JP7150691B2 - コーヒー飲料の香味改善方法 - Google Patents
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Description
[1] コーヒー抽出液にβ-グリコシダーゼ活性を有する酵素を作用させる工程を含むことを特徴とする、香味の改善されたコーヒー飲料の製造方法。
[2] β-グリコシダーゼ活性を有する酵素がβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素であることを特徴とする、[1]に記載のコーヒー飲料の製造方法。
[3] β-グリコシダーゼ活性を有する酵素が、β-グルコシダーゼ、β-プリメベロシダーゼ、およびナリンギナーゼからなる群から選ばれた1または2以上の酵素であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のコーヒー飲料の製造方法。
[4] コーヒー抽出液にβ-グリコシダーゼ活性を有する酵素を作用させる工程を含むことを特徴とする、コーヒー飲料の香味改善方法。
[5] コーヒー飲料に対し、内部標準としてシクロヘプタノールを500ppb添加した際のSPME-GC/MS分析法における2-ヘプタノールのピークエリア値(内部標準とのピークエリア比)がコーヒー固形分1.0gあたりに換算して0.25以上であるコーヒー飲料。
[6] 2-ヘプタノールを有効成分とするコーヒー飲料の香味改善剤。
本発明は、原料コーヒー豆からコーヒーエキス分を抽出してコーヒー抽出液を回収し、得られた抽出液に対してβ-グリコシダーゼ活性を有する酵素を作用させる酵素処理工程を経ることによって2-ヘプタノールなどの香気成分が増加し、明るく華やかな香味を有するコーヒー飲料が調製できるという技術思想に基づく。
適宜希釈したサンプル溶液10 ml及び塩化ナトリウム3.0 gを20 ml のSPME用バイアルに充填し、内部標準物質としてシクロヘプタノール(東京化成工業製)を終濃度500 ppbとなるように添加したものを分析試料とした。香気成分は固相マイクロ抽出法(Solid phase Micro Extraction:SPME)により回収し、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS分析)に供した。GC/MS分析条件は以下の通りである。内部標準物質に対する各香気成分のピークエリアの比率(内部標準とのピークエリア比)をピークエリア値とし、得られたピークエリア値をサンプル溶液中のコーヒー固形分1.0gあたりに換算してサンプル間の比較検討に用いた。
・GC:TRACE GC ULTRA(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)
・MS:TSQ QUANTUM XLS(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)
・SPMEファイバー:50/30μm Divinylbenzene/Carboxen/Polydimethylsiloxane Stableflex (シグマアルドリッチ社)
・抽出:60 ℃、30 分
・カラム:SUPELCO WAX10 0.25mmI.D.×60m×0.25μm(シグマアルドリッチ社)
・オーブンプログラム:40 ℃で2分間保持した後、160 ℃まで3 ℃/分で昇温し、その後280 ℃まで10 ℃/分で昇温
・キャリアーガス:ヘリウム(100 kPa、一定圧力)
・インジェクター温度:スプリットレス、240 ℃
・イオン源温度:200 ℃
・イオン化:電子イオン化
・イオン化電圧:70eV
・測定モード:スキャン
・モニタリングイオン:2-ヘプタノール(2-heptanol);m/z=45
エチオピア産アラビカ種の焙煎コーヒー豆粉砕品200g(L値17)を35℃に加温した10倍量の抽出水2000gに浸漬し、30分間温度保持して抽出し、生産ろ紙No.26(アドバンテック東洋製)でろ過し、Brix2.21の抽出液1720g(固形回収率19%)を回収した。得られた抽出液を取り分け、それぞれに対し、表1中に示した各種酵素製剤を0.05%となるように添加し、35℃に温度保持しながら30分間酵素反応させた。コントロールは酵素を添加せずに35℃で30分間保持した。これら反応液に炭酸水素ナトリウムを400 ppmとなるように添加し、200ml容のスチール缶(東洋製罐製)に80℃でホットパック充填し、ヘッドスペースを窒素ガスで置換してから蓋を巻き締めた。次いで、オートクレーブにて110℃まで加熱して殺菌した後、これを速やかに水道水で冷却し、試験例1のコーヒー飲料を調製した。これらについて、専門パネラー5名で官能評価するとともに、SPME-GC/MS法により香気成分分析を行った。
試験例1と同様の条件で得られたコーヒー抽出液について、酵素処理時の酵素添加量の検討を行った。使用する酵素は試験例1で特に効果の高かったアロマーゼ(天野エンザイム製、β-グルコシダーゼ活性80U/g(PNPG グルコース添加法))を用い、この酵素の添加量を抽出液に対して0.00001~0.2%の範囲で増減させ、試験例1と同様に官能評価と香気成分分析を行い、その結果を表2に示した。
抽出条件を35℃~85℃とする以外は試験例1と同様に操作し、酵素処理による香味改善作用に対する抽出温度の影響について検討を行った。これらについて試験例1と同様に官能評価と香気成分分析を行い、その結果を表3に示した。
コーヒー豆として各種焙煎度のグアテマラ産焙煎コーヒー豆粉砕品を用いた以外は試験例1と同様の条件で得られたコーヒー抽出液について、酵素処理による香味改善作用の影響について検討を行った。焙煎は同一のコーヒー生豆を用い、温度と時間を調節して焙煎することにより各種の焙煎度のコーヒー豆とし、色差計にて焙煎度の指標となるL値を得た。酵素処理、調合、殺菌、充填、評価についても試験例1と同様にして行い、その結果を表3に示した。なお、各種焙煎度のコーヒー豆抽出液ごとに酵素を添加しないものをコントロールとした。
原料コーヒー豆をベトナム産ロブスタ種の焙煎コーヒー豆粉砕品とする以外は試験例1と同様に操作し、酵素処理による香味改善作用に対するコーヒー豆品種の影響について検討を行った。これらについて試験例1と同様に官能評価と香気成分分析を行い、その結果を表5に示した。
試験例1の条件をベースとして、酵素反応を抽出と同時に行った場合についての酵素処理による香味改善作用の検討を行った。酵素製剤はアロマーゼ(天野エンザイム製)を用いた。試験例6-3では抽出開始と同時に酵素を添加して酵素反応させ、試験例6-4では試験例1と同様に抽出後の抽出液に対して酵素を添加して酵素反応させた。試験例6-2では抽出液に酵素を添加せずに試験例6-4と同様の条件で温度処理のみを施した。これらについて試験例1と同様に官能評価と香気成分分析を行い、その結果を表6に示した。
本発明のコーヒー飲料の2-ヘプタノール含有量について、市販のコーヒー飲料製品との比較評価を行った。市販のコーヒー飲料製品は無糖の表示がなされている製品を市場より無作為に3品(市販品A~C)を入手した。香料の使用については製品の原材料表示ラベルを参考とした。対象として、本発明品の試験例1-2を用い、これらについての理化学分析値(pH及びBrix)と2-ヘプタノール含量を表7に示した。
Claims (4)
- 焙煎コーヒー豆を抽出して得られるコーヒー抽出液にβ-グリコシダーゼ活性を有する酵素を作用させる工程を含み、コーヒー飲料に対し、内部標準としてシクロヘプタノールを500ppb添加した際のSPME-GC/MS分析法における2-ヘプタノールのピークエリア値(内部標準とのピークエリア比)がコーヒー固形分1.0gあたりに換算して0.25以上とすることを特徴とする、香味の改善されたコーヒー飲料の製造方法。
- β-グリコシダーゼ活性を有する酵素がβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素であることを特徴とする、請求項1に記載のコーヒー飲料の製造方法。
- β-グリコシダーゼ活性を有する酵素が、β-グルコシダーゼ、β-プリメベロシダーゼ、およびナリンギナーゼからなる群から選ばれた1または2以上の酵素であることを特徴とする、請求項1または2に記載のコーヒー飲料の製造方法。
- 焙煎コーヒー豆を抽出して得られるコーヒー抽出液にβ-グリコシダーゼ活性を有する酵素を作用させる工程を含み、コーヒー飲料に対し、内部標準としてシクロヘプタノールを500ppb添加した際のSPME-GC/MS分析法における2-ヘプタノールのピークエリア値(内部標準とのピークエリア比)がコーヒー固形分1.0gあたりに換算して0.25以上とすることを特徴とする、香味の改善されたコーヒー飲料の香味改善方法。
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JP2009501545A (ja) | 2005-07-18 | 2009-01-22 | クラフト・フーヅ・ホールディングス・インコーポレイテッド | 酵素支援による可溶性コーヒーの生成 |
WO2015050240A1 (ja) | 2013-10-03 | 2015-04-09 | サントリーホールディングス株式会社 | コーヒー豆に含まれる有機酸配糖体 |
US20190069572A1 (en) | 2015-09-04 | 2019-03-07 | Nestec S.A. | Method of producing a coffee extract |
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WO2015050240A1 (ja) | 2013-10-03 | 2015-04-09 | サントリーホールディングス株式会社 | コーヒー豆に含まれる有機酸配糖体 |
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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Phytochemistry,2002年,Vol.60,p.409-414 |
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