JP7331630B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
本実施形態は、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。以下、図1~図3を参照して、本実施形態の感光体1の構造について説明する。図1~図3は、各々、感光体1の部分断面図を示す。
電荷発生層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生層は、必要に応じて、ベース樹脂を更に含有してもよい。電荷発生層は、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン-テルル、セレン-ヒ素、硫化カドミウム、及びアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生層は、1種の電荷発生剤のみを含有してもよく、2種以上の電荷発生剤を含有してもよい。
ベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(より具体的には、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びポリエーテル樹脂)、熱硬化性樹脂(より具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びこれら以外の架橋性熱硬化性樹脂)、及び光硬化性樹脂(より具体的には、エポキシ-アクリル酸系樹脂、及びウレタン-アクリル酸系共重合体)が挙げられる。
電荷発生層に含有される添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、及びレベリング剤が挙げられる。
電荷輸送層は、バインダー樹脂と、無金属フタロシアニンと、正孔輸送剤とを含有する。電荷輸送層は、電子アクセプター化合物を更に含有することが好ましい。電荷輸送層は、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。
バインダー樹脂は、少なくとも1種の第1繰り返し単位と、少なくとも1種の第2繰り返し単位と、末端基とを有するポリアリレート樹脂を含む。第1繰り返し単位は、一般式(1)で表される。第2繰り返し単位は、一般式(2)で表される。末端基は、一般式(3)で表される。以下、一般式(1)で表される少なくとも1種の第1繰り返し単位と、一般式(2)で表される少なくとも1種の第2繰り返し単位と、一般式(3)で表される末端基とを有するポリアリレート樹脂を、「ポリアリレート樹脂(PA)」と記載することがある。一般式(1)で表される第1繰り返し単位を、「繰り返し単位(1)」と記載することがある。一般式(2)で表される第2繰り返し単位を、「繰り返し単位(2)」と記載することがある。一般式(3)で表される末端基を、「末端基(3)」と記載することがある。
電荷輸送層は、無金属フタロシアニンを含有する。電荷輸送層が無金属フタロシアニンを含有することで、形成画像におけるランダム横筋を抑制できる。本明細書において、ランダム横筋とは、画像形成装置を用いて用紙に画像を形成する場合に、用紙の搬送方向に対して垂直な(感光体の軸方向に対して平行な)黒線がランダムな線間隔で発生した画像不良をいう。ランダム横筋は、中間調の画像を用紙に形成する場合に発生し易い。
正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’-テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’-テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’-テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’-テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、及びジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5-ジ(4-メチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9-(4-ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1-フェニル-3-(p-ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、及びトリアゾール系化合物が挙げられる。電荷輸送層は、1種の正孔輸送剤のみを含有してもよく、2種以上の正孔輸送剤を含有してもよい。
電子アクセプター化合物としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8-トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。
電荷輸送層に含有される添加剤の例は、既に述べた電荷発生層に含有される添加剤の例と同じである。
耐摩耗性に優れ、形成画像におけるランダム横筋を抑制するために、電荷輸送層が、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(j-1)~(j-11)、(R-1-M1)~(R-1-M4)、及び(R-2-M1)~(R-10-M1)のうちの1つと、無金属フタロシアニンとを含有することが好ましい。同じ理由から、電荷輸送層が、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(j-1)~(j-11)、(R-1-M1)~(R-1-M4)、及び(R-2-M1)~(R-10-M1)のうちの1つと、X型無金属フタロシアニンとを含有することがより好ましい。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、電荷発生層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑制できる。
次に、感光体の製造方法の一例を説明する。感光体の製造方法は、電荷発生層形成工程と、電荷輸送層形成工程とを含む。
電荷発生層に含有させる電荷発生剤として、実施形態で述べたY型チタニルフタロシアニンを準備した。電荷輸送層に含有させる正孔輸送剤として、実施形態で述べた正孔輸送剤(HTM-1)を準備した。電荷輸送層に含有させる電子アクセプター化合物として、実施形態で述べた電子アクセプター化合物(E-1)を準備した。
電荷輸送層に含有させる無金属フタロシアニンとして、実施形態で述べた、X型無金属フタロシアニンを準備した。
電荷輸送層に含有させる無金属フタロシアニンの代わりに、比較例で使用する顔料として、化学式(K2)、(K4)、及び(K5)で表される顔料(以下、それぞれを、顔料(K2)、(K4)、及び(K5)と記載することがある)を準備した。また、電荷輸送層に含有させる無金属フタロシアニンの代わりに、比較例で使用する染料として、化学式(K3)で表される染料(以下、染料(K3)と記載することがある)を準備した。
バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(R-1-M1)~(R-1-M4)、(R-2-M1)~(R-10-M1)、(R-1-MA)、(R-3-MA)、及び(R-6-MA)の各々を合成した。各ポリアリレート樹脂のうち、ポリアリレート樹脂(R-1-M1)~(R-1-M4)及び(R-2-M1)~(R-10-M1)は、実施形態で述べたポリアリレート樹脂(PA)に包含されるポリアリレート樹脂である。ポリアリレート樹脂(R-1-M1)~(R-1-M4)及び(R-2-M1)~(R-10-M1)の各々が有する繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)、及び末端基と、比率pとは、上記表2に示した。ポリアリレート樹脂(R-1-MA)、(R-3-MA)、及び(R-6-MA)の各々が有する繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)、及び末端基と、比率pとを、下記表3に示す。表3中の末端基の「MA」は、下記化学式(MA)で表される基を示す。以下の説明における各ポリアリレート樹脂の収率は、モル比換算値である。
ポリアリレート樹脂(R-1-M1)の合成では、反応容器として、温度計及び三方コックを備える容量2Lの三口フラスコを用いた。反応容器に、化合物(BP-1-1)20.01g(82.56ミリモル)、化合物(T-M1)0.281g(0.826ミリモル)、水酸化ナトリウム7.84g(196ミリモル)、及びベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.240g(0.768ミリモル)を入れた。反応容器内の空気をアルゴンガスで置換した。反応容器の内容物に水600mLを更に加えた。反応容器の内容物を20℃で1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物の温度が10℃になるまで反応容器の内容物を冷却して、アルカリ性水溶液Aを得た。
ポリアリレート樹脂(R-2-M1)の合成では、化合物(DC-2-2A)のジクロライドを、化合物(DC-2-2B)のジクロライド38.9ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-2-M1)の収量が27.8gであり、収率が82.1%であり、粘度平均分子量が52,200であった。
ポリアリレート樹脂(R-3-M1)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)82.56ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-3-M1)の収量が31.0gであり、収率が80.1%であり、粘度平均分子量が48,100であった。
ポリアリレート樹脂(R-4-M1)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)82.56ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-4-M1)の合成では、化合物(DC-2-1C)のジクロライドの使用量を23.3ミリモルに変更し、化合物(DC-2-2A)のジクロライドの使用量を54.5ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-4-M1)の収量が31.3gであり、収率が79.6%であり、粘度平均分子量が47,600であった。
ポリアリレート樹脂(R-5-M1)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)8.26ミリモル及び化合物(BP-1-3)74.30ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-5-M1)の合成では、化合物(DC-2-1C)のジクロライドの使用量を7.8ミリモルに変更し、化合物(DC-2-2A)のジクロライドの使用量を70.0ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-5-M1)の収量が31.2gであり、収率が80.0%であり、粘度平均分子量が49,500であった。また、得られたポリアリレート樹脂(R-5-M1)は、繰り返し単位(1)として、繰り返し単位(1-2)及び(1-3)の2種を有し、そのモル比(繰り返し単位(1-2):繰り返し単位(1-3))が1:9であった。
ポリアリレート樹脂(R-6-M1)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)82.56ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-6-M1)の合成では、化合物(DC-2-2A)のジクロライドを、化合物(DC-2-2B)のジクロライド38.9ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-6-M1)の収量が30.5gであり、収率が76.8%であり、粘度平均分子量が48,900であった。
ポリアリレート樹脂(R-7-M1)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)82.56ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-7-M1)の合成では、化合物(DC-2-2A)のジクロライドを、化合物(DC-2-2D)のジクロライド38.9ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-7-M1)の収量が28.9gであり、収率が78.6%であり、粘度平均分子量が47,600であった。
ポリアリレート樹脂(R-8-M1)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-4)82.56ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-8-M1)の収量が27.8gであり、収率が80.6%であり、粘度平均分子量が55,100であった。
ポリアリレート樹脂(R-9-M1)の合成では、化合物(DC-2-1C)のジクロライドを用いなかった。また、ポリアリレート樹脂(R-9-M1)の合成では、化合物(DC-2-2A)のジクロライドの使用量を77.8ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-9-M1)の収量が28.8gであり、収率が79.7%であり、粘度平均分子量が60,000であった。
ポリアリレート樹脂(R-10-M1)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)82.56ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-10-M1)の合成では、化合物(DC-2-1C)のジクロライドの使用量を54.5ミリモルに変更し、化合物(DC-2-2A)のジクロライドの使用量を23.3ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-10-M1)の収量が30.0gであり、収率が78.9%であり、粘度平均分子量が49,700であった。
ポリアリレート樹脂(R-1-M2)の合成では、化合物(T-M1)を、化合物(T-M2)0.826ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-1-M2)の収量が27.5gであり、収率が79.7%であり、粘度平均分子量が53,500であった。
ポリアリレート樹脂(R-1-M3)の合成では、化合物(T-M1)を、化合物(T-M3)0.826ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-1-M3)の収量が28.6gであり、収率が82.9%であり、粘度平均分子量が56,100であった。
ポリアリレート樹脂(R-1-M4)の合成では、化合物(T-M1)を、化合物(T-M4)0.826ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R-1-M4)の収量が28.4gであり、収率が82.4%であり、粘度平均分子量が54,200であった。
ポリアリレート樹脂(R-1-MA)の合成では、化合物(T-M1)を、下記化学式(T-MA)で表される化合物(p-tert-ブチルフェノール、以下、化合物(T-MA)と記載することがある)0.826ミリモルに変更した。ポリアリレート樹脂(R-1-MA)の粘度平均分子量は、58,100であった。
ポリアリレート樹脂(R-3-MA)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)82.56ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-3-MA)の合成では、化合物(T-M1)を、化合物(T-MA)0.826ミリモルに変更した。ポリアリレート樹脂(R-3-MA)の粘度平均分子量は、55,100であった。
ポリアリレート樹脂(R-6-MA)の合成では、化合物(BP-1-1)を、化合物(BP-1-2)82.56ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-6-MA)の合成では、化合物(DC-2-2A)のジクロライドを、化合物(DC-2-2B)のジクロライド38.9ミリモルに変更した。また、ポリアリレート樹脂(R-6-MA)の合成では、化合物(T-M1)を、化合物(T-MA)0.826ミリモルに変更した。ポリアリレート樹脂(R-6-MA)の粘度平均分子量は、57,700であった。
上記の通り準備した電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子アクセプター化合物と、バインダー樹脂と、無金属フタロシアニン、顔料、又は染料とを用いて、感光体(A-1)~(A-15)及び(B-1)~(B-10)を製造した。
まず、中間層を形成した。表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT-A」、数平均一次粒径10nm)を準備した。SMT-Aは、アルミナとシリカとを用いて第1コア(酸化チタンコア)を表面処理することにより第2コアを得、湿式分散させながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて第2コアを更に表面処理することにより得られた。次いで、SMT-Aの2質量部と、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂)1質量部と、メタノール10質量部と、ブタノール1質量部と、トルエン1質量部とを、ビーズミルを用いて5時間混合して、中間層形成用塗布液を得た。中間層形成用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、ディップコート法により、導電性基体の表面に中間層形成用塗布液を塗布した。導電性基体としては、アルミニウム製のドラム状支持体を用いた。続いて、塗布した中間層形成用塗布液を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体上に中間層(膜厚1.5μm)を形成した。
表4に示すポリアリレート樹脂を使用したこと、表4に示す種類の無金属フタロシアニン、顔料、又は染料を使用したこと、及び表4に示す量で無金属フタロシアニン、顔料、又は染料を添加したこと以外は、感光体(A-1)の製造と同じ方法で、感光体(A-2)~(A-15)及び(B-2)~(B-10)の各々を製造した。
X型無金属フタロシアニンを添加しなかったこと以外は、感光体(A-1)の製造と同じ方法で、感光体(B-1)を製造した。
評価対象である感光体(A-1)~(A-15)及び(B-1)~(B-10)の各々に対して、以下に示す評価を行った。
感光体の感度特性の評価環境は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境であった。ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を-550Vに帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:下記露光条件Aに示す露光量)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、感光体の表面に照射した。単色光の照射から50ミリ秒が経過した時点の感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、露光条件Aにおける感光体の露光後電位VLA(単位:-V)とした。
露光条件Aにおける露光量は、1.00μJ/cm2であった。露光条件Aにおける評価基準は、以下に示すとおりであった。
良好:露光後電位VLAの絶対値が、90V以下である。
不良:露光後電位VLAの絶対値が、90V超である。
露光条件Bにおける露光量は0.18μJ/cm2であった。露光条件Bにおける評価基準は、以下に示すとおりであった。
良好:露光後電位VLBの絶対値が、280V以下である。
不良:露光後電位VLBの絶対値が、280V超である。
感光体の帯電特性の評価環境は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境であった。以下に示す測定条件で、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を帯電させた。測定条件は、ドラム感度試験機が備える帯電装置がコロトロン帯電器であり、コロトロン帯電器に流れる帯電電流が帯電条件1に示す帯電電流であり、感光体の周速が125rpmであり、帯電後に除電が実施される条件であった。感光体を10回転させた時点での感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、帯電条件1における感光体の帯電電位Id1(単位:-V)とした。
帯電条件1における帯電電流は、-3μAであった。
帯電条件2における帯電電流は、-6μAであった。
良好:帯電電位差の絶対値が、330V以上400V以下である。
不良:帯電電位差の絶対値が、330V未満、又は400V超である。
耐摩耗性の評価に使用した評価機は、カラープリンター(株式会社沖データ製「C711dn」)であった。評価機のトナーカートリッジに、シアントナーを充填した。まず、感光体の電荷輸送層の膜厚T1を測定した。次いで、感光体を評価機に搭載した。次いで、常温常湿環境(温度23℃及び相対湿度50%RH)下で、評価機を用いて、10,000枚の用紙に画像I(印字率1%のパターン画像)を印刷した。高温高湿環境(温度32℃及び相対湿度85%RH)下で、評価機を用いて、10,000枚の用紙に画像Iを印刷した。低温低湿環境(温度10℃及び相対湿度15%RH:以下、LL環境と記載することがある)下で、評価機を用いて、10,000枚の用紙に画像Iを印刷した。LL環境下で印刷した後に、評価機を2時間静置した。次いで、LL環境下にてソリッド画像(画像濃度100%の画像)を1枚の用紙に印刷した。その後、感光体の電荷輸送層の膜厚T2を測定した。そして、印刷前後の電荷輸送層の膜厚変化量である摩耗量(T1-T2、単位:μm)を求めた。求めた摩耗量を、下記表4に示す。なお、摩耗量が少ないほど、感光体の耐摩耗性が優れていることを示す。摩耗量が2.5μm以下の場合を耐摩耗性が良好と、摩耗量が2.5μm超の場合を耐摩耗性が不良と評価した。
ランダム横筋の評価に使用した評価機は、モノクロ複合機(Samsung Electronics製「MultiXpress SL-K4350LX」)であった。評価機に、感光体を搭載した。常温常湿環境(温度23℃及び相対湿度50%RH)下で、評価機を用いて、1枚の用紙にハーフトーン画像(印字率30%の画像)を印刷し、印刷された画像を評価画像とした。目視により評価画像を観察し、下記基準に従って、ランダム横筋の抑制の程度を評価した。ランダム横筋の評価結果が「A」又は「B」である場合にはランダム横筋が抑制されていると評価し、「C」である場合にはランダム横筋が抑制されていないと評価した。
評価A:評価画像にランダム横筋が全く確認されなかった。
評価B:評価画像にランダム横筋がわずかに確認されたが、実使用上は問題ないレベルであった。
評価C:評価画像にランダム横筋が明確に確認された。
2 :導電性基体
3 :感光層
3a:電荷発生層
3b:電荷輸送層
Claims (8)
- 導電性基体と、感光層とを備え、
前記感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを含み、
前記電荷発生層は、電荷発生剤を含有し、
前記電荷輸送層は、バインダー樹脂と、無金属フタロシアニンと、正孔輸送剤と、電子アクセプター化合物とを含有し、
前記無金属フタロシアニンの含有量は、100.0質量部の前記バインダー樹脂に対して、0.1質量部以上0.5質量部以下であり、
前記バインダー樹脂は、少なくとも1種の第1繰り返し単位と、少なくとも1種の第2繰り返し単位と、末端基とを有するポリアリレート樹脂を含み、前記第1繰り返し単位は一般式(1)で表され、前記第2繰り返し単位は一般式(2)で表され、前記末端基は化学式(M1)、(M2)、(M3)、又は(M4)で表され、
前記電子アクセプター化合物は、一般式(20)で表される化合物を含む、電子写真感光体。
R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、
R5及びR6は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、R5及びR6は互いに結合して一般式(X)で表される2価の基を表してもよく、
前記一般式(2)中、X1は、化学式(2A)、(2B)、(2C)、又は(2D)で表される2価の基を表す。)
tは、1以上3以下の整数を表し、
*は、結合手を表す。)
- 少なくとも1種の前記第1繰り返し単位は、前記化学式(1-2)、(1-3)、及び(1-4)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種の繰り返し単位である、請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記正孔輸送剤は、一般式(10)で表される化合物を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
R101、R103、R104、R105、R106、R107、及びR108は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、R103、R104、R105、R106及びR107のうちの隣接する2つが結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表してもよく、
R102及びR109は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、
b1及びb2は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。) - 前記電荷輸送層は、一層であり、且つ最表面層として備えられる、請求項1~7の何れか一項に記載の電子写真感光体。
Priority Applications (1)
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