JP2019186132A - 誘導加熱溶解装置 - Google Patents

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悠 米虫
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尚樹 中本
Naoki Nakamoto
尚樹 中本
中井泰弘
Yasuhiro Nakai
泰弘 中井
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Abstract

【課題】溶湯が暴れることを抑制すること。【解決手段】誘導加熱溶解装置1は、側壁21と底壁22とによって内部空間23が形成されているルツボ11と、内部空間23に入れられた被溶解材料101を誘導加熱により溶解させる溶解コイル12と、底壁22に設けられた、溶解している被溶解材料101を出湯させるためのノズル26と、内部空間23の底部に形成されるスカル103を誘導加熱により溶解させる出湯コイル13と、を備える。底壁22は、ルツボ11の外側と内部空間23との間で磁束が通過可能に構成されている。また、誘導加熱溶解装置1は、上下方向に直交する断面が内部空間23又は底壁22を全周に亘って囲む形状を有する導電性の磁気遮蔽リング30、をさらに備える。磁気遮蔽リング30は、上下方向において、底壁22と溶解コイル12との間の位置又は底壁22と同じ位置に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、ルツボ内の被溶解材料を誘導加熱によって溶解させる誘導加熱溶解装置に関する。
特許文献1には、金属材料(被溶解材料)を溶解させて出湯させる水冷式の誘導加熱溶解炉(いわゆるコールドクルーシブル炉)が開示されている。誘導加熱溶解炉は、筒状の側面壁と平板状の底面壁とを有する水冷式のルツボと、側面壁の周囲に配置された誘導加熱コイル(溶解コイル)と、底面壁に設けられた出湯ノズル部と、出湯ノズル部の周囲に配置された出湯用誘導加熱コイル(出湯コイル)と、を備える。詳細には、側面壁及び底面壁は、ルツボの周方向において絶縁部材を挟んで複数のセグメントに分割されており、複数のセグメント間に形成されたスリットを交流磁束が通過可能となっている。このような誘導加熱溶解炉において、まず、溶解コイルによる誘導加熱でルツボ内の被溶解材料が溶かされ、溶湯となる。溶湯の一部は、底面壁に冷却されてスカル(凝固層)を形成し、出湯ノズル部を塞ぐ。さらに、出湯コイルによる誘導加熱でスカルが溶かされることで、出湯ノズル部が開放され、出湯が行われる。
溶解コイルによる誘導加熱に関して、より詳細には、溶解コイルで生成される磁束が被溶解材料の表面を通ることで被溶解材料の表面に誘導電流が流れ、ジュール熱によって被溶解材料が溶解する。ここで、磁束の上下方向成分及び誘導電流に起因して、ルツボの径方向内側に向かうローレンツ力が溶湯に作用する。また、溶湯には重力も作用している。つまり、ルツボ内の溶湯には、ローレンツ力及び重力が常に作用している。
特開2017−194234号公報
ルツボ内に溶湯が十分入っているときには、上述したローレンツ力と重力とが安定して釣り合っている状態が保たれ、溶湯が山なりの形状を有している。一方、ルツボ内の溶湯の量が少なくなると、溶湯に作用する重力に対してローレンツ力が相対的に大きくなり、溶湯がルツボの径方向中心部に寄り集まりやすくなる。これにより、例えば、溶湯がルツボの径方向中心部において細長く盛り上がったり、そのように盛り上がった溶湯の一部が重力によってルツボの底に落ちたりする等、溶湯の形状や動きが不安定化しやすくなる(以下、「暴れる」と称する)。より具体的な例として、底面壁間のスリットを磁束が通ることにより、スリット付近の溶湯がルツボの径方向内側に向かい、溶湯の滴が激しく飛散する。さらに、この際、溶湯に流れる誘導電流に起因して、放電が生じることもある。このような現象は、以下のことが原因であると考えられる。すなわち、ルツボがセグメント化されていることで、出湯コイルによって生成される磁束が底面壁を通過可能となっている一方で、溶解コイルによって生成される磁束も底面壁を通過可能であることが、溶湯が暴れる要因となっている。溶湯の量が少なくなると溶湯が暴れるという現象自体は従来から知られており、特に大きな問題とはなっていなかったが、近年、以下のような問題が顕在化してきている。
誘導加熱溶解炉から出湯された溶湯は、例えば、高圧ガスが噴きつけられることで微小な粉末材料になる(アトマイズされる)。このようにして製造される粉末材料の径は、一般的に、出湯量に応じて変わる。このため、粉末材料のさらなる微細化のために出湯ノズル部の開口の小径化が進められており、開口径が大きい場合と比べて、溶湯が暴れると出湯量が不安定になりやすい等の問題が生じている。
本発明の目的は、溶湯が暴れることを抑制することである。
第1の発明の誘導加熱溶解装置は、側壁と底壁とによって内部空間が形成されているルツボと、前記側壁の周りを囲むように配置された、前記内部空間に入れられた被溶解材料を誘導加熱により溶解させる溶解コイルと、前記底壁に設けられた、溶解している前記被溶解材料を出湯させるための出湯部と、前記出湯部の周りを囲むように配置された、前記内部空間の底部に形成されるスカルを誘導加熱により溶解させる出湯コイルと、を備える誘導加熱溶解装置であって、前記底壁は、前記ルツボの外側と前記内部空間との間で磁束が通過可能に構成され、上下方向に直交する断面が前記内部空間又は前記底壁を全周に亘って囲む形状を有する導電性の磁気遮蔽部、をさらに備え、前記磁気遮蔽部は、上下方向において、前記底壁と前記溶解コイルとの間の位置又は前記底壁と同じ位置に配置されていることを特徴とするものである。
ルツボの底壁は、出湯コイルによって生成される磁束がルツボ内のスカルを通れるように、磁束が通過可能に構成されている。これにより、スカルが誘導加熱によって溶かされることで、出湯部からの出湯が可能となる。一方、溶解コイルによって生成される磁束も底壁を通過可能である。当該磁束が底壁を通過して被溶解材料の表面を流れると、溶解した被溶解材料(溶湯)の表面に渦電流が発生する。このため、磁束及び渦電流に起因するローレンツ力が溶湯に作用し、溶湯が暴れる原因となりうる。
本発明では、溶解コイルによって生成される磁束が磁気遮蔽部の内側の空間を通過しようとすると、電磁誘導によって磁気遮蔽部に誘導電流が流れる。当該誘導電流に起因して発生する磁束と、溶解コイルによって生成される磁束とが互いに打ち消し合う。このため、溶解コイルによって生成される磁束が、磁気遮蔽部の内側の空間や、磁気遮蔽部の下方(或いは、上下方向において磁気遮蔽部と同じ位置)に配置された底壁を通過することが抑制される。これにより、底壁の近傍(内部空間の底部)にある溶湯を磁束が通過することを抑制でき、溶湯に渦電流が流れることも抑制できる。つまり、内部空間の底部の溶湯に対して、磁束及び渦電流に起因するローレンツ力が作用することを抑制できる。したがって、溶湯が暴れることを抑制することができる。
第2の発明の誘導加熱溶解装置は、前記第1の発明において、上下方向及び前記磁気遮蔽部の周方向の両方と直交する径方向において、前記磁気遮蔽部の内端が、前記溶解コイルの外端よりも内側に配置されていることを特徴とするものである。
磁気遮蔽部が溶解コイルよりも径方向外側に配置されている(つまり、磁気遮蔽部の内径が大きい)と、磁束が通る空間を磁気遮蔽部によって遮蔽しきれず、磁気遮蔽効果が有効に発揮されないおそれがある。本発明では、磁気遮蔽部の内径が小さいので、磁束が通る空間を効果的に遮蔽できる。したがって、溶解コイルによって生成される磁束をより確実に打ち消すことができる。
第3の発明の誘導加熱溶解装置は、前記第1又は第2の発明において、上下方向及び前記磁気遮蔽部の周方向の両方と直交する径方向において、前記磁気遮蔽部の内端が、前記側壁よりも外側に配置されていることを特徴とするものである。
磁気遮蔽部が径方向においてあまりにも内側に配置されていると、溶解コイルによって生成される磁束が磁気遮蔽部によって遮断されて内部空間を通りにくくなり、被溶解材料が溶解されにくくなるおそれがある。本発明では、磁気遮蔽部が側壁よりも径方向外側に配置されているので、被溶解材料が溶解されにくくなることを抑制できる。
第4の発明の誘導加熱溶解装置は、前記第1〜第3のいずれかの発明において、前記磁気遮蔽部は、前記ルツボとは独立した部材で形成されていることを特徴とするものである。
例えば、ルツボの一部を用いて磁気遮蔽部を形成することも可能だが、ルツボの設計が複雑化する等のおそれがある。本発明では、磁気遮蔽部がルツボとは独立した部材で形成されている(ルツボとは別の部材である)ため、ルツボの設計の複雑化等を避けることができる。また、磁気遮蔽部を例えばリング状に形成することで、磁気遮蔽部の構造や形状を単純にすることができ、コストの増大も抑制できる。
第5の発明の誘導加熱溶解装置は、前記第1〜第4のいずれかの発明において、前記磁気遮蔽部を冷却する冷却部が設けられていることを特徴とするものである。
本発明では、磁気遮蔽部に渦電流が流れることによる磁気遮蔽部の過熱を抑制することができる。
本実施形態に係る誘導加熱溶解装置の概略図である。 図1のII-II断面図である。 実施例及び比較例における、磁束の通り方のシミュレーション図である。 変形例1及び変形例2に係る誘導加熱溶解装置の概略図である。 変形例3及び変形例4に係る誘導加熱溶解装置の概略図である。 変形例1及び変形例2における、磁束の通り方のシミュレーション図である。 変形例3及び変形例4における、磁束の通り方のシミュレーション図である。
次に、本発明の実施の形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。なお、図1の紙面上下方向を上下方向とする。上下方向から見たときに、ルツボ11(後述)を囲む方向を周方向とする。上下方向及び周方向の両方と直交する方向を径方向とする。
(誘導加熱溶解装置)
まず、誘導加熱溶解装置1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る誘導加熱溶解装置1の概略図である。図2は、図1のII−II断面図である。誘導加熱溶解装置1は、例えば水冷式のコールドクルーシブル炉であり、チタン合金等の被溶解材料101を誘導加熱によって溶解させて出湯させるためのものである。図1に示すように、誘導加熱溶解装置1は、ルツボ11と、溶解コイル12と、出湯コイル13と、を備える。
ルツボ11は、被溶解材料101が入れられる容器であり、例えば銅等で形成されている。ルツボ11は、円筒状の側壁21と、概ね円板状の底壁22とを有する。側壁21と底壁22とによって、被溶解材料101が入れられる内部空間23が形成されている。側壁21及び底壁22は、例えば不図示の架台にそれぞれ設置されることで、互いに分離可能に設けられている。
側壁21及び底壁22は、周方向において複数のセグメント24に分割(セグメント化)されている。複数のセグメント24間には、スリット24aがそれぞれ形成されている。各セグメント24は中空形状を有しており(不図示)、内部を水等の冷媒が通れるようになっている。スリット24aには、薄板状の絶縁部材25が埋め込まれている。絶縁部材25は、後述するように、磁束を通過させるためのものである。本実施形態では、ルツボ11は8つのセグメント24に分割されている(図2参照)が、セグメント24の数はこれに限定されるものではない。
図1及び図2に示すように、側壁21は、例えば円筒形状を有する壁である。側壁21は、上下方向に延びている。側壁21の周囲(径方向外側)には、溶解コイル12が配置されている(図1参照)。側壁21は中空形状を有しており(図示省略)、例えば冷却水源104(図2参照)から供給される水によって内側から冷却される。側壁21の形状は一例であり、これに限定されるものではない。
図1及び図2に示すように、底壁22は、側壁21の下方に配置された概ね円板状の壁である。底壁22には、ルツボ11の底から被溶解材料101を出湯させるためのノズル26(本発明の出湯部)が設けられている。ノズル26は、底壁22から下方に延びている。ノズル26の下部には、被溶解材料が出湯するための開口27が形成されている。底壁22の径方向外側部分には、図示しない支持部によって下方から支持される被支持部28が形成されている。底壁22も中空形状を有しており(図示省略)、例えば冷却水源104(図2参照)から供給される水によって内側から冷却される。底壁22の形状は一例であり、これに限定されるものではない。
溶解コイル12は、ルツボ11の内部空間23内の被溶解材料101を誘導加熱により溶解させるためのものである。溶解コイル12は、側壁21の周りを囲むように螺旋状に配置されている。溶解コイル12は、底壁22よりも上方に配置されている(図1参照)。溶解コイル12も、ルツボ11と同様に、水冷可能に構成されている(図示省略)。溶解コイル12には、高周波電圧を出力可能な溶解用電源105が電気的に接続されている。溶解用電源105は、制御装置15と電気的に接続されており、制御装置15によって制御される。或いは、溶解用電源105は、作業者(不図示)により操作されても良い。溶解用電源105から溶解コイル12に高周波電圧が印加されると、溶解コイル12に高周波電流が流れて交流磁束が生成される。交流磁束は、複数のセグメント24間に配置された絶縁部材25を通過可能であり、それによって内部空間23を通過可能となっている。内部空間23を通る交流磁束は、被溶解材料101の表面を流れる。これにより、電磁誘導によって被溶解材料101の表面に誘導起電力が生じて渦電流が流れる。渦電流が流れることで、ジュール熱により被溶解材料101が溶解する。このように、被溶解材料101が誘導加熱により溶解させられる。被溶解材料101の大部分は、誘導加熱により溶解して溶湯102となる。被溶解材料101の下端部は、水冷されている底壁22に接触することで冷却され、スカル(凝固層)103となる。スカル103は、内部空間23の底部に形成され、ノズル26の開口27を塞ぐ。
出湯コイル13は、スカル103を誘導加熱により溶解させるためのものである。出湯コイル13は、ノズル26の周りを囲むように配置されている(図1参照)。出湯コイル13も、溶解コイル12等と同様に、水冷可能に構成されている(図示省略)。出湯コイル13には、高周波電圧を出力可能な出湯用電源106が電気的に接続されている。出湯用電源106は、制御装置15と電気的に接続されており、制御装置15によって制御される。或いは、出湯用電源106は、作業者(不図示)により操作されても良い。出湯用電源106から出湯コイル13に高周波電圧が印加されると、ルツボ11の底部に交流磁束が生成される。この交流磁束は、底壁22を構成する絶縁部材25を通過可能である。つまり、出湯コイル13で生成される交流磁束は、ルツボ11の外側と内部空間23との間で、底壁22を通過可能となっている。
以上のような構成を有する誘導加熱溶解装置1において、まず、溶解コイル12による誘導加熱で被溶解材料101が溶解して溶湯102となる。そして、出湯コイル13による誘導加熱でスカル103が溶解してノズル26が開放され、溶湯102がノズル26の開口27から出湯される。出湯された溶湯102は、例えば、不図示のアトマイズ装置によって高圧ガスが噴きつけられることで、微小な粉末材料になる(アトマイズされる)。
ここで、溶湯102には、溶解コイル12によって生成される磁束と、溶湯102に流れる渦電流とに起因するローレンツ力が作用する。ローレンツ力は、磁束の上下方向の成分と渦電流とに起因して、溶湯102が径方向内側に向かうように溶湯102に作用する。また、溶湯102には重力も作用している。内部空間23内に溶湯102が十分に入っている状態では、ローレンツ力と重力とが安定して釣り合っている状態が保たれ、溶湯102が山なりの形状を有している(図1の実線参照)。一方、ルツボ11内の溶湯102の量が少なくなると、溶湯102に作用する重力に対してローレンツ力が相対的に大きくなり、溶湯102がルツボ11の径方向中心部に寄り集まりやすくなる。これにより、例えば、溶湯102がルツボ11の径方向中心部において細長く盛り上がったり(図1の二点鎖線参照)、そのように盛り上がった溶湯102の一部が重力によってルツボ11の底に落ちたりする等、溶湯102の形状や動きが不安定化しやすくなる。この現象は、溶湯102が「暴れる」と称される現象であり、以下のことが原因であると考えられる。すなわち、ルツボ11がセグメント化されていることで、出湯コイル13によって生成される磁束が底壁22を通過可能となっている一方で、溶解コイル12によって生成される磁束も底壁22を通過可能であることが、溶湯102が暴れる要因となっている。
近年、ルツボ11内の溶湯102が暴れることによる以下のような問題が顕在化してきている。例えば、上述した不図示のアトマイズ装置によって製造される粉末材料の径は、一般的に、出湯量に応じて変わる。このため、粉末材料のさらなる微細化のためにノズル26の開口27の小径化が進められており、開口径が大きい場合と比べて、溶湯102が暴れると出湯量が不安定になりやすい等の問題が生じている。そこで、本実施形態の誘導加熱溶解装置1は、以下に述べるような磁気遮蔽リング30(本発明の磁気遮蔽部)を備える。
(磁気遮蔽リング)
磁気遮蔽リング30の構成について、図1及び図2を用いて説明する。磁気遮蔽リング30は、内部空間23を周方向において全周に亘って囲むリング状の部材である(図2参照)。磁気遮蔽リング30は、例えば銅等の導電性の材料で形成されている。磁気遮蔽リング30は、ルツボ11とは独立した部材で形成されている。磁気遮蔽リング30は、上下方向において、底壁22と溶解コイル12との間に配置されている(図1参照)。ここで、「底壁22と溶解コイル12との間に配置されている」とは、磁気遮蔽リング30の上端33が、溶解コイル12の下端16よりも下方且つ底壁22の上端面29よりも上方に配置されていることを意味する。磁気遮蔽リング30は、径方向において、溶解コイル12と同じ位置に配置されている。言い換えると、磁気遮蔽リング30の径方向における内端31は、溶解コイル12の径方向における外端14よりも径方向内側、且つ、側壁21よりも径方向外側に配置されている。磁気遮蔽リング30は中空形状を有しており、内部に水等の冷媒を流すための流路32(本発明の冷却部)が設けられている。流路32には、冷却水源104(図2参照)から水が供給される。これにより、磁気遮蔽リング30が冷却される。
(磁束の通り方のシミュレーション結果)
次に、磁気遮蔽リング30を備える誘導加熱溶解装置1における磁束の遮蔽効果について、図3を用いて説明する。図3(a)は、磁気遮蔽リング30が設けられている場合(実施例)における、ルツボ11及びその周辺の磁束の通り方に関するシミュレーション結果を示す図である。図3(b)は、磁気遮蔽リング30が配置されていない場合(比較例)における、同様のシミュレーション結果を示す図である。
本願発明者は、磁気遮蔽リング30による磁束の遮蔽効果を確認するために、溶解コイル12によって生成される磁束がルツボ11を(具体的には、内部空間23及び絶縁部材25(図1、図2参照)を)どのように通るかについてシミュレーションを行った。なお、ルツボ11内の被溶解材料101については考慮しないものとしてシミュレーションを行った。また、ルツボ11の右側半分(図1に示すルツボ11の紙面右側半分)についてシミュレーションを行った。つまり、ルツボ11の左側半分においては、中心線C(図3(a)、(b)参照)を挟んで、図3(a)、(b)に示す磁束と左右対称の磁束が流れる。
磁気遮蔽リング30を設けた場合、図3(a)に示すように、溶解コイル12によって生成される磁束は、底壁22をほとんど通らないというシミュレーション結果が得られた。言い換えると、溶湯102のうち、底壁22のすぐ上方にある部分においては、磁束の通過が抑制されることが分かった。一方、磁気遮蔽リング30を設けない場合、図3(b)に示すように、溶解コイル12によって生成される磁束は、底壁22を通りやすいというシミュレーション結果が得られた。言い換えると、溶湯102のうち、底壁22のすぐ上方にある部分において、磁束が通過しやすいことが分かった。
磁気遮蔽リング30によって磁束が遮蔽される原理は、以下のように説明可能である。すなわち、溶解コイル12によって生成される磁束が磁気遮蔽リング30の内側の空間を通過しようとすると、電磁誘導によって磁気遮蔽リング30に誘導電流が流れる。当該誘導電流に起因して発生する磁束と、溶解コイル12によって生成される磁束とが互いに打ち消し合う。このため、溶解コイル12によって生成される磁束が、磁気遮蔽リング30の内側の空間や、磁気遮蔽リング30の下方に配置された底壁22を通過することが抑制される。
これにより、溶湯102のうち、底壁22のすぐ上方の部分に渦電流が流れることが抑制され、ローレンツ力の作用も抑制される。このため、溶湯102が少なくなってきたときに、溶湯102が暴れることが抑制される。
以上のように、磁気遮蔽リング30によって、溶解コイル12によって生成される磁束が、磁気遮蔽リング30の内側の空間や、磁気遮蔽リング30の下方に配置された底壁22を通過することが抑制される。これにより、底壁22の近傍(内部空間23の底部)にある溶湯102を磁束が通過することを抑制でき、溶湯102に渦電流が流れることも抑制できる。つまり、内部空間23の底部の溶湯102に対して、磁束及び渦電流に起因するローレンツ力が作用することを抑制できる。したがって、溶湯102が暴れることを抑制することができる。
また、磁気遮蔽リング30の径方向における内端31が、溶解コイル12の外端14よりも径方向内側に配置されている。つまり、磁気遮蔽リング30の内径が小さいので、磁束が通る空間を効果的に遮蔽できる。したがって、溶解コイル12によって生成される磁束をより確実に打ち消すことができる。
また、磁気遮蔽リング30の内端31が、側壁21よりも径方向外側に配置されているので、被溶解材料が溶解されにくくなることを抑制できる。
また、磁気遮蔽リング30がルツボ11とは独立した部材で形成されている(ルツボ11とは別の部材である)ため、ルツボ11の設計の複雑化等を避けることができる。また、磁気遮蔽リング30の構造や形状を単純にすることができ、コストの増大も抑制できる。
また、冷媒が流れる流路32が磁気遮蔽リング30に設けられているので、磁気遮蔽リングに渦電流が流れることによる磁気遮蔽リング30の過熱を抑制することができる。
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
(1)前記実施形態において、ルツボ11とは独立した部材である磁気遮蔽リング30が設けられているものとしたが、これには限られない。すなわち、図4及び図5に示すように、ルツボ11の一部を利用して磁気遮蔽部が形成されていても良い。例えば、誘導加熱溶解装置1a(変形例1。図4(a)参照)のように、被支持部28(図1参照)を周方向に短絡させることで磁気遮蔽部40aが形成されていても良い。この場合、上下方向において、ルツボ11aの底壁22aと同じ位置に磁気遮蔽部40aが配置されている。つまり、磁気遮蔽部40aが、底壁22aを囲んでいても良い。ここで、「底壁22aと同じ位置に配置されている」とは、上下方向において、磁気遮蔽部40aの上端42aが底壁22aの上端面29aと同じ位置に配置されていることを意味する(他の変形例においても同様とする)。また、磁気遮蔽部40aの内端41aが、溶解コイル12の外端14と面一(或いは、溶解コイル12の外端14よりも径方向外側)に配置されていても良い。
或いは、誘導加熱溶解装置1b(変形例2。図4(b)参照)のように、磁気遮蔽部40bが、ルツボ11bの底壁22bを囲んでおり、磁気遮蔽部40bの内端41bが、溶解コイル12の内端と面一に配置されていても良い。誘導加熱溶解装置1c(変形例3。図5(a)参照)のように、磁気遮蔽部40cが、ルツボ11cの底壁22cを囲んでおり、磁気遮蔽部40cの内端41cが、側壁21の外端よりも径方向内側に配置されていても良い。誘導加熱溶解装置1c(変形例4。図5(b)参照)のように、磁気遮蔽部40dが、ルツボ11dの底壁22dを囲んでおり、磁気遮蔽部40dの内端41dが、側壁21の内端よりも径方向内側に配置されていても良い。
前述の実施例及び比較例について行ったシミュレーションと同様のシミュレーションを、変形例1〜4について行った。その結果を図6、図7に示す。変形例1(図6(a)参照)においては、底壁22aを通る磁束は、実施例(図3(a)参照)と比べると多く、比較例(図3(b)参照)と比べると少ないという結果が得られた。変形例2〜4においては、底壁22b、22c、22dを通る磁束は、それぞれ実施例とほぼ同等というシミュレーション結果が得られた。したがって、磁気遮蔽部の内端は、変形例2〜4のように、溶解コイル12の外端14よりも径方向内側に配置されていることが好ましい。
或いは、側壁21の上下方向における一部を周方向に短絡させることで、磁気遮蔽部を形成しても良い(図示省略)。なお、この場合は、溶解コイル12によって生成される磁束が磁気遮蔽部によって遮断されて内部空間23を通りにくくなり、被溶解材料101が溶解されにくくなるというトレードオフが生じうるので、トレードオフを抑制するための工夫が求められる。
(2)前記までの実施形態において、磁気遮蔽リング30には冷却水が流れる流路32が設けられているものとしたが、これには限られない。例えば、磁気遮蔽リング30を径方向外側から冷却する冷却部(不図示)が設けられていても良い。あるいは、冷却部は、必ずしも設けられていなくても良い。
(3)前記までの実施形態において、底壁22等は、セグメント化されていることで磁束を通過させるものとしたが、これには限られない。例えば、底壁が絶縁体で形成されていても良い。
(4)本発明は、コールドクルーシブル炉に限定されず、誘導加熱式の様々な溶解装置に適用可能である。
1 誘導加熱溶解装置
11 ルツボ
12 溶解コイル
13 出湯コイル
14 外端
21 側壁
22 底壁
23 内部空間
26 ノズル(出湯部)
30 磁気遮蔽リング(磁気遮蔽部)
31 内端
32 流路(冷却部)
101 被溶解材料
103 スカル

Claims (5)

  1. 側壁と底壁とによって内部空間が形成されているルツボと、
    前記側壁の周りを囲むように配置された、前記内部空間に入れられた被溶解材料を誘導加熱により溶解させる溶解コイルと、
    前記底壁に設けられた、溶解している前記被溶解材料を出湯させるための出湯部と、
    前記出湯部の周りを囲むように配置された、前記内部空間の底部に形成されるスカルを誘導加熱により溶解させる出湯コイルと、を備える誘導加熱溶解装置であって、
    前記底壁は、前記ルツボの外側と前記内部空間との間で磁束が通過可能に構成され、
    上下方向に直交する断面が前記内部空間又は前記底壁を全周に亘って囲む形状を有する導電性の磁気遮蔽部、をさらに備え、
    前記磁気遮蔽部は、上下方向において、前記底壁と前記溶解コイルとの間の位置又は前記底壁と同じ位置に配置されていることを特徴とする誘導加熱溶解装置。
  2. 上下方向及び前記磁気遮蔽部の周方向の両方と直交する径方向において、前記磁気遮蔽部の内端が、前記溶解コイルの外端よりも内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱溶解装置。
  3. 上下方向及び前記磁気遮蔽部の周方向の両方と直交する径方向において、前記磁気遮蔽部の内端が、前記側壁よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導加熱溶解装置。
  4. 前記磁気遮蔽部は、前記ルツボとは独立した部材で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘導加熱溶解装置。
  5. 前記磁気遮蔽部を冷却する冷却部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘導加熱溶解装置。
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