JP7329100B1 - γ-アミノ酪酸を含有するブラックコーヒー飲料 - Google Patents

γ-アミノ酪酸を含有するブラックコーヒー飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】香味が改善された中性領域のブラックコーヒー飲料を提供する。【解決手段】pH6.0~7.5であるブラックコーヒー飲料に、60~800mg/kgの濃度となるようにγ-アミノ酪酸を含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、pHが6.0~7.5のブラックコーヒー飲料に関する。
コーヒー飲料は嗜好性が高く、広く世界中で愛飲されている。コーヒー飲料が消費者に提供される形態は多岐に亘り、例えば家庭や飲食店等で直接提供される形態(所謂レギュラーコーヒー)の他、小売店や自動販売機でRTD(READY TO DRINK)タイプの容器詰コーヒー飲料の形態でも提供されている。
一般的に、レギュラーコーヒーのpHは5程度の弱酸性であり、5未満のものもある。所定の湯や水で希釈した粉末コーヒー(所謂インスタントコーヒー)のpHも5程度である。コーヒーの酸味は、コーヒー果実由来のフルーティーさを示すものであり、フレッシュさやキレの良さにも繋がるコーヒーの魅力の一つとされている。対して、容器詰めのブラックコーヒー飲料は、加熱殺菌時や加温状態における長時間保存に伴うpH低下を抑制するために、通常、重曹(炭酸水素ナトリウム)等のpH調整剤が添加され、pHが5.5以上、好ましくは6.0以上の中性領域になるようにpH調整が行われている。そのため、レギュラーコーヒーの有するキレの良いほのかな酸味が失われるばかりか、pH調整剤由来の塩味、ぬめり等が生じたり、コーヒーの香り立ちが弱くなったりする等の問題が発生する。そこで、pHをできるだけレギュラーコーヒーのpHに近づけたpH5.5程度の弱酸性領域にpH調整した容器詰めのブラックコーヒー飲料が種々提案されている。例えば、ごく微量の塩化ナトリウムを配合したpH4.6~6.0の弱酸性ブラックコーヒー飲料(特許文献1)、ヒスチジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸を用いてpH調整剤の使用量を減らしたpH5.3~5.7のブラックコーヒー飲料(特許文献2)などが挙げられる。
一方、γ-アミノ酪酸(γ-aminobutyric acid, 以下「GABA」と略記する)の味覚への関与についての報告がある。例えば、0.01%の酢酸溶液にGABAを添加したところ、添加しないものに比べて酸味が増強されたこと、また、0.01%と0.05%のクエン酸溶液ではGABAの添加の有無で酸味の強さが変わらなかったこと(非特許文献1)が報告されている。また、カカオ由来原料を含むチョコレート等の飲食品にGABAを添加することにより苦味や酸味の味質を改善できること(特許文献3)が報告されている。しかし、コーヒー飲料、特に中性領域のpHを有するブラックコーヒー飲料の香味の改善に関する報告はない。
特開2012-100619号公報 特開2011-101625号公報 特開2007-6853号公報
美作大学・美作大学短期大学部紀要、Vol.56、9~14、2011
常温や加温状態で長期保存されるような容器詰めのブラックコーヒー飲料では、保存時の品質安定性の観点からはできるだけ中性領域となるようにpHを調整することが望まれる。しかし、pHを中性領域に調整すると、上述したように、コーヒーの良好な香味が低減する問題がある。本発明は、香味が改善された中性領域のブラックコーヒー飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定量のγ-アミノ酪酸を含有させることにより、中性領域のブラックコーヒー飲料にコーヒー飲料特有の酸味を付与することができ、香味が改善された中性領域のブラックコーヒー飲料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
[1]60~800mg/kgのγ-アミノ酪酸を含有し、pHが6.0~7.5である、ブラックコーヒー飲料。
[2]酢酸フルフリルの含有量が、2.0μg/kg以上である、[1]に記載のブラックコーヒー飲料。
[3]容器詰め飲料である、[1]又は[2]に記載のブラックコーヒー飲料。
本発明によると、pH6.0以上という中性領域でありながらも香味が良好な容器詰ブラックコーヒー飲料を提供することが可能となる。
(ブラックコーヒー飲料)
本発明は、液性が酸性であるレギュラーコーヒーを容器詰めするためにpHを中性領域に調整することによって生じる問題を解決するものであり、中性領域にあるブラックコーヒー飲料が対象となる。ここで、本明細書でいうブラックコーヒー飲料とは、乳製品を使用していないコーヒー飲料をいう。一般に、ミルク入りコーヒー飲料も液性が中性領域にあるが、ミルク入りコーヒー飲料はブラックコーヒー飲料のようなキレの良いほのかな酸味が重要視されないため、本発明の対象外である。ブラックコーヒー飲料は、糖類不使用の無糖タイプであっても糖類を使用した加糖タイプであってもよいが、本発明の効果を享受しやすいという観点から甘味度が1以下であることが好ましく、糖類不使用であることが好ましい。ここで、甘味度とは、甘味の強さを示す尺度であり、蔗糖1質量%(20℃)の甘味を1とした場合の相対比である。飲料の甘味度は、当該飲料に含まれる各甘味成分の量(質量濃度)を、蔗糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、蔗糖相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖相当量を総計することによって求めることができる。なお、蔗糖の甘味1に対する各種甘味成分の甘味の相対比は、公知の砂糖甘味換算表(マクマリー有機化学(第7版)988頁)から求めることができる。
本明細書でいうコーヒー飲料とは、焙煎コーヒー豆抽出物を主とする飲料であり、具体的には、コーヒー飲料100g当たりの焙煎コーヒー豆の使用量が生豆換算で1g以上となるものが好ましく、2.5g以上となるものがより好ましく、5g以上となるものが更に好ましい。ここで、生豆換算値は、焙煎コーヒー豆1gが生コーヒー豆1.3gに相当するものとする(改訂新版・ソフトドリンクス、監修:全国清涼飲料工業会、発行:光琳、平成元年12月25日発行 421頁記載)。
本発明のブラックコーヒー飲料に用いるコーヒー豆の種類は、特に限定されない。栽培樹種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種等が挙げられ、コーヒー品種としては、モカ、ブラジル、コロンビア、グアテマラ、ブルーマウンテン、コナ、マンデリン、キリマンジャロ等が挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。本発明ではコーヒー豆を焙煎して焙煎コーヒー豆とし、焙煎コーヒー豆を抽出して焙煎コーヒー豆抽出物とし、飲料に用いる。なお、本明細書でいうコーヒー豆抽出物には、コーヒー豆の抽出液、及び抽出液を乾燥処理して粉末化した粉末状のものが含まれる。コーヒー豆抽出物は、常法により製造することができる。焙煎コーヒー豆の焙煎方法については特に制限はなく、焙煎温度、焙煎環境についても何ら制限はなく、通常の方法を採用できる。さらに、その焙煎コーヒー豆からの抽出方法についても何ら制限はなく、例えば焙煎コーヒー豆を粗挽き、中挽き、細挽き等に粉砕した粉砕物から水や温水(0~100℃)を用いて10秒~30分間抽出する方法が挙げられる。抽出方法は、ドリップ式、サイフォン式、ボイリング式、ジェット式、連続式などがある。
本明細書でいうブラックコーヒー飲料の中性領域とは、20℃における飲料のpHが6.0以上をいう。保存時の品質安定性の観点から、好ましくは6.1以上、より好ましくは6.2以上、さらに好ましくは6.3以上、特に好ましくは6.4以上である。本発明の効果の顕著さの観点からは、pHが低い方が好ましい。これより、pHの上限は7.5程度、好ましくは7.3以下、より好ましくは7.0以下、さらに好ましくは6.8以下である。本発明は、この中性領域に調整されたブラックコーヒー飲料で不足しがちなコーヒー独特のフルーツ様の酸味をγ-アミノ酪酸(γ-aminobutyric acid, 以下「GABA」と略記する)を添加することにより増強するものである。pHが6.0未満のブラックコーヒー飲料であってもGABAを添加することにより酸味が増強されるが、コーヒー独特のフルーツ様の酸味ではなく、酢酸のような刺激的な強い酸味で香味に悪影響を及ぼすことがあり好ましくない。
本発明のブラックコーヒー飲料のpHの調整には、pH調整剤が用いられる。pH調整剤としては、水に溶解した時にアルカリ性を示す物質であれば限定されず、具体的には、重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどが挙げられる。
(γ-アミノ酪酸(GABA))
本発明は、中性領域に調整されたブラックコーヒー飲料の香味をγ-アミノ酪酸(GABA)を添加することにより改善するものである。ここで、本発明でいう香味の改善とは、中性領域において不足しがちなコーヒー飲料特有の酸味を付与する作用をいい、GABAを添加していない場合と比較して、弱酸性のレギュラーコーヒーに近い香味、具体的にはキレの良いほのかな酸味が付与された味わいになることを意味する。
GABAは、野菜類、果物類、穀類、発酵食品等に幅広く含まれるアミノ酸の一種である。本発明に用いられるGABAの由来は特に限定されず、例えば野菜類、果物類、穀類などから抽出されたGABA、醗酵により生産されたGABA、有機合成により得られたGABA等を用いることができる。飲料自体の香味への影響を最小限にする観点からは、GABAを80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有するGABAの精製品を使用することが好ましい。精製品の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものを用いることができる。市販されているGABAの精製品としては、例えば、GABA100%ピュアパウダー(NOW FOODS社)、オリザギャバ(登録商標)エキスHC-90(オリザ油化社)などが挙げられる。
本発明においては、飲料中のGABAの濃度が60mg/kg以上、好ましくは100mg/kg以上、さらに好ましくは150mg/kg以上、特に好ましくは200mg/kg以上となるようにブラックコーヒー飲料にGABAを添加する。飲料中のGABAの含有量は800mg/kg以下が好ましく、700mg/kg以下がより好ましく、600mg/kg以下がさらに好ましい。GABAの含有量は、アミノ酸分析装置を用いて測定することができる。
(その他成分)
本発明のブラックコーヒー飲料は、酢酸フルフリル(furfuryl acetate)を含有することが好ましい。酢酸フルフリルは、熟したフルーツ様香気成分として知られている香気成分である。本発明は、中性領域に調整されたブラックコーヒー飲料で不足しがちなほのかな酸味をGABAを添加することにより付与又は増強するものであるが、コーヒー飲料に特定量の酢酸フルフリルが含まれる場合には、GABAにより付与/増強されたコーヒー飲料特有の酸味が、より、コーヒー独特のフルーツ様の自然な酸味として感じられるようになることを見出した。本発明のブラックコーヒー飲料中の酢酸フルフリル含有量は2.0μg/kg以上が好ましく、5.0μg/kg以上がより好ましく、7.0μg/kg以上がさらに好ましく、10μg/kg以上が特に好ましい。酢酸フルフリル含有量の上限は、200μg/kg以下が好ましく、100μg/kg以下がより好ましい。酢酸フルフリル含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS分析法)で定量することができる。酢酸フルフリル含有量は、コーヒー豆由来の成分(コーヒー豆抽出物、コーヒー豆粉砕物など)として添加してもよいし、香料成分として添加してもよい。
上述のとおり、本発明の飲料は、焙煎コーヒー豆抽出物、pH調整剤及びGABAを含有するが、本発明の所期の目的を逸脱しない範囲であれば、その他成分、すなわち香料や糖類等の甘味成分に加え、ブラックコーヒー飲料に一般的に配合される成分、例えば、酸化防止剤、品質安定剤(乳化剤、増粘安定剤等)などを適宜添加することができる。
(容器詰飲料)
本発明の飲料は、中性領域のpHを有することにより、常温で長期間保存した際にも比較的良好な品質の安定性を有する。したがって、長期保存される可能性がある容器詰飲料として好適に提供される。容器詰飲料とは、飲料を容器に充填した後に閉栓されたものをいう。容器としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器を例示することができる。
常温で長期間保存するために、加熱殺菌を行ってよい。加熱殺菌処理の条件は、例えば、食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択することができ、具体的には、60~150℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは110~150℃で、温度に応じて1秒間~60分間、好ましくは1秒間~30分間の範囲の時間を選択することができる。より詳細には、容器として耐熱性容器(金属缶、ガラス等)を使用する場合には、レトルト殺菌(110~140℃、温度に応じて1~数十分間)を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器(PETボトル、紙容器等)を用いる場合は、例えば、調合液を予めプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌(UHT殺菌:110~150℃、温度に応じて1~数十秒間)し、一定の温度まで冷却した後、その非耐熱性容器に無菌充填することができる。本発明の所期の効果を顕著に発現することから、100℃を超える温度での過酷な加熱条件による加熱殺菌済のブラックコーヒー飲料は、本発明の特に好適な態様である。
容器内の飲料の容量は、特に限定されないが、例えば150mL~1000mLであり、好ましくは160mL~600mL程度である。
(製造方法)
本発明のブラックコーヒー飲料は、原料の一部としてGABAを配合する以外は、通常のブラックコーヒー飲料と同じようにして製造することができる。すなわち、焙煎コーヒー豆抽出物とGABAとを混合して調合液を調製する工程、pH調整剤を配合して最終飲料のpHを6.0~7.5に調整する工程を含む工程により製造される。飲料が容器詰飲料の場合、コーヒー調合液を容器に充填する工程及び加熱殺菌する工程を含む。加熱殺菌をする工程を含む容器詰飲料の製造方法では、加熱殺菌によりpHの低下が起こる。予め、加熱殺菌によりどの程度pHが低下するのかを測定しておき、加熱殺菌前の調合液のpHを調整することで、容器詰飲料のpHを制御することができる。加熱殺菌後にpH6.0~7.5のブラックコーヒー飲料を得るためには、通常、加熱殺菌前の調合液のpHは6.5~8.0程度に調整しておけばよい。製造方法は、好ましくは、飲料中の酢酸フルフリルの含有量を2.0μg/kg以上に調整する工程を含む。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
<GABA含有量の測定>
試料液採取して遠心分離した後、その上清を0.02Nの塩酸で処理したものを、0.45μmのフィルターをつけたシリンダを用いてろ過し、これを全自動アミノ酸分析装置(日本電子(株)社製、JLC-500/V)によって定量することにより測定した。
<pHの測定>
試料液100mLを200mLのビーカーに量り取り、20℃に温度調整をしてpHメーター(堀場製作所製、HORIBA pHメーターF21)を用いて測定した。
<香気成分の分析方法>
試料液5mlをネジ付き20ml容ガラス瓶(直径18mm,ゲステル社製)に入れてPTFE製セプタム付き金属蓋(ゲステル社製)にて密栓し、固相マイクロ抽出法(SPME)にて香気成分の抽出を行った。定量は、GC/MSのEICモードにて検出されたピーク面積を用い、標準添加法にて行った。使用した機器及び条件を以下に示す。
・SPMEファイバー:StableFlex/SS,50/30μm DVB/CAR/PDMS,(スペルコ社製)
・全自動揮発性成分抽出導入装置:MultiPurposeSampler MPS2XL(ゲステル社製)
・予備加温:40℃5分間
・攪拌:なし
・揮発性成分抽出:40℃30分間
・揮発性成分の脱着時間:3分間
・GCオーブン:GC7890A(アジレントテクノロジーズ社製)
・カラム:VF-WAXms,60m×0.25mmi.d. df=0.50μm(アジレントテクノロジーズ社製)
・GC温度条件 :40℃(5分間)→5℃/分→260℃(11分間)
・キャリアーガス:ヘリウム,1.2ml/分,流量一定モード
・インジェクション:スプリットレス法
・インレット温度:250℃
・質量分析装置:GC/MS Triple Quad7000(アジレントテクノロジーズ社製)
・イオン化方式:EI(70eV)
・測定方式:スキャン測定、またはスキャン&SIM同時測定
・スキャンパラメータ:m/z35~350。
実験例1 GABA配合ブラックコーヒー飲料の調整(1)
試験飲料として、市販のPETボトル入りの無糖ブラックコーヒー飲料(種別:コーヒー)(原材料:コーヒー(コーヒー豆(ブラジル、エチオピア、その他))/香料)を用いた。このブラックコーヒー飲料のpHは5.7であり、酢酸フルフリル含有量は20μg/kgであった。
この飲料に、水酸化ナトリウム水溶液(100倍希釈液)を添加して、pH6.4のブラックコーヒー飲料とした。この中性領域のブラックコーヒー飲料に、γ-アミノ酪酸(GABA)の含有量が30~800mg/kgとなるようにGABA(純度99%以上)を添加して、GABA配合ブラックコーヒー飲料を調製した。これら飲料の酸味の強さを、pH6.4でGABA無添加の飲料を対照として官能評価した。評価は、専門パネル6名にて行った。pH6.4でGABA無添加の飲料(対照)の酸味の強さを1点、NaOHを添加する前のブラックコーヒー飲料(pH5.7、GABA含有量:0mg/kg)の酸味の強さを3点として、以下の5段階評価で行った。
<官能評価基準>
1点:酸味をほとんど感じない(対照と同程度)
2点:対照よりも酸味を若干感じる
3点:程よい程度で酸味を感じる(市販飲料と同程度)
4点:ややはっきりと酸味を感じる
5点:強く酸味を感じる
6名の専門パネルa~fの評価結果を、表1に示す。60mg/kg以上のGABAを含有させることによって、GABAの含有量に応じて酸味が増強されることが判明した。酸味の質についても評価した。質の評価基準は、飲用時に(+):フルーツのような酸味として違和感のない良い酸味である、(-):違和感のある嫌な酸味である、の2段階評価とした。GABA含有量60~600mg/kgの場合において、6名のパネル全員が+(違和感のない酸味)であると回答した。GABA含有量800mg/kgの場合に1名のパネルのみが違和感を感じると回答した。以上より、GABAの上限値は800mg/kg程度、好ましくは600mg/kg程度であることが示唆された。
また、香り立ちの強さについても評価した。評価基準は、(-):対照と比較して香り立ちが弱く感じる、(±):対照と変わらない(同程度)、(+):対照と比較して香り立ちが強いの3段階評価とした。GABA含有量60~800mg/kgの場合において、6名のパネル全員が±と評価した。つまり、GABAを含有させても香り立ちは変わらなかった。
実験例2 GABA配合ブラックコーヒー飲料の調整(2)
水酸化ナトリウムの配合量を変えて、pHを7.3又は6.2に調整する以外は、実験例1と同様にしてGABA配合ブラックコーヒー飲料を調製した。これら飲料の酸味の強さを、実験例1と同様に、中性領域のpHのGABA無添加の飲料を対照として官能評価した。
結果を表2及び表3に示す。中性領域のいずれのpHのブラックコーヒー飲料においても、フルーティーな酸味の増強効果が確認できた。この酸味増強効果は、pHが6.0に近い方がより顕著であった。pHが6.0に近い方が、酢酸フルフリルのようなフルーティーな香気がより知覚されやすく、香りから感じられる酸味とGABAによる味わいとしての酸味とが相俟って、より一層酸味が強く知覚されるものと推測される。
実験例3 GABA配合ブラックコーヒー飲料の調整(3)
試験飲料として、実験例1及び2とは異なる市販の缶入りの無糖ブラックコーヒー飲料(種別:コーヒー)(原材料:コーヒー(コーヒー豆(ブラジル、エチオピア、その他))を用いた。このブラックコーヒー飲料のpHは5.8であり、酢酸フルフリル含有量は1.5μg/kgであった。実験例2と同様にして、pH6.2のGABA配合ブラックコーヒー飲料を調製し、官能評価した。結果を表4に示す。GABAの添加により、酸味が増強されることが確認された。なお、実験例2で調製されたGABA含有量200mg/kgの飲料と比較した場合、酢酸フルフリルを多く含有する実験例2の飲料の方が、酸味の増強作用が強く知覚される傾向にあった。
実験例4 容器詰ブラックコーヒー飲料の調製(1)
中煎りに焙煎したコーヒー豆(産地:グアテマラ、L値:20)を粉砕し、コーヒー豆の量に対して9倍の質量の湯を抽出用湯として用い、抽出機で80℃にて抽出を行った。また、抽出工程の途中で蒸らし時間を3分間設けた。そして、回収する抽出湯量がコーヒー豆量の約3倍の質量となったところで抽出を終了した。抽出液は抽出後に遠心分離処理、及び膜ろ過を実施し、これを約3倍に希釈してブリックス値1.2%、pH5.4の焙煎コーヒー豆抽出液を得た。この焙煎コーヒー豆抽出液にγ-アミノ酪酸(GABA)の含有量が30~800mg/kgの濃度となるようにGABA(純度99%以上)を添加し、また、酢酸フルフリルを添加し、さらにpHが6.8になるように炭酸水素ナトリウム(pH調整剤)を添加してよく攪拌して調合液を調製した。この調合液を、F0=4以上でUHT殺菌した後、500mLのPETボトル容器に無菌充填して、PETボトル入りの容器詰ブラックコーヒー飲料を製造した。また、対照として、GABAを無添加とする以外は同様にして、PETボトル入りの容器詰ブラックコーヒー飲料を製造した。これらのブラックコーヒー飲料は、飲料100g中にコーヒー生豆換算で5.6gの焙煎コーヒー豆抽出物を含み、ブリックス値は1.2~1.3%、pHは6.4、飲料中の酢酸フルフリル含有量は7.5μg/kgであった。
得られたPETボトル入りブラックコーヒー飲料について、専門パネル5名による官能評価を行った。パネルは、提示されたペアの飲料について酸味の強さに差があるか、差がある場合にはどちらの飲料が酸味をより強く感じるか、を評価した。結果を表5に示す。中性領域(pH6.4)のブラックコーヒー飲料において、飲料中の含有量が60mg/kg以上となるようにGABAを添加することにより過半数のパネルが酸味が強くなると評価した。また、100mg/kg以上となるようにGABAを添加した場合ではパネル全員が酸味が強くなると評価した。この酸味は、焙煎コーヒー豆抽出液(pH5.3、pH調整剤無添加)が有する爽やかでフルーティーな酸味に類似した酸味であった。飲料中のGABA含有量が800mg/kgの場合には、特異な酸味であり、フルーティーな酸味とは異なると評価したパネルが1名存在したことから、GABA含有量の上限は800mg/kg程度が好ましいことが示唆された。また、酸味が増強されたことにより、pH調整剤に起因する後味のキレ(塩味、ぬめり等)の悪さが改善されたと評価するパネルが多数存在した。
実験例5 容器詰ブラックコーヒー飲料の調製(2)
中煎りに焙煎したコーヒー豆(産地:エチオピア、L値:18)を粉砕して抽出機に投入し、98℃の熱水をスプレーして抽出した。抽出液を約20℃に急冷し、ブリックス値1.4%、pH5.2の焙煎コーヒー豆抽出液を得た。この焙煎コーヒー豆抽出液に、10g/kgの濃度の焙煎コーヒー豆の微粉砕物を添加し、さらにγ-アミノ酪酸(GABA)の含有量が300mg/kgの濃度となるようにGABAを添加し、pHが7.0になるように炭酸水素ナトリウム(pH調整剤)を添加してよく攪拌して調合液を調製した。この調合液を、190ml缶に充填し、ヘッドスペースの空気を窒素ガスで置換し、直ちに缶を密閉し、115℃で20分加熱殺菌し、冷却して缶入りの容器詰ブラックコーヒー飲料を製造した。また、対照として、GABAを無添加とする以外は同様にして、缶入りの容器詰ブラックコーヒー飲料を製造した。これらのブラックコーヒー飲料の酢酸フルフリルの濃度は75μg/kgであり、ブリックス値は1.4%、pHは6.8であった。得られた缶入りブラックコーヒー飲料について、実験例4と同様に官能評価した。結果を表6に示す。パネル全員が、GABAを含有させることにより、コーヒー特有の爽やかな酸味が増強されたと評価した。

Claims (3)

  1. 60~800mg/kgのγ-アミノ酪酸を含有し、pHが6.0~7.5である、ブラックコーヒー飲料。
  2. 酢酸フルフリルの含有量が、2.0μg/kg以上である、請求項1に記載のブラックコーヒー飲料。
  3. 容器詰め飲料である、請求項1又は2に記載のブラックコーヒー飲料。
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