、画像形成装置100の備える櫛歯状電極980と透過型フォトインタラプタ990の構成、機能及び画像形成装置100への配置等について説明する。
まず図6は、櫛歯状電極980の構成の一例を示す図である。図6に示すように、櫛歯状電極980は、帯状電極群980a及び980bを備える。帯状電極群980a及び980bのそれぞれは、所定の間隔で並設されて一端部が接続された複数の帯状の電極を備えている。帯状電極群980a及び980bは、互いに間挿し合うように対向配置されて、櫛歯状電極980を構成している。このような櫛歯状電極980は、絶縁基板をフォトリソグラフィ技術で加工すること等により製作することができる。
櫛歯状電極980の上にトナーが堆積すると、トナー堆積量に応じて電気抵抗が変化して、帯状電極群980aと帯状電極群980bとの間に蓄積された静電容量が変化する。そのため、帯状電極群980aと帯状電極群980bとの間の静電容量を静電容量検出基板970で検出することで、トナー堆積量を検出することができる。
次に図7は、トナー堆積量と静電容量との関係を例示する図であり、(a)は画像形成装置100による印刷枚数と領域Dでのトナー堆積量との関係を示す図、(b)は画像形成装置100による印刷枚数と櫛歯状電極上のトナー堆積量との関係を示す図、(c)は櫛歯状電極上のトナー堆積量と静電容量検出値との関係を示す図である。
図7(a)に示すように、画像形成装置100による印刷枚数が増えるにつれ、領域Dにおけるトナー堆積量は線形に変化する。また、画像形成装置100の内部における領域毎で、印刷枚数に伴うトナー堆積量の増加の傾向は異なるが、図7(b)に示すように、櫛歯状電極980が配置された領域でも、印刷枚数に応じて櫛歯状電極980上へのトナー堆積量は線形に変化する。そして図7(c)に示すように、櫛歯状電極980上へのトナー堆積量に応じて、櫛歯状電極980における電極間の静電容量の静電容量検出基板970による検出値が線形に変化する。
従って、領域Dと櫛歯状電極980の配置領域との間でのトナー堆積量の関係を予め把握しておくことで、静電容量検出基板970による静電容量検出値に基づき、領域Dでのトナー堆積量を検出することができる。
但し、櫛歯状電極980や、櫛歯状電極980と静電容量検出回路971を接続するハーネス、静電容量検出回路971に異常が生じたり、画像形成装置100のメンテナンス等で装置内の気流が変化して印刷枚数に伴うトナー堆積量の傾向が変化したりすると、静電容量に基づくトナー堆積量の検出を正確に行えなくなる場合がある。
図8は、このような画像形成装置100の異常と静電容量の検出値への影響の関係の一例を示す図である。図8の最も左側の列は、画像形成装置100の異常の内容を示し、その右側の3つの列は、静電容量検出値への影響を示している。
静電容量検出値への影響の3つの列のうちの最も左側の「A」は、静電容量の検出値がゼロ又は明らかな異常値である場合を示し、その右側の「B」は、静電容量の検出値がトナー堆積量としてあり得る範囲で増減している場合を示している。また、そのさらに右側の「C」は、静電容量の検出値が変化しなくなる場合(トナーの飛散や堆積が見かけ上で止まる場合)を示している。
これらのうち、「A」の場合には、画像形成装置100における「異常内容」列に示した事項に何らかの故障が生じていることが容易に判断できる。「B」の場合には、例えば横軸を印刷枚数、縦軸を静電容量としたグラフを微分し、急峻な変化量を検出すること等により、故障を判断可能である。
しかし、「C」の場合には、実際にトナーが堆積しなくなったのか、又は画像形成装置100に異常が生じたのかを判断できない場合がある。
そのため、実施形態では、透過型フォトインタラプタ990の出力電圧と、静電容量検出回路971の出力する静電容量の検出値とを用いて、実際にトナーが堆積しなくなったのか、又は装置に異常が生じたかのを判断する。
ここで、図9は、櫛歯状電極980と透過型フォトインタラプタ990の画像形成装置100への配置の一例を示す図である。
櫛歯状電極980は、領域Dにおけるトナー堆積量に対してトナー堆積量の相関がある領域に設置されている。櫛歯状電極980の静電容量の検出値に基づき、領域Dにおけるトナー堆積量が検出される。
また、透過型フォトインタラプタ990は、画像形成装置100のカバー部の開閉状態を検知可能な領域であって、櫛歯状電極980におけるトナー堆積量に対してトナー堆積量の相関がある領域に設置されている。
次に図10は、透過型フォトインタラプタ990を説明するであり、(a)は透過型フォトインタラプタ990の構成の一例を示す図、(b)はトナー堆積量と透過型フォトインタラプタ990の出力電圧との関係の一例を示す図である。
図10(a)に示すように、透過型フォトインタラプタ990は、発光素子991と、受光素子992とを備える光学センサである。
発光素子991は受光素子992に向けて光Lを照射する。また受光素子992は発光素子991からの光を受光して光強度に応じた電気信号を出力する。
ここで、発光素子991と受光素子992との間に、画像形成装置100のカバー部が介在すると、光Lはカバー部に遮られて受光素子992に到達しなくなり、受光素子992は、光Lを受光しない状態での電圧を出力する。この出力電圧に基づき、カバー部が閉じた状態が検知される。
一方、発光素子991と受光素子992との間に、画像形成装置100のカバー部が介在しないと、光Lはカバー部に遮られることなく受光素子992に到達し、受光素子992は、受光した光Lの光強度に応じた電圧を出力する。この出力電圧に基づき、カバー部が開いた状態が検知される。
このようにして、透過型フォトインタラプタ990は、画像形成装置100におけるカバー部の開閉状態を検知できる。
ここで、画像形成装置100の内部でトナーが飛散すると、飛散したトナーは画像形成装置100の内部の至る所に堆積するため、画像形成装置100の内部に設けられた透過型フォトインタラプタ990上にもトナーは堆積する。
透過型フォトインタラプタ990の発光素子991又は受光素子992の少なくとも一方にトナーが堆積すると、堆積したトナーが発光素子991の発光する光又は受光素子992の受光する光の少なくとも一方を部分的に遮る。これにより、受光素子992の受光する光強度が低下し、受光素子992の出力電圧が低下する。トナー堆積量が多いほど、堆積したトナーが遮る部分の面積が大きくなるため、受光素子992の出力電圧も低くなる。
これを利用して、透過型フォトインタラプタ990は、その出力電圧によりトナー堆積量に応じた情報を提供できる。換言すると、透過型フォトインタラプタ990は、カバー部の開閉状態を検知する機能に加えて、トナー堆積量に応じた情報を提供する機能も兼備する。
図10(a)における堆積トナーTは、発光素子991と受光素子992のそれぞれに堆積したトナーを表している。発光素子991及び受光素子992へのトナー堆積量に応じて、光Lのうちのトナーに遮られる光量が大きくなるため、受光素子992の出力電圧は低下する。
図10(b)の横軸は、透過型フォトインタラプタ990へのトナー堆積量を示し、縦軸は透過型フォトインタラプタ990の出力電圧を示している。図10(b)に示すように、透過型フォトインタラプタ990へのトナー堆積量と透過型フォトインタラプタ990の出力電圧には相関がある。
但し、透過型フォトインタラプタ990は、発光素子991の発光光量や受光素子992の受光感度のばらつきにより、出力電圧のばらつきが大きくなる場合がある。図10(b)における直線101はトナー堆積量に対する出力電圧の最大値を示し、直線102はトナー堆積量に対する出力電圧の最小値を示し、直線103はトナー堆積量に対する出力電圧の代表値を示している。
このような出力電圧のばらつきがあるため、透過型フォトインタラプタ990の出力電圧からトナー堆積量を検出することは困難である。しかしトナーが堆積しなくなったのか、又は装置に異常が生じたのかを判断する異常検知のためには、この透過型フォトインタラプタ990の出力電圧を利用できる。
図11は、異常検知部965による異常検知方法の一例を説明する図であり、(a)は印刷枚数と静電容量の検出値の関係を示す図、(b)は印刷枚数と透過型フォトインタラプタの出力電圧の関係を示す図である。
図11(a)は、画像形成装置100による印刷枚数が20k枚に達した後、静電容量検出回路971等に異常が発生し、静電容量の検出値が変化しなくなった場合を示している。なお、20k枚における「k」は1000枚を表し、20k枚は20000枚に該当する。以下で示す用語の「k」でも同様の意味である。
一方、図11(b)は、画像形成装置100による印刷枚数が20k枚に達した後でも透過型フォトインタラプタ990の出力電圧は線形に増加している。
従って、静電容量の検出値と透過型フォトインタラプタ990の出力電圧の両方を用いることで、異常検知部965は、静電容量の検出値が変化しなくなった場合に、トナーが堆積しなくなったのか、又は装置に異常が生じたのかを判断することができる。
<制御基板960による処理例>
次に、制御基板960による処理について、図12を参照して説明する。図12は、制御基板960による処理の一例を示すフローチャートである。
制御基板960による処理は、ノイズの影響を避けるため、画像形成装置100が印刷動作を行っていない待機状態で実行されることが好適である。
そのため、制御基板960による処理では、まずステップS121において、異常検知部965は、画像形成装置100が待機状態であるか否かを判定する。
ステップS121で画像形成装置100が待機状態でないと判定された場合は(ステップS121、No)、ステップS121の処理が再度行われる。
一方、ステップS121で待機状態であると判定された場合は(ステップS121、Yes)、ステップS122において、異常検知部965は、静電容量検出回路971が出力する静電容量の検出値を入力して取得する。
続いて、ステップS123において、異常検知部965は、静電容量の検出値が予め定めた閾値以下であるか否かを判定する。
ステップS123で静電容量の検出値が予め定めた閾値以下であると判定された場合は(ステップS123、Yes)、ステップS124において、異常検知部965は、印刷枚数が1k枚前の時の静電容量の検出値に対して現在の検出値が増加したか否かを判定する。
ここで、静電容量の検出値は、画像形成装置100が印刷を行うたびに、PCIバス922を介してコントローラ910のHD909に格納される。異常検知部965は、HD909を参照して1k印刷前の静電容量の検出値を取得できる。この印刷枚数が1k枚前の時の静電容量の検出値は、過去の静電容量の検出値の一例である。また1k枚は一例であり、設定により増減可能である。なお、1k枚より前の静電容量の検出値は、印刷を行うたびに消去される。
ステップS124で検出値が増加したと判定された場合は(ステップS124、Yes)、ステップS125において、トナー堆積量検出部966は、静電容量検出回路971から入力した静電容量の検出値に基づき、画像形成装置100の内部に堆積したトナー堆積量を検出し、出力部967を介してトナー堆積量の検出値をHD909に出力して記憶させる。なお、トナー堆積量検出部966は、出力部967を介してトナー堆積量の検出値をサービスマン等に報知するようにしてもよい。その後、処理は終了する。
一方、ステップS124で検出値が増加していないと判定された場合は(ステップS124、No)、ステップS126において、異常検知部965は、透過型フォトインタラプタ990の出力電圧値を取得する。
続いて、ステップS127において、異常検知部965は、印刷枚数が1k枚前の時の透過型フォトインタラプタ990の出力電圧値に対して、現在の出力電圧値が増加したか否かを判定する。
ここで、透過型フォトインタラプタ990の出力電圧値は、画像形成装置100が印刷を行うたびに、PCIバス922を介してコントローラ910のHD909に格納される。異常検知部965は、HD909を参照して1k印刷前の出力電圧値を取得できる。この印刷枚数が1k枚前の時の出力電圧値は、過去の出力電圧の一例である。1k枚より前の出力電圧値は、印刷を行うたびに消去される。
ステップS127で出力電圧値が増加したと判定された場合は(ステップS127、Yes)、ステップS128において、異常検知部965は、画像形成装置100に異常が発生したと判断し、その後、処理は終了する。なお、異常検知部965は、出力部967を介してこの異常をサービスマン等に報知するようにしてもよい。
一方、ステップS127で出力電圧値が増加していないと判定された場合は(ステップS127、No)、ステップS129において、異常検知部965は、実際にトナー堆積量が変化していない、つまり画像形成装置100に異常が発生していないと判断する。その後、ステップS125に移行する。
また、ステップS123に戻り、ステップS123で静電容量の検出値は閾値以下でないと判定された場合は(ステップS123、No)、ステップS130において、異常検知部965は、ポチ汚れが発生したと判断する。
続いて、ステップS131において、異常検知部965は、出力部967を介してポチ汚れが発生したことをサービスマンに報知する。その後、処理は終了する。
このようにして、制御基板960はトナー堆積量を検出し、ポチ汚れが発生した場合等には、その旨をサービスマン等に報知することができる。
<画像形成装置100の作用効果>
実施形態では、画像形成装置100内に設けられた櫛歯状電極980の電極間の静電容量を検出する静電容量検出回路971と、画像形成装置100の状態を検知する透過型フォトインタラプタ990とを備え、静電容量と透過型フォトインタラプタ990の出力電圧とに基づき画像形成装置100の異常を検知する。この異常が検知されない場合の上記の静電容量に基づき、トナー堆積量を検出する。
これにより、静電容量の検出値がトナー堆積量によるものか、又は画像形成装置100の異常によるものかを見分け、異常が検知されない場合の静電容量を用いることで、画像形成装置100内のトナー堆積量を適切に検出することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態では、透過型フォトインタラプタ990が検知する装置の状態が画像形成装置100のカバー部の開閉状態である例を説明したが、これに限定されるものではない。透過型フォトインタラプタ990は、画像形成装置100に着脱可能に設けられるPCDU等の部材の着脱を検知することもできる。
この場合は、透過型フォトインタラプタ990の発光素子991からの光Lが上記部材の一部に遮られて受光素子992で受光されない場合に、受光素子992の出力電圧に基づき部材が装着されていることが検知される。一方、透過型フォトインタラプタ990の発光素子991からの光Lが画像形成装置100の部材の一部に遮られず、受光素子992で受光される場合に、受光素子992の出力電圧に基づき部材が取り外されていることが検知される。
また、装置状態検知部は、透過型フォトインタラプタ990に限定されるものではない。発光素子と、発光素子からの光の検知対象からの反射光を受光して光強度に応じた電気信号を出力する受光素子とを備える反射型光学センサ等を用いることもできる。
これらの場合にも、静電容量の検出値がトナー堆積量によるものか、又は画像形成装置100の異常によるものかを見分け、異常が検知されない場合の静電容量を用いることで、画像形成装置100内のトナー堆積量を適切に検出することができる。
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。