JP7325298B2 - 内壁固定部材 - Google Patents

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本発明は、外壁パネルを保持する建物の躯体に固定され、内壁材を固定するための下地材を固定する内壁固定部材に関する。
従来より、住宅などの建物の内壁材を固定する下地枠を、軸組とよばれる建物の躯体に固定する固定金具が開示されている(特許文献1参照)。これによると、先端部が屋外側に突出して軸組の間を通して、軸組の屋外側の面に当接し、基端部が略コ字状に形成された金具本体の内部に挿入される止め付け部材と、止め付け部材の基端部に形成されたボルト穴に螺合する固定ボルトのボルト頭とで、軸組、金具本体、及び下地枠を挟持することで、軸組に下地枠を固定する。したがって、上述のような固定金具は、屋内側からの簡単な操作で下地枠などの壁構成部材を軸組に固定することができる。
特開2012-31611号公報
しかし、特許文献1の固定金具は、軸組を止め付け部材及び金具本体で挟持し、下地枠を金具本体及び固定ボルトのボルト頭で挟持するものであり、上階の床等から軸組に伝わった床衝撃音などの振動が固定金具を伝って下地枠及び内壁材に伝達されて下階に伝わり、防音性が低下する問題がある。
そこで、本発明は、躯体に簡単に内壁材の下地枠を取り付けることができ、躯体の振動が内壁材に伝わることを抑制することができる内壁固定部材を提供することを目的とする。
本発明の内壁固定部材は、外壁パネルを保持する建物の躯体に固定され、内壁材を固定するための下地材を固定する内壁固定部材であって、前記躯体に取り付けられ、前記下地材との間に空間が形成される固定部と、前記固定部に取り付けられる制振ゴム部と、前記制振ゴム部に支持され前記下地材を保持する下地保持部と、を備え、前記固定部は、前記躯体の屋内側の面に当接する当接部を有する本体と、先端が前記本体から屋外側に突出するとともに、前記躯体の屋外側の面に引っ掛け可能に拡幅されており、基端にネジ孔が形成された止め付け部材と、前記ネジ孔に螺着して前記止め付け部材の先端を前記本体側に引き寄せる引き寄せボルトと、を有することを特徴としている。
本発明の内壁固定部材は、前記固定部は、屋内外方向に並んで形成されており、前記引き寄せボルトが挿入されて当該引き寄せボルトの姿勢を保持するガイド孔がそれぞれ形成された2つの板体を更に有し、前記制振ゴム部は、前記2つの板体の間に挿入され、前記引き寄せボルトが貫通する貫通孔を有する挿入部と、前記下地保持部を支持する支持部と、が一体形成されたことを特徴としている。
本発明の内壁固定部材は、前記制振ゴム部は、前記支持部が前記挿入部の上方又は下方に形成されるとともに、当該支持部と前記躯体との間に空間が形成されることを特徴としている。
本発明の内壁固定部材は、前記下地保持部は、前記支持部に埋め込まれるインサートナットと、当該インサートナットに螺着するとともに、頭部が前記下地材の屋内側の面に当接して、当該下地材を前記支持部に押しつけて挟持する下地固定ボルトとを有することを特徴としている。
本発明の内壁固定部材は、前記インサートナットは、前記下地固定ボルトの回転に対して共回りすることを防止するとともに前記支持部からの抜けを防止する異型外周形状を有することを特徴としている。
本発明の内壁固定部材によると、固定部が、本体の躯体の屋内側の面に当接する当接部と、止め付け部材の先端と、で躯体を挟持して、躯体に内壁固定部材を固定するものであるので、簡単な操作で躯体に内壁固定部材を固定することができる施工性に優れており、しかも、躯体に取り付けられる固定部と、下地材を保持する下地保持部と、の間に制振ゴム部が介在することとなるので、躯体の振動が制振ゴム部で減衰し、内壁材側に伝わる振動を抑制することができる。したがって、簡単に施工できる部材でありつつ、上階の床衝撃音が壁を伝って下階の屋内空間に伝搬されることを抑制することができる。
本発明の内壁固定部材によると、2つの屋内外方向に並んで固定部に形成された板体の間に、制振ゴム部の挿入部が挿入されるものであり、引き寄せボルトが2つの板体に形成されたガイド孔及び制振ゴム部の挿入部に形成された貫通孔に挿入されることで、固定部と制振ゴム部とが固定される構成であるので、簡単な構成で固定部と制振ゴム部とを固定することができ、水平せん断方向の振動を減衰させることができる。
本発明の内壁固定部材によると、制振ゴム部は、固定部に固定される挿入部の上方又は下方に下地保持部を支持する支持部が形成されるものであるので、挿入部と固定部とが屋内外方向に並んで配置される場合に比べて、外壁から内壁材までの厚さを必要とせず、支持部を上方又は下方に伸ばすことで、振動伝搬経路の必要な長さを確保して、効果的に振動を減衰させることができる。
本発明の内壁固定部材によると、下地保持部は、制振ゴム部の支持部に埋め込まれるインサートナット、及び、インサートナットに螺着する下地固定ボルトとを有しており、下地固定ボルトの頭部と制振ゴム部の支持部とで、下地材を挟持するものであるので、振動伝搬を抑制しつつ簡単な操作で下地材を内壁固定部材に固定することができる。
本発明の内壁固定部材によると、インサートナットは、下地固定ボルトの回転に対して共回りすることを防止するとともに支持部からの抜けを防止する異型外周形状を有するので、単にインサートナットを接着固定する場合に比べて、インサートナットが制振ゴム部の支持部から脱落することや下地固定ボルトの回転に従って共回りすることをを抑制することができる。
内壁固定部材の外観構成を示す斜視図。 内壁固定部材の内部構成を示す断面図。 内壁固定部材の固定部の構成を示す分解斜視図。 内壁固定部材の制振ゴム部及び下地保持部の外観構成を示す斜視図。 インサートナットの外観構成を示す斜視図。 軸組に内壁固定部材を固定した状態を示す斜視図。 軸組に内壁固定部材を固定した状態を示す断面図。 軸組に固定された内壁固定部材が下地材を固定する状態を示す斜視図。 内壁固定部材を用いて軸組に内壁材を固定した状態を示す水平断面図。 内壁固定部材を用いて軸組に内壁材を固定した状態を示す鉛直断面図。
以下、本発明の内壁固定部材1の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。内壁固定部材1は、建物の躯体を形成する軸組2に固定されて、石膏ボードなどの内壁材3を固定するための下地材4を固定する部材である。建物は本実施形態においては鉄骨造の住宅である。本発明における建物は、鉄骨造に限定されるものではなく、躯体に内壁固定部材1を介して内壁材3を固定する構成であれば、木造、又は鉄筋コンクリート造であってもよい。また、建物の躯体は、本実施形態においては、軸組2とよばれるC形鋼から成る矩形枠を互いに固定して形成されるものである。軸組2は、詳細は図示しないが、いわゆるC型鋼からなる左右一対の縦材と、該縦材に直交する上下一対の横材とが略矩形に枠組みされ、その内部に必要に応じて、中柱、中桟、耐力ブレースなどの補強材が設けられてなる従来公知の軸組2である。このように構成される複数の矩形の軸組2は、互いに隙間をあけて隣接するように配置され、互いに隣接する軸組2同士が図示しない綴りボルトによって固定されて、建物の躯体を形成している。また、下地材4は、図示しない矩形枠状に形成されてその内側に断熱材5が配置された下地パネルである。下地材4の形状はこれに限定されるものではなく、単なる縦枠や横桟であってもよい。
内壁固定部材1は、図1及び図2に示すように、躯体を形成する軸組2に取り付けられる固定部6と、固定部6に取り付けられる制振ゴム部7と、制振ゴム部7に支持されて下地材4を保持する下地保持部8と、を備える。固定部6と下地保持部8とは、互いに制振ゴム部7を介して接続されており、固体伝搬音の振動伝搬経路上に制振ゴム部7が配置され、振動を減衰することとなる。
固定部6は、図2及び図3に示すように、上方に向けて開放された概略コ字状の本体60と、先端が本体60から屋外側に突出するとともに、基端にネジ孔12が形成された止め付け部材61と、ネジ孔12に螺着する引き寄せボルト62とを有する。本体60は、軸組2の縦材の屋内側の面に当接する平板状に形成された当接部63と、当接部63の屋内側に屋内外方向に並んで形成される2つの板体64と、当接部63及び2つの板体64の下端を接続する底板65と、両側の側面において当接部63、底板65、及び屋内側の板体64の縁に沿って内側に延びる側壁部66と、を有している。2つの板体64にはそれぞれ引き寄せボルト62が挿入可能に形成されており、引き寄せボルト62の長さ方向が屋内外方向を向くように、当該引き寄せボルト62の姿勢を保持するガイド孔67が形成されている。また、当接部63にも引き寄せボルト62が挿入可能な挿入孔68が形成されている。引き寄せボルト62のボルト頭13はガイド孔67よりも大きく、引き寄せボルト62を挿入したときに、ボルト頭13が板体64の屋内側に保持される。
止め付け部材61は、先端69が本体60から屋外側に突出するとともに、軸組2の屋外側の面に引っ掛け可能に拡幅されて形成されている。止め付け部材61の先端69から屋内方向に連結腕11が延びており、その基端10に引き寄せボルト62が螺着するネジ孔12が形成されている。止め付け部材61の先端69の幅は、互いに隣接する軸組2の間の隙間よりも長く、且つ、止め付け部材61の先端69の厚さは軸組2の間の隙間よりも短い。また連結腕11は先端69と同一板状に形成されており、その幅及び厚さが軸組2の間の隙間よりも短い。止め付け部材61の基端10は連結腕11から下方に垂れ下がった形状であり、固定部6の当接部63と一方の板体64との間に挿入される。引き寄せボルト62は、当接部63と一方の板体64との間で、止め付け部材61の基端10に形成されたネジ孔12に螺着することで、引き寄せボルト62を回転させせて止め付け部材61を屋内側に引き寄せて本体60内に引き込むことができ、止め付け部材61の突出長さを調整できる。
固定部6は、図10に示すように、内壁固定部材1に下地材4を固定したときに、当該下地材4に接触することがなく、下地材4との間に空間が形成されており、躯体を形成する軸組2からの振動が固定部6に伝搬されても、固定部6の振動が下地材4に直接伝搬されることはない。
制振ゴム部7は、図2及び図4に示すように、固定部6の本体60に形成された2つの板体64の間に挿入され、引き寄せボルト62が貫通する貫通孔72を有する挿入部70と、挿入部70の上側に形成され下地保持部8を支持する支持部71と、が一体形成されて構成されている。挿入部70は、内部に底面及び屋外側面が開放される中空部73が形成されており、屋内側に設けられた背板部74が2つの板体64の間に挿入され、背板部74の側縁から屋外方向に延びる2つの側部75が、本体60の側壁部66の間に収まって、固定部6の本体60の内側にはめ込まれている。背板部74には、引き寄せボルト62が挿入される貫通孔72が形成されており、2つの板体64の間に背板部74が挿入されて、引き寄せボルト62が2つの板体64のガイド孔67と背板部74の貫通孔72とに挿入されることで、挿入部70は固定部6に取り付けられる。
支持部71は、挿入部70の上に一体形成されており、屋内外方向に向かって下地固定ボルト80が挿入される支持孔76が形成されている。支持孔76の屋内側には、下地保持部8のインサートナット81が埋め込まれて支持孔76と一体となっている。制振ゴム部7は、損失正接tanδが0.5以上、望ましくは1.0以上(摂氏20度)の高減衰ゴムで一体形成されたものであることが好ましい。制振ゴム部7はインサートナット81を成形時に埋め込んで形成してもよく、成形後に圧入してもよい。
制振ゴム部7の支持部71は屋内側の面が挿入部70の屋内側の面よりも突出しており、支持部71の屋内側の面に下地材4が当接するときに、挿入部70の屋内側の面は、下地材4との間に間隙が形成されている。また、図1に示すように、支持部71の屋外側の面は挿入部70の屋外側の面と面一であり、挿入部70を固定部6の本体60に挿入したとき、本体60の当接部63が支持部71の屋外側の面よりも屋外側に突出することとなるので、図10に示すように、躯体を形成する軸組2に内壁固定部材1を固定したときに当接部63が軸組2に当接し、支持部71の屋外側の面は軸組2との間に空間が形成される。
下地保持部8は、支持部71に埋め込まれるインサートナット81と、インサートナット81に螺着する下地固定ボルト80とを有する。インサートナット81は、図5に示すように、支持部71から屋内側に露出するフランジ82と、フランジ82から埋設方向に延びており、フランジ82よりも径が短く形成された円柱状の縮径部83と、縮径部83の下端から当該縮径部83の径方向に広がって形成される正六角形の平板状の角形部84と、から成る異型外周形状を有している。また、縮径部83には一部を切り欠いて形成された抜け止め溝85が形成されている。インサートナット81は、角形部84が縮径部83の径方向に広がって形成されることで、当該インサートナット81が支持部71から抜けることを防止し、また、角径部が正六角形であることで、インサートナット81の回転を防止し、下地固定ボルト80の回転に対して共回りすることを防止することができる。インサートナット81は、フランジ82から角形部84まで貫通するボルト固定孔87が形成されておりボルト固定孔87に下地固定ボルト80が螺着して固定される。
以上のように構成される内壁固定部材1を用いて建物の躯体を構成する軸組2に、内壁材3を固定する際には、まず、止め付け部材61の先端69の幅方向が上下を向くように、内壁固定部材1を90度回転させて保持し、軸組2の間の隙間に止め付け部材61を先端69から挿入し、先端69が軸組2の屋外側に到達した後、内壁固定部材1を回転させて止め付け部材61の先端69の幅方向が左右を向くように保持する。そして、引き寄せボルト62を屋内側から操作して回転させて、止め付け部材61の先端69を屋内側に引き寄せて、図6及び図7に示すように、止め付け部材61の先端69と本体60の当接部63とで両側の軸組2を挟持して、軸組2に内壁固定部材1を固定する。
そして、次に断熱材5が固定されている下地材4を制振ゴム部7の支持部71の屋内側に当接させ、下地固定ボルト80をインサートナット81に螺着させて締め付けることにより、図8に示すように、下地固定ボルト80のボルト頭が下地材4の屋内面に引っ掛かって、下地材4を制振ゴム部7の支持部71に押し付けて、下地材4を内壁固定部材1を介して軸組2に固定する。そして、図9及び図10に示すように、内壁材3を下地材4にビス止めすることで、躯体を構成する軸組2に内壁材3を固定する。
以上のようにすると、図10に示すように、内壁固定部材1は、躯体を構成する軸組2を止め付け部材61の先端69と本体60の当接部63とで挟んで固定されるとともに、下地材4が下地固定ボルト80のボルト頭86と支持部71とで挟んで固定される。そして、軸組2と下地材4との間には制振ゴム部7が介在することとなるので、上階の床などから躯体を伝搬されて、軸組2に伝わる振動が、制振ゴム部7で減衰されるので、内壁材3に伝わる振動を抑制することができる。
以上のように、本実施形態の内壁固定部材1を用いて、軸組2に内壁材3を固定すると、簡単に施工することができ、上階の床衝撃音が壁内の躯体を伝って下階の屋内空間に伝搬されることを抑制することができる。
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本発明に係る内壁固定部材1は、居住性の建物の内壁材3の下地材4を固定する内壁固定部材1として、好適に用いることができる。
1 内壁固定部材
2 軸組(躯体)
3 内壁材
4 下地材
6 固定部
7 制振ゴム部
8 下地保持部
60 本体
61 止め付け部
62 引き寄せボルト
70 挿入部
71 支持部
80 下地固定ボルト
81 インサートナット

Claims (5)

  1. 外壁パネルを保持する建物の躯体に固定され、内壁材を固定するための下地材を固定する内壁固定部材であって、
    前記躯体に取り付けられ、前記下地材との間に空間が形成される固定部と、
    前記固定部に取り付けられる制振ゴム部と、
    前記制振ゴム部に支持され前記下地材を保持する下地保持部と、
    を備え、
    前記固定部は、
    前記躯体の屋内側の面に当接する当接部を有する本体と、
    先端が前記本体から屋外側に突出するとともに、前記躯体の屋外側の面に引っ掛け可能に拡幅されており、基端にネジ孔が形成された止め付け部材と、
    前記ネジ孔に螺着して前記止め付け部材の先端を前記本体側に引き寄せる引き寄せボルトと、を有することを特徴とする内壁固定部材。
  2. 前記本体は、屋内外方向に並んで形成されており、前記引き寄せボルトが挿入されて当該引き寄せボルトの姿勢を保持するガイド孔がそれぞれ形成された2つの板体を更に有し、
    前記制振ゴム部は、前記2つの板体の間に挿入され、前記引き寄せボルトが貫通する貫通孔を有する挿入部と、前記下地保持部を支持する支持部と、が一体形成されたことを特徴とする請求項1に記載の内壁固定部材。
  3. 前記制振ゴム部は、前記支持部が前記挿入部の上方又は下方に形成されるとともに、当該支持部と前記躯体との間に空間が形成されることを特徴とする請求項2に記載の内壁固定部材。
  4. 前記下地保持部は、前記支持部に埋め込まれるインサートナットと、当該インサートナットに螺着するとともに、頭部が前記下地材の屋内側の面に当接して、当該下地材を前記支持部に押しつけて挟持する下地固定ボルトとを有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内壁固定部材。
  5. 前記インサートナットは、前記下地固定ボルトの回転に対して共回りすることを防止するとともに前記支持部からの抜けを防止する異型外周形状を有することを特徴とする請求項4に記載の内壁固定部材。
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