しかしながら、上記特許文献1に記載の先行技術では、ユニット建物の躯体に設けられた上記矩形枠状の部分が耐力フレームで補強されているものの、上述したように、建物ユニットの天井フレームは、その一部が開放された状態となっている。このため、建物ユニットの躯体単体では、構造耐力を確保することが困難となることが考えられる。
本発明は上記事実を考慮し、天井高の高い部分を複数の建物ユニットにかかる範囲に設定することができると共に、建物ユニットの躯体の構造耐力を確保することができるユニット建物の天井構造を得ることが目的である。
第1の態様に係るユニット建物の天井構造は、隣接する建物ユニット同士の境界部側に当該建物ユニットのそれぞれに対して設けられ、当該建物ユニットの躯体における建物上方側の部分の外周部の一部を構成し、長手方向の両端部を構成する一般部と、長手方向中央側に配置されて当該一般部同士を繋ぐと共に当該一般部よりも梁せいが小さく設定されかつ底面部が当該一般部の底面部よりも建物高さ方向上側に配置された繋ぎ部と、を含んで構成された括れ天井梁を有している。
第1の態様に係るユニット建物の天井構造では、隣接する建物ユニット同士の境界部側に当該建物ユニットのそれぞれに対して括れ天井梁が設けられている。この括れ天井梁は、建物ユニットの躯体における建物上方側の部分の外周部の一部を構成している。
ところで、ユニット建物に天井高の高い部分を複数の建物ユニットにかかる範囲に設定するにあたって、建物ユニットの躯体における建物上方側の部分の外周部の一部を省略することが考えられる。しかしながら、このような構成を適用すると、建物ユニットの躯体の構造耐力を確保することが困難となることが考えられる。
ここで、本態様では、括れ天井梁が、その長手方向の両端部を構成する一般部と、その長手方向中央側に配置されて当該一般部同士を繋ぐ繋ぎ部とを含んで構成されている。そして、繋ぎ部は、一般部よりも梁せいが小さくかつ底面部が一般部の底面部よりも建物高さ方向上側に配置されている。
このため、隣接する建物ユニット同士の境界部において、天井高の高い部分を設定することができる。また、建物ユニットの躯体における建物上方側の部分の外周部は、連続した構造体となるため、ユニット建物に作用する垂直方向の力や水平方向の力を当該外周部全体で支持することができる。
第2の態様に係るユニット建物の天井構造は、第1の態様に係るユニット建物の天井構造において、前記一般部と、前記繋ぎ部と、は、別体で構成され、前記一般部の前記繋ぎ部側の端部には、当該繋ぎ部側に面する取付面部を備えた取付板部が設けられ、前記繋ぎ部の端部は、前記取付面部に接合されている。
第2の態様に係るユニット建物の天井構造では、括れ天井梁の一般部と繋ぎ部とが別体で構成されている。そして、一般部の繋ぎ部側の端部には、当該繋ぎ部側に面する取付面部を備えた取付板部が設けられており、当該繋ぎ部の端部が当該取付面部に接合されている。このため、一般部と繋ぎ部とが一体である構成に比し、ユニット建物に必要な天井高や建物ユニットに必要な構造耐力に応じて、繋ぎ部の形状や材質等を変更することが容易となる。
第3の態様に係るユニット建物の天井構造は、第2の態様に係るユニット建物の天井構造において、記一般部は、建物上方側にフランジ部を備えた溝形鋼で構成され、前記取付板部から前記フランジ部に荷重を伝達可能な荷重伝達部をさらに有している。
第3の態様に係るユニット建物の天井構造では、括れ天井梁の繋ぎ部に作用する荷重が、取付板部を介して括れ天井梁の一般部に伝達されて、当該一般部で支持される。
第4の態様に係るユニット建物の天井構造は、第2の態様又は第3の態様に係るユニット建物の天井構造において、前記繋ぎ部は、前記括れ天井梁の長手方向に延在すると共に当該長手方向から見て当該長手方向と直交する方向に隣接する複数の管材で構成されている。
第4の態様に係るユニット建物の天井構造では、繋ぎ部が複数の管材で構成されており、これらの管材は、括れ天井梁の長手方向に延在すると共に当該長手方向から見て当該長手方向と直交する方向に隣接している。
ところで、繋ぎ部を1本の管材で構成しつつ、当該繋ぎ部の梁せいを小さくするような構成において、当該繋ぎ部の曲げ剛性を確保しようとすると、当該管材の板厚を厚く設定したり、当該管材の材質の強度を高くすることが必要となる。しかしながら、繋ぎ部を構成する管材に上記の条件を満たすものを採用することは、コスト等の観点においては好ましくない。
ここで、本態様では、上述したように、繋ぎ部が括れ天井梁の長手方向と直交する方向に隣接する複数の管材で構成されているため、繋ぎ部に板厚が薄い管材や材質の強度が低い管材を採用しても繋ぎ部の曲げ剛性を確保することが容易となる。
第5の態様に係るユニット建物の天井構造は、第4の態様に係るユニット建物の天井構造において、前記複数の管材は、前記括れ天井梁の長手方向から見た断面が矩形状とされると共に、当該長手方向から見て建物高さ方向と直交する方向に隣接して配置されている。
第5の態様に係るユニット建物の天井構造では、括れ天井梁の繋ぎ部を構成する複数の管材における当該括れ天井梁の長手方向から見た断面が、それぞれ矩形状とされている。また、これらの管材は、括れ天井梁の長手方向から見て建物高さ方向と直交する方向に隣接して配置されている。
このため、複数の管材における括れ天井梁の長手方向から見た断面をそれぞれ矩形状にすると共に、これらの管材を当該長手方向から見て建物高さ方向に隣接して配置するような構成に比し、建物高さ方向の荷重に対する繋ぎ部の曲げ剛性を確保し易くなる。
第6の態様に係るユニット建物の天井構造は、第1の態様~第5の態様の何れか1態様に係るユニット建物の天井構造において、前記一般部に対して取り付けられた第1天井材と、前記繋ぎ部に対して取り付けられた第2天井材と、をさらに有している。
第6の態様に係るユニット建物の天井構造では、括れ天井梁の一般部に対して第1天井材が取り付けられており、括れ天井梁の繋ぎ部に対して第2天井材が取り付けられている。このため、複数の建物ユニットにかかる範囲に折上げ天井を設けることができる。
第7の態様に係るユニット建物の天井構造は、第6の態様に係るユニット建物の天井構造において、前記括れ天井梁は、第1方向に3つ以上連なって配置された前記建物ユニットにおいて、当該第1方向に隣接する当該建物ユニット同士の境界部側に配置されている。
第7の態様に係るユニット建物の天井構造では、3つ以上の建物ユニットにかかる範囲に折上げ天井を設けることができる。
以上説明したように、第1の態様に係るユニット建物の天井構造では、天井高の高い部分を複数の建物ユニットにかかる範囲に設定することができると共に、建物ユニットの躯体の構造耐力を確保することができるという優れた効果を有する。
第2の態様に係るユニット建物の天井構造では、ユニット建物に必要な天井高や建物ユニットに必要な構造耐力に応じて、建物ユニットの躯体を設計することを容易なものにすることができるという優れた効果を有する。
第3の態様に係るユニット建物の天井構造では、建物ユニットの躯体に応力の集中箇所が発生することを抑制することができるという優れた効果を有する。
第4の態様に係るユニット建物の天井構造では、建物ユニットの躯体の構造耐力を確保しつつ、コストの低減を図ることができるという優れた効果を有する。
第5の態様に係るユニット建物の天井構造では、建物ユニットの躯体を建物高さ方向の力に対して変形しにくくすることができるという優れた効果を有する。
第6の態様に係るユニット建物の天井構造では、室内の開放感を演出することができるという優れた効果を有する。
第7の態様に係るユニット建物の天井構造では、天井の広範囲に折上げ天井を設けることができるという優れた効果を有する。
<第1実施形態>
以下、図1~図6を用いて、本発明の第1実施形態に係るユニット建物の天井構造について説明する。まず、図4を主に用いて、本実施形態に係るユニット建物の天井構造が適用されたユニット建物としての「建物10」の全体構造について説明する。
建物10は、図示しない基礎と、基礎の建物高さ方向上側に第1方向に複数連なって配置された複数の「建物ユニット12、14、16」とを備えている。また、建物ユニット12、14、16は、建物高さ方向から見て第1方向と直交する第2方向を長手方向とされて配置されている。なお、各図において、建物10の桁行方向(以下、桁行方向と称する)を矢印Xで示し、建物10の梁間方向(以下、梁間方向と称する)を矢印Yで示し、建物10の高さ方向(以下、高さ方向と称する)を矢印Zで示している。また、上述した第1方向は、桁行方向と同一方向であり、上述した第2方向は、梁間方向と同一方向である。
建物ユニット12、14、16は、基本的に同様の構成とされているため、これらの内、桁行方向中央に配置された建物ユニット12を例に挙げて、説明を続けていくこととする。この建物ユニット12は、図3に示されるように、躯体としての「フレーム18」を備えており、フレーム18は、その高さ方向上側の部分を構成する天井フレーム20、その高さ方向下側の部分を構成する床フレーム22及び4本の柱24を含んで構成されている。
詳しくは、天井フレーム20は、括れ天井梁としての一対の「天井大梁26」及び天井大梁26よりも短い長さに設定されると共に溝形鋼で構成された一対の天井大梁28を備えている。そして、天井大梁26、28が矩形枠状に配置されると共に、天井大梁26の端部と天井大梁28の端部とが高さ方向に延びる角筒状の仕口部30で連結されることで、天井フレーム20の外周部が構成されている。そして、天井大梁26間には、複数の天井小梁32が所定の間隔で架け渡されている。
一方、床フレーム22は、各々溝形鋼によって構成された長短二種類の床大梁34、36が矩形枠状に配置されると共に、床大梁34の端部と床大梁36の端部とが高さ方向に延びる角筒状の仕口部38で連結されることで、その外枠が構成されている。そして、床大梁34間には、複数の床小梁40が所定の間隔で架け渡されている。
柱24は、建物高さ方向から見た断面形状が矩形の筒状とされており、建物高さ方向に対向する仕口部30と仕口部38とを連結している。
ここで、本実施形態では、図1にも示されるように、天井大梁26が、一対の「一般部42」、一対の「取付板部44」及び「繋ぎ部46」を含んで構成されている点に特徴がある。以下、天井大梁26の構成について詳細に説明していくこととする。
一対の一般部42は、それぞれ天井大梁26の端部を構成しており、天井大梁28と同様に溝形鋼で構成されている。より詳しくは、一般部42は、その高さ方向上側の部分を構成する「フランジ部42A」と、その高さ方向下側の部分を構成するフランジ部42Bと、フランジ部42Aとフランジ部42Bとを建物ユニット12の外側で繋ぐウェブ部42Cとを含んで構成されている。
なお、一般部42における梁間方向一方側の(天井大梁26の長手方向中央側の)端部42Dから所定の間隔をあけた箇所には、支持板部48が設けられており、支持板部48には、天井小梁32の端部が溶接等による図示しない接合部で接合されている。
取付板部44は、一般部42の端部42Dに配置されると共に、梁間方向から見て一般部42の内周に納まる鋼製の板材とされており、建物ユニット12の外側の周縁部が溶接等による図示しない接合部で一般部42の内周面に接合されている。そして、取付板部44における梁間方向一方側の取付面部としての「平面部44A」には、繋ぎ部46が取り付けられている。
繋ぎ部46は、2本の鋼製の「管材50」を含んで構成されており、これらの管材50は、梁間方向に延在すると共に、桁行方向に隣接して配置されている。この管材50は、梁間方向から見た断面が矩形状とされていると共に、その「端部50A」が溶接等による図示しない接合部で平面部44Aに接合されている。なお、ここでいう矩形状には、角部が円弧状となっている等完全な矩形状でないような構成も含まれる。そして、建物ユニット12の内側に配置された管材50には、天井小梁32の端部が溶接等による図示しない接合部で接合されている。
また、図2にも示されるように、管材50の高さ方向の長さは、一般部42の高さ方向の長さの4分の1~3分の1程度の長さに設定されている。すなわち、天井大梁26は、繋ぎ部46の梁せいが一般部42の梁せいよりも小さく設定されている。換言すれば、天井大梁26は、その長手方向中央側が、括れた状態となっている。
なお、管材50の上面部50Bの高さは、一般部42の上面部42Eの高さと一致しており、管材50の「底面部50C」は、一般部42の「底面部42F」よりも高さ方向上側に配置されている。
さらに、管材50の梁間方向の長さは、一例として、天井大梁26の梁間方向の長さの7~8割程度の長さに設定されている。
なお、天井大梁26は、図4に示されるように、建物ユニット12の桁行方向一方側に配置された建物ユニット14の躯体としての「フレーム52」の天井フレーム54における建物ユニット12側の部分に設けられている。また、天井大梁26は、建物ユニット12の桁行方向他方側に配置された建物ユニット16の躯体としての「フレーム56」の天井フレーム58における建物ユニット12側の部分にも設けられている。
そして、図2に示されるように、建物ユニット12と建物ユニット14との境界部には、第1天井材としての「天井材60、62」及び第2天井材としての「天井材64、66」が配置されている。
詳しくは、建物ユニット12の天井大梁26において、一般部42のフランジ部42Bにおける建物ユニット12の内側の部分の高さ方向下側に、2枚の天井材60が配置されている。天井材60は、板厚方向を高さ方向とされた板状とされると共に、高さ方向に重ねられた状態でかつ下地材68を介した状態で、ネイル70(取付部材)によってフランジ部42Bに取り付けられている。
また、建物ユニット14の天井大梁26のフランジ部42Bにおける建物ユニット14の内側の部分にも、建物ユニット12と同様に、天井材60及び下地材68が取り付けられている。
一方、建物ユニット12側のフランジ部42Bにおける建物ユニット12の外側の部分及び建物ユニット14側のフランジ部42Bにおける建物ユニット14の外側の部分の高さ方向下側には、2枚の天井材62が配置されている。
天井材62は、板厚方向を高さ方向とされた板状とされると共に、高さ方向に重ねられた状態でかつ下地材68を介した状態で、ネイル72(取付部材)によってフランジ部42Bに取り付けられている。つまり、天井材62は、建物ユニット12と建物ユニット14との境界部に配置されている。
一方、建物ユニット12の繋ぎ部46における建物ユニット12の内側の管材50の高さ方向下側には、2枚の天井材64が配置されている。天井材64は、板厚方向を高さ方向とされた板状とされると共に、高さ方向に重ねられた状態でかつ下地材74を介した状態で、ネイル76(取付部材)によって管材50に取り付けられている。
また、建物ユニット14の繋ぎ部46における建物ユニット14の内側の管材50にも、建物ユニット12と同様に、天井材64及び下地材74が取り付けられている。
一方、建物ユニット12側の繋ぎ部46における建物ユニット12の外側の管材50及び建物ユニット14側の繋ぎ部46における建物ユニット14の外側の管材50の高さ方向下側には、2枚の天井材66が配置されている。
天井材66は、板厚方向を高さ方向とされた板状とされると共に、高さ方向に重ねられた状態でかつ下地材74を介した状態で、ネイル78(取付部材)によって管材50に取り付けられている。つまり、天井材66は、建物ユニット12と建物ユニット14との境界部に配置されている。
なお、建物ユニット12と建物ユニット16との境界部においても、建物ユニット12と建物ユニット14との境界部と同様に、天井材60、62、64、66が設けられている。
そして、上記のように天井材60、62、64、66が配置されることで、建物10には、図4及び図5に示されるように、建物ユニット12、14、16に亘る範囲において、折上げ天井80が設けられている。なお、折上げ天井80の周壁部を構成する天井材82は、取付板部44や天井小梁32に図示しない下地材や図示しない取付ブラケットを介して取り付けられている。
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、図4に示されるように、隣接する建物ユニット12と建物ユニット14との境界部側に建物ユニット12、14のそれぞれに対して天井大梁26が設けられている。また、隣接する建物ユニット12と建物ユニット16との境界部側に建物ユニット12、16のそれぞれに対して天井大梁26が設けられている。そして、天井大梁26は、フレーム18、52、56における建物上方側の部分の外周部の一部を構成している。
ところで、建物10に天井高の高い部分を建物ユニット12、14、16にかかる範囲に設定するにあたって、フレーム18、52、56における建物上方側の部分の外周部の一部を省略することが考えられる。しかしながら、このような構成を適用すると、フレーム18、52、56の構造耐力を確保することが困難となることが考えられる。
ここで、本実施形態では、図1に示されるように、天井大梁26が、その長手方向の両端部を構成する一般部42と、その長手方向中央側に配置されて一般部42同士を繋ぐ繋ぎ部46とを含んで構成されている。そして、繋ぎ部46は、一般部42よりも梁せいが小さく設定されると共に、繋ぎ部46を構成する管材50の底面部50Cが、一般部42の底面部42Fよりも高さ方向上側に配置されている。
このため、建物ユニット12と建物ユニット14との境界部並びに建物ユニット12と建物ユニット16との境界部において、天井高の高い部分を設定することができる。また、フレーム18、52、56における建物上方側の部分の外周部は、連続した構造体となるため、建物ユニット12、14、16に作用する垂直方向の力や水平方向の力を当該外周部全体で支持することができる。
したがって、本実施形態に係る建物10では、天井高の高い部分を建物ユニット12、14、16にかかる範囲に設定することができると共に、フレーム18、52、56の構造耐力を確保することができる。
また、本実施形態では、天井大梁26の一般部42と繋ぎ部46とが別体で構成されている。そして、一般部42の繋ぎ部46側の端部には、繋ぎ部46側に面する平面部44Aを備えた取付板部44が設けられており、繋ぎ部46の端部50Aが平面部44Aに接合されている。このため、一般部42と繋ぎ部46とが一体である構成に比し、建物10に必要な天井高や建物ユニット12、14、16に必要な構造耐力に応じて、繋ぎ部46の形状や材質等を変更することが容易となる。
したがって、本実施形態では、建物10に必要な天井高や建物ユニット12、14、16に必要な構造耐力に応じて、フレーム18、52、56を設計することを容易なものにすることができる。
また、本実施形態では、繋ぎ部46が複数の管材50で構成されており、これらの管材50は、天井大梁26の長手方向に延在すると共に当該長手方向から見て当該長手方向と直交する方向に隣接している。
ところで、繋ぎ部46を1本の管材で構成しつつ、繋ぎ部46の梁せいを小さくするような構成において、繋ぎ部46の曲げ剛性を確保しようとすると、当該管材の板厚を厚く設定したり、当該管材の材質の強度を高くすることが必要となる。しかしながら、繋ぎ部46を構成する管材に上記の条件を満たすものを採用することは、コスト等の観点においては好ましくない。
ここで、本実施形態では、上述したように、繋ぎ部46が括れ天井梁の長手方向と直交する方向に隣接する複数の管材50で構成されているため、繋ぎ部46に板厚が薄い管材や材質の強度が低い管材を採用しても繋ぎ部46の曲げ剛性を確保することが容易となる。したがって、本実施形態では、フレーム18、52、56の構造耐力を確保しつつ、コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態では、繋ぎ部46を構成する複数の管材50における天井大梁26の長手方向から見た断面が、それぞれ矩形状とされている。また、これらの管材50は、天井大梁26の長手方向から見て高さ方向と直交する方向に隣接して配置されている。
このため、複数の管材における天井大梁26の長手方向から見た断面をそれぞれ矩形状にすると共に、これらの管材を当該長手方向から見て高さ方向に隣接して配置するような構成に比し、高さ方向の荷重に対する繋ぎ部46の曲げ剛性を確保し易くなる。したがって、本実施形態では、フレーム18、52、56を高さ方向の力に対して変形しにくくすることができる。
また、本実施形態では、図2に示されるように、天井大梁26の一般部42に対して天井材60、62が取り付けられており、天井大梁26の繋ぎ部46に対して天井材64、66が取り付けられている。このため、図4及び図5に示されるように、建物ユニット12、14、16にかかる範囲に折上げ天井80を設けることができる。したがって、本実施形態に係る建物10では、室内の開放感を演出することができる。
加えて、本実施形態では、3つの建物ユニット12、14、16にかかる範囲に折上げ天井80を設けることができるため、建物10の天井の広範囲に折上げ天井80を設けることができる。
なお、本実施形態では、図6(A)に示されるように、2本の管材50を天井大梁26の長手方向から見て高さ方向に隣接して配置して、繋ぎ部46を構成してもよい。このような構成によれば、建物10に入力される水平方向の荷重に対する繋ぎ部46の曲げ剛性が確保し易くなる。
また、本実施形態では、図6(B)に示されるように、繋ぎ部46周辺の構成等に応じて、管材50の天井大梁26の長手方向から見た断面形状を円形状としてもよい。
<第2実施形態>
以下、図7及び図8を用いて、本発明の第2実施形態に係るユニット建物の天井構造について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係るユニット建物の天井構造は、図7に示されるように、取付板部44から一般部42のフランジ部42Aに荷重を伝達可能な鋼製の「荷重伝達部90」を備えていることに特徴がある。
具体的には、荷重伝達部90は、縦板部90Aと横板部90Bとを含んで、桁行方向から見てL字状に屈曲された板状とされている。詳しくは、縦板部90Aは、板厚方向を梁間方向とされると共に梁間方向から見て繋ぎ部46の内側に納まる板状とされており、取付板部44における繋ぎ部46と反対側の面に溶接等による図示しない接合部で接合されている。
一方、横板部90Bは、板厚方向を高さ方向とされた板状とされると共に、縦板部90Aの高さ方向上側の周縁部から繋ぎ部46と反対側に延出されると共に、フランジ部42Aに溶接等による図示しない接合部で接合されている。
このような構成によれば、天井大梁26の繋ぎ部46に作用する荷重が、取付板部44を介して天井大梁26の一般部42に伝達されて、一般部42で支持される。したがって、本実施形態では、フレーム18、52、56に応力の集中箇所が発生することを抑制することができる。
なお、本実施形態では、図8に示されるように、荷重伝達部90に、縦板部90Aと横板部90Bとを繋ぐ補強プレート92を設けてもよい。このような構成によれば、繋ぎ部46から一般部42への荷重の伝達効率を向上させることができる。
<第3実施形態>
以下、図9を用いて、本発明の第3実施形態に係るユニット建物の天井構造について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、天井大梁26に代わって、括れ天井梁としての「天井大梁100」が設けられている。この天井大梁100は、全体が高張力鋼で構成された溝形鋼で構成されており、その長手方向の両端部が「一般部100A」とされており、その長手方向中央部が「繋ぎ部100B」とされている。
詳しくは、繋ぎ部100Bは、一般部100A同士を繋ぐと共に一般部100Aよりも梁せいが小さく設定されている。また、繋ぎ部100Bの底面部100B1は、一般部100Aの底面部100A1よりも高さ方向上側に配置されている。
このような構成によれば、基本的に上述した第1実施形態と同様の構成とされているため、第1実施形態に係るユニット建物の天井構造と同様の作用並びに効果を奏する。
また、本実施形態では、一般部100Aと繋ぎ部100Bとが一体とされており、フレーム18、52、56の構成を簡略化することができる。
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、繋ぎ部に下地材68を介して天井材64、66が取付られていたが、これに限らない。例えば、下地材68と天井材64、66との間にスペーサを設けることで、天井材の高さ方向上側にスペースを確保するような構成としてもよい。
(2) また、上述した実施形態では、3つの建物ユニットに亘る範囲において、折上げ天井80が設けられていたが、建物ユニット12を追加することで、3つ以上の建物ユニットに亘る範囲に折上げ天井80を設けることも可能である。
(3) さらに、上述した実施形態では、建物ユニットの躯体における長い方の天井大梁の長手方向中央側が括れた状態とされていたが、これに限らない。すなわち、短い方の天井大梁の長手方向中央側が括れた建物ユニットを、当該建物ユニットの長手方向に沿って複数配置して、折上げ天井を設けるような構成にしてもよい。