以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を示すシステム概略図である。貨幣管理システム300は、銀行等の金融機関の店舗内に設置されており、出納機100、第1の貨幣管理装置200A、および、第2の貨幣管理装置200Bを備えている。出納機100が、貨幣管理本体機として機能し、貨幣管理装置200A、200Bが、貨幣管理端末機として機能するように構成されている。出納機100および貨幣管理装置200A、200Bは、それぞれ、上位の貨幣管理装置及び下位の貨幣管理装置として理解されてもよい。
出納機100および貨幣管理装置200A、200Bは、それぞれ貨幣を収納することができるように構成されている。出納機100は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200B内の貨幣在高を含めた店舗内の貨幣在高を管理することができるように構成されている。
出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aと通信可能に接続されており、第1の貨幣管理装置200Aは、第2の貨幣管理装置200Bと通信可能に接続されている。第2の貨幣管理装置200Bは、出納機100に直接接続されていないが、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aを介して第2の貨幣管理装置200Bの在高管理をすることができるように構成されている。この場合、出納機100に接続された第1の貨幣管理装置200Aが親機として機能し、親機としての第1の貨幣管理装置200Aにのみ接続され出納機100に接続されていない第2の貨幣管理装置200Bが子機として機能する。
第2の貨幣管理装置200Bは、第2の貨幣管理装置200Bに収納されている貨幣の在高を第1の貨幣管理装置200Aへ送信する。出納機100に接続されている第1の貨幣管理装置200Aは、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの各貨幣在高および第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている貨幣の総在高を記憶している。そして、第1の貨幣管理装置200Aは、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を出納機100へ送信する。出納機100は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている貨幣の総在高を記憶し管理する。出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aにのみ接続されており、かつ、親機である第1の貨幣管理装置200Aが第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を一括管理しているので、出納機100は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bを1つの貨幣管理装置と見なして管理することができる。これにより、出納機100の構成および設定を変更すること無く、子機としての第2の貨幣管理装置200Bを増設することが可能となる。
例えば、親機としての第1の貨幣管理装置200Aに接続される子機としての貨幣管理装置を2台以上にする。子機としての貨幣管理装置を200B、200Cとする。この場合、複数の貨幣管理装置200B、200Cがそれぞれの貨幣在高を第1の貨幣管理装置200Aに送信する。親機としての第1の貨幣管理装置200Aは、複数の貨幣管理装置200B、200Cの貨幣在高を記憶し、尚且つ、貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を記憶する。さらに、第1の貨幣管理装置200Aは、貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を出納機100へ送信する。これにより、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aに記憶されている貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を管理することができる。
親機としての第1の貨幣管理装置200Aは、第1の貨幣管理装置200Aの貨幣在高だけでなく、子機としての貨幣管理装置200B、200Cの貨幣在高をも管理する。従って、第1の貨幣管理装置200Aは、貨幣管理装置200A〜200Cの各貨幣在高に応じて、貨幣管理装置200A〜200Cにおいて出し入れする貨幣の金額または数量の制限を使用者に提示することができる。
このように、出納機100は、親機としての第1の貨幣管理装置200Aに記憶された貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を管理すれば足りるため、出納機100から見て貨幣管理装置200A〜200Cは、1つの貨幣管理装置と見なすことができる。
出納機100は、貨幣管理装置200A〜200Cの総在高だけでなく、貨幣管理装置200A〜200Cの各貨幣在高も管理してもよい。これにより、出納機100は、貨幣管理装置200A〜200Cの各貨幣在高に応じて、貨幣管理装置200Aから200Cにおいて出し入れする貨幣の金額または数量の制限を使用者に提示してもよい。
第1の貨幣管理装置200Aおよび第2の貨幣管理装置200Bの親子関係は、出納機100に通信可能に接続されているか否かによって判断される。例えば、貨幣管理システムを構成する際に、第1の貨幣管理装置200Aが出納機100との通信接続を検知した場合、第1の貨幣管理装置200Aは、自己が親機であることを認識する。一方、第2の貨幣管理装置200Bが他の貨幣管理装置200(ここでは、第1の貨幣管理装置200A)との通信接続を検知した場合、第2の貨幣管理装置200Bは、自己が子機であると認識する。これにより、複数の貨幣管理装置200A、200Bの間において、親子関係が成立する。
通信接続される装置の識別は、次のように行えばよい。出納機100および貨幣管理装置200A、200Bには、出納機と貨幣管理装置とを識別するための固有の識別IDを予め割り当て、各貨幣管理装置200A、200BのROM225dまたはハードディスクドライブ225g(図8参照)は、識別IDを予め格納している。そして、貨幣管理装置200Aが出納機100または貨幣管理装置200Bに接続されたときに、貨幣管理装置200Aは、接続された装置から識別IDを受け取り、その識別IDとROM225dまたはハードディスクドライブ225gに格納されている識別IDとを比較する。これにより、貨幣管理装置200A、200Bは、通信接続される装置が出納機または貨幣管理装置のいずれであるかを自動的に認識することができる。
勿論、貨幣管理システム300の設置者が手作業にて貨幣管理装置200A、200Bの親子関係を設定してもよい。
上記実施形態において、出納機100に第1の貨幣管理装置200Aを親機として接続し、第1の貨幣管理装置200Aが全ての第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を出納機100に送信するようにしている。しかし、出納機100に対して第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bをそれぞれ接続し、出納機100が第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bのそれぞれの在高、並びに、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を記憶するようにしても構わない。
図2は、出納機100の外観を示す斜視図である。図3は、出納機100の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、出納機100は、束紙幣を処理する束紙幣処理部P1及びバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部P2からなる紙幣処理装置11と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理装置12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理装置13と、を備えている。図2において、21は束紙幣を出金する束紙幣出金口、22はバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口、23は包装硬貨を出金する包装硬貨出金口、24はバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口、である。
出納機100は、貨幣以外の有価証券類を投入する貨幣外ボックス14、出納機100全体を制御する制御部15、制御部15に各種の指示を入力するキーボード式入力部16、制御部15による指示に従って印字処理を行う外部プリンタ18、を備えている。外部プリンタ18が、レシート発行装置及び/又は認証印字プリンタとして機能するようになっている。本実施形態では、許可者に対して操作情報を提供するために、操作情報に対応する4桁の数字(連携番号)が伝票に印字されるようになっている。
制御部15は、その一部として、一般行員及び管理者とのインタフェースとしての表示部15aと、一般行員及び管理者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ15bと、を備えている。表示部15aは、タッチパネル式表示装置であてもよい。これにより、表示部15aは、入力部または操作部としても機能することができる。また、本実施形態においてはIDカードリーダが用いられているが、これに限られず、公知の顔認証端末や、指に流れる静脈を認証するもの等、使用者本人を認証する個人認証情報であれば何を用いても構わない。
図3に示すように、制御部15は、各種プログラム及びデータを格納したROM15d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM15e、フレキシブルディスクに対してデータを読み書きするフレキシブルディスクドライブ15f、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ15g、ROM15dやハードディスクドライブ15g内に格納されたプログラムを実行等して出納機100全体を制御する演算部(CPU)15c、を備えている。
また、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aとの間でデータ通信を行う通信インタフェース(通信IF)19をさらに備えている。これにより、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとは、相互に通信可能となっている。例えば、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとは、無線LAN、光LAN等で通信可能なように接続されている。出納機100は、インタフェース19を介して第1の貨幣管理装置200Aから第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を受け取ることができる。
図4は、第1の貨幣管理装置200Aの外観を示す斜視図である。第1の貨幣管理装置200Aと第2の貨幣管理装置200Bとは同じ構成を有するので、第1の貨幣管理装置200Aの構成のみを説明し、第2の貨幣管理装置200Bの構成についてはその説明を省略する。
第1の貨幣管理装置200Aは、1万円紙幣を収納保管する第1紙幣収納ドロア211と、その他の金種の紙幣を収納保管する第2紙幣収納ドロア212と、100円と10円と1円の硬貨を収納保管する第1硬貨収納ドロア213と、500円と50円と5円の硬貨を収納保管する第2硬貨収納ドロア214と、貨幣以外の有価証券類も投入することができる予備収納ドロア215と、を有している。
第1の貨幣管理装置200Aは、第1の貨幣管理装置200Aの全体を制御する制御部225と、制御部225に各種の指示を与えるキーボード式入力部226と、使用者(営業員及び管理者)とのインタフェースとしての表示部227と、収納庫に貨幣を入出金する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228と、を備えている。
図4では、接触式のIDカードリーダ228が採用されているが、非接触式のカードリーダが採用されてもよい。また、IDカードリーダの他に、出納機100と同様、顔認証や静脈認証等を利用するための機器が採用されてもよい。
図5は、第1の貨幣管理装置200Aの第2紙幣収納ドロア212の斜視図である。第2紙幣収納ドロア212には紙幣の束が、規則正しく収納保管される。図5では、第2紙幣収納ドロア212の内部に、4つの紙幣保管容器221〜224が配置されており、各容器ごとに、収納保管される紙幣の金種が決められている。また、1束100枚の束紙幣を10束ごとに束ねた大束紙幣が収納保管されるように構成されていてもよい。
図6は、第1の貨幣管理装置200Aの第2硬貨収納ドロア214の斜視図である。第2硬貨収納ドロア214には棒金状態の硬貨が、規則正しく収納保管される。図6では、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの硬貨保管容器241〜243が配置されており、各容器ごとに、収納保管される硬貨の金種が決められている。
硬貨保管容器241の底面には、硬貨保管容器241内に収納保管される硬貨の重量を測定するための測定手段として、ロードセル261が設けられている。ロードセル261の構成の詳細については十分に知られていると思われるので、ここでの説明は省略する。
他の硬貨保管容器242、243、並びに、紙幣保管容器221〜224についても、同様にロードセル261が設けられている。このような構成によって、各金種ごとに、収納保管されている貨幣の重量が測定されるようになっている。
図7は、予備収納庫(予備ドロア)215の斜視図である。予備収納庫215には硬貨予備収納部251及び紙幣予備収納部252の他に、貨幣以外の有価証券類を投入することができる空スペース253が設けられている。
図8は、第1の貨幣管理装置200Aの制御部225の構成を示すブロック図である。制御部225は、各種プログラム及びデータを格納したROM225d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM225e、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ225g、ROM225dまたはハードディスクドライブ225g内に格納されたプログラムを実行等して第1の貨幣管理装置200A全体を制御する演算部225c、を備えている。
演算部225cは、各金種ごとに対応して設けられたロードセル261(重量測定手段)に接続されており、ロードセル261の出力値に基づいて、収納保管された貨幣の重量に対応する貨幣の金額を算出できるように構成されている。そして、ハードディスクドライブ225gが、演算部225cによって算出された貨幣の金額を記憶するように構成されている。
IDカードリーダ228が読み取るID情報も、算出された貨幣の金額(入出金操作後の収納保管金額)と対応させた態様で、ハードディスクドライブ225gに記憶されるように構成されている。
更に、キーボード式入力部226において、収納庫に対して入出金される貨幣の金額が入力されるように構成されており、演算部225cが、精査手段として、ロードセル261の出力値から算出された金額と、キーボード式入力部226で入力された金額と、を精査できるように構成されている。
第1の貨幣管理装置200Aは、出納機100との間でデータ通信を行う通信インタフェース(通信IF)229を備えている。これにより、第1の貨幣管理装置200Aと出納機100とは、相互に通信可能となっている。これにより、第1の貨幣管理装置200Aは、インタフェース229を介して第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を出納機100へ送信することができる。また、第2の貨幣管理装置200Bは、第2の貨幣管理装置200Bのインタフェース229を介して第2の貨幣管理装置200Bの在高を第1の貨幣管理装置200Aへ送信することができる。
制御部225は、ロック制御手段として、各ドロア211〜215に設けられた開閉電磁ロック211m〜215mに接続されていて、各ドロア211〜215を、貨幣の入出金が可能な開状態と貨幣の入出金が不可能なロック状態との間で切替えることができるように構成されている。
ドロア211〜215のロック状態の切替の条件として、使用者照合が採用されている。例えば、予め許可者として設定された使用者のID情報が、ハードディスクドライブ225gに記憶されていて、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が演算部225cによって、許可者のID情報に対して照合される。照合の結果がYESである場合にのみ、即ち、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が、予め許可者として設定された使用者のID情報に合致する場合にのみ、制御部225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の収納/取出が可能な開状態とすることができる。
別の切替の条件として、本実施の形態では、使用者照合に加えて、連携情報の照合も採用され得る。連携情報とは、例えば入出金操作ごとに設定される操作情報であり、通常は入出金の金種及び金額のデータであるが、入出金操作の手順に関するデータ(例えば、連携番号)を含むこともあり得る。連携情報の照合の具体的態様としては、例えば、予め許可操作として設定された連携情報が、出納機100から通信機能を利用して例えばRAM225eに転送記憶され、一方、使用者によって、連携情報に対応する4桁の連携番号が、キーボード式入力部226で入力され得る。そして、入力された4桁の連携番号の情報が、操作識別手段としての演算部225cによって、転送記憶された連携情報内の連携番号に対して照合され得る。この場合、照合の結果がYESである場合、即ち、入力された4桁の連携番号が、転送記憶された許可操作の連携情報内の連携番号に合致する場合にのみ、制御部225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の入出金が可能な開状態とすることができる。このように、連携番号は、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の貨幣の入出金処理において、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの連携を図るために用いられる連携認証情報である。連携番号は、貨幣の入出金処理ごとに生成され、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の貨幣の移動処理を特定又は認証するために用いられる。連携認証情報は、必ずしも番号である必要は無く、特定の文字または記号であってもよい。
尚、この態様においては、好適なことに、入出金操作の具体的内容に即して、開閉電磁ロック211m〜215mを個別に制御することが可能である。具体的には、入出金対象である金種を収納するドロアのみを、開状態に切り替えることができる。更には、複数のドロアが同時には開状態にならないように、各ドロアを順に開状態に切り換えるという制御態様を採用することも可能である。
一方、入出金操作ごとに連携番号の入力を必須とした場合、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の入出金処理は、セキュリティ上および複数の処理の重複を回避するために好ましいと言える。しかし、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとが互いに接近して配置されている場合には、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の貨幣の移動は、通常、即座に実行される。例えば、操作者は、出納機100から貨幣を取り出し、その後直に、貨幣管理装置200A、200Bへその貨幣を入れる。このため、連携番号の入力を省略してもセキュリティ上さほど問題にならず、かつ、複数の処理が重複することもない。むしろ、入出金操作ごとに毎回連携番号の入力をしなければならないとすれば、操作者にとって煩雑であり、操作性を損ねる可能性がある。
従って、本実施形態による出納機100は、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとが互いに接近して配置されているような場合に連携番号の入力を省略できるように、連携番号の入力の要否を選択可能とする。操作者は、連携番号の要否のいずれかをキーボード式入力部16において選択することができる。
本実施形態では、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとが相互に通信可能であることを利用して、更に以下のような構成が採用されている。
出納機100の制御部15は、通信機能を利用して第1の貨幣管理装置200Aの貨幣在高データを確認及び/又は精査するように構成されている。具体的には、出納機100の制御部15が、通信インタフェース19及び通信インタフェース229を介して、精査手段である第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cを制御できるように構成されている。
その他、各ドロア211〜215の開状態が所定時間以上継続している際に報知信号を出力する報知装置(アラーム装置)280が更に設けられている。例えば、操作者が第1の貨幣管理装置200Aから貨幣を取り出すためにドロア211〜215のいずれかを開状態にした後、その開状態が所定時間以上継続した場合、報知装置280が動作する。報知装置280を停止するためには、管理者が報知装置280のアラームを停止する必要がある。連携番号の入力が不要であると設定されている場合であっても、報知装置280は、同様に動作することが好ましい。
また、貨幣管理装置200A、200Bと出納機100との連携動作において、出納機100に貨幣を入金している際に収納庫がフルになった場合、入金処理の途中であっても処理を中断し、収納庫の貨幣を貨幣管理装置200A、200Bに移すことができ、移し終えたら入金処理を再開することができる。また、出納機100から貨幣を出金している際に収納庫がエンプティになった場合、出金処理の途中であっても処理を中断し、貨幣管理装置200A、200Bに保管してある貨幣を出納機100に装填し、装填が終了したら出金処理を再開することができる。
上述のように、入出金処理の途中に貨幣管理装置200A、200Bと出納機100との間で貨幣を移動させる場合、移動させる貨幣の金種と枚数、及び金額を互いの装置の間でデータを送受信し、正しく貨幣が移されたかどうかを確認する。
次に、以上に説明した貨幣管理システム300の動作例について、フローチャートを参照しながら説明する。
図9は、出納機100の側での入出金操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ15bによって、出納機100の操作者のID情報が読み取られる(S11)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、出納機100の操作許可者であるか否かが識別される(S12)。
操作許可者であれば、出納機100の操作メニューが表示部15aに表示される(S13)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて処理内容を入力する(S14)。ここで、連携取出/収納を選択する。また、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(S15)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて、入出金操作の詳細を入力する(S16)。具体的には、入出金対象の金種及び束数あるいは本数のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(S17)。出納機100は、入力された入出金操作の詳細を含む操作情報としての連携情報(連携処理キューとも呼ばれる)を作成し、その連携情報に対して、連携情報の一部としての連携番号を発行する。出納機100は、当該連携番号と実際の入出金操作の詳細な内容との対応付けを含む連携情報をハードディスク15gに記憶する(S18)。それとともに、出納機100は、連携情報の入出金操作が貨幣管理装置200A、200Bにおける入出金操作を含むものである場合、担当者が貨幣管理装置200A、200Bの操作権限を有する限りにおいて、通信回線を介してオープン要求(後述)を送信する。これにより、貨幣管理装置200A、200Bは、操作入力画面を連携番号入力画面までスキップさせることができる。尚、出納機100は、連携情報を貨幣管理装置200A、200Bには送信せずに、レシート発行装置18により、レシート又は取引伝票に当該連携番号を含む印字を行い、そのレシート又は取引伝票を発行する(S19)。
図10は、貨幣管理装置200A、200Bにおける入出金操作プロセスのフローチャートである。操作者は、親機である第1の貨幣管理装置200Aのみを操作する。第1の貨幣管理装置200Aは、操作者による操作に基づいて、子機である第2の貨幣管理装置200Bの動作を制御する。
まず、IDカードリーダ228によって、第1の貨幣管理装置200Aの操作者のID情報が読み取られる(S21)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、第1の貨幣管理装置200Aの操作許可者であるか否かが識別される(S22)。
操作許可者であれば、貨幣管理装置200の操作メニューが表示部227に表示される(S23)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式入力部226から処理内容を入力する(S24)。
まず、出納機100との連携処理が選択される場合について先に説明する。
連携処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(S25)。暗証番号の照合の後、操作者は、キーボード式操作部226から出納機100にて発行された連携番号を入力する(S26)。
尚、連携番号は、出納機100において操作者のID情報が識別され且つ暗証番号が入力された結果として発行されたものであるので、他の実施の形態として、出納機100の操作者が貨幣管理装置200の操作権限も有する者である場合には、ここで連携番号の入力のみを要求し、ID情報及び暗証番号の上記入力要求は省略するようにできる。
連携番号の入力に応じて、第1の貨幣管理装置200Aは、出納機100に問い合わせを行う。出納機100は、当該連携番号を用いて連携情報を検索し、当該連携番号に対応する連携情報の内容である取出/収納の詳細情報(取出/収納の対象である金種乃至金額のデータの他、ドロアの開閉手順のデータが含まれ得る)をピックアップして第1の貨幣管理装置200Aに送信する(S27)。第1の貨幣管理装置200Aは、その一部又は全部の情報を操作者の確認のために表示する(S28)。確認の後、操作者による入力完了キーの操作によって、取出/収納準備完了が検知される(S29)。
その後、連携情報に含まれる取出/収納操作の詳細に基づいて貨幣の収納処理又は取出処理が行われる(S30)。キーボード式操作部226から当該処理が完了した旨の入力が行われると、当該連携情報が更新されてハードディスク225gに更新記憶される(S31)。そして、通信回線を介して当該連携情報が出納機100にも送信され、出納機100における当該連携情報が処理済として更新される。
貨幣管理装置200A、200Bにおいて貨幣を取出/収納する詳細な動作については後述する。
次に、貨幣管理装置200A(または200B)での単体処理、即ち、出納機100から予め受信する連携情報に基づかないローカル処理が選択される場合について説明する。第2の貨幣管理装置200Bのローカル処理は、第1の貨幣管理装置200Aのそれと同様であるので、以下、第1の貨幣管理装置200Aのローカル処理を説明し、第2の貨幣管理装置200Bのローカル処理の説明を省略する。
単体処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(S125)。第1の貨幣管理装置200Aの単体処理は、出納機100から予め受信する連携情報に基づかない処理であって、当該処理に対応する連携情報が未作成の処理である。従って、出納機100から受信した連携情報に基づく連携処理の場合と異なり、ID情報及び暗証番号の入力要求は省略することができない。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226から、取出/収納操作の詳細を入力する(S126)。具体的には、取出/収納対象の金種及び束数あるいは本数のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(S127)。
第1の貨幣管理装置200Aは、入力された取出/収納操作の詳細を含む処理情報としてのローカル処理情報を作成し、そのローカル処理情報に対して、ローカル処理情報の一部としてのローカル処理番号を発行する。第1の貨幣管理装置200Aは、当該ローカル処理番号と実際の取出/収納操作の詳細な内容との対応付けを含むローカル処理情報をハードディスク225gに記憶する。それとともに、第1の貨幣管理装置200Aは、通信回線を介して当該ローカル処理情報を出納機100に送信する。この時に通信回線が切断された状態であった場合は、第1の貨幣管理装置200Aに当該ローカル処理情報を保持しておき、その後、通信回線が接続されたときに出納機100に送信する。第1の貨幣管理装置200Aでの単体処理に関するローカル処理情報の送信前には、出納機100は、当該単体処理に関する情報を何も持っていない状態であるので、単体処理に関するローカル処理情報は例外なく総て出納機100に送信する。
その後、ローカル処理情報に含まれる取出/収納操作の詳細に基づいて貨幣の収納/取出が行われる(S128)。キーボード式操作部226から、当該処理が完了した旨の入力が行われると、当該ローカル処理情報が更新されてハードディスク225gに更新記憶される(S129)。それとともに、通信回線を介して当該ローカル処理情報が出納機100にも送信され、出納機100における当該ローカル処理情報が更新される。上記同様、この時に通信回線が切断された状態であった場合は、第1の貨幣管理装置200Aに当該ローカル処理情報を保持しておき、その後、通信回線が接続されたときに出納機100に送信する。尚、当該ローカル処理情報の作成時に当該ローカル処理情報を出納機100に送信できず未送信であった場合には、取出/収納操作の完了後に更新済みの当該ローカル処理情報のみを送信するようにしてもよい。
尚、第2の貨幣管理装置200Bのローカル処理情報は、第1の貨幣管理装置200Aを介して出納機100へ送信される。
図11は、本実施形態による貨幣管理システム及び貨幣管理方法による貨幣在高管理の全体像を模式的に表した説明図である。
出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとは、相互に通信可能に構成されているが、その通信回線は常時接続ではなく、随時、任意に接続を物理的に切断することができる。従って、貨幣管理装置200A、200は、店舗内の任意の場所へ移動して使用することができる。尚、貨幣管理装置200A、200は、単体での在高管理も可能である。
本実施形態による貨幣管理システム及び貨幣管理方法においては、金融機関の店舗内の総ての在高管理は、出納機100によって行われる。出納機100が管理する貨幣在高には、在庫在高6、機械在高1、ポスト在高2、手持ち在高3が含まれる。
在庫在高6とは、金融機関店舗内の本金庫内に収納されている貨幣の在高である。機械在高1とは、出納機100内に収納されている貨幣の在高である。ポスト在高2とは、出納機100のポスト、即ち、前述の現金外ボックス14に入金された小切手等の有価証券類や、破損又は汚損した紙幣である損券であって、出金が不可能な貨幣の在高である。手持ち在高3とは、資金移動のために一時的に本金庫又は出納機100から取り出される等して、人手による管理の下に置かれている貨幣の在高であるが、貨幣管理装置200A、200Bに収納されて移動可能な状態となっている貨幣の在高である貨幣管理装置在高4(4X,4Y)も手持ち在高の一部として管理される。貨幣管理装置在高4は、出納機100において手持ち在高3の一部4Xとして管理されるが、貨幣管理装置200A、200B自体においては、貨幣管理装置在高4Yとして管理されるものである。貨幣管理装置200A、200Bの貨幣管理装置在高4Yは、出納機100により第1の貨幣管理装置200Aに随時問い合わせられる。第1の貨幣管理装置200Aは、第2の貨幣管理装置200Bの貨幣在高も管理しているので、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aへ問い合わせることによって、貨幣管理装置200A、200Bの各貨幣在高を足した総在高を把握することができる。従って、貨幣管理装置在高4Xと貨幣管理装置在高4Yとは、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとの間で連携情報を送受信して双方の貨幣在高データを更新することにより一致させられる。
連携情報は、出納機100の処理情報管理データベース400に記憶され、必要に応じて随時、更新される。この処理情報管理データベース400は、例えば、出納機100のハードディスクドライブ15gに記憶される。
顧客との間で入出金を行う場合には、機械在高又は手持ち在高に含まれる貨幣を用いて入出金を行う。また、顧客から小切手等の有価証券類が入金された場合や、入金された貨幣の中に損券が含まれていた場合は、それらはポスト入金されてポスト在高として管理されるが、その後、それらの有価証券類や損券が出納機100のポストから回収されると、そのポスト在高は手持ち在高の一部として管理される。
出納機100に収納されている貨幣が不足したり入り切らなくなったりしたときは、本金庫から貨幣を取り出して出納機100に補充したり、出納機100から貨幣を回収して本金庫に収納したりする。その資金移動の際には、当該資金は一時的に手持ち在高として管理される。
貨幣管理装置200A、200Bに収納されている貨幣が不足したり入り切らなくなったときは、本金庫から貨幣を取り出して貨幣管理装置200A、200Bに補充したり、手持ち在高の中から貨幣を貨幣管理装置200A、200Bに装填したり、貨幣管理装置200A、200Bから貨幣を回収して本金庫に収納したり、あるいは、手元に置いて手持ち在高として管理したりする。
総ての資金移動は、上述のように出納機100によって在高管理が行われるが、特に、貨幣管理装置200A、200Bにおける貨幣の収納及び取出を含む入出金操作が行われる場合には、連携番号が付された連携情報が出納機100において作成される。貨幣管理装置200A、200Bの取出/収納操作の実行前に当該連携情報が出納機100から第1の貨幣管理装置200Aへ送信され、かつ、その取出/収納操作の実行後にも当該連携情報の更新情報が第1の貨幣管理装置200Aから出納機100へ送り返されて、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとにおける当該連携情報の整合が図られ、正確な在高管理が維持される。
図12は、図10に示すステップ30の収納/取出処理における貨幣管理装置200A、200Bの詳細な動作を示すフロー図である。まず、第1の貨幣管理装置200Aの制御部225は、収納/取出処理の対象である貨幣(以下、処理対象貨幣とも言う)の数量または金額と、貨幣管理装置200A、200Bの総在高のうち処理対象貨幣に対応する金種の総在高とを比較する(S310)。貨幣管理装置200A、200B内の当該金種の総在高が処理対象貨幣の数量または金額よりも少ない場合(S310のNO)、エラーが表示部227に表示される(S320)。この場合、本金庫等から貨幣管理装置200A,200Bへ貨幣を補充する必要がある。貨幣の補充は、操作者または管理者(出納責任者)が行う。
貨幣管理装置200A、200B内の当該金種の総在高が処理対象貨幣の数量または金額以上である場合(S310のYES)、親機である第1の貨幣管理装置200Aは、自己のドロア211〜214を開状態にする(S330)。このとき、第1の貨幣管理装置200Aは、処理対象貨幣の金種に対応するドロアのみを開状態にしてもよい。
操作者が第1の貨幣管理装置200Aから貨幣を収納または取出した後(S340)、ドロア211〜214を閉じる(S350)。第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、ロードセル261を介して第1の貨幣管理装置200A内の貨幣在高を精査する(S360)。このとき、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Aと処理対象貨幣の数量または金額Bとを比較する。その結果、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Aが処理対象貨幣の数量または金額Bよりも多い場合(S360のA>B)、エラーが表示部227に表示される(S370)。これは、不正や誤った処理を防止するためである。この場合、第1の貨幣管理装置200Aは、再度、ドロア211〜214を開状態にするか、あるいは、警告音にて注意を喚起する。操作者または管理者は、貨幣を第1の貨幣管理装置200Aに収納し直し、または、貨幣を第1の貨幣管理装置200Aから取出し直す(S340)。そして、ステップS350およびS360を再度実行する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量Aまたは金額が処理対象貨幣の数量または金額Bと等しい場合(S360のA=B)、収納処理または取出処理は、第1の貨幣管理装置200Aにおいて終了する。即ち、操作者は、第2の貨幣管理装置200Bにおいて貨幣を出し入れする必要がない。従って、第1の貨幣管理装置200Aは、自己の在高および総在高を更新した(S380)後に、貨幣管理装置200A、200Bの各貨幣在高および総在高を出納機100へ送信する(S390)。出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aからの更新済みの貨幣在高および総在高を受信して、それらの在高情報に基づいて管理装置在高4Xを更新する(S400)。これにより、収納/取出処理は終了する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Aが処理対象貨幣の数量または金額Bよりも少ない場合(S360のA<B)、即ち、処理対象貨幣のうち一部の貨幣が第1の貨幣管理装置200Aにおいて出し入れされた場合には、第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、収納または取出された一部の貨幣の金額または数量を処理対象貨幣の金額または数量から減算して得られる残りの貨幣(残貨幣)の金額または数量を算出する(S410)。第1の貨幣管理装置200Aの表示部227は、上記残貨幣の金種および数量または金額を表示して、操作者に第2の貨幣管理装置200Bにおいて残貨幣の収納または取出を促すとともに、第2の貨幣管理装置200Bへ残貨幣の金種および数量または金額を通知する(S420)。
第2の貨幣管理装置200Bは、残貨幣の金種および数量または金額の情報を受信すると(S430)、自己のドロア211〜214を開状態にする(S440)。このとき、第2の貨幣管理装置200Bは、処理対象貨幣のうち上記残貨幣の金種に対応するドロアのみを開状態にしてもよい。
操作者が第2の貨幣管理装置200Bから貨幣を収納または取出した後(S450)、ドロア211〜214を閉じる(S460)。第2の貨幣管理装置200Bの演算部225cは、ロードセル261を介して第2の貨幣管理装置200B内の貨幣在高を精査する(S470)。このとき、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Cと残貨幣の数量または金額Dとを比較する。その結果、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Cが残貨幣の数量または金額Dよりも多い場合(S470のC>D)、エラーが表示部227に表示される(S480)。これは、不正や誤った処理を防止するためである。この場合、第2の貨幣管理装置200Bは、再度、ドロア211〜214を開状態にするか、あるいは、警告音にて注意を喚起する。操作者または管理者は、貨幣を第2の貨幣管理装置200Bに収納し直し、または、貨幣を第2の貨幣管理装置200Bから取出し直す。そして、ステップS460およびS470を再度実行する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額が残貨幣の数量または金額と等しい場合(470のC=D)、収納処理または取出処理は、第2の貨幣管理装置200Bにおける貨幣の出し入れによって終了する。この場合、もし、第3の貨幣管理装置(図示せず)が子機として第1の貨幣管理装置200Aに接続されていたとしても、操作者は、第3の貨幣管理装置において貨幣を出し入れする必要がない。第2の貨幣管理装置200Bは、自己の貨幣在高を更新した(S490)後に、貨幣在高を第1の貨幣管理装置200Aへ送信する(S500)。そして、第2の貨幣管理装置200Bは、収納/取出処理を終了する。
第1の貨幣管理装置200Aは、第2の貨幣管理装置200Bからの更新済みの貨幣在高を受信して、その貨幣在高に基づいて第2の貨幣管理装置200Bの在高を更新する。また、第1の貨幣管理装置200Aは、自己の在高および総在高も更新する(S510)。貨幣管理装置200A、200Bの各貨幣在高および総在高を出納機100へ送信する(S390)。そして、第1の貨幣管理装置200Aは、収納/取出処理を終了する。出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aからの更新済みの貨幣在高および総在高を受信して、それらの在高情報に基づいて管理装置在高4Xを更新する(S400)。これにより、収納/取出処理は終了する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Cが残貨幣の数量または金額Dよりも少ない場合(S470のC<D)、第3の貨幣管理装置が子機として第1の貨幣管理装置200Aに接続されていなければ、エラーが表示部227に表示される(S480)。即ち、子機として第2の貨幣管理装置200Bしか設けられていない場合には、エラーが表示部227に表示される。これは、不正や誤った処理を防止するためである。ただし、取出処理において、操作者は、意図的に残貨幣の数量または金額よりも少ない貨幣しか取出さない場合がある。例えば、官封券のみを取出すときに、残貨幣の数量または金額以上の官封券が第2の貨幣管理装置200Bに収納されていない場合、操作者は、官封券のみを取出すことがある。この場合、実際に取出された貨幣の数量または金額は、残貨幣の数量または金額よりも少ない。従って、取出処理においては、取出された貨幣の数量または金額Cが残貨幣の数量または金額Dよりも少なくても、エラーを表示部227に表示しないように貨幣管理装置200A、200Bを設定してもよい。
図13は、複数の貨幣管理装置200B、200Cが子機として第1の貨幣管理装置200Aに接続されている場合における収納/取出処理のフロー図である。図13に示すステップS310〜S470は、図12に示すステップS310〜S470と同じである。尚、第3の貨幣管理装置を便宜的に200Cと呼ぶ。
子機として複数の貨幣管理装置200B、200Cが設けられている場合、ステップS470において、残貨幣のうち一部の貨幣が第2の貨幣管理装置200Bにおいて収納または取出された場合(S470のC<D)、エラーを表示することなく、第2の貨幣管理装置200Bは、自己の貨幣在高を更新し(S490)、更新後の貨幣在高を第1の貨幣管理装置200Aへ送信する(S500)。
そして、第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、第2の貨幣管理装置200Bにおいて収納または取出された一部の貨幣の金額または数量を残貨幣(第1の残貨幣)の金額または数量から減算して得られる残りの貨幣(第2の残貨幣)の金額または数量を算出する(S520)。第1の貨幣管理装置200Aの表示部227は、上記第2の残貨幣の金種および数量または金額を表示するとともに、第3の貨幣管理装置200Cへ第2の残貨幣の金種および数量または金額を通知する(S530)。
第3の貨幣管理装置200Cは、第2の残貨幣について、第2の貨幣管理装置200Bと類似の動作を実行する。より詳細には、第3の貨幣管理装置200Cは、第2の残貨幣の金種および数量または金額の情報を受信すると(S431)、自己のドロア211〜214を開状態にする(S441)。このとき、第3の貨幣管理装置200Cは、処理対象貨幣のうち第2の残貨幣の金種に対応するドロアのみを開状態にしてもよい。
操作者が第3の貨幣管理装置200Cから貨幣を収納または取出した後(S451)、ドロア211〜214を閉じる(S461)。第3の貨幣管理装置200Cの演算部225cは、ロードセル261を介して第3の貨幣管理装置200C内の貨幣在高を精査する(S471)。このとき、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Eと第2の残貨幣の数量または金額Fとを比較する。その結果、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Eが第2の残貨幣の数量または金額Fよりも多い場合(S471のE>F)、エラーが表示部227に表示される(S481)。この場合、第3の貨幣管理装置200Cは、再度、ドロア211〜214を開状態にするか、あるいは、警告音にて注意を喚起する。操作者または管理者は、貨幣を第3の貨幣管理装置200Cに収納し直し、または、貨幣を第3の貨幣管理装置200Cから取出し直す。そして、ステップS461およびS471を再度実行する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額が第2の残貨幣の数量または金額と等しい場合(471のE=F)、収納処理または取出処理は、第3の貨幣管理装置における貨幣の収納または取出しによって完了する。従って、第3の貨幣管理装置200Cは、自己の貨幣在高を更新した(S491)後に、貨幣在高を第1の貨幣管理装置200Aへ送信する(S501)。そして、第3の貨幣管理装置200Cは、収納/取出処理を終了する。
第1の貨幣管理装置200Aは、第2および第3の貨幣管理装置200B、200Cからの更新済みの貨幣在高を受信して、それらの貨幣在高に基づいて第2およい第3の貨幣管理装置200B、200Cの在高を更新する。また、第1の貨幣管理装置200Aは、自己の在高および総在高も更新する(S540)。そして、第1の貨幣管理装置200Aは、第1から第3の貨幣管理装置200A〜200Cの各貨幣在高および総在高を出納機100へ送信する(S391)。これにより、第1の貨幣管理装置200Aは、収納/取出処理を終了する。出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aからの更新済みの貨幣在高および総在高を受信して、それらの在高情報に基づいて管理装置在高4Xを更新する(S400)。これにより、出納機100も、収納/取出処理を終了する。
本実施形態による貨幣管理システム300は、3台以上の貨幣管理装置200を子機としてさらに増設することができる。子機としての貨幣管理装置200B、200Cは、親機としての第1の貨幣管理装置200Aに接続され、第1の貨幣管理装置200Aは、子機としての貨幣管理装置200B、200Cの各貨幣在高を一括管理する。従って、複数の貨幣管理装置200は、出納機100にとって、容量の大きな1台の貨幣管理装置200として見なすことができる。
本実施形態による貨幣管理システム300内の複数の貨幣管理装置200は、全て同じ構成を有する。従って、貨幣管理システム300において貨幣を収納する容量が足りない場合に、出納機100または既存の貨幣管理装置200の設定を変更することなく、貨幣管理装置200を容易に増設することができる。尚、上述の通り、増設された貨幣管理装置200は、出納機100ではなく、親機としての第1の貨幣管理装置200Aに接続されることによって、自身が子機であることを認識することができる。
このように、本実施形態による、貨幣管理システム300は、大量の貨幣を取り扱うことができ、かつ、複数の貨幣管理装置200内の貨幣在高を含めた金融機関内の在高管理を安全且つ総合的に行うことができる。
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態を示すシステム概略図である。第2の実施形態による貨幣管理システム301は、複数の貨幣管理装置200Aおよび200Bによって構成されており、出納機100を有さない。この場合、親機としての第1の貨幣管理装置200Aが他の貨幣管理装置200Bの貨幣在高を管理する。従って、第1の貨幣管理装置200Aの記憶部225e、225gが、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの各貨幣在高、および、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を記憶し、これらを管理する。
第2の実施形態による貨幣管理システム301の他の構成は、第1の実施形態による貨幣管理システム300の対応する構成と同様でよい。図11の出納機100内に管理されている各種の在高1、2、3および6は、親機としての第2の貨幣管理装置200Aにおいて管理される。
収納/取出処理においては、出納機100と貨幣管理装置200Aとの間の連携処理は行われない。即ち、貨幣管理システム301は、図10のステップS25〜S28、S31を実行せず、図10に示すその他の動作ステップS21〜S30を実行する。また、処理対象貨幣の金種および数量または金額は、第1の貨幣管理装置200Aの入力部16において入力される(S126)。
また、図12および図13において、出納機100で実行されるステップS400は、第1の貨幣管理装置200Aにおいて、例えば、ステップS390またはS391において実行される。貨幣管理システム301のその他の動作は、第1の実施形態における貨幣管理システム300の動作と同様でよい。
尚、第1の貨幣管理装置200Aおよび第2の貨幣管理装置200Bの親子関係は、例えば、貨幣管理システム301の設置時に設置者が手作業にて決定すればよい。あるいは、最初に設定された貨幣管理装置200Aを親機とし、その後、その親機に接続された貨幣処理装置200Bを子機とすればよい。一旦、親子関係が成立した後には、貨幣管理装置200の増設は第1の実施形態と同様であり、容易である。
第3の実施形態による貨幣管理システム301は、2台以上の貨幣管理装置200を子機としてさらに増設することができる。子機としての貨幣管理装置200は、親機としての第1の貨幣管理装置200Aに接続され、第1の貨幣管理装置200Aは、子機としての貨幣管理装置200の各貨幣在高を一括管理する。従って、複数の貨幣管理装置200は、容量の大きな1台の貨幣管理装置200として見なすことができる。
第2の実施形態による貨幣管理システム301は、第1の実施形態による貨幣管理システム300と同様の効果を得ることができる。
(第1および第2の実施形態の変形例1)
子機が第2の貨幣管理装置200Bのみであり、かつ、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bのいずれか一方の在高が、処理対象貨幣の金額または数量未満である場合、他方の貨幣管理装置200から所定金額または所定数量以上の貨幣を収納または取出す必要がある。例えば、1万円札を1000枚(10束)取出す必要がある場合に、第2の貨幣管理装置200Bの1万円札の在高が500枚(5束)であったと仮定する。この場合、操作者は、第1の貨幣管理装置200Aから1万円札を500枚(5束)以上取出す必要がある。もし、操作者が第1の貨幣管理装置200Aから1万円札を400枚(4束)以下しか取出さなかった場合、第2の貨幣管理装置200Bにおいて残貨幣(1万円札を600枚(6束))を取り出すことができないからである。
そこで、第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、処理対象貨幣の金額または数量から第2の貨幣管理装置200Bの在高を減算して得られる不足貨幣の金額または数量を算出する。そして、第1の貨幣管理装置200Aの表示部227は、第1の貨幣管理装置200Aにおいて、不足貨幣の金額または数量以上の貨幣を取出すよう表示する。
操作者が第1の貨幣管理装置200Aから不足貨幣の金額または数量以上の貨幣を取出すことによって、第2の貨幣管理装置200Bにおいて操作者は残貨幣を確実に取り出すことができる。つまり、操作者が第2の貨幣管理装置200Bのドロア内を見てはじめて貨幣が足りないことに気づく、という事態を防止できる。
貨幣を収納する場合には、第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、貨幣管理装置200A、200Bのドロア内において貨幣が未だ収納されていない領域の容量(空き容量)について、演算すればよい。例えば、1万円札を1000枚(10束)収納する場合に、第2の貨幣管理装置200Bの1万円札のドロアにおける“空き容量”が500枚(5束)分であったと仮定する。この場合、操作者は、第1の貨幣管理装置200Aに1万円札を500枚(5束)以上収納する必要がある。もし、操作者が第1の貨幣管理装置200Aに1万円札を400枚(4束)以下しか収納しなかった場合、第2の貨幣管理装置200Bにおいて残貨幣(1万円札を600枚(6束))を収納できないからである。
これにより、第2の貨幣管理装置200Bにおいて操作者は残貨幣を確実に収納することができる。つまり、操作者が第2の貨幣管理装置200Bのドロア内を見てはじめて空き容量が足りないことに気づく、という事態を防止できる。
尚、出納機100が設けられている場合、第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に表示されるエラー、残貨幣の金種および数量または金額、貨幣管理装置200A、200Bの各在高、貨幣管理装置200Aおよび200Bの総在高は、出納機100の表示部15aに表示させてもよい。これにより、操作者または出納責任者は、出納機100において各貨幣管理装置200A、200Bの状態を容易に把握することができる。
(第1または第2の実施形態の変形例2)
図15および図16は、第1または第2の実施形態の変形例2による出納機100の表示部15aまたは第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に表示される処理対象貨幣の入力表である。図15は、取出処理における処理対象貨幣の入力表である。図16は、収納処理における処理対象貨幣の入力表である。
例えば、図9のステップS16において出納機100は、図15または図16に示す処理対象貨幣の入力表を表示部15aに表示する。あるいは、図10のステップS126において第1の貨幣管理装置200Aは、図15または図16に示す処理対象貨幣の入力表を表示部227に表示する。
処理対象貨幣の入力表には、各貨幣管理装置200に収納されている貨幣の在高が官封券と流通券とに分けて予め表示されている。官封券は、印刷されてから未だ市場に流通していない紙幣である。流通券は、既に市場に流通した紙幣である。また、処理対象貨幣の入力表には、複数の貨幣管理装置200A〜200Cに収納されている貨幣の総在高が官封券と流通券とに分けて表示されている。
通常、貨幣管理装置200には図5に示すように束紙幣または大束紙幣が収納される。処理対象貨幣の入力表の在高または取引の数値は、束紙幣数または大束紙幣数のいずれでもよい。
[取出処理]
操作者は、まず、処理対象貨幣の入力表に貨幣の取引量を入力する。このとき取出処理では、操作者は、各貨幣管理装置200における金種ごとまたは券種(官封券または流通券)ごとの在高の範囲内の数量を取引量として入力しなければならない。貨幣管理装置200の在高以上の貨幣を取出すことはできないからである。もし、操作者が、在高以上の数量を入力した場合には、出納機100の表示部15aまたは第1の貨幣管理装置200Aの表示部227は、エラーを表示する。この場合、操作者は、在高の範囲内の数量を入力し直す。
例えば、操作者は、各貨幣管理装置200A〜200Cから一万円札の官封券の大束を10束取出すものとする。この場合、操作者は、入力部16または226を用いて、処理対象貨幣の入力表の「取引」の欄に束数を入力する。図15では、操作者は、第1の貨幣管理装置200Aから5束、第2の貨幣管理装置200Bから5束を取出すように入力している。処理対象貨幣の入力表には、操作者によって入力された取引量の合計(例えば、官封券10束)が表示される。
第1の貨幣管理装置200Aは、この処理対象貨幣の入力表に基づいて、図12または図13に示す処理を実行する。このとき、例えば、ステップS360における精査では、第1の貨幣管理装置200Aは、操作者によって実際に取出された貨幣の数量が処理対象貨幣の入力表における取引量(例えば、5束)と異なる場合には、エラーを表示部227に表示する。
また、第2の貨幣管理装置200Bも、この処理対象貨幣の入力表に基づいて、図12または図13に示す処理を実行する。このとき、例えば、ステップS470における精査では、第2の貨幣管理装置200Bは、操作者によって実際に取出された貨幣の数量が処理対象貨幣の入力表における取引量(例えば、5束)と異なる場合には、エラーを表示部227に表示する。
エラーが発生した場合、操作者または管理者は、貨幣を第1の貨幣管理装置200Aまたは第2の貨幣管理装置200Bから取出し直す。
本変形例2による貨幣管理システムの他の動作は、図12または図13に示す動作と同様でよい。
本変形例2によれば、操作者は、各貨幣管理装置200A〜200Cの在高を確認しながら、どの貨幣管理装置からどれくらの数量だけ取出すかを予め決定することができる。
[収納処理]
収納処理では、操作者は、各貨幣管理装置200における金種ごとまたは券種(官封券または流通券)ごとの空き容量の範囲内の数量を取引量として入力しなければならない。貨幣管理装置200の空き容量以上の貨幣を収納することはできないからである。もし、操作者が、空き容量以上の数量を入力した場合には、出納機100の表示部15aまたは第1の貨幣管理装置200Aの表示部227は、エラーを表示する。この場合、操作者は、空き容量の範囲内の数量を入力し直す。
例えば、操作者は、各貨幣管理装置200A〜200Cから一万円札の官封券の大束を10束収納するものとする。この場合、操作者は、入力部16または226を用いて、処理対象貨幣の入力表の「取引」の欄に束数を入力する。図16では、操作者は、第1の貨幣管理装置200Aに5束、第2の貨幣管理装置200Bに5束を収納するように入力している。処理対象貨幣の入力表には、操作者によって入力された取引量の合計(例えば、官封券10束)が表示される。
第1の貨幣管理装置200Aは、この処理対象貨幣の入力表に基づいて、図12または図13に示す処理を実行する。このとき、例えば、ステップS360における精査では、第1の貨幣管理装置200Aは、操作者によって実際に収納された貨幣の数量が処理対象貨幣の入力表における取引量(例えば、5束)と異なる場合には、エラーを表示部227に表示する。
また、第2の貨幣管理装置200Bも、この処理対象貨幣の入力表に基づいて、図12または図13に示す処理を実行する。このとき、例えば、ステップS470における精査では、第2の貨幣管理装置200Bは、操作者によって実際に収納された貨幣の数量が処理対象貨幣の入力表における取引量(例えば、5束)と異なる場合には、エラーを表示部227に表示する。
エラーが発生した場合、操作者または管理者は、貨幣を第1の貨幣管理装置200Aまたは第2の貨幣管理装置200Bに収納し直す。
本変形例2による貨幣管理システムの他の動作は、図12または図13に示す動作と同様でよい。
本変形例2によれば、操作者は、各貨幣管理装置200A〜200Cの空き容量を確認しながら、どの貨幣管理装置にどれくらの数量だけ収納するかを予め決定することができる。
本変形例2によれば、操作者の意図に従って貨幣の収納または取出しを行うことができる。例えば、官封券を取出す場合に、第1の貨幣管理装置200Aに官封券が収納されていなくても、第2の貨幣管理装置200Bに官封券が充分に収納されていれば、操作者は、第2の貨幣管理装置200Bに官封券が収納されていることを図15の入力表から知ることができる。操作者は、第1の貨幣管理装置200Aに官封券が収納されていないために、仕方なく第1の貨幣管理装置200Aに収納されている流通券で代用する、という事態を防止できる。
さらに、本変形例2は、第1または第2の実施形態と同様の効果をも得ることができる。
また、通常、貨幣管理装置200A〜200Cは、官封券と流通券とを自動で判別することはできない。本変形例2では、操作者が処理対象貨幣の数量を官封券と流通券とを区別して入力するので、親機としての第1の貨幣管理装置200Aは、貨幣管理装置200A〜200Cのそれぞれの貨幣在高および貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を、官封券と流通券とに区別して管理することができる。
(第1または第2の実施形態の変形例3)
図17(A)から図18(C)は、第1または第2の実施形態の変形例3による出納機100の表示部15aまたは第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に表示される画面である。図17(A)から図17(C)は、取出処理における画面を示す。図18(A)から図18(C)は、収納処理における画面を示す。
複数の貨幣管理装置200A、200Bのいずれかの貨幣在高が無い場合(エンプティの場合)や複数の貨幣管理装置200A、200Bのいずれかの空き容量が無い場合(フルの場合)、出納機100または親機である第1の貨幣管理装置200Aが表示部15aまたは227にその旨を表示する。複数の貨幣管理装置200A、200Bのいずれかの貨幣在高が少ない場合(エンプティに近い場合)や複数の貨幣管理装置200A、200Bのいずれかの空き容量が少ない場合(フルに近い場合)にも、出納機100または親機である第1の貨幣管理装置200Aが表示部15aまたは227にその旨を表示してよい。尚、各貨幣管理装置200A、200Bは、ドロア211〜214の各容量および在高に基づいて空き容量を検知することができるように構成されている。これにより、各貨幣管理装置200A、200Bは、ドロア211〜214のフルまたはエンプティも検知できる。
変形例3では、出納機100または貨幣管理装置200A、200Bは、貨幣管理装置200A、200Bのフルまたはエンプティの情報だけでなく、図17(A)〜図18(C)に示すように他の貨幣管理装置200Aまたは200Bにおいて取出/収納すべき貨幣の数量または金額をも表示する。
図17(A)〜図18(C)の表示は、図9のステップS16または図10のステップS126において、処理対象貨幣の金種および数量または金額を入力したときに出納機100の表示部15aまたは第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に表示される。
例えば、一万円札の束紙幣を10束取出す場合において、子機である第2の貨幣管理装置200Bの貨幣在高がエンプティであったとする。この場合、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、図17(A)に示すように処理対象貨幣の全て(例えば、10束)を第1の貨幣管理装置200Aから取出すべきことを表示部15aまたは227に表示する。
また、例えば、一万円札の束紙幣を10束取出す場合において、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、処理対象貨幣の数量(例えば、10束)から第2の貨幣管理装置200Bの貨幣在高(例えば、7束)を引き算した不足貨幣の数量または金額(例えば、3束)を算出する。そして、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、図17(B)に示すように不足貨幣の数量または金額(例えば、3束)以上の貨幣を第1の貨幣管理装置200Aから取出すべきことを表示部15aまたは227に表示する。
さらに、例えば、第1の貨幣管理装置200Aの一万円札の在高が7束であり、第2の貨幣管理装置200Bの一万円札の在高が3束であるとする。一万円札の束紙幣を10束取出す場合には、処理対象貨幣の数量(10束)は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの一万円の総在高(10束)と同じである。この場合、親機である第1の貨幣管理装置200Aから一万円の束紙幣を7束取出し、第2の貨幣管理装置200Bから一万円の束紙幣を3束取出す。従って、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、図17(C)に示すように第1の貨幣管理装置200Aの全在高の数量または金額(例えば、7束)の貨幣を第1の貨幣管理装置200Aから取出すべきことを表示部15aまたは227に表示する。
このように、出納機100または貨幣管理装置200A、200Bは、貨幣管理装置200A、200Bの在高に応じて、少なくとも一方の貨幣管理装置200Aにおいて取出すべき貨幣の数量または金額を表示することができる。
例えば、一万円札の束紙幣を10束収納する場合においては、子機である第2の貨幣管理装置200Bがフルであったとする。この場合、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、図18(A)に示すように処理対象貨幣の全て(例えば、10束)を第1の貨幣管理装置200Aに収納すべきことを表示部15aまたは227に表示する。
例えば、一万円札の束紙幣を10束収納する場合において、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、処理対象貨幣の数量(例えば、10束)から第2の貨幣管理装置200Bの空き容量(例えば、7束)を引き算した不足容量の数量または金額(例えば、3束)を算出する。そして、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、図18(B)に示すように不足容量の数量または金額(例えば、3束)以上の貨幣を第1の貨幣管理装置200Aから取出すべきことを表示部15aまたは227に表示する。
例えば、第1の貨幣管理装置200Aの一万円札の空き容量が7束であり、第2の貨幣管理装置200Bの一万円札の空き容量が3束であるとする。一万円札の束紙幣を10束収納する場合には、処理対象貨幣の数量(10束)は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの一万円の全空き容量(10束)と同じである。この場合、親機である第1の貨幣管理装置200Aに一万円の束紙幣を7束収納し、第2の貨幣管理装置200Bに一万円の束紙幣を3束収納する。従って、出納機100または第1の貨幣管理装置200Aは、図18(C)に示すように第1の貨幣管理装置200Aの全空き容量の数量または金額(例えば、7束)の貨幣を第1の貨幣管理装置200Aに収納すべきことを表示部15aまたは227に表示する。
このように、出納機100または貨幣管理装置200A、200Bは、貨幣管理装置200A、200Bの空き容量に応じて、少なくとも一方の貨幣管理装置200Aに収納すべき貨幣の数量または金額を表示することができる。
これにより、操作者は、収納処理または取出処理において、貨幣管理装置200A、200Bがエンプティ(フル)またはエンプティ(フル)に近いことを予め知ることができる。さらに、操作者は、エンプティ(フル)またはエンプティ(フル)に近い第2の貨幣管理装置200B以外の貨幣管理装置200A、200Cから取出すべきまたは収納すべき貨幣の数量または金額を予め知ることができるので、操作者は、正確な収納/取出し処理を行うことができる。
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、操作者は、処理対象貨幣の一部を第1の貨幣管理装置200Aにおいて収納または取出し、残貨幣を他の貨幣管理装置200B、200Cにおいて収納または取出している。
第3の実施形態では、操作者は、処理対象貨幣の一部を第1の貨幣管理装置200Aのドロア211〜214のいずれかにおいて収納または取出し、残貨幣を第1の貨幣管理装置200Aの他のドロアにおいて収納しまたは取出す。この場合、第1の貨幣管理装置200Aは、ドロア211〜214のそれぞれの貨幣在高を管理する。
以下の具体例は、出納機100と出納機100に接続された第1の貨幣管理装置200Aとを備えた貨幣処理システムにおける収納/取出し処理を示す。
図19は、第3の実施形態に従った貨幣管理システムの動作を示すフロー図である。第3の実施形態では、第1の貨幣管理装置200Aのドロア211および212が一万円札(束紙幣または大束紙幣)を収納しているものとする。図13のステップS310、S320の実行後、処理対象貨幣が一万円札である場合、第1の貨幣管理装置200Aは、ドロア211を開状態にする(S332)。
操作者がドロア211から貨幣を収納または取出した後(S342)、ドロア211を閉じる(S352)。第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、ロードセル261を介して第1の貨幣管理装置200Aのドロア211内の貨幣在高を精査する(S362)。このとき、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Gと処理対象貨幣の数量または金額Hとを比較する。その結果、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Gが処理対象貨幣の数量または金額Hよりも多い場合(S362のG>H)、エラーが表示部227に表示される(S372)。この場合、第1の貨幣管理装置200Aは、再度、ドロア211を開状態にするか、あるいは、警告音にて注意を喚起する。操作者または管理者は、貨幣を第1の貨幣管理装置200Aのドロア211に収納し直し、または、貨幣を第1の貨幣管理装置200Aのドロア211から取出し直す(S342)。そして、ステップS352およびS362を再度実行する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量Gまたは金額が処理対象貨幣の数量または金額Hと等しい場合(S362のG=H)、収納処理または取出処理は、第1の貨幣管理装置200Aのドロア211において終了する。即ち、操作者は、第1の貨幣管理装置200Aの他のドロア212において貨幣を出し入れする必要がない。従って、第1の貨幣管理装置200Aは、ドロア211の在高および第1の貨幣管理装置200A内のドロア211〜214の総在高を更新した(S382)後に、貨幣管理装置200Aのドロア211の貨幣在高および第1の貨幣管理装置200A内のドロア211〜214の総在高を出納機100へ送信する(S392)。出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aからの更新済みの貨幣在高および総在高を受信して、それらの在高情報に基づいて管理装置在高4Xを更新する(S402)。これにより、収納/取出処理は終了する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Gが処理対象貨幣の数量または金額Hよりも少ない場合(S362のG<H)、即ち、処理対象貨幣のうち一部の貨幣が第1の貨幣管理装置200Aのドロア211において出し入れされた場合には、第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、収納または取出された一部の貨幣の金額または数量を処理対象貨幣の金額または数量から減算して得られる残りの貨幣(残貨幣)の金額または数量を算出する(S412)。第1の貨幣管理装置200Aの表示部227は、上記残貨幣の金種および数量または金額を表示して、操作者に第1の貨幣管理装置200Aの他のドロア212において残貨幣の収納または取出を促すとともに、ドロア212を開状態にする(S422)。
操作者が第1の貨幣管理装置200Aのドロア212から残貨幣を収納または取出した後(S452)、ドロア212を閉じる(S462)。第1の貨幣管理装置200Aの演算部225cは、ロードセル261を介してドロア212内の貨幣在高を精査する(S472)。このとき、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Iと残貨幣の数量または金額Jとを比較する。その結果、操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Iが残貨幣の数量または金額Jよりも多い場合(S472のI>J)、エラーが表示部227に表示される(S482)。この場合、第1の貨幣管理装置200Aは、再度、ドロア212を開状態にするか、あるいは、警告音にて注意を喚起する。操作者または管理者は、貨幣をドロア212に収納し直し、または、貨幣をドロア212から取出し直す。そして、ステップS462およびS472を再度実行する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量Iまたは金額が残貨幣の数量または金額Jと等しい場合(472のI=J)、収納処理または取出処理は、第1の貨幣管理装置200Aのドロア212における貨幣の出し入れによって終了する。この場合、もし、第2の貨幣管理装置200Bが子機として第1の貨幣管理装置200Aに接続されていたとしても、操作者は、第2の貨幣管理装置200Bにおいて貨幣を出し入れする必要がない。第1の貨幣管理装置200Aは、ドロア211および212の各貨幣在高およびドロア211〜214の総在高を更新する(S512)。そして、第1の貨幣管理装置200Aはドロア211、212の各貨幣在高および第1の貨幣管理装置200A内の総在高を出納機100へ送信する(S392)。そして、第1の貨幣管理装置200Aは、収納/取出処理を終了する。出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aからの更新済みの貨幣在高および総在高を受信して、それらの在高情報に基づいて管理装置在高4Xを更新する(S402)。これにより、収納/取出処理は終了する。
操作者によって収納または取出された貨幣の数量または金額Iが残貨幣の数量または金額Jよりも少ない場合(S472のI<J)、第1の貨幣管理装置200Aの他のドロア213、214に一万円札が収納されておらず、かつ、第2の貨幣管理装置が子機として第1の貨幣管理装置200Aに接続されていなければ、エラーが表示部227に表示される(S482)。ただし、取出処理において、操作者は、意図的に残貨幣の数量または金額よりも少ない貨幣しか取出さない場合がある。従って、取出処理においては、取出された貨幣の数量または金額Iが残貨幣の数量または金額Jよりも少なくても、エラーを表示部227に表示しないように設定してもよい。
このように第3の実施形態では、第1の貨幣管理装置200Aは、ドロア211〜214ごとに貨幣在高を管理し、ドロア211〜214ごとに貨幣の収納または取出しを可能にしている。操作者は、処理対象貨幣の一部を第1の貨幣管理装置200Aのドロア211〜214のいずれかにおいて収納または取出した後、残貨幣を他のドロアにおいて収納しまたは取出す。このとき、第1の貨幣管理装置200Aは、残貨幣の金種および数量または金額を自動的に算出し表示し、次のドロア212を開状態にする。操作者は、第1の貨幣管理装置200Aの表示に従ってドロア212から残貨幣を収納または取出せばよい。従って、操作者の作業負担が軽減される。
第1の貨幣管理装置200Aの他のドロア213、214に一万円札が収納されている場合、あるいは、子機として第2の貨幣管理装置200Bが設けられている場合、第1の貨幣管理装置200Aは、図13に示すフローにならって第2の残貨幣を算出し、第1の貨幣管理装置200Aの他のドロア213または214、あるいは、第2の貨幣管理装置200Bにおいて第2の残貨幣を収納または取出せばよい。従って、第3の実施形態は、第1または第2の実施形態と組み合わせることができる。これにより、第3の実施形態は、第1または第2の実施形態の効果も得ることができる。勿論、第3の実施形態に上記変形例1〜変形例3を適用することも可能である。これにより、第3の実施形態は、上記変形例1〜3のいずれかの効果も得ることができる。
尚、上記第1から第3の実施形態において、収納/取出処理は、親機である第1の貨幣管理装置200Aから優先的に実行され、その後、子機である第2の貨幣管理装置200Bにおいて実行されている。しかし、収納/取出処理の優先順位は、逆であってもよい。即ち、収納/取出処理は、子機である第2の貨幣管理装置200Bにおいて優先的に実行され、その後、親機である第1の貨幣管理装置200Aにおいて実行されてもよい。