JP7323761B2 - コールドクルーシブル溶解炉、および、そのメンテナンス方法 - Google Patents
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Description
筒状のるつぼと、
前記るつぼの底部側を塞ぐ水冷セグメント構造の底板と、
逆円錐状の拡径部と、その下側に連なるストレート部とを備えて、全体として漏斗状を呈し、前記底板に設けられた貫通孔に挿通して取り付けられた、水冷セグメント構造ではない出湯ノズルと、
前記るつぼの周囲に配置された溶解用コイルと、
前記出湯ノズルの周囲に配置された出湯用コイルと、
を備え、
前記貫通孔の内周面と、前記出湯ノズルを構成するストレート部の外周面との間に隙間が設けられている。
前記貫通孔の内直径が、前記出湯ノズルの先端に形成される滴状スカルの直径よりも大きい。
前記貫通孔の内直径が、前記滴状スカルの予測直径よりも大きく、
前記予測直径が、前記滴状スカルの表面張力と、前記滴状スカルにかかる重力と、被溶
解材料が前記滴状スカルを上から押す力との釣り合い式に基づいて算出された値であり、
前記釣り合い式における被溶解材料が前記滴状スカルを上から押す力F3は、被溶解材料の融点での液体密度ρ、重力加速度g、ストレート部の長さh、ストレート部の内直径dを用いて、
F3=ρg・π(d2/4)h
によって算出する。
前記貫通孔の内周面と前記出湯ノズルの外周面との離間幅が、所定の上限幅以下であり、
前記所定の上限幅が、
前記出湯用コイルに高周波電流が流れない状態において、前記出湯ノズルの内部の被溶解材料の凝固状態が維持される最大の幅である。
前記隙間に着脱自在に設けられた断熱部材、
を備える。
前記貫通孔よりも径方向外側に前記出湯用コイルを形成している。
筒状のるつぼと、
前記るつぼの底部側を塞ぐ水冷セグメント構造の底板と、
逆円錐状の拡径部と、その下側に連なるストレート部とを備えて、全体として漏斗状を呈し、前記底板に設けられた貫通孔に挿通して取り付けられた、水冷セグメント構造ではない出湯ノズルと、
前記るつぼの周囲に配置された溶解用コイルと、
前記出湯ノズルの周囲に配置された出湯用コイルと、
を備え、
前記貫通孔の内周面と、前記出湯ノズルを構成するストレート部の外周面との間に隙間が設けられ、
前記るつぼを前記底板に載せ置いている。
該メンテナンス方法は、
筒状のるつぼの底部側を塞ぐ水冷セグメント構造の底板に、逆円錐状の拡径部と、その下側に連なるストレート部とを備え、全体として漏斗状を呈する出湯ノズルを設けるにあたり、前記底板に設けられた貫通孔に、該貫通孔の内周面との間に隙間を設けつつ前記ストレート部を挿通されて取り付けられた、水冷セグメント構造ではない出湯ノズルを、その先端に滴状スカルが形成された状態のままで、前記貫通孔を挿通させつつ上方に引き上げて前記底板から取り外す出湯ノズル取り外し工程と、
前記るつぼを上方に引き上げて、前記底板から分離させる、るつぼ分離工程と、
を備え、
前記るつぼ分離工程が、前記出湯ノズル取り外し工程に先だって行われる。
また、この構成によると、底板からるつぼが分離されることによって、底板上に残存しているスカルの側面を露出させることができるので、該スカルを側面側から掴む等してこれを底板から容易に除去することが可能となる。スカルを底板から除去することによって、底板に設けられている出湯ノズルを底板から取り外すことが特に容易となる。また、底板上に残存しているスカルは、出湯ノズルの内部に残存しているスカルと一体に連なっていることが多く、この場合、底板上に残存しているスカルを掴む等して上方に引き上げて底板から除去すると、同時に出湯ノズルも底板から取り外される。つまり、底板上のスカルの除去と出湯ノズルの取り外しとを一度に行うことができる。
<1-1.コールドクルーシブル溶解炉の全体構成>
第1実施形態に係るコールドクルーシブル溶解炉の構成を、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るコールドクルーシブル溶解炉CCFの構成を模式的に示す図である。
出湯ノズル3について、図2、図3を参照しながら説明する。図2は、出湯ノズル3およびその近傍を拡大して示す図である。図3は、出湯ノズル3の先端に滴状スカル80が形成された状態を模式的に示す図である。
次に、図1~図3に加え、図4~図7を参照しながら、コールドクルーシブル溶解炉CCFの動作を説明しつつ、出湯ノズル3と貫通孔22の間に設けられる隙間6の寸法について具体的に説明する。図4は、溶解工程が行われている状態のコールドクルーシブル溶解炉CCFを模式的に示す図である。図5は、るつぼ1の中にある溶湯7が、出湯ノズル3から出湯され切った状態のコールドクルーシブル溶解炉CCFを模式的に示す図である。図6は、るつぼ分離工程が行われている状態のコールドクルーシブル溶解炉CCFを模式的に示す図である。図7は、出湯ノズル取り外し工程が行われている状態のコールドクルーシブル溶解炉CCFを模式的に示す図である。
コールドクルーシブル溶解炉CCFにおいて、被溶解材料を溶解させる際には、るつぼ1の中に被溶解材料が投入されるとともに、第1電源装置41から溶解用コイル4に高周波電力が投入される。溶解用コイル4に高周波電流が流れると、るつぼ1の中にある被溶解材料が誘導加熱によって昇温する。このとき、るつぼ1および底板2は、冷媒が循環されることによって冷却されており、被溶解材料は、るつぼ1の底部側および出湯ノズル3における拡径部31の内部にスカル8を形成しつつ、溶解する(図4)。このスカル8によって出湯ノズル3が栓をされることになり、溶解した被溶解材料(溶湯)7が出湯ノズル3から漏れ出さないようになっている。
るつぼ1の中の被溶解材料が十分に溶解すると、第2電源装置51から出湯用コイル5に高周波電力が投入される。出湯用コイル5に高周波電流が流れると、出湯ノズル3の内部およびその付近に形成されているスカル8が誘導加熱によって昇温し、溶解する。これにより、るつぼ1の中にある溶湯7が出湯ノズル3から出湯する。
上記の通り、多くの場合、出湯工程が終了した段階において、出湯ノズル3の内部等にはスカル8が残存している。このような状態のまま、次のロットに係る溶解工程が連続して行われると、出湯ノズル3の内部等に残存していたスカル8を溶解するために非常に大きな電力が必要となるばかりか、最悪の場合、スカル8が十分に溶解されないために出湯が困難になる虞もある。そこで、次のロットに係る溶解工程が行われる前に、出湯ノズル3の内部等に残存しているスカル8を除去するためのメンテナンス工程を行う。
上記の実施形態に係るコールドクルーシブル溶解炉CCFによると、るつぼ1の底部側を塞ぐ底板2に設けられた貫通孔22の内周面と、これに挿通して設けられる出湯ノズル3の外周面との間に、隙間6が設けられている。この構成においては、出湯用コイル5に第2電源装置51から高周波電流を流して、出湯ノズル3の内部のスカル8を誘導加熱によって溶解させるときに、隙間6が断熱層として機能するため、出湯ノズル3から底板2へ熱が逃げにくい。すなわち、熱損失が低減され、誘導加熱によって生じたジュール熱が無駄なくスカル8の溶解に費やされる。これによって、出湯ノズル3の内部のスカル8を溶解させるために出湯用コイル5に供給する電力を小さく抑えることができる。その結果、出湯用コイル5の周囲に配置された部品が昇温しにくくなるため、該部品を冷却するための冷却機構を強化するための対策をとる必要性が低下し、出湯に係る構成が簡素化される。また、出湯用コイル5に供給する電力が小さく抑えられることによって、出湯用コイル5と底板2あるいは出湯ノズル3と間に、放電が発生するほどの電圧差が生じることも回避される。
次に、第2実施形態に係るコールドクルーシブル溶解炉について、図8を参照しながら説明する。図8は、出湯ノズル3を示すとともに、その先端に形成される滴状スカル80の予測直径の算出に用いられるパラメータを説明するための図である。
F1=γ・πD ・・・(式1)
ここで、「γ」は表面張力係数であり、「D」はストレート部32の外直径である。ただしここでは、ストレート部32が、その軸方向の全体に亘って径寸法が変化しない形状であるとする。
F2=mg ・・・(式2)
ここで、「m」は滴状スカル80の質量であり、「g」は重力加速度である。
滴状スカル80が球状であるみなすと、質量「m」は次の(式3)で与えられる。
m=(4/3)πr3・ρ ・・・(式3)
ここで、「r」は滴状スカル80の半径であり、「ρ」は、被溶解材料の融点での液体密度である。
したがって、滴状スカル80にかかる重力「F2」は、次の(式4)で与えられる。
F2=(4/3)πr3・ρg ・・・(式4)
F3=ρgSh ・・・(式5)
ここで、「S」は出湯ノズル3のストレート部32の内部の断面積であり、「h」はストレート部32の長さである。
滴状スカル80の断面積「S」は、次の(式6)で与えられる。
S=π(d/2)2 ・・・(式6)
ここで、「d」はストレート部32の内直径である。
したがって、被溶解材料が滴状スカル80を上から押す力「F3」は、次の(式7)で与えられる。
F3=ρg・π(d2/4)h ・・・(式7)
γ・πD=(4/3)πr3・ρg+ρg・π(d2/4)h ・・・(式8)
r3=(3γD/4ρg)-(3hd2/16) ・・・(式9)
p=2r ・・・(式10)
次に、第3実施形態に係るコールドクルーシブル溶解炉について説明する。この実施形態に係るコールドクルーシブル溶解炉は、上記の各実施形態に係るコールドクルーシブル溶解炉CCFと同じ構成を備えているが、貫通孔22におけるストレート内周面222の内直径d22を、出湯ノズル3の先端に形成される滴状スカル80の予測直径を補正することによって得られた補正予測直径に基づいて規定する点において、第1、第2実施形態と相違する。以下においては、第1、第2実施形態と相違する点のみを説明する。
上記の各実施形態では、出湯ノズル3は、ストレート部32が、その軸方向の全体に亘って径寸法が変化しない筒状であったが(図8等参照)、出湯ノズル3の形状はこれに限らない。例えば、図9に示される出湯ノズル3aのように、拡径部31aの下側に連なるストレート部32aの下端部分に、下端に近づくにつれて外径寸法が徐々に小さくなるテーパー部321aが形成されてもよい。また例えば、図10に示される出湯ノズル3bのように、拡径部31bの下側に連なるストレート部32bの下端部分に、外径寸法が非連続的に小さくなる段差部321bが形成されてもよい。
F1=γ・πD・cosθ ・・・(式1a)
ここで、「θ」はテーパー部321aの傾斜角度である。
γπDcosθ=(4/3)πr3・ρg+ρg・π(d2/4)h ・・・(式8a)
r3=(3γDcosθ/4ρg)-(3hd2/16) ・・・(式9a)
2 底板
22 貫通孔
221 拡径内周面
222 ストレート内周面
3,3a,3b 出湯ノズル
31,31a,31b 拡径部
32,32a,32b ストレート部
321a テーパー部
321b 段差部
4 溶解用コイル
5 出湯用コイル
6 隙間
61 断熱部材
7 溶湯
8 スカル
80 滴状スカル
CCF コールドクルーシブル溶解炉
Claims (8)
- 筒状のるつぼと、
前記るつぼの底部側を塞ぐ水冷セグメント構造の底板と、
逆円錐状の拡径部と、その下側に連なるストレート部とを備えて、全体として漏斗状を呈し、前記底板に設けられた貫通孔に挿通して取り付けられた、水冷セグメント構造ではない出湯ノズルと、
前記るつぼの周囲に配置された溶解用コイルと、
前記出湯ノズルの周囲に配置された出湯用コイルと、
を備え、
前記貫通孔の内周面と、前記出湯ノズルを構成するストレート部の外周面との間に隙間が設けられている、
コールドクルーシブル溶解炉。 - 請求項1に記載のコールドクルーシブル溶解炉であって、
前記貫通孔の内直径が、前記出湯ノズルの先端に形成される滴状スカルの直径よりも大きい、
コールドクルーシブル溶解炉。 - 請求項2に記載のコールドクルーシブル溶解炉であって、
前記貫通孔の内直径が、前記滴状スカルの予測直径よりも大きく、
前記予測直径が、前記滴状スカルの表面張力と、前記滴状スカルにかかる重力と、被溶解材料が前記滴状スカルを上から押す力との釣り合い式に基づいて算出された値であり、
前記釣り合い式における被溶解材料が前記滴状スカルを上から押す力F3は、被溶解材料の融点での液体密度ρ、重力加速度g、ストレート部の長さh、ストレート部の内直径dを用いて、
F3=ρg・π(d2/4)h
によって算出する、
コールドクルーシブル溶解炉。 - 請求項1から3のいずれかに記載のコールドクルーシブル溶解炉であって、
前記貫通孔の内周面と前記出湯ノズルの外周面との離間幅が、所定の上限幅以下であり、
前記所定の上限幅が、
前記出湯用コイルに高周波電流が流れない状態において、前記出湯ノズルの内部の被溶解材料の凝固状態が維持される最大の幅である、
コールドクルーシブル溶解炉。 - 請求項1から4のいずれかに記載のコールドクルーシブル溶解炉であって、
前記隙間に着脱自在に設けられた断熱部材、
を備える、コールドクルーシブル溶解炉。 - 請求項1~5のいずれかに記載のコールドクルーシブル溶解炉であって、
前記貫通孔よりも径方向外側に前記出湯用コイルを形成している、コールドクルーシブル溶解炉。 - 筒状のるつぼと、
前記るつぼの底部側を塞ぐ水冷セグメント構造の底板と、
逆円錐状の拡径部と、その下側に連なるストレート部とを備えて、全体として漏斗状を呈し、前記底板に設けられた貫通孔に挿通して取り付けられた、水冷セグメント構造ではない出湯ノズルと、
前記るつぼの周囲に配置された溶解用コイルと、
前記出湯ノズルの周囲に配置された出湯用コイルと、
を備え、
前記貫通孔の内周面と、前記出湯ノズルを構成するストレート部の外周面との間に隙間が設けられ、
前記るつぼを前記底板に載せ置いている、
コールドクルーシブル溶解炉。 - 筒状のるつぼの底部側を塞ぐ水冷セグメント構造の底板に、逆円錐状の拡径部と、その下側に連なるストレート部とを備え、全体として漏斗状を呈する出湯ノズルを設けるにあたり、前記底板に設けられた貫通孔に、該貫通孔の内周面との間に隙間を設けつつ前記ストレート部を挿通されて取り付けられた、水冷セグメント構造ではない出湯ノズルを、その先端に滴状スカルが形成された状態のままで、前記貫通孔を挿通させつつ上方に引き上げて前記底板から取り外す出湯ノズル取り外し工程と、
前記るつぼを上方に引き上げて、前記底板から分離させる、るつぼ分離工程と、
を備え、
前記るつぼ分離工程が、前記出湯ノズル取り外し工程に先だって行われる、コールドクルーシブル溶解炉のメンテナンス方法。
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