JP4402516B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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本発明の電子写真感光体に使用可能なバインダ樹脂は、前記一般式(I)で示されるポリカーボネート樹脂である。一般式(I)において、ビフェニル構造式中のR1〜R4は、少なくとも2つは水素原子以外の基でありかつ水素原子以外の全ての置換基が同一の場合を除く。これにより、含有されるビフェニル構造の結晶性が、塗工用溶剤に対する溶解性が得られる程度にまで低下すると共に、高い耐摩耗性が得られる。これに対し、水素原子が3つ以上であると、結晶性が必要以上に低下してしまい、所定の耐摩耗性が得られないおそれがある。また、水素原子以外の基が同一の基であると、結晶性が高くなり、塗工用溶剤に対する溶解性が低下する。
また、単層型および積層型のいずれの場合でも、一般式(I)で示されるポリカーボネート樹脂はバインダ樹脂として単独で使用してもよく、他の樹脂と混合して使用してもよい。このような他の樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン‐アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルアセタール、ポリエーテル等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は単独でまたは2種以上をブレンドして用いてもよい。なお、積層型感光体の場合、導電性基体面側の層には、上記他の樹脂を単独でまたは2種以上をブレンドして使用してもよい。
本発明の感光体に使用される電荷輸送剤には、正孔輸送剤および電子輸送剤が挙げられる。特に単層型感光体においては、感光層中に正孔輸送剤および電子輸送剤を含有させておくのが好ましい。
本発明の正孔輸送剤としては、例えばN,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物などの含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が挙げられる。
電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、チオキサントン誘導体(2,4,8−トリニトロチオキサントン等)、フルオレノン誘導体(3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体等)、アントラセン誘導体、アクリジン誘導体、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸誘導体、無水マレイン酸誘導体、ジブロモ無水マレイン酸誘導体などの、電子受容性を有する化合物が挙げられる。
なお、これらの電子輸送剤は単独でまたは2種以上をブレンドして用いてもよい。本発明における電子輸送剤の具体例としては、後述する実施例において使用するETM−1〜12が挙げられる。
電荷発生剤としては、例えば無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、α−チタニルフタロシアニン、Y−チタニルフタロシアニン、V−ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、単独または2種以上をブレンドして使用することができる。
(単層型)
本発明における単層型感光層は、上記した電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を同一層に含有した単一の感光層で構成されるものである。この単層型感光層は、層構成が簡単で生産性に優れており、層を形成する際の被膜欠陥を抑制でき、相間の界面が少なく光学的特性を向上できるという利点がある。なお、上記したように、前記電荷輸送剤には正孔輸送剤と電子輸送剤とがあり、単層型感光体においては、正孔輸送剤と電子輸送剤とを併用するのが好ましい。
一方、本発明における積層型感光層は、導電性基体上に、上記した電荷発生剤を含有する電荷発生層と、この電荷発生層上に電荷輸送剤を含有する電荷輸送層を積層することで構成させる。この積層型感光体は、電荷発生や電荷輸送といった機能を各層に分離しているので、構成材料の無駄が少なく、感度を向上させ易いという利点がある。
また、本発明においては、感光体の表面側の層である前記電荷輸送層に、前記一般式(I)で示されるポリカーボネート樹脂を含有させる。これにより、所定の耐摩耗性が得られる。
なお、電荷輸送剤は、正孔輸送剤と電子輸送剤とを併用してもよい。
導電性基体としては、導電性を有する各種の材料が使用可能であり、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体、上記金属が蒸着もしくはラミネートされたプラスチック材料、カーボンブラック等の導電性微粒子が分散されたプラスチック材料、さらにヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラスなどが挙げられる。導電性基体と感光層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光層の表面には保護層が形成されていてもよい。
積層型感光体の電荷発生層および電荷輸送層を形成するには、電荷発生剤および電荷輸送剤をそれぞれバインダ樹脂(前記した一般式(I)で表される共重合ポリカーボネート樹脂)および溶媒と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。また、単層型の感光層を形成するには、電荷発生剤、電荷輸送剤を前記バインダ樹脂および溶媒と共に上記と同一の方法で分散液を調製し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
(1)実施例で使用したバインダ樹脂
(2)比較例で使用したバインダ樹脂
[比較例1〜5]
(単層型感光体の作製)
上記のバインダ樹脂、電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤を表1に示す組み合わせで用いた。すなわち、表1に示す正孔輸送剤(HTM−1〜6)を50重量部、電荷発生剤(CGM−1〜5)を下記に示す所定量で用い、これに表1に示す電子輸送剤(ETM−1〜12)を50重量部、バインダ樹脂(Resin−1または2、比較Resin−1〜5)を100重量部、レベリング剤としてジメチルシリコンオイル(信越化学工業社製の商品名「KF−96−50CS」)を0.1重量部および溶媒としてテトラヒドロフランを750重量部の割合で加え、超音波分散機にて50分間混合分散して単層型感光層用塗布液を調製した。ついで、この塗布液を、外径30mmのアルミニウム素管上に塗布した後、130℃で30分間熱風乾燥することにより膜厚22μmの単層型電子写真用感光体を作製した。
CGM−1(X型無金属フタロシアニン):4重量部
CGM−2(Y型チタニルフタロシアニン):2重量部
CGM−3(V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン):4重量部
CGM−4(クロロガリウムフタロシアニンII型):4重量部
CGM−5(α型チタニルフタロシアニン):4重量部
なお、チタニルフタロシアニン(CGM−2)を使用する場合には、該チタニルフタロシアニン2重量部に分散補助剤としてピグメントオレンジ(Pigment Orange)16(CGM−6)を2重量部の割合で添加した。
上記方法にて得られた感光体ドラム表面をGENTEC社製のドラム感度試験機を用いて+850Vに帯電させた後、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.0μJ/cm2)を露光(照射時間:0.04秒間)した。そして、露光開始から0.5秒間経過した時点での表面電位(残留電位)を測定し、これを正帯電感度とした。正帯電感度は、初期の電位(850V)と露光後の残留電位との差が大きいほど、感光体が高感度であることを示している。
上記方法にて得られた感光体を画像形成装置(京セラミタ(株)製の商品名「KM−5530」)に搭載し、帯電を600Vに設定した。ついで、駆動時間1200分のA4横単発複写(紙なし)を行い、複写前後の感光層の膜厚を測定し、これらの差(複写前の感光層の膜厚−複写後の感光層の膜厚)を摩耗量(μm)とした。
[比較例6]
(積層型感光体の作製)
ルチル型酸化チタン(堺化学社製の商品名「STR−60N」)を17重量部、溶剤可溶性ポリアミド樹脂(帝國化学産業社製の商品名「トレジンMF−30」)を17重量部、メタノールを260重量部の割合で加え、超音波分散機で分散混合して下引き層用塗工液を作製した。この下引き層用塗工液を切削アルミ基体(外径78mm、長さ344mm)上にディッピングにより塗工し、100℃で15分間加熱乾燥することにより、膜厚2μmの下引き層を形成した。
ついで、電荷発生剤(CGM−2)を1重量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業社製の商品名「エスレックBM−1」)を1重量部、ジアセトンアルコールを50重量部の割合でボールミルにより分散溶解して電荷発生層用塗工液を作成した。この電荷発生層用塗工液をディッピングにより前記下引き層上に塗工し、70℃で10分間加熱乾燥することで、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
さらに、正孔輸送剤としてHTM−1を60重量部、バインダ樹脂(Resin−1または2、比較Resin−5)を100重量部、レベリング剤としてジメチルシリコンオイル(信越化学工業社製の商品名「KF−96−50CS」)を0.1重量部の割合で、それぞれテトラヒドロフランの700重量部に溶解して電荷輸送層用塗工液を作製した。この電荷輸送層用塗工液をディッピングにより上記電荷発生層上に塗工し、130℃で30分間加熱乾燥することで、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、積層型感光体を作製した。各実施例および比較例において使用したバインダ樹脂、電荷発生剤および正孔輸送剤は表2に示す通りである。
上記方法にて得られた感光体ドラム表面を−850Vに帯電させた以外は、上記した単層型感光体と同様にして表面電位(残留電位)を測定し、これを負帯電感度とした。負帯電感度は、初期の電位(−850V)と露光後の残留電位との差が大きいほど、感光体が高感度であることを示している。
上記方法にて得られた感光体を画像形成装置(京セラミタ(株)製の商品名「KM−5530」改造機)に搭載し、帯電を−600Vに設定した以外は、上記した単層型感光体と同様にして摩耗量を測定した。
Claims (7)
- 前記感光層が、電荷発生剤を含有した電荷発生層と、この電荷発生層上に積層され電荷輸送剤および前記一般式(I)で表される構造単位を含有するポリカーボネート樹脂を含有した電荷輸送層とを備えた積層型感光層である請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生剤、電荷輸送剤および前記一般式(I)で表される構造単位を含有するポリカーボネート樹脂を同一層に含有した単層型感光層である請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送剤が、スチリルアミン系化合物の正孔輸送剤である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送剤が、ジフェノキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、ジナフトキノン誘導体、ナフトキノン誘導体およびアゾキノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の電子輸送剤である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤が、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンから選ばれる少なくとも1種を含有している請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
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