以下、本発明に係る貨幣管理システム及び貨幣管理方法の実施の一形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の一形態を示すシステム概略図である。図1に示す貨幣管理システム(貨幣処理システム)300は、相互に通信可能に構成された出納機100と貨幣管理装置200(現金バスとも呼ばれる)とを備えている。出納機100が、貨幣管理本体機(貨幣処理本体機)として機能し、貨幣管理装置200が、貨幣管理端末機(貨幣処理端末機)として機能するように構成されている。出納機100及び貨幣管理装置200は、それぞれ、上位の貨幣管理装置(貨幣処理装置)及び下位の貨幣管理装置(貨幣処理装置)として理解されてもよい。また、1台の出納機100に対して、複数台の貨幣管理装置200が通信可能に設けられてもよい。ここで、出納機100と貨幣管理装置200との間の通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよい。
図2は、出納機100の外観を示す斜視図である。図3は、出納機100の機能ブロック図である。
図2に示すように、出納機100は、束紙幣を処理する束紙幣処理部P1及びバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部P2からなる紙幣処理装置11と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理装置12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理装置13と、を備えている。図2において、21は束紙幣を出金する束紙幣出金口、22はバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口、23は包装硬貨を出金する包装硬貨出金口、並びに、24はバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口である。
また、この出納機100は、現金以外の有価証券類を投入する現金外ボックス14、出納機100全体を制御する制御部15、制御部15に各種の指示を与えるキーボード式操作部16、および、制御部15による指示に従って印字処理を行う外部プリンタ18、を備えている。外部プリンタ18が、レシート発行装置及び/又は認証印字プリンタとして機能するようになっている。
制御部15は、その一部として、一般行員及び管理者とのインタフェースとしての表示部15aと、一般行員及び管理者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ15bと、を備えている。本実施の形態においてはIDカードリーダが用いられているが、これに限られず、公知の顔認証端末や、指に流れる静脈を認証するもの等、使用者本人を認証するものであれば何を用いても構わない。
また、図3に示すように、この制御部15は、各種プログラム及びデータを格納したROM15d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM15e、フレキシブルディスクに対してデータを読み書きするフレキシブルディスクドライブ15f、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ15g、および、ROM15dやハードディスクドライブ15g内に格納されたプログラムを実行等して出納機100全体を制御する制御本体部15cを備えている。
また、図3に示すように、出納機100は、貨幣管理装置200との間でデータ通信を行う通信インタフェース(通信IF)19を備えている。これにより、出納機100(貨幣管理本体機)と貨幣管理装置200(貨幣管理端末機)とは、相互に通信可能となっている。例えば、出納機100と貨幣管理装置200とは、無線LAN、光LAN等で通信可能なように接続されている。
図4は、貨幣管理装置200の外観を示す斜視図である。図4に示すように、貨幣管理装置200は、例えば、1万円紙幣を収納保管する第1紙幣収納ドロア211と、その他の金種の紙幣を収納保管する第2紙幣収納ドロア212と、100円と10円と1円の硬貨を収納保管する第1硬貨収納ドロア213と、500円と50円と5円の硬貨を収納保管する第2硬貨収納ドロア214と、現金以外の有価証券類も投入することができる予備収納ドロア215と、を備えている。
また、この貨幣管理装置200は、貨幣管理装置200の全体を制御する制御装置225(制御手段)と、制御装置225に各種の指示を与えるキーボード式操作部226と、使用者(係員(多くの場合銀行員)及び管理者)とのインタフェースとしての表示部227と、収納庫に貨幣を入出金する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228と、を備えている。
IDカードの内容、即ち、IDカードに記憶されたID情報が、使用者情報の一態様であり、IDカードリーダ228が、使用者情報取得手段の一態様である。図4の例では、接触式のIDカードリーダ228が採用されているが、非接触式のカードリーダが採用されてもよい。また、IDカードリーダの他に、出納機100と同様、顔認証や静脈認証等を利用するための機器が採用されてもよい。
図5は、貨幣管理装置200の第2紙幣収納ドロア212の斜視図である。図5に示すように、第2紙幣収納ドロア212には、3種類の金種の紙幣の束が、規則正しく収納保管される。図5の例では、第2紙幣収納ドロア212の内部に、4つの紙幣保管容器221〜224が配置されており、各容器ごとに、収納保管される紙幣の金種が決められている。また、1束100枚の束紙幣を10束ごとに束ねた大束紙幣が収納保管されるようになっていてもよい。
図6は、貨幣管理装置200の第2硬貨収納ドロア214の斜視図である。図6に示すように、第2硬貨収納ドロア214には、3種類の金種の棒金状態の硬貨が、規則正しく収納保管される。図6の例では、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの硬貨保管容器241〜243が配置されており、各容器ごとに、収納保管される硬貨の金種が決められている。
硬貨保管容器241の底面には、硬貨保管容器241内に収納保管される硬貨の重量を測定するための測定手段として、ロードセル261が設けられている。ロードセル261の構成の詳細については十分に知られていると思われるので、ここでの説明は省略する。他の硬貨保管容器242、243、並びに、紙幣保管容器221〜224についても、同様にロードセル261が設けられている。このような構成によって、各金種ごとに、収納保管されている貨幣の重量が測定されるようになっている。
その他、予備収納庫215は、硬貨予備収納部と、紙幣予備収納部と、現金以外の有価証券類を投入することができる空スペースとを備えている。
続いて、図7は、貨幣管理装置200の制御装置225の機能ブロック図である。制御装置225は、各種プログラム及びデータを格納したROM225d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM225e、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ225g、ROM225dやハードディスクドライブ225g内に格納されたプログラムを実行等して貨幣管理装置200全体を制御する演算制御部225cを備えている。
演算制御部225c(演算手段)は、各金種ごとに対応して設けられたロードセル261(重量測定手段)に接続されており、ロードセル261の出力値に基づいて、収納保管された貨幣の重量に対応する貨幣の金額を算出できるようになっている。そして、ハードディスクドライブ225gが、入力された取引に関わる情報および在庫状況を示す情報を記憶する。
本実施の形態では、ここで、IDカードリーダ228が読み取るID情報(使用者情報)も、算出された貨幣の金額(入出金操作後の収納保管金額)と対応させた態様で、ハードディスクドライブ225gに記憶されるように構成されている。
本実施の形態では、更に、キーボード式操作部226(入力手段)において、収納庫に対して入出金される貨幣の金額が入力されるようになっており、演算制御部225cが、精査手段として、ロードセル261の出力値から算出された金額と、キーボード式操作部226で入力された金額とを精査できるようになっている。
また、図7に示すように、貨幣管理装置200は、出納機100との間でデータ通信を行う通信インタフェース(通信IF)229を備えている。これにより、貨幣管理装置200(貨幣管理端末機)と出納機100(貨幣管理本体機)とは、相互に通信可能となっている。
また、本実施の形態の制御装置225は、ロック制御手段として、各ドロア211〜215に設けられた開閉電磁ロック211m〜215mに接続されていて、各ドロア211〜215を、貨幣の入出金が可能な開状態と貨幣の入出金が不可能なロック状態との間で切替えることができるようになっている。
この切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合が採用されている。具体的には、例えば、予め許可者として設定された使用者のID情報(使用者情報)が、ハードディスクドライブ225gに記憶されていて、IDカードリーダ228(使用者情報取得手段)が読み取ったID情報が、使用者識別手段としての演算制御部225cによって、許可者のID情報に対して照合されるように構成されている。照合の結果がYESである場合、即ち、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が、予め許可者として設定された使用者のID情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の収納/取出が可能な開状態とすることができる。
別の切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合に加えて、連携情報の照合も採用され得る。連携情報とは、例えば入出金操作ごとに設定される操作情報であり、通常は入出金の金種及びその数量のデータであるが、入出金操作の手順に関するデータを含むこともあり得る。連携情報の照合の具体的態様としては、例えば、予め許可操作として設定された連携情報が、出納機100から通信機能を利用して例えばRAM225eに転送記憶され、一方、使用者によって、連携情報に対応する4桁の連携番号が、キーボード式操作部226(連携情報取得手段)で入力され得る。そして、入力された4桁の連携番号の情報が、操作識別手段としての演算制御部225cによって、転送記憶された連携情報に対して照合され得る。この場合、照合の結果がYESである場合、即ち、入力された4桁の連携番号が、転送記憶された許可操作の連携情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の入出金が可能な開状態とすることができる。この態様においては、好適なことに、入出金操作の具体的内容に即して、開閉電磁ロック211m〜215mを個別に制御することが可能である。具体的には、入出金対象である金種を収納するドロアのみを、開状態に切り替えることができる。更には、複数のドロアが同時には開状態にならないように、各ドロアを順に開状態に切り換えるという制御態様を採用することも可能である。
その他、本実施の形態では、貨幣管理装置200(貨幣管理端末機)と出納機100(貨幣管理本体機)とが相互に通信可能であることを利用して、更に以下のような構成が採用されている。
出納機100(貨幣管理本体機)の制御部15は、通信機能を利用して貨幣管理装置200(貨幣管理端末機)の在高データを確認及び/又は精査するための在高データ遠隔確認部として機能できるように構成されている。具体的には、出納機100(貨幣管理本体機)の制御部15が、通信インタフェース(通信IF)19及び通信インタフェース(通信IF)229を介して、精査手段である演算制御部225cを制御できるようになっている。
その他、各ドロア211〜215の開状態が所定時間以上継続している際に報知信号を出力する報知装置(アラーム装置)280が更に設けられている。
また、図7における鍵検知部290とは、貨幣管理装置200の電源off時にドロアの開閉が行われる際に、そのことを検知するセンサ装置である。これは、少なくとも当該技術分野においては新しい技術であるが、本発明の概念とは直接には関連しないので、ここでの説明は省略する。
図8は、本発明の実施の一形態に係る貨幣管理システム及び貨幣管理方法による在高管理の全体像を模式的に表した説明図である。
本発明の実施の一形態に係る貨幣管理システムは、相互に通信可能に構成された出納機100と貨幣管理装置200とを備えている。出納機100と貨幣管理装置200とは、相互に通信可能に構成されているが、その通信回線は、無線LANあるいは光LANで常時接続されていてもよく、有線LAN等のケーブルで接続されている場合等のように断続的に接続されてもよい。出納機100と貨幣管理装置200とを断続的に接続する場合、随時、任意に接続を物理的に切断することができる。従って、貨幣管理装置200は、店舗内の任意の場所へ移動して使用することができる。無線LANで通信接続されている場合、出納機100と貨幣管理装置200との常時接続を維持しながら、貨幣管理装置200は、店舗内の任意の場所へ移動して使用することができる。尚、貨幣管理装置200は、単体での在高管理も可能である。
本発明の実施の一形態に係る貨幣管理システム及び貨幣管理方法においては、金融機関店舗内の総ての在高管理は、出納機100によって行われる。出納機100が管理する在高には、在庫在高6、機械在高1、ポスト在高2、手持ち在高3が含まれる。
在庫在高6とは、金融機関店舗内の本金庫内に収納されている貨幣の在高である。機械在高1とは、出納機100内に収納されている貨幣の在高である。ポスト在高2とは、出納機100のポスト、即ち、前述の現金外ボックス14に入金された小切手等の有価証券類や、破損又は汚損した紙幣である損券であって、出金が不可能なものの在高である。手持ち在高3とは、資金移動のために一時的に本金庫又は出納機100から取り出される等して、人手による管理の下に置かれている貨幣の在高であるが、貨幣管理装置200に収納されて移動可能な状態となっている貨幣の在高である貨幣管理装置在高4(4X,4Y)も手持ち在高の一部として管理される。貨幣管理装置在高4は、出納機100において手持ち在高3の一部4Xとして管理されるが、貨幣管理装置200自体においては、貨幣管理装置在高4Yとして管理されるものである。貨幣管理装置200の貨幣管理装置在高4Yは、出納機100により随時問い合わせられる。貨幣管理装置在高4Xと貨幣管理装置在高4Yとは、出納機100と貨幣管理装置200との間で連携処理情報を送受信して双方の在高データを更新することにより一致させられる。
連携処理情報は、出納機100の処理管理データベース400に記憶され、必要に応じて随時、更新される。この処理管理データベース400は、例えば、出納機100のハードディスクドライブ15gに記憶される。
顧客との間で入出金を行う場合には、機械在高又は手持ち在高に含まれる貨幣を用いて入出金を行う。例えば、顧客から受けた現金を行員が出納機に入金する場合には、その入金額は機械在高に加算され、行員が貨幣管理装置へ現金を入金する場合には、その入金額は手持ち在高のうちの貨幣管理装置在高に加算される。また、顧客から小切手等の有価証券類が入金された場合や、入金された貨幣の中に損券が含まれていた場合は、それらは現金外ボックス14へポスト入金されてポスト在高として管理されるが、その後、それらの有価証券類や損券が出納機100のポスト(金外ボックス14)から回収されると、そのポスト在高は手持ち在高の一部として管理される。
出納機100に収納されている貨幣が不足した場合には、本金庫から貨幣を取り出して出納機100に補充し、出納機100に貨幣が入り切らなくなった場合には、出納機100から貨幣を回収して本金庫に収納する。出納機100から現金を回収する場合、資金の在高は、機械在高から手持在高を経由させて在庫在高へ移動させ、あるいは、出納機100に現金を補充する場合、在庫在高から手持在高を経由させて機械在高へ移動させる。
また、出納機100に収納されている貨幣が不足した場合には、貨幣管理装置200から貨幣を取り出して出納機100に補充し、出納機100に貨幣が入り切らなくなった場合には、出納機100から貨幣を回収して貨幣管理装置200に収納してもよい。この場合、貨幣は、一旦、「行員の手持ち」として管理される。従って、出納機100から現金を回収する場合、貨幣の在高は、機械在高から一旦手持ち在高へ移動し、次に、手持ち在高から貨幣管理装置在高へ移動する。あるいは、出納機100に現金を補充する場合、貨幣の在高は、貨幣管理装置在高から一旦手持ち在高へ移動し、次に、手持ち在高から機械在高へ移動する。尚、ここで、貨幣は、一旦手持在高を経由して移動させているが、手持在高の経由は省略可能である。
貨幣管理装置200に収納されている貨幣が不足した場合には、本金庫から貨幣を取り出して貨幣管理装置200に補充し、あるいは、手持ち在高から貨幣を貨幣管理装置200に補充する。貨幣管理装置200に貨幣が入り切らなくなった場合には、貨幣管理装置200から貨幣を回収して本金庫に収納し、あるいは、手持ち在高として管理する。この場合、手持ち在高およびその他の在高は変更しない。
総ての資金移動は、上述のように出納機100によって在高管理が行われる。出納機100は、出納機100自身内の機械在高、ポスト在高、金庫内の在庫在高だけでなく、行員の手持ち貨幣の在高および貨幣管理装置在高を含む手持ち在高をも一括管理する。
次に、本実施形態による貨幣処理システムの動作例について、フローチャートを参照しながら説明する。
貨幣管理装置200の操作者は、出納担当者または一般行員(テラー)のいずれでもよい。出納担当者とは、出納機100及び貨幣管理装置200の両方を使用する総ての入出金操作を行う権限を与えられている上位権限者である。一方、一般行員(テラー)とは、金融機関店舗の窓口で顧客との直接対応を行う係員であって、出納機100において所定の限度額以内の入出金操作を行う権限を与えられている下位権限者である。
以下、貨幣管理装置200の操作者は行員であるものとして説明する。
(装填処理)
図9は、貨幣管理装置200での入出金操作プロセスの一例を示すフローチャートである。図10、図11(A)〜図12(D)は、貨幣管理装置200の表示部227に表示される画面を示す図である。
図10を参照して、貨幣管理装置200の表示部227の各部の説明をする。表示部227の上側には「処理名称」、「処理日時」、「通番」、「担当者ナンバー」、「処理サブエリア」が表示される。通番は、一連の処理ごとにカウントアップされる番号であり、それまでの入出金処理の回数を示す。処理サブエリアには、一連の処理の詳細を示す。表示部227の下側には、操作の案内をする「ガイダンス表示部」、「エラーメッセージ部」および操作過程で処理の情報を表示する「状態表示部」が設けられている。表示部227の中央部には、メニュー、ガイダンス、金種、数量および/または金額等のメインコンテンツが表示される。状態表示部は、エラーが表示された場合等に貨幣管理装置200の状態を示す。
図9のステップおよび図11(A)〜図12(D)の画面表示を参照しながら貨幣管理装置200の動作を説明する。
まず、表示部227は、図11(A)に示す状態にある。行員がIDカードをIDカードリーダ228に挿入すると、IDカードリーダ228によって、貨幣管理装置200で行員のID情報が読み取られる(図9のSTEP11)。当該ID情報に基づいて、その行員が、貨幣管理装置200の操作許可者であるか否かが識別される(STEP12)。
その行員が操作許可者であれば、図11(B)に示す操作メニューが表示部227に表示される(STEP13)。その表示を見ながら、行員は、キーボード式操作部226を用いて処理内容を入力する(STEP14)。ここで、図11(B)に示す「1.装填」は、「行員の手持ち」または「在庫(本金庫)」から貨幣管理装置200へ貨幣を補充する処理を示し、「2.回収」は、貨幣管理装置200から「行員の手持ち」または「在庫(本金庫)」へ貨幣を回収する処理を示し、「3.収納」は、顧客から預かった貨幣を貨幣管理装置200へ収納する処理を示し、並びに、「4.取出」は、顧客へ貨幣を支払うために貨幣管理装置200から貨幣を取り出す処理を示す。
例えば、貨幣管理装置200内の貨幣が不足している場合には、行員は「1.装填」を選択する。貨幣管理装置200内の貨幣が超過している場合には、行員は「2.回収」を選択する。例えば、窓口にて行員が顧客から貨幣を預かり、その貨幣を貨幣管理装置200へ収納する場合、行員は「3.収納」を選択する。逆に、窓口にて行員が顧客へ貨幣を支払うために貨幣管理装置200から貨幣を取り出す場合、行員は「4.取出」を選択する。
操作メニューの5〜10については、本発明とは直接関係無いので、その説明を省略する。
STEP14では、行員が操作メニューの1〜4のいずれかを選択する。ここでは、図11(B)および図11(C)に示すように、「1.装填」が選択される。即ち、本実施形態では、行員の手持ちまたは在庫(本金庫)から貨幣管理装置200へ貨幣を補充する処理が実行される。
図11(C)の画面において、行員は、セキュリティ向上のために暗証番号入力を入力する。(STEP15)。
暗証番号の照合の後、行員は、キーボード式操作部226を用いて、出金元(装填元)を選択する(STEP16)。出金元は、図12(A)に示すように「1.手持ち」または「2.在庫」のいずれかである。本金庫から貨幣管理装置200へ貨幣を装填する場合、行員は、「2.在庫」を選択する。「行員の手持ち」から貨幣管理装置200へ貨幣を装填する場合、行員は、「1.手持ち」を選択する。
尚、メニュー表示における「1.手持ち」および上記「行員の手持ち」は、行員の手元に置かれ、行員により管理されている貨幣を意味する。図8を参照して説明したように、「手持ち在高」は、「行員の手持ち」の在高だけでなく、貨幣管理装置在高を含む。従って、メニュー表示における「1.手持ち」および「行員の手持ち」は、図8に示す手持ち在高の「手持ち」と若干意味が異なることに注意されたい。
次に、行員は、キーボード式操作部226を用いて、入出金操作の詳細を入力する(STEP17)。具体的には、図12(B)に示すように、入出金対象の金種及び束数あるいは本数のデータが入力される。図12(B)には、紙幣のみの情報が表示されているが、硬貨も処理される場合には貨幣の情報が追加される。
その後、行員による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP18)。入力が完了すると、図12(C)に示すように、現金の装填を促すガイダンスが表示されるとともに、貨幣管理装置200は、扉または引き出しを自動で開ける。
行員がSTEP17で入力した通りの貨幣(入力した金種および束数/本数)を貨幣管理装置200へ装填する(STEP19)。尚、“・”は“および”を示し、“/”は“または”を示す。即ち、行員は、STEP17で入力した金種の貨幣を入力数量分だけ貨幣管理装置200へ装填する。このとき、STEP16において行員が「2.在庫」を選択した場合には、行員は本金庫から貨幣を出金し、その貨幣を貨幣管理装置200へ装填する。STEP16において行員が「1.手持ち」を選択した場合には、行員は、「行員の手持ち」の貨幣を貨幣管理装置200へ装填する。
次に、貨幣管理装置200のロードセル261が実際に装填された貨幣を測定する(STEP20)。貨幣の測定は、例えば、貨幣の装填の終了後、操作者が扉あるいは引き出しを閉める動作をトリガとして実行される。つまり、閉動作検知装置211c〜215cが扉あるいは引き出しを閉める動作を検知したときに、貨幣の測定が実行される。この場合、行員は貨幣の測定を意識する必要が無く、貨幣管理装置200は、自動的に貨幣の測定を実行する。あるいは、貨幣の測定は、行員がキーボード式操作部226のうち所定のキーを押下することによって実行されてもよい。
貨幣の測定は、貨幣管理装置200の扉または引き出しが開く前の測定値を、この扉または引き出しを閉じた後の測定値から減算すればよい。測定値は、ロードセル261によって測定された各金種ごとの束数/本数の測定値である。減算は、制御部225cが実行する。
実際に装填された貨幣(ロードセル261で測定された貨幣)の金種および束数/本数が、STEP17において行員によって入力された貨幣の金種および束数/本数の情報と異なる場合(STEP21のNO)には、貨幣管理装置200は、エラーメッセージ表示部にエラーを表示し、かつ、状態表示部に実際に装填された貨幣の金種および束数/本数が、入力情報と異なることを通知する(STEP22)。それと共に、貨幣管理装置200は、STEP17以降の処理を再度実行する。このとき、行員が金種および束数/本数を再入力する手間を省き、かつ、誤入力を確認するために、図12(B)に示す前回の入力情報を表示部227に表示させることが好ましい。さらに、行員が貨幣管理装置200へ貨幣を装填し直すために、貨幣管理装置200が扉あるいは引き出しを自動で開いてもよい。上記エラーは、エラー表示とともに、あるいは、これに代えて、貨幣管理装置200に設けられたスピーカ(図示せず)を介して音声で行員に通知されてもよい。
実際に装填された貨幣の金種および束数/本数が、STEP17において入力された貨幣の情報と同じ場合(STEP20のYES)には、貨幣管理装置200は、インタフェース229を介して、一連の処理情報を処理キューとして出納機100へ送信する(STEP23)。処理キューの送信は、STEP20の貨幣の測定の結果によって自動的に実行される。即ち、行員による扉あるいは引き出しを閉める動作またはキーの押下をトリガとして、STEP20〜23は実行される。従って、行員は、貨幣の測定だけでなく、処理キューの送信も意識する必要が無い。
処理キューの送信後、図12(D)に示すように、図11(B)と同様にメニューの表示になる。あるいは、行員がログアウトを実行することによって、図11(A)に示す待機状態の表示に戻る。
貨幣管理装置200は、処理キューをRAM225eまたはハードディスク225gに保存するとともに、自身において管理している貨幣管理装置在高(手持ち在高の一部)の情報を更新する。
以上により、貨幣管理装置200における装填処理の一連の動作が完了する。
次に、処理キューについて説明する。
図13は、貨幣管理装置200における処理データを表示部227に表示した図である。処理データは、処理名称と、処理日時と、担当者番号と、通番と、当該処理により貨幣管理装置200に収納された金種、その金種の数量および/または金額の情報、あるいは、当該処理により貨幣管理装置200から取り出された金種、その金種の数量および/または金額の情報とを含む。尚、数量は、紙幣の束数または包装貨幣の本数である。通常、紙幣の束は所定枚数の紙幣を束ねたものであり、包装貨幣は所定枚数の貨幣を包装したものである。従って、金額は、金種・数量から算出可能であるため、上記装填処理の例では、金額の入力は省略されている。一方、処理された貨幣の金種および数量の確認のために、金種・数量だけでなく、金額の情報も貨幣管理装置に入力できるようにしてもよい。
図13には、図12(B)に示す入力情報が反映されている。例えば、図11(B)(STEP14)で選択された処理メニュー「1.装填」は、処理名称「装填」に反映されている。図12(A)(STEP16)で選択された出金元「2.在庫」は、処理名称のカッコ内の表示「在庫→貨幣管理装置」に反映されている。図12(B)(STEP17)で入力された金種・数量は、図14の金種、その金種の数量および/または金額に反映されている。
貨幣管理装置200は、処理データを出納機100が取り扱うことができるフォーマットに変換し、この変換後のデータを処理キューとしてハードディスクドライブ225gあるいはRAM225eに保存する。例えば、図14は、処理キューの内容を表示部227に表示した図である。本実施形態では、貨幣管理装置200内には機械計数部が無く、図9のSTEP17に示すように装填する貨幣の金種・数量を手入力している。
図14には、貨幣管理装置200における手入力分の貨幣情報が表示されている。手入力分の貨幣情報とは、行員が図9のSTEP17で手入力した貨幣の金種・数量である。
処理データのフォーマットを処理キューのフォーマットと統一してもよい。この場合、処理データを処理キューへ変換することは不要となる。
出納機100と貨幣管理装置200とが無線LANまたは光LAN等で常に通信接続されている場合、貨幣管理装置200は、装填処理が実行された時にリアルタイムで処理キューを送信することができる。
一方、出納機100と貨幣管理装置200とが断続的に通信接続される場合、貨幣管理装置200と出納機100とが通信接続されていないオフライン時に、貨幣管理装置200は、複数の処理データまたは複数の処理キューをハードディスクドライブ225gまたはRAM225eに保存しておく。そして、貨幣管理装置200と出納機100とが通信接続されたオンライン時に、貨幣管理装置200は、ハードディスクドライブ225gまたはRAM225eに蓄積された未送信の処理キューを出納機100へ一括して送信する。
次に、処理キューを受信した出納機100での処理を説明する。
図15(A)〜図16(B)は、処理キューを受信した出納機100の表示部15aに表示される画面を示す図である。出納機100は、インタフェース19を介して処理キューを受信すると、処理キューの情報に従って、図8に示す各在高を更新する。
出納機100は、在庫(本金庫)から貨幣管理装置200へ貨幣の装填処理が実行されたことを処理キューから認識することができる。この場合、図15(A)および図15(B)に示すように、制御部15cが、装填した金額を在庫在高から減算する。上記処理では、万券が1束(100枚)および五千円券が1束(100枚)装填されているので、制御部15cは、それぞれ該当する金種から100万円および50万円を減算する。その結果、図15(B)に示すように在庫在高が減算される。
一方、図16(A)および図16(B)に示すように、制御部15cは、装填した貨幣の金額を手持ち在高に加算する。上記処理では、万券が100枚および五千円券が100枚装填されているので、制御部15cは、それぞれに該当する金種に100万円および50万円を加算する。その結果、図16(B)に示すように手持ち在高が加算される。
図17は、在庫から貨幣管理装置200への装填処理の流れを示す全体的なイメージを示す概念図である。まず、貨幣管理装置200において、行員が処理として「装填」を選択し、かつ、出金元として「在庫」を選択する(図9のSTEP14、16)。装填処理の実行後、貨幣管理装置200は、処理キューを保存し、かつ、処理キューを出納機100へ送信する(図9のSTEP23)。
出納機100では、受信した処理キューを処理管理データベースに登録する。その後、処理キューの内容に従って、ハードディスク15gに記憶された各在高を更新する。本実施形態では、在庫から貨幣管理装置200へ貨幣が装填されている。従って、出納機100において、制御部15cは、装填された金額を在庫在高のデータから減算し、一方、装填された金額を手持ち在高のデータに加算する。このとき、出納機100内に収納されている貨幣に変動は無いので、機械在高は不変である。
もし、装填された貨幣に損券があった場合、損券の金種、数量および金額は、手持ち在高に加算することなく、ポスト在高に加算される。
図12(A)において、「1.手持ち」が選択された場合、図8を参照して説明したように「貨幣管理装置在高」は「手持ち在高」の一部であるので、損券がない限りにおいて、図17に示す各在高は変化しない。ただし、「手持ち在高」内において、「貨幣管理装置在高」を管理している場合には、装填された金額が、貨幣管理装置在高以外の「手持ち在高」から「貨幣管理装置在高」へ移動する。
処理管理データベース、取引管理データベース、在庫在高、手持ち在高、ポスト在高、機械在高の各情報は、出納機100のRAM15eまたはハードディスクドライブ15gに保存されている。各在高の加算および減算は、制御部15cにおいて実行される。
(回収処理)
図9、図11および図18を参照して、回収処理を説明する。図18は、回収処理時に、図11(C)に続いて貨幣管理装置200の表示部227に表示される画面を示す図である。
IDカード挿入から暗証番号入力までの動作は、図9に示すSTEP11〜15とそれぞれ同様である。ただし、回収処理では、図11(B)(STEP14)において、行員は「2.回収」を選択する。これにより、図11(C)、図18(A)から図18(C)に示す処理名称は、「回収」となる。
次に、行員は、キーボード式操作部226を用いて、資金の移動元を選択する(図9のSTEP16)。回収処理の場合、移動元は、図18(A)に示すように「1.手持ち」または「2.在庫」のいずれかである。貨幣管理装置200から本金庫へ貨幣を回収する場合、行員は、「2.在庫」を選択する。貨幣管理装置200から「行員の手持ち」へ貨幣を装填する場合、行員は、「1.手持ち」を選択する。ここでは、「2.在庫」が選択される。
次に、行員は、キーボード式操作部226を用いて、入出金操作の詳細を入力する(TEP17)。その後、行員による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP18)。入力が完了すると、図18(C)に示すように、現金の回収を促すガイダンスが表示される。
行員がSTEP17で入力した通りに貨幣を貨幣管理装置200から回収する(STEP19)。即ち、行員は、STEP17で入力した金種の貨幣を入力数量分だけ貨幣管理装置200から回収する。このとき、STEP16において行員が「2.在庫」を選択した場合には、行員は、回収した貨幣を本金庫へ入れる。STEP16において行員が「1.手持ち」を選択した場合には、行員は、回収した貨幣を、「行員の手持ち」として行員が手元で管理する。
貨幣管理装置200のロードセル261が実際に回収された貨幣を測定する(図9のSTEP20)。貨幣の測定は、図9の装填処理のときの貨幣の測定と同様に実行される。
実際に回収された貨幣の金種・数量が、STEP17において入力された貨幣の情報と異なる場合(STEP21のNO)には、貨幣管理装置200は、エラーメッセージを表示部に表示するとともに、状態表示部に実際に装填された貨幣の金種・数量が、入力情報と異なることを通知する(STEP22)。さらに、STEP17以降の処理を再度実行する。上記エラーは、エラー表示とともに、あるいは、これに代えて、貨幣管理装置200に設けられたスピーカを介して音声で行員に通知されてもよい。
実際に回収された貨幣の金種・数量が、STEP17において入力された貨幣の情報と同じ場合(STEP21のYES)には、貨幣管理装置200は、インタフェース229を介して、一連の処理情報を処理キューとして出納機100へ送信する(STEP23)。処理キューの送信は、STEP19の後、扉あるいは引き出しを閉める動作またはキーの押下をトリガとして実行される。
処理キューの送信後の貨幣管理装置200の動作は、上記装填処理と同様であるので、その説明を省略する。
図19は、回収時における貨幣管理装置200の処理データの内容を表示した図である。処理データには、回収処理における入力情報が反映されている。例えば、図11(B)(STEP14)で選択された処理メニュー「2.回収」は、図19の処理名称「回収」に反映されている。図18(A)(STEP16)で選択された回収先「2.在庫」は、図19の処理名称のカッコ内の表示「貨幣管理装置→在庫」に反映されている。図18(B)(STEP17)で入力された金種・数量は、図19の「取出分」の金種、数量および金額に反映される。
図14を参照して、回収時における処理キューを説明する。回収処理の処理キューには、図19に示した処理データの内容が反映される。よって、処理名称が「回収」と表示され、処理名称のカッコ内の表示は、処理データのそれと同様に「貨幣管理装置→在庫」となる。また、貨幣管理装置200からの手払い分の金種の数量および金額が処理キューに表示される。
尚、図18(A)(STEP16)において「1.手持ち」が選択された場合、処理データおよび処理キューにおける処理名称のカッコ内の表示は、「貨幣管理装置→手持ち」となる。
次に、処理キューを受信した出納機100での処理を説明する。
図20(A)〜図21(B)は、処理キューを受信した出納機100の表示部15aに表示される画面を示す図である。回収処理の場合、図20(A)および図20(B)に示すように、回収した貨幣の金額を手持ち在高(貨幣管理装置在高)から減算する。上記処理では、万券が1束(100枚)および五千円券が1束(100枚)回収されているので、それぞれ該当する金種から100万円および50万円を減算する。その結果、図20(B)に示すように手持ち在高(貨幣管理装置在高)が減算される。
尚、図18(A)(STEP16)において「1.手持ち」が選択された場合、かつ、貨幣管理装置在高がそれ以外の手持ち在高とは別に管理されている場合、回収した貨幣の金額を貨幣管理装置在高以外の手持ち在高から減算する。
一方、図21(A)および図21(B)に示すように、回収した貨幣の金額を在庫在高に加算する。上記処理では、万券が100枚および五千円券が100枚回収されているので、それぞれに該当する金種に100万円および50万円を加算する。その結果、図21(B)に示すように在庫在高が加算される。
図22は、貨幣管理装置200から在庫への回収処理の流れを示す全体的なイメージを示す概念図である。貨幣管理装置200において、行員が処理として「回収」を選択し、かつ、回収先として「在庫」を選択する(図9のSTEP14、16)。回収処理の実行後、貨幣管理装置200は、処理キューを保存し、かつ、処理キューを出納機100へ送信する(STEP13)。
出納機100では、受信した処理キューを処理管理データベースに登録する。その後、処理キューの内容に従って、各在高を更新する。本実施形態では、貨幣管理装置200から在庫へ貨幣が回収されている。従って、出納機100において、回収された金額を手持ち在高のデータから減算し、一方、回収された金額を在庫在高のデータに加算する。このとき、機械在高は不変である。
もし、回収された貨幣に損券があった場合、損券の金種、数量および金額は、在庫在高に加算することなく、ポスト在高に加算される。
回収処理のその他の動作は装填処理の動作から容易に推測できるので、その説明を省略する。
(収納処理)
図9、図11および図23を参照して、貨幣管理装置200における収納処理を説明する。図23は、収納処理時に、図11(C)に続いて貨幣管理装置200の表示部227に表示される画面を示す図である。
IDカード挿入から暗証番号入力までの動作は、図9に示すSTEP11〜15とそれぞれ同様である。ただし、収納処理では、図11(B)(STEP14)において、行員は「3.収納」を選択する。これにより、図11(C)、図23(A)から図23(C)に示す処理名称は、「収納」となる。
次に、行員は、キーボード式操作部226を用いて、資金の移動元として収納先を選択する(STEP16)。収納先は、図23(A)に示すように「1.行員手持ち」または「2.貨幣管理装置」のいずれかである。顧客から預かった貨幣を貨幣管理装置200へ貨幣を回収する場合、行員は、「2.貨幣管理装置」を選択する。顧客から預かった貨幣を行員の手元に置いて管理する場合、行員は、「1.行員手持ち」を選択する。ここでは、「2.貨幣管理装置」が選択されている。
次に、行員は、キーボード式操作部226を用いて、入出金操作の詳細を入力する(STEP17)。
その後、行員による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP18)。入力が完了すると、図23(C)に示すように、現金の収納を促すガイダンスが表示される。
行員が、図9のSTEP17で入力した通りに貨幣を貨幣管理装置200に収納する(STEP19)。即ち、行員は、STEP17で入力した金種の貨幣を入力数量分だけ貨幣管理装置200に収納する。貨幣管理装置200のロードセル261が実際に収納された貨幣を測定する(STEP20)。貨幣の測定は、装填処理および回収処理のときと同様に実行される。
実際に収納された貨幣の金種、数量および/または金額が、STEP17において入力された貨幣の情報と異なる場合(STEP21のNO)には、貨幣管理装置200は、エラーメッセージを表示部に表示し、かつ、状態表示部に実際に装填された貨幣の金種・数量が入力情報と異なることを通知する(STEP22)。それと共に、STEP17以降の処理を再度実行する。上記エラーは、エラー表示とともに、あるいは、これに代えて、貨幣管理装置200に設けられたスピーカを介して音声で行員に通知されてもよい。
実際に収納された貨幣の金種・数量が、STEP17において入力された貨幣の情報と同じ場合(STEP20のYES)には、貨幣管理装置200は、インタフェース229を介して、一連の処理情報を処理キューとして出納機100へ送信する(STEP23)。処理キューの送信は、STEP19の後、扉あるいは引き出しを閉める動作またはキーの押下をトリガとして実行される。
処理キューの送信後の貨幣管理装置200の動作は、上記装填処理と同様であるので、その説明を省略する。
図24は、収納時における貨幣管理装置200の処理データの内容を表示した図である。処理データには、収納処理における入力情報が反映されている。例えば、図11(B)(STEP14)で選択された処理メニュー「3.収納」は、図24の処理名称「収納」に反映される。図23(A)(STEP16)で選択された収納先「2.貨幣管理装置」は、図24の処理名称のカッコ内の表示「顧客→貨幣管理装置」に反映される。図23(B)(STEP17)で入力された金種・数量は、図24の「収納分」の金種、数量および金額に反映される。
図14を参照して、収納処理時における処理キューを説明する。収納処理の処理キューには、図24に示した処理データの内容が反映される。よって、処理名称が「収納」と表示され、処理名称のカッコ内の表示は、処理データのそれと同様に「顧客→貨幣管理装置」となる。また、貨幣管理装置200からの手入力分の貨幣の金種の数量および/または金額が処理キューに表示される。
尚、図23(A)(STEP16)において「1.行員手持ち」が選択された場合、STEP19において貨幣管理装置200へ貨幣を収納する処理は実行されず、行員は手元で当該貨幣を管理する。この場合、STEP17において、行員が金種・数量を入力した後、STEP18の入力完了キーの操作をトリガとして、STEP20における貨幣の測定が実行される。また、この場合、処理データおよび処理キューにおける処理名称のカッコ内の表示は、「顧客→行員手持ち」となる。
次に、処理キューを受信した出納機100での処理を説明する。
図25(A)および図25(B)は、処理キューを受信した出納機100の表示部15aに表示される画面を示す図である。貨幣管理装置200への収納処理の場合、図25(A)および図25(B)に示すように、出納機100は、収納した貨幣の金額を手持ち在高(貨幣管理装置在高)に加算する。上記処理では、万券が1束(100枚)および五千円券が1束(100枚)収納されているので、出納機100は、それぞれに該当する金種に100万円および50万円を加算する。その結果、図25(B)に示すように手持ち在高が加算される。
尚、図23(A)(STEP16)において「1.行員手持ち」が選択され、かつ、貨幣管理装置在高がそれ以外の手持ち在高とは別に管理されている場合、出納機100は、収納した貨幣の金額を貨幣管理装置在高以外の手持ち在高へ加算する。
図26は、貨幣管理装置200への収納処理の流れを示す全体的なイメージを示す概念図である。まず、貨幣管理装置200において、行員が処理として「収納」を選択し、かつ、収納先として「貨幣管理装置」を選択する(図9のSTEP14、16)。収納処理の実行後、貨幣管理装置200は、処理キューを保存し、かつ、処理キューを出納機100へ送信する(STEP23)。
出納機100では、受信した処理キューを処理管理データベースに登録する。その後、処理キューの内容に従って、各在高を更新する。本実施形態では、貨幣管理装置200へ貨幣が収納されている。従って、収納された金額を手持ち在高のデータに加算する。このとき、在庫在高、機械在高は不変である。
もし、回収された貨幣に損券があった場合、損券の金種、数量および金額は、手持ち在高に加算することなく、ポスト在高に加算される。
その他の収納処理は装填処理から容易に推測できるので、その説明を省略する。
(取出処理)
図9、図11および図27を参照して、貨幣管理装置200における取出処理を説明する。図27(A)〜図27(D)は、取出処理時に、図11(C)に続いて貨幣管理装置200の表示部227に表示される画面を示す図である。
IDカード挿入から暗証番号入力までの動作は、図9に示すSTEP11〜15とそれぞれ同様である。ただし、取出処理では、図11(B)(STEP14)において、行員は「4.取出」を選択する。これにより、図11(C)、図27(A)から図27(C)に示す処理名称は、「取出」となる。
次に、行員は、キーボード式操作部226を用いて、資金の移動元としての取出元を選択する(STEP16)。取出元は、図27(A)に示すように「1.行員手持ち」または「2.貨幣管理装置」のいずれかである。顧客へ支払う貨幣を貨幣管理装置200から取り出す場合、行員は、「2.貨幣管理装置」を選択する。「行員の手持ち」から顧客へ貨幣を支払う場合、行員は、「1.行員手持ち」を選択する。ここでは、「2.貨幣管理装置」が選択される。
次に、行員は、キーボード式操作部226を用いて、入出金操作の詳細を入力する(STEP17)。
その後、行員による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP18)。入力が完了すると、図27(C)に示すように、現金の取出を促すガイダンスが表示される。
行員がSTEP17で入力した通りに貨幣を貨幣管理装置200から取り出す(STEP19)。即ち、行員は、STEP17で入力した金種の貨幣を入力数量分だけ貨幣管理装置200から取り出す。貨幣管理装置200のロードセル261が実際に取出された貨幣を測定する(STEP20)。
実際に取出された貨幣の金種・数量が、STEP17において入力された貨幣の情報と異なる場合(STEP21のNO)には、貨幣管理装置200は、エラーメッセージ表示部にエラーを表示するとともに、状態表示部に実際に取出された貨幣の金種・数量が、入力情報と異なることを通知する(STEP22)。さらに、STEP17以降の処理を再度実行する。上記エラーは、エラー表示とともに、あるいは、これに代えて、貨幣管理装置200に設けられたスピーカを介して音声で行員に通知されてもよい。
実際に取出された貨幣の金種・数量が、STEP17において入力された貨幣の情報と同じ場合(STEP20のYES)には、貨幣管理装置200は、インタフェース229を介して、一連の処理情報を処理キューとして出納機100へ送信する(STEP23)。処理キューの送信は、STEP19の後、扉あるいは引き出しを閉める動作またはキーの押下をトリガとして実行される。
処理キューの送信後の貨幣管理装置200の動作は、上記装填処理と同様であるので、その説明を省略する。
図28は、取出処理時における貨幣管理装置200の処理データの内容を表示した図である。処理データには、取出処理における入力情報が反映されている。例えば、図11(B)(STEP14)で選択された処理メニュー「4.取出」は、図28の処理名称「取出」に反映されている。図35(A)(STEP16)で選択された取出先「2.貨幣管理装置」は、図28の処理名称のカッコ内の表示「貨幣管理装置→顧客」に反映されている。図27(B)(STEP17)で入力された金種・数量は、図28の「取出分」の金種、数量および金額に反映されている。
図14を参照して、取出処理時における処理キューを説明する。取出処理の処理キューには、図28に示した処理データの内容が反映される。よって、処理名称が「取出」と表示され、処理名称のカッコ内の表示は、処理データのそれと同様に「貨幣管理装置→顧客」となる。また、貨幣管理装置200から取出された貨幣の金種の数量および/または金額が処理キューに表示される。
尚、図27(A)(STEP16)において「1.行員手持ち」が選択された場合、図9のSTEP19において貨幣管理装置200から貨幣を取り出す処理は実行されず、行員は手元で管理している「行員の手持ち」から貨幣を取り出す。この場合、STEP17において、行員が金種・数量を入力した後、STEP18の入力完了キーの操作をトリガとして、STEP20における貨幣の測定が実行される。また、この場合、処理データおよび処理キューにおける処理名称のカッコ内の表示は、「行員手持ち→顧客」となる。
次に、処理キューを受信した出納機100での処理を説明する。
図29(A)および図29(B)は、処理キューを受信した出納機100の表示部15aに表示される画面を示す図である。貨幣管理装置200からの取出処理の場合、出納機100は、取出した貨幣の金額を手持ち在高(貨幣管理装置在高)から減算する。上記処理では、万券が1束(100枚)および五千円券が1束(100枚)取出されているので、出納機100は、それぞれに該当する金種から100万円および50万円を減算する。その結果、図29(B)に示すように手持ち在高が更新される。
尚、図27(A)(STEP76)において「1.行員手持ち」が選択され、かつ、貨幣管理装置在高がそれ以外の手持ち在高とは別に管理されている場合、出納機100は、取出した貨幣の金額を貨幣管理装置在高以外の手持ち在高から減算する。
図30は、貨幣管理装置200からの取出処理の流れを示す全体的なイメージを示す概念図である。まず、貨幣管理装置200において、行員が処理として「取出」を選択し、かつ、取出元として「貨幣管理装置」を選択する(図9のSTEP14、16)。取出処理の実行後、貨幣管理装置200は、処理キューを保存し、かつ、処理キューを出納機100へ送信する(図9のSTEP23)。
出納機100では、処理キューを処理管理データベースに登録する。その後、処理キューの内容に従って、各在高を更新する。本実施形態では、貨幣管理装置200から貨幣が取出されている。従って、取出された金額を手持ち在高のデータから減算する。このとき、在庫在高、機械在高は不変である。
その他の取出処理は装填処理から容易に推測できるので、その説明を省略する。
以上、「装填」、「回収、「収納」、「取出」の処理について説明したが、貨幣管理装置200におけるその他の処理についても、貨幣管理装置200から出納機100へ処理キューを送信し、出納機100において、各在高を一元管理してもよい。
在庫(本金庫)へ回収した貨幣および在庫から取出した貨幣については、貨幣管理装置200を介すことなく、在庫(本金庫)から出納機100へ処理データが送信される。
本実施形態に係る貨幣管理システム及び貨幣管理方法によれば、出納機100と共に貨幣管理システムを構成する貨幣管理装置200は、通信回線を接続解除し、あるいは、通信回線の接続を維持したまま、任意の場所に移動して使用することができ、かつ、出納機100及び貨幣管理装置200が関係する入出金操作に関する処理情報を、出納機100へ送信することができる。これにより、出納機100は、在庫在高、機械在高及びポスト在高に加えて、貨幣管理装置在高を含む手持ち在高についても正確に一元管理するができる。
また、行員が貨幣管理装置200から貨幣を入金または出金したときに、行員は出納機100の操作をする必要が無い。従って、行員による出納機100のみの操作によって、出納機100において正確且つ総合的な金融機関内の在高を一元管理することができる。その結果、行員の手間を省くことができ、低コストな業務運営を実現することができる。
尚、出納機100と貨幣管理装置200との間の資金移動は、一旦、「行員の手持ち」として扱われるため、上記取出処理を実行後、行員が出納機100に当該貨幣を収納することによって、出納機100が手持ち在高から機械在高へ当該貨幣の金額を移動させる。
本実施形態では、貨幣管理装置200から送信される処理キューは、出納機100のハードディスクドライブ15g等の記憶装置に記憶される。しかし、出納機100の記憶装置に記憶せずに出納機100が貨幣管理装置200に問い合わせを行ったときのみ、貨幣管理装置200は、ハードディスクドライブ225g等に保持されている処理キューを出納機100へ送信してもよい。
また、出納機100と貨幣管理装置200とにおいて貨幣移動処理を処理キューにより管理することによって、一つの処理キューに設定された貨幣管理装置200における入出金処理と在庫または行員の手持ちにおける入出金処理とを別個の操作者が実行することもできる。これにより、両方の処理を一人の操作者が実行する場合と比較して、両方の貨幣移動処理が完了するまでの時間を大幅に短縮することができる。さらには、両方の貨幣移動処理をほぼ同時に完了させることもできる。