JP7306112B2 - インクジェット画像形成装置および画像形成条件変更方法 - Google Patents

Description

本発明は、インクジェット画像形成装置および画像形成条件変更方法に関する。

近年、紙、布帛等の種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェットヘッドからインク液滴を吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット方式による画像形成装置（以下、「インクジェット画像形成装置」という）が広く普及している。

インクジェット画像形成装置において、インクジェットヘッドから吐出されるインク液滴を中間転写ベルトなどの中間転写体に画像として形成させ、形成された画像を転写ニップで記録媒体に転写する中間転写方式のものが提案されている（例えば、特許文献１を参照）。この中間転写方式により、予めインク液滴の量を抑制し、転写ニップの転写圧でインク液滴を潰し所望の大きさ（径）に拡張することができる。言い換えると、少ないインク液滴量で画像カバレッジの高い画像を形成することができる。

中間転写方式のインクジェット画像形成装置においては、記録媒体に対する画像の転写性を確保するため、活性エネルギー線（例えば、紫外線）で硬化（増粘）するインクを用い、活性エネルギー線透過性を有する中間転写体を使用する構成が挙げられる。この構成では、転写ニップにおいて挟持かつ押圧（ニップ）される画像（インク液滴）に対して、活性エネルギー線を照射して当該インク液滴の粘度を調整する。

特開２０１２－９６５４６号公報

ところで、画像形成に使用されるインクの表面エネルギーが低い（すなわち、粘度が高い）場合、中間転写体上でインク液滴が着弾した位置の温度が目標温度と異なることにより当該インク液滴の広がり（径）にズレが生じる。また、画像が形成される中間転写体に移動速度ムラが発生した場合、中間転写体上でインク液滴が着弾した位置と目標着弾位置との間にズレが生じる。これらのズレが生じると、中間転写体に形成される画像の品質が低下し、ひいては最終的に転写ニップで記録媒体に転写される画像の品質が低下するという問題があった。

本発明は、転写体に形成される画像の品質の低下を抑制することが可能なインクジェット画像形成装置および画像形成条件変更方法を提供することを目的とする。

本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
インクジェットヘッドからインク液滴を吐出することによって転写体上に画像を形成する画像形成部と、
前記転写体に形成される画像の色毎に、前記転写体上における前記インク液滴の着弾領域を加熱する複数の加熱部と、
吐出されて前記転写体上に着弾した前記インク液滴の着弾状態を検出する着弾状態検出部と、
検出された前記着弾状態が目標の着弾状態に近づくように、前記画像を形成する際の画像形成条件を変更する画像形成条件変更部と、
を備え、
前記複数の加熱部は、断熱板で仕切られて配置されている。

本発明に係る画像形成条件変更方法は、
インクジェットヘッドからインク液滴を吐出することによって転写体上に画像を形成し、
前記転写体に形成される画像の色毎に、前記転写体上における前記インク液滴の着弾領域を、断熱版で仕切られて配置される複数の加熱部によって加熱し、
吐出されて前記転写体上に着弾した前記インク液滴の着弾状態を検出し、
検出された前記着弾状態が目標の着弾状態に近づくように、前記画像を形成する際の画像形成条件を変更する。

本発明によれば、転写体に形成される画像の品質の低下を抑制することができる。

インクジェット画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。 インクジェット画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。 加熱部の構成を示す図である。 インクジェット画像形成装置の画像形成条件変更動作の例を示すフローチャートである。 インクジェット画像形成装置の画像形成条件変更動作の例を示すフローチャートである。 撮像部の構成の変形例を示す図である。

以下、本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。図１は、本実施の形態に係るインクジェット画像形成装置１の全体構成を概略的に示す図である。また、図２は、インクジェット画像形成装置１の主要な機能構成を示すブロック図である。

図１に示すように、インクジェット画像形成装置１は、インクジェットヘッド１０２（図２を参照）が搭載されたヘッドユニット１０（本発明の「画像形成部」として機能）と、転写ベルト２０（本発明の「転写体」として機能）と、転写ベルト２０を回転可能に張架する従動ローラー２１，２２および駆動ローラーとしての転写ローラー２３と、記録媒体Ｐを搬送する搬送ドラム２４と、装置全体の制御を行う制御部４０（図２を参照）と、を備える。なお、制御部４０は、本発明の「着弾状態検出部」および「画像形成条件変更部」として機能する。

また、インクジェット画像形成装置１は、転写ベルト２０に吐出されたインク液滴の粘度を調整する第１ＵＶ照射部２５と、記録媒体Ｐに転写されたインクを硬化させる第２ＵＶ照射部２６と、転写ベルト２０の表面をクリーニングするクリーニング部２７と、転写ローラー２３および搬送ドラム２４を駆動する搬送駆動部５１とを備える。

なお、図示しないが、インクジェット画像形成装置１は、記録媒体Ｐを積載して搬送ドラム２４に給送する給送部、画像が転写された記録媒体Ｐを搬送ドラム２４の搬送方向下流側に排出する排出部、装置の状態を表示する表示部、等を備える。これらは公知の構成であるため、図示および説明を省略する。また、記録媒体Ｐとしては、普通紙や塗工紙といった用紙の他、布帛またはシート状の樹脂等、転写ベルト２０の表面に着弾したインク液滴を転写させることが可能な種々の媒体を用いることができる。

転写ベルト２０は、上方に配置された従動ローラー２１，２２と、下方に配置された転写ローラー２３（駆動ローラー）とに架け渡されており、搬送駆動部５１の転写モーター（図示せず）の駆動力が転写ローラー２３に伝達されることにより、図１中の時計周り方向に回転（移動）する。

本実施の形態では、従動ローラー２２内に加熱源（例えば、ヒーター）が設けられている。加熱源の温度は、制御部４０によって制御される。加熱源によって従動ローラー２２が加熱され、その結果、転写ベルト２０の温度が目標温度となるように加熱される。目標温度は、転写ベルト２０に吐出されたインク液滴の径が所定径となるように設定された温度である。

本実施の形態では、転写ベルト２０は、活性エネルギー線透過性を有し、ポリイミド（ＰＩ）の基材上に、シリコンゴムの弾性層と、アルミニウム（Ａｌ）が蒸着された反射層と、ポリプロピレン（ＰＰ）の表層と、が積層された無端ベルトが用いられる。また、転写ローラー２３としては例えば、直径１００ｍｍで、表層のゴム厚が１０ｍｍのゴムローラーが用いられる。なお、基材については、ポリイミド（ＰＩ）等の樹脂材料が使用されても良いし、ステンレス材料が使用されても良い。

インクジェット画像形成装置１では、転写ベルト２０は、制御部４０の制御信号に基づいて上記の転写モーターが駆動され転写ローラー２３が図１中の時計周り方向に回転することによって、時計周り方向に回転駆動される。本実施の形態では、制御部４０の制御の下、転写ベルト２０が６００ｍｍ／秒の速さ（印画速度）で回転するように、転写ローラー２３の回転速度が制御される。

搬送ドラム２４は、円柱面状の外周曲面（搬送面）上に記録媒体Ｐを保持した状態で図１の図面に垂直な方向（以下、「直交方向」と称する）に延びた回転軸の回りで回転することで、搬送面に沿った搬送方向に記録媒体Ｐを搬送する。

具体的には、搬送ドラム２４は、搬送ドラムモーター（図示せず）を備え、制御部４０の制御により搬送ドラムモーターが駆動されることにより、図１中の反時計周り方向に回転する。本実施の形態では、搬送ドラム２４として、大型（例えば印刷機用３倍胴）の金属製ドラムが用いられる。

上述した転写ベルト２０および搬送ドラム２４は、８００ｍｍの幅すなわち軸方向の長さを有する。

転写ローラー２３は、搬送ドラム２４の上部に対向して配置され、転写ベルト２０を介して搬送ドラム２４を加圧する。また、転写ベルト２０を挟んで、搬送ドラム２４が転写ローラー２３に圧接されることにより、転写ベルト２０から記録媒体Ｐへ画像を転写する転写ニップＮＰが形成される。本実施の形態では、転写ニップＮＰにおける転写荷重ないし圧接力（以下、「転写圧」という）の値は、８０Ｎに設定されている。

ヘッドユニット１０は、転写ベルト２０に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から転写ベルト２０に対してインク液滴を吐出して画像を転写ベルト２０上に形成する。搬送ドラム２４は、転写ベルト２０上に形成された画像が転写ニップＮＰで記録媒体Ｐの所定の位置に転写されるように、記録媒体Ｐを搬送する。

本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置１では、イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ）の４色のインクにそれぞれ対応する４つのヘッドユニット１０が転写ベルト２０の回転方向（移動方向）の上流側からＹ，Ｍ，Ｃ，Ｋの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。

各ヘッドユニット１０は、インクジェットヘッド１０２（図２を参照）を備える。インクジェットヘッド１０２には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインク液滴を吐出する。

インクジェットヘッド１０２に含まれるノズルの直交方向についての配置範囲は、搬送ドラム２４により搬送される記録媒体Ｐのうち画像が形成される領域の直交方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット１０は、画像の形成時には搬送ドラム２４の回転軸に対して位置が固定されて用いられる。すなわち、インクジェット画像形成装置１は、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置である。

本実施の形態では、インクジェットヘッド１０２から転写ベルト２０に吐出されるインクとして、紫外線の照射を受けて硬化する紫外線硬化性を有するインク、より具体的には、転写ベルト２０に供給される活性エネルギー線の量（第１ＵＶ照射部２５から出力される紫外線（ＵＶ：ｕｌｔｒａ ｖｉｏｌｅｔ）の光量）に応じて粘度が変化するインクが用いられる。第１ＵＶ照射部２５から照射される活性エネルギー線の光量が多いほど、粘度が高くなる性質のインクが用いられる。すなわち、このインクジェット画像形成装置１の画像形成部は、ＵＶ硬化型インクジェット方式を採用している。

第１ＵＶ照射部２５は、転写ベルト２０の表面側に配置され、制御部４０の制御の下、転写ベルト２０上に吐出されたインク液滴が転写ニップＮＰにおいて挟持かつ押圧（ニップ）される際、当該インク液滴に対して活性エネルギー線を照射して当該インク液滴を硬化させる。

図１において、第１ＵＶ照射部２５から伸びる点線矢印は、転写ベルト２０上に吐出されたインク液滴に対して転写ベルト２０の表面側から照射された活性エネルギー線を示している。本実施の形態では、第１ＵＶ照射部２５は、波長３９５ｎｍのＵＶ光を出力するＵＶ光源を備え、通常の印刷ジョブにおける照射強度のデフォルト値が５ｍＷ／ｃｍ^２に設定されている。

第２ＵＶ照射部２６は、転写ニップＮＰの下流側に搬送される記録媒体Ｐに活性エネルギー線を照射するように配置されており、制御部４０の制御の下、転写ニップＮＰにより転写された画像（インク液滴）を本硬化させる。本実施の形態では、第２ＵＶ照射部２６は、波長３９５ｎｍのＵＶ光を出力するＵＶ光源を備え、通常の印刷ジョブにおける照射強度のデフォルト値が１０ｍＷ／ｃｍ^２に設定されている。

クリーニング部２７は、転写ベルト２０の移動方向（回転方向）において従動ローラー２１と転写ローラー２３（駆動ローラー）との間における転写ベルト２０の表面に対向配置され、転写ベルト２０の表面をクリーニングするドライウェブ（ウェブローラー）を備える。

クリーニング部２７のドライウェブは、転写ベルト２０に対して接触離間可能、かつ、回転可能に構成されており、制御部４０の制御により転写ベルト２０に対して接触して回転することにより、転写ベルト２０の表面をクリーニングして当該表面に付着した異物（転写残やミストによる不要なインクや紙粉）を除去する。

次に、主として図２を参照して、インクジェット画像形成装置１における他の主要な機能構成を説明する。インクジェット画像形成装置１は、ヘッドユニット１０が有するヘッド駆動部１０１およびインクジェットヘッド１０２と、制御部４０と、搬送駆動部５１と、入出力インターフェース５２とを備える。

ヘッド駆動部１０１は、制御部４０の制御に基づいてインクジェットヘッド１０２の記録素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を出力することにより、インクジェットヘッド１０２のノズルから画像データの画素値に応じた量のインク液滴を吐出させる。

制御部４０は、ＣＰＵ４１（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）、ＲＡＭ４２（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＲＯＭ４３（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）および記憶部４４を有する。

ＣＰＵ４１は、ＲＯＭ４３に記憶された各種制御用のプログラム（例えば、画像形成条件変更プログラム）や設定データを読み出してＲＡＭ４２に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、ＣＰＵ４１は、インクジェット画像形成装置１の全体動作を統括制御する。

ＲＡＭ４２は、ＣＰＵ４１に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、ＲＡＭ４２は、不揮発性メモリーを含んでも良い。

ＲＯＭ４３は、ＣＰＵ４１により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ＲＯＭ４３に代えて、ＥＥＰＲＯＭ（Ｅｌｅｃｔｒｉｃａｌｌｙ Ｅｒａｓａｂｌｅ Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。

記憶部４４には、入出力インターフェース５２を介して外部装置２から入力された印刷ジョブ（具体的には、印刷枚数などの種々のユーザー設定情報を含む画像形成指示）および当該印刷ジョブに係る画像データが記憶される。記憶部４４としては、例えばＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）が用いられ、また、ＤＲＡＭ（Ｄｙｎａｍｉｃ Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）などが併用されても良い。

搬送駆動部５１は、制御部４０から供給される制御信号に基づいて搬送ドラム２４の搬送ドラムモーターに駆動信号を供給して搬送ドラム２４を所定の速度およびタイミングで回転させる。また、搬送駆動部５１は、制御部４０から供給される制御信号に基づいて転写ローラー２３のモーターに駆動信号を供給して、転写ベルト２０を所定の速度およびタイミングで回転させる。

入出力インターフェース５２は、外部装置２と制御部４０との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース５２は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか、または、これらの組み合わせで構成される。

外部装置２は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース５２を介して印刷ジョブおよび画像データ等を制御部４０に供給する。

ところで、画像形成に使用されるインクの表面エネルギーが低い（すなわち、粘度が高い）場合、転写ベルト２０上でインク液滴が着弾した位置の温度が目標温度と異なることにより当該インク液滴の広がり（径）にズレが生じる。特に、画像の形成に使用されるインクは紫外線硬化性を有するため、着弾直後の温度の影響を受けやすく、その温度に応じてインク液滴の径に変化が生じやすい。また、画像が形成される転写ベルト２０に移動速度ムラが発生した場合、転写ベルト２０上でインク液滴が着弾した位置と目標着弾位置との間にズレが生じる。これらのズレが生じると、転写ベルト２０に形成される画像の品質が低下し、ひいては最終的に転写ニップＮＰで記録媒体Ｐに転写される画像の品質が低下するという問題があった。

そこで本実施の形態では、インクジェット画像形成装置１は、撮像部２８、加熱部２９および吸引部３４をさらに備えている。

撮像部２８は、例えばＣＣＤ（Charge Coupled Device）センサー又はＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）センサーで構成され、転写ベルト２０の移動方向におけるヘッドユニット１０と従動ローラー２２との間に配置される（図１を参照）。

撮像部２８は、記録媒体Ｐに画像を形成する通常の画像形成時以外のタイミング（例えば、画像形成条件変更モードの実行タイミング）において、転写ベルト２０上に形成される画像の色（イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ））毎に、インクジェットヘッド１０２から吐出されて転写ベルト２０上に着弾したインク液滴を撮像する。なお、撮像部２８は、ヘッドユニット１０により形成可能な画像の最大幅と同等又はそれよりも若干広い範囲を撮像可能に配置されている。

加熱部２９は、転写ベルト２０上に形成される画像の色（イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ））毎に、ヘッドユニット１０に対向して設けられ、転写ベルト２０上におけるインク液滴の着弾領域を加熱する。図３は、加熱部２９の構成を示す図である。なお、各色のヘッドユニット１０に対向して設けられる加熱部２９は同様の構成を有するため、以下では、イエロー（Ｙ）色ヘッドユニット１０に対向して設けられる加熱部２９の構成に着目して説明する。

図３に示すように、加熱部２９は、転写ベルト２０の裏面側に配置され、下方から順にヒーター３０、アルミニウム板３１、ポーラス３２が積層された構造を有する。

ヒーター３０は、インク液滴の着弾領域を加熱するために設定された目標温度（制御信号）を制御部４０から受け、転写ベルト２０の裏面側からアルミニウム板３１、ポーラス３２を介して、転写ベルト２０上におけるインク液滴の着弾領域を加熱する。なお、ヒーター３０による加熱に対する温度応答性を向上させる観点から、転写ベルト２０の厚さは０．１～０．６ｍｍ以内であることが好ましい。

本実施の形態では、転写ベルト２０の温度を直接的または間接的に検出するため、転写ベルト２０上またはアルミニウム板３１内に図示しない温度センサー（例えばサーミスタ）が設けられ、温度センサーの検出温度に基づいてヒーター３０のフィードバック制御が行われる。つまり、転写ベルト２０の温度を目標温度に調節する温度調節制御が行われる。

転写ベルト２０上に形成される画像の色毎に設けられる複数の加熱部２９は、断熱板３３で仕切られて配置されている。この構成により、ヒーター３０の加熱による熱が隣接色の加熱部２９に直接的に伝導することを防止し、ひいては、当該画像の色毎に、転写ベルト２０上におけるインク液滴の着弾領域を加熱して当該着弾領域の温度を管理することができる。なお、より効果的にヒーター３０の加熱による熱が隣接色の加熱部２９に伝導することを防止する観点から、断熱板３３の表面（側面）に断熱フィルムを設けても良い。

また、ヒーター３０は、制御部４０の制御を受けて、転写ベルト２０の移動方向に直交する直交方向（幅方向）においてインク液滴の着弾領域の温度が均一となるように当該着弾領域を加熱する。特に、転写ベルト２０の直交方向において中央部側の温度よりも端部側の温度が低くなる傾向があるため、ヒーター３０は、中央部側よりも高い加熱温度で端部側を加熱する。例えば、ヒーター３０は、転写ベルト２０の直交方向において複数の加熱領域に区切られ、中央部側の加熱領域よりも高い加熱温度で端部側の加熱領域を加熱する。

アルミニウム板３１は、転写ベルト２０の移動方向において、ヒーター３０から供給される熱を拡散させ、ポーラス３２に対して当該熱を均一に伝えるために設けられる。

ポーラス３２は、多孔質材料であり、発泡構造を有する。吸引部３４（図２を参照）は、制御部４０の制御下において、転写ベルト２０の裏面側から所定の吸引力で転写ベルト２０を吸引し、転写ベルト２０をポーラス３２に吸着させる。その結果、転写ベルト２０がポーラス３２に密着して支持されるため、転写ベルト２０上において画像が形成される画像形成面は平滑化される。この構成により、転写ベルト２０上に形成される画像の品質を向上させることができる。なお、ポーラス３２および吸引部３４は、本発明の「平滑化部」として機能する。

また、ポーラス３２は断熱構造を有しているため、転写ベルト２０の移動方向において、ヒーター３０から供給される熱をポーラス３２で拡散させ、インク液滴の着弾領域を均一に加熱することができる。以上のように、加熱部２９はヒーター３０、アルミニウム板３１、ポーラス３２が積層された構造を有するため、ヒーター３０が直接転写ベルト２０を加熱する構成（すなわち、加熱ムラが発生する可能性がある構成）と比べて、インク液滴の着弾領域を均一に加熱することができる。

制御部４０は、撮像部２８の撮像結果に基づいて、転写ベルト２０上に形成される画像の色（イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ））毎に、インクジェットヘッド１０２から吐出されて転写ベルト２０上に着弾した直後におけるインク液滴（ドット）の着弾状態を検出する。そして、制御部４０は、検出された着弾状態が目標の着弾状態に近づくように、画像を形成する際の画像形成条件を変更する。

具体的には、制御部４０は、インクジェットヘッド１０２から吐出されて転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径を着弾状態として検出し、検出された径が目標の径（着弾状態）に近づくように、加熱部２９による加熱温度（画像形成条件）を変更する。

例えば、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が目標の径より小さい場合、制御部４０は、加熱部２９による加熱温度を高くする。一方、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が目標の径より大きい場合、制御部４０は、加熱部２９による加熱温度を低くする。加熱部２９による加熱温度が高くなるにつれて、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が大きくなる（広がる）からである。

また、制御部４０は、インクジェットヘッド１０２から吐出されて転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾位置を着弾状態として検出し、検出された着弾位置が目標の着弾位置（着弾状態）に近づくように、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出タイミング（画像形成条件）を変更する。

例えば、転写ベルト２０の移動方向において、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾位置が目標の着弾位置より上流側である場合、制御部４０は、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出タイミングを早くする。一方、転写ベルト２０の移動方向において、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾位置が目標の着弾位置より下流側である場合、制御部４０は、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出タイミングを遅くする。なお、制御部４０は、転写ベルト２０の回転数を示すエンコーダーパルス信号を取得し、所定の回転数になった場合にインクジェットヘッド１０２からインク液滴を吐出させる。そのため、制御部４０は、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出タイミングを変更する場合、インク液滴を吐出させるタイミングを示す当該所定の回転数を変更する。

次に、図４を参照して、インクジェット画像形成装置１の画像形成条件変更動作の例について説明する。なお、図４に示す処理は、転写ベルト２０上に形成される画像の色（イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ））毎に、記録媒体Ｐに画像を形成する通常の画像形成時以外のタイミング（例えば、画像形成条件変更モードの実行タイミング）に実行される。

まず、制御部４０は、ヘッドユニット１０を制御し、インクジェットヘッド１０２からインク液滴を吐出させる（ステップＳ１００）。次に、制御部４０は、ステップＳ１００にて吐出されたインク液滴に関し、撮像部２８の撮像結果を取得する（ステップＳ１２０）。

次に、制御部４０は、撮像結果を参照し、インクジェットヘッド１０２から吐出されて転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径と目標の径との間にズレがあるか否かについて判定する（ステップＳ１４０）。判定の結果、ズレがない場合（ステップＳ１４０、ＮＯ）、インクジェット画像形成装置１は、図４における処理を終了する。

一方、ズレがある場合（ステップＳ１４０、ＹＥＳ）、制御部４０は、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が目標の径に近づくように、加熱部２９による加熱温度を変更する（ステップＳ１６０）。その後、インクジェット画像形成装置１は、図４における処理を終了する。

次に、図５を参照して、インクジェット画像形成装置１の画像形成条件変更動作の例について説明する。なお、図５に示す処理は、転写ベルト２０上に形成される画像の色（イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ））毎に、記録媒体Ｐに画像を形成する通常の画像形成時以外のタイミング（例えば、画像形成条件変更モードの実行タイミング）に実行される。

まず、制御部４０は、ヘッドユニット１０を制御し、インクジェットヘッド１０２からインク液滴を吐出させる（ステップＳ２００）。次に、制御部４０は、ステップＳ２００にて吐出されたインク液滴に関し、撮像部２８の撮像結果を取得する（ステップＳ２２０）。

次に、制御部４０は、撮像結果を参照し、インクジェットヘッド１０２から吐出されて転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾位置と目標の着弾位置との間にズレがあるか否かについて判定する（ステップＳ２４０）。判定の結果、ズレがない場合（ステップＳ１４０、ＮＯ）、インクジェット画像形成装置１は、図５における処理を終了する。

一方、ズレがある場合（ステップＳ２４０、ＹＥＳ）、制御部４０は、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾位置が目標の着弾位置に近づくように、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出タイミングを変更する（ステップＳ２６０）。その後、インクジェット画像形成装置１は、図５における処理を終了する。

以上詳しく説明したように、本実施の形態では、インクジェット画像形成装置１は、インクジェットヘッド１０２からインク液滴を吐出することによって転写ベルト２０（転写体）上に画像を形成するヘッドユニット１０（画像形成部）と、吐出されて転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾状態を検出する制御部４０（着弾状態検出部）と、検出された着弾状態が目標の着弾状態に近づくように、画像を形成する際の画像形成条件を変更する制御部４０（画像形成条件変更部）とを備える。

このように構成した本実施の形態によれば、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の広がり（径）にズレが生じた場合や、画像が形成される転写ベルト２０に移動速度ムラが発生した場合でも、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾状態（径、着弾位置）が検出され、検出された着弾状態が目標の着弾状態に近づくように画像形成条件（加熱温度、吐出タイミング）が変更される。そのため、転写ベルト２０に形成される画像の品質低下を抑制し、ひいては最終的に転写ニップＮＰで記録媒体Ｐに転写される画像の品質低下を抑制することができる。

また、本実施の形態では、撮像部２８は、転写ベルト２０上に形成される画像の色毎に、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴を撮像し、制御部４０は、撮像部２８の撮像結果に基づいて、画像の色毎にインク液滴の着弾状態を検出する。この構成により、転写ベルト２０上に形成される画像の色毎に、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の着弾状態が目標の着弾状態に近づくように画像形成条件を変更することができる。

なお、上記実施の形態では、撮像部２８は、転写ベルト２０上に形成される画像の色毎に、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴を撮像する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図６に示すように、転写ベルト２０上に形成される画像の色毎に、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴を撮像する複数の撮像部２８Ａ～２８Ｄを備えても良い。

また、上記実施の形態では、制御部４０は、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が目標の径に近づくように、加熱部２９による加熱温度を変更する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、制御部４０は、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が目標の径に近づくように、インクジェットヘッド１０２の吐出電圧値を制御し、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出量を変更しても良い。例えば、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が目標の径より小さい場合、制御部４０は、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出量を多くする。一方、転写ベルト２０上に着弾したインク液滴の径が目標の径より大きい場合、制御部４０は、インクジェットヘッド１０２からのインク液滴の吐出量を少なくする。

また、上記実施の形態では、第１ＵＶ照射部２５により照射される活性エネルギー線は、紫外線である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、活性エネルギー線は、電子線であっても良い。この場合、電子線に応じて粘度が変化するインクが用いられることが好ましい。

また、上記実施の形態では、クリーニング部２７は、転写ベルト２０の表面をクリーニングするドライウェブ（ウェブローラー）を備える例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、クリーニング部２７は、転写ベルト２０の表面をクリーニングするスポンジローラー、クリーニングブラシまたはクリーニングブレード等を備えても良い。

また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。

１ インクジェット画像形成装置
２ 外部装置
１０ ヘッドユニット
２０ 転写ベルト
２１，２２ 従動ローラー
２３ 転写ローラー
２４ 搬送ドラム
２５ 第１ＵＶ照射部
２６ 第２ＵＶ照射部
２７ クリーニング部
２８，２８Ａ，２８Ｂ，２８Ｃ，２８Ｄ 撮像部
２９ 加熱部
３０ ヒーター
３１ アルミニウム板
３２ ポーラス
３３ 断熱板
３４ 吸引部
４０ 制御部
４１ ＣＰＵ
４２ ＲＡＭ
４３ ＲＯＭ
４４ 記憶部
５１ 搬送駆動部
５２ 入出力インターフェース
１０１ ヘッド駆動部
１０２ インクジェットヘッド
ＮＰ 転写ニップ
Ｐ 記録媒体

Claims (12)

1. インクジェットヘッドからインク液滴を吐出することによって転写体上に画像を形成する画像形成部と、
   前記転写体に形成される画像の色毎に、前記転写体上における前記インク液滴の着弾領域を加熱する複数の加熱部と、
   吐出されて前記転写体上に着弾した前記インク液滴の着弾状態を検出する着弾状態検出部と、
   検出された前記着弾状態が目標の着弾状態に近づくように、前記画像を形成する際の画像形成条件を変更する画像形成条件変更部と、
   を備え、
   前記複数の加熱部は、断熱板で仕切られて配置されている、インクジェット画像形成装置。
2. 前記転写体上に着弾した前記インク液滴を撮像する撮像部を備え、
   前記着弾状態検出部は、前記撮像部の撮像結果に基づいて、前記インク液滴の着弾状態を検出する、
   請求項１に記載のインクジェット画像形成装置。
3. 前記撮像部は、前記転写体上に形成される画像の色毎に、前記転写体上に着弾した前記インク液滴を撮像し、
   前記着弾状態検出部は、前記撮像部の撮像結果に基づいて、前記画像の色毎に前記インク液滴の着弾状態を検出する、
   請求項２に記載のインクジェット画像形成装置。
4. 前記転写体上に形成される画像の色毎に、前記転写体上に着弾した前記インク液滴を撮像する複数の撮像部を備え、
   前記着弾状態検出部は、前記複数の撮像部の撮像結果に基づいて、前記画像の色毎に前記インク液滴の着弾状態を検出する、
   請求項１に記載のインクジェット画像形成装置。
5. 前記着弾状態は、前記インク液滴の径を含み、
   前記画像形成条件変更部は、前記画像形成条件として前記加熱部による加熱温度を変更する、
   請求項１～４の何れか１項に記載のインクジェット画像形成装置。
6. 前記加熱部は、前記転写体の裏面側に配置され、下方から順にヒーター、アルミニウム板、ポーラスが積層された構造を有する、
   請求項５に記載のインクジェット画像形成装置。
7. 前記加熱部は、前記転写体の移動方向に直交する直交方向において前記インク液滴の着弾領域の温度が均一となるように当該着弾領域を加熱する、
   請求項５または６に記載のインクジェット画像形成装置。
8. 前記着弾状態は、前記インク液滴の径を含み、
   前記画像形成条件変更部は、前記画像形成条件として、前記インクジェットヘッドからの前記インク液滴の吐出量を変更する、
   請求項１～４の何れか１項に記載のインクジェット画像形成装置。
9. 前記着弾状態は、前記インク液滴の着弾位置を含み、
   前記画像形成条件変更部は、前記画像形成条件として、前記インクジェットヘッドからの前記インク液滴の吐出タイミングを変更する、
   請求項１～４の何れか１項に記載のインクジェット画像形成装置。
10. 前記転写体上において前記画像が形成される画像形成面を平滑化させる平滑化部を備える、
    請求項１～９の何れか１項に記載のインクジェット画像形成装置。
11. 前記画像の形成に使用されるインクは、紫外線の照射を受けて硬化する紫外線硬化性を有する、
    請求項１～１０の何れか１項に記載のインクジェット画像形成装置。
12. インクジェットヘッドからインク液滴を吐出することによって転写体上に画像を形成し、
    前記転写体に形成される画像の色毎に、前記転写体上における前記インク液滴の着弾領域を、断熱版で仕切られて配置される複数の加熱部によって加熱し、
    吐出されて前記転写体上に着弾した前記インク液滴の着弾状態を検出し、
    検出された前記着弾状態が目標の着弾状態に近づくように、前記画像を形成する際の画像形成条件を変更する、
    画像形成条件変更方法。

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