JP2004534023A - ゼラチン代用物 - Google Patents
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Abstract
カプセルまたはマイクロカプセルの製造に適した、植物由来タンパク質の使用法であって、該タンパク質は、(a)40kD以上の分子量をもち、かつ(b)水溶性であり、乾燥すると透明な膜を生じさせうる清澄な水溶液を生成させることができる使用法。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた物理特性をもち、多様な応用範囲、特に薬剤用カプセル製品において、ゼラチンに代わって使用することが可能な新規の植物性タンパク質(プロテイン)由来材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンは、水の中でコロイド溶液を形成する物質である親水コロイドで、有用な性質のユニークな組み合せを示す。これらの性質には、水溶性、溶液粘性、熱可逆性ゼラチン特性、および丈夫で透明、柔軟、かつ光沢の高い膜を形成できることなどがある。さらに、このゲルは体温で溶け、膜は消化されるときに溶解する。また、ゼラチンは天然産物であり、タンパク質として、食品添加物ではなく食品に分類される。
【0003】
ゼラチンの商業利用は、食品、医薬品、医療、写真、化粧品、および技術製品などでの利用を含む広範な産業において確立されている。商業上、ゼラチンの主な利用法は、製薬産業においてハードカプセルおよびソフトカプセルを製造することにあり、そこでは、ゼラチンが透明、柔軟、かつ光沢のあるカプセル壁を形成できることが重要である。ゼラチン製カプセルが胃の中で溶解できることも必要なことである。また、ゼラチンは、食用または医薬用に油脂やビタミン(特にビタミンAおよびE)をマイクロカプセル化するためにも使用される。
【0004】
ゼラチンは、さまざまな等級のものが利用でき、それぞれ平均分子量が異なる。商業的には、ゼラチンは、標準的な試験条件下でゲル強度(ブルーム値(Bloom value))によって等級分けされる傾向にあるが、通常、カプセル化に利用する場合には粘度も重要なパラメータである。このような応用場面では、ゼラチンは、一般的に100〜200gのブルームゲル強度をもち、粘度(6.67%溶液について60℃で試験)は2.0〜5.5mPasである。ゼラチンの試験法で広く一般的に認められたものがなく、平均分子量の値も、使用される試験法や試験手順によってさまざまに異なることがあるため、分子量の値は通常引用されない。しかし、サイズ排除HPLC法によると、上記ゼラチンは、一般的に平均分子量80,000〜200,000ダルトンの重さをもつ。低分子量のゼラチンが利用可能であり、非ゲル化ゼラチンは、ゼラチンを慎重に加水分解して5000〜30,000ダルトン単位の平均分子量に重量を落とすことによって製造することができる。しかしながら、これら低分子量ゼラチンは、劣った物理的性質を示す。
【0005】
上記したように、ゼラチンは、油脂のマイクロカプセル化に広く使用されている。これらのマイクロカプセルは、通常、顆粒状の粉末または小ビーズの形状となっていて、例えば米国特許第5120761号明細書に記載されているように、まずゼラチン溶液の中で油相を乳化し、次に乳化液を(流動化したスターチベッド(starch bed)の中に)吹き付け乾燥または吹き付け冷却することによって生成させることができる。ゼラチンが乳化液を安定化できることは、重要な特徴である。製品のコストを下げるため、砂糖やデキストリンを含有させることによってゼラチンを引き延ばすことができる。ゼラチンは、空気による酸化を防止する、マイクロカプセル壁の障壁機能に関与し、そしてまた、マイクロカプセルが圧縮されて破損のない錠剤を形成できるようにする物理的強度を付与することができる。ゲル化ゼラチンも一部加水分解ゼラチンも使用することが可能であるが、その重量よりも小さくなると乳化特性およびマイクロカプセル壁強度が十分でなくなるという最低分子量が存在する。米国特許第5120761号明細書には、最小限度は15,000ダルトンであると記載されている。
【0006】
ゼラチンが示す傑出した性質にもかかわらず、特に製薬産業において、ゼラチンに代わるものが目下求められている。これは、一部は、非動物性製品に移行したいという希望を生み出している宗教的および菜食主義的圧力によるところがある。BSE(ウシ海綿状脳症)による危険性をもたらすという、ゼラチンに対する根拠のない懸念も、代用物に対する関心を煽っている。
【0007】
魚コラーゲン由来のゼラチンを使用することによって、哺乳動物性ゼラチンから移行したいという希望をある程度までは叶えることができるが、これは、菜食主義者を満足させることはできず、場合によっては、世界的には原料供給量に限度があるため、魚ゼラチンは限定された量でしか商業上利用することができない。理想的には、ゼラチン代用物は、天然由来で非動物性のものがよい。本質的には、これは植物由来の原料を意味する。
【0008】
この要件に合わせるため、米国特許第5264223号および第5431917号の明細書に記載されているように、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)をゼラチンの代替物として用いてハードカプセルを製造するのに成功している。HPMCにゲル化能力がない点は、ゲル化剤であるカラギナンを、ゲル化促進剤(塩化カリウム)とともに含有させることによって補われている。このようなハードカプセルは、これまでのゼラチン製ハードカプセルがもつ望ましい特徴の多くを示すとともに、実際にいくつか有益な点もあると主張されているが、それらは、透明で光沢のある所望の外観を持たないと考えられている。さらに、HPMCは化学修飾されたセルロースであるため、天然の産物とは見なされず、食品添加物と考えられている。
【0009】
ソフトカプセルを製造するための従来の回転ダイ法(rotary−die process)に代わるものが、最近になって国際公開公報第WO97/3553号のPCT明細書に記載されている。これは、予め形成させておいたポリマー素材の膜を直接用い、この膜に溶媒を塗布して、カプセル壁のヒートシールを補助することによって、ゼラチンの使用を避ける(また、溶液の使用も避ける)。好適な素材はポリビニルアルコール(PVA)であると言われており、好ましくは、グリセリンによって可塑化されている。しかし、この合成ポリマー素材は、内服用カプセルの製造には適しておらず、工業的に利用するためのソフトカプセルの製造に限られている。この製造法において有用であると主張されているその他のポリマー膜素材は、アルギン酸塩、HPMC、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、およびアルファ化デンプンである。これらのうち、アルギン酸塩とアルファ化デンプンのみが、天然の植物由来の原料として記載することができる。このような素材を用いて作成されたカプセルの外観や、物理特性のようなそれらの目的適合性に関する情報はない。
【0010】
最近、伝統的なポリアルコールによって可塑化されたジャガイモデンプンを主原料とするソフトカプセルが、スイス・キャップスAG社(Swiss Caps AG)の2000年7月27日付け販売促進用文献に記載されている。押し出し成形された素材を用いて、従来の回転ダイ機械に送り込む。ソフトカプセルは、滑らかでつややかな表面をもつと主張されているが、透明性がなく、5℃よりも低温では物理特性も劣っている(すなわち脆い)。
【0011】
国際公開公報第WO98/26766号のPCT明細書には、植物由来のプロラミンを使用して、ゼラチンに代わるものとしてカプセル化用膜を形成することが開示されているが、形成された膜が透明であるか否かは記載されていない。プロラミンは、穀類だけに存在するタンパク質の一種であって、水や無水アルコールには不溶であるが、50〜90%アルコールには可溶性で、10,000〜40,000ダルトン台という比較的低い分子量をもつ。好適なプロラミン由来原は小麦およびトウモロコシであると言われている。国際公開公報第WO97/10260号のPCT明細書によれば、小麦のグリアジン(プロラミン)は、約30,000〜40,000ダルトンという平均分子量をもつ一本鎖タンパク質である。これは、水和させると極度に粘り気が出て、伸展させても殆どまたは全く抵抗性を示さない。トウモロコシのプロラミン(ゼイン)は、10,000〜27,000ダルトンという範囲をカバーする分子量をもつタンパク質分子をもつ。プロラミンのこの比較的低い平均分子量は、これらから製造された産物の物理的特性が限定されることを表している。
【0012】
他の植物性タンパク質が、小麦粉に含まれる炭水化物のほとんどを除去した「単離物」の形で適度な高純度で商業上利用可能である。このような利用可能な単離物には、ダイズ、コムギ、エンドウ、ルピナス由来のものなどがある。また、より低い割合のタンパク質を含む、タンパク質の「濃縮物」も利用可能である。このような濃縮物には、ダイズ、イネおよびトウモロコシに由来するものなどがある。付加的な処理によって、これらの濃縮物を単離物に変えることも可能であろう。さらに、さまざまな植物から得られる、さまざまなタンパク質含有食品または粉末があるが、それらは、炭水化物が除去されていないため、低レベルのタンパク質を含んでいる。これらも、技術的には、既知の処理法を用いて、濃縮物または単離物に変換することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、これらの植物性タンパク質単離物は、特に、完全に水溶性ではないため、カプセル製造に使用するには適さない。このような産物が高い水溶性をもつと言われることもあるアルカリ性pHでも、この場合の「水溶性」とは、単離物の希釈分散液を遠心分離したときに分離に対して抵抗することを一般に意味する。このような産物における分散液は清澄な溶液ではない。単離物の可溶性は、酸またはアルカリで処理することにより、植物性タンパク質を脱アミド化および部分的加水分解によってしばしば増加することがある。しかし、このような商業上利用可能な産物は、依然として、清澄な水性溶液を形成しない。
【0014】
酵素、酸、またはアルカリを用いて植物性タンパク質をさらに徹底的に加水分解することにより、水溶性タンパク質の加水分解物を得ることができ、これらは乾燥させると透明な膜を生成する。このような加水分解物は、皮膚や毛髪の調整剤として介護産業で広く使用されている。しかしながら、このような膜は弱い上に脆く、また、物理的強度もないため、カプセル製造には適さない。一般的には、このような加水分解物は、500〜5000ダルトンという平均分子量をもつ。
【0015】
したがって、ゼラチンの代替物または代用物として、特に食用または内服用の薬剤に適用するために、透明で物理的に強い生成物を形成することのできる、天然で植物由来の原料に対する需要がまだ存在する。
【0016】
本発明は、清澄な水性溶液および適度の物理的強度をもつ産物を産出することができるため、ハードカプセルおよびソフトカプセル、ならびにマイクロカプセルの既知の調製法において使用するのに適した、植物に由来する高分子量で水溶性のタンパク質を使用することによって、カプセル化に適用するための現行のゼラチン代替物の上記短所の多くを克服する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、カプセルおよびマイクロカプセルの製造において使用するのに適した植物由来タンパク質であって、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質を提供する。
【0018】
別の態様においては、本発明は、カプセルまたはマイクロカプセルの製造に適した、植物由来タンパク質の使用法であって、該タンパク質が、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、かつ、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質である使用法を提供する。
【0019】
さらに別の態様においては、本発明は、カプセルまたはマイクロカプセルの製造に適した、植物由来タンパク質の使用法であって、該タンパク質が、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、かつ、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質である使用法を提供する。
【0020】
本発明で使用する水溶性タンパク質は、少なくとも50,000ダルトンの平均分子量を有し、より好ましくは、ソフトカプセルおよびハードカプセル用には100,000ダルトンを超え、また、特には200,000ダルトンを超える。したがって、特に適切な分子量の範囲は、250,000ダルトンから500,000ダルトンである。これらの平均分子量の値は、サイズ排除HPLC法によるものである。タンパク質の平均分子量を判定するための広く一般的に認められた試験法がなく、方法が異なれば異なった値になる可能性があるため、本発明に係るタンパク質の最低平均分子量とされるものについて、使用される試験条件をある程度詳しく特定する必要がある。それらは、
【0021】
サイズ排除カラム:TSK G4000 SWXL(内径30cm×7.8mm)
ポンプ:ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)HP1100シリーズ定組成ポンプ(G1310A)
インジェクタ:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ・オートサンプラー(G1313A)
サーモスタット:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ恒温カラムコンパートメント(G1316A)
検出装置:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ可変波長デテクタ(G1314A)
制御装置:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ・ケムステーション(Chemstation)ソフトウエア(G2170AA)
統合:ポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories)・カリバー(Caliber)GPCソフトウエア
溶出液:0.05M KH2PO4、0.05M K2HPO4・3H2Oおよび0.1M NaCl、pH7.0に調整。
温度:25℃
検出波長:220nm
較正用分子量標準:約5000ダルトンから100万ダルトンをカバーする分子量をもつポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ポリマー・ラボラトリーズ社(Polymer Laboratories))
【0022】
好ましくは、タンパク質の分子量は、必要とされる目的用途に応じて加工することができる安定した乳化液を形成することができる大きさである。
【発明の効果】
【0023】
当業者に既知のさまざまな処理経路によって、本発明に係る特定の高分子量可溶性タンパク質を産生することができる。そのような処理には、酸、アルカリもしくは酵素、または、それらを併用したものを用いて、天然の植物性タンパク質を制御しつつ加水分解した後、低分子成分を取り除いて、40,000ダルトンを超える平均分子量をもつ成分を選択的に回収する技術を用いることが含まれる。このような分離法には、分子量と可溶性の関係に基づいた選択的沈殿、透析、または限外ろ過などが含まれうる。
【0024】
あるいは、加水分解と架橋反応を組み合わせて、高分子量の可溶性タンパク質を産生することができる。後者には、タンパク質の鎖の中に存在するグルタミン残基とリジン残基の間に架橋を形成し、それによって平均分子量を増加させることができる酵素、トランスグルタミナーゼを制御しつつ使用することなどが含まれる。別の使用可能な架橋形成経路には、タンパク質鎖中に存在するシステイン残基を破壊して、より大きなタンパク質鎖に作出し直すジスルフィド交換反応などが含まれる。ジスルフィド結合破壊剤の例としては、チオグリコール酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムがある。ジスルフィド結合改良剤の例としては、過酸化水素および臭素酸ナトリウムが挙げられる。
【0025】
平均分子量を上げるために架橋させる別の方法としては、例えば、90%RH環境において80℃で数時間加熱するなど、乾燥タンパク質を熱処理することなどがある。その場合には、低分子量成分と反応生成物を分離することが通常さらに必要となる。
【0026】
清澄な溶液を形成し、乾燥すると透明な膜を形成する生成物を得るために、清澄化技術を用いることができる。そのような技術には、ろ過、限外ろ過、および遠心分離が含まれる。珪藻土または化学的清澄化法などのろ過補助法を用い、清澄化剤を加えることによって濁り形成成分を凝集させることも必要であろう。
【0027】
好適なタンパク質の出発物質は、「単離物」である。これは、最も高いタンパク質含有量をもつからである。しかし、前処理段階として炭水化物の除去が必要となるかもしれないが、タンパク質「濃縮物」やタンパク質食品を用いることもできる。
【0028】
適切な植物由来タンパク質原料の例としては、コムギ、ダイズ、トウモロコシ、イネ、ルピナス、ジャガイモ、ホホバ、ナタネ、エンドウ、杏仁、およびツキミソウがあるが、これらに限定されない。
【0029】
現在利用可能な高分子量で可溶性の植物性タンパク質の実例は、商標トリチゾール(Tritisol)および商標トリチゾールXM(Tritisol XM)であり、英国のEヨークシャー(Yorkshire)DN14 9AA、グール(Goole)、スナイス(Snaith)、カウイックホール(Cowick Hall)にあるクローダ・オレオケミカルズ社(Croda Oleochmicals)によって販売されている。これらは、それぞれ、約250,000ダルトンおよび500kDの平均分子量をもち、皮膚と毛髪のケアに適用するときの調整用添加剤として現在使用されている。
【0030】
驚いたことに、本発明者らは、これら商標トリチゾールタンパク質を、ソフトカプセルおよびマイクロカプセルを製造するときのカプセル化剤としてゼラチンに代わるものとして使用できることを発見した。さらに、商標トリチゾールは、植物に由来するものであるから、化学保存剤を使用しないか、最初に除去しておけば、食べることができる。
【0031】
液体膜を用いても得ることができる、皮膚または毛髪を整えるために必要な「被膜形成」特性とは異なり、カプセル用のゼラチン代替物は、引張強度および弾性という特性と、ヒートシールされることができるという性質を併せもつ分離した容器を製造できることが必要であり、好ましくは、透明なカプセル壁を形成できることが必要である。マイクロカプセルの場合には、ゼラチン代替物は、油脂内容物を著しく漏出させることなく、錠剤に圧縮するのに十分な強度をもつ微小容器を製造できなくてはならない。
【0032】
したがって、カプセルを形成させるのに、すべてのタイプの膜形成剤を使用できるわけではない。チャンバース科学技術辞典(Chambers Science and Technology Dictionary)(1998)には、膜は、なんらかの物質の薄膜であると記載されている(例えば、単分子次元に至るまでの別の物質上に沈着、形成、または吸着された物質の薄膜である)。したがって、例えば、介護産業においては、ワックス(例えば、パラフィンワックス、および微結晶性ワックス)、合成皮膚軟化剤(例えば、長鎖エステル類および脂肪アルコール、粘土、シリカ、ガム、樹脂、加工デンプン、加工セルロース、および合成ポリマーなど、さまざまなタイプの膜形成剤が用いられるが、カプセル製造においてゼラチンの代わりをするには適当でない。
【0033】
しかし、カプセルを製造するには、該タンパク質は、圧縮に対する機械的保全性、可撓性、および抵抗性をもつ容器を形成できなくてはならない。これらの特性は、確立されているカプセル製造法に必要とされる要件を満たすために必要であり、また、完成したカプセルに必要とされる弾性および堅牢性を示すためにも必要である。主に美観上の理由から清澄性は重要であり、水溶性も重要な特徴である。このように高分子量の水溶性タンパク質については、粘性による制約によって、50%よりもずっと高い溶液濃度を得ることが不可能なゼラチンの場合と同様、最大限可能な溶液濃度は、溶液の粘性によって制限されることが分かっている。
【0034】
上記高分子量可溶性植物性タンパク質の性質は、必要に応じて別の物質を添加することによって、特定の適用場面に適合するように修飾し増強することができる。
【0035】
ゼラチンとは異なり、これら高分子量で可溶性の植物由来タンパク質は、溶液を冷却したときに熱可逆的な弾性ゲルを形成することはない。その代わりに、臨界温度(例えば、55℃)を超えて加熱するとゲル化能力を示すことができるが、これらのゲルは一般的に不可逆性で弾性がない。ハードカプセル製造など、ゲル化特性が伝統的に重要な応用場面では、カラギナンやアルギン酸塩など植物由来のゲル化剤を加えるか、またはより好ましくは、形成済みタンパク質膜の使用や注入成形技術などの代替技術を用いるかのいずれかが必要となる場合がある。
【0036】
これらのタンパク質から生成された産物の可撓性を向上させ、柔軟性を増すには、可塑剤を添加することが望ましい場合がある。適切な可塑剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、およびプロピレングリコールなどがある。例えば、押し出し成形の過程で、(例えば、タンパク質に可塑剤を加えて吹きつけ乾燥することによって)可塑剤が、押し出し成形機に送り込まれる乾燥タンパク質中に存在していてもよいし、あるいは、押し出し成形機の中にあるタンパク質に添加することもできる。ソフトカプセルを製造するためには、形成済みのものであっても、カプセル化処理の一部として押し出し成形されたものであっても可塑化膜は、従来の回転ダイカプセル機械に送り込まれて、水を加える必要なしにヒートシールできるカプセル壁を形成すると考えられている。
【0037】
食品、化粧品、または医薬品をカプセル化、例えば、マイクロカプセル化するためには、本発明に係る植物由来たんぱく質のゼラチン代用物の乳化液を、食品、化粧品、または医薬品の標準的な組成物の上に吹き付け乾燥するなど、標準的な技術が当技術分野において知られている。あるいは、マイクロカプセル化には、特別に考案された処理法を用いることもできる。
【0038】
したがって、本発明は、さらに、トリチゾールまたはトリチゾールXMという商標で特定されるか特定可能なタンパク質など、植物タンパク質に由来するゼラチン代用物の中に封入された食品成分、化粧品成分または医薬品成分を含む食品、化粧品、または医薬品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明をより完全に理解できるよう、単なる例示として以下に実施例を示す。
【0040】
実施例1―高分子量の植物性タンパク質膜
乾燥固体5gに相当する量を用いて、約10%の清澄なタンパク質溶液から膜をペトリ皿の中で成型した(表1参照)。皿から取り出す前に周囲条件下で膜を風乾させてから、主観に基づいてその特徴を評価した。
【表1】
【0041】
作成された溶液はすべて一見したところ清澄で、ほとんどの膜が、色以外は、ゼラチン膜と同じ外観をもっていた。色は、黄色から琥珀色、ダークブラウンまで多様であった。曲げたり延ばしたりしたところ、これらの膜には、ゼラチン膜に特徴的な可撓性および伸展性がなく、一定の応用場面では可塑化することが望ましいことが示された。特定のタンパク質原料については、膜に脆さが見られ、分子量が大きくなるにつれて多少の軽減を示した。
【0042】
25℃で水に漬けると、フィルムはすべて崩壊してから溶解することが分かった。
【0043】
実施例2−可塑剤入り高分子量コムギタンパク質由来の膜
平均分子量395,550ダルトンという重さをもつ可溶性コムギタンパク質を用いて、実施例1と同じだが、さまざまな量のグリセロールを添加してフィルムを成型した。全固体量に対するグリセロール添加量は、それぞれ、5、10、12.5、15、17.5、および20%であった。フィルムは乾燥させてから、40%RHおよび約20℃で平衡化し、物理特性を主観に基づいて評価した。
【0044】
グリセロール含有量を増大させると、フィルムは硬く脆かったのが、次第に可撓性で伸展性をもつようになり、柔らかく弱いものへと変化していった。ゼラチン製のソフトカプセル壁膜の特性に最も近似して適合する膜特性は、約15〜20%のグリセリン含有量のものから得られた。
【0045】
実施例3−押し出し成形された高分子量コムギタンパク質の可塑化膜
平均分子量が95,000ダルトンの可溶性コムギタンパク質の溶液を(タンパク質固体に対して)重量で20%のグリセリンと混合し、吹き付け乾燥して、凝集粉を産生した。この粉末をスクリュー−フィードホッパーを経由して、直径16mmで、突起の長さが25:1の双暗車型押し出し成形機に送り込んだ。送出速度0.5kg/hr、および加熱温度150℃で素材を押し出し成形し、厚さが0.18mmの透明で可撓性の膜を得た。
【0046】
この膜を解析して、16.4%のグリセリンと8.6%の水分を含んでいることが分かった。この膜はヒートシールできることが分かった。この膜は、37℃で水に溶けることが示された。
【0047】
実施例4
本実施例は、グリセリンを添加していない可溶性のコムギタンパク質粉末を用い、押し出し成形機の中で80:20の比率でグリセリンと混合した以外は、実施例3の処理に従った。ここでも、21.3%のグリセリン含有量と3.1%の水分をもつ透明で可撓性の膜が得られた
【0048】
実施例5−相対的湿度(RH)の影響
膜の物理的特性である、RHに対する感度は、水分を吸収しやすいか失いやすいかという傾向があるため、分子量に依存すると予想することができる。このような変化は、平均分子量が低くなりほど起こる可能性が高くなる。
【0049】
平均分子量が51,000ダルトンの可溶性コムギタンパク質を用いて、実施例2に記載したように、ペトリ皿の中で膜を成型した。ただし、グリセリン含有量は20、25、30、および40%を用い、それぞれの膜は、それぞれ20%RHまたは大気と同じ条件になるように調整された。
【0050】
膜の外観や物理的性質に明らかな違いはなかったが、これはRHが異なることに起因するのかもしれない。しかし、30%グリセリンで、透明で可撓性の膜は、僅かに粘性になる兆候を示し、40%グリセリンでは、膜が柔らかくなりすぎ、ソフトカプセル製造に役立てることができなかった。これらのデータは、20〜25%グリセリンが最適な含有量であることを示している。
【0001】
本発明は、優れた物理特性をもち、多様な応用範囲、特に薬剤用カプセル製品において、ゼラチンに代わって使用することが可能な新規の植物性タンパク質(プロテイン)由来材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンは、水の中でコロイド溶液を形成する物質である親水コロイドで、有用な性質のユニークな組み合せを示す。これらの性質には、水溶性、溶液粘性、熱可逆性ゼラチン特性、および丈夫で透明、柔軟、かつ光沢の高い膜を形成できることなどがある。さらに、このゲルは体温で溶け、膜は消化されるときに溶解する。また、ゼラチンは天然産物であり、タンパク質として、食品添加物ではなく食品に分類される。
【0003】
ゼラチンの商業利用は、食品、医薬品、医療、写真、化粧品、および技術製品などでの利用を含む広範な産業において確立されている。商業上、ゼラチンの主な利用法は、製薬産業においてハードカプセルおよびソフトカプセルを製造することにあり、そこでは、ゼラチンが透明、柔軟、かつ光沢のあるカプセル壁を形成できることが重要である。ゼラチン製カプセルが胃の中で溶解できることも必要なことである。また、ゼラチンは、食用または医薬用に油脂やビタミン(特にビタミンAおよびE)をマイクロカプセル化するためにも使用される。
【0004】
ゼラチンは、さまざまな等級のものが利用でき、それぞれ平均分子量が異なる。商業的には、ゼラチンは、標準的な試験条件下でゲル強度(ブルーム値(Bloom value))によって等級分けされる傾向にあるが、通常、カプセル化に利用する場合には粘度も重要なパラメータである。このような応用場面では、ゼラチンは、一般的に100〜200gのブルームゲル強度をもち、粘度(6.67%溶液について60℃で試験)は2.0〜5.5mPasである。ゼラチンの試験法で広く一般的に認められたものがなく、平均分子量の値も、使用される試験法や試験手順によってさまざまに異なることがあるため、分子量の値は通常引用されない。しかし、サイズ排除HPLC法によると、上記ゼラチンは、一般的に平均分子量80,000〜200,000ダルトンの重さをもつ。低分子量のゼラチンが利用可能であり、非ゲル化ゼラチンは、ゼラチンを慎重に加水分解して5000〜30,000ダルトン単位の平均分子量に重量を落とすことによって製造することができる。しかしながら、これら低分子量ゼラチンは、劣った物理的性質を示す。
【0005】
上記したように、ゼラチンは、油脂のマイクロカプセル化に広く使用されている。これらのマイクロカプセルは、通常、顆粒状の粉末または小ビーズの形状となっていて、例えば米国特許第5120761号明細書に記載されているように、まずゼラチン溶液の中で油相を乳化し、次に乳化液を(流動化したスターチベッド(starch bed)の中に)吹き付け乾燥または吹き付け冷却することによって生成させることができる。ゼラチンが乳化液を安定化できることは、重要な特徴である。製品のコストを下げるため、砂糖やデキストリンを含有させることによってゼラチンを引き延ばすことができる。ゼラチンは、空気による酸化を防止する、マイクロカプセル壁の障壁機能に関与し、そしてまた、マイクロカプセルが圧縮されて破損のない錠剤を形成できるようにする物理的強度を付与することができる。ゲル化ゼラチンも一部加水分解ゼラチンも使用することが可能であるが、その重量よりも小さくなると乳化特性およびマイクロカプセル壁強度が十分でなくなるという最低分子量が存在する。米国特許第5120761号明細書には、最小限度は15,000ダルトンであると記載されている。
【0006】
ゼラチンが示す傑出した性質にもかかわらず、特に製薬産業において、ゼラチンに代わるものが目下求められている。これは、一部は、非動物性製品に移行したいという希望を生み出している宗教的および菜食主義的圧力によるところがある。BSE(ウシ海綿状脳症)による危険性をもたらすという、ゼラチンに対する根拠のない懸念も、代用物に対する関心を煽っている。
【0007】
魚コラーゲン由来のゼラチンを使用することによって、哺乳動物性ゼラチンから移行したいという希望をある程度までは叶えることができるが、これは、菜食主義者を満足させることはできず、場合によっては、世界的には原料供給量に限度があるため、魚ゼラチンは限定された量でしか商業上利用することができない。理想的には、ゼラチン代用物は、天然由来で非動物性のものがよい。本質的には、これは植物由来の原料を意味する。
【0008】
この要件に合わせるため、米国特許第5264223号および第5431917号の明細書に記載されているように、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)をゼラチンの代替物として用いてハードカプセルを製造するのに成功している。HPMCにゲル化能力がない点は、ゲル化剤であるカラギナンを、ゲル化促進剤(塩化カリウム)とともに含有させることによって補われている。このようなハードカプセルは、これまでのゼラチン製ハードカプセルがもつ望ましい特徴の多くを示すとともに、実際にいくつか有益な点もあると主張されているが、それらは、透明で光沢のある所望の外観を持たないと考えられている。さらに、HPMCは化学修飾されたセルロースであるため、天然の産物とは見なされず、食品添加物と考えられている。
【0009】
ソフトカプセルを製造するための従来の回転ダイ法(rotary−die process)に代わるものが、最近になって国際公開公報第WO97/3553号のPCT明細書に記載されている。これは、予め形成させておいたポリマー素材の膜を直接用い、この膜に溶媒を塗布して、カプセル壁のヒートシールを補助することによって、ゼラチンの使用を避ける(また、溶液の使用も避ける)。好適な素材はポリビニルアルコール(PVA)であると言われており、好ましくは、グリセリンによって可塑化されている。しかし、この合成ポリマー素材は、内服用カプセルの製造には適しておらず、工業的に利用するためのソフトカプセルの製造に限られている。この製造法において有用であると主張されているその他のポリマー膜素材は、アルギン酸塩、HPMC、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、およびアルファ化デンプンである。これらのうち、アルギン酸塩とアルファ化デンプンのみが、天然の植物由来の原料として記載することができる。このような素材を用いて作成されたカプセルの外観や、物理特性のようなそれらの目的適合性に関する情報はない。
【0010】
最近、伝統的なポリアルコールによって可塑化されたジャガイモデンプンを主原料とするソフトカプセルが、スイス・キャップスAG社(Swiss Caps AG)の2000年7月27日付け販売促進用文献に記載されている。押し出し成形された素材を用いて、従来の回転ダイ機械に送り込む。ソフトカプセルは、滑らかでつややかな表面をもつと主張されているが、透明性がなく、5℃よりも低温では物理特性も劣っている(すなわち脆い)。
【0011】
国際公開公報第WO98/26766号のPCT明細書には、植物由来のプロラミンを使用して、ゼラチンに代わるものとしてカプセル化用膜を形成することが開示されているが、形成された膜が透明であるか否かは記載されていない。プロラミンは、穀類だけに存在するタンパク質の一種であって、水や無水アルコールには不溶であるが、50〜90%アルコールには可溶性で、10,000〜40,000ダルトン台という比較的低い分子量をもつ。好適なプロラミン由来原は小麦およびトウモロコシであると言われている。国際公開公報第WO97/10260号のPCT明細書によれば、小麦のグリアジン(プロラミン)は、約30,000〜40,000ダルトンという平均分子量をもつ一本鎖タンパク質である。これは、水和させると極度に粘り気が出て、伸展させても殆どまたは全く抵抗性を示さない。トウモロコシのプロラミン(ゼイン)は、10,000〜27,000ダルトンという範囲をカバーする分子量をもつタンパク質分子をもつ。プロラミンのこの比較的低い平均分子量は、これらから製造された産物の物理的特性が限定されることを表している。
【0012】
他の植物性タンパク質が、小麦粉に含まれる炭水化物のほとんどを除去した「単離物」の形で適度な高純度で商業上利用可能である。このような利用可能な単離物には、ダイズ、コムギ、エンドウ、ルピナス由来のものなどがある。また、より低い割合のタンパク質を含む、タンパク質の「濃縮物」も利用可能である。このような濃縮物には、ダイズ、イネおよびトウモロコシに由来するものなどがある。付加的な処理によって、これらの濃縮物を単離物に変えることも可能であろう。さらに、さまざまな植物から得られる、さまざまなタンパク質含有食品または粉末があるが、それらは、炭水化物が除去されていないため、低レベルのタンパク質を含んでいる。これらも、技術的には、既知の処理法を用いて、濃縮物または単離物に変換することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、これらの植物性タンパク質単離物は、特に、完全に水溶性ではないため、カプセル製造に使用するには適さない。このような産物が高い水溶性をもつと言われることもあるアルカリ性pHでも、この場合の「水溶性」とは、単離物の希釈分散液を遠心分離したときに分離に対して抵抗することを一般に意味する。このような産物における分散液は清澄な溶液ではない。単離物の可溶性は、酸またはアルカリで処理することにより、植物性タンパク質を脱アミド化および部分的加水分解によってしばしば増加することがある。しかし、このような商業上利用可能な産物は、依然として、清澄な水性溶液を形成しない。
【0014】
酵素、酸、またはアルカリを用いて植物性タンパク質をさらに徹底的に加水分解することにより、水溶性タンパク質の加水分解物を得ることができ、これらは乾燥させると透明な膜を生成する。このような加水分解物は、皮膚や毛髪の調整剤として介護産業で広く使用されている。しかしながら、このような膜は弱い上に脆く、また、物理的強度もないため、カプセル製造には適さない。一般的には、このような加水分解物は、500〜5000ダルトンという平均分子量をもつ。
【0015】
したがって、ゼラチンの代替物または代用物として、特に食用または内服用の薬剤に適用するために、透明で物理的に強い生成物を形成することのできる、天然で植物由来の原料に対する需要がまだ存在する。
【0016】
本発明は、清澄な水性溶液および適度の物理的強度をもつ産物を産出することができるため、ハードカプセルおよびソフトカプセル、ならびにマイクロカプセルの既知の調製法において使用するのに適した、植物に由来する高分子量で水溶性のタンパク質を使用することによって、カプセル化に適用するための現行のゼラチン代替物の上記短所の多くを克服する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、カプセルおよびマイクロカプセルの製造において使用するのに適した植物由来タンパク質であって、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質を提供する。
【0018】
別の態様においては、本発明は、カプセルまたはマイクロカプセルの製造に適した、植物由来タンパク質の使用法であって、該タンパク質が、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、かつ、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質である使用法を提供する。
【0019】
さらに別の態様においては、本発明は、カプセルまたはマイクロカプセルの製造に適した、植物由来タンパク質の使用法であって、該タンパク質が、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、かつ、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質である使用法を提供する。
【0020】
本発明で使用する水溶性タンパク質は、少なくとも50,000ダルトンの平均分子量を有し、より好ましくは、ソフトカプセルおよびハードカプセル用には100,000ダルトンを超え、また、特には200,000ダルトンを超える。したがって、特に適切な分子量の範囲は、250,000ダルトンから500,000ダルトンである。これらの平均分子量の値は、サイズ排除HPLC法によるものである。タンパク質の平均分子量を判定するための広く一般的に認められた試験法がなく、方法が異なれば異なった値になる可能性があるため、本発明に係るタンパク質の最低平均分子量とされるものについて、使用される試験条件をある程度詳しく特定する必要がある。それらは、
【0021】
サイズ排除カラム:TSK G4000 SWXL(内径30cm×7.8mm)
ポンプ:ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)HP1100シリーズ定組成ポンプ(G1310A)
インジェクタ:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ・オートサンプラー(G1313A)
サーモスタット:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ恒温カラムコンパートメント(G1316A)
検出装置:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ可変波長デテクタ(G1314A)
制御装置:ヒューレット・パッカードHP1100シリーズ・ケムステーション(Chemstation)ソフトウエア(G2170AA)
統合:ポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories)・カリバー(Caliber)GPCソフトウエア
溶出液:0.05M KH2PO4、0.05M K2HPO4・3H2Oおよび0.1M NaCl、pH7.0に調整。
温度:25℃
検出波長:220nm
較正用分子量標準:約5000ダルトンから100万ダルトンをカバーする分子量をもつポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ポリマー・ラボラトリーズ社(Polymer Laboratories))
【0022】
好ましくは、タンパク質の分子量は、必要とされる目的用途に応じて加工することができる安定した乳化液を形成することができる大きさである。
【発明の効果】
【0023】
当業者に既知のさまざまな処理経路によって、本発明に係る特定の高分子量可溶性タンパク質を産生することができる。そのような処理には、酸、アルカリもしくは酵素、または、それらを併用したものを用いて、天然の植物性タンパク質を制御しつつ加水分解した後、低分子成分を取り除いて、40,000ダルトンを超える平均分子量をもつ成分を選択的に回収する技術を用いることが含まれる。このような分離法には、分子量と可溶性の関係に基づいた選択的沈殿、透析、または限外ろ過などが含まれうる。
【0024】
あるいは、加水分解と架橋反応を組み合わせて、高分子量の可溶性タンパク質を産生することができる。後者には、タンパク質の鎖の中に存在するグルタミン残基とリジン残基の間に架橋を形成し、それによって平均分子量を増加させることができる酵素、トランスグルタミナーゼを制御しつつ使用することなどが含まれる。別の使用可能な架橋形成経路には、タンパク質鎖中に存在するシステイン残基を破壊して、より大きなタンパク質鎖に作出し直すジスルフィド交換反応などが含まれる。ジスルフィド結合破壊剤の例としては、チオグリコール酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムがある。ジスルフィド結合改良剤の例としては、過酸化水素および臭素酸ナトリウムが挙げられる。
【0025】
平均分子量を上げるために架橋させる別の方法としては、例えば、90%RH環境において80℃で数時間加熱するなど、乾燥タンパク質を熱処理することなどがある。その場合には、低分子量成分と反応生成物を分離することが通常さらに必要となる。
【0026】
清澄な溶液を形成し、乾燥すると透明な膜を形成する生成物を得るために、清澄化技術を用いることができる。そのような技術には、ろ過、限外ろ過、および遠心分離が含まれる。珪藻土または化学的清澄化法などのろ過補助法を用い、清澄化剤を加えることによって濁り形成成分を凝集させることも必要であろう。
【0027】
好適なタンパク質の出発物質は、「単離物」である。これは、最も高いタンパク質含有量をもつからである。しかし、前処理段階として炭水化物の除去が必要となるかもしれないが、タンパク質「濃縮物」やタンパク質食品を用いることもできる。
【0028】
適切な植物由来タンパク質原料の例としては、コムギ、ダイズ、トウモロコシ、イネ、ルピナス、ジャガイモ、ホホバ、ナタネ、エンドウ、杏仁、およびツキミソウがあるが、これらに限定されない。
【0029】
現在利用可能な高分子量で可溶性の植物性タンパク質の実例は、商標トリチゾール(Tritisol)および商標トリチゾールXM(Tritisol XM)であり、英国のEヨークシャー(Yorkshire)DN14 9AA、グール(Goole)、スナイス(Snaith)、カウイックホール(Cowick Hall)にあるクローダ・オレオケミカルズ社(Croda Oleochmicals)によって販売されている。これらは、それぞれ、約250,000ダルトンおよび500kDの平均分子量をもち、皮膚と毛髪のケアに適用するときの調整用添加剤として現在使用されている。
【0030】
驚いたことに、本発明者らは、これら商標トリチゾールタンパク質を、ソフトカプセルおよびマイクロカプセルを製造するときのカプセル化剤としてゼラチンに代わるものとして使用できることを発見した。さらに、商標トリチゾールは、植物に由来するものであるから、化学保存剤を使用しないか、最初に除去しておけば、食べることができる。
【0031】
液体膜を用いても得ることができる、皮膚または毛髪を整えるために必要な「被膜形成」特性とは異なり、カプセル用のゼラチン代替物は、引張強度および弾性という特性と、ヒートシールされることができるという性質を併せもつ分離した容器を製造できることが必要であり、好ましくは、透明なカプセル壁を形成できることが必要である。マイクロカプセルの場合には、ゼラチン代替物は、油脂内容物を著しく漏出させることなく、錠剤に圧縮するのに十分な強度をもつ微小容器を製造できなくてはならない。
【0032】
したがって、カプセルを形成させるのに、すべてのタイプの膜形成剤を使用できるわけではない。チャンバース科学技術辞典(Chambers Science and Technology Dictionary)(1998)には、膜は、なんらかの物質の薄膜であると記載されている(例えば、単分子次元に至るまでの別の物質上に沈着、形成、または吸着された物質の薄膜である)。したがって、例えば、介護産業においては、ワックス(例えば、パラフィンワックス、および微結晶性ワックス)、合成皮膚軟化剤(例えば、長鎖エステル類および脂肪アルコール、粘土、シリカ、ガム、樹脂、加工デンプン、加工セルロース、および合成ポリマーなど、さまざまなタイプの膜形成剤が用いられるが、カプセル製造においてゼラチンの代わりをするには適当でない。
【0033】
しかし、カプセルを製造するには、該タンパク質は、圧縮に対する機械的保全性、可撓性、および抵抗性をもつ容器を形成できなくてはならない。これらの特性は、確立されているカプセル製造法に必要とされる要件を満たすために必要であり、また、完成したカプセルに必要とされる弾性および堅牢性を示すためにも必要である。主に美観上の理由から清澄性は重要であり、水溶性も重要な特徴である。このように高分子量の水溶性タンパク質については、粘性による制約によって、50%よりもずっと高い溶液濃度を得ることが不可能なゼラチンの場合と同様、最大限可能な溶液濃度は、溶液の粘性によって制限されることが分かっている。
【0034】
上記高分子量可溶性植物性タンパク質の性質は、必要に応じて別の物質を添加することによって、特定の適用場面に適合するように修飾し増強することができる。
【0035】
ゼラチンとは異なり、これら高分子量で可溶性の植物由来タンパク質は、溶液を冷却したときに熱可逆的な弾性ゲルを形成することはない。その代わりに、臨界温度(例えば、55℃)を超えて加熱するとゲル化能力を示すことができるが、これらのゲルは一般的に不可逆性で弾性がない。ハードカプセル製造など、ゲル化特性が伝統的に重要な応用場面では、カラギナンやアルギン酸塩など植物由来のゲル化剤を加えるか、またはより好ましくは、形成済みタンパク質膜の使用や注入成形技術などの代替技術を用いるかのいずれかが必要となる場合がある。
【0036】
これらのタンパク質から生成された産物の可撓性を向上させ、柔軟性を増すには、可塑剤を添加することが望ましい場合がある。適切な可塑剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、およびプロピレングリコールなどがある。例えば、押し出し成形の過程で、(例えば、タンパク質に可塑剤を加えて吹きつけ乾燥することによって)可塑剤が、押し出し成形機に送り込まれる乾燥タンパク質中に存在していてもよいし、あるいは、押し出し成形機の中にあるタンパク質に添加することもできる。ソフトカプセルを製造するためには、形成済みのものであっても、カプセル化処理の一部として押し出し成形されたものであっても可塑化膜は、従来の回転ダイカプセル機械に送り込まれて、水を加える必要なしにヒートシールできるカプセル壁を形成すると考えられている。
【0037】
食品、化粧品、または医薬品をカプセル化、例えば、マイクロカプセル化するためには、本発明に係る植物由来たんぱく質のゼラチン代用物の乳化液を、食品、化粧品、または医薬品の標準的な組成物の上に吹き付け乾燥するなど、標準的な技術が当技術分野において知られている。あるいは、マイクロカプセル化には、特別に考案された処理法を用いることもできる。
【0038】
したがって、本発明は、さらに、トリチゾールまたはトリチゾールXMという商標で特定されるか特定可能なタンパク質など、植物タンパク質に由来するゼラチン代用物の中に封入された食品成分、化粧品成分または医薬品成分を含む食品、化粧品、または医薬品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明をより完全に理解できるよう、単なる例示として以下に実施例を示す。
【0040】
実施例1―高分子量の植物性タンパク質膜
乾燥固体5gに相当する量を用いて、約10%の清澄なタンパク質溶液から膜をペトリ皿の中で成型した(表1参照)。皿から取り出す前に周囲条件下で膜を風乾させてから、主観に基づいてその特徴を評価した。
【表1】
【0041】
作成された溶液はすべて一見したところ清澄で、ほとんどの膜が、色以外は、ゼラチン膜と同じ外観をもっていた。色は、黄色から琥珀色、ダークブラウンまで多様であった。曲げたり延ばしたりしたところ、これらの膜には、ゼラチン膜に特徴的な可撓性および伸展性がなく、一定の応用場面では可塑化することが望ましいことが示された。特定のタンパク質原料については、膜に脆さが見られ、分子量が大きくなるにつれて多少の軽減を示した。
【0042】
25℃で水に漬けると、フィルムはすべて崩壊してから溶解することが分かった。
【0043】
実施例2−可塑剤入り高分子量コムギタンパク質由来の膜
平均分子量395,550ダルトンという重さをもつ可溶性コムギタンパク質を用いて、実施例1と同じだが、さまざまな量のグリセロールを添加してフィルムを成型した。全固体量に対するグリセロール添加量は、それぞれ、5、10、12.5、15、17.5、および20%であった。フィルムは乾燥させてから、40%RHおよび約20℃で平衡化し、物理特性を主観に基づいて評価した。
【0044】
グリセロール含有量を増大させると、フィルムは硬く脆かったのが、次第に可撓性で伸展性をもつようになり、柔らかく弱いものへと変化していった。ゼラチン製のソフトカプセル壁膜の特性に最も近似して適合する膜特性は、約15〜20%のグリセリン含有量のものから得られた。
【0045】
実施例3−押し出し成形された高分子量コムギタンパク質の可塑化膜
平均分子量が95,000ダルトンの可溶性コムギタンパク質の溶液を(タンパク質固体に対して)重量で20%のグリセリンと混合し、吹き付け乾燥して、凝集粉を産生した。この粉末をスクリュー−フィードホッパーを経由して、直径16mmで、突起の長さが25:1の双暗車型押し出し成形機に送り込んだ。送出速度0.5kg/hr、および加熱温度150℃で素材を押し出し成形し、厚さが0.18mmの透明で可撓性の膜を得た。
【0046】
この膜を解析して、16.4%のグリセリンと8.6%の水分を含んでいることが分かった。この膜はヒートシールできることが分かった。この膜は、37℃で水に溶けることが示された。
【0047】
実施例4
本実施例は、グリセリンを添加していない可溶性のコムギタンパク質粉末を用い、押し出し成形機の中で80:20の比率でグリセリンと混合した以外は、実施例3の処理に従った。ここでも、21.3%のグリセリン含有量と3.1%の水分をもつ透明で可撓性の膜が得られた
【0048】
実施例5−相対的湿度(RH)の影響
膜の物理的特性である、RHに対する感度は、水分を吸収しやすいか失いやすいかという傾向があるため、分子量に依存すると予想することができる。このような変化は、平均分子量が低くなりほど起こる可能性が高くなる。
【0049】
平均分子量が51,000ダルトンの可溶性コムギタンパク質を用いて、実施例2に記載したように、ペトリ皿の中で膜を成型した。ただし、グリセリン含有量は20、25、30、および40%を用い、それぞれの膜は、それぞれ20%RHまたは大気と同じ条件になるように調整された。
【0050】
膜の外観や物理的性質に明らかな違いはなかったが、これはRHが異なることに起因するのかもしれない。しかし、30%グリセリンで、透明で可撓性の膜は、僅かに粘性になる兆候を示し、40%グリセリンでは、膜が柔らかくなりすぎ、ソフトカプセル製造に役立てることができなかった。これらのデータは、20〜25%グリセリンが最適な含有量であることを示している。
Claims (16)
- カプセルまたはマイクロカプセルの製造に適した植物由来タンパク質の使用法であって、該タンパク質が、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、かつ、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質である、タンパク質の使用法。 - タンパク質が少なくとも50kDの平均分子量をもつ、請求項1に記載の使用法。
- タンパク質が少なくとも200kDの平均分子量をもつ、請求項1に記載の使用法。
- タンパク質が、250から500kDの範囲内に平均分子量をもつ、請求項1に記載の使用法。
- カプセルが、ソフトゼラチンカプセルに代替するのに適したソフトカプセルである、上記請求項のいずれかに記載の使用法。
- カプセルが、錠剤を作製するときに用いるのに適したマイクロカプセルである、請求項1から4のいずれかに記載の使用法。
- カプセルが、ハードゼラチンカプセルに代替するのに適したハードカプセルである、請求項1から4のいずれかに記載の使用法。
- 医薬品または食品として使用するのに適したカプセルまたはマイクロカプセルであって、カプセルまたはマイクロカプセルの製造に適した植物由来タンパク質を含み、該タンパク質が、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、かつ、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質である、カプセルまたはマイクロカプセル。 - タンパク質が少なくとも200kDの平均分子量をもつ、請求項8に記載のカプセルまたはマイクロカプセル。
- さらに、カラギナンまたはアルギン酸塩などのゲル化剤を含む、請求項8または9に記載のカプセルまたはマイクロカプセル。
- さらに、グリセリン誘導化合物、ソルビトール、キシリトール、またはプロピレングリコールなどの可塑剤を含む、請求項8から10のいずれかに記載のカプセルまたはマイクロカプセル。
- 壁膜を含む固体の全重量に基づくと、グリセリン誘導化合物の含有量が15〜25% w/wである壁膜を含む、請求項11に記載のカプセルまたはマイクロカプセル。
- カプセルまたはマイクロカプセルの製造に使用するのに適した植物由来タンパク質であって、該タンパク質が、
(a)少なくとも40kDの分子量をもち、かつ、
(b)水溶性であるため、乾燥すると透明な膜を産出することができる清澄な水性溶液を形成することができるタンパク質であって、
トリチゾールまたはトリチゾールXMという商標で特定され、または特定可能なタンパク質以外のタンパク質である、植物由来タンパク質。 - 少なくとも200kDの平均分子量をもつ、請求項13に記載のタンパク質。
- 植物が、コムギ、ダイズ、トウモロコシ、イネ、ルピナス、ジャガイモ、ホホバ、ナタネ、エンドウ、杏仁、またはツキミソウから選択される、請求項13または14に記載のタンパク質。
- 請求項13から15のいずれかに記載のタンパク質、または、トリチゾールもしくはトリチゾールXMという商標で特定され、または特定可能なタンパク質の中に封入された食品成分、化粧品成分または医薬品成分を含む食品、化粧品、または医薬品。
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