JP4989333B2 - 接点装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回路遮断器や開閉器などに使用される接点装置に関するものである。
従来から、この種の接点装置Aとして、たとえば図3に示すように固定接点10が設けられた固定接点板7と、先端部における固定接点10と対向する位置に可動接点11が設けられた可動接触子9とを合成樹脂製のハウジング2内に備え、可動接触子9を、可動接点11を固定接点10に接触させた閉極位置から、固定接点板7に対する移動量が先端側で基端側より大きくなるように動かして開極位置まで移動させることで接点を開極させる構成のものが提供されている(たとえば特許文献1参照)。
この種の接点装置Aにおいて、固定接点10と可動接点11との間に電流が流れている状態で接点を開極すると、開極時に固定接点10と可動接点11との間にアークが発生し、このアークによって固定接点10および可動接点11が消耗するなどの問題を生じる可能性がある。
そこで、特許文献1記載の接点装置Aでは、可動接点11に電気的に接続された電極片50を、可動接触子9における固定接点10との対向部位に設けてある。この電極片50は、可動接触子9を閉極位置から開極位置まで移動させる間に、固定接点10と可動接点11との間隔よりも固定接点10と電極片50との間隔が小さくなるように、可動接点11に対して基端側(ここでは枢支軸12側)に隣接して配置されている。したがって、開極時に発生するアークは可動接触子9が閉極位置から開極位置に移動する期間内に、可動電極11と固定電極10との間から電極片50と固定電極10との間に移動し、アークによる可動接点11の消耗を抑えることができる。
特許第2734615号公報(第2−3頁、図1)
しかし、特許文献1記載の発明であっても開極時に固定接点10に発生するアークを防止することはできない。そのため、開極時に発生したアークの熱により固定接点10の周囲のハウジング2を形成している合成樹脂材料が気化して固定接点10に付着し、固定接点10と可動接点11との接触不良を生じる可能性がある。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、開極時に発生するアークにより固定接点に合成樹脂材料が付着することを防止した接点装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明では、合成樹脂製のハウジングと、ハウジング内の定位置に配置された固定接点と、ハウジング内において固定接点と接離可能な可動接点とを備え、ハウジング内において固定接点の周囲であってハウジングの内側面から離間した位置には、ハウジングを形成する合成樹脂材料よりも高い耐熱性を有する絶縁性材料からなるガード壁が立設されており、前記ガード壁は、前記固定接点と前記可動接点との開極時におけるアークの発生位置よりも上方に、アーク発生時に熱エネルギにより膨張した空気を固定接点と反対側に逃がす空気孔を有することを特徴とする。
この構成によれば、固定接点の周囲であってハウジングの内側面から離間した位置に、ハウジングを形成する合成樹脂材料よりも高い耐熱性を有する材料からなるガード壁を立設してあるので、アーク発生時に生じた熱がハウジングに直接伝わることを防止でき、したがって、アークの熱により固定接点の周囲のハウジングを形成している合成樹脂材料が気化することを防止できる。また、万一、固定接点の周囲のハウジングを形成している合成樹脂材料が気化しても、この合成樹脂材料はガード壁に阻まれて固定接点に付着することはない。したがって、固定接点に合成樹脂材料が付着することは防止され、結果的に、固定接点と可動接点との接触不良が生じにくくなる。
また、この構成によれば、ガード壁が、アーク発生時に膨張した空気を固定接点と反対側に逃がす空気孔を有するから、アークの熱エネルギによって膨張した空気がガード壁を押圧してガード壁が変形する不具合を防止できる。
本発明は、固定接点の周囲であってハウジングの内側面から離間した位置にガード壁を立設しているので、アーク発生時に生じた熱がハウジングに直接伝わることを防止でき、また、万一、固定接点の周囲のハウジングを形成している合成樹脂材料が気化しても固定接点に合成樹脂材料が付着することを防止できるという効果がある。
本実施形態では、短絡電流を検出した場合に接点を開極し回路遮断を行う回路遮断器に用いられる接点装置を例示する。以下に、この回路遮断器の全体構成について図2を参照して簡単に説明する。以下では図2の上下左右を上下左右として説明する。なお、この回路遮断器は図2の上方を上方として使用されるものとする。
回路遮断器1は、合成樹脂製のハウジング2の左右両端部にそれぞれ電線を接続可能な端子装置3を有し、ハウジング2内における一方(左方)の端子装置3寄りの位置に接点装置Aを備えている。ハウジング2には、接点装置Aのほか、接点装置Aに流れる短絡電流を検出する電流検出装置(図示せず)と、ハウジング2の上面から突出させたハンドル4の操作に連動して接点装置Aを開閉する開閉機構部5とが収納されている。電流検出装置は電磁石装置からなり、開閉機構部5は、接点装置Aが閉極状態にあるときに、電流検出装置が短絡電流を検出して電流検出装置のアマチュア(図示せず)が動作すると、接点装置Aを強制的に開極するトリップ機構6を有する。
接点装置Aは、前記一方の端子装置3からハウジング2内に延設された固定接点板7と、他方の端子装置(図示せず)に対して電流検出装置のコイル(図示せず)および可撓線8(図2(b)参照)を介して電気的に接続された可動接触子9とを備えている。ここで、固定接点板7において可動接触子9と対向する先端部の上面には矩形板状の固定接点10が固着され、可動接触子9において固定接点10と対向する先端部の下面には固定接点10と接離可能な矩形板状の可動接点11が固着されている。可動接触子9は、中央部に挿通される枢支軸12によって合成樹脂製の可動枠13に回動自在に枢支され、また、他端部に挿通されたばね受けピン14と可動枠13の内面に突設されたばね突起15との間に設けた接圧ばね16(図2(b)参照)によって回動付勢されている。可動枠13は、ハウジング2に対して回動自在となるように、軸部17がハウジング2に枢支されている。これにより、可動枠13および軸部17とハウジング2とは、可動接触子9を固定接点板7に対して所定範囲内(後述する開極位置と閉極位置との間)で移動可能に支持する支持機構を構成する。
ここにおいて、接圧ばね16による可動接触子9の付勢方向は、接圧ばね16の両端に相当するばね突起15およびばね受けピン14と、枢支軸12との位置関係によって決定される。たとえば、図2(a)に示す開極状態や図2(b)に示す閉極状態では、ばね突起15と枢支軸12とを結ぶ直線よりもばね受けピン14が上方に位置するので、可動接触子9は可動枠13に対して図中反時計回りに付勢される。
開閉機構部5のトリップ機構6は、一端部に設けた回動軸18によってハウジング2に対して回動自在に枢支されたトリップリンク19と、トリップリンク19に結合された第1および第2のリンク20,21と、引張コイルばねからなるばね22とを具備している。トリップリンク19は、他端部に設けた係合部23をラッチ部24に係合させることで図2に示す所定位置に位置決めされており、中央部にはリンク用軸25を介して第1のリンク20の一端部が連結される。第1のリンク20の他端部は連結軸26によって第2のリンク21の一端部に連結されており、第2のリンク21の他端部は枢支軸12によって可動接触子9に連結される。ばね22は、両リンク20,21を連結する連結軸26と、ハンドル4に結合されたレバー27に保持されたピン28との間に掛け渡されている。
続いて、上述した構成の回路遮断器1の動作について簡単に説明する。
図2(a)のようにハンドル4を右側に倒した状態では、トリップリンク19と第1のリンク20とを連結するリンク用軸25よりも右側にばね22が位置することで、開閉機構部5における一対のリンク20,21がばね22の付勢により折り畳まれたような形となり、可動枠13に保持されている枢支軸12は引き上げられた状態となる。これにより、可動接触子9は図2(a)に示す開極位置に位置し、可動接点11は固定接点10から引き離され接点装置Aは開極状態となる。
一方、図2(a)の状態からハンドル4を左方に移動させると、トリップリンク19と第1のリンク20とを連結するリンク用軸25の位置をばね22が越えた時点でばね22の付勢により連結軸26が左方に引っ張られ、図2(b)に示すように一対のリンク20,21が伸びた状態となる。これにより、可動枠13が図中反時計回りに回動して枢支軸12が下がることとなり、可動接触子9は図2(b)に示す閉極位置に移動し、可動接触子9に設けた可動接点11が固定接点10に接触することで接点装置Aは閉極状態となる。このとき、可動接触子9は接圧ばね16によって可動枠13に対し図中反時計回りに付勢され、固定接点10と可動接点11との間の接圧が確保される。
また、図示は省略するが、図2(b)に示す閉極状態において電流検出装置が短絡電流を検出すると、電流検出装置のアマチュアが動作してトリップ状態に移行する。すなわち、アマチュアが動作すると、トリップリンク19の係合部23とラッチ部24との係合が解除され、トリップリンク19がばね22の付勢によって図中反時計回りに回動する。そして、トリップリンク19と第1のリンク20とを連結するリンク用軸25がばね22よりも左側に移動した時点でばね22の付勢力が反転し、一対のリンク20,21が折り畳まれて可動枠13が図中時計回りに回動し枢支軸12は引き上げられる。これにより、閉極位置にあった可動接触子9は、固定接点板7に対する移動量が先端側で基端側より大きくなるように動いて開極位置まで移動し、可動接点11が固定接点10から引き離されて接点装置Aは強制的に開極させられる。
なお、上述の回路遮断器1は、接点装置Aと端子装置3と電流検出装置とをそれぞれ極ごとに備えており、ハンドル4を含む開閉機構部5を各極共通にして各極の電流検出装置および接点装置Aを連動させる構成としてある。
次に、本実施形態の接点装置Aの構成について図1を参照して詳しく説明する。
固定接点板7は、導電性材料(たとえば銅あるいは銅合金)からなり、端子装置3の端子ねじ29(図2参照)を螺合するねじ孔30が形成された端子片31と、端子片31の右端縁から端子片31の厚み方向に沿って下方に延設された連結片32と、連結片32の先端縁から端子片31と反対側(右方)に延設された接点片33とで略Z字状に形成され、ハウジング2に嵌め込まれるように装着されている。固定接点10は、固定接点板7よりも耐アーク性の高い導電性材料(たとえば銀あるいは銀合金)から形成され、接点片33の上面に固着される。なお、接点片33の先端部の幅方向の両側には平面視半円状の半円部34がそれぞれ突設されている。
接点片33上における連結片32側の端部には、弾性を有する絶縁性材料から板状に形成された排気バリア35と、絶縁性材料から板状に形成された排気板36とが排気バリア35を連結片32側として連結片32に沿って立設される。排気バリア35および排気板36は、連結片32よりも上下寸法が大きく形成されており、端子片31よりも上方に突出している。ここで、排気板36において端子片31より上方に突出した部分には排気孔37が複数貫設されており、排気バリア35は排気孔37を閉塞するように排気板36に装着されている。排気バリア35の略中央部には係合片(図示せず)が形成されており、この係合片を排気板36の略中央部に貫設された係合孔38に対して係合させることにより排気板36に装着される。さらに、排気板36における係合孔38の下方には後述のコ字型磁性板39を装着するための固定用孔(図示せず)が貫設されている。排気バリア35および排気板36は、ハウジング2に形成された溝40に両側辺を挿入することでハウジング2に装着され、ハウジング2において端子装置3が配置された端子室41と接点装置Aが配置された接点室42とを仕切っている。
また、排気板36における排気バリア35と反対側の一表面上にはコ字型磁性板39が取り付けられる。コ字型磁性板39は、排気板36に沿った矩形板状の基片43と、基片43の両側辺からそれぞれ排気板36と反対側に延設された一対の側片44とによって、接点片33に沿う断面がコ字状に形成されており、基片43に突設した嵌入突起(図示せず)を排気板36の固定用孔に嵌入することにより排気板36に固定される。ここで、コ字型磁性板39は、下面と接点片33との間に所定の隙間S1を空けるように排気板36に固定され、さらに、接点片33において固定接点10が固着された部分を基片43と両側片44とで囲むように接点片33に沿う面内での位置が決められている。なお、嵌入突起の先端面と連結片32との間には排気バリア35が介在することにより、コ字型磁性板39と固定接点板7とは電気的に絶縁される。
接点片33の先端部(右端部)には、固定接点板7と電気的に接続された導電板45が装着されている。導電板45は、固定接点板7よりも溶融温度の高い導電性材料(たとえば鉄、ステンレス等)から形成され、接点片33の各半円部34に形成された嵌合溝(図示せず)に嵌入される結合爪46を具備した結合片47と、接点片33の先端縁よりも右方に突出するアークランナ48とを有している。ここで、アークランナ48は先端側を下げるように接点片33に対して所定の角度で傾斜している。
一方、可動接触子9は、導電性材料(たとえば銅あるいは銅合金)によって固定接点板7の連結片32および接点片33に直交する板状に形成されており、可動枠13に対して、中央部に設けた枢支軸12を支点として回動自在に枢支される。ここで、可動接触子9において先端部(左端部)のうち固定接点10と対向する部位には他部よりも厚み寸法が大きい接点取付部49が形成されており、この接点取付部49には可動接点11が固着される。可動接点11は、可動接触子9よりも耐アーク性の高い導電性材料(たとえば銀あるいは銀合金)から形成されている。
この可動接触子9には、可動接点11と電気的に接続された電極片50が装着されている。電極片50は、可動接触子9よりも溶融温度の高い導電性材料(たとえば鉄、ステンレス等)から形成され、可動接触子9の下面に形成された第1の結合溝51に嵌め込まれる第1の結合突起52を有している。第1の結合溝51は、可動接触子9を厚み方向に貫通するとともに、深くなるほど幅広となる所謂蟻溝形状に形成されており、電極片50の結合突起52も第1の結合溝51に対応する形状に形成されている。したがって、電極片50は、第1の結合突起52を第1の結合溝51に対して可動接触子9の厚み方向の一方から嵌め込むことにより固定される。電極片50は、図2に示すように固定接点10およびアークランナ48と常に間隔を空けて対向するように、可動接点11に対して可動接触子9の基端側(ここでは枢支軸12側)に隣接して配置されている。ここで、電極片50とアークランナ48との間隔は、少なくとも図2(a)に示す開極状態においては固定接点10と可動接点11との間隔よりも小さく設定される。なお、電極片50における固定接点10およびアークランナ48との対向面(下面)には凹部53が形成されており、接点装置Aの閉極状態ではこの凹部53によって電極片50と導電板45(結合片47およびアークランナ48)との間に隙間が確保される。
ここにおいて、接点片33に対するアークランナ48の傾斜角度は、図2(a)に示す開極状態において電極片50におけるアークランナ48との対向面に沿ってアークランナ48が配置されるように設定されている。これにより、開極状態においては、電極片50とアークランナ48との各対向面が略平行することとなり、電極片50におけるアークランナ48との対向面の全域において、電極片50とアークランナ48との距離を略一律に揃えることができる。
さらにまた、可動接触子9の下面における中央部には、絶縁性材料からなる絶縁片54が装着されている。絶縁片54は、可動接触子9の下面に形成された第2の結合溝55に嵌め込まれる第2の結合突起56を有している。第2の結合溝55は、第1の結合溝51と同様に蟻溝形状に形成されており、絶縁片54の結合突起56は第2の結合溝55に対応する形状に形成されている。ただし、第2の結合溝55に比べると第1の結合溝51は開口面が幅広に設定されており、したがって第1の結合突起52は第2の結合突起56よりも幅広に形成される。ここで、絶縁片54は、可動接触子9下面において電極片50に対して可動接点11と反対側となる位置であって、図2(a)に示すように接点装置Aの開極状態においてアークランナ48と枢支軸12とを結ぶ直線上となる位置に配置されている。なお、本実施形態では、接点装置Aの閉極状態において可動接触子9の下面と電極片50および絶縁片54の下面とが略面一になるように、電極片50および絶縁片54は可動接触子9の下面に形成された凹所57内に装着されている。
ところで、本実施形態の接点装置Aでは、図1に示すようにハウジング2内における固定接点10の周囲に、ハウジング2を形成する合成樹脂材料よりも高い耐熱性を有する絶縁性材料から板状に形成されたガード壁58を立設してある。なお、図1(a)では一方のガード壁58を外した状態を表している。
ガード壁58は、固定接点板7における接点片33の幅方向の両側であってハウジング2の内側面から隙間S2の分だけ離間した位置にそれぞれ立設される。ガード壁58の上下寸法は連結片32よりも大きく且つ排気バリア35および排気板36よりも小さい寸法に設定されており、可動接点11の移動範囲はガード壁58の上下寸法内に規制されている。ここでは、コ字型磁性板39の各側片44に互いに離れる向きに突設された取付突起59をガード壁58に貫設された取付孔60に嵌入することにより、ガード壁58がコ字型磁性板39に固定される構成を採用している。さらにガード壁58のうち、開極状態において電極片50の下端部よりも上方となる部位には、矩形状の空気孔61が上下方向に並ぶように複数(ここでは3個)貫設されている。なお、ガード壁58の下端部には、接点片33の両側に突設された半円部34との干渉を避けるように切欠62が設けられている。
上述した構成の接点装置Aによれば、閉極状態において固定接点10と可動接点11との間に電流が流れている状態で開極すると、開極時に固定接点10と可動接点11との間にアークが発生する。このアークは、可動接点11が固定接点10から離れた直後には可動接点11と固定接点10との間に生じるものの、可動接触子9が図2(b)の閉極位置から図2(a)の開極位置まで移動する期間内において、可動接点11と固定接点10との間隔が大きくなるにつれて電極片50とアークランナ48との間にも広がり、可動接点11と固定接点10との間隔が電極片50とアークランナ48との間隔よりも大きくなった時点(つまり、電極片50とアークランナ48との間隔が可動接点11と固定接点10との間隔よりも小さくなった時点)で、電極片50とアークランナ48との間に移動する。
要するに、可動接点11と固定接点10との間で発生したアークは、可動接触子9が閉極位置から開極位置まで移動する期間内に電極片50とアークランナ48との間に移動し、結果的に、アークランナ48のない構成と比べて、可動接点11と固定接点10との間にアークを生じる時間が短くなり、可動接点11と固定接点10との両方についてアークによる消耗を抑制することができる。ここにおいて、開極状態でアークランナ48と枢支軸12との間となる位置には絶縁片54が設けられているので、開極時に生じるアークが電極片50とアークランナ48との間に移動しても、このアーク48がさらに枢支軸12の近傍まで移動することはない。したがって、可動枠13に対する可動接触子9の回転軸としての枢支軸12がアークによって焼け付いてしまうことで可動接触子9が可動枠13に対して回動不能となる不具合を回避できる。
また、開極状態においては電極片50とアークランナ48との各対向面は略平行であって、電極片50におけるアークランナ48との対向面の全域において電極片50とアークランナ48との距離を略一律に揃えることができるので、電極片50とアークランナ48との間に生じるアークが電極片50あるいはアークランナ48の一箇所に集中することを回避できる。これにより、アークが電極片50あるいはアークランナ48の一箇所に集中する場合に比べて、アーク電流の流れる範囲を拡大して、アークの消弧に要する時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態では、ハウジング2の接点室42と端子室41とを仕切る排気板36に排気孔37が設けられているので、開極時にアークの熱エネルギにより接点室42内で空気が膨張しても、この空気は排気バリア35を排気板36から離れる向きに押し退けながら、排気板36の排気孔37を通して端子室41に排気されることになる。
また、本実施形態では、上述のように通電状態での開極時に可動接点11と固定接点10との間、さらに電極片50とアークランナ48との間にアークを生じるものの、固定接点10の周囲にガード壁58を立設してあるので、アーク発生時に生じた熱がハウジング2に直接伝わることをガード壁58によって防止することができる。しかも、ガード壁58とハウジング2の内側面との間には隙間S2があるので、ガード壁58からハウジング2への熱の移動も隙間S2によって妨げられることになる。そのため、アークの熱がハウジング2に伝わりにくくなり、固定接点10の周囲のハウジング2を形成している合成樹脂材料がアークの熱で気化することを防止できる。さらに、万一、固定接点10の周囲のハウジング2を形成している合成樹脂材料が気化しても、この合成樹脂材料は固定接点10の周囲のガード壁58に阻まれて固定接点10に付着することはない。したがって、固定接点10に合成樹脂材料が付着することはなく、結果的に、固定接点10と可動接点11との接触不良が生じにくくなるという効果がある。
さらにまた、ガード壁58は開極状態において電極片50の下端部よりも上方となる部位に複数の空気孔61を有するので、空気孔61を通して、開極時にアークの熱エネルギにより膨張した空気をガード壁58で囲まれた空間の外に逃がすことができる。つまり、空気孔61は、開極時におけるアークの発生位置(可動接点11と固定接点10との間、または電極片50とアークランナ48との間)よりも上方に設けられているので、アーク発生時に熱エネルギにより膨張した高温の空気を空気孔61から効率よく逃がすことができる。したがって、アークの熱によって膨張した空気がガード壁58で囲まれた空間内で膨張してガード壁58が変形する不具合を防止できる。
なお、本実施形態では、アークはコ字型磁性板39の基片43および両側片44に囲まれた部分に発生するから、アーク電流によってコ字型磁性板39を磁路の一部とする磁界が生じ、この磁界によりアークが基片43側に引き延ばされることにより、アークの消弧に要する時間が短縮される。
上記実施形態では、本発明の接点装置Aの一例として回路遮断器1に用いる接点装置Aを例示したが、本発明の接点装置Aは上述した構成の回路遮断器1に限らず、たとえば開閉器など他の機器に適用することも可能である。
本発明の実施形態の要部の構成を示し、(a)は可動接触子を外した状態の斜視図、(b)は可動接触子を取り付けた状態の斜視図である。 同上の回路遮断器の要部の構成を示し、(a)は開極状態の断面図、(b)は閉極状態の断面図である。 従来例の要部を示す一部破断した斜視図である。
符号の説明
2 ハウジング
10 固定接点
11 可動接点
58 ガード壁
61 空気孔
A 接点装置

Claims (1)

  1. 合成樹脂製のハウジングと、ハウジング内の定位置に配置された固定接点と、ハウジング内において固定接点と接離可能な可動接点とを備え、ハウジング内において固定接点の周囲であってハウジングの内側面から離間した位置には、ハウジングを形成する合成樹脂材料よりも高い耐熱性を有する絶縁性材料からなるガード壁が立設されており、
    前記ガード壁は、前記固定接点と前記可動接点との開極時におけるアークの発生位置よりも上方に、アーク発生時に熱エネルギにより膨張した空気を固定接点と反対側に逃がす空気孔を有することを特徴とする接点装置。
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