図1は、本発明の第1の実施の形態を示すシステム概略図である。図1に示す貨幣処理システム300は、互いに通信可能に構成された出納機100と貨幣管理装置200(現金バスとも呼ばれる)とを備えている。出納機100が、貨幣処理本体機として機能し、貨幣管理装置200が、貨幣処理端末機として機能するようになっている。出納機100及び貨幣管理装置200は、それぞれ、上位の貨幣処理装置及び下位の貨幣処理装置、として理解されてもよい。すなわち、例えば、両者が同一仕様の貨幣処理装置によって構成されていてもよい。また、1台の出納機100に対して、複数台の貨幣管理装置200が通信可能に設けられてもよい。
図2は、出納機100の外観を示す斜視図である。図3は、出納機100の機能ブロック図である。
図2に示すように、出納機100は、束紙幣を処理する束紙幣処理部P1及びバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部P2からなる紙幣処理装置11と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理装置12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理装置13と、を備えている。図2中、21は束紙幣を出金する束紙幣出金口、22はバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口、23は包装硬貨を出金する包装硬貨出金口、24はバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口、である。
また、この出納機100は、現金以外の有価証券類を投入する現金外ボックス14、出納機100全体を制御する制御部15、制御部15に各種の指示を与えるキーボード式操作部16、制御部15による指示に従って印字処理を行う外部プリンタ18、を備えている。外部プリンタ18は、レシート発行装置として機能するようになっている。本実施の形態では、許可者に対して操作情報を提供するために、操作情報に対応する4桁の数字が表示されたレシートが発行されるようになっている。
制御部15は、その一部として、営業員及び管理者とのインターフェースとしての表示部15aと、営業員及び管理者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ15bと、を備えている。本実施の形態においてはIDカードリーダが用いられているが、これに限られず、公知の顔認証端末や、指に流れる静脈を認証するもの等、使用者本人を認証するものであれば何を用いても構わない。
また、図3に示すように、この制御部15は、各種プログラム及びデータを格納したROM15d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM15e、フレキシブルディスクに対してデータを読み書きするフレキシブルディスクドライブ15f、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ15g、ROM15dやハードディスクドライブ15g内に格納されたプログラムを実行等して出納機100全体を制御する制御本体部15c、を備えている。
また、図3に示すように、出納機100は、貨幣管理装置200との間でデータ通信を行う通信インターフェース(通信IF)19を備えている。これにより、出納機100(貨幣処理本体機)と貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)とは、互いに通信可能となっている。
図4は、貨幣管理装置200の外観を示す斜視図である。図4に示すように、貨幣管理装置200は、1万円紙幣を収納保管する第1紙幣収納ドロア211と、その他の金種の紙幣を収納保管する第2紙幣収納ドロア212と、100円と10円と1円の硬貨を収納保管する第1硬貨収納ドロア213と、500円と50円と5円の硬貨を収納保管する第2硬貨収納ドロア214と、現金以外の有価証券類も投入することができる予備収納ドロア215と、を有している。
また、この貨幣管理装置200は、貨幣管理装置200の全体を制御する制御装置225(制御手段)と、制御装置225に各種の指示を与えるキーボード式操作部226と、使用者(営業員及び管理者)とのインターフェースとしての表示部227と、収納庫に貨幣を入出する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228と、を備えている。
IDカードの内容、すなわち、IDカードに記憶されたID情報が、使用者情報の一態様であり、IDカードリーダ228が、使用者情報取得手段の一態様である。図4の例では、接触式のIDカードリーダ228が採用されているが、非接触式のカードリーダが採用されてもよい。また、IDカードリーダの他に、出納機100と同様、顔認証や静脈認証等を利用するための機器が採用されてもよい。
また、この貨幣管理装置200は、貨幣管理装置200の全体を制御する制御装置225(制御手段)と、制御装置225に各種の指示を与えるキーボード式操作部226と、使用者(営業員及び管理者)とのインターフェースとしての表示部227と、収納庫に貨幣を入出する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228と、を備えている。
IDカードの内容、すなわち、IDカードに記憶されたID情報は、使用者情報の一態様であり、IDカードリーダ228は、使用者情報取得手段の一態様である。図4の例では、接触式のIDカードリーダ228が採用されているが、非接触式のカードリーダが採用されてもよい。また、IDカードリーダの他に、出納機100と同様、顔認証や静脈認証等を利用するための機器が採用されてもよい。
図5は、貨幣管理装置200の第2紙幣収納ドロア212の斜視図である。図5に示すように、第2紙幣収納ドロア212には、3種類の金種の紙幣の束が、規則正しく収納保管される。図5の例では、第2紙幣収納ドロア212の内部に、4つの紙幣保管容器221〜224が配置されており、各容器毎に、収納保管される紙幣の金種が決められている。
図6は、貨幣管理装置200の第2硬貨収納ドロア214の斜視図である。図6に示すように、第2硬貨収納ドロア214には、3種類の金種の棒金状態の硬貨が、規則正しく収納保管される。図6の例では、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの硬貨保管容器241〜243が配置されており、各容器毎に、収納保管される硬貨の金種が決められている。
図7は、図6の硬貨保管容器241の側面概略図である。図7に示すように、硬貨保管容器241の底面には、硬貨保管容器241内に収納保管される硬貨の重量を測定するための測定手段として、ロードセル261が設けられている。ロードセルの構成の詳細については十分に知られていると思われるので、ここでの説明は省略する。他の硬貨保管容器242、243、並びに、紙幣保管容器221〜224についても、同様にロードセルが設けられている。このような構成によって、各容器毎に、収納保管されている貨幣の重量が測定されるようになっている。
その他、図8は、予備収納庫(予備ドロア)215の斜視図である。図8に示すように、予備収納庫215には、硬貨予備収納部251及び紙幣予備収納部252の他に、現金以外の有価証券類を投入することができる空スペース253が設けられている。
続いて、図9は、貨幣管理装置200の制御装置225の機能ブロック図である。制御装置225は、各種プログラム及びデータを格納したROM225d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM225e、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ225g、ROM225dやハードディスクドライブ225g内に格納されたプログラムを実行等して貨幣管理装置200全体を制御する演算制御部225c、を備えている。
演算制御部225c(演算手段)は、各容器毎に対応して設けられたロードセル(重量測定手段)及びROM225dに接続されており、ロードセルの出力値に基づいて、収納保管された貨幣の重量に対応する貨幣の収容単位の数(ひいては金額)を算出できるようになっている。具体的には、ROM225dには、各ロードセルの出力値(概ね重量の一次関数である)と収納保管された貨幣の収容単位(紙幣束あるいは棒金)の数あるいは金額とを対応付けるテーブル情報(換算式であってもよい)が、記憶されている。そして、演算制御部225c(演算手段)は、ROM225dに記憶された当該テーブル情報に基づいて、各容器毎(各ロードセル毎)に、収納保管された貨幣の重量に対応する当該貨幣の収納単位の数、ひいては当該貨幣の金額、を算出するようになっている。
そして、ハードディスクドライブ225gが、演算制御部225c(記憶手段)によって算出された貨幣の金種毎の金額、さらには合計金額を記憶するようになっている。本実施の形態では、ここで、IDカードリーダ228が読み取るID情報(使用者情報)も、算出された貨幣の合計金額(入出操作後の収納保管金額)と対応させた態様で、ハードディスクドライブ225gに記憶されるようになっている。
本実施の形態では、更に、キーボード式操作部226(入力手段)において、収納庫に対して入出される貨幣の金種(入出対象金種)、及び、当該金種の各々についての入出金額あるいは収納単位の入出数が入力されるようになっている。
そしてまた、演算制御部225cは、精査手段として、ロードセルの出力値から算出された金種毎の金額あるいは収納単位の数と、キーボード式操作部226で入力された(あるいは通信機能を利用して入力された)金種毎の金額あるいは収納単位の数と、を精査できるようになっている。
さらに演算制御部225cは、変化判別手段として、入出操作前のタイミングと入出操作後のタイミング(入出操作中のタイミングであってもよい)とにおいてロードセルの出力値を取得して、それらの間に所定値以上の変化があるか否かを判別するようになっている。
この変化判別手段としての機能は、入出対象金種以外の非入出対象金種の各々について実施されれば足りるが、本実施の形態では、全金種について実施されるようになっている。
また、図9に示すように、貨幣管理装置200は、出納機100との間でデータ通信を行う通信インターフェース(通信IF)229を備えている。これにより、貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)と出納機100(貨幣処理本体機)とは、互いに通信可能となっている。
また、本実施の形態の制御装置225は、ロック制御手段として、各ドロア211〜215に設けられた開閉電磁ロック211m〜215mに接続されていて、各ドロア211〜215を、貨幣の入出が可能な開状態と貨幣の入出が不可能なロック状態との間で切替えることができるようになっている。
この切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合が採用されている。具体的には、例えば、予め許可者として設定された使用者のID情報(使用者情報)が、ハードディスクドライブ225gに記憶されていて、IDカードリーダ228(使用者情報取得手段)が読み取ったID情報が、使用者識別手段としての演算制御部225cによって、許可者のID情報に対して照合されるようになっている。照合の結果がYESである、すなわち、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が、予め許可者として設定された使用者のID情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の入出が可能な開状態とすることができる。
別の切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合に加えて、操作情報の照合も採用され得る。操作情報とは、例えば入出金操作毎に設定される操作情報であり、通常は入出金の金種及び金額のデータであるが、入出操作の手順に関するデータを含むこともあり得る。操作情報の照合の具体的態様としては、例えば、予め許可操作として設定された操作の操作情報が、出納機100から通信機能を利用して例えばRAM225eに転送記憶され、一方、使用者によって、操作情報に対応する4桁の操作番号が、キーボード式操作部226(操作情報取得手段)で入力され得る。そして、入力された4桁の操作番号の情報が、操作識別手段としての演算制御部225cによって、転送記憶された操作情報に対して照合され得る。この場合、照合の結果がYESである、すなわち、入力された4桁の操作番号が、転送記憶された許可操作の操作情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の入出が可能な開状態とすることができる。この態様においては、好適なことに、入出操作の具体的内容に即して、開閉電磁ロック211m〜215mを個別に制御することが可能である。具体的には、入出対象である金種を収納するドロアのみを、開状態に切り替えることができる。更には、複数のドロアが同時には開状態にならないように、各ドロアを順に開状態に切り換えるという制御態様を採用することも可能である。
その他、本実施の形態では、貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)と出納機100(貨幣処理本体機)とが互いに通信可能であることを利用して、更に以下のような構成が採用されている。
出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15は、通信機能を利用して貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)の在高データを確認及び/または精査するための在高データ遠隔確認部として機能できるように構成されている。具体的には、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、通信インターフェース(通信IF)19及び通信インターフェース(通信IF)229を介して、精査手段である演算制御部225cを制御できるようになっている。
また、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15は、通信インターフェース(通信IF)19及び通信インターフェース(通信IF)229を介して、開閉電磁ロック211m〜215mをも制御できるようになっている。
具体的には、通信インターフェース(通信IF)229が、開閉電磁ロック211m〜215m(ロック装置)を制御して開状態とするためのロック解除信号を受信するロック解除信号受信部として機能するようになっており、これに対応して、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、所定の条件下で、ロック解除信号を通信インターフェース(通信IF)19を介して通信インターフェース(通信IF)229に対して送信するように構成されている。
このように、開閉電磁ロック211m〜215mの制御が出納機100の側で行われる場合には、出納機100の側で制御の具体的条件を設定ないし調整することができるため、各ドロアの開閉操作の管理、ひいては貨幣の入出操作の管理を、より集中的に行うことが可能となる。
この場合、開閉電磁ロック211m〜215mは、それが開状態とされてから各ドロアの開閉操作が行われた後、自動的にロック状態となるように構成されることが好ましい。あるいは、開閉電磁ロック211m〜215mは、それが開状態とされてから所定時間が経過した後、自動的にロック状態となるように構成されることが好ましい。
更に好ましくは、通信インターフェース(通信IF)229が、開閉電磁ロック211m〜215m(ロック装置)を制御してロック状態とするためのロック信号を受信するロック信号受信部として機能するようになっており、これに対応して、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、所定の条件下で、ロック信号を通信インターフェース(通信IF)19を介して通信インターフェース(通信IF)229に対して送信するように構成され得る。
この場合、貨幣管理装置200は、各ドロア211〜215の開状態から閉状態への変化を検知する閉動作検知装置211c〜215cを更に備えて、当該閉動作検知装置による検知信号が出納機100に送信され、出納機100が当該検知信号を受信した際に前記ロック信号を送信するようになっていることが好ましい。この場合、各ドロアのロック制御の管理を、出納機100側でより集中的に行うことが可能となる。
あるいは、開閉電磁ロック211m〜215mは、開状態とされてから所定時間が経過しても依然として開状態である場合に、自動的にロック状態となるように構成されていることが好ましい。また、貨幣管理装置200は、各ドロア211〜215の閉状態から開状態への変化を検知する開動作検知装置211o〜215oを更に備えることが好ましい。
その他、各ドロア211〜215の開状態が所定時間以上継続している際に報知信号を出力する報知装置(アラーム装置)280が更に設けられている。
また、図9における鍵検知部290とは、貨幣管理装置200の電源off時にドロアの開閉が行われる際に、そのことを検知するセンサ装置である。これは、少なくとも当該技術分野においては新しい技術であるが、本発明の概念とは直接には関連しないので、ここでの説明は省略する。
次に、以上に説明した貨幣処理システムの動作例について、フローチャートを参照しながら説明する。
図10は、出納機100の側での入出操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ15bによって、出納機100の操作者のID情報が読み取られる(STEP11)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、出納機100の操作許可者であるか否かが識別される(STEP12)。
操作許可者であれば、出納機100の操作メニューが表示部15aに表示される(STEP13)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて操作内容を入力する(STEP14)。ここで、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP15)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて、入出操作の詳細を入力する(STEP16)。具体的には、入出対象の金種や金額(束数あるいは本数でもよい)のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP17)。出納機100は、入力された入出操作の詳細に対して、操作情報としての操作番号(連動番号と呼ぶこともある)を特定(発行)し、当該操作番号と実際の入出操作の詳細な内容との対応付けをハードディスク15gに記憶する(STEP18)。また、レシート発行装置18から、当該操作番号が表示されたレシートを発行する(STEP19)。
図11は、現金管理装置200における入出操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ228によって、現金管理装置200の操作者のID情報が読み取られる(STEP21)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、現金管理装置200の操作許可者であるか否かが識別される(STEP22)。
操作許可者であれば、現金管理装置200の操作メニューが表示部227に表示される(STEP23)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて操作内容を入力する(STEP24)。
まず、出納機100との連動処理が選択される場合について先に説明する。
連動処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP25)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて、出納機100にて発行された操作番号(連動番号)を入力する(STEP26)。これにより、現金管理装置200は、通信機能を利用して、出納機100のハードディスク15gに記憶された対応付け情報に基づいて、当該操作番号に対応する入出操作の詳細情報(処理キューと呼ばれる:入出操作対象である金種及び金額のデータの他、ドロアの開閉手順のデータが含まれ得る)をピックアップし(STEP27)、その一部の情報(全部でもよい)を操作者の確認のために表示する(STEP28)。確認の後、操作者による入力完了キーの操作によって、入出準備完了が検知される(STEP29)。
次に、出納機100との非連動処理が選択される場合について説明する。この場合のプロセスは、従来の現金管理装置のプロセスと略同様である。
非連動処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP125)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて、入出操作の詳細を入力する(STEP126)。具体的には、入出対象の金種及び金額(束数あるいは本数でもよい)のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP127)。
本実施の形態では、さらに、キーボード式操作部226が操作された時に(STEP24)、すなわち、実際の入出操作が開始される前に、演算制御部225cが、変化判別手段として、各ロードセルの出力値を取得する(STEP225)。
続いて、図12は、現金管理装置200におけるドロア開閉プロセスの一例のフローチャートである。ここでは、入出操作の詳細情報(処理キュー)に基づいて、開状態にされるドロアの順序が決定されているものとする。
まず、最初に開状態になるドロアに対応する電磁開閉ロックのロックが解除される(STEP31)。ロック解除制御は、現金管理装置200内の制御部225によって行われてもよいし、通信機能を介して出納機100の制御部15によって行われてもよい。
ロックが解除されたドロアは、操作者によって開放され、貨幣の入出操作が行われる。ここで、ロックが解除されてから所定時間が経過してもドロアが開放されない場合には、報知装置280がアラームをならすようになっている(STEP32)。また、ドロアが開けられてから所定時間が経過しても閉じられない場合にも、報知装置280がアラームをならすようになっている(STEP33)。
貨幣の入出操作が終了すると、操作者はドロアを閉じる。本実施の形態では、この時点で、すなわち、当該ドロアに対する入出処理が終了した時点(入出操作後のタイミング)で、演算制御部225cが、変化判別手段として、各ロードセルの出力値を取得し(STEP34)、STEP225(入出操作前のタイミング)で取得した各ロードセルの出力値との間で、所定値以上の変化があったか否かを判別する(STEP35)。
当該ドロア内に収納可能な金種であって、終了したばかりの入出処理においては入出対象でなかった金種(に対応するロードセルの出力値)について、所定値以上の変化が認められた場合、表示部227において、当該非入出対象金種の収納状態についての確認を促すメッセージを含む警告表示がなされる(STEP36)。警告表示がなされてから所定時間が経過してもドロアが開放されない場合には、報知装置280がアラームをならすようになっている(STEP32)。
当該ドロア内に収納可能な金種であって、終了したばかりの入出処理においては入出対象でなかった金種(に対応するロードセルの出力値)について、所定値以上の変化が認められなかった場合、当該ドロアへの入出操作が順調に終了したと判断できる。この段階で、当該ドロアに対応する電磁開閉ロックがロック状態にされる(STEP37)。このロック制御も、現金管理装置200内の制御部225によって行われてもよいし、通信機能を介して出納機100の制御部15によって行われてもよい。
そして、他のドロア(金種)に対する入出処理が残っていれば、次に開状態になるドロアに対して処理が繰り返され、他のドロア(金種)に対する入出処理が無ければ、入出処理は終了して精査プロセスに行く。
図13は、現金管理装置200における精査プロセスの一例のフローチャートである。
この精査プロセスは、出納機100との連動処理においては操作番号の入力を介して得られた入出操作の詳細情報に基づいて、非連動処理においてはキーボード式操作部226での入力を介して得られた入出操作の詳細情報に基づいて、実際に入出された貨幣の金額がそれら情報に合致しているか否かを判別するプロセスである。実際に入出された貨幣の金額については、ロードセルを用いた貨幣重量の測定結果から算出される(STEP41)。
精査の結果、金額が合致する場合には、その取引内容(操作内容と操作者との双方の情報を含む)がハードディスク225gに記憶される(STEP42)。必要な場合には、不図示のプリンタから、処理結果が印字されてもよい(STEP43)。
精査の結果、金額が合致しない場合には、合致しない金種(の全て)に対して、図12に示したドロア開閉プロセスが再実行される(STEP44)。
本実施の形態によれば、各ドロアに対する入出操作毎に、非入出対象金種の各々について、対応するロードセルの入出操作前の出力値と入出操作後の出力値との間での変化の有無が判別され(STEP35)、変化が認められた場合には警告表示がなされる(STEP36)。これにより、非入出対象金種を収納保管するべき容器内に入出対象金種が誤って収納保管されてしまった場合に、これを直ちに確認・修正させることができる。
また、本実施の形態によれば、現金管理装置200を使用可能(入出操作可能)状態にするための条件として、使用者のID情報の照合のみならず、操作情報の照合をも採用していることにより、使用者の誤操作を効果的に防止することができる一方、操作記録を管理することも極めて容易である。
特に、操作情報として、入出金操作毎に設定(発行)される4桁(3桁以上が好ましい)の操作番号(連動番号)を採用しているため、取り扱いが容易である一方で、当該操作番号から操作内容が知られる畏れもない。
また、操作番号に対応する入出金データが出納機100から現金管理装置200に転送されることにより、入出金データ自体を使用者が手入力等する必要がなく、従って、使用者による誤操作が効果的に防止される。
また、本実施の形態によれば、貨幣の入出操作の度に精査プロセスを実施することによって、入出操作に誤りがないか入出操作毎に精査することができる。これにより、使用者の誤操作を効果的に防止することができる一方、操作記録(入出記録)を入出操作毎に管理することも極めて容易である。更に、本実施の形態によれば、入出操作に対応付けて使用者情報をも容易に管理することができる。
その他、本実施の形態によれば、出納機100の側でロック解除信号及び/またはロック信号の送信条件を設定ないし調整することができる。この場合、貨幣の入出操作の管理を集約的に行うことが可能である。これは特に、複数台の現金管理装置200を含むシステムにおいて有効である。
なお、前述の説明では、使用者のID情報の照合と操作情報の照合とが現金管理装置200の側で行われているが、データが実際に照合される場所は特に限定されない。すなわち、これらの照合は、現金管理装置200の側で行われてもよいし、出納機100の側で行われてもよいし、それらに接続された他のハードウェアを利用して行われてもよい。また、照合のための各データの転送のタイミングについても、公知の種々の態様から適宜に選択されて採用される。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
前記第1の実施の形態では、各ドロアに対する入出操作毎に、非入出対象金種の各々について、対応するロードセルの入出操作前の出力値と入出操作後の出力値との間での変化の有無が判別された(STEP35)。しかしながら、本実施の形態では、ロードセルの入力操作中の複数の出力値に基づいて、当該出力値における所定値以上の変化の有無が判別されるようになっている。
具体的には、演算制御部225cが、変化判別手段として、図14に示すように、操作対象ドロアのロック解除(STEP31)のタイミングから、操作者が当該ドロアへの入出操作を終えて当該ドロアを閉じるまで、所定時間毎に、ロードセルの出力値を取得するようになっている(STEP341)。そして更に、本実施の形態では、演算制御部225cが、変化判別手段として、得られた複数回の出力値から所定のフィルタリング条件を満たすように出力値を選抜(選別)して、N回の出力値毎の平均値を求め(STEP342)、当該平均値に基づいて変化の判別を行うようになっている(STEP35)。
これにより、変化の判別をより高精度に行うことができる。保守の観点からは、当該平均値の経過(経時的データ)について、記録を残せるようにしておくことが好ましい。
その他の構成については、第1の実施の形態と略同様である。なお、本実施の形態では、STEP225(図11参照)は不要となる。
本実施の形態が採用するフィルタリング条件の詳細について、図15乃至図18を用いて詳しく説明する。
図15は、出力値の取得が開始された直後の、ロードセル出力値のグラフを示している。図15に示すように、通常は、1回目からN回目までの出力値がそのまま採用(選抜)され、平均値が算出される。
ここで、本実施の形態のフィルタリング条件では、連続する2つの出力値の差分がフィルタリング基準値πを超える場合に、後の(新しい方の)出力値が特異なデータ(何らかのエラーや振動等が影響することで生じ得る)である可能性があると判断して、さらに次の出力値を併せて考慮する。
図16を用いて説明すれば、n回目の出力値とn−1回目の出力値との差分がπを超える場合、n+1回目の出力値が併せて考慮される。そして、n−1回目の出力値とn+1回目の出力値との差分がπを超えなければ、n回目の出力値が除外される。そして、N回分のデータ(出力値)が揃った時点で、平均値が算出される。
一方、n−1回目の出力値とn+1回目の出力値との差分についてもπを超える場合には、図17に示すように、n回目までの出力値が除外され、n+1回目の出力値を1回目の出力値として出力値の取得が継続される。そして、N回分のデータが揃った時点で、平均値が算出される。
一旦平均値が算出された後は、新しい出力値が取得される度に、平均値算出の元となる出力値が一つずつ更新されていく。図18に示すように、1回目からN回目までの出力値から平均値が算出された後、N+1回目の出力値が取得された時には、1回目の出力値が除外され、2回目からN+1回目までの出力値から平均値が算出(更新)される。このように算出されていく平均値について、最大値と最小値とが判別・保存され、それらの差分が所定値と比較されて、所定値以上の変化の有無が判別される。
ここで、N+1回目の出力値とN回目の出力値との差分、及び、N+1回目の出力値とN回目までの出力値に基づく平均値との差分、の少なくとも一方がπを超える場合の扱いは、以下の通りとなっている。すなわち、N回目の出力値及びN回目までの出力値に基づく平均値とN+2回目の出力値との各差分がいずれもπを超えなければ、N+1回目の出力値が除外され、出力値の取得が継続される。除外されない出力値が得られる度に、最も古い回の出力値と入れ替えられて、平均値が算出(更新)されていく。一方、N回目の出力値及びN回目までの出力値に基づく平均値とN+2回目の出力値との各差分のいずれかがπを超える場合には(この時には、警告表示がなされるか、装置処理が停止することが好ましい)、N+2回目の出力値を1回目の出力値として、N回分のデータが揃った時点で、次の平均値が算出(更新)される。
以上のようなフィルタリング技術を採用することにより、ロードセルによる重量測定上のノイズの影響が排除された状態で、より高精度に判別を行うことができる。
また、前述の説明において1回の出力値と表現したデータ(図15乃至図18において折れ点として表示されているデータ)自体が、複数の出力値データの単純平均であってもよい。その場合、単純平均を求める工程が1次のノイズフィルタリングに相当し、図15乃至図18を用いて説明したフィルタリング技術が2次のノイズフィルタリングに相当する、と言える。
なお、STEP342、STEP35及びSTEP36は、ドロアが閉じられてから一括に行われるのではなく、入力操作中において新しいロードセル出力値が取得される度毎に(本実施の形態の場合には所定時間毎に)行われるようになっていてもよい。この様に入力操作中に行われる場合、操作ミスを迅速に発見できる他、入出すべきでない貨幣の抜き取りが行われた時に即座に盗難を報知できるので、防犯上の効果がある。
また、本実施の形態では(第1の実施の形態においても同様であるが)、判別対象として設定される「所定値」は、誤操作防止という観点から決定される。具体的には、収納保管される金種の収容単位1個分の重量に対応する値に基づいて決定される(例えば、当該値がそのまま採用されるか、あるいは、誤差を見込んで当該値の1/2の値が採用される)。
しかしながら、当該「所定値」に、ロードセルの故障を引き起こすような過積載重量に基づく値を設定すれば、そのような過積載状態が発生した時に警告表示をして、そのような状態を直ちに解除させることができる。特に、前述した通り、STEP342、STEP35及びSTEP36が新しいロードセル出力値の取得の度毎になされるならば、いわゆる「仮置き」という行為によってロードセル等に故障が生じることが、効果的に防止される。
また、そのような過積載警告のための「所定値」は、誤操作防止のために設定される「所定値」とは別個に、二重に設定されて、それら2つの基準値に対して2つの判別がなされることが好ましい。
また、過積載状態は、短時間であればロードセルに不具合を生じさせない。従って、過積載警告のための「所定値」に基づく判別は、当該「所定値」以上の変化が認められてから所定時間の経過を待ってから、警告表示を行う、という態様が好ましい。所定時間の経過は、公知のタイマーを用いて判別できる。このような態様を採用する本発明の第3の実施の形態の貨幣管理装置のドロア開閉プロセス(入出操作プロセス)を、図19に示す(図19では、STEP32及びSTEP33に関する記載は省略されている)。