本発明の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。尚、以下の説明では特に断りがない限り、図4中の矢印a−bの方向を前後方向、矢印c−dの方向を左右方向、矢印e−fの方向を上下方向として説明を行う。
本実施形態では、一端側に電源側接続端子20aを設けるとともに、他端側に負荷側接続端子20bを設けた単極の回路遮断ブロック100と、漏電遮断ユニットを片側に内蔵し、反対側に単極の回路遮断ユニットを内蔵した単極の漏電遮断ブロック101とを用い、2組の回路遮断ブロック100と1組の漏電遮断ブロック101とを結合して3極の漏電遮断器を構成している。
回路遮断ブロック100は、図2〜図4に示すように、例えば合成樹脂のような絶縁材料からなる左右両側の器体片10a、10bを突き合わせて構成される器体10を有し、器体10の前後方向一端側には電源側接続端子20aが、他端側には負荷側接続端子20bがそれぞれ設けられている。電源側接続端子20aには、固定接点31aを備えた固定接点板(接点板)31が電気的に接続され、負荷側接続端子20bには熱動釈放装置60を構成するバイメタル61の下端部を固着した端子板21bが電気的に接続されている。固定接点31aは、可動接触子33に設けた可動接点32とともに接点部30を構成し、可動接触子33は後述する開閉機構部40の開閉動作に応じて固定接点31aに対して可動接点32を接離する。
可動接触子33は、編組線よりなる接続線(図示せず)を介して後述する電磁釈放装置50のコイル51の一端に電気的に接続され、コイル51の他端は編組線よりなる接続線(図示せず)を介してバイメタル61の略中間部に接続されている。したがって、接点部30が閉極すると、電源側接続端子20a→接点部30→コイル51→バイメタル61→負荷側接続端子20bの経路で電流が流れる主通電路が形成される。また、固定接点板31において固定接点31aよりも下側の部位は斜め下向きに突出して、導電板よりなるアーク走行板71の一部が重ねられている。アーク走行板71は、U字型のヨーク52の中央片の下側まで延長形成されており、ヨーク52の中央片とアーク走行板71との間には、開極時に発生するアークを消弧するための消弧グリット72が配置されている。
器体10は、器体片10a及び器体片10bで構成されており、器体片10a及び器体片10bには周部に組立孔12が4箇所、組立孔12’が1箇所それぞれ貫設され、各組立孔12にそれぞれ挿通した固定ねじ11によりねじ固定することで器体片10aと器体片10bとが結合され、器体10が組み立てられる。すなわち、固定ねじ11を取り外すことによって、器体片10aに対して器体片10bが着脱自在になっている。また、組立孔12’に挿通した固定ねじ11’によりねじ固定することで2組の回路遮断ブロック100と1組の漏電遮断ブロック101とが一体的に結合され、漏電遮断器が組み立てられる。器体10の上面には、器体片10aと器体片10bとを突き合わせることで矩形状のハンドル挿通孔13が形成され、器体片10a及び器体片10bの内側面であってハンドル挿通孔13の近傍には、円筒状の軸受(図示せず)がそれぞれ突設されている。これらの軸受には、操作ハンドル41を軸支するハンドル軸42の両端部が挿入され、ハンドル軸42により操作ハンドル41が軸支される。操作ハンドル41には、ハンドル挿通孔13を通して器体10の上側に突出する操作部41aが設けられており、操作ハンドル41は操作部41aがハンドル挿通孔13内を移動できる範囲でハンドル軸42を中心として回動自在となっている。
また、操作部41aの基部には、ハンドル軸42を中心とする断面が円弧状に湾曲した覆い片41bが形成され、器体10におけるハンドル挿通孔13の周部は覆い片41bに沿うように上向きに膨らんでいる。覆い片41bの下面には、図3に示すようにリンク支持部41cが一体に設けられ、リンク支持部41cの下部両側面には軸突起41dが突設されている。また、器体10に設けた軸受の周りには、鋏形ばねよりなるハンドル復帰ばね43が装着されており、図2において操作ハンドル41はこのハンドル復帰ばね43により左回りに付勢されている。すなわち、ハンドル復帰ばね43の一端側は、図2における覆い片41bの右端部に係止され、他端側は後述する開閉機構部40の引外し板44に係止される。
開閉機構部40は、図3に示すように、略コ字形に形成され各脚片の先端側に設けた軸受孔45aに操作ハンドル41の軸突起41dが挿通されて操作ハンドル41と連結されるハンドルリンク45と、左右方向(図3の前後方向)に並設され、下部後方側に配置された平板状の係止板46aにより一体に連結された一対のガイド片46bを有し、各ガイド片46bの先端側に設けた軸孔46cにハンドル軸42が挿通されて操作ハンドル41と連結されるラッチ板46と、略コ字状に形成され一方(図3中の上側)の脚片がラッチ板46の両ガイド片46bに形成されたガイド孔46dを通してハンドルリンク45の両脚片の基部側に設けたリンク孔(図示せず)に挿通されてハンドルリンク45と連結される接触子リンク48とを備えている。接触子リンク48の他方(図3中の下側)の脚片は、可動接触子33に設けた軸孔33aに挿通される。また、器体片10aの内側面には、下が凸となる弧状に湾曲したガイド溝16が形成されており、このガイド溝16に接触子リンク48の下側の脚片の先端部が挿入されることによって、接触子リンク48の移動範囲がガイド溝16に規制される。
可動接触子33は、下端部を略へ字型に折曲することで可動接点32が形成されるとともに、上端部を略L字型に折曲することでばね受け片33bが形成され、可動接点32とばね受け片33bとの間には上記軸孔33aが形成された軸受片33cが設けられている。また、前後方向においてばね受け片33bと器体10の内側面の間には、コイルスプリングよりなる接圧ばね34が設けられており、接圧ばね34のばね力によりばね受け片33bは左向きに付勢されている。尚、器体10の上面において操作ハンドル41とばね受け片33bとの間には、ばね受け片33bの先端部が当接するストッパ36が下方に向かって突設されている。
引外し板44は、上下方向に延出する平板状の主片44aを有し、主片44aの上下方向中間部における左右方向(図2の前後方向)両側縁には、主片44aと略直交する方向に腕片44b、44cが突設されている。この引外し板44は、器体片10a、10bに設けた軸受(図示せず)に軸支された軸ピン47が腕片44bの軸孔に挿入され、軸ピン47を中心として回動自在に器体10に支持されている。また、腕片44cの先端側の上端縁には、係止溝44dが設けられている。さらに、主片44aの上側の部位には、ハンドル復帰ばね43の一端部が係止されており、引外し板44はハンドル復帰ばね43により図2中の左回りに付勢されている。また、主片44aの下側端縁には、後述する連動板106に結合された連動軸106aと接触することで引外し板44を回動させる略L字状の連動片44eが設けられている。
ラッチ板46は、操作ハンドル41とともにハンドル軸42に軸支され、器体10に対して回動自在となっているが、ハンドルリンク45に挿通された接触子リンク48の上側の脚片がラッチ板46のガイド孔46dに挿通され、且つ、ハンドルリンク45が操作ハンドル41の軸突起41dに軸支されることによって、操作ハンドル41に対するラッチ板46の揺動範囲が規制されている。また、ラッチ板46は、図2に示すように係止板46aの下側端縁が引外し板44の腕片44cに設けた係止溝44dに係合することで右回りの移動が規制されている。
以上説明したように、操作ハンドル41、ハンドル復帰ばね43、引外し板44、ハンドルリンク45、ラッチ板46及び接触子リンク48などから接点部30を開閉させる開閉機構部40が構成され、接点部30の閉極状態において、主通電路に例えば短絡電流が流れると電磁釈放装置50の作動により接点部30を開極させ、また主通電路に過大電流が流れると熱動釈放装置60の作動により接点部30を開極させるようになっている。
電磁釈放装置50は、磁性材料により略U字状に形成されたヨーク52を備え、ヨーク52の内側にはコイル51が収納されている。コイル51は、絶縁材料により略円筒状に形成されたコイル筒53の外周に巻装されている。コイル筒53の軸方向一端側(図2中の左側)は開口しており、この開口部に固定鉄心54が取着されている。また、コイル筒53の内部には、軸方向に移動自在となるように可動鉄心(図示せず)が納装されており、可動鉄心と固定鉄心54との間にはコイルスプリングからなる復帰ばね(図示せず)が介装され、可動鉄心は復帰ばねのばね力により右方向に付勢されている。可動鉄心の軸方向一端側(固定鉄心54と反対側)の面には、引掛ピン55が一体に設けられ、他端側の面には押圧ピン57が固着されている。引掛ピン55は、コイル筒53の軸方向他端側の端面に設けた透孔を通して外部に突出しており、その先端部には引掛ピン55の他の部位よりも大径の引掛ヘッド55aが形成されている。また、押圧ピン57は、固定鉄心54とヨーク52にそれぞれ設けた貫通孔に挿通され、ヨーク52から外部に突出できるようになっている。
電磁釈放装置50は、上述のような構成を有しており、コイル51に通電すると、固定鉄心54→ヨーク52→可動鉄心→固定鉄心54を通る磁路の磁気抵抗を小さくするように可動鉄心に対して固定鉄心54との間で吸引力が作用するのであって、コイル51への通過電流が負荷の短絡時のような過大電流であると、復帰ばねのばね力に抗して可動鉄心が固定鉄心54に近づくように移動する。したがって、このように作動したときに電磁釈放装置50に開極動作を行わせることで、閉極状態の接点部30を強制的に開極させることができるのであって、開閉機構部40とは以下のように結合されている。
すなわち、可動鉄心に設けた引掛ピン55の先端部は、可動接触子33における可動接点32とばね受け片33bとの間の部位に形成された引掛孔(図示せず)に挿通され、コイル51の励磁によって可動鉄心が固定鉄心54に近づくように吸引されたときには、引掛ピン55の先端部の引掛ヘッド55aが引掛孔の周部に係止されて可動接触子33を固定接点31aから引き離す向きに引っ張るようになっている。
尚、引掛孔は、引掛ヘッド55aよりも直径の小さい係止孔と引掛ヘッド55aよりも直径の大きい導入孔とを連続させた形状(所謂だるま孔)に形成されており、組立時には導入孔に引掛ヘッド55aを通した後、係止孔に引掛ピン55を導入することで係止孔の周部に引掛ヘッド55aが係止されるから、可動接触子33に電磁釈放装置50を容易に結合できる。また、可動鉄心に固着された押圧ピン57の先端は、引外し板44の主片44aの下側端に対向するように位置し、可動鉄心が固定鉄心54に吸引されて移動すると、押圧ピン57が主片44aの下端部を押圧することにより引外し板44を軸ピン47を中心として図2中の右回りに回転させ、ラッチ板46との係止状態を解除させるようになっている。
一方、熱動釈放装置60は、上述したようにバイメタル61を備え、バイメタル61の下端部は端子板21bに固着され、上端部にはバイメタル61の湾曲方向に挿通された調節ねじ62が螺合している。調節ねじ62は、引外し板44の主片44aの上側端に対向し、主通電路を通過する過大な負過電流によってバイメタル61が湾曲したときには、調節ねじ62の先端部で引外し板44を軸ピン47を中心として図2中の右回りに回転させ、ラッチ板46との係止状態を解除させるようになっている。
ところで、バイメタル61は、通過電流に対する湾曲の程度(動作感度)がバイメタル61の素材のばらつきや接続線(図示せず)の接続位置などによって変化するから、熱動釈放装置60の動作感度(すなわち、熱動釈放装置60が作動するときの主通電路の通過電流)がばらつかないようにするには、バイメタル61から引外し板44側への調節ねじ62の突出量を調節することが必要である。そこで、器体10において調節ねじ62に対応する周壁には、外部から調節ねじ62を調節するための調節用窓63が形成されており、組立後において調節用窓63を通して調節ねじ62を操作する。また、調節後は調節ねじ62を操作する必要がないから調節用窓63を蓋(図示せず)で閉塞し、調節ねじ62を不用意に操作したり、塵埃などの異物が器体10内に侵入するのを防止している。
また、電源側接続端子20aと負荷側接続端子20bとは、それぞれ導電性を有する板金を折曲して断面略ロ字型に形成した端子金具22と、端子金具22の上片に螺挿した引締めねじ23と、引締めねじ23の下端に当接する端子板21a、21bとで構成されている。各端子金具22は、器体10に形成された水平断面角形の端子収納室24a、24bに上下に移動可能となるように収納されている。すなわち、端子収納室24a、24bは、端子金具22よりも高さ寸法が大きく、かつ端子金具22は端子収納室24a、24bで回り止めされて上下方向にのみ移動可能となっている。また、端子収納室24a、24bの上壁には、引締めねじ23の頭部が通り抜けることのない程度の直径を有したねじ操作孔25が形成されている。而して、ねじ操作孔25にドライバの先端部などを挿入して引締めねじ23を回転させると、引締めねじ23の回転方向に応じて端子金具22が上下に移動するのであって、端子金具22の下片と端子板21a、21bとの距離を変えることができる。すなわち、端子収納室24a、24bの下壁と端子板21a、21bとの間の部位に対応して器体10の周壁に貫設された接続用孔28を通して電線やブスバーのような配線部材を挿入した後に、引締めねじ23を回転させて端子金具22の下片を端子板21a、21bに近づけることで、配線部材を端子金具22と端子板21a、21bとの間に挟持させ、配線部材との電気的接続を行うようになっている。
ここで、固定接点板31は、図1及び図7に示すように平板状の主片31cを有し、主片31cの下部右側には主片31cと略直交する方向に延出する接続片31bが折曲形成されている。また、主片31cの前面(図1の右面)には、例えば熱伝導性を有するエポキシ樹脂であって、厚さ0.4mmのシート状の絶縁フィルム(絶縁性薄膜)80が取着されており、この絶縁フィルム80を介して端子板21aの主片と固定接点板31の主片31cとが当接した状態で対向配設され、端子板21aと固定接点板31とが熱的に結合されている。すなわち、端子板21aと固定接点板31とは、絶縁フィルム80により絶縁性が確保できるとともに、端子板21aと固定接点板31とが絶縁フィルム80を介して面接触しているので、器体10内に発生する熱を固定接点板31から絶縁フィルム80を介して直接端子板21aに伝熱し、さらに端子板21aから外部に放熱することができる。また、端子板21aの下片21cには、後述する漏洩電流検出用の零相変流器CTをなすトロイダルコアの貫通孔に挿通させた断面略円形の棒状の導電バー(導電部)103の一端側が溶接やろう付けなどにより固着され、導電バー103の他端側は固定接点板31の接続片31bの端縁に溶接やろう付けなどにより固着されている。而して、本実施形態において導電部として棒状の導電バー103を用いることによって、導電部の熱抵抗及び電気抵抗を小さくすることができるので、導電部で発生する熱を抑えることができ、したがって導電部による回路遮断ブロック100の器体10内及び後述する漏電遮断ブロック101の器体10’内の温度上昇を抑えることができる。尚、図1に示すように、外側(図1中の左側)に配置される漏電遮断ブロック100の電源側接続端子21aの下片21c及び固定接点板31の接続片31bは、内側に配置される回路遮断ブロック100の電源側接続端子21aの下片21c及び固定接点板31の接続片31bよりも前方(図1中の右側)に長く延設されており、したがって外側に配置された回路遮断ブロック100の導電バー103は、内側に配置された回路遮断ブロック100の導電バー103よりも前方側に配置されている。
次に、漏電遮断ブロック101は、図4に示すように、例えば合成樹脂のような絶縁材料からなる中器体片10cと、左右の器体片10d、10eとを結合して構成される器体10’を有し、器体10’に上記回路遮断ブロック100の回路遮断ユニットと同じ構造の回路遮断ユニットを内蔵するとともに、零相変流器CTにより検出した漏洩電流に基づいて回路遮断ユニットを引外し動作させる漏電ユニットたる漏電用釈放装置(図示せず)とを内蔵している。尚、漏電遮断ブロック101の回路遮断ユニットについては、上述した回路遮断ブロック100の回路遮断ユニットと同じ構造を有しているので、説明については省略する。
上記回路遮断ユニットは、中器体片10cの左側片と器体片10dとで形成される凹所内に収納されており、漏電遮断ブロック101及び並設された回路遮断ブロック100の各回路遮断ユニットは連動板106を介して連動動作するように構成されている。この連動板106は、図6に示すように隣接する回路遮断ブロック100間や回路遮断ブロック100と漏電遮断ブロック101間に介装されており、連設された漏電遮断ブロック101及び回路遮断ブロック100を左右方向に貫通する連動軸106a、106bが連動板106に一体的に結合されている。これらの連動軸106a、106bは、図2に示すようにそれぞれ器体片10a〜10dの側面に開口した窓孔108、109より器体10、10’内に移動自在に貫挿されており、連動軸106aは引外し板44の主片44aと連動片44eの間に配置され、引外し板44の回転動作に伴って主片44aから押されるとともに、連動片44eを押すようになっている。また、連動軸106bはラッチ板46の係止板46aに対向する位置に配置され、ラッチ板46の回転動作に伴って係止板46aから押されるようになっている。
漏電用釈放装置は、プランジャー(図示せず)を駆動する引外し電磁石(図示せず)と、プランジャーの直線運動を回転運動に変換して、この回転運動により隣接する回路遮断ユニットの開閉機構部40をトリップ動作させる連動レバー112(図6参照)とで構成される。尚、漏電用釈放装置については従来周知のものを使用しており、詳細な説明については省略する。
ここで、回路遮断ブロック100の器体10及び漏電遮断ブロック101の器体10’の下面側には、図5に示すように零相変流器CTと、零相変流器CTの貫通孔に挿通させた複数の導電バー103を収納するための凹所102、102’がそれぞれ設けられており、これらの凹所102、102’により連続する収納空間が形成されている。この収納空間には、零相変流器CTが凹所102’側、導電バー103が凹所102側となるように収納される。そして、この収納空間には、図4に示すように正面と底面と左側面の3方に壁が設けられた合成樹脂成形品のカバー201が収納空間を閉塞するように器体10、10’に被着される。尚、零相変流器CTには2次巻線(図示せず)が巻装されており、主通電路に漏洩電流が流れると零相変流器CTには不均衡電流が流れ、2次巻線に2次出力が発生する。また、2次巻線は図示しない漏電検出回路に接続されており、漏電検出回路は2次巻線からの2次出力に応じて引外し電磁石を励磁する。尚、この漏電検出回路の動作電源は、例えば漏電遮断ブロック101の電源側接続端子20aから編組線(図示せず)を介して供給される。
以上のように構成された1組の漏電遮断ブロック101及び2組の回路遮断ブロック100は、図4及び図5に示すように横並びに並設され、下面側に設けた収納空間に零相変流器CT及び導電バー103が収納される。そして、器体10、10’にカバー201を取付けた状態で器体片10a〜10eの側面に設けた組立孔12’に挿通した固定ねじ11’によりねじ固定することで漏電遮断ブロック101及び回路遮断ブロック100が一体的に結合され、本実施形態の回路遮断器が組み立てられる。また、組立状態において各回路遮断ブロック100は、零相変流器CTを中心として回動自在に導電バー103に支持されており、固定ねじ11’を取り外した状態では、図6に示すように回路遮断ブロック100を零相変流器CTを中心としてg−h方向に回転させることができる。尚、組立状態において2組の回路遮断ブロック100の操作ハンドル41の頭部と、1組の漏電遮断ブロック101の操作ハンドル41の頭部との間は、図4に示すように断面略コ字状のハンドルキャップ99が嵌着されて連結されており、1つの操作ハンドルとして取り扱えるようになっている。
ここで、漏電遮断ブロック101の回路遮断ユニット及び各回路遮断ブロック100の回路遮断ユニットにそれぞれ接続された導電バー103は、図8及び図9に示すように前後方向(図8の上下方向)において並設されており、且つ、零相変流器CTから遠い位置(すなわち、図8中の右側位置)に配置された回路遮断ブロック100の導電バー103を零相変流器CTに近い位置(すなわち、図8中の中間位置)に配置された回路遮断ブロック100の導電バー103よりも外側(図8中の下側)に配置している。ここで、零相変流器CTに対して回路遮断ユニットの位置が遠くなると導電バー103も長くなり、導電バー103の長さが長くなると熱抵抗や電気抵抗が大きくなるが、長い導電バー103を放熱性のよい外側に配置することによって、回路遮断ブロック100の器体10内及び漏電遮断ブロック101の器体10’内の温度上昇を抑えることができるとともに、各ブロック間の温度差を小さくすることができる。
さらに、各回路遮断ブロック100は、図6に示すように零相変流器CTを中心としてg−h方向において回転自在に導電バー103に支持されており、例えば中間に配置された回路遮断ブロック100に不具合がある場合であっても、外側に配置された回路遮断ブロック100を図6中のg方向に回転させることによって不具合のある回路遮断ブロック100を露出させることができるので、外側に配置された回路遮断ブロック100を取り外さなくてもよく、且つ、固定ねじ11’を取り外した後器体片10aから器体片10bを取り外すことで回路遮断ユニットを容易に修理することができる。
次に、本実施形態の漏電遮断器の動作について説明する。図2は接点部30の閉極状態を示し、操作ハンドル41の操作部41aをハンドル軸42周りに右方向に倒してある。この時、引外し板44は、ハンドル復帰ばね43のばね力によって軸ピン47を中心として左回りに付勢されており、バイメタル61の調節ねじ62の先端に主片44aの上端部が対向した状態に保たれている。また、ラッチ板46には可動接触子33及び接触子リンク48を介して接圧ばね34のばね力が作用し、ラッチ板46は接圧ばね34のばね力を受けてハンドル軸42を中心として右回りに付勢される。この状態においてラッチ板46は、係止板46aが引外し板44の腕片44cに設けた係止溝44dに係合することにより図2の状態が保持されている。また、可動接触子33は、接触子リンク48の下側の脚片を中心として接圧ばね34のばね力により左回りに付勢され、可動接点32が固定接点31aに接触する。尚、この状態において可動接触子33のばね受け片33bは、器体10の上側の内側面に設けたストッパ36に当接しない状態に保持されている。
一方、図3に示すように操作ハンドル41の操作部41aをハンドル軸42周りに左方向に倒すと、開閉機構部40は開極状態になる。すなわち、操作ハンドル41をハンドル軸42を中心として左回りに回転させることによって、ハンドルリンク45の上端部は右方向に移動し、接触子リンク48の上側の脚片を上方に引き上げようとする。しかるに、ハンドル軸42と接触子リンク48の上側の脚片とを結ぶ直線に対して軸突起41dの位置が右側に移動すれば、可動接触子33及び接触子リンク48を介してハンドルリンク45に作用する接圧ばね34のばね力は、操作ハンドル41をさらに左回りに回転させるように作用し、接触子リンク48の下側の脚片はガイド溝16に沿って左方向に移動する。このように接触子リンク48の下側の脚片が左方向に移動することによって、可動接触子33のばね受け片33bは接圧ばね34のばね力によってストッパ36に当接することになる。そして、接圧ばね34のばね力はストッパ36の下端部を支点として下側の部位を右回りに回転させるように作用するから、可動接点32が固定接点31aから離れることになる。また、接点部30が開極状態ではラッチ板46は、ハンドルリンク45及び接触子リンク48の上側の脚片に規制されてハンドル軸42を中心として左回りに回転し、引外し板44から外れた状態となる。
ところで、図2に示す閉極状態において、何れかの回路遮断ユニットを介しての通電が過負荷状態になりバイメタル61に過大な負過電流が流れてバイメタル61が湾曲した場合、引外し板44の主片44aの上端部がバイメタル61の先端側に設けた調節ねじ62に押圧され、引外し板44が軸ピン47を中心として右回りに回転する。また、負荷側での短絡などによりコイル51に短時間に過大な短絡電流が流れて可動鉄心が固定鉄心54に吸引された場合、引外し板44の主片44aの下端部が押圧ピン57に押圧され、引外し板44が軸ピン47を中心として右回りに回転する。引外し板44が右回りに回転すると、ラッチ板46と引外し板44との係合状態が解除され、ラッチ板46は接圧ばね34のばね力を受けてハンドル軸42を中心として右回りに回転する。さらに、ラッチ板46の移動に伴って可動接触子33の回転中心である接触子リンク48の下側の脚片がガイド溝16に沿って左側に移動するから、開極状態と同様に接圧ばね34のばね力によって可動接触子33がストッパ36に押し付けられ、可動接点32が固定接点31aから離れて開極状態となる。すなわち、主通電路に過大な電流が流れると、引外し板44が回転することによってラッチ板46との係合状態が解除され、ラッチ板46を付勢していた力が解放されることによって、いわゆるトリップ動作を行い、接点部30を開極するのである。この時、操作ハンドル41は、図3に示すようにハンドル軸42を中心として左回りに回転し、それに伴ってラッチ板46もハンドル軸42を中心として左回りに回転し、引外し板44から外れた状態となる。
ここで、このトリップ動作の際に引外し板44の回転により連動板106の連動軸106aが図2中の左方向に付勢されるが、調節ねじ62や押圧ピン57の押圧力は小さいため、他の回路遮断ユニットではトリップ動作を行わない。しかし、トリップ動作の際にラッチ板46と引外し板44の係止が外れることによって、連動軸106bがラッチ板46の係止板46aに押圧され、図2中の左方向に移動する。その後、連動軸106bの移動に伴って連動軸106aも左方向に移動し、他の回路遮断ユニットにおいてこの連動軸106aにより引外し板44の連動片44eが左側に押圧され、引外し板44が軸ピン47を中心として図2中の右回りに回転する。したがって、最初にトリップ動作を行った回路遮断ユニット以外の各回路遮断ユニットにおいても上記トリップ動作に連動してそれぞれトリップ動作を行い、接点部30を開極させる。
また、図2に示す閉極状態において、何れかの回路遮断ユニットに接続された電路に漏洩電流が流れると、零相変流器CTには不均衡電流が流れて2次巻線に2次出力が発生し、この2次出力に応じて漏電検出回路により漏電用釈放装置の引外し電磁石が励磁される。これによりプランジャーが駆動されて連動レバー112を回動させ、連動レバー112により引外し板44の主片44aの上端部を押圧することで、引外し板44が軸ピン47を中心として右回りに回転し、上述したトリップ動作と同様に漏電遮断ブロック101の回路遮断ユニットをトリップ動作させて接点部30を開極させる。また、並設された各回路遮断ブロック100の回路遮断ユニットでは、漏電遮断ブロック101の回路遮断ユニットのトリップ動作に連動してそれぞれトリップ動作を行い、同様に接点部30を開極させる。
尚、本実施形態では、絶縁性薄膜として厚さ0.4mmの絶縁フィルム80を用いた場合を例に説明したが、絶縁性薄膜の厚みは本実施形態に限定されるものではなく、1mm以下であればよい。また、絶縁フィルムの材料もエポキシ樹脂に限定されるものではなく、絶縁性と熱伝導性とを有するものであればよい。