以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.システム構成>
本発明の実施形態は、主に、現金処理装置における入金取引に関する。以下では、本システムおよび各装置の構成を説明した後に、本発明の実施形態による動作処理について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による現金処理システムのシステム構成例を示す図である。本実施形態による現金処理システムは、図1に示すように、営業等の各担当者が利用する情報処理端末3と、上位PC(パーソナルコンピュータ)2と、現金処理装置1とを含む。
情報処理端末3は、客の元に出向く営業担当者等に携帯される。営業担当者等は、客から現金を受け取った際に、売上金情報として、客の情報や、売上金額、受け取った現金の金種枚数、日時などを、情報処理端末3に入力する。また、営業担当者は、客から受け取った現金(売上金)の他、釣銭準備金も持ち運び、必要に応じて釣銭を客に払い出す。営業担当者は、払い出した釣銭の金額や金種枚数も、情報処理端末3に入力するようにしてもよい。
情報処理端末3に入力された売上金額の情報は、上位PC2に送信される。上位PC2への送信は現金の受け入れが行われる度に実行されてもよいし、一定時間毎など定期的に実行されてもよいし、営業担当者が店舗に戻った際に実行されてもよい。
上位PC2は、現金処理に関する情報の収集や管理を行う情報処理装置であって、例えば、店舗毎に設置されてもよい。また、上位PC2は、店舗に設置される現金処理装置1と通信接続し、データの送受信を行う。
現金処理装置1は、例えば各店舗に設置され、現金の入金取引、出金取引、補充取引、および売上回収取引などを行う。ここで、現金処理装置1が有する取引機能について、具体的に説明する。
例えば、現金処理装置1は、釣銭準備金として使用する現金を入金する「補充取引」を行う。また、現金処理装置1は、営業担当者毎に、釣銭準備金を出金する「出金取引」を行う。また、現金処理装置1は、各営業担当者が客から受け取った現金(売上金)の入金を受け入れる「売上入金取引」を行う。売上入金取引では、営業担当者が持ち帰った釣銭準備金(「出金取引」により出金した現金)の入金を併せて行ってもよい。現金処理装置1は、各営業担当者に出金した釣銭準備金の金額や金種枚数を記憶し得る。
また、現金処理装置1は、「売上入金取引」の集計結果を算出し、売上金を確定させる「締上取引」を行う。また、現金処理装置1は、締上取引により確定した売上金を回収する「売上回収取引」を行う。売上回収取引では、例えば後述する回収カセット17(図2参照)から現金が回収され得る。
また、現金処理装置1は、売上金の一部を出金する「売上一部回収取引」を行う。売上一部回収取引では、例えば後述する紙幣入出金口11から現金が出金され得る。
以上説明した各取引は、取引毎に、操作者に所定の権限を必要とするものであってもよい。例えば、「出金取引」および「売上入金取引」は、営業担当者が実施可能であり、「補充取引」および「締上取引」は、管理者のみが実施可能であり、「売上回収取引」および「売上一部回収取引」は、売上管理者のみが実施可能であってもよい。操作者の権限は、操作者によるIDの入力等により、現金処理装置1により認証され得る。
<2.現金処理装置の構造>
続いて、現金処理装置1の内部構造について説明する。図2は、本発明の実施形態による現金処理装置1の内部構造の一例を示す概略側面図である。
図2に示すように、現金処理装置1は、上面には、紙幣入出金口11、カードリーダ部120、レシートプリンタ部122、操作表示部110、および硬貨投入口19が設けられ、内部に、紙幣処理部140および硬貨処理部150を有する。
紙幣処理部140は、紙幣入出金口11、紙幣一時保留部12、紙幣鑑別部13、万券カセット14、五千券カセット15、千券カセット16、回収カセット17、およびリジェクト部18を有する。紙幣入出金口11は、紙幣を投入するための投入口と、釣銭出金取引において紙幣を出金するための出金口と、入金がリジェクトされた紙幣を返却したりするための返却口と、を兼ねている。紙幣一時保留部12は、入金計数時および売上金作成時に一時的に紙幣を集積するものである。紙幣鑑別部13は、投入された紙幣の真偽、金種、正損等を鑑別するものである。
万券カセット14、五千券カセット15、および千券カセット16は、それぞれ万券、五千券、千券を釣銭準備金として収納しておくものであり、それぞれがいわゆるリサイクルカセット(還流庫)で構成されているものとする。売上入金で正券と鑑別された紙幣は、リサイクルカセットに収納され、釣銭出金時にリサイクルカセットから出金される。また、現金処理装置1は、万券カセット14、五千券カセット15、千券カセット16の代わりに、現金処理装置1が取り扱うべき各種紙幣に対応したものを備えていてもよい。
回収カセット17は、売上回収取引において、万券カセット14、五千券カセット15、および千券カセット16から、売上金を移動し、収納するものである。
リジェクト部18は、売上入金時に紙幣一時保留部12からリサイクルカセットへ収納するときのリジェクト紙幣と、リサイクルカセットから釣銭出金するときのリジェクト紙幣と、売上金作成でリサイクルカセットから回収カセット17へ移動するときのリジェクト紙幣とを集積するものである。
硬貨処理部150は、硬貨投入口19、硬貨鑑別部20、硬貨一時保留部21、硬貨返却箱(硬貨返却口)22、出金ホッパ23、硬貨出金箱24、および硬貨回収庫25を有する。硬貨投入口19は、操作者が硬貨を入金するための投入口である。硬貨鑑別部20は、投入された硬貨の画像データを読み取り、硬貨の真偽、金種、正損等の鑑別を行うものである。硬貨一時保留部21は、入金計数時に一時的に硬貨を集積するものである。硬貨返却箱22は、計数取引および売上入金取引の取消しにより硬貨を返却するものである。
出金ホッパ23は、硬貨の釣銭準備金を収納しておくものである。硬貨出金箱24は、釣銭出金時取引において利用者に硬貨を出金するための硬貨出金口である。売上入金で正常と識別された硬貨は、出金ホッパ23に収納され、釣銭出金時に出金ホッパ23から出金される。硬貨回収庫25は、売上回収取引時に出金ホッパ23から売上金を移動し、収納するものである。
なお、万券カセット14、五千券カセット15、千券カセット16、回収カセット17、出金ホッパ23および硬貨回収庫25は、セキュリティ性を高めるために、鍵を備えていてもよい。
また、現金処理装置1には、紙幣処理部140にアクセスする為の扉と、硬貨処理部150にアクセスする為の扉とが設けられ、それぞれ各扉を開けるための鍵(扉鍵)が設けられていてもよい(いずれも不図示)。
(課題の整理)
ここで、数千万円のような多額の売上金など、大量の現金を入金する売上入金取引の場合、現金収納庫(紙幣の場合は、万券カセット14、五千券カセット15、および千券カセット16といったリサイクルカセット、硬貨の場合は、出金ホッパ23)の容量を超えるため、従来は、現金を分割して投入し、売上入金取引と売上一部回収取引を繰り返し行わなければならず、対処に多くの時間と手間がかかっていた。
例えば、万券カセット14の収納容量が2,000枚の場合に、売上金五千万円(万券5,000枚)を入金すると、万券5,000枚は万券カセット14の収納容量を超えてしまう。したがって、操作者は、まずは万券2,000枚(二千万円)を売上入金取引により入金し、次いで、万券2,000枚(二千万円)を売上一部回収取引により出金(回収)する、といった操作を2回繰り返し、最後に万券1,000枚(一千万円)を入金して終了とする必要があった。また、売上入金取引は営業担当者が可能であっても、売上一部回収取引は権限を有さないため出来ない場合もある。この場合、売上一部回収取引の権限を有する売上管理者と二人で対処しなければならなかった。
このように、大量の現金を入金する場合、対処に多くの時間と手間、さらには人的コスト(回収取引を行うことができる権限者も必要)がかかるといった問題があった。
そこで、本実施形態では、売上入金の上限値を定め、上限値を超える場合は、売上金の入金処理(現金収納庫への収納)は行わずに、売上金情報を、売上金の集計結果に反映させる制御を行うことで、多額の入金取引時における操作者の負担を軽減させることを可能とする仕組みを提案する。
すなわち、本実施形態による現金処理装置1は、実際は現金の入金処理(現金収納庫への収納)は行っていないが、入金したものとしてデータ上は扱い(入金取引として履歴を残す)、売上金の集計結果に反映させる。入金処理を行わなかった現金は、例えば操作者(営業担当者など)から所定の担当者(例えば売上管理者)に手渡され、別金庫で管理される。
これにより、多額の現金の売上入金時に、現金を分割して入金取引と回収取引を繰り返す必要がなくなり、また、回収取引を行うことができる権限者も不要となり、時間や手間、人的コストの削減が実現され得る。
なお、本実施形態では、一例として、客の元に出向いて現金を受け取った営業担当者等が、店舗に戻り、集金した売上金を現金処理装置1に入金する場合を想定して説明しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、店舗の売り場等に設置される釣銭機に、店舗に訪れた客から受取った現金をレジ担当者が入金し、その釣銭機から売上金を回収して現金処理装置1に入金する場合も想定され得る。この場合は、図1の情報処理端末3が釣銭機に対応し、上位PC2が釣銭機に接続されるPOS端末(Point of Sales)に対応する。
<3.現金処理装置1の機能構成>
図3は、本実施形態による現金処理装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、現金処理装置1は、制御部100、操作表示部110、カードリーダ部120、レシートプリンタ部122、通信部130、紙幣処理部140、硬貨処理部150、および記憶部160を有する。
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を中心に構成されており、現金処理装置1の各機能部を制御して、各種の取引(釣銭準備金の補充取引、釣銭準備金の出金取引、売上金の入金取引、売上金の回収取引、および売上金の一部回収取引、および締上取引等)を実行する。また、制御部100は、各取引の履歴を記憶部160に記憶させる制御を行う。締上取引時には、取引履歴(売上入金取引や、釣銭出金取引等)に基づいて売上金が集計される。
操作表示部110は、操作の誘導画面を表示する表示部および利用者が操作入力を行うための入力部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、入力部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、図2および図3においては表示部および入力部の機能が現金処理装置1において一体的に構成される例を示しているが、表示部および入力部の機能は分離して構成されてもよい。
カードリーダ部120は、カード挿入排出口(不図示)に挿入されたIDカード等から、IDカード等に書き込まれた情報を読み取る。IDカード等に書き込まれる情報としては、例えば、カードを利用する操作者を識別するための識別情報、および許可されている取引の種類を示す情報(権限情報)が挙げられる。なお、本実施形態は係る例に限定されず、カードリーダ部120に代えて、または加えて、指紋や掌紋等を認識する生体読取部や、暗証番号を入力する暗証番号入力部が設けられていてもよい。また、情報の読み取りは、IDカードに印字されたバーコードやQRコード(登録商標)といった二次元コードを二次元コード読み取り装置(例えばバーコードリーダ)により行ってもよい。
レシートプリンタ部122は、取引の結果が印字されたレシートを発行する。例えば、レシートプリンタ部122は、売上入金取引の結果が印字されたレシートを発行する。
通信部130は、例えば専用網(LANなど)を介して、上位PC2と、データの送受信を行い得る。また、通信部130は、情報処理端末3と直接通信接続し、データの送受信を行ってもよい。
紙幣処理部140は、紙幣入出金口11(図2参照)から投入された紙幣の入金処理および紙幣入出金口11への紙幣の払い出し処理を行う。硬貨処理部150は、硬貨投入口19から投入された硬貨の入金処理および硬貨出金箱24等への硬貨の払い出し処理を行う。
記憶部160は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等から実現され、現金処理装置1の動作を制御するための制御プログラムや、現金処理装置1の取引時における入力データ、表示画面等を格納する。また、記憶部160は、制御部100の制御に従って、現金処理装置1で行われた各取引内容を記憶する。
<4.動作処理>
(4-1.第1の実施例)
図4は、本実施形態の第1の実施例による売上入金取引における動作処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、例えば営業担当者(以下、操作者と称す)が売上金を現金処理装置1に入金する場合を想定する。
図4に示すように、まず、現金処理装置1は、ログイン処理を行う(ステップS103)。ログイン処理では、操作者の識別や、操作者が有する権限の認証が行われる。例えば制御部100は、操作表示部110にログイン画面を表示し、操作者の有するIDカードの読み取りを促す。操作者は、ログイン画面の指示に従って、IDカードをカードリーダ部120に挿入したり、若しくは、バーコードリーダ等で操作者の名札等に印字されたバーコード等の読み取りを行ったりする。これにより、操作者が誰であるかが識別される。また、制御部100は、セキュリティ性を高めるため、暗証番号の入力画面を操作表示部110に表示し、暗証番号の入力を促してもよい。
次に、制御部100は、メニュー画面を操作表示部110に表示する(ステップS106)。メニュー画面には、出金取引および入金取引など、各種取引の候補が表示される。
「入金」以外が押下された場合(ステップS109/No)、制御部100は、選択された取引を通常通り実施する(ステップS115)。
一方、「入金」が押下された場合(ステップS109/Yes)、制御部100は、上位PC2から、当該操作者に対応する売上金情報を取得する(ステップS112)。上位PC2では、情報処理端末3から収集した売上金情報を、営業担当者(操作者)毎に管理している。なお、現金処理装置1によるかかる売上金情報の取得タイミングは、図4に示す例に限定されず、例えばログイン処理において操作者を識別できた際に行ってもよいし、暗証番号の入力が正しかった場合に行ってもよい。
次いで、制御部100は、上位PC2から取得した売上金情報の数値は、閾値(上限値)を超えるか否かを判断する(ステップS118)。本実施形態において、売上金情報には、売上金額および売上金の金種枚数の少なくともいずれかが含まれる。また、閾値は、金額であってもよいし、金種枚数であってもよい。また、金額および金種枚数であってもよい。閾値は、現金収納庫の収納容量に応じて設定され得る。例えば、現金収納庫の最大容量(フル)または最大容量よりも少ない容量(ニアフル)に予め設定されていてもよいし、現金収納庫の現在の集積残容量に応じて設定されてもよい。閾値を超える入金は、すなわち、現金収納庫の容量を超えるため、上述した通り、入金取引と回収取引を繰り返し行わなければならず、時間と手間がかかってしまうことが想定される。
次に、閾値を超えない場合(ステップS118/No)、制御部100は、現金を現金収納庫に収納する入金処理を行う(ステップS121~S133)。
具体的には、制御部100は、上位PC2から取得した売上金情報を表示し、入金(投入)を促す(ステップS121)。ここで、図5に、売上金が閾値を超えない場合の表示画面例を示す。図5の上段に示すように、売上金が閾値を超えない場合、操作表示部110には、上位PC2から取得した売上金情報の金額を「入金指定額」として示し、さらに、入金(投入)を促す文章を示す画面50が表示される。なお「要つり銭返納額」とは、当該操作者に釣銭準備金を出金していた場合に表示される。操作者は、釣銭準備金を売上金と併せて入金することが可能である。「合計入金額」とは、「入金指定額」と「要つり銭返納額」を合算した金額であり、投入すべき現金の金額を示すものである。
次いで、制御部100は、投入された現金の計数処理を行う(ステップS124)。紙幣の場合は、紙幣入出金口11に投入された紙幣を、鑑別部13を介して紙幣一時保留部12に搬送し、計数する。また、硬貨の場合は、硬貨投入口19に投入された硬貨を、硬貨鑑別部20を介して硬貨一時保留部21に搬送し、計数する。
次に、制御部100は、計数処理の結果を示す金額確認画面を操作表示部110に表示する(ステップS127)。金額確認画面の一例を、図5下段の画面52として示す。画面52に示す「合計入金額」とは、投入された現金を計数した計数結果に基づく金額である。「入金指定額」とは、上位PC2から取得した売上金情報に基づく金額である。また、これらが一致している場合、画面上に「一致」と表示され、「金額を確認し、『確認』を押してください」といった文章が表示される。確認ボタンは、画面52に表示してもよいし、現金処理装置1の上面に設けられたボタンであってもよい。確認ボタンが押下された場合、制御部100は、一時保留に蓄積した各現金を金種別に現金収納庫に収納する(すなわち、紙幣はリサイクルカセット(万券カセット14、五千券カセット15、千券カセット16)に、硬貨は出金ホッパ23にそれぞれ金種別に収納する)。売上金が閾値を超えない場合に入金処理(すなわち、現金収納庫への収納処理)を行っているため、現金収納庫は満杯とはならない。
次いで、制御部100は、計数結果を売上金の集計結果に反映し(ステップS130)、今回の入金取引の内容(入金額など)をレシートに印字して排出する(ステップS133)。なお、制御部100は、計数結果を、売上入金取引結果として記憶部160に記憶し、締上取引時に集計結果に反映させるようにしてもよい。
次に、売上金が閾値を超える場合(ステップS118/Yes)、制御部100は、入金額入力画面を表示する(ステップS136)。ここで、図6に、売上金が閾値を超える場合の表示画面例を示す。図6の上段に示すように、売上金が閾値を超える場合、操作表示部110には、「入金額(つり銭除く)が指定できます」といった文章と、入金額の入力欄401を示す画面40が表示される。「入金額」とは、売上金額である。本実施形態では、売上金が閾値を超える場合、売上金の入金処理(現金処理装置1の現金収納庫への収納)は行わないが、当該売上金を現金処理装置1における売上金の集計結果には反映させるべく、操作者による売上金額の手入力を実行する。操作者は、入力欄401に、例えば現金処理装置1の上面に設けられたテンキーを操作して入金額(売上金額)を入力する。操作者(例えば営業担当者)は、自身の売上金額を、情報処理端末3や上位PC2により把握することが可能である。具体的には、情報処理端末3には、毎回の売上取引の内容(客から受け取った売上金情報)が営業担当者により入力されているため、例えば営業担当者が現金処理装置1で売上入金取引を行う際に、手元の情報処理端末3を操作し、その日の売上総額を表示または予め印字し、売上額を把握することが可能である。
なお、ここでは一例として売上金の「金額」を画面40に入力しているが、売上金の「金種枚数」を入力してもよい。操作者は、売上金の金種枚数も、情報処理端末3等により把握し得る。
次いで、制御部100は、操作者により手入力された入金額が、上位PC2から取得した売上金額と一致するか否かを判断する(ステップS139)。上位PC2から取得した売上金額も、情報処理端末3から取得した情報であるため、通常は一致することが想定されるが、本実施形態では、確認のために操作者に手入力させている。上述した通り、本実施形態では、売上金が閾値を超える場合、売上金の入金処理(現金処理装置1の現金収納庫への収納)は行わないが、当該売上金を、売上金の集計結果には反映させるため、売上金額を十分に確認することが望ましい。
次に、手入力された金額(入金額)と、上位PC2から取得した売上金額が一致しない場合(ステップS139/No)、入金額が正しくない旨を操作者に通知し、再入力を促す(ステップS142)。
一方、手入力された金額(入金額)と、上位PC2から取得した売上金額が一致した場合(ステップS139/Yes)、制御部100は、金額確認画面を表示する(ステップS145)。金額確認画面の一例を、図6下段の画面42として示す。画面42に示す「合計入金額」とは、操作者の手入力に基づく「入金額」と「要つり銭返納額」を合算した金額であり、「入金指定額」とは、上位PC2から取得した売上金情報に基づく金額である。これらが一致している場合、画面上に「一致」と表示され、「金額を確認し、『確認』を押してください」といった文章が表示される。確認ボタンは、画面42に表示してもよいし、現金処理装置1の上面に設けられたボタンであってもよい。また、画面42に示す「要つり銭返納額」とは、当該操作者に釣銭準備金を出金していた場合に表示される。これにより操作者は、釣銭の返納が必要なこと、および金額等を認識できる。
そして、確認ボタンが押下された場合、制御部100は、売上金の入金処理(現金処理装置1の現金収納庫への収納)は行わずに、売上金額を、売上金の集計結果に反映する(ステップS148)。具体的には、制御部100は、入金取引として記憶部169に履歴を残し、売上金の集計結果に反映される状態とする。また、制御部100は、入金取引の内容(実際は現金の入金処理は行っていないが、入金したものとして扱う)をレシートに印字して排出する(ステップS151)。
また、釣銭の入金(返納)もここで実際には行われないが、制御部100は、当該操作者から釣銭の返納が行われたものとして取り扱う(具体的には、当該操作者の釣銭準備金が返納されたことを、記憶部160に記憶する)。また、操作者は、入金処理を行わなかった現金(売上金および釣銭を含めた現物)を、所定の担当者(例えば売上管理者)に手渡す。売上管理者は、かかる現金を別金庫で管理する。なお、売上管理者は、操作者から手渡された現金のうち釣銭分を現金処理装置1に補充取引により入金してもよい。
以上説明したように、第1の実施例による入金取引では、売上金が閾値を超える場合は、入金処理(現金処理装置1の現金収納庫への収納)は行わずに、売上金額を、売上金の集計結果に反映させる制御を行う。これにより、多額の現金の売上入金時に、現金を分割して入金取引と回収取引を繰り返す必要がなくなり、また、回収取引を行うことができる権限者も不要となり、時間や手間、人的コストの削減が実現される。また、実際は現金の入金処理を行っていないが、入金したものとして扱い、現金処理装置1における売上金の集計結果に反映させるため、現金処理装置1でその日の売上金の集計処理を行うことができ、余計な作業負担が生じず、利便性が高いという効果を有する。
なお、売上金回収取引では、締上取引で確定した売上金から、実際の入金は行わずに手入力した売上金額分を減額した売上金額を回収するよう制御する。
(4-2.第2の実施例)
続いて、第2の実施例による入金取引の動作処理について説明する。本実施例では、多額の現金の売上入金時に、実際の入金(現金収納庫への収納)は行わない点は第1の実施例と同様であるが、さらに計数処理を行うようにすることで、時間や手間、人的コストの削減を実現しつつ、かつ、売上金額の正確性を高めることが可能となる。
図7および図8は、本実施形態の第2の実施例による売上入金取引における動作処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7のステップS103~ステップS118に示す処理は、図4を参照して説明した第1の実施例による同符号と同様の処理であるため、ここでの説明を省略する。また、図7のステップS160に示す入金処理は、図4のステップS121~ステップS133に示す処理に相当する。
本実施例では、図7に示すように、上位PC2から取得した売上金情報の数値が閾値を超える場合(ステップS118/Yes)、制御部100は、上位PC2から取得した売上金情報を操作表示部110に表示し、現金投入を促す(ステップS163)。ここで、図9に、第2の実施例による売上金が閾値を超える場合の表示画面例を示す。売上金情報の数値が閾値を超える場合、図9上段に示す画面45が表示される。画面45には、上位PC2から取得した売上金情報に含まれる売上金額が、「入金指定額」として表示されている。なお、当該操作者に対して釣銭準備金を出金していた場合には、「要つり銭返納額」として表示される。「合計入金額」は、「入金指定額」と「要つり銭返納額」を合算した金額である。また、画面45には、「紙幣および硬貨を入金してください」といった、現金投入口(紙幣入出金口11および硬貨投入口19)に売上金(「要つり銭」がある場合は釣銭を含む)の投入を促す文言が表示される。操作者は、第1の実施例と異なり、売上金を現金投入口(紙幣入出金口11および硬貨投入口19)に投入する。
次に、制御部100は、投入された売上金の計数処理を行う(ステップS166)。計数処理は、投入された現金の鑑別および計数を行いその結果を出力する処理である。制御部100は、例えば紙幣の場合は、紙幣入出金口11に投入された紙幣を、鑑別部13を介して紙幣一時保留部12に搬送し、計数する。また、制御部100は、硬貨の場合は、硬貨投入口19に投入された硬貨を、硬貨鑑別部20を介して硬貨一時保留部21に搬送し、計数する。
次いで、制御部100は、計数結果が、上位PC2から取得した売上金額と一致するか否かを判断する(ステップS169)。
一致する場合(ステップS169/Yes)、制御部100は、計数結果および上位PC2から取得した売上金額が一致する旨とその金額を示す金額確認画面を表示する(ステップS172)。確認ボタンが押された場合、制御部100は、入金額を集計結果に反映する(ステップS175)。具体的には、制御部100は、入金取引として記憶部169に履歴を残し、売上金の集計結果に反映される状態とする。また、制御部100は、入金取引の内容をレシートに印字して排出する(ステップS178)。
次に、制御部100は、投入された現金を操作者に返却する(ステップS181)。具体的には、制御部100は、紙幣一時保留部12や硬貨一時保留部21に集積された現金を、紙幣入出金口11や硬貨返却箱22に出金して返却する。
次いで、制御部100は、返却した現金の操作者による受取が完了したことを確認する(ステップS184)。受取完了の確認は、例えば紙幣入出金口11や硬貨返却箱22に設けられたセンサの検知結果に基づいて行われ得る。操作者は、返却された現金(入金処理を行わなかった現金(売上金および釣銭を含めた現物))を、所定の担当者(例えば売上管理者)に手渡す。売上管理者は、かかる現金を別金庫で管理する。なお、売上管理者は、操作者から手渡された現金のうち釣銭分を現金処理装置1に補充取引により入金してもよい。
一方、計数結果が、上位PC2から取得した売上金額と一致しておらず(ステップS169/No)、計数結果が上位PC2に対して不足している場合(図8のステップS190/不足)、制御部100は、操作者に、追加入金が必要なことを通知する(ステップS202)。
ここで、不足時における表示画面例を、図9の画面47として示す。画面47に示すように、「不足分の入金は『追加入金』を押してください」といった文言と共に、入金額が不足していた旨を通知する。画面47に示す「合計入金額」とは、計数結果に基づく金額であり、「入金指定額」とは、上位PC2から取得した売上金情報に基づく金額(画面45に示す入金指定額)である。画面47では、計数結果(合計入金額)が、入金指定額に対して2百万円不足していることが示されている。操作者は、追加入金する場合、画面47に表示されている追加入金ボタンを選択する。
追加入金ボタンが選択された場合、制御部100は、既に投入されている現金(一時保留部に集積している現金)を全て操作者に返却し(ステップS205)、返却した現金を操作者が受け取った後(ステップS208)、再度、現金投入を促す(図7に示すステップS163)。操作者は、返却された現金も含めてすべての売上金を、投入する。
一方、計数結果が、上位PC2から取得した売上金額と一致しておらず(ステップS169/No)、図8に示すように、計数結果が上位PC2に対して過剰である場合(図8のステップS190/過剰)、制御部100は、操作者に、入金過剰により入金を取り消すことを通知する(ステップS193)。
ここで、過剰時における表示画面例を、図9の画面49として示す。画面49に示すように、「入金過剰により現金を返却し入金を取り消します。『確認』を押してください」といった文言と共に、入金額が過剰している旨を通知する。画面49に示す「合計入金額」とは、投入された現金を計数した計数結果に基づく金額であり、「入金指定額」とは、上位PC2から取得した売上金情報に基づく金額(画面45に示す入金指定額)である。画面49では、計数結果(合計入金額)が、入金指定額に対して5百万円過剰であることが示されている。
確認ボタンが選択された場合、制御部100は、既に投入されている現金(一時保留部に集積している現金)を全て操作者に返却し(ステップS196)、返却した現金を操作者が受け取ったことを確認し、入金取引を終了する(ステップS199)。
なお、図9に示す画面例では、「要つり銭返納額」は0円として言及していないが、操作者に釣銭準備金を出金していた場合は、その金額を「要つり銭返納額」として提示する。また、制御部100は、「要つり銭返納額」分が、売上金と併せて投入された場合も、計数処理を行い(ステップS166)、金額が一致する場合(ステップS169/Yes)、釣銭を含めて現金を操作者に返却する。そして、制御部100は、第1の実施例と同様に、釣銭の現金処理装置1への入金(返納)は実際には行われないが、当該操作者から釣銭の返納が行われたものとして取り扱う。上述したように、操作者から現金を手渡された売上管理者は、かかる現金のうち、釣銭分を現金処理装置1に補充取引により入金してもよい。
以上説明したように、第2の実施例による入金取引では、売上金が閾値を超える場合、入金処理(現金処理装置1の現金収納庫への収納)は行わないが、売上金の計数処理のみを行い(計数後、現金は返却する)、計数結果が、上位PC2から取得した売上金情報と一致するか否かを確認した上で、売上金額を、売上金の集計結果に反映させる制御を行う。これにより、多額の現金の売上入金時に、時間や手間、人的コストの削減を実現すると同時に、現金の計数処理を行うことで、より正確に売上金を集計することが可能となる。
なお、売上金回収取引では、締上取引で確定した売上金から、実際の入金は行わずに計数のみを行った売上金額分を減額した売上金額を回収するよう制御する。
また、第2の実施例においても、計数処理を行う前などに、売上金(入金指定額)を操作者により手入力してもよい(すなわち、例えば図9に示す画面45の「入金指定額」に代えて第1の実施例と同様に操作者が「入金額」を手入力してもよい)。操作者は、情報処理端末3等により売上金を把握することが可能である。この場合、制御部100は、計数結果が入金指定額と一致しない場合(不足や過剰)、その旨を操作表示部110に表示し、操作者に確認を促すようにしてもよい(不足の場合は、追加入金を促してもよい)。
また、上記第1および第2の実施例では、上位PC2が、各情報処理端末3から売上金情報を取得し、現金処理装置1からの要求に応じて、該当する操作者(営業担当者等)の売上金情報を通知する例について説明しているが、本実施形態はこれに限定されず、釣銭機に接続されるPOS端末を上位PC2と読み替え、POS端末から釣銭機の売上金情報を取得してもよい。また、上位PC2が、各POS端末から売上金情報を取得してもよい。
<5.変形例>
上述した実施形態では、図1に示すように、上位PC2を含むシステム構成であって、現金処理装置1が、操作者(営業担当者等)の売上金情報を上位PC2から取得し、現金処理装置1において手入力された売上金や計数した売上金と一致するか否かを確認しているが、本発明はこれに限定されず、上位PC2を含まない構成であってもよい。すなわち、現金処理装置1は、入金処理を行わなかった売上金について、手入力された売上金や計数した売上金の一致確認をせずに、売上金として集計結果に反映させる制御を行ってもよい。
具体的な動作処理について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態の変形例による売上入金取引における動作処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10に示すステップS103~ステップS109、S115に示す処理は、図4を参照して説明した第1の実施例による同符号と同様の処理であるため、ここでの説明を省略する。
本実施例では、図10に示すように、メニュー画面から「入金」が押下された場合(ステップS109/Yes)、制御部100は、売上金情報の入力画面(図6の画面40に示すような「入金額」の入力画面)を、操作表示部110に表示する(ステップS220)。
次いで、制御部100は、入力された売上金情報の数値が閾値を超えるか否かを判断する(ステップS223)。閾値を超えない場合(ステップS223/No)、制御部100は、入金処理(現金収納庫への収納)を行う(ステップS226)。ステップS226に示す入金処理は、図4のステップS121~ステップS133に示す処理に相当する。
一方、閾値を超える場合(ステップS223/Yes)、制御部100は、入力された売上金額を示す金額確認画面を操作表示部110に表示する(ステップS229)。操作者は、金額を確認し、確認ボタンを押下する。
次いで、制御部100は、売上金の入金処理(現金処理装置1の現金収納庫への収納)は行わずに、手入力された売上金額を、売上金の集計結果に反映する(ステップS232)。具体的には、制御部100は、入金取引として記憶部169に履歴を残し、売上金の集計結果に反映される状態とする。
そして、制御部100は、入金取引の内容(実際は現金の入金処理は行っていないが、入金したものとして扱う)をレシートに印字して排出する(ステップS235)。
以上説明したように、本変形例による入金取引では、売上金が閾値を超える場合、入金処理(現金処理装置1の現金収納庫への収納)は行わないが、手入力された金額を売上金として集計結果に反映させる制御を行うことで、時間や手間、人的コストの削減を実現することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、現金処理装置1に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、現金処理装置1の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。