JP7334410B2 - 米飯食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、米飯食品の製造方法に関する。また本発明は、当該製造方法に好適に用いられる酵素組成物に関する。さらに本発明は、米飯食品の改質方法に関する。
米は、日本等において、主食として食生活の中心となっている食材であり、おにぎり、弁当等をはじめとして、米を原料とする種々の米飯食品が、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、売店等において販売されている。
米は、従来より、その改質等について種々の検討がなされており、例えば、米飯食品の物性、食味、食感等を向上させることを目的として、卵黄又は全卵をホスホリパーゼにて加水分解したホスホリパーゼ処理物を中性脂質中で分散させたものを米飯に添加すること(特許文献1)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを含有する炊飯用油脂組成物を生米に添加して炊飯すること(特許文献2)等が報告されている。
特開2005-295957号公報 特開2017-153472号公報
本発明の解決しようとする課題は、風味、食感に優れる米飯食品を製造するための新規方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、生米に油脂と特定の酵素とを組み合わせて添加することにより、米飯食品の食感を、米飯食品本来の好ましい風味が損なわれることを抑えて、改質し得ることを見出し、さらに研究を重ねることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]生米に、油脂、並びに(A)リパーゼ及びホスホリパーゼからなる群より選択される少なくとも一つを添加することを含む、米飯食品の製造方法。
[2](B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つを添加することを更に含む、[1]記載の製造方法。
[3]前記(A)が、リパーゼを含む、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]前記(B)が、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つである、[2]又は[3]記載の製造方法。
[5]前記(B)が、下記(i)~(xii)のいずれかである、[2]~[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
(i)グルコースオキシダーゼ
(ii)トランスグルタミナーゼ
(iii)α-アミラーゼ
(iv)マルトトリオシル転移酵素
(v)グルコースオキシダーゼ及びα-アミラーゼ
(vi)グルコースオキシダーゼ及びマルトトリオシル転移酵素
(vii)グルコースオキシダーゼ及びβ-アミラーゼ
(viii)グルコースオキシダーゼ及びグルコアミラーゼ
(ix)グルコースオキシダーゼ及びα-グルコシダーゼ
(x)グルコースオキシダーゼ及びブランチングエンザイム
(xi)グルコースオキシダーゼ及びマルトテトラオース生成酵素
(xii)グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ
[6](A)リパーゼ及びホスホリパーゼから選択される少なくとも一つを含有する酵素組成物であって、
生米に油脂を添加することを含む、米飯食品の製造方法において用いるためのものである、組成物。
[7](B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、[6]記載の組成物。
[8]前記(A)が、リパーゼを含む、[6]又は[7]記載の組成物。
[9]前記(B)が、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つである、[7]又は[8]記載の組成物。
[10]前記(B)が、下記(i)~(xii)のいずれかである、[7]~[9]のいずれか一つに記載の組成物。
(i)グルコースオキシダーゼ
(ii)トランスグルタミナーゼ
(iii)α-アミラーゼ
(iv)マルトトリオシル転移酵素
(v)グルコースオキシダーゼ及びα-アミラーゼ
(vi)グルコースオキシダーゼ及びマルトトリオシル転移酵素
(vii)グルコースオキシダーゼ及びβ-アミラーゼ
(viii)グルコースオキシダーゼ及びグルコアミラーゼ
(ix)グルコースオキシダーゼ及びα-グルコシダーゼ
(x)グルコースオキシダーゼ及びブランチングエンザイム
(xi)グルコースオキシダーゼ及びマルトテトラオース生成酵素
(xii)グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ
[11]生米に油脂、並びに(A)リパーゼ及びホスホリパーゼからなる群より選択される少なくとも一つを添加することを含む、米飯食品の改質方法。
[12](B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つを添加することを更に含む、[11]記載の改質方法。
[13]前記(A)が、リパーゼを含む、[11]又は[12]記載の改質方法。
[14]前記(B)が、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つである、[12]又は[13]記載の改質方法。
[15]前記(B)が、下記(i)~(xii)のいずれかである、[12]~[14]のいずれか一つに記載の改質方法。
(i)グルコースオキシダーゼ
(ii)トランスグルタミナーゼ
(iii)α-アミラーゼ
(iv)マルトトリオシル転移酵素
(v)グルコースオキシダーゼ及びα-アミラーゼ
(vi)グルコースオキシダーゼ及びマルトトリオシル転移酵素
(vii)グルコースオキシダーゼ及びβ-アミラーゼ
(viii)グルコースオキシダーゼ及びグルコアミラーゼ
(ix)グルコースオキシダーゼ及びα-グルコシダーゼ
(x)グルコースオキシダーゼ及びブランチングエンザイム
(xi)グルコースオキシダーゼ及びマルトテトラオース生成酵素
(xii)グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ
本発明によれば、米飯食品本来の好ましい風味を有し、食感(付着性等)が改質された米飯食品の製造方法を提供できる。
本発明によれば、米飯食品本来の好ましい風味を有し、食感(付着性等)が改質された米飯食品の製造に好適に用いられ得る酵素組成物を提供できる。
本発明によれば、米飯食品の食感(付着性等)を、米飯食品本来の好ましい風味が損なわれることを抑えて、改質し得る。
(本発明の製造方法)
本発明の米飯食品の製造方法(本明細書において「本発明の製造方法」と称する場合がある)は、生米に、油脂、並びに(A)リパーゼ及びホスホリパーゼからなる群より選択される少なくとも一つ(本明細書において「リパーゼ及びホスホリパーゼからなる群より選択される少なくとも一つ」を、単に「(A)」と称する場合がある)を添加することを含むことを、特徴の一つとする。
本発明において「米飯食品」とは、米を原料の一つとする食品をいう。米飯食品は、米のみを原料として作製されるものであってよく、又は米に加えて、それ以外の食材、食品も原料として作製されるものであってもよい。米飯食品の具体例としては、炊飯米、赤飯、酢飯(寿司飯)、炊き込みご飯、混ぜご飯、炒飯、ピラフ、パエリア、おこわ、リゾット、ドリア、雑炊、お粥、お茶漬け、おにぎり、寿司、ちらし寿司、カレーライス、丼物、弁当等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明における米飯食品には、例えば、冷凍品、チルド品、無菌包装品、レトルト品、乾燥品、缶詰品等も包含される。
本発明において「生米」とは、稲刈りして脱穀した後、加熱処理(例、炊飯等)を施していない生の状態の米をいう。本発明において用いられる生米は、米飯食品の製造に通常用いられるものであれば特に制限されず、例えば、栽培種、品種、産地等は、いずれも制限されない。本発明において用いられる生米は、例えば、硬質米、軟質米等であってよく、良食味米、低食味米等であってもよい。本発明において用いられる生米は、例えば、酸等で加工された加工米(例、低蛋白米、蛋白調整米等)であってもよい。また本発明において用いられる生米の精米の程度も特に制限されず、例えば、精米、無洗米、玄米、胚芽米、発芽玄米等のいずれを用いてもよい。本発明において用いられる生米は、新米はもとより、古米、古々米等であってもよい。
一般に常温で流動性を有するものを「油」、流動性を有しないものを「脂肪」と呼ぶ場合があるが、本発明における「油脂」は、それらの両方を包含する概念である。本発明において用いられる油脂は、食用であれば特に制限されないが、具体例としては、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油、こめ油、糠油、ベニバナ油、ヤシ油、パーム油、ひまわり油、荏油、エゴマ油、アマニ油、オリーブ油等の植物油脂;ラード(豚脂)、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油、乳脂肪等の動物油脂;それらの硬化油等が挙げられる。これらの油脂は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法において、生米に添加される油脂の量は、米飯食品本来の好ましい風味が損なわれることを抑え得ることから、生米100gあたり、好ましくは1.5g以下であり、より好ましくは1.0g以下であり、特に好ましくは0.5g以下である。また本発明の製造方法において、生米に添加される油脂の量は、米飯食品の付着性を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.2g以上であり、より好ましくは0.3g以上であり、特に好ましくは0.35g以上である。本発明において「生米100gあたり」の生米の重量は、乾燥重量である。
リパーゼは、グリセリン脂肪酸エステルを脂肪酸とグリセロールとに加水分解する活性を有する酵素であり、例えば、トリアシルグリセロール リパーゼ(triacylglycerol lipase)、トリアシルグリセリド リパーゼ(triacylglyceride lipase)等を包含する。リパーゼには、微生物由来のもの、植物由来のもの、動物由来のもの等、種々の起源のものが知られているが、本発明において用いられるリパーゼは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のリパーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるリパーゼは、好ましくは微生物由来のものであり、微生物由来のリパーゼとしては、例えば、アスペルギルス属菌(例、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等)由来のリパーゼ、リゾプス属菌(例、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)等)由来のリパーゼ、カンジダ属菌(例、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)等)由来のリパーゼ、ペニシリウム属菌(例、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)等)由来のリパーゼ等が挙げられる。本発明において用いられるリパーゼは市販品であってもよく、具体例としては、リパーゼ GS「アマノ」250G、リパーゼ AY「アマノ」30SD、リパーゼ R「アマノ」、リパーゼ A「アマノ」6、リパーゼ MER「アマノ」(いずれも天野エンザイム社製)等が挙げられる。
本発明においてリパーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
オリーブ油25mLと2%PVA(ポリビニルアルコール)試液75mLを乳化させて基質とし、当該基質5mLにマッキルベン緩衝液(pH7.0)4mL及び酵素液1mLを混和し、37℃にて30分間反応させ、反応停止後、生成した脂肪酸を滴定法で測定する。遊離した脂肪酸1μモルに相当する酸を遊離させる酵素量を1U(ユニット)と定義する。
ホスホリパーゼは、リン脂質を加水分解する活性を有する酵素であり、加水分解する結合位置により、A、A、C及びDに分類される。本発明において用いられるホスホリパーゼは、上述の活性を有すれば特に制限されず、いずれのホスホリパーゼも使用できるが、好ましくはホスホリパーゼD、ホスホリパーゼAである。またホスホリパーゼは、組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるホスホリパーゼは市販品であってもよく、具体例としては、デナベイクRICH、PLA2ナガセ10P/R、PLA2ナガセL/R(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
本発明においてホスホリパーゼDの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
ホスファチジルコリンを含む基質溶液0.9mLに酵素溶液0.1mLを混和し、37℃にて30分間反応させ、反応停止後、コリンエステラーゼを含む発色溶液1mLに反応液50μLを加え5分反応させ、反応停止後、コリンより生成した色素量を測定する。ホスファチジルコリンを基質として37℃、1分間に1μモルのコリンを遊離する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含む(すなわち、(A)として少なくともリパーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるリパーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.005U以上であり、より好ましくは0.05U以上であり、特に好ましくは0.5U以上である。またこの場合、生米に添加されるリパーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは1000U以下であり、より好ましくは100U以下であり、特に好ましくは10U以下である。
本発明の製造方法は、(A)がホスホリパーゼを含む(すなわち、(A)として少なくともホスホリパーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるホスホリパーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.05U以上であり、より好ましくは0.5U以上であり、特に好ましくは5U以上である。またこの場合、生米に添加されるホスホリパーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは5000U以下であり、より好ましくは500U以下であり、特に好ましくは50U以下である。
本発明の製造方法は、酵素使用量の観点から、(A)がリパーゼを含むこと(すなわち、(A)として少なくともリパーゼを生米に添加すること)が好ましい。
本発明の製造方法は、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つ(本明細書において「糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つ」を、単に「(B)」と称する場合がある)を添加することを更に含むことが好ましい。
本発明の製造方法は、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを更に含むことにより、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)をより効果的に向上し得る。
本発明において「糖質改質酵素」とは、デンプン等の糖質に作用し、これを改質(例、加水分解、糖転移等)する活性を有する酵素であり、例えば、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素及びマルトテトラオース生成酵素等が挙げられる。
本発明において「蛋白質架橋酵素」とは、蛋白質に作用し、蛋白質中に架橋構造を形成する活性を有する酵素であり、例えば、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ等が挙げられる。
本発明の製造方法は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を特に効果的に向上し得ることから、(B)が、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましく、α-アミラーゼ、マルトトリオシル転移酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つであることがより好ましく、α-アミラーゼ、マルトトリオシル転移酵素及びグルコースオキシダーゼからなる群より選択される少なくとも一つであることが特に好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、(B)としてα-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つを生米に添加することが好ましく、α-アミラーゼ、マルトトリオシル転移酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つを生米に添加することがより好ましく、α-アミラーゼ、マルトトリオシル転移酵素及びグルコースオキシダーゼからなる群より選択される少なくとも一つを生米に添加することが特に好ましい。
α-アミラーゼは、デンプンのα-1,4-グルコシド結合を不特定の場所で加水分解する活性を有するエンド型酵素であり、例えば、微生物(例、バシルス属菌、アスペルギルス属菌等)由来のもの等が知られているが、本発明において用いられるα-アミラーゼは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のα-アミラーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるα-アミラーゼは市販品であってもよく、具体例としては、ノバミル 10000 BG、ノバミル 3D BG(いずれもノボザイムズ ジャパン社製)、ビオザイム A、ビオザイム LC(いずれも天野エンザイム社製)等が挙げられる。
本発明においてα-アミラーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
ブロックp-ニトロフェニルマルトヘプタオサイドを基質としてα-アミラーゼを作用させる。その後、生成したp-ニトロフェニルマルトサッカライドを耐熱性α-グルコシダーゼで分解しリン酸三ナトリウムで反応停止させ、生成したp-ニトロフェノールを410nmでの吸光度を測定する。1分間で1μモルのp-ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1U(ユニット)と定義する。
β-アミラーゼは、デンプンのα-1,4-グルコシド結合を、非還元性末端から一つおきに(マルトース単位で)加水分解する活性を有するエキソ型酵素であり、例えば、微生物由来のもの、植物由来のもの等、種々の起源のものが知られているが、本発明において用いられるβ-アミラーゼは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のβ-アミラーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるβ-アミラーゼは市販品であってもよく、具体例としては、ハイマルトシン GL、ハイマルトシン GLH(いずれもエイチビィアイ社製)、β-アミラーゼ F「アマノ」(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
本発明においてβ-アミラーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
p-ニトロフェニル-β-D-マルトトリオシド(PNP-β)を基質としてβ-アミラーゼを作用させる。その後、生成したp-ニトロフェノール(PNP)の量を400nmの吸光度で測定する。1分間に1μモルのPNPを解離させる酵素量を1U(ユニット)と定義する。
グルコアミラーゼは、デンプンのα-1,4-グルコシド結合、α-1,6-グルコシド結合を、非還元性末端から加水分解し、β-D-グルコースを生成する活性を有するエキソ型酵素であり、微生物(例、アスペルギルス属菌、リゾプス属菌等)由来のもの等が知られているが、本発明において用いられるグルコアミラーゼは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のグルコアミラーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるグルコアミラーゼは市販品であってもよく、具体例としては、AMG1100BG、AMG 300L(いずれもノボザイムズ ジャパン社製)、スミチーム、スミチームS、スミチームSG(いずれも新日本化学工業社製)、酒造用グルコアミラーゼ「アマノ」SD(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
本発明においてグルコアミラーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
4-ニトロフェニルβ-マルトシドを基質としてグルコアミラーゼを作用させると、4-ニトロフェニルβ-グルコシドを生じる。さらにβ-グルコシダーゼを添加することで発生する4-ニトロフェノール(PNP)を測定する。1分間に1μモルのPNPを遊離する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
α-グルコシダーゼは、糖類やデンプンのα-1,4-グルコシド結合を非還元末端から加水分解し、α-グルコースを生成する活性を有する酵素である。本発明において用いられるα-グルコシダーゼは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のα-グルコシダーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるα-グルコシダーゼは市販品であってもよく、具体例としては、トランスグルコシダーゼL「アマノ」(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
本発明においてα-グルコシダーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
1mM α-メチル-D-グルコシド1mLに0.02M酢酸バッファー(pH5.0)1mLを加え、酵素溶液0.5mL添加して、40℃、60分間を作用させた時に、反応液2.5mL中に1μgのブドウ糖を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
ブランチングエンザイムは、デンプンのα-1,4-グルコシド結合を切断し、別のグルコース残基の6位OH基に転移させて、α-1,6-グルコシド結合を形成する活性を有する酵素である。本発明において用いられるブランチングエンザイムは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のブランチングエンザイムであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるブランチングエンザイムは市販品であってもよく、具体例としては、ブランチングエンザイム(長瀬産業社製)等が挙げられる。
本発明においてブランチングエンザイムの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
0.08Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた0.1%アミロースB(ナカライテスク)50μLに0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた酵素溶液50μLを加え、50℃、30分間反応後にヨウ素試薬(0.26g Iと0.26g KIを10mL超純水にて溶解した液0.5mLと1N HCl 0.5mLを混ぜ、130mLに希釈した液)2mLを添加し、660nm吸光度を測定する。本反応系で反応1分間に660nm吸光度を1%低下させる酵素量を1U(ユニット)と定義する。
マルトトリオシル転移酵素は、デンプンに作用し、3糖単位で糖転移させる活性を有する酵素である。本発明において用いられるマルトトリオシル転移酵素は、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のマルトトリオシル転移酵素であっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるマルトトリオシル転移酵素は市販品であってもよく、具体例としては、グライコトランスフェラーゼ「アマノ」(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
本発明においてマルトトリオシル転移酵素の活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
マルトテトラオースを基質としてマルトトリオシル転移酵素を作用させると、マルトトリオースおよびグルコースが生じる。生成した過酸化水素にアミノアンチピリン及びフェノール存在下でペルオキシダーゼを作用させることで生成したキノンイミン色素が呈する色調を、波長500nmで測定し定量する。1分間に1μモルのブドウ糖を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
マルトテトラオース生成酵素は、デンプンに作用し、マルトテトラオースを生成する活性を有する酵素であり、例えば、微生物(例、バシルス属菌、シュードモナス属菌等)由来のもの等が知られているが、本発明において用いられるマルトテトラオース生成酵素は、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のマルトテトラオース生成酵素であっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるマルトテトラオース生成酵素は市販品であってもよく、具体例としては、デナベイクEXTRA(長瀬産業社製)、POWERFresh(登録商標)、POWERSoft(登録商標)(いずれもデュポン社製)等が挙げられる。
本発明においてマルトテトラオース生成酵素の活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
可溶性デンプンを基質とし、マルトテトラオース生成酵素を作用させると還元糖が生じる。生成した還元糖をソモギー・ネルソン法により測定する。1分間に1μモルのブドウ糖に相当する還元糖を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
グルコースオキシダーゼは、グルコース、酸素、水を基質としてグルコン酸と過酸化水素を生成する反応を触媒する酸化酵素である。この反応により生成された過酸化水素は、蛋白中のSH基を酸化することでSS結合(ジスルフィド結合)生成を促進し、蛋白中に架橋構造を作る。グルコースオキシダーゼは、微生物由来、植物由来のもの等、種々の起源のものが知られているが、本発明で用いる酵素はこの活性を有している酵素であれば構わず、その起源としてはいずれのものでも構わない。また、組み換え酵素であっても構わない。「スミチームPGO」という商品名で新日本化学工業社より市販されている微生物由来のグルコースオキシダーゼが一例である。尚、カタラーゼが混合されているグルコースオキシダーゼ製剤が市販されているが、グルコースオキシダーゼ活性を有していれば、他の酵素との混合物であっても構わない。
本発明においてグルコースオキシダーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
グルコースを基質として、酸素存在下でグルコースオキシダーゼを作用させることで過酸化水素を生成させ、生成した過酸化水素にアミノアンチピリン及びフェノール存在下でペルオキシダーゼを作用させることで生成したキノンイミン色素が呈する色調を、波長500nmで測定し定量する。1分間に1μモルのグルコースを酸化するのに必要な酵素量を1U(ユニット)と定義する。
トランスグルタミナーゼは、蛋白質やペプチド中のグルタミン残基を供与体とし、リジン残基を受容体とするアシル転移反応を触媒する活性を有する酵素であり、例えば、哺乳動物由来のもの、魚類由来のもの、微生物由来のもの等、種々の起源のものが知られているが、本発明において用いられるトランスグルタミナーゼは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のトランスグルタミナーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるトランスグルタミナーゼは市販品であってもよく、具体例としては、味の素社より「アクティバ」(登録商標)TGという商品名で市販されている微生物由来のトランスグルタミナーゼ等が挙げられる。
本発明においてトランスグルタミナーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。
ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質としてトランスグルタミナーゼに作用させ、ヒドロキサム酸にトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525nmでの吸光度を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より求め、酵素活性を算出する。37℃、pH6.0で1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)(好ましくは、リパーゼ)を添加することに加えて、更に(B)を添加することを含む場合、(B)は下記(i)~(xii)のいずれかであることが好ましく、下記(i)~(vi)のいずれかであることがより好ましく、下記(v)又は(vi)が特に好ましい。
(i)グルコースオキシダーゼ
(ii)トランスグルタミナーゼ
(iii)α-アミラーゼ
(iv)マルトトリオシル転移酵素
(v)グルコースオキシダーゼ及びα-アミラーゼ
(vi)グルコースオキシダーゼ及びマルトトリオシル転移酵素
(vii)グルコースオキシダーゼ及びβ-アミラーゼ
(viii)グルコースオキシダーゼ及びグルコアミラーゼ
(ix)グルコースオキシダーゼ及びα-グルコシダーゼ
(x)グルコースオキシダーゼ及びブランチングエンザイム
(xi)グルコースオキシダーゼ及びマルトテトラオース生成酵素
(xii)グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ
本発明の製造方法は、生米に油脂及び(A)(好ましくは、リパーゼ)を添加することに加えて、更に(B)を添加することを含む場合、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)をより効果的に向上し得ることから、(B)がグルコースオキシダーゼを含むこと(すなわち、(B)として少なくともグルコースオキシダーゼを生米に添加すること)が好ましい。
本発明の製造方法は、生米に油脂及び(A)(好ましくは、リパーゼ)を添加することに加えて、更に(B)を添加することを含む場合、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を特に効果的に向上し得ることから、(B)が、グルコースオキシダーゼ、並びに、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましく、グルコースオキシダーゼ、並びに、α-アミラーゼ及びマルトトリオシル転移酵素からなる群より選択される少なくとも一つであることがより好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、(B)としてグルコースオキシダーゼ、並びに、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つを生米に添加することが好ましく、グルコースオキシダーゼ、並びに、α-アミラーゼ及びマルトトリオシル転移酵素からなる群より選択される少なくとも一つを生米に添加することがより好ましい。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がα-アミラーゼを含む(すなわち、(B)として少なくともα-アミラーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるα-アミラーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を特に効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.0001U以上であり、より好ましくは0.001U以上であり、特に好ましくは0.01U以上である。またこの場合、生米に添加されるα-アミラーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは10U以下であり、より好ましくは1U以下であり、特に好ましくは0.1U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がβ-アミラーゼを含む(すなわち、(B)として少なくともβ-アミラーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるβ-アミラーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.000001U以上であり、より好ましくは0.00001U以上であり、特に好ましくは0.0001U以上である。またこの場合、生米に添加されるβ-アミラーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは1U以下であり、より好ましくは0.1U以下であり、特に好ましくは0.01U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がグルコアミラーゼを含む(すなわち、(B)として少なくともグルコアミラーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるグルコアミラーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.01U以上であり、より好ましくは0.1U以上であり、特に好ましくは1U以上である。またこの場合、生米に添加されるグルコアミラーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは1000U以下であり、より好ましくは100U以下であり、特に好ましくは10U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がα-グルコシダーゼを含む(すなわち、(B)として少なくともα-グルコシダーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるα-グルコシダーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.00001U以上であり、より好ましくは0.0001U以上であり、特に好ましくは0.01U以上である。またこの場合、生米に添加されるα-グルコシダーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは10U以下であり、より好ましくは1U以下であり、特に好ましくは0.1U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がブランチングエンザイムを含む(すなわち、(B)として少なくともブランチングエンザイムを生米に添加する)場合、生米に添加されるブランチングエンザイムの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.01U以上であり、より好ましくは0.1U以上であり、特に好ましくは1U以上である。またこの場合、生米に添加されるブランチングエンザイムの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは1000U以下であり、より好ましくは100U以下であり、特に好ましくは10U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がマルトトリオシル転移酵素を含む(すなわち、(B)として少なくともマルトトリオシル転移酵素を生米に添加する)場合、生米に添加されるマルトトリオシル転移酵素の量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.0001U以上であり、より好ましくは0.001U以上であり、特に好ましくは0.01U以上である。またこの場合、生米に添加されるマルトトリオシル転移酵素の量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは100U以下であり、より好ましくは10U以下であり、特に好ましくは1U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がマルトテトラオース生成酵素を含む(すなわち、(B)として少なくともマルトテトラオース生成酵素を生米に添加する)場合、生米に添加されるマルトテトラオース生成酵素の量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.001U以上であり、より好ましくは0.01U以上であり、特に好ましくは0.1U以上である。またこの場合、生米に添加されるマルトテトラオース生成酵素の量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは100U以下であり、より好ましくは10U以下であり、特に好ましくは1U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がグルコースオキシダーゼを含む(すなわち、(B)として少なくともグルコースオキシダーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるグルコースオキシダーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.001U以上であり、より好ましくは0.01U以上であり、特に好ましくは0.1U以上である。またこの場合、生米に添加されるグルコースオキシダーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは100U以下であり、より好ましくは10U以下であり、特に好ましくは1U以下である。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを含み、かつ(B)がトランスグルタミナーゼを含む(すなわち、(B)として少なくともトランスグルタミナーゼを生米に添加する)場合、生米に添加されるトランスグルタミナーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは0.0001U以上であり、より好ましくは0.001U以上であり、特に好ましくは0.01U以上である。またこの場合、生米に添加されるトランスグルタミナーゼの量は、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、生米100gあたり、好ましくは100U以下であり、より好ましくは10U以下であり、特に好ましくは1U以下である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がα-アミラーゼを含む場合、生米に添加されるリパーゼとα-アミラーゼの量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:α-アミラーゼ=1:0.00001~10であり、より好ましくはリパーゼ:α-アミラーゼ=1:0.0001~1であり、特に好ましくはリパーゼ:α-アミラーゼ=1:0.001~0.1である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がβ-アミラーゼを含む場合、生米に添加されるリパーゼとβ-アミラーゼの量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:β-アミラーゼ=1:0.000001~0.1であり、より好ましくはリパーゼ:β-アミラーゼ=1:0.00001~0.01であり、特に好ましくはリパーゼ:β-アミラーゼ=1:0.0001~0.001である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がグルコアミラーゼを含む場合、生米に添加されるリパーゼとグルコアミラーゼの量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:グルコアミラーゼ=1:0.01~1000であり、より好ましくはリパーゼ:グルコアミラーゼ=1:0.1~100であり、特に好ましくはリパーゼ:グルコアミラーゼ=1:1~10である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がα-グルコシダーゼを含む場合、生米に添加されるリパーゼとα-グルコシダーゼの量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:α-グルコシダーゼ=1:0.00001~1であり、より好ましくはリパーゼ:α-グルコシダーゼ=1:0.0001~0.1であり、特に好ましくはリパーゼ:α-グルコシダーゼ=1:0.001~0.01である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がブランチングエンザイムを含む場合、生米に添加されるリパーゼとブランチングエンザイムの量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:ブランチングエンザイム=1:0.001~100であり、より好ましくはリパーゼ:ブランチングエンザイム=1:0.01~10であり、特に好ましくはリパーゼ:ブランチングエンザイム=1:0.1~1である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がマルトトリオシル転移酵素を含む場合、生米に添加されるリパーゼとマルトトリオシル転移酵素の量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:マルトトリオシル転移酵素=1:0.0001~10であり、より好ましくはリパーゼ:マルトトリオシル転移酵素=1:10.001~1であり、特に好ましくはリパーゼ:マルトトリオシル転移酵素=1:0.01~0.1である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がマルトテトラオース生成酵素を含む場合、生米に添加されるリパーゼとマルトテトラオース生成酵素の量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:マルトテトラオース生成酵素=1:0.001~100であり、より好ましくはリパーゼ:マルトテトラオース生成酵素=1:0.01~10であり、特に好ましくはリパーゼ:マルトテトラオース生成酵素=1:0.1~1である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がグルコースオキシダーゼを含む場合、生米に添加されるリパーゼとグルコースオキシダーゼの量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:グルコースオキシダーゼ=1:0.001~100であり、より好ましくはリパーゼ:グルコースオキシダーゼ=1:0.01~10であり、特に好ましくはリパーゼ:グルコースオキシダーゼ=1:0.1~1である。
本発明の製造方法は、(A)がリパーゼを含み、かつ(B)がトランスグルタミナーゼを含む場合、生米に添加されるリパーゼとトランスグルタミナーゼの量比は特に制限されないが、米飯食品の食感(例、付着性、耐老化性、粒感等)を効果的に向上し得ることから、活性比で、好ましくはリパーゼ:トランスグルタミナーゼ=1:0.0001~10であり、より好ましくはリパーゼ:トランスグルタミナーゼ=1:0.001~1であり、特に好ましくはリパーゼ:トランスグルタミナーゼ=1:0.01~0.1である。
本発明の製造方法は、生米への油脂及び(A)の添加の順序、間隔は特に制限されず、例えば油脂及び(A)の順序、あるいはその逆の順序で添加してよい。また油脂及び(A)を同時に添加してもよい。
また本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを更に含む場合、生米への油脂、(A)及び(B)の添加の順序、間隔は特に制限されず、例えば油脂、(A)及び(B)の順序、あるいはその逆の順序等で添加してよい。また油脂、(A)及び(B)を同時に添加してもよい。
本発明の製造方法において、生米への(A)の添加は、(A)を含有する酵素組成物(例えば、後述の本発明の組成物等)を使用して行ってよい。
本発明の製造方法が、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)を添加することを更に含み、生米への(A)及び(B)の添加が同時である場合、生米への(A)及び(B)の添加は、(A)及び(B)を含有する酵素組成物(例えば、後述の本発明の組成物等)を使用して行ってよい。
本発明の製造方法において、生米に油脂、(A)及び(B)に添加する方法は特に限定されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。生米に油脂、(A)及び(B)に添加する時期は、生米の炊飯前であれば特に限定されず、例えば、生米を水に浸漬する前に、油脂、(A)及び(B)に添加してよく、あるいは、生米が水に浸漬した状態で、油脂、(A)及び(B)に添加してもよい。
生米に添加された(A)及び(B)は、生米を炊飯すると失活する場合があるため、生米に(A)及び(B)が十分に作用し得るよう、本発明の製造方法は、生米への(A)及び(B)の添加から炊飯までの間に、5分間以上(より好ましくは30分間以上)、5~30℃(より好ましくは10~25℃)の条件下に置かれることが好ましい。
本発明の製造方法は、生米に油脂及び(A)を添加すること、あるいは、生米に油脂、(A)及び(B)を添加することに加え、製造する米飯食品の種類等に応じて、米飯食品の製造において慣用の処理工程、調理工程を適宜含んでよい。例えば、本発明の製造方法は、油脂及び(A)、あるいは、油脂、(A)及び(B)が添加された生米を炊飯することを更に含み得る。油脂及び(A)等が添加された生米を炊飯する方法及び条件は特に限定されず、製造する米飯食品の種類等に応じ、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。
本発明の製造方法によれば、米飯食品本来の好ましい風味を有し、食感(付着性等)が改質された米飯食品を製造できる。特に本発明の製造方法は、米飯食品本来の好ましい風味を有し、付着性に加えて、耐老化性も改質された米飯食品の製造に好適に用いられる。
本発明において「米飯食品本来の好ましい風味」とは、異風味(例、油脂臭等)が抑えられた、米飯食品に通常備わる好ましい香り、味をいう。
本発明において、米飯食品の「付着性」とは、口内での米同士のくっつき易さの程度をいう。
本発明において、米飯食品の「耐老化性」とは、老化(経時的な、食感等の品質の劣化)しにくさの程度をいう。
米飯食品本来の好ましい風味、米飯食品の付着性及び耐老化性は、専門パネルによる官能評価(例えば、後述の実施例に示される官能評価等)によって評価できる。
(本発明の改質方法)
本発明は、生米に、油脂、並びに(A)リパーゼ及びホスホリパーゼからなる群より選択される少なくとも一つを添加することを含む、米飯食品の改質方法(本明細書において「本発明の改質方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の改質方法は、生米に油脂及び(A)を添加することに加えて、(B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つを添加することを更に含むことが好ましい。
本発明の改質方法に用いられる油脂、(A)及び(B)は、いずれも上述の本発明の製造方法において用いられるものと同様であり、好適な態様も同様である。
本発明の改質方法は、特に断りのない限り、本発明の製造方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明の改質方法によれば、米飯食品の食感(付着性等)を、米飯食品本来の好ましい風味が損なわれることを抑えて、改質し得る。特に本発明の改質方法は、米飯食品の付着性及び耐老化性を、米飯食品本来の好ましい風味が損なわれることを抑えて、改質するために好適に用いられる。
したがって本発明の改質方法は、一態様として、米飯食品の付着性の改質方法、米飯食品の耐老化性の改質方法、並びに、米飯食品の付着性及び耐老化性の改質方法のいずれかであり得る。
(本発明の組成物)
本発明は、(A)リパーゼ及びホスホリパーゼから選択される少なくとも一つを含有する酵素組成物(本明細書において「本発明の組成物」と称する場合がある)も提供する。
本発明の組成物は、(A)に加えて、(B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つを更に含有することが好ましい。
本発明の組成物が含有し得る(A)及び(B)は、いずれも上述の本発明の製造方法において用いられるものと同様であり、好適な態様も同様である。
本発明の組成物は、生米に油脂を添加することを含む、米飯食品の製造方法において、好適に用いられ得る。
本発明の組成物が用いられる米飯食品の製造方法において、生米に添加される油脂は、本発明の製造方法において用いられるものと同様である。また生米に添加される油脂の量も同様であり、好適な範囲も同様である。
本発明の組成物は、本発明の組成物が用いられる米飯食品の製造方法において、生米に添加される(A)の量が特定の範囲となるように、用いられることが好ましい。具体的には、本発明の組成物が用いられる米飯食品の製造方法において、生米に添加される(A)の量は、上述の本発明の製造方法において生米に添加される(A)の量と同様に設定し得、好ましい範囲も同様である。
本発明の組成物が(A)に加えて(B)を更に含有する場合、本発明の組成物は、本発明の組成物が用いられる米飯食品の製造方法において、生米に添加される(B)の量が特定の範囲となるように、用いられることが好ましい。具体的には、本発明の組成物が用いられる米飯食品の製造方法において、生米に添加される(B)の量は、上述の本発明の製造方法において生米に添加される(B)の量と同様に設定し得、好ましい範囲も同様である。
本発明の組成物が(A)に加えて(B)を更に含有し、かつ(A)がリパーゼを含む場合、本発明の組成物は、本発明の組成物が用いられる米飯食品の製造方法において、生米に添加されるリパーゼと(B)の量比が、特定の範囲となるように、用いられることが好ましい。具体的には、本発明の組成物が用いられる米飯食品の製造方法において、生米に添加されるリパーゼと(B)の量比は、上述の本発明の製造方法において生米に添加されるリパーゼと(B)の量比と同様に設定し得、好ましい範囲も同様である。
本発明の組成物の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
本発明の組成物は、(A)のみ、あるいは(A)及び(B)のみからなるものであってよいが、これらに加えて、食品用の酵素製剤に慣用の基剤をさらに含有するものであってもよい。当該基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、糖類(例、乳糖、ショ糖、グルコース等)、蛋白質(例、動植物性蛋白質等)、塩類(例、塩化ナトリウム等)、水、油脂類等が挙げられる。
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない限り、(A)、(B)に加えて、例えば、賦形剤、pH調整剤、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、甘味料(例、砂糖等)、食塩、有機塩類、無機塩類、調味料、酸味料、香辛料、着色料、発色剤等を更に含有してよい。
本発明の組成物の製造は、食品用の酵素製剤の製造に慣用の方法又はそれに準ずる方法により行い得る。
本発明の組成物に含まれる(A)、(B)は、全てが一つの製剤に含有されてよいが、(A)、(B)が二つ以上の製剤に含有されてもよい。(A)、(B)が二つ以上の製剤に含有される場合、本発明の組成物は、例えば、(A)、(B)をそれぞれ単独で含有する製剤を組み合わせたもの等であってよい。
本発明の組成物に含まれる(A)、(B)が二つ以上の製剤に含有される場合、本発明の組成物に含まれる(A)、(B)の量は、各製剤に含まれる(A)、(B)の量を合計して算出される。
本発明の組成物は、米飯食品本来の好ましい風味を有し、食感(付着性等)が改質された米飯食品の製造に好適に用いることができる。本発明の組成物は、米飯食品本来の好ましい風味を有し、付着性に加え、耐老化性も改質された米飯食品の製造に特に好適に用いることができる。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<試験例1>
[試験サンプル(炊飯米)の作製]
(実施例1)
生米(品種「ひとめぼれ」)400gを市水にて洗米(研ぎ20回、水入れ換え5回)して、市販の炊飯器(三菱電機社製「炭炊釜 NJ-LH064-R」)に投入し、吸水分も含め、生米(乾燥重量)100gあたり140gの市水を投入し、1時間浸漬させた後、生米(乾燥重量)100gあたり0.4gの食用油脂、及び生米(乾燥重量)100gあたり2U/gとなる量のリパーゼを加えて炊飯し、炊飯米(実施例1のサンプル)を得た。
(実施例2)
リパーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり16U/gとなる量のホスホリパーゼを用いたこと以外は実施例1と同様の手順で、炊飯米(実施例2のサンプル)を得た。
(比較例1)
食用油脂の量を、生米(乾燥重量)100gあたり0.8gとし、リパーゼを用いなかったこと以外は実施例1と同様の手順で、炊飯米(比較例1のサンプル)を得た。
(比較例2)
リパーゼを用いなかったこと以外は実施例1と同様の手順で、炊飯米(比較例2のサンプル)を得た。
(比較例3)
リパーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり0.6U/gとなる量のグルコースオキシダーゼを用いたこと以外は実施例1と同様の手順で、炊飯米(比較例3のサンプル)を得た。
(比較例4)
リパーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり0.04U/gとなる量のα-アミラーゼを用いたこと以外は実施例1と同様の手順で、炊飯米(比較例4のサンプル)を得た。
(比較例5)
リパーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり0.1U/gとなる量のマルトトリオシル転移酵素を用いたこと以外は実施例1と同様の手順で、炊飯米(比較例5のサンプル)を得た。
[官能評価]
実施例1、2及び比較例1~5の炊飯米の風味、食感(付着性、耐老化性)について官能評価を実施した。
実施例1、2及び比較例1~5の各サンプルの風味の評価は、2名の専門パネルが、炊きたての各炊飯米の風味を、下記の基準で評点付けすることにより行った。
[風味の評価基準]
5:米飯(炊飯米)本来の風味が非常に強い
4:米飯本来の風味が強い
3:米飯本来の風味がやや強い
2:米飯本来の風味が少し弱い
1:米飯本来の風味が弱い
実施例1、2及び比較例1~5の各サンプルの食感(付着性)の評価は、2名の専門パネルが、炊きたての各炊飯米を食し、下記の基準で評点付けすることにより行った。
[食感(付着性)の評価基準]
5:米同士の付着が非常に少なく粒感が強い
4:米同士の付着が少なく粒立ちがしっかりしている
3:米同士の付着がやや少なく、粒立ちがある
2:米同士の付着が強く、べたつく
1:米同士の付着がかなり強く、練られ感がある
実施例1、2及び比較例1~5の各サンプルの食感(耐老化性)の評価は、2名の専門パネルが、炊飯から1日間、18℃で保管した各炊飯米を食し、下記の基準で評点付けすることにより行った。ここで「老化食感」とは、粘りが低く、硬くボソつくような食感をいう。
[食感(耐老化性)の評価基準]
5:老化食感がない
4:老化食感がほとんどない
3:老化食感が少しある
2:老化食感が強い
1:老化食感が非常に強い
結果を下表1に示す。
表1に示されるように、生米100gあたり0.8gの食用油脂を添加した比較例1のサンプルは、米飯本来の風味が弱いものであった。
生米100gあたり0.4gの食用油脂を添加した比較例2のサンプルは、米飯本来の風味は非常に強かったが、米同士の付着がかなり強いものであった。
生米100gあたり0.4gの食用油脂に加えて、グルコースオキシダーゼ、α-アミラーゼ又はマルトトリオシル転移酵素を添加した比較例3~5は、米同士の付着が強いものであった。
一方、生米100gあたり0.4gの食用油脂に加えて、リパーゼ、ホスホリパーゼを添加した実施例1、2は、米飯本来の風味は非常に強く、かつ米同士の付着が少なく粒立ちがしっかりしているものであった。
<試験例2>
[試験サンプル(炊飯米)の作製]
(実施例3)
生米(品種「ひとめぼれ」)400gを市水にて洗米(研ぎ20回、水入れ換え5回)して、市販の炊飯器(三菱電機社製「炭炊釜 NJ-LH064-R」)に投入し、吸水分も含め、生米(乾燥重量)100gあたり140gの市水を投入し、1時間浸漬させた後、生米(乾燥重量)100gあたり0.4gの食用油脂、生米(乾燥重量)100gあたり2U/gとなる量のリパーゼ、及び生米(乾燥重量)100gあたり0.6U/gとなる量のグルコースオキシダーゼを加えて炊飯し、炊飯米(実施例3のサンプル)を得た。
(実施例4)
グルコースオキシダーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり0.1U/gとなる量のトランスグルタミナーゼを用いたこと以外は実施例3と同様の手順で、炊飯米(実施例4のサンプル)を得た。
(実施例5)
グルコースオキシダーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり0.04U/gとなる量のα-アミラーゼを用いたこと以外は実施例3と同様の手順で、炊飯米(実施例5のサンプル)を得た。
(実施例6)
グルコースオキシダーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり0.1U/gとなる量のマルトトリオシル転移酵素を用いたこと以外は実施例3と同様の手順で、炊飯米(実施例6のサンプル)を得た。
[官能評価]
実施例3~6の各サンプルの風味、食感(付着性、耐老化性)について、試験例1と同様の方法で官能評価を実施した。
結果を下表2に示す。表2には、実施例3~6の結果に加えて、試験例1の比較例2の結果も併記した。
上述の通り、生米100gあたり0.4gの食用油脂を添加した比較例2のサンプルは、米飯本来の風味は非常に強かったが、米同士の付着がかなり強いものであった。
生米100gあたり0.4gの食用油脂に加えて、リパーゼ及びグルコースオキシダーゼ、リパーゼ及びトランスグルタミナーゼ、あるいはリパーゼ及びα-アミラーゼを添加した実施例3~5は、米飯本来の風味は非常に強く、かつ米同士の付着が非常に少なく粒感が強いものであった。
また、生米100gあたり0.4gの食用油脂に加えて、リパーゼ及びマルトトリオシル転移酵素を添加した実施例6は、米飯本来の風味は非常に強く、かつ米同士の付着が少なく粒立ちがしっかりしているものであった。
さらに実施例5及び6は、炊飯から1日後においても、老化食感がほとんどなかった。
<試験例3>
[試験サンプル(炊飯米)の作製]
(実施例7)
生米(品種「ひとめぼれ」)400gを市水にて洗米(研ぎ20回、水入れ換え5回)して、市販の炊飯器(三菱電機社製「炭炊釜 NJ-LH064-R」)に投入し、吸水分も含め、生米(乾燥重量)100gあたり140gの市水を投入し、1時間浸漬させた後、生米(乾燥重量)100gあたり0.4gの食用油脂、生米(乾燥重量)100gあたり2U/gとなる量のリパーゼ、生米(乾燥重量)100gあたり0.6U/gとなる量のグルコースオキシダーゼ、及び生米(乾燥重量)100gあたり0.04U/gとなる量のα-アミラーゼを加えて炊飯し、炊飯米(実施例7のサンプル)を得た。
(実施例8)
α-アミラーゼに代えて、生米(乾燥重量)100gあたり0.1U/gとなる量のマルトトリオシル転移酵素を用いたこと以外は実施例7と同様の手順で、炊飯米(実施例8のサンプル)を得た。
[官能評価]
実施例7及び8の各サンプルの風味、食感(付着性、耐老化性)について、試験例1と同様の方法で官能評価を実施した。
結果を下表3に示す。表3には、実施例7及び8の結果に加えて、試験例1の比較例2及び試験例2の実施例3の結果も併記した。
上述の通り、生米100gあたり0.4gの食用油脂を添加した比較例2のサンプルは、米飯本来の風味は非常に強かったが、米同士の付着がかなり強いものであった。
一方、表3に示されるように、生米100gあたり0.4gの食用油脂に加えて、リパーゼ、グルコースオキシダーゼ及びα―アミラーゼ、あるいはリパーゼ、グルコースオキシダーゼ及びマルトトリオシル転移酵素を添加した実施例7及び8は、米飯本来の風味は非常に強く、かつ米同士の付着が非常に少なく粒感が強いものであった。
さらに実施例7及び8は、炊飯から1日後においても、老化食感がなかった。
本発明によれば、米飯食品本来の好ましい風味を有し、食感(付着性等)が改質された米飯食品の製造方法を提供できる。
本発明によれば、米飯食品本来の好ましい風味を有し、食感(付着性等)が改質された米飯食品の製造に好適に用いられ得る酵素組成物を提供できる。
本発明によれば、米飯食品の食感(付着性等)を、米飯食品本来の好ましい風味が損なわれることを抑えて、改質し得る。

Claims (9)

  1. 生米に、油脂、並びに(A)リパーゼあるいはリパーゼ及びホスホリパーゼを添加することを含む、米飯食品の製造方法。
  2. (B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つを添加することを更に含む、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記(B)が、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項2記載の製造方法。
  4. 前記(B)が、下記(i)~(xii)のいずれかである、請求項2又は3記載の製造方法。
    (i)グルコースオキシダーゼ
    (ii)トランスグルタミナーゼ
    (iii)α-アミラーゼ
    (iv)マルトトリオシル転移酵素
    (v)グルコースオキシダーゼ及びα-アミラーゼ
    (vi)グルコースオキシダーゼ及びマルトトリオシル転移酵素
    (vii)グルコースオキシダーゼ及びβ-アミラーゼ
    (viii)グルコースオキシダーゼ及びグルコアミラーゼ
    (ix)グルコースオキシダーゼ及びα-グルコシダーゼ
    (x)グルコースオキシダーゼ及びブランチングエンザイム
    (xi)グルコースオキシダーゼ及びマルトテトラオース生成酵素
    (xii)グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ
  5. (A)リパーゼあるいはリパーゼ及びホスホリパーゼを含有する酵素組成物であって、
    生米に油脂を添加することを含む、米飯食品の製造方法において当該生米に添加するためのものである、組成物。
  6. (B)糖質改質酵素及び蛋白質架橋酵素からなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、請求項記載の組成物。
  7. 前記(B)が、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、マルトトリオシル転移酵素、マルトテトラオース生成酵素、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項記載の組成物。
  8. 前記(B)が、下記(i)~(xii)のいずれかである、請求項6又は7記載の組成物。
    (i)グルコースオキシダーゼ
    (ii)トランスグルタミナーゼ
    (iii)α-アミラーゼ
    (iv)マルトトリオシル転移酵素
    (v)グルコースオキシダーゼ及びα-アミラーゼ
    (vi)グルコースオキシダーゼ及びマルトトリオシル転移酵素
    (vii)グルコースオキシダーゼ及びβ-アミラーゼ
    (viii)グルコースオキシダーゼ及びグルコアミラーゼ
    (ix)グルコースオキシダーゼ及びα-グルコシダーゼ
    (x)グルコースオキシダーゼ及びブランチングエンザイム
    (xi)グルコースオキシダーゼ及びマルトテトラオース生成酵素
    (xii)グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ
  9. 生米に油脂、並びに(A)リパーゼあるいはリパーゼ及びホスホリパーゼを添加することを含む、米飯食品の改質方法。
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