JP7322516B2 - インクジェット画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット画像形成装置に関する。
近年、紙、布帛等の種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録媒体に印字するインクジェット方式による画像形成装置(以下、「インクジェット画像形成装置」という)が広く普及している。
インクジェット画像形成装置において、インクジェットヘッドから吐出されるインクを中間転写ベルトなどの像担持体(中間転写体)に担持(形成)させ、担持されたインクを転写ニップでインク像として記録媒体に転写する中間転写方式のものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
中間転写方式のインクジェット画像形成装置においては、記録媒体に対するインク像の転写性を確保するため、活性エネルギー線で硬化(増粘)するインクを用い、活性エネルギー線透過性を有する中間転写体を使用する構成が挙げられる。この構成では、転写ニップの上流側において中間転写体の裏面側より活性エネルギー線をインクに照射して当該インクをプレ硬化させた後、転写ニップにおいて挟持かつ押圧(ニップ)されるインクに対して、中間転写体の裏面側より活性エネルギー線を照射して当該インクを硬化させる。
特開2012-96546号公報
ところで、中間転写体の表面(インクジェットヘッドから吐出されたインクが着滴する面)に転写残やミストによる不要なインクや紙粉といった異物が付着(固着)していると、インクに対して適切に活性エネルギー線が照射されず、当該インクを所望の硬化状態にすることができずに転写不良が発生する。そのため、中間転写体を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保する観点から、中間転写体の表面に付着した異物を除去することが行われている。
また、中間転写体の裏面においては、表面よりは少ないものの、紙粉やミストの回り込み等により異物の付着が発生する。この場合、中間転写体の裏面側で当該中間転写体を回転可能に張架する張架ローラーと、当該裏面に付着した異物とが摺擦され、当該裏面に損傷が発生するおそれがある。中間転写体の裏面に損傷が発生すると、活性エネルギー線が中間転写体を透過するときに散乱し、当該表面上のインクが照射される活性エネルギー線の量にムラ(照度ムラ)が生じる結果、当該インクを所望の状態にすることができないという問題があった。
本発明は、画像形成時に転写体に吐出されたインクを所望の状態にすることが可能なインクジェット画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
活性エネルギー線透過性を有し、インクジェットヘッドから吐出されたインクを表面で担持する回転転写体と、
前記回転転写体の裏面にコート剤を供給するコート剤供給部と、
前記回転転写体の裏面に前記コート剤が供給された状態において、前記回転転写体の裏面側から前記コート剤および前記回転転写体を介して、前記インクに活性エネルギー線を照射する照射部と、
を備える。
本発明によれば、画像形成時に転写体に吐出されたインクを所望の状態にすることができる。
本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。 本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。 活性エネルギー線の散乱を防止する原理を説明する図である。 本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置のコート剤供給動作例を示すフローチャートである。 インクジェット画像形成装置の全体構成の変形例を示す図である。
以下、本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係るインクジェット画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。また、図2は、インクジェット画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、インクジェット画像形成装置1は、インクジェットヘッド102(図2を参照)が搭載されたヘッドユニット10と、転写ベルト20(本発明の「回転転写体」として機能)と、転写ベルト20を回転可能に張架する従動ローラー21,22および駆動ローラーとしての転写ローラー23と、記録媒体Pを搬送する搬送ドラム24と、装置全体の制御を行う制御部40(図2を参照)と、を備える。なお、従動ローラー21は、本発明の「張架ローラー」として機能する。
また、インクジェット画像形成装置1は、転写ベルト20に吐出されたインクの粘度を調整する第1UV照射部25(本発明の「照射部」として機能)と、記録媒体Pに転写されたインクを硬化させる第2UV照射部26と、転写ベルト20の表面をクリーニングする表面クリーニング部27と、転写ローラー23および搬送ドラム24を駆動する搬送駆動部51とを備える。
なお、図示しないが、インクジェット画像形成装置1は、記録媒体Pを積載して搬送ドラム24に給送する給送部、画像が転写された記録媒体Pを搬送ドラム24の搬送方向下流側に排出する排出部、装置の状態を表示する表示部、等を備える。これらは公知の構成であるため、図示および説明を省略する。また、記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛またはシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
転写ベルト20は、上方に配置された従動ローラー21,22と、下方に配置された転写ローラー23(駆動ローラー)とに架け渡されており、搬送駆動部51の転写モーター(図示せず)の駆動力が転写ローラー23に伝達されることにより、図1中の時計周り方向に回転する。
本実施の形態では、転写ベルト20は、活性エネルギー線透過性を有し、ポリイミド(PI)の基材上に、シリコンゴムの弾性層と、アルミニウム(Al)が蒸着された反射層と、ポリプロピレン(PP)の表層と、が積層された無端ベルトが用いられる。また、転写ローラー23は、直径100mmで、表層のゴム厚が10mmのゴムローラーが用いられる。
インクジェット画像形成装置1では、転写ベルト20は、制御部40の制御信号に基づいて上記の転写モーターが駆動され転写ローラー23が図1中の時計周り方向に回転することによって、時計周り方向に回転駆動される。本実施の形態では、制御部40の制御の下、転写ベルト20が600mm/秒の速さ(印画速度)で回転するように、転写ローラー23の回転速度が制御される。
搬送ドラム24は、円柱面状の外周曲面(搬送面)上に記録媒体Pを保持した状態で図1の図面に垂直な方向(以下、「直交方向」と称する)に延びた回転軸の回りで回転することで、搬送面に沿った搬送方向に記録媒体Pを搬送する。
具体的には、搬送ドラム24は、搬送ドラムモーター(図示せず)を備え、制御部40の制御により搬送ドラムモーターが駆動されることにより、図1中の反時計周り方向に回転する。本実施の形態では、搬送ドラム24として、大型(例えば印刷機用3倍胴)の金属製ドラムが用いられる。
上述した転写ベルト20および搬送ドラム24は、800mmの幅すなわち軸方向の長さを有する。
転写ローラー23は、搬送ドラム24の上部に対向して配置され、転写ベルト20を介して搬送ドラム24を加圧する。また、転写ベルト20を挟んで、搬送ドラム24が転写ローラー23に圧接されることにより、転写ベルト20から記録媒体Pへ画像を転写する転写ニップNPが形成される。本実施の形態では、転写ニップNPにおける加重ないし圧接力(以下、「転写圧」という)の値は、80Nに設定されている。
ヘッドユニット10は、転写ベルト20に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から転写ベルト20に対してインクを吐出して画像を転写ベルト20に担持させる。搬送ドラム24は、転写ベルト20に担持された画像が転写ニップNPで記録媒体Pの所定の位置に転写されるように、記録媒体Pを搬送する。
本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット10が転写ベルト20の回転方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
各ヘッドユニット10は、インクジェットヘッド102(図2を参照)を備える。インクジェットヘッド102には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
インクジェットヘッド102に含まれるノズルの直交方向についての配置範囲は、搬送ドラム24により搬送される記録媒体Pのうち画像が記録される領域の直交方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット10は、画像の記録時には搬送ドラム24の回転軸に対して位置が固定されて用いられる。すなわち、インクジェット画像形成装置1は、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置である。
本実施の形態では、インクジェットヘッド102から転写ベルト20に吐出されるインクとして、転写ベルト20に供給される活性エネルギー線の量、具体的には、第1UV照射部25から出力される紫外線(UV:ultra violet)の光量に応じて粘度が変化するインクが用いられる。第1UV照射部25から照射される活性エネルギー線の光量が多いほど、粘度が高くなる性質のインクが用いられる。すなわち、このインクジェット画像形成装置1の画像形成部は、UV硬化型インクジェット方式を採用している。
第1UV照射部25は、転写ベルト20の裏面側に配置され、制御部40の制御の下、転写ニップNPよりも上流側において転写ベルト20の表面に吐出されたインクに対して転写ベルト20の裏面側から活性エネルギー線を照射し、当該インクをプレ硬化させる。その後、第1UV照射部25は、転写ニップNPにおいて挟持かつ押圧(ニップ)されるインクに対して、転写ベルト20の裏面側から活性エネルギー線を照射して当該インクを硬化させる。
図1において、第1UV照射部25から伸びる点線矢印は、転写ベルト20の表面に吐出されたインクに対して転写ベルト20の裏面側から照射された活性エネルギー線を示している。本実施の形態では、第1UV照射部25は、波長395nmのUV光を出力するUV光源を備え、通常の印刷ジョブにおける照射強度のデフォルト値が5mW/cmとされる。
第2UV照射部26は、転写ニップNPの下流側に搬送される記録媒体Pに活性エネルギー線を照射するように配置されており、制御部40の制御の下、転写ニップNPにより転写されたインク(画像)を本硬化させる。本実施の形態では、第2UV照射部26は、波長395nmのUV光を出力するUV光源を備え、通常の印刷ジョブにおける照射強度のデフォルト値が10mW/cmとされる。
表面クリーニング部27は、転写ベルト20の移動方向(回転方向)において従動ローラー21と転写ローラー23(駆動ローラー)との間における転写ベルト20の表面に対向配置され、転写ベルト20の表面をクリーニングするドライウェブ(ウェブローラー)を備える。
表面クリーニング部27のドライウェブは、転写ベルト20に対して接触離間可能、かつ、回転可能に構成されており、制御部40の制御により転写ベルト20に対して接触して回転することにより、転写ベルト20の表面をクリーニングして当該表面に付着した異物(転写残やミストによる不要なインクや紙粉)を除去する。これにより、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保して、画像形成時に転写ベルト20に吐出されたインクを所望の状態にすることができる。言い換えると、転写ベルト20の表面に異物が付着(固着)している場合に、インクに対して適切に活性エネルギー線が照射されず、当該インクを所望の硬化状態にすることができない事態を回避することができる。
次に、主として図2を参照して、インクジェット画像形成装置1における他の主要な機能構成を説明する。インクジェット画像形成装置1は、ヘッドユニット10が有するヘッド駆動部101およびインクジェットヘッド102と、制御部40と、搬送駆動部51と、入出力インターフェース52とを備える。
ヘッド駆動部101は、制御部40の制御に基づいてインクジェットヘッド102の記録素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を出力することにより、インクジェットヘッド102のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)および記憶部44を有する。
CPU41は、ROM43に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM42に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、CPU41は、インクジェット画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAM42は、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
ROM43は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM43に代えて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
記憶部44には、入出力インターフェース52を介して外部装置2から入力された印刷ジョブ(印刷枚数などの種々のユーザー設定情報を含む画像形成指示)および当該印刷ジョブに係る画像データが記憶される。記憶部44としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されてもよい。
搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて搬送ドラム24の搬送ドラムモーターに駆動信号を供給して搬送ドラム24を所定の速度およびタイミングで回転させる。また、搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて転写ローラー23のモーターに駆動信号を供給して、転写ベルト20を所定の速度およびタイミングで回転させる。
入出力インターフェース52は、外部装置2と制御部40との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース52は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか、または、これらの組み合わせで構成される。
外部装置2は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース52を介して印刷ジョブおよび画像データ等を制御部40に供給する。
ところで、転写ベルト20の裏面においては、表面よりは少ないものの、紙粉やミストの回り込み等により異物の付着が発生する。この場合、転写ベルト20の裏面側で従動ローラー21(張架ローラー)と、当該裏面に付着した異物とが摺擦され、当該裏面に損傷が発生するおそれがある。図3Aに示すように、転写ベルト20の裏面に損傷が発生すると、その損傷の発生部分において、第1UV照射部25により照射された活性エネルギー線(図中矢印を参照)が転写ベルト20を透過するときに散乱し、転写ベルト20の表面上のインク32が照射される活性エネルギー線の量にムラ(照度ムラ)が生じる。その結果、インク32を所望の状態にすることができない、すなわちインク32が不均一に硬化してしまうという問題があった。
そこで本実施の形態では、インクジェット画像形成装置1は、損傷検知部28と、コート剤供給部29と、コート剤回収部30とを備えている。なお、コート剤回収部30は、本発明の「付着防止部」として機能する。
損傷検知部28は、転写ベルト20の裏面側、かつ、転写ベルト20の移動方向における第1UV照射部25と転写ローラー23との間に設けられる。損傷検知部28は、転写ベルト20の裏面において損傷が発生している損傷発生領域を検知する。本実施の形態では、損傷検知部28は、光反射型のフォトセンサーであり、転写ベルト20の裏面に照射光を照射して当該裏面からの反射光を検出し、その検出結果に応じて、転写ベルト20の裏面に所定閾値以上の損傷が発生している損傷発生領域を検知する。そして、損傷検知部28は、損傷発生領域の検知結果を制御部40に出力する。
コート剤供給部29は、転写ベルト20の裏面側、かつ、転写ベルト20の移動方向における従動ローラー21と損傷検知部28との間に設けられる。コート剤供給部29は、損傷発生領域の検知結果を受けた制御部40の制御に基づいて、損傷検知部28により検知された損傷発生領域にコート剤を供給する。
本実施の形態では、コート剤供給部29は、グラビア形状を有する塗布ローラーであり、制御部40の制御下において回転駆動可能である。コート剤供給部29(塗布ローラー)は、制御部40の制御により転写ベルト20の裏面に対して接触して回転することにより、転写ベルト20の裏面(特に、損傷発生領域)に向けて塗布ローラーの表面に形成されるコート剤を均一に塗布する。
これにより、図3Bに示すように、転写ベルト20の裏面において損傷が発生している損傷発生領域がコート剤34によって埋められる。その結果、第1UV照射部25により照射された活性エネルギー線(図中矢印を参照)は、転写ベルト20を透過するときに散乱せず、転写ベルト20の表面上のインク32に均一に照射される。すなわち、インク32に対して適切に活性エネルギー線を照射し、当該インク32を所望の硬化状態にすることができ、ひいては転写不良の発生を防止することができる。
本実施の形態では、コート剤は、活性エネルギー線透過性を有し、転写ベルト20と屈折率が同一である。コート剤における活性エネルギー線の透過率は、厚み1μmにおいて、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。コート剤は、損傷発生領域を埋めることができれば、液体(例えば、グリセリン、シリコンオイル、界面活性剤溶液)でも固体(例えば、ステアリン酸亜鉛など)でも良い。コート剤が液体である場合、損傷発生領域を適切に埋める観点から、転写ベルト20の裏面に対するコート剤の接触角は45度以下であることが望ましい。
コート剤回収部30は、転写ベルト20の裏面側、かつ、転写ベルト20の移動方向における従動ローラー21と転写ローラー23との間に設けられる。本実施の形態では、コート剤回収部30は、転写ベルト20の裏面をクリーニングするスポンジローラーを備える。スポンジローラーは例えば、金属製の芯金に発泡ウレタン層(弾性層)を形成した弾性スポンジローラーである。
スポンジローラーは、転写ベルト20に対して接触離間可能、かつ、回転可能に構成されており、制御部40の制御により転写ベルト20に対して接触して回転することにより、コート剤供給部29により転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤を従動ローラー21の上流側で回収(除去)する。これにより、転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤が従動ローラー21に付着することを防止し、ひいては転写ベルト20の搬送性能が低下することを防止することができる。
次に、図4を参照して、インクジェット画像形成装置1のコート剤供給動作例について説明する。なお、図4に示す処理は、画像形成タイミングに実行される。ステップS100の処理前においては、転写ベルト20は、制御部40の制御信号に基づいて回転駆動されている。また、損傷検知部28は、非画像形成タイミングにおいて、転写ベルト20の裏面において損傷が発生している損傷発生領域を検知する処理を実行する。
まず、制御部40は、損傷検知部28による損傷発生領域の検知結果を取得する(ステップS100)。次に、制御部40は、損傷検知部28の検知結果を参照し、転写ベルト20の裏面において損傷発生領域が検知されたか否かについて判定する(ステップS120)。判定の結果、損傷発生領域が検知されなかった場合(ステップS120、NO)、処理はステップS160に遷移する。
一方、損傷発生領域が検知された場合(ステップS120、YES)、制御部40は、損傷検知部28により検知された損傷発生領域にコート剤を供給するようにコート剤供給部29を制御する(ステップS140)。その後、処理はステップS160に遷移する。
ステップS160では、制御部40は、転写ニップNPよりも上流側において転写ベルト20の表面に吐出されたインクに対して転写ベルト20の裏面側から活性エネルギー線を照射するように第1UV照射部25を制御する。その後、制御部40は、転写ニップNPにおいて挟持かつ押圧(ニップ)されるインクに対して、転写ベルト20の裏面側から活性エネルギー線を照射するように第1UV照射部25を制御する。
次に、制御部40は、コート剤供給部29を制御して損傷発生領域にコート剤を供給させたか否かについて判定する(ステップS180)。判定の結果、損傷発生領域にコート剤を供給させていない場合(ステップS180、NO)、インクジェット画像形成装置1は、図4における処理を終了する。
一方、損傷発生領域にコート剤を供給させた場合(ステップS180、YES)、制御部40は、コート剤供給部29により転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤を回収するようにコート剤回収部30を制御する(ステップS200)。ステップS200の処理が完了することによって、インクジェット画像形成装置1は、図4における処理を終了する。
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、インクジェット画像形成装置1は、活性エネルギー線透過性を有し、インクジェットヘッド102から吐出されたインク32を表面で担持する転写ベルト20(回転転写体)と、転写ベルト20の裏面にコート剤を供給するコート剤供給部29と、転写ベルト20の裏面にコート剤が供給された状態において、転写ベルト20の裏面側からコート剤および転写ベルト20を介して、インク32に活性エネルギー線を照射する第1UV照射部25(照射部)とを備える。
このように構成した本実施の形態によれば、転写ベルト20の裏面において損傷が発生している損傷発生領域がコート剤34によって埋められる。その結果、第1UV照射部25により照射された活性エネルギー線は、転写ベルト20を透過するときに散乱せず、転写ベルト20の表面上のインク32に均一に照射される。すなわち、インク32に対して適切に活性エネルギー線を照射し、当該インク32を所望の硬化状態にすることができ、ひいては転写不良の発生を防止することができる。
また、本実施の形態では、インクジェット画像形成装置1は、転写ベルト20の裏面において損傷が発生している損傷発生領域を検知する損傷検知部28を備える。そして、コート剤供給部29は、損傷検知部28により検知された損傷発生領域にコート剤を供給する。この構成により、損傷の発生有無に関係なく転写ベルト20の裏面全体にコート剤を供給する場合と比べて、転写ベルト20の裏面に不必要にコート剤が供給されることを防止することができる。
また、本実施の形態では、コート剤回収部30は、コート剤供給部29により転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤を従動ローラー21の上流側で回収(除去)する。この構成により、転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤が従動ローラー21に付着することを防止し、ひいては転写ベルト20の搬送性能が低下することを防止することができる。
なお、上記実施の形態において、インクジェット画像形成装置1の構成は図5に示す構成であっても良い。すなわち、インクジェット画像形成装置1は、コート剤回収部30の代わりに、転写ベルト20の裏面側、かつ、転写ベルト20の移動方向における従動ローラー21と転写ローラー23との間に設けられるコート剤硬化部31(本発明の「付着防止部」として機能)を備える。コート剤硬化部31は、制御部40の制御下において、転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤を、転写ベルト20の移動方向における従動ローラー21の上流側で硬化させる。例えば、コート剤が紫外線硬化性を有する場合には、コート剤硬化部31(例えば、UV光源)は、転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤に紫外線を照射することによってコート剤を硬化させる。また、コート剤が熱硬化性を有する場合には、コート剤硬化部31(例えば、ヒーター)は、転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤を加熱乾燥させることによってコート剤を硬化させる。このような構成においても、転写ベルト20の裏面に供給されたコート剤が従動ローラー21に付着することを防止し、ひいては転写ベルト20の搬送性能が低下することを防止することができる。
また、上記実施の形態では、コート剤は転写ベルト20と屈折率が同一である例について説明したが、本発明はこれに限らない。要は、転写ベルト20の裏面にコート剤が供給されない場合(従来)と比べて、第1UV照射部25により照射された活性エネルギー線が転写ベルト20を透過するときに散乱が抑制されるのであれば、コート剤の屈折率は必ずしも転写ベルト20と同一でなくても良い。
また、上記実施の形態において、損傷検知部28は、転写ベルト20の裏面に発生している損傷の度合い(例えば、深さ)を検知し、コート剤供給部29は、損傷検知部28により検知された損傷の度合いに応じてコート剤の供給量を変更しても良い。例えば、コート剤供給部29は、損傷検知部28により検知された損傷の度合いが所定度合いより大きい場合、コート剤の供給量を増大させる一方、損傷の度合いが所定度合いより小さい場合、コート剤の供給量を減少させる。このような構成により、転写ベルト20の裏面に発生している損傷の度合いに応じた適切な量でコート剤を供給させることができる。
また、上記実施の形態では、インクジェット画像形成装置1は、転写ベルト20の裏面において損傷が発生している損傷発生領域を検知する損傷検知部28を備え、コート剤供給部29は、損傷検知部28により検知された損傷発生領域にコート剤を供給する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、インクジェット画像形成装置1は損傷検知部28を備えず、コート剤供給部29は、転写ベルト20の裏面に異物の付着が発生していることが推定されるタイミング(例えば、所定枚数の画像形成処理が行われる毎)において、転写ベルト20の裏面全体にコート剤を供給しても良い。
また、上記実施の形態では、第1UV照射部25により照射される活性エネルギー線は、紫外線である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、活性エネルギー線は、電子線であっても良い。この場合、電子線に応じて粘度が変化するインクが用いられることが好ましい。
また、上記実施の形態では、表面クリーニング部27は、転写ベルト20の表面をクリーニングするドライウェブ(ウェブローラー)を備える例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、表面クリーニング部27は、転写ベルト20の表面をクリーニングするスポンジローラー、クリーニングブラシまたはクリーニングブレード等を備えても良い。
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 インクジェット画像形成装置
2 外部装置
10 ヘッドユニット
20 転写ベルト
21,22 従動ローラー
23 転写ローラー
24 搬送ドラム
25 第1UV照射部
26 第2UV照射部
27 表面クリーニング部
28 損傷検知部
29 コート剤供給部
30 コート剤回収部
31 コート剤硬化部
32 インク
34 コート剤
40 制御部
41 CPU
42 RAM
43 ROM
44 記憶部
51 搬送駆動部
52 入出力インターフェース
101 ヘッド駆動部
102 インクジェットヘッド
NP 転写ニップ
P 記録媒体

Claims (12)

  1. 活性エネルギー線透過性を有し、インクジェットヘッドから吐出されたインクを表面で担持する回転転写体と、
    前記回転転写体の裏面にコート剤を供給するコート剤供給部と、
    前記回転転写体の裏面に前記コート剤が供給された状態において、前記回転転写体の裏面側から前記コート剤および前記回転転写体を介して、前記インクに活性エネルギー線を照射する照射部と、
    を備えるインクジェット画像形成装置。
  2. 前記コート剤は、活性エネルギー線透過性を有し、前記回転転写体と屈折率が同一である、
    請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
  3. 前記回転転写体を回転可能に張架する張架ローラーと、
    前記回転転写体の裏面に供給された前記コート剤が前記張架ローラーに付着することを防止する付着防止部と、
    を備える請求項1または2に記載のインクジェット画像形成装置。
  4. 前記付着防止部は、前記回転転写体の裏面に供給された前記コート剤を、前記回転転写体の移動方向における前記張架ローラーの上流側で回収する、
    請求項3に記載のインクジェット画像形成装置。
  5. 前記コート剤は、硬化性を有し、
    前記付着防止部は、前記回転転写体の裏面に供給された前記コート剤を、前記回転転写体の移動方向における前記張架ローラーの上流側で硬化させる、
    請求項3に記載のインクジェット画像形成装置。
  6. 前記コート剤は、紫外線硬化性を有し、
    前記付着防止部は、前記コート剤に紫外線を照射することによって前記コート剤を硬化させる、
    請求項5に記載のインクジェット画像形成装置。
  7. 前記コート剤は、熱硬化性を有し、
    前記付着防止部は、前記コート剤を加熱乾燥させることによって前記コート剤を硬化させる、
    請求項5に記載のインクジェット画像形成装置。
  8. 前記回転転写体の裏面に対する前記コート剤の接触角は、45度以下である、
    請求項1~7の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
  9. 前記回転転写体の裏面において損傷が発生している損傷発生領域を検知する損傷検知部を備え、
    前記コート剤供給部は、前記損傷検知部により検知された損傷発生領域に前記コート剤を供給する、
    請求項1~8の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
  10. 前記損傷検知部は、前記回転転写体の裏面に発生している損傷の度合いを検知し、
    前記コート剤供給部は、前記損傷検知部により検知された損傷の度合いに応じて、前記コート剤の供給量を変更する、
    請求項9に記載のインクジェット画像形成装置。
  11. 前記照射部により照射される活性エネルギー線は、紫外線である、
    請求項1~10の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
  12. 前記照射部により照射される活性エネルギー線は、電子線である、
    請求項1~10の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
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