図1は、本発明の一実施の形態を示すシステム概略図である。図1に示す貨幣処理システム300は、互いに通信可能に構成された出納機100と貨幣管理装置200(現金バスとも呼ばれる)とを備えている。出納機100が、貨幣処理本体機として機能し、貨幣管理装置200が、貨幣処理端末機として機能するようになっている。出納機100及び貨幣管理装置200は、それぞれ、上位の貨幣処理装置及び下位の貨幣処理装置、として理解されてもよい。すなわち、例えば、両者が同一仕様の貨幣処理装置によって構成されていてもよい。また、1台の出納機100に対して、複数台の貨幣管理装置200が通信可能に設けられてもよい。
図2は、出納機100の外観を示す斜視図である。図3は、出納機100の機能ブロック図である。
図2に示すように、出納機100は、束紙幣を処理する束紙幣処理部P1及びバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部P2からなる紙幣処理装置11と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理装置12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理装置13と、を備えている。図2中、21は束紙幣を出金する束紙幣出金口、22はバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口、23は包装硬貨を出金する包装硬貨出金口、24はバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口、である。
また、この出納機100は、現金以外の小切手等の有価証券類を投入する現金外ボックス14、出納機100全体を制御する制御部15、制御部15に各種の指示を与えるキーボード式操作部16、制御部15による指示に従って印字処理を行う外部プリンタ18、を備えている。外部プリンタ18は、レシート発行装置として機能するようになっている。本実施の形態では、許可者に対して操作情報を提供するために、操作情報に対応する4桁の数字が表示されたレシートが発行されるようになっている。
制御部15は、その一部として、営業員及び管理者とのインターフェースとしての表示部15aと、営業員及び管理者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ15bと、を備えている。本実施の形態においてはIDカードリーダが用いられているが、これに限られず、公知の顔認証端末や、指に流れる静脈を認証するもの等、使用者本人を認証するものであれば何を用いても構わない。
また、図3に示すように、この制御部15は、各種プログラム及びデータを格納したROM15d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM15e、フレキシブルディスクに対してデータを読み書きするフレキシブルディスクドライブ15f、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ15g、ROM15dやハードディスクドライブ15g内に格納されたプログラムを実行等して出納機100全体を制御する制御本体部15c、を備えている。
また、図3に示すように、出納機100は、貨幣管理装置200との間でデータ通信を行う通信インターフェース(通信IF)19を備えている。これにより、出納機100(貨幣処理本体機)と貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)とは、互いに通信可能となっている。
図4は、貨幣管理装置200の外観を示す斜視図である。図4に示すように、貨幣管理装置200は、初期設定状態において、1万円紙幣を収納保管するように設定された第1紙幣収納ドロア211(例えば4つの紙幣保管容器を有する)と、その他の金種の紙幣を収納保管するように設定された第2紙幣収納ドロア212(後述するように、例えば4つの紙幣保管容器を有する)と、100円と10円と1円の硬貨を収納保管するように設定された第1硬貨収納ドロア213(例えば3つの硬貨保管容器を有する)と、500円と50円と5円の硬貨を収納保管するように設定された第2硬貨収納ドロア214(後述するように、例えば3つの硬貨保管容器を有する)と、現金以外の小切手等の有価証券類を投入することができる予備収納ドロア215と、を有している。
また、この貨幣管理装置200は、貨幣管理装置200の全体を制御する制御装置225(制御手段)と、制御装置225に各種の指示を与えるキーボード式操作部226と、使用者(営業員及び管理者)とのインターフェースとしての表示部227と、収納庫に貨幣を入出する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228と、を備えている。
IDカードの内容、すなわち、IDカードに記憶されたID情報は、使用者情報の一態様であり、IDカードリーダ228は、使用者情報取得手段の一態様である。図4の例では、接触式のIDカードリーダ228が採用されているが、非接触式のカードリーダが採用されてもよい。また、IDカードリーダの他に、出納機100と同様、顔認証や静脈認証等を利用するための機器が採用されてもよい。
図5は、貨幣管理装置200の第2紙幣収納ドロア212の斜視図である。図5に示すように、第2紙幣収納ドロア212は、初期設定状態において、3種類の金種の紙幣の束が規則正しく収納保管されるように設定されている。図5の例では、第2紙幣収納ドロア212の内部に、4つの紙幣保管容器221〜224が区画部として配置されており、各容器毎(各区画部毎)に、収納保管される紙幣の金種を設定できるようになっている。
各紙幣保管容器221〜224毎(各区画部毎)の、収納保管される紙幣の金種の設定変更は、キーボード式操作部226を介して制御装置225に対して使用者によって行われる。また、紙幣の金種の他、非現金を設定することも可能である。例えば、もっとも手前側の領域である紙幣保管容器221を、「非現金」に設定変更することができる。
図6は、貨幣管理装置200の第2硬貨収納ドロア214の斜視図である。図6に示すように、第2硬貨収納ドロア214は、初期設定状態において、3種類の金種の棒金状態の硬貨が規則正しく収納保管されるように設定されている。図6の例では、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの硬貨保管容器241〜243が区画部として配置されており、各容器毎(各区画部毎)に、収納保管される硬貨の金種を設定できるようになっている。
各硬貨保管容器241〜243毎(各区画部毎)の、収納保管される硬貨の金種の設定変更は、キーボード式操作部226を介して制御装置225に対して使用者によって行われる。また、必要に応じて、各硬貨保管容器241〜243内のハニカム状のスペーサが、収納保管する硬貨の金種に対応させるべく、使用者によって交換される。また、硬貨の金種の他、非現金を設定することも可能である。その場合には、ハニカム状のスペーサが取り外されることが好ましい。例えば、500円硬貨の流通量(入出量)が多くて5円硬貨の流通量が全く無いという状況では、当該状況に合致させるべく、初期設定では5円硬貨を収納する容器であった硬貨保管容器242を、「500円(硬貨)」に設定変更することができる。
図7は、図6の硬貨保管容器241の側面概略図である。図7に示すように、硬貨保管容器241の底面には、硬貨保管容器241内に収納保管される硬貨の重量を測定するための測定手段として、ロードセル261が設けられている。ロードセルの構成の詳細については十分に知られていると思われるので、ここでの説明は省略する。他の硬貨保管容器242、243、並びに、紙幣保管容器221〜224についても、同様にロードセルが設けられている。このような構成によって、各容器毎(各区画部毎)に、収納保管されている貨幣の重量が測定されるようになっている。
その他、図8は、予備収納庫(予備ドロア)215の斜視図である。図8に示すように、予備収納庫215には、硬貨予備収納部251及び紙幣予備収納部252の他に、現金以外の有価証券類を投入することができる空スペース253が設けられている。
続いて、図9は、貨幣管理装置200の制御装置225の機能ブロック図である。制御装置225は、各種プログラム及びデータを格納したROM225d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM225e、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ225g、ROM225dやハードディスクドライブ225g内に格納されたプログラムを実行等して貨幣管理装置200全体を制御する演算制御部225c、を備えている。
各容器毎に設定ないし設定変更された金種あるいは非現金の情報は、ハードディスクドライブ225gに記憶されるようになっている。
演算制御部225c(演算手段)は、各容器毎(各区画部毎)に対応して設けられたロードセル(重量測定手段)、ROM225d及びハードディスク225gに接続されており、ロードセルの出力値に基づいて、収納保管された貨幣の重量に対応する貨幣の金額を算出できるようになっている。具体的には、ROM225dには、金種に対応する情報として、各金種毎に、各ロードセルの出力値(概ね重量の一次関数である)と収納保管された貨幣の金額とを対応付けるテーブル情報(換算式であってもよい)が、記憶されている。そして、演算制御部225c(演算手段)は、ROM225dに記憶された当該テーブル情報と、ハードディスク225gに記憶された各容器毎に設定された金種の情報と、に基づいて、各容器毎(各ロードセル毎)に、収納保管された貨幣の重量に対応する貨幣の金額を算出するようになっている。
ここで、演算制御部225c(演算手段)は、非現金が設定された容器については、貨幣の金額を算出しないようになっている(ロードセルの変形(出力信号)を無視する(計算プロセスに導かない)ようになっている)。そして、演算制御部225c(演算手段)は、計算された貨幣の金額のみの合計金額を算出するようになっている。
そして、ハードディスクドライブ225gが、演算制御部225c(記憶手段)によって算出された貨幣の合計金額を記憶するようになっている。本実施の形態では、ここで、IDカードリーダ228が読み取るID情報(使用者情報)も、算出された貨幣の合計金額(入出操作後の収納保管金額)と対応させた態様で、ハードディスクドライブ225gに記憶されるようになっている。
本実施の形態では、更に、キーボード式操作部226(入力手段)において、収納庫に対して入出される貨幣の金額が入力されるようになっており、演算制御部225cが、精査手段として、ロードセルの出力値から算出された金額と、キーボード式操作部226で入力された金額と、を精査できるようになっている。
また、図9に示すように、貨幣管理装置200は、出納機100との間でデータ通信を行う通信インターフェース(通信IF)229を備えている。これにより、貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)と出納機100(貨幣処理本体機)とは、互いに通信可能となっている。
また、本実施の形態の制御装置225は、ロック制御手段として、各ドロア211〜215に設けられた開閉電磁ロック211m〜215mに接続されていて、各ドロア211〜215を、貨幣等の入出が可能な開状態と貨幣等の入出が不可能なロック状態との間で切替えることができるようになっている。
この切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合が採用されている。具体的には、例えば、予め許可者として設定された使用者のID情報(使用者情報)が、ハードディスクドライブ225gに記憶されていて、IDカードリーダ228(使用者情報取得手段)が読み取ったID情報が、使用者識別手段としての演算制御部225cによって、許可者のID情報に対して照合されるようになっている。照合の結果がYESである、すなわち、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が、予め許可者として設定された使用者のID情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣等の入出が可能な開状態とすることができる。
別の切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合に加えて、操作情報の照合も採用され得る。操作情報とは、例えば入出金操作毎に設定される操作情報であり、通常は入出金の金種及び金額のデータであるが、入出操作の手順に関するデータを含むこともあり得る。操作情報の照合の具体的態様としては、例えば、予め許可操作として設定された操作の操作情報が、出納機100から通信機能を利用して例えばRAM225eに転送記憶され、一方、使用者によって、操作情報に対応する4桁の操作番号が、キーボード式操作部226(操作情報取得手段)で入力され得る。そして、入力された4桁の操作番号の情報が、操作識別手段としての演算制御部225cによって、転送記憶された操作情報に対して照合され得る。この場合、照合の結果がYESである、すなわち、入力された4桁の操作番号が、転送記憶された許可操作の操作情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣等の入出が可能な開状態とすることができる。この態様においては、好適なことに、入出操作の具体的内容に即して、開閉電磁ロック211m〜215mを個別に制御することが可能である。具体的には、入出対象である金種を収納するドロアのみを、開状態に切り替えることができる。更には、複数のドロアが同時には開状態にならないように、各ドロアを順に開状態に切り換えるという制御態様を採用することも可能である。
その他、本実施の形態では、貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)と出納機100(貨幣処理本体機)とが互いに通信可能であることを利用して、更に以下のような構成が採用されている。
出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15は、通信機能を利用して貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)の在高データを確認及び/または精査するための在高データ遠隔確認部として機能できるように構成されている。具体的には、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、通信インターフェース(通信IF)19及び通信インターフェース(通信IF)229を介して、精査手段である演算制御部225cを制御できるようになっている。
また、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15は、通信インターフェース(通信IF)19及び通信インターフェース(通信IF)229を介して、開閉電磁ロック211m〜215mをも制御できるようになっている。
具体的には、通信インターフェース(通信IF)229が、開閉電磁ロック211m〜215m(ロック装置)を制御して開状態とするためのロック解除信号を受信するロック解除信号受信部として機能するようになっており、これに対応して、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、所定の条件下で、ロック解除信号を通信インターフェース(通信IF)19を介して通信インターフェース(通信IF)229に対して送信するように構成されている。
このように、開閉電磁ロック211m〜215mの制御が出納機100の側で行われる場合には、出納機100の側で制御の具体的条件を設定ないし調整することができるため、各ドロアの開閉操作の管理、ひいては貨幣等の入出操作の管理を、より集中的に行うことが可能となる。
この場合、開閉電磁ロック211m〜215mは、それが開状態とされてから各ドロアの開閉操作が行われた後、自動的にロック状態となるように構成されることが好ましい。あるいは、開閉電磁ロック211m〜215mは、それが開状態とされてから所定時間が経過した後、自動的にロック状態となるように構成されることが好ましい。
更に好ましくは、通信インターフェース(通信IF)229が、開閉電磁ロック211m〜215m(ロック装置)を制御してロック状態とするためのロック信号を受信するロック信号受信部として機能するようになっており、これに対応して、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、所定の条件下で、ロック信号を通信インターフェース(通信IF)19を介して通信インターフェース(通信IF)229に対して送信するように構成され得る。
この場合、貨幣管理装置200は、各ドロア211〜215の開状態から閉状態への変化を検知する閉動作検知装置211c〜215cを更に備えて、当該閉動作検知装置による検知信号が出納機100に送信され、出納機100が当該検知信号を受信した際に前記ロック信号を送信するようになっていることが好ましい。この場合、各ドロアのロック制御の管理を、出納機100側でより集中的に行うことが可能となる。
あるいは、開閉電磁ロック211m〜215mは、開状態とされてから所定時間が経過しても依然として開状態である場合に、自動的にロック状態となるように構成されていることが好ましい。また、貨幣管理装置200は、各ドロア211〜215の閉状態から開状態への変化を検知する開動作検知装置211o〜215oを更に備えることが好ましい。
その他、各ドロア211〜215の開状態が所定時間以上継続している際に報知信号を出力する報知装置(アラーム装置)280が更に設けられている。
また、図9における鍵検知部290とは、貨幣管理装置200の電源off時にドロアの開閉が行われる際に、そのことを検知するセンサ装置である。これは、少なくとも当該技術分野においては新しい技術であるが、本発明の概念とは直接には関連しないので、ここでの説明は省略する。
次に、以上に説明した貨幣処理システムの動作例について、フローチャートを参照しながら説明する。
図10は、出納機100の側での入出操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ15bによって、出納機100の操作者のID情報が読み取られる(STEP11)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、出納機100の操作許可者であるか否かが識別される(STEP12)。
操作許可者であれば、出納機100の操作メニューが表示部15aに表示される(STEP13)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて操作内容を入力する(STEP14)。ここで、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP15)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて、入出操作の詳細を入力する(STEP16)。具体的には、入出対象の金種や金額(束数あるいは本数でもよい)のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP17)。出納機100は、入力された入出操作の詳細に対して、操作情報としての操作番号(連動番号と呼ぶこともある)を特定(発行)し、当該操作番号と実際の入出操作の詳細な内容との対応付けをハードディスク15gに記憶する(STEP18)。また、レシート発行装置18から、当該操作番号が表示されたレシートを発行する(STEP19)。
図11は、現金管理装置200における入出操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ228によって、現金管理装置200の操作者のID情報が読み取られる(STEP21)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、現金管理装置200の操作許可者であるか否かが識別される(STEP22)。
操作許可者であれば、現金管理装置200の操作メニューが表示部227に表示される(STEP23)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて操作内容を入力する(STEP24)。
まず、出納機100との連動処理が選択される場合について先に説明する。
連動処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP25)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて、出納機100にて発行された操作番号(連動番号)を入力する(STEP26)。これにより、現金管理装置200は、通信機能を利用して、出納機100のハードディスク15gに記憶された対応付け情報に基づいて、当該操作番号に対応する入出操作の詳細情報(処理キューと呼ばれる:入出操作対象である金種ないし金額のデータの他、ドロアの開閉手順のデータが含まれ得る)をピックアップし(STEP27)、その一部の情報(全部でもよい)を操作者の確認のために表示する(STEP28)。確認の後、操作者による入力完了キーの操作によって、入出準備完了が検知される(STEP29)。
次に、出納機100との非連動処理が選択される場合について説明する。この場合のプロセスは、従来の現金管理装置のプロセスと略同様である。
非連動処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP125)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて、入出操作の詳細を入力する(STEP126)。具体的には、入出対象の金種や金額(束数あるいは本数でもよい)のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP127)。
続いて、図12は、現金管理装置200におけるドロア開閉プロセスの一例のフローチャートである。ここでは、入出操作の詳細情報(処理キュー)に基づいて、開状態にされるドロアの順序が決定されているものとする。
まず、最初に開状態になるドロアに対応する電磁開閉ロックのロックが解除される(STEP31)。ロック解除制御は、現金管理装置200内の制御部225によって行われてもよいし、通信機能を介して出納機100の制御部15によって行われてもよい。
ロックが解除されたドロアは、操作者によって開放され、貨幣の入出操作が行われる。ここで、ロックが解除されてから所定時間が経過してもドロアが開放されない場合には、報知装置280がアラームをならすようになっている(STEP32)。また、ドロアが開けられてから所定時間が経過しても閉じられない場合にも、報知装置280がアラームをならすようになっている(STEP33)。
貨幣の入出操作が順調に終了して、操作者がドロアを閉じると、当該ドロアに対応する電磁開閉ロックがロック状態にされる(STEP34)。このロック制御も、現金管理装置200内の制御部225によって行われてもよいし、通信機能を介して出納機100の制御部15によって行われてもよい。
そして、他のドロア(金種)に対する入出処理が残っていれば、次に開状態になるドロアに対して処理が繰り返され、他のドロア(金種)に対する入出処理が無ければ、入出処理は終了して精査プロセスに行く。
図13は、現金管理装置200における精査プロセスの一例のフローチャートである。
この精査プロセスは、出納機100との連動処理においては操作番号の入力を介して得られた入出操作の詳細情報に基づいて、非連動処理においてはキーボード式操作部226での入力を介して得られた入出操作の詳細情報に基づいて、実際に入出された貨幣の金額がそれら情報に合致しているか否かを判別するプロセスである。実際に入出された貨幣の金額については、ロードセルを用いた貨幣重量の測定結果から算出される(STEP41)。
精査の結果、金額が合致する場合には、その取引内容(操作内容と操作者との双方の情報を含む)がハードディスク225gに記憶される(STEP42)。必要な場合には、不図示のプリンタから、処理結果が印字されてもよい(STEP43)。
精査の結果、金額が合致しない場合には、合致しない金種(の全て)に対して、図12に示したドロア開閉プロセスが再実行される(STEP44)。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、現金管理装置200を使用可能(入出操作可能)状態にするための条件として、使用者のID情報の照合のみならず、操作情報の照合をも採用していることにより、使用者の誤操作を効果的に防止することができる一方、操作記録を管理することも極めて容易である。
特に、操作情報として、入出金操作毎に設定(発行)される4桁(3桁以上が好ましい)の操作番号(連動番号)を採用しているため、取り扱いが容易である一方で、当該操作番号から操作内容が知られる畏れもない。
また、操作番号に対応する入出金データが出納機100から現金管理装置200に転送されることにより、入出金データ自体を使用者が手入力等する必要がなく、従って、使用者による誤操作が効果的に防止される。
また、本実施の形態によれば、貨幣の入出操作の度に精査プロセスを実施することによって、入出操作に誤りがないか入出操作毎に精査することができる。これにより、使用者の誤操作を効果的に防止することができる一方、操作記録(入出記録)を入出操作毎に管理することも極めて容易である。更に、本実施の形態によれば、入出操作に対応付けて使用者情報をも容易に管理することができる。
また、本実施の形態によれば、現金管理装置200の演算制御部225c(演算手段)が、紙幣保管容器毎及び硬貨保管容器毎(区画部毎)に、金種が設定された紙幣保管容器221〜224及び硬貨保管容器241〜243については当該金種に対応するテーブル情報(ROM225dに記憶されている)に基づいて収納保管された貨幣の金額を計算すると共に、非現金が設定された容器(例えば紙幣保管容器221)については収納保管された貨幣の金額を計算しない(ロードセルの出力値を処理しない)ようになっているため、容器の各々に設定される金種あるいは非現金が設定変更可能である一方で、常に正しく貨幣の金額を計算することができる。
特に、非現金を収納する容器(区画部)を増減できることにより、非現金を収納する装置を別途に設ける必要からかなり解放される。このことは、装置設置スペース上の観点に加えて、非現金の保管・管理上の観点からみても、顕著に優れた効果である。
なお、各容器(各区画部)の金種あるいは非現金の設定を変更する作業については、入出操作を行う使用者に普通にその権限を与えてもよいし、特別なクラスの使用者のみにその権限を限定して与えてもよい。本実施の形態では、使用者のID情報の照合を利用できるため、そのような運用を採用することが容易に可能である。また、金種あるいは非現金の設定を変更するタイミングについても、入出操作を行う際に変更可能であるという態様が採用されてもよいし、入出操作とは別途の作業としてのみ変更可能であるという態様が採用されてもよい。
各容器(各区画部)の金種あるいは非現金の設定が変更されると、現金管理装置200の全体が収納できる各金種の最大数が変更されることになり、結果的に、その後の入出操作の許否に影響する。従って、各容器(各区画部)の金種あるいは非現金の設定が変更された場合には、当該情報が通信機能を利用して出納機100に送られることが好ましい。
また、本実施の形態では、紙幣保管容器221〜224を硬貨の収納に利用したり、硬貨保管容器241〜243を紙幣の収容に利用したりすることまでは考慮していないが、そのような態様が採用されて良いことは勿論である。
その他、本実施の形態によれば、出納機100の側でロック解除信号及び/またはロック信号の送信条件を設定ないし調整することができる。この場合、貨幣の入出操作の管理を集約的に行うことが可能である。これは特に、複数台の現金管理装置200を含むシステムにおいて有効である。
なお、前述の説明では、使用者のID情報の照合と操作情報の照合とが現金管理装置200の側で行われているが、データが実際に照合される場所は特に限定されない。すなわち、これらの照合は、現金管理装置200の側で行われてもよいし、出納機100の側で行われてもよいし、それらに接続された他のハードウェアを利用して行われてもよい。また、照合のための各データの転送のタイミングについても、公知の種々の態様から適宜に選択されて採用される。
その他、精査プロセスのために用いられる収納貨幣量の測定手段としては、ロードセルのような重量センサの他、収納保管された貨幣の空間占有状態を測定するセンサが用いられてもよい。収納保管された貨幣は、その量に応じて、保管容器の内部における占有体積が当然に異なるため、貨幣の空間占有状態(例えば保管容器のどの部位まで貨幣によって占有されているか、あるいは、保管されている束紙幣の束数ないし包装硬貨の本数(どれだけ入っているか))を検出することによって、保管容器内に収納されている収納貨幣の量を得ることができる。この場合、設定された金種に対応する情報は、そのようなセンサの出力と収納保管された貨幣の金額とを対応付けるテーブル情報あるいは換算式であり得る。そのようなセンサとしては、例えばLEDからなるラインセンサが用いられる。