JP7331796B2 - 回路遮断器 - Google Patents

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Description

本開示は、配線用遮断器や漏電遮断器などの回路遮断器の引きはずし装置に関する。
回路遮断器は、一般的に瞬時引きはずし特性を持ち、定格電流の8~16倍程度の指定された電流で瞬時引き外しを開始する機能が必要である。そのため、主接点開閉機構に連動する可動片を過電流発生時に生じる電磁力で動作させる構造がよく用いられる。可動片の動作電流は、可動片を電磁力とは逆方向に付勢する可動片ばねの荷重で調整することができるが、可動片ばねの組み替えを避けるために、ばね固定端の位置を変えることでばね荷重を増減させる方法が知られている。例えば特許文献1では、マグネットフレームとヒネリバネとの係合ポイントが可変できるような構成が開示されている。
特開2008-192365号公報
しかしながら、このような従来の回路遮断器においては、可動片ばねの荷重を変える際に、狭い空間で治具により可動片ばねの先端の係止部を保持して移動させる必要があり、作業性が悪いという課題があった。
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、可動片ばねの先端の係止部を保持して移動させる治具を用いることなく、可動片ばねの荷重を変えることができる回路遮断器を提供する。
本開示に係る回路遮断器は、一方の接続端子に接続された固定接触子と、固定接触子に接触および開離可能に設けられた可動接触子と、一方の接続端子および他方の接続端子の間に設けられた導電部材に組み付けられ、導電部材に過電流が流れたときに固定接触子と可動接触子を開離させる開閉機構部を駆動する引きはずし装置とを備える回路遮断器であって、引きはずし装置は、導電部材に過電流が流れて磁化される固定継鉄が固着される固定部品と、固定継鉄に対向する被吸引部を有し、回動可能に支持された可動片と、コイル部を有し、コイル部から一方に延びた可動端が可動片に当接し、被吸引部を固定継鉄から引き離す方向に付勢する可動片ばねと、可動片ばねのコイル部から他方に延びた固定端を係止する固定端位置決め部を有し、一方の接続端子側から他方の接続端子側に向かう方向に並んだ複数の取付溝のいずれかにおいて固定部品に係止されるばねホルダーとを備える。
本開示に係る回路遮断器は、一方の接続端子に接続された固定接触子と、固定接触子に接触および開離可能に設けられた可動接触子と、一方の接続端子および他方の接続端子の間に設けられた導電部材に組み付けられ、導電部材に過電流が流れたときに固定接触子と可動接触子を開離させる開閉機構部を駆動する引きはずし装置とを備える回路遮断器であって、引きはずし装置は、導電部材に過電流が流れて磁化される固定継鉄が固着される固定部品と、固定継鉄に対向する被吸引部を有し、回動可能に支持された可動片と、コイル部を有し、コイル部から一方に延びた可動端が可動片に当接し、被吸引部を固定継鉄から引き離す方向に付勢する可動片ばねと、可動片ばねのコイル部から他方に延びた固定端を係止する固定端位置決め部を有し、一方の接続端子側から他方の接続端子側に漸次近づくように延びた斜面部のいずれかの位置で固定部品に係止されるばねスライダーとを備える。
本開示に係る回路遮断器によれば、可動片ばねの固定端をばねホルダーに係止させた状態のまま、固定部品に係止されるばねホルダーの取付溝を変更することで、可動片ばねの固定端を保持して移動させる治具を用いることなく、可動片ばねの荷重を変えることができ、動作電流を調整する作業の効率が向上する。
また本開示に係る回路遮断器によれば、可動片ばねの固定端をばねスライダーに係止させた状態のまま、ばねスライダーの斜面部の任意の位置で固定部品と係止することで、可動片ばねの固定端を保持して移動させる治具を用いることなく、可動片ばねの荷重を変えることができ、動作電流を調整する作業の効率が向上する。
本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の概略構成を示す側面断面図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の概略構成を示す上面図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す上面図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す側面断面図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器のばねホルダーの概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器のばねホルダーの概略構成図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の固定部品の概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の固定部品の概略構成を示す正面図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す上面図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す上面図である。 本開示の実施の形態1に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す側面断面図である。 本開示の実施の形態2に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す側面断面図である。 本開示の実施の形態2に係る回路遮断器のばねホルダーの概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態2に係る回路遮断器のばねホルダーの概略構成図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す上面図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す側面断面図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器のばねスライダーの概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器のばねスライダーを示す概略構成図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の固定部品の概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の固定部品の概略構成を示す正面図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の調整部品の概略構成を示す斜視図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の調整部品の概略構成図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の引きはずし装置の上面図である。 本開示の実施の形態3に係る回路遮断器の引きはずし装置の上面図である。
以下では、図面を参照して回路遮断器の一例を説明するが、その要旨を超えない限り、この構成によって限定されるものではない。図1~図12は本開示の実施の形態1における回路遮断器を示すものである。図1は回路遮断器の側面断面図、図2は回路遮断器を示す部分透視の上面図である。
図1、図2に示すように、回路遮断器100は、絶縁材料で形成されたベース11とカバー12とからなる筐体10を用いて構成される。ベース11上には、極数分の回路遮断ユニット20が互いに間隔をおいて配列され、回路遮断ユニット20の上部には、開閉機構部30が配置される。カバー12は、ベース11上の各極の回路遮断ユニット20と、開閉機構部30を覆い、開閉機構部30の操作ハンドル31はカバー12のハンドル用窓孔12aから突出している。
各極の回路遮断ユニット20は、ベース11に設けられた電源側端子24と、この電源側端子24より延設され、固定接点21が設けられた固定接触子27と、固定接点21と接触および開離する可動接点22と、この可動接点22が一端に設けられ、クロスバー32により回動自由に保持されている可動接触子23と、この可動接触子23に可動接触子ホルダー26を介して接続された引きはずし装置40と、引きはずし装置40より延設された負荷側端子25と、可動接触子23の先端側に設けられ、両接点21、22を囲む消弧板51により遮断時に発生するアークを消弧する消弧装置50とを備えている。
開閉機構部30は、引きはずし装置40により駆動される周知のトリップバー33を備えている。
また、各極の回路遮断ユニット20は、互いに同じに構成され、クロスバー32は、各極の回路遮断ユニット20に共通して、各極の回路遮断ユニット20に直交するように、ベース11上に配置されている。このクロスバー32は、開閉機構部30により、その軸心を中心として回動され、各極の回路遮断ユニット20における各可動接触子23がそれぞれ取り付けられる。クロスバー32がその軸心を中心として回動したときに、各極の可動接触子23が同時に回動され、この可動接触子23の回動により、可動接点22が固定接点21に接触および開離する。
引きはずし装置40は、電源側端子24と負荷側端子25の間に配置され、一端に負荷側端子25を有する導電部材6に組み付けられている。図3は引きはずし装置を示す斜視図、図4は引きはずし装置の上面図、図5は引きはずし装置の側面断面図である。図3に示すように、引きはずし装置40は、電磁引きはずし装置41と熱動引きはずし装置42とから構成される。
電磁引きはずし装置41は、固定部品4に固着され、導電部材6に過電流が流れて磁化される固定継鉄41aと、瞬時遮断時に磁化された固定継鉄41aに吸着され、トリップバー33を駆動する可動片1と、可動片1を付勢する可動片ばね2と、可動片1を固定部品4で軸支する回動軸5とを備えている。また、電磁引きはずし装置41は、可動片ばね2を保持するばねホルダー3を備え、ばねホルダー3は、固定部品4に取り付けられている。
図5に示すように、熱動引きはずし装置42は、導電部材6から延びたヒータ42aと、このヒータ42aを間に介して固定継鉄41aおよび固定部品4にリベット41e(図5に図示する)により固着されている熱動素子7とを備えている。
図3に示すように、可動片1は、固定継鉄41aに対向して設けられた平板状の被吸引部1aと、被吸引部1aの両側から上方に延びて互いに対向する一対の腕部1bと、一対の腕部1bの一方からさらに上方に延びた先端から突出した操作片部1cとを有する。操作片部1cは、トリップ時にトリップバー33を押圧する。互いに対向する腕部1bには貫通孔が形成されており回動軸5が挿通される。
可動片ばね2は、例えばダブルトーション形のねじりコイルバネである。可動片ばね2は、回動軸5の周りに巻回される一対のコイル部2cと、一対のコイル部2cから一方に延びた可動端2aと、一対のコイル部2cから他方に延びた一対の固定端2bとを有する。可動端2aは、可動片1の被吸引部1aに当接され、一対の固定端2bは、ばねホルダー3の固定端位置決め部3aで位置が決まるように係止されている。可動片ばね2は、可動片1の被吸引部1aを固定継鉄41aから引き離す方向、すなわち図5の紙面上時計回り方向に付勢している。
導電部材6およびヒータ42aに短絡電流等の過電流が流れると、この過電流によって発生する磁束によって固定継鉄41aが磁化され、固定継鉄41aに可動片1の被吸引部1aが瞬時に吸引される。可動片1は、回動軸5を中心に可動片ばね2で付勢された力に反して回動し、この回動に伴って操作片部1cがトリップバー33を押して回路遮断器100をトリップさせ遮断動作を行う。
図6はばねホルダー3を示す斜視図、図7(a)はばねホルダー3の上面図、図7(b)はばねホルダー3の側面図である。図6、図7に示すように、ばねホルダー3には、例えば上方から見て略長方形状の平面部3cが互いに間隔をあけて設けられている。平面部3cには、それぞれ平面部3cの一方の側辺から他方の側辺に向かって延びた複数の取付溝3bが形成されている。平面部3cは、平面部3cに垂直な側面部3dで連結されている。平面部3cから傾斜して延びた先端には鉤状に形成された一対の固定端位置決め部3aが設けられている。
図8は固定部品を示す斜視図、図9は固定部品の正面図である。固定部品4には、固定継鉄41aが固着される板状の固着部4aと、固着部4aから上方に延び、中央が開口した背面部4bと、背面部4bの両端において互いに対向するように折り曲げられた一対の側面部4cとを有する。背面部4bには、ばねホルダー3が係止される一対の取付部4dが形成されている。取付部4dは、例えば背面部4bを貫通する貫通孔である。また一対の側面部4cには、可動片1の回転軸5が挿入される軸孔が形成されている。固着部4aには、リベット41eが挿入される複数のリベット孔が形成されている。
ばねホルダー3は、取付溝3bが固定部品4の取付部4dに取り付けられ、固定端位置決め部3aに可動片ばね2の固定端2bが係止された状態において、可動片ばね2によって電源側端子24側に付勢されている。ばねホルダー3の平面部3cは、可動片ばね2に付勢された状態において、一端に負荷側端子25を有する導電部材6と略平行に配置されている。また、複数の取付溝3bは、負荷側端子25から電源側端子24に向かう方向に配列されている。そして、いずれかの取付溝3bが、固定部品4の取付部4dと係止し、ばねホルダー3は、固定部品4に保持される。ばねホルダー3は、可動片ばね2で付勢されているため、振動等でばねホルダー3が固定部品4から脱落されることを防ぐことができる。
図10は、ばねホルダーと固定部品の嵌合を外した状態における引きはずし装置の上面図ある。図10に示すように、ばねホルダー3は、複数の取付溝3bが伸びた方向、すなわち図10の紙面上下方向に移動可能で、下方向に移動させたとき取付溝3bと取付部4dの係止がはずれ、ばねホルダー3は電源側端子24または負荷側端子25方向に移動させることができる。
図11、図12は、ばねホルダーを負荷側端子方向に動かして係止させた状態の引きはずし装置の上面図、側面断面図である。この状態では、可動片ばね2の固定端2bが図4に示した状態よりも負荷側端子25方向に移動しているため、可動片1への付勢力が増え、より大きな電磁力が作用するまで可動片1は動作しない。結果として瞬時引きはずしの動作電流を大きくすることができる。
ここで、ばねホルダー3は、合成樹脂材料で形成されていることが好ましい。これにより、動作電流のチェックを行った検査後でも、ばねホルダー3が高温になることを抑制し、冷却時間を設けることなく、作業者が安全にばねホルダー3の取付溝3bと固定部品4の取付部4dの係止をはずすことができる。
また、ばねホルダー3の平面部3cにおいて取付溝3bが形成される側辺は、可動片1の一対の腕部1bのうち、操作片部1cが設けられる腕部1bに近い側であることが好ましい。これにより、ばねホルダー3の取付溝3bと固定部品4の取付部4dの係止をはずす際に操作片部1cに干渉するのを防ぐことができる。
また、図6、図7ではばねホルダー3が2つの平面部3cが互いに間隔をあけて設けられた例を示したが、さらに複数の平面部3cを有し、それぞれ取付溝3bが形成されていてもよい。
また、図6、図7ではばねホルダー3の複数の取付溝3bが、平面部3cの一方の側辺から他方の側辺に向かって延びた例を示したが、固定部品4の取付部4dに係止するように弾性変形される形状であればよく、例えば2つの平面部3cのうち、一方の平面部3cは一方の側辺から他方の側辺に向かって取付溝3bが形成され、他方の平面部3cは他方の側辺から一方の側辺に向かって形成されていてもよい。
上述のとおり、本実施の形態に係る回路遮断器100では、引きはずし装置40がばねホルダー3を備え、ばねホルダー3は、可動片ばね2のコイル部2cから延びた固定端2bを係止する固定端位置決め部3aを有するとともに、電源側端子24から負荷側端子25に向かう方向に並んだ複数の取付溝3bのいずれかにおいて固定部品4の背面部4bに係止される。動作電流を調整する際には、ばねホルダー3を移動させることで取付溝3bを固定部品4の取付部4dとの係止を外し、係止されていた取付溝3bと別の取付溝3bに取り付ける。
このように、可動片ばね2の固定端2bをばねホルダー3に係止させた状態のまま、ばねホルダー3を移動させて固定部品4と係止する取付溝3bを変更することで、可動片ばね2の固定端2bを保持して移動させる治具を用いることなく、可動片ばね2の荷重を変えることができ、動作電流を調整する作業の効率が向上する。また可動片ばね一対の固定端2bが互いに違う位置に固定されてしまうことが防止しつつ、意図した荷重に設定することができる。また、可動片ばね2に直接触れることなく、可動片ばね2の荷重を変え、瞬時引きはずしの動作電流を容易に変更することができる。また可動片1の初期位置を移動することなく動作電流を調整するため、可動片1と主接点開閉機構との間の距離を一定に保ったまま調整範囲を大きくすることができる。
実施の形態2.
図13は、本開示の実施の形態2における回路遮断器の引きはずし装置の概略構成を示す側面断面図である。図14は、本開示の実施の形態2に係る回路遮断器のばねホルダーを示す斜視図である。図15は、本開示の実施の形態2に係る回路遮断器のばねホルダーを示す概略構成図であり、(a)は上面図、(b)側面図を示す。
実施の形態1の回路遮断器100では、ばねホルダー3の平面部3cに対し、平行に複数の取付溝3bが形成される例を示したが、本実施の形態の回路遮断器101では、ばねホルダー301の平面部301cから直立して複数の取付溝301bが形成される。以下では、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同様の点は適宜省略して説明する。
図14、図15に示すように、ばねホルダー301には、上方から見て略長方形状の平面部301cが設けられている。平面部301cには、略長方形状の表面から垂直に直立した凸部301dが複数並んで設けられ、隣り合う凸部301dの間が取付溝301bとして形成されている。ばねホルダー301は、平面部301cから延びた先端に鉤状に形成された一対の固定端位置決め部301aが設けられている。
図13に示すように、固定端位置決め部301aには、可動片ばね2の固定端2bが係止され、ばねホルダー301は可動片ばね2によって電源側端子24の方向に付勢されている。可動片ばね2に付勢された状態において、ばねホルダー301の平面部301cは、負荷側端子25が形成された導電部材6と略平行に配置されている。また、複数の取付溝301bは、電源側端子24から負荷側端子25に向かう方向に並んでいる。そして、いずれかの取付溝301bが、固定部品4と係止している。ばねホルダー301は、支持ばね302によって支持されている。支持ばね302の一方の端部は、ばねホルダー301に取り付けられ、他方の端部は、固定部品4に取り付けられている。
ばねホルダー301は、複数の取付溝301bが延びた方向、すなわち図13の紙面上下方向に移動可能で、下方向に移動させたとき取付溝301bと固定部品4との係止がはずれ、ばねホルダー301は電源側端子24または負荷側端子25方向に移動させることができる。
上述のとおり、本実施の形態に係る回路遮断器101では、引きはずし装置40がばねホルダー301を備え、ばねホルダー301は、可動片ばね2のコイル部2cから延びた固定端2bを係止する固定端位置決め部301aを有するとともに、電源側端子24から負荷側端子25に向かう方向に並んだ複数の取付溝301bのいずれかにおいて固定部品4の背面部4bに係止される。動作電流を調整する際には、ばねホルダー301を移動させることで取付溝301bを固定部品4の取付部4dとの係止を外し、係止されていた取付溝301bと別の取付溝301bに取り付けることで、可動片ばね2が可動片1に付勢する荷重を変更する。
このように、可動片ばね2の固定端2bをばねホルダー301に係止させた状態のまま、ばねホルダー301を移動させて固定部品4と係止する取付溝301bを変更することで、可動片ばね2の固定端2bを保持して移動させる治具を用いることなく、可動片ばね2の荷重を変えることができ、動作電流を調整する作業の効率が向上する。また、可動片ばね2の一対の固定端2bが互いに違う位置に固定されてしまうことが防止し、意図した荷重に設定することができる。また、可動片ばね2に直接触れることなく、可動片ばね2の荷重を変え、瞬時引きはずしの動作電流を容易に変更することができる。また可動片1の初期位置を移動することなく動作電流を調整するため、可動片1と主接点開閉機構との間の距離を一定に保ったまま調整範囲を大きくすることができる。
実施の形態3.
図16~図26は本開示の実施の形態3に係る回路遮断器を示すものである。図16は引きはずし装置を示す斜視図、図17は引きはずし装置の上面図、図18は引きはずし装置の側面断面図である。本実施の形態の回路遮断器102では、実施の形態1の回路遮断器100のばねホルダー3に変えてばねスライダー8が設けられている。以下では、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同様の点は適宜省略して説明する。
回路遮断器102は、電源側端子24に接続された固定接触子27と、固定接触子27に接触および開離可能に設けられた可動接触子23と、電源側端子24および負荷側端子25の間に設けられた導電部材6に組み付けられ、導電部材6に過電流が流れたときに遮断を行う引きはずし装置60とを備える。
引きはずし装置60は、電磁引きはずし装置61と熱動引きはずし装置42とから構成される。電磁引きはずし装置61は、固定部品4に固着され、導電部材6に過電流が流れて磁化される固定継鉄41aと、瞬時遮断時に磁化された固定継鉄41aに吸着され、トリップバー33を駆動する可動片1と、可動片1を付勢する可動片ばね2と、可動片1を固定部品4で軸支する回動軸5とを備えている。また、電磁引きはずし装置61は、可動片ばね2の固定端2bを保持するばねスライダー8を備え、ばねスライダー8は、固定部品4に取り付けられている。また、ばねスライダー8と固定部品4の間には、調整部品9が取り付けられている。
可動片1は、被吸引部1aが可動片ばね2の可動端2aに当接し、可動片ばね2によって被吸引部1aを固定継鉄41aから引き離す方向、すなわち図18の紙面上時計回り方向に付勢されている。また、可動片ばね2の固定端2bは、ばねスライダー8の固定端位置決め部8aに係止されている。
図19はばねスライダーを示す斜視図、図20(a)はばねスライダーの上面図、(b)はばねスライダーの側面図である。図19、20に示すように、ばねスライダー8は、側壁部8bと、側壁部8bの上辺から垂直に伸びた平面部8cとが設けられている。また側壁部8bの下辺の両側から垂直に延びた先端に、鉤状に形成された一対の固定端位置決め部8aが設けられている。側壁部8bと対向する平面部8cの先端は、一対の固定端位置決め部8aが対向する方向において、漸次、側壁部8bに遠ざかるように延びた斜面部8dを有する。
図21は固定部品を示す斜視図、図22は固定部品の正面図である。固定部品4には、固定継鉄41aが固着される固着部4aと、固着部4aから上方に延びて中央が開口した背面部4bと、背面部4bの両端において互いに対向するように折り曲げられた一対の側面部4cとを有する。固定部品4の背面部4bには、一対の側面部4cが対向する方向に延びたスライド孔4eが形成されている。固定部品4の背面部4bには、スライド孔4eの下方に一対の側面部4cが対向する方向に並んだ一対の挿入孔4fが形成されている。
また固着部4aには、リベット41eが挿入される複数のリベット孔が形成されている。また一対の側面部4cには可動片1の回動軸5が挿入される軸孔が設けられている。
図23は調整部品を示す斜視図、図24(a)は調整部品の上面図、図24(b)は調整部品の側面図、図24(c)は調整部品の底面図である。調整部品9は、側面部9bと、側面部9bの上方から垂直に伸びた操作つまみ部9aと、操作つまみ部9aの下方で側面部9bから垂直に延びた突出部9cとを有する。また、調整部品9は、側面部9bの反対面において、側面部9bに対して傾斜し、ばねスライダー8の当接部9dに当接する当接部9dを有する。調整部品9の当接部9dは、側面部9bに対しばねスライダー8の斜面部8dと同じ角度に傾斜している。
調整部品9は、スライド孔4eの延びた方向に沿って移動可能なように固定部品4に取り付けられる。調整部品9は、操作つまみ部9aが固定部品4の背面部4bの上辺に接し、突出部9cがスライド孔4eに挿入される。すなわち、固定部品4の背面部4bの上辺とスライド孔4eとの間を調整部品9が挟み込むように取り付けられる。ばねスライダー8は、固定部品4に調整部品9が取り付けられた状態で、斜面部8dが調整部品9の当接部9dに当接され、平面部8cの一部がスライド孔4eに挿入される。またばねスライダー8の一対の固定端位置決め部8aが固定部品4の一対の挿入孔4fにそれぞれ挿入される。
図17に示すように、ばねスライダー8の斜面部8dは、一対の固定端位置決め部8aが対向する方向において、電源側端子24側から負荷側端子25側に漸次近づくよう設けられている。調整部品9は、操作つまみ9aを図17の紙面上下に動かすことで、固定部品4のスライド孔4eの延びた方向に沿ってスライドする。このスライドにより、ばねスライダー8の斜面部8dが調整部品9の当接部9dに押され、ばねスライダー8が負荷側端子25側または電源側端子24側に移動する。すなわち、ばねスライダー8は、調整部品9により電源側端子24から負荷側端子25へ向かう方向に、または負荷側端子25から電源側端子24へ向かう方向にスライドできる構造となっている。
図25は、調整部品を幅方向略中央に移動した場合の引きはずし装置の上面図である。図26は、調整部品をさらに動かした場合の引きはずし装置の上面図である。この状態では、可動片ばね2の固定端2bがさらに負荷側端子25の方向に移動しているため、可動片1への付勢力が増え、より大きな電磁力が作用するまで可動片1が動かない。結果として瞬時引きはずし動作電流を大きくすることができる。
ここで、可動片ばね2の固定端2bは、ばねスライダー8を常に電源側端子24側に付勢し、調整部品9には図25でいうと下方向へスライドさせる荷重が作用する。調整部品9は、固定部品4またはばねスライダー8と接触する部分の摩擦係数を調整することで振動等では動かないように設定することが好ましい。
ここで、ばねスライダー8は、合成樹脂材料で形成されていることが好ましい。これにより、動作電流のチェックを行った検査後でも、ばねスライダー8が高温になることを抑制し、冷却時間を設けることなく、作業者が安全にばねスライダー8と固定部品4の係止をはずすことができる。
上述のとおり、本実施の形態に係る回路遮断器102では、引きはずし装置60がばねスライダー8を備え、ばねスライダー8は、可動片ばね2のコイル部2cから延びた固定端2bを係止する固定端位置決め部8aを有するとともに、電源側端子24から負荷側端子25に漸次近づくように延びた斜面部8dを有し、斜面部8dのいずれかの位置で固定部品4の背面部4bに係止される。動作電流を調整する際には、ばねスライダー8を移動させ、固定部品4に係止される斜面部8dの位置を変更することで、可動片ばね2が可動片1に付勢する荷重を変更する。
このように、可動片ばね2の固定端2bをばねスライダー8に係止させた状態のまま、ばねスライダー8を移動させてばねスライダーの斜面部の任意の位置で固定部品と係止することで、可動片ばね2の固定端2bを保持して移動させる治具を用いることなく、可動片ばね2の荷重を変えることができ、動作電流を調整する作業の効率が向上する。また、可動片ばね2の一対の固定端2bが互いに違う位置に固定されてしまうことが防止し、意図した荷重に設定することができる。また、可動片ばね2に直接触れることなく、可動片ばね2の荷重を変え、瞬時引きはずしの動作電流を容易に変更することができる。また可動片1の初期位置を移動することなく動作電流を調整するため、可動片1と主接点開閉機構との間の距離を一定に保ったまま調整範囲を大きくすることができる。さらに、本実施の形態では、ばねスライダー8をスライドさせることで、可動片ばね2の荷重を漸次変えることができ、動作電流に応じて最適な荷重を設定することができる。
なお、実施の形態1から3では、電源側端子24に固定接触子27が接続され、負荷側端子25に可動接触子23が接続された例を示したが、電源側端子24に可動接触子23が接続され、負荷側端子25に固定接触子27が接続されていてもよい。
また、実施の形態1から3では、可動片ばね2がダブルトーションばねである例を示したが、シングルトーションばねであってもよい。
また、実施の形態1から3では、可動片1に回動軸5が挿通される例を示したが、可動片1が回動可能であればよく、回動軸5を用いない構成とすることも可能である。
また、実施の形態1から3では、固定部品4と回動軸5が別部材である例を示したが、固定部品4の一部で可動片1を回動可能に支持する回動軸5を構成してもよい。
また、本開示は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変更、省略したりすることが可能である。
1 可動片、1a 被吸引部、1b 腕部、1c 操作片部、2 可動片ばね、2a 可動端、2b 固定端、2c コイル部、3 ばねホルダー、3a 固定端位置決め部、3b 取付溝、3c 平面部、3d 側面部、4 固定部品、4a 固着部、4b 背面部、4c 側面部、4d 取付部、4e スライド孔、4f 挿入孔、5 回動軸、6 導電部材、7 熱動素子、8 ばねスライダー、8a 固定端位置決め部、8b 側壁部、8c 平面部、8d 斜面部、9 調整部品、9a 操作つまみ部、9b 側面部、9c 突出部、9d 当接部、10 筐体、11 ベース、12 カバー、12a ハンドル用窓孔、20 回路遮断ユニット、21 固定接点、22 可動接点、23 可動接触子、24 電源側端子、25 負荷側端子、26 可動接触子ホルダー、30 開閉機構部、31 操作ハンドル、32 クロスバー、33 トリップバー、40 引きはずし装置、41 電磁引きはずし装置、41a 固定継鉄、42 熱動引きはずし装置、42a ヒータ、50 消弧装置、60 引きはずし装置、100、101、102 回路遮断器

Claims (9)

  1. 一方の接続端子に接続された固定接触子と、前記固定接触子に接触および開離可能に設けられた可動接触子と、前記一方の接続端子および他方の接続端子の間に設けられた導電部材に組み付けられ、前記導電部材に過電流が流れたときに前記固定接触子と前記可動接触子を開離させる開閉機構部を駆動する引きはずし装置とを備える回路遮断器であって、
    前記引きはずし装置は、
    前記導電部材に過電流が流れて磁化される固定継鉄が固着される固定部品と、
    前記固定継鉄に対向する被吸引部を有し、回動可能に支持された可動片と、
    コイル部を有し、前記コイル部から一方に延びた可動端が前記可動片に当接し、前記被吸引部を前記固定継鉄から引き離す方向に付勢する可動片ばねと、
    前記可動片ばねの前記コイル部から他方に延びた固定端を係止する固定端位置決め部を有し、前記一方の接続端子側から前記他方の接続端子側に向かう方向に並んだ複数の取付溝のいずれかにおいて前記固定部品に係止されるばねホルダーと
    を備えることを特徴とする回路遮断器。
  2. 前記可動片ばねは一対のコイル部を有し、前記ばねホルダーは前記可動片ばねの前記一対のコイル部から他方に延びた一対の固定端を係止する一対の固定端位置決め部を有することを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
  3. 前記ばねホルダーは、合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路遮断器。
  4. 前記ばねホルダーは、互いに間隔をあけて設けられた平面部を有し、前記複数の取付溝は前記平面部の一方の側辺に形成され、前記一方の側辺から向かい合う他方の側辺に向かって延びていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回路遮断器。
  5. 前記固定部品は、貫通孔である取付部が形成され、前記取付部に前記平面部が挿入され、前記取付部に前記ばねホルダーの前記複数の取付溝のいずれかが係止されることを特徴とする請求項4に記載の回路遮断器。
  6. 前記ばねホルダーは、平面部および前記平面部から突出した複数の凸部を有し、互いに隣り合う前記凸部の間が前記取付溝として形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回路遮断器。
  7. 前記ばねホルダーは、前記平面部の前記複数の凸部が設けられた側の反対面に取り付けられた支持ばねによって支持されていることを特徴とする請求項6に記載の回路遮断器。
  8. 一方の接続端子に接続された固定接触子と、前記固定接触子に接触および開離可能に設けられた可動接触子と、前記一方の接続端子および他方の接続端子の間に設けられた導電部材に組み付けられ、前記導電部材に過電流が流れたときに前記固定接触子と前記可動接触子を開離させる開閉機構部を駆動する引きはずし装置とを備える回路遮断器であって、
    前記引きはずし装置は、
    前記導電部材に過電流が流れて磁化される固定継鉄が固着される固定部品と、
    前記固定継鉄に対向する被吸引部を有し、回動可能に支持された可動片と、
    コイル部を有し、前記コイル部から一方に延びた可動端が前記可動片に当接し、前記被吸引部を前記固定継鉄から引き離す方向に付勢する可動片ばねと、
    前記可動片ばねの前記コイル部から他方に延びた固定端を係止する固定端位置決め部を有し、前記一方の接続端子側から前記他方の接続端子側に漸次近づくように延びた斜面部のいずれかの位置で前記固定部品に係止されるばねスライダーと
    を備えることを特徴とする回路遮断器。
  9. 前記固定部品には、前記ばねスライダーの前記斜面部の一部が挿入されるスライド孔が形成され、前記スライド孔には、前記ばねスライダーの前記斜面部に当接する調整部品が設けられ、前記調整部品を前記スライド孔に沿って移動させることで、前記ばねスライダーを前記一方の接続端子側または前記他方の接続端側子側に移動させることを特徴とする請求項8に記載の回路遮断器。
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