JP7332125B2 - 粘弾性を有する天然高分子化合物組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
食品以外の分野では、組織インプラントの製造技術であって、ゼラチンを水とグリセリンの混合物に溶解させ、その溶液にホルムアルデヒド水溶液を添加して架橋させ、混合物をホモジネートして乾燥させた後、さらにホルムアルデヒド水溶液で架橋させる技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。
また、ゼラチン-多価アルコール溶液とトランスグルタミナーゼとを混合し、50℃に暖めてゲル化させる技術が知られている(例えば、特許文献5参照)。
本発明に関する天然高分子化合物組成物において、前記多価アルコールまたはその誘導体は重合度1~10のオリゴグリセリンまたはその誘導体から成ることが好ましい。
前記架橋剤はトランスグルタミナーゼを含むことが好ましい。
前記親水性天然高分子化合物は分子量30,000以上100,000以下のゼラチンまたはコラーゲンペプチドから成ることが好ましい。
本発明に関する天然高分子化合物組成物は、多孔質体から成ることが好ましく、乾燥した多孔質体から成ることが特に好ましい。
前記起泡工程において、前記親水性天然高分子化合物溶液をホモミキサーにより回転数5000~20000rpmで5~40分間撹拌することが好ましい。
本発明に係る粘弾性を有する天然高分子化合物組成物の製造方法は、前記起泡工程後の前記親水性天然高分子化合物溶液を凍結乾燥させる。
本発明に関する医療材料は、前述の天然高分子化合物組成物を含むことを特徴とする。
本発明に関する医療材料としては、例えば、止血材料が挙げられる。
本発明の実施の形態の天然高分子化合物組成物は、多価アルコールまたはその誘導体を含む分子量30,000以上300,000以下の架橋した親水性天然高分子化合物を含む。
本発明の実施の形態の天然高分子化合物組成物は、ポリリジンや油脂などを使用せずに、水分のない状態で、高い粘弾性を有する。
天然高分子化合物組成物は、多孔質体から成ることが好ましく、乾燥した多孔質体から成ることが特に好ましい。多孔質体は、表面に吸水を容易にする微少な孔などが多数存在する構造であり、起泡または発泡による気泡を含んだ構造から成っても、編物、織物、不織布のような繊維構造から成ってもよい。多孔質にすることにより、水分を吸水した後のゲル強度が強化され、組成物の強度を上げることができる。また、多孔質体とすることにより、食品や生体組織に所定の期間、密着、固定させることができる。
架橋反応工程では、親水性天然高分子化合物溶液に架橋剤を0℃以上40℃以下で混合して架橋反応させることが好ましい。多価アルコールまたはその誘導体と、親水性天然高分子化合物と、架橋剤との配合比率としては、前述の配合比率が好ましい。
本発明の実施の形態の医療材料は、前述の天然高分子化合物組成物を含む。医療材料としては、例えば、止血材料が挙げられる。本発明の実施の形態の医療材料は、天然高分子化合物組成物により、高い粘弾性を有する。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を6:2:0.01の組成重量比で準備した。ゼラチン粉末は、分子量30,000以上300,000以下のものを用いた。トランスグルタミナーゼは、酵素活性86U/gのものを用いた。グリセリン:ゼラチン粉末:水の重量比が6:2:4の水溶液を作製し、この水溶液を25℃に保ち、トランスグルタミナーゼを添加した。この混合水溶液を冷蔵庫に入れ、5℃で一昼夜反応させた。その後、ホモミキサーを用いて、回転数18000rpmで10分間撹拌し、均質化した。撹拌後の溶液をシャーレに流延し、-80℃の冷凍庫に6時間入れてゼラチン水溶液を凍結させた後、凍結乾燥機中で48時間、凍結乾燥処理した。こうして、架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を0:2:0.01の組成重量比で準備した点を除き、実施例1と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体を作製した。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を6:2:0の組成重量比で準備した点を除き、実施例1と同様の方法でゼラチン多孔質体を作製した。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を6:2:0.01の組成重量比で準備した。グリセリン:ゼラチン粉末:水の重量比が6:2:4の水溶液を作製し、この水溶液を25℃に保ち、トランスグルタミナーゼを添加した。この混合水溶液をシャーレに流延し、-80℃の冷凍庫に6時間入れてゼラチン水溶液を凍結させた後、凍結乾燥機中で48時間、凍結乾燥処理した。こうして、架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を1.2:2:0.01の組成重量比で準備した点を除き、実施例1と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を10:2:0.01の組成重量比で準備した点を除き、実施例1と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を6:2:0.025の組成重量比で準備した点を除き、実施例1と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を6:2:0.002の組成重量比で準備した点を除き、実施例1と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
ゼラチン粉末(ニッピ社製)の代わりにペプチドコラーゲン(ニッピ社製:分子量30000)を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリン:ヒドロキシプロピルセルロース(ダウケミカル社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を6:0.5:0.01の組成重量比で準備した点を除き、実施例2と同様の方法で架橋天然高分子多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
ゼラチン粉末(ニッピ社製)の代わりにペプチドコラーゲン(ニッピ社製:分子量10000以下)を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリンの代わりにプロピレングリコールを用いた点を除き、実施例2と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリンの代わりにエタノールを用いた点を除き、実施例2と同様の方法で天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリンの代わりにデカグリセリンモノラウリン酸エステル(三菱ケミカルフーズ社製)を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で架橋ゼラチン多孔質体から成る天然高分子化合物組成物を作製した。
グリセリンの代わりにデカグリセリンオレイン酸エステルを用いた点を除き、実施例2と同様の方法で天然高分子化合物組成物を作製した。
、実施例1~6および比較例1,2でそれぞれ作製したものから1cm×1cmの大きさの試験材料を準備し、豚レバーの切り身(200g程度)に対する吸着性を調べた。その結果を表2に示す。
Claims (2)
- 分子量30,000以上300,000以下のゼラチンまたはコラーゲンペプチドのみを重合度1~10のオリゴグリセリンの水溶液に溶解させて親水性天然高分子化合物溶液を調製する溶液調製工程と、
前記親水性天然高分子化合物溶液にトランスグルタミナーゼを混合して架橋反応させる架橋反応工程と、
架橋反応させた前記親水性天然高分子化合物溶液を攪拌して泡を生じさせる起泡工程とを有し、
前記起泡工程後の前記親水性天然高分子化合物溶液を凍結乾燥させることを、
特徴とする粘弾性を有する天然高分子化合物組成物の製造方法。 - 前記起泡工程において、前記親水性天然高分子化合物溶液をホモミキサーにより回転数5000~20000rpmで5~40分間撹拌することを特徴とする請求項1記載の粘弾性を有する天然高分子化合物組成物の製造方法。
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