JP7463706B2 - 画像形成装置 - Google Patents

Description

本発明は、画像形成装置に関する。

インクジェット法は、簡便かつ安価に画像を作製できるため、各種印刷、マーキング、細線形成、カラーフィルター等の特殊印刷を含む様々な印刷分野に応用されている。特に、インクジェット法は、版を用いずデジタル印刷が可能であるため、多様な画像を少量ずつ形成するような用途に特に好適である。

インクジェット法による画像形成装置において、中間転写体の表面に中間画像を形成し、その後、上記中間画像を記録媒体に転写する、画像形成装置が知られている。

このとき、活性線の照射により硬化する活性線硬化型インクを用いて中間画像を形成して、中間転写体から記録媒体に転写する際に、活性線を照射して上記中間画像を硬化させる、画像形成装置が知られている（特許文献１）。

また、このとき、中間転写体の劣化を抑制するため、中間画像中の各分割領域における活性線硬化型インクの付与量に応じて、上記転写の際にそれぞれの分割領域に照射する紫外線（活性線）の照射エネルギーを設定する、画像形成装置が知られている（特許文献２）。さらには、記録媒体のインク浸透性によって変化する画像品位を最適化するため、記録媒体のインク吸収性に応じて、紫外線の照射時間を変更する、画像形成装置が知られている（特許文献３）。

なお、転写画像の品位を一定に保つため、記録媒体の転写前に、中間画像を硬化させるために照射される活性線の照射量を、記録媒体の種類に応じて制御する、画像形成装置も知られている（特許文献４）。

特開２０１０－１４３０７３号公報 特開２０１１－２０１１３６号公報 特開２００４－９４８３号公報 特開２００２－２８３５４５号公報

中間転写体を用いた画像形成装置では、活性線硬化型インクが転写時の圧力で潰れてしまい、画質が劣化してしまうという問題がある。これに対し、転写時に照射する活性線の照射量（エネルギー量）を多くすれば、活性線硬化型インクが硬化して潰れにくくなる。一方で、活性線の照射量を多くしすぎると、活性線硬化型インクが硬化しすぎるため、活性線硬化型インクが記録媒体に浸透できず、記録媒体への画像の定着性が低下してしまう。

このように、転写時に照射する活性線のエネルギー量には好適な範囲が存在する。しかし、本発明者らの知見によると、ある種類の記録媒体に応じて最適な活性線のエネルギー量を設定しても、記録媒体の種類が変更されると、活性線硬化型インクのつぶれによる画質の劣化の抑制と、活性線硬化型インクの過剰な硬化による定着性の低下の抑制とが両立されないことがあった。

本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、活性線硬化型インクのつぶれによる画質の劣化の抑制と、活性線硬化型インクの過剰な硬化による定着性の低下の抑制とを、様々な種類の記録媒体への画像形成時に両立できる画像形成装置を提供することを、目的とする。

上記課題は、中間転写体と、活性線硬化型のインクを前記中間転写体の表面に付与するインク付与部と、前記付与されたインクを記録媒体に転写する転写部と、前記転写部において、前記中間転写体を透過した活性線を、前記インクが付与された表面とは異なる裏面側から照射する、活性線照射部と、を有し、前記活性線照射部は、前記記録媒体の特性に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、画像形成装置により解決される。

本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、本発明により、活性線硬化型インクのつぶれによる画質の劣化を抑制しつつ、活性線硬化型インクの過剰な硬化による定着性の低下も、記録媒体の種類によらずに抑制できる画像形成装置が提供される。

図１は、第１の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す模式図である。 図２は、第１の実施形態に係る画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。 図３は、第１活性線照射部から照射された活性線が、転写時にインクに到達する様子を示す模式図である 図４は、第１の実施形態に係る画像形成装置における画像形成制御を実行するときの動作例の一例を示すフローチャートである。 図５は、第２の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す模式図である。 図６は、第３の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す模式図である。 図７は、第４の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す模式図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。

［第１の実施形態］
図１は、第１の実施形態に係る画像形成装置１１の全体構成を概略的に示す模式図である。また、図２は、画像形成装置１１の主要な機能構成を示すブロック図である。

給紙部１００は、記録媒体Ｍを格納する給紙トレイ１１０と、給紙トレイ１１０から画像形成部２００に記録媒体Ｍを搬送して供給する媒体供給部１２０とを有する。媒体供給部１２０は、内側が２本のローラーにより支持された輪状のベルトを備え、このベルト上に記録媒体Ｍを載置した状態でローラーを回転させることで記録媒体Ｍを給紙トレイ１１０から画像形成部２００へ搬送する。

また、給紙部１００は、給紙トレイ１１０に配置された記録媒体の、画像が形成される表面に、第１活性線照射部２６２（後述）が照射する活性線と波長等が同等である活性線を照射する、照射部１３２と、照射部１３２から照射されて記録媒体Ｍの上記表面で反射した活性線のエネルギー量を測定する、測定部１３４とを有する。本実施形態では、制御部４０（後述）は、照射部１３２が照射した活性線のエネルギー量に対する、記録媒体Ｍの上記表面で反射した後に測定部１３４が測定した活性線のエネルギー量の割合をもとに、記録媒体Ｍの上記表面の反射率を測定する。このように、本実施形態では、照射部１３２、測定部１３４および制御部４０は、記録媒体Ｍの上、第１活性線照射部２６２から照射される活性線の反射率を測定する、反射率測定部として機能する。

画像形成部２００は、給紙部１００から搬送された記録媒体を搬送ドラム２４０に受け渡す受け渡しユニット２１０と、インクジェットヘッド２２４が搭載されたヘッドユニット２２０と、無端状のベルトである中間転写体２３０と、中間転写体２３０を回転可能に張架する従動ローラー２３２、２３４および駆動ローラーとしての転写ローラー２３６と、記録媒体Ｍを搬送する搬送ドラム２４０と、搬送ドラム２４０から搬送された記録媒体Ｍを排紙部３００に送出するデリバリー部２５０と、装置全体の制御を行う制御部４０（図２を参照）と、を備える。

また、画像形成装置１１は、中間転写体２３０に吐出されたインク液滴に活性線を照射して、上記インク液滴を所定の粘度になるまで硬化させる第１活性線照射部２６２と、記録媒体Ｍに転写されたインクに活性線を照射して、上記インクを硬化させる第２活性線照射部２６４と、中間転写体２３０の表面をクリーニングするクリーニング部２７０と、転写ローラー２３６および搬送ドラム２４０を駆動する搬送駆動部５１とを備える。

なお、記録媒体Ｍとしては、普通紙や塗工紙といった用紙の他、布帛またはシート状の樹脂などの、中間転写体２３０の表面に着弾したインク液滴を転写させることが可能な種々の媒体を用いることができる。

受け渡しユニット２１０は、給紙部１００の媒体供給部１２０により搬送された記録媒体Ｍを搬送ドラム２４０に引き渡す。受け渡しユニット２１０は、給紙部１００の媒体供給部１２０と搬送ドラム２４０との間の位置に設けられ、媒体供給部１２０から搬送された記録媒体Ｍの一端をスイングアーム部２１２で保持して取り上げ、受け渡しドラム２１４を介して搬送ドラム２４０に引き渡す。

ヘッドユニット２２０は、中間転写体２３０に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から中間転写体２３０に対してインク液滴を吐出して画像を中間転写体２３０上に形成する。搬送ドラム２４０は、中間転写体２３０上に形成された画像が転写ニップＮＰで記録媒体Ｍの所定の位置に転写されるように、記録媒体Ｍを搬送する。

本実施形態における画像形成装置１１では、イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ）の４色のインクにそれぞれ対応する４つのヘッドユニット２２０が中間転写体２３０の回転方向（移動方向）の上流側からＹ，Ｍ，Ｃ，Ｋの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。

各ヘッドユニット２２０は、インクジェットヘッド２２４を備える。インクジェットヘッド２２４には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインク液滴を吐出する。このようにして、ヘッドユニット２２０は、中間転写体２３０の表面にインクを付与するインク付与部として機能する。

インクジェットヘッド２２４に含まれるノズルの直交方向についての配置範囲は、搬送ドラム２４０により搬送される記録媒体Ｍのうち画像が形成される領域の直交方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット２２０は、画像の形成時には搬送ドラム２４０の回転軸に対して位置が固定されて用いられる。すなわち、画像形成装置１１は、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置である。

本実施形態では、インクジェットヘッド２２４から中間転写体２３０に吐出されるインクとして、紫外線の照射を受けて硬化する紫外線硬化性を有するインク、より具体的には、中間転写体２３０に供給される活性線の量（第１活性線照射部２６２から出力される紫外線（ＵＶ：ｕｌｔｒａｖｉｏｌｅｔ）の光量）に応じて粘度が変化するインクが用いられる。第１活性線照射部２６２から照射される活性線の光量が多いほど、粘度が高くなる性質のインクが用いられる。すなわち、この画像形成装置１１の画像形成部は、ＵＶ硬化型インクジェット方式を採用している。

中間転写体２３０は、上方に配置された従動ローラー２３２、２３４と、下方に配置された転写ローラー２３６（駆動ローラー）とに架け渡されており、搬送駆動部５１の転写モーター（図示せず）の駆動力が転写ローラー２３６に伝達されることにより、図１中の時計周り方向（図１中、中間転写体２３０内に示した矢印方向）に回転（移動）する。

本実施形態では、中間転写体２３０は、第１活性線照射部２６２が照射する活性線に対する透過性を有し、ポリイミド（ＰＩ）の基材上に、シリコンゴムの弾性層と、ポリイミド（ＰＩ）の表層と、が積層された無端ベルトである。また、転写ローラー２３６としては例えば、直径１００ｍｍで、表層のゴム厚が１０ｍｍのゴムローラーが用いられる。なお、基材、弾性層および表層の材料はこれらに限定されず、たとえば、基材にはステンレス材料が使用されてもよいし、上記以外の樹脂が基材、弾性層および表層に用いられてもよい。

画像形成装置１１では、中間転写体２３０は、制御部４０の制御信号に基づいて上記の転写モーターが駆動され転写ローラー２３６（転写部）が図１中の時計周り方向に回転することによって、時計周り方向に回転駆動される。

搬送ドラム２４０は、円柱面状の外周曲面（搬送面）上に記録媒体Ｍを保持した状態で図１の図面に垂直な方向（以下、「直交方向」と称する）に延びた回転軸の回りで回転することで、搬送面に沿った搬送方向（図１中、搬送ドラム２４０内に示した矢印方向）に記録媒体Ｍを搬送する。本実施形態において、搬送ドラム２４０は、スリットが非連続に形成されて、記録媒体Ｍが搬送ドラム２４０上に配置されていないときに、第１活性線照射部２６２からの活性線が上記スリットを通過できる構成となっている。

具体的には、搬送ドラム２４０は、搬送ドラムモーター（図示せず）を備え、制御部４０の制御により搬送ドラムモーターが駆動されることにより、図１中の反時計周り方向に回転する。本実施形態では、搬送ドラム２４０として、大型（例えば印刷機用３倍胴）の金属製ドラムが用いられる。

転写ローラー２３６は、中間転写体２３０の内部の、ベルトを挟んで搬送ドラム２４０と対向する位置に配置され、中間転写体２３０を介して搬送ドラム２４０を加圧する。また、中間転写体２３０を挟んで、搬送ドラム２４０が転写ローラー２３６に圧接されることにより、中間転写体２３０から記録媒体Ｍへ画像を転写する転写ニップＮＰが形成される。

第１活性線照射部２６２は、中間転写体２３０の裏面側に配置され、制御部４０の制御の下、中間転写体２３０上に吐出されたインク液滴が転写ニップＮＰにおいて挟持かつ押圧（ニップ）されるのと同時に、当該インク液滴に対して活性線を照射して当該インク液滴を半硬化させる。なお、本明細書において、中間転写体２３０の表面とは、インクが付与されて搬送され、かつ転写される表面を意味し、中間転写体２３０の裏面とは、インクが付与される表面とは異なる、中間転写体２３０の本体を介して反対側の面を意味する。

図１において、第１活性線照射部２６２から伸びる点線矢印は、中間転写体２３０上に吐出されたインク液滴に対して中間転写体２３０の裏面側から照射される活性線を示している。図１に示すように、第１活性線照射部２６２は、転写ローラー２３６および中間転写体２３０をこの順に透過した活性線を、中間転写体２３０の裏面側からインクに照射する。また、第１活性線照射部２６２は、照射される活性線が、転写ローラー２３６における中間転写体２３０の表面に垂直となる方向に対して、中間転写体２３０の進行方向下流側から照射される位置に配置される。

第２活性線照射部２６４は、転写ニップＮＰの下流側に搬送される記録媒体Ｍに活性線を照射するように配置されており、制御部４０の制御の下、転写ニップＮＰにより転写された画像（インク液滴）を本硬化させる。

クリーニング部２７０は、中間転写体２３０の移動方向（回転方向）において従動ローラー２３２と転写ローラー２３６（駆動ローラー）との間における中間転写体２３０の表面に対向配置され、中間転写体２３０の表面をクリーニングするドライウェブ（ウェブローラー）を備える。

クリーニング部２７０のドライウェブは、中間転写体２３０に対して接触離間可能、かつ、回転可能に構成されており、制御部４０の制御により中間転写体２３０に対して接触して回転することにより、中間転写体２３０の表面をクリーニングして当該表面に付着した異物（転写残やミストによる不要なインクや紙粉）を除去する。

デリバリー部２５０は、内側が２本のローラーにより支持された輪状のベルトを有するベルトループ２５２と、記録媒体Ｍを搬送ドラム２４０からベルトループ２５２に受け渡す円筒状の受け渡しドラム２５１とを有する。受け渡しドラム２５１により搬送ドラム２４０からベルトループ２５２上に受け渡された記録媒体Ｍをベルトループ２５２により搬送して排紙部３００に送出する。

排紙部３００は、デリバリー部２５０により画像形成部２００から送り出された記録媒体Ｍが載置される板状の排紙トレイ３１０を有する。

次に、主として図２を参照して、画像形成装置１１における他の主要な機能構成を説明する。画像形成装置１１は、ヘッドユニット２２０が有するヘッド駆動部２２２およびインクジェットヘッド２２４と、制御部４０と、搬送駆動部５１と、入出力インターフェース５２とを備える。

ヘッド駆動部２２２は、制御部４０の制御に基づいてインクジェットヘッド２２４の記録素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を出力することにより、インクジェットヘッド２２４のノズルから画像データの画素値に応じた量のインク液滴を吐出させる。

制御部４０は、ＣＰＵ４１（Central Processing Unit）、ＲＡＭ４２（Random Access Memory）、ＲＯＭ４３（Read Only Memory）および記憶部４４を有する。

ＣＰＵ４１は、ＲＯＭ４３に記憶された各種制御用のプログラム（例えば、画像形成条件変更プログラム）や設定データを読み出してＲＡＭ４２に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、ＣＰＵ４１は、画像形成装置１１の全体動作を統括制御する。

ＲＡＭ４２は、ＣＰＵ４１に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、ＲＡＭ４２は、不揮発性メモリーを含んでも良い。

ＲＯＭ４３は、ＣＰＵ４１により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ＲＯＭ４３に代えて、ＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable Programmable Read Only Memory）やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。

記憶部４４には、入出力インターフェース５２を介して外部装置２０から入力された印刷ジョブ（具体的には、印刷枚数などの種々のユーザー設定情報を含む画像形成指示）および当該印刷ジョブに係る画像データが記憶される。記憶部４４としては、例えばＨＤＤ（Hard Disk Drive）が用いられ、また、ＤＲＡＭ（Dynamic Random Access Memory）などが併用されても良い。

搬送駆動部５１は、制御部４０から供給される制御信号に基づいて搬送ドラム２４０の搬送ドラムモーターに駆動信号を供給して搬送ドラム２４０を所定の速度およびタイミングで回転させる。また、搬送駆動部５１は、制御部４０から供給される制御信号に基づいて転写ローラー２３のモーターに駆動信号を供給して、中間転写体２３０を所定の速度およびタイミングで回転させる。

入出力インターフェース５２は、入力受付部および出力部として動作し、外部装置２０の入出力インターフェースと接続され、外部装置２０と制御部４０との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース５２は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか、または、これらの組み合わせで構成される。

外部装置２０は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース５２を介して印刷ジョブおよび画像データ等を制御部４０に供給する。

ところで、このように記録媒体への転写時に活性線を照射してインクを半硬化させる画像形成装置では、転写時における活性線の照射により、インクをどの程度にまで硬化（増粘）させるべきかが問題となる。つまり、転写時にインクが十分に硬化していないと、転写ニップＮＰを通過するときにインクがつぶれてドットが広がってしまい、所望の精細性を有する画像を形成することが困難である。一方で、転写時にインクを硬化（増粘）させすぎると、転写時にインクが記録媒体に浸透しにくくなり、記録媒体へのインクの定着性が劣ることがある。

本発明者らは、かかる従来技術の問題に鑑みて、鋭意研究および種々の実験を行った。この結果、転写時に照射する活性線のエネルギー量を、記録媒体の特性に応じて変更することで、転写時のインクのつぶれを抑制しつつ、同時に記録媒体への定着性も十分に確保できる程度にインクを半硬化させることできることを見出した。

このため、本実施形態では、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量を、記録媒体の、インクが転写される表面の反射率に応じて、変更する。

図３は、第１活性線照射部２６２から照射された活性線が、転写時にインクに到達する様子を示す模式図である。照射された活性線は、中間転写体２３０の裏面２３０ａに到達する（活性線Ｒ１）と、中間転写体２３０の透過率に応じて減衰しながら中間転写体２３０の内部を進行して、中間転写体の表面２３０ｂにインクが付与されて形成されたインク層２２６に到達する（活性線Ｒ２）。インク層２２６に到達した活性線は、インク層２２６に吸収されながら（減衰しながら）インク層２２６の内部を進行して、記録媒体Ｍの、インク層２２６が転写される表面２２６ａに到達する（活性線Ｒ３）。この際に、インク層２２６に吸収された活性線の量に応じて、インクは硬化する。さらに、インク層２２６の内部を透過して記録媒体Ｍの表面２２６ａに到達した活性線は、記録媒体Ｍの表面２２６ａで反射されてインク層２２６の内部に戻され（活性線Ｒ４）、インク層２２６に吸収されながら（減衰しながら）インク層２２６の内部を進行する。

このように、インク層２２６には、中間転写体２３０の内部を進行してインク層２２６に到達した活性線Ｒ３と、インク層２２６の内部を進行した後に記録媒体Ｍの表面２２６ａで反射してインク層２２６の内部に戻された活性線Ｒ４と、の両方が付与され、インク層２２６はこれら２つの活性線により硬化される。そのため、記録媒体Ｍの表面２２６ａにおける、第１活性線照射部２６２から照射された活性線の反射率が小さいと、インク層２２６に付与される活性線のエネルギー量はより少量となり、インク層２２６はより硬化（増粘）しにくくなるため、転写時のインクのつぶれが生じやすい。一方で、記録媒体Ｍの表面２２６ａにおける、第１活性線照射部２６２から照射された活性線の反射率が大きいと、インク層２２６にはより多量の活性線が付与されることとなり、インク層２２６はより硬く硬化（増粘）してしまい、記録媒体Ｍへの定着性が低下しやすい。

これに対し、本実施形態では、記録媒体Ｍの表面２２６ａにおける、第１活性線照射部２６２から照射された活性線の反射率が小さいときは、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をより多くする。また、記録媒体Ｍの表面２２６ａにおける、第１活性線照射部２６２から照射された活性線の反射率が大きいときは、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をより少なくする。これにより、記録媒体Ｍの表面２２６ａにおける上記反射率の大小による、半硬化したインクの硬度（粘度）のばらつきを抑え、記録媒体の種類によらずに、活性線硬化型インクのつぶれによる画質の劣化の抑制と、活性線硬化型インクの過剰な硬化による定着性の低下の抑制とを、両立させることができる。

表１は、第１活性線照射部２６２から照射する活性線の反射率が異なる４種類の記録媒体（記録媒体Ａ～記録媒体Ｄ）に画像を形成する際に、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をどのように変更するかを示すシミュレーション結果である。表１では、中間転写体２３０の上記活性線の透過率は９９．５％、インク層２２６での上記活性線の透過率は５０％とし、記録媒体Ａ、記録媒体Ｂ、記録媒体Ｃおよび記録媒体Ｄの表面２２６ａにおける上記活性線の反射率はそれぞれ、６０．０％、７０．０％、５０．０％、４０．０％としている。また、表１は、第１活性線照射部２６２から照射する活性線Ｒ１のエネルギー量を、記録媒体に応じて変更したときの、活性線Ｒ１、Ｒ２、Ｒ３およびＲ４のそれぞれのエネルギー量（単位：Ｗ／ｃｍ^２）を示している。このとき、活性線Ｒ１のエネルギー量は、インク層２２６に照射される活性線のエネルギー量（Ｒ２＋Ｒ４）が略同一となるように調整されている。

表１に示すように、記録媒体Ｍの表面２２６ａにおける、第１活性線照射部２６２から照射された活性線の反射率に応じて、第１活性線照射部２６２から照射する活性線Ｒ１のエネルギー量を変更することで、インクに照射される活性線のエネルギー量（Ｒ２＋Ｒ４）を略同一とすることができる。これにより、記録媒体Ｍの種類によらず、インク層２２６に照射される活性線のエネルギー量を略同一とし、転写ニップＮＰを通過するときのインクの硬度（粘度）を略同一とすることで、いずれの記録媒体を用いたときにも、転写時のインクのつぶれを抑制しつつ、同時に記録媒体への定着性も十分に確保できる程度にインクを半硬化させることできる。

次に、画像形成装置１１における画像形成制御（画像形成方法）を実行するときの動作例について説明する。図４は、画像形成装置１１における画像形成制御を実行するときの動作例の一例を示すフローチャートである。図４における処理は、制御部４０がプリントジョブの実行指令を受け付けた際に適宜実行される。

まず、画像を形成しようとする者（操作者）が外部装置を操作して、形成すべき画像を示す画像データと、画像を形成すべき記録媒体の選択または設定を示す記録媒体データとを含むプリントジョブを、画像形成装置１１に送信する。送信されたプリントジョブは、入出力インターフェース５２が受信し、記憶部４４に記憶される。

その後、反射率測定部は、プリントジョブにより指定された記録媒体の、インクが付与される表面の反射率を測定する（工程Ｓ１１０）。測定された反射率のデータは、記憶部４４に格納される。

次に、制御部４０は、反射率測定部により測定されて記憶部４４に格納された反射率のデータをもとに、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量を決定する。このとき、制御部４０は、記録媒体の反射率に応じて、インクに付与される活性線のエネルギー量が、転写時のインクのつぶれを抑制しつつ、同時に記録媒体への定着性も十分に確保できる程度にインクを半硬化させるエネルギー量となるように、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量を決定する（工程Ｓ１２０、表１参照）。

その後、制御部４０は、搬送された記録媒体Ｍの表面に画像を形成する（工程Ｓ１３０）。

具体的には、制御部４０は、搬送駆動部５１を動作させて中間転写体２３０を回転させつつ、ヘッドユニット２２０を動作させて中間転写体２３０の表面に中間画像を形成する。形成される中間画像の形状は、プリントジョブに含まれる画像データに基づいて決定される。

そして、制御部４０は、第１活性線照射部２６２を動作させて、転写ニップＮＰにおいて、給紙部１００から受け渡しユニット２１０を介して搬送されてきた記録媒体Ｍに転写される中間画像に活性線を照射し、中間画像を構成するインクを半硬化させる。このとき照射される活性線のエネルギー量は、工程Ｓ１２０において制御部４０が決定したエネルギー量とする。

さらに、制御部４０は、第２活性線照射部２６４を動作させて、記録媒体Ｍに転写された画像に活性線を照射し、上記転写された画像を構成するインクを本硬化させる。このようにして画像を形成された記録媒体Ｍは、デリバリー部２５０を介して排紙部３００に送出され、排紙トレイ３１０に排出される。

このように構成した本実施形態によれば、記録媒体Ｍのインクが転写される表面２２６ａの反射率に応じて、第１活性線照射部２６２から転写時のインクに照射される活性線のエネルギー量が変更される。このとき、第１活性線照射部２６２は、中間転写体２３０を透過した活性線のエネルギー量と、記録媒体Ｍのインクが転写される表面２２６ａで反射する前記活性線のエネルギー量との和を、記録媒体によらず一定にさせるように、照射する活性線のエネルギー量を変更する。これにより、記録媒体Ｍの表面２２６ａで反射する活性線のエネルギー量の大小による、転写時のインクの硬度の変化が抑制され、記録媒体によらずに、転写時のインクのつぶれを抑制しつつ、同時に記録媒体への定着性も十分に確保できる程度にインクを半硬化させることできる。

なお、本実施形態では、給紙部１００において記録媒体の反射率を測定するとしたが、給紙部１００から転写ニップＮＰへと搬送される間において記録媒体の反射率を測定してもよい。

なお、本実施形態では、給紙部１００において記録媒体の反射率を測定するとしたが、後述する第３の実施形態と同様に、搬送ドラム２４０の内部に配置した透過量測定部と、記録媒体Ｍの表面で反射（拡散）した上記活性線に到達する位置に配置された反射量測定部と、により、記録媒体の反射率を測定してもよい。

また、本実施形態では、給紙部１００において測定された記録媒体の反射率に応じて、第１活性線照射部２６２から転写時のインクに照射される活性線のエネルギー量を変更していたが、記録媒体Ｍの種類に応じた第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量を予め決定して記憶部４４に記憶させてもよい。このとき、制御部４０は、プリントジョブに含まれる記録媒体データに応じて、記憶部４４を参照して第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量を変更するほかは、上述の実施形態と同様に画像形成装置１１の動作を制御すればよい。

［第２の実施形態］
図５は、第２の実施形態に係る画像形成装置１２の全体構成を概略的に示す模式図である。

画像形成装置１２は、搬送ドラム２４０が、その内部に記録媒体Ｍのインクが付与される表面の温度を調整する温度調整部５１０を有する点で、第１の実施形態に係る画像形成装置１１とは異なる。そして、本実施形態では、その他の構成は第１の実施形態に係る画像形成装置１１と同一なので、重複する説明は省略する。

温度調整部５１０は、公知の加熱源（ヒーター）とすることができる。加熱源の温度は、制御部４０によって制御される。加熱源によって搬送ドラム２４０が加熱され、搬送ドラム２４０からの熱が記録媒体Mに伝導し、これによって記録媒体Mのインクが付与される表面が所定の温度に調整される。

記録媒体へのインクの浸透性は、記録媒体の材質や表面状態によっても変化する。この浸透性の変化に対応するため、たとえば浸透性の低い記録媒体にインクを十分に定着させるため、第１活性線照射部から照射する活性線のエネルギー量を減らして転写時のインクの粘度を低くしようとすると、転写時にインクがつぶれやすくなる。一方で、インクのつぶれを抑制するために上記活性線のエネルギー量を多くすると、浸透性の低い記録媒体にインクを十分に定着させることができない。

これに対し、本実施形態では、転写時のインクの硬度（粘度）の調整に加えて、記録媒体の温度を変更することによる当該インクの浸透性の調整を行うことで、記録媒体の種類によるインクの定着性の変化を抑制することができる。

本実施形態では、記録媒体Ｍの種類に応じた温度調整部５１０から記録媒体Mを加熱するための熱量を予め決定して記憶部４４に記憶させてもよい。このとき、制御部４０は、プリントジョブに含まれる記録媒体データに応じて、記憶部４４を参照して温度調整部５１０から記録媒体Mを加熱するための熱量を変更するほかは、上述の第１の実施形態と同様に画像形成装置１２の動作を制御すればよい。

なお、本実施形態では、記録媒体Mの表面温度を直接的または間接的に検出するため、搬送ドラム２４０の近傍に図示しない温度センサー（例えばサーミスタ）が設けられ、温度センサーの検出温度に基づいて温度調整部５１０のフィードバック制御を行ってもよい。つまり、制御部４０は、温度センサーが検出した記録媒体Ｍの表面温度が目標温度から外れるときには、記録媒体Mの表面温度を目標温度に調節するように、温度調整部５１０からの熱量を増減させてもよい。

このように構成した本実施形態によれば、記録媒体Ｍの表面温度の変更により、記録媒体Ｍの種類によるインクの浸透性の調整をさらに行うことができるため、転写時のインクのつぶれの抑制と、記録媒体への定着性の確保とを、より高度に両立させることができる。

［第３の実施形態］
図６は、第３の実施形態に係る画像形成装置１３の全体構成を概略的に示す模式図である。

画像形成装置１３は、第１活性線照射部２６２から照射される活性線の、中間転写体２３０を透過した後のエネルギー量を測定する透過量測定部６１０と、中間転写体２３０を透過した後に記録媒体で反射した上記活性線のエネルギー量を測定する反射量測定部６２０と、を有する点で、第１の実施形態に係る画像形成装置１１および第２の実施形態に係る画像形成装置１２とは異なる。そして、本実施形態では、その他の構成は第１の実施形態に係る画像形成装置１１または第２の実施形態に係る画像形成装置１２と同一なので、重複する説明は省略する。

透過量測定部６１０は、第１活性線照射部２６２から照射される活性線が中間転写体２３０を透過し、搬送ドラム２４０のスリットを通過した後に到達する位置に配置された、上記活性線のエネルギー量を測定するセンサー（受光センサーなど）とすることができる。本実施形態では、制御部４０は、第１活性線照射部２６２が照射した活性線のエネルギー量に対する、中間転写体２３０を透過した後に透過量測定部６１０が測定した活性線のエネルギー量の割合をもとに、中間転写体２３０の透過率を測定する。このように、本実施形態では、透過量測定部６１０および制御部４０は、中間転写体２３０の、第１活性線照射部２６２から照射される活性線の透過率を測定する、透過率測定部として機能する。

反射量測定部６２０は、第１活性線照射部２６２から照射される活性線が中間転写体２３０を透過し、搬送ドラム２４０上に配置されて搬送されている記録媒体Ｍの表面で反射（拡散）した後に到達する位置に配置された、上記活性線のエネルギー量を測定するセンサー（受光センサーなど）とすることができる。

本実施形態では、制御部４０は、第１活性線照射部２６２が照射した活性線のエネルギー量のうち、透過率測定部で求めた透過率に応じて中間転写体２３０を透過したエネルギー量に対する、反射量測定部６２０が測定した活性線のエネルギー量の割合をもとに、記録媒体Ｍの反射率を測定する。このように、本実施形態では、反射量測定部６２０および制御部４０は、記録媒体Ｍの、第１活性線照射部２６２から照射される活性線の反射率を測定する、反射率測定部として機能する。

ここで、上述したように、第１活性線照射部２６２から照射された活性線は、中間転写体２３０を透過してインクに到達する。このとき、使用により中間転写体２３０が劣化したり、あるいは中間転写体２３０の表面に傷が生じたりして、中間転写体の上記透過率が低下すると、インクに到達する活性線の量も低下していまい、上述した所望の量の活性線が転写時のインクに到達しないことがある。

これに対し、本実施形態では、中間転写体２３０の上記透過率を測定し、中間転写体２３０の透過率がより低いときは第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をより多くする。これによって、中間転写体２３０の透過率の変化によらず、所望の量の活性線を転写時のインクに到達させることができる。

表２～表５は、表１に示した４種類の記録媒体（記録媒体Ａ～記録媒体Ｄ）に画像を形成する際に、中間転写体２３０の透過率に応じて、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をどのように変更するかを示すシミュレーション結果である。表２～表５は、記録媒体Ａ～記録媒体Ｄのそれぞれについて、中間転写体２３０の上記活性線の透過率が９９．５％（表１と同一）、９５．０％、および９０．０％としたときの、照射すべき活性線Ｒ１のエネルギー量を示している。なお、表１と同様に、インク層２２６での上記活性線の透過率は５０％とし、記録媒体Ａ、記録媒体Ｂ、記録媒体Ｃおよび記録媒体Ｄの表面における上記活性線の反射率はそれぞれ、６０．０％、７０．０％、５０．０％、４０．０％としている。また、表２～表５は、表１と同様に、第１活性線照射部２６２から照射する活性線Ｒ１のエネルギー量を、記録媒体に応じて変更したときの、活性線Ｒ１、Ｒ２、Ｒ３およびＲ４のそれぞれのエネルギー量を示している。このとき、活性線Ｒ１のエネルギー量は、インク層２２６に照射される活性線のエネルギー量（Ｒ２＋Ｒ４）が略同一となるように調整されている。

表２～表５に示すように、中間転写体２３０の、第１活性線照射部２６２から照射される活性線の透過率に応じて、第１活性線照射部２６２から照射する活性線Ｒ１のエネルギー量をさらに変更することで、中間転写体の劣化などの状態によらず、インクに照射される活性線のエネルギー量（Ｒ２＋Ｒ４）を略同一とすることができる。これにより、記録媒体Ｍの種類および中間転写体の上記透過率によらず、インク層２２６に照射される活性線のエネルギー量を略同一とし、転写ニップＮＰを通過するときのインクの硬度（粘度）を略同一とすることで、いずれの記録媒体を用いたときにも、転写時のインクのつぶれを抑制しつつ、同時に記録媒体への定着性も十分に確保できる程度にインクを半硬化させることできる。

（第３の実施形態の変形例）
第３の実施形態では、画像形成装置１３が透過量測定部６１０および反射量測定部６２０を備え、透過量測定部６１０が測定した活性線のエネルギー量をもとに、中間転写体２３０の透過率を求めるとしていた。

ところで、使用による中間転写体２３０の劣化や、中間転写体２３０の表面への傷の発生の度合いは、画像形成装置１３の使用量（中間転写体２３０の走行距離）に略比例する。そのため、画像形成装置１３は、制御部４０が、中間転写体２３０の走行距離データに応じて、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量を変更してもよい。このとき、制御部４０は、中間転写体の走行距離を取得して記憶部４４に記憶させ、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量を決定するときに、記憶部４４が記憶している中間転写体２３０の走行距離データを参照して、上記走行距離データに応じて上記活性線のエネルギー量を決定すればよい。

このように構成した本実施形態によれば、中間転写体２３０の活性線の透過率に応じて第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をさらに変更することにより、中間転写体２３０の劣化などの状態によらずに、転写時のインクのつぶれの抑制と、記録媒体への定着性の確保とを、より高度に両立させることができる。

［第４の実施形態］
図７は、第４の実施形態に係る画像形成装置１４の全体構成を概略的に示す模式図である。

画像形成装置１４は、中間転写体２３０の、ヘッドユニット２２０と転写ニップＮＰとの間に、ヘッドユニット２２０からのインクの付与により中間転写体２３０の表面に形成される中間画像を撮像する中間画像撮像部７１０を有する点で、第１の実施形態に係る画像形成装置１１、第２の実施形態に係る画像形成装置１２および第３の実施形態に係る画像形成装置１３とは異なる。そして、本実施形態では、その他の構成は第１の実施形態に係る画像形成装置１１、第２の実施形態に係る画像形成装置１２または第３の実施形態に係る画像形成装置１３と同一なので、重複する説明は省略する。

中間画像撮像部７１０は、中間画像を撮像できる公知のイメージセンサーなどとすることができる。そして、本実施形態では、制御部４０は、中間画像撮像部７１０が中間画像を撮像して得られた画像をもとに、上記中間画像のインクによる隠蔽率を求める。このように、本実施形態では、中間画像撮像部７１０および制御部４０は、中間転写体２３０に形成された中間画像のインクによる隠蔽率を測定する、隠蔽率測定部として機能する。

ここで、上述したように、第１活性線照射部２６２から照射された活性線は、中間転写体２３０およびインク層を透過した後、記録媒体Ｍの表面で反射してインク層の内部に戻される。このとき、中間画像の上記隠蔽率が大きいほど、中間転写体２３０を透過した後に記録媒体Ｍの表面で反射してインク層の内部に戻される活性線の量も減少する。そのため、中間画像の上記隠蔽率に応じて、転写時にインクが受け取る活性線のエネルギー量も変化していまい、上述した所望の量の活性線を転写時のインクが受け取れないことがある。

これに対し、本実施形態では、中間画像の上記隠蔽率を測定し、中間画像の上記隠蔽率がより高いときは第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をより多くし、中間画像の上記隠蔽率がより低いときは第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をより少なくする。これによって、中間画像の隠蔽率の変化によらず、所望の量の活性線を転写時のインクに受け取らせることができる。

表６～表７は、表１に示した４種類の記録媒体（記録媒体Ａ～記録媒体Ｄ）に画像を形成する際に、中間画像のインクによる隠蔽率に応じて、第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をどのように変更するかを示すシミュレーション結果である。表６～表７は、記録媒体Ａ～記録媒体Ｄのそれぞれについて、中間画像のインクによる隠蔽率が、インク層に到達した活性線の吸収率がそれぞれ２０％および８０％となる値であるときの、照射すべき活性線Ｒ１のエネルギー量を示している。なお、表１と同様に、中間転写体２３０の上記活性線の透過率は９９．５％とし、記録媒体Ａ、記録媒体Ｂ、記録媒体Ｃおよび記録媒体Ｄの表面における上記活性線の反射率はそれぞれ、６０．０％、７０．０％、５０．０％、４０．０％としている。また、表６～表７は、表１と同様に、第１活性線照射部２６２から照射する活性線Ｒ１のエネルギー量を、記録媒体に応じて変更したときの、活性線Ｒ１、Ｒ２、Ｒ３およびＲ４のそれぞれのエネルギー量を示している。このとき、活性線Ｒ１のエネルギー量は、インク層２２６に照射される活性線のエネルギー量（Ｒ２＋Ｒ４）が略同一となるように調整されている。

表６～表７に示すように、中間画像のインクによる隠蔽率（吸収率）に応じて、第１活性線照射部２６２から照射する活性線Ｒ１のエネルギー量をさらに変更することで、中間転写体の劣化などの状態によらず、インクに照射される活性線のエネルギー量（Ｒ２＋Ｒ４）を略同一とすることができる。これにより、記録媒体Ｍの種類および中間画像の反射率によらず、インク層２２６に照射される活性線のエネルギー量を略同一とし、転写ニップＮＰを通過するときのインクの硬度（粘度）を略同一とすることで、いずれの記録媒体を用いたときにも、転写時のインクのつぶれを抑制しつつ、同時に記録媒体への定着性も十分に確保できる程度にインクを半硬化させることできる。

このように構成した本実施形態によれば、中間画像のインクによる隠蔽率に応じて第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をさらに変更することにより、中間転写体２３０の劣化などの状態によらずに、転写時のインクのつぶれの抑制と、記録媒体への定着性の確保とを、より高度に両立させることができる。

このとき、中間画像撮像部７１０は、中間転写体２３０の表面を多数の小領域に区分けして、それぞれの小領域ごとにインクによる隠蔽率を求めてもよい。さらに、第１活性線照射部２６２をＬＥＤアレイなどとして、小領域ごとに測定された隠蔽率に応じて、当該小領域に照射する活性線のエネルギー量を変更してもよい。

なお、上述の実施形態では、画像形成装置１４が中間画像撮像部７１０を備え、中間画像撮像部７１０が撮像した中間画像の画像をもとに、中間画像の隠蔽率を求めるとしていた。これに対し、隠蔽率測定部としての制御部４０は、プリントジョブに含まれる画像データをもとに、中間画像の隠蔽率を求めてもよい。

このように構成した本実施形態によれば、中間画像のインクによる隠蔽率に応じて第１活性線照射部２６２から照射する活性線のエネルギー量をさらに変更することにより、中間転写体２３０の劣化などの状態によらずに、転写時のインクのつぶれの抑制と、記録媒体への定着性の確保とを、より高度に両立させることができる。

［その他の実施形態］
なお、上記各実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、上記実施形態によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。

たとえば、上記各実施形態では、インクジェット法で中間転写体にインクを付与する画像形成装置について説明をしたが、インクの付与方法はインクジェット法に限られず、ロールコータ－やバーコーターなどを用いる他の方法であってもよい。

１－１．中間転写体の透過率の測定
中間転写体として、市販の透明ポリイミドフィルムを用いた。この透明ポリイミドフィルムの、波長３９５ｎｍの紫外線の透過率を分光光度計「ＵＶ－２５５０」（株式会社島津製作所製）を用いて測定したところ、９９．５％だった。

１－２．活性線硬化型インクの調製
以下の手順で活性線硬化型インクを調製した。

（顔料分散液の調製）
顔料分散剤（アジスパーＰＢ８２４、味の素ファインテクノ株式会社製、「アジスパー」は味の素株式会社の登録商標）９．０質量部と、活性線重合性化合物（トリプロピレングリコールジアクリレート）７０．０質量部と、重合禁止剤（Ｉｒｇａｓｔａｂ ＵＶ１０、ＢＡＳＦ社製、「Ｉｒｇａｓｔａｂ」は同社の登録商標）０．０２質量部と、をステンレスビーカーに入れ、６５℃のホットプレートで加熱しながら、１時間加熱撹拌した。

上記混合液を室温まで冷却した後、これにＰｉｇｍｅｎｔ Ｒｅｄ １２２（大日精化工業株式会社製、クロモファインレッド６１１２ＪＣ）２１．０質量部を加えた。混合液を、直径０．５ｍｍのジルコニアビーズ２００ｇと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて８時間分散処理した。その後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散液を得た。

（活性線硬化型インクの調製）
ゲル化剤「ルナックＢＡ」（ベヘニン酸、花王株式会社製、「ルナック」は同社の登録商標）５．０質量％と、活性線重合性化合物（ポリエチレングリコール＃４００ジアクリレート）２９．９質量％と、６ＥＯ変性トリメチロールプロパントリアクリレート２３．０質量％と、４ＥＯ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート１５．０質量％と、第１の重合開始剤「ＩＲＧＡＣＵＲＥ ８１９」（ＢＡＳＦ社製、「ＩＲＧＡＣＵＲＥ」はＢＡＳＦ社の登録商標）８．０質量％と、界面活性剤「ＫＦ－３５２」（信越化学工業株式会社製）０．１質量％と、顔料分散液１９．０質量％をステンレスビーカーに入れ、これを８０℃のホットプレートで加熱しながら１時間撹拌した。得られた溶液を加熱しながら、ＡＤＶＡＴＥＣ社製テフロン（登録商標）３μｍメンブランフィルターで濾過することにより、活性線硬化型インクを得た。

（ベタ画像１の形成）
図１に示す構成を有する画像形成装置に上記活性線硬化型インクを装填し、３６０ｄｐｉ、隠蔽率５０％のベタ画像１を形成した。第１活性線照射部から照射する活性線は、波長３９５ｎｍの紫外線とし、エネルギー量は１．０００Ｗ／ｃｍ^２とした。第２活性線照射部から照射する活性線は、波長３９５ｎｍの紫外線とし、エネルギー量は、インクが完全に硬化する量に調整した。記録媒体には、コート紙Ａを用いた。反射率測定部が測定したこの記録媒体の波長３９５ｎｍの紫外線の反射率は、６０％だった。

（ベタ画像２の形成）
記録媒体としてコート紙Ｂを用い、画像の隠蔽率を２０％とした以外はベタ画像１の形成と同様にして、ベタ画像２を形成した。反射率測定部が測定したこの記録媒体の波長３９５ｎｍの紫外線の反射率は、７０％だった。なお、中間転写体を透過した活性線のエネルギー量と、記録媒体のインクが転写される表面で反射する前記活性線のエネルギー量と、がベタ画像１の形成と一致させるために、第１活性線照射部から照射すべき活性線のエネルギー量は、０．８３３３Ｗ／ｃｍ^２である。ベタ画像２の形成時の、第１活性線照射部から照射する活性線のエネルギー量は１．０００Ｗ／ｃｍ^２であり、活性線のエネルギー量が過剰な条件となっていた。

（ベタ画像３の形成）
使用により劣化した中間転写体を用い、記録媒体として上質紙Ｃを用い、画像の隠蔽率を８０％とした以外はベタ画像１の形成と同様にして、ベタ画像３を形成した。この劣化した中間転写体の、波長３９５ｎｍの紫外線の透過率は、９０．０％だった。反射率測定部が測定したこの記録媒体の波長３９５ｎｍの紫外線の反射率は、５０％だった。なお、中間転写体を透過した活性線のエネルギー量と、記録媒体のインクが転写される表面で反射する前記活性線のエネルギー量と、がベタ画像１の形成と一致させるために、第１活性線照射部から照射すべき活性線のエネルギー量は、１．３０６６Ｗ／ｃｍ^２である。ベタ画像３の形成時の、第１活性線照射部から照射する活性線のエネルギー量は１．０００Ｗ／ｃｍ^２であり、活性線のエネルギー量が少ない条件となっていた。

（インクのつぶれの評価）
ベタ画像１～ベタ画像３を拡大して観察し、１つのドットの直径の平均値を測定した。ドット径が６０μｍ以下であるときは、インクのつぶれが許容範囲であると判定した。

（定着性の評価）
ベタ画像１～ベタ画像３をドットが占める面積率を測定した。その後、それぞれのベタ画像の表面に不織布を接触させ、錘によって約３００Ｐａの荷重を印加しながら、ベタ画像を形成した記録媒体を左右に１５往復させた（擦り試験）。往復運動の速度は、約０．２ｍ／秒とした。擦り試験後のベタ画像１～ベタ画像３をドットが占める面積率を測定し、擦り試験前のそれぞれベタ画像をドットが占める面積率に対する面積率の維持率を求めた。上記面積率の維持率が９０％以上であるときは、インクの定着性が許容範囲であるとした。

ベタ画像１～ベタ画像３の、インクのつぶれおよび定着性の評価結果を、表８に示す。

表８に示すように、第１活性線照射部が照射する活性線のエネルギー量が適正であると、インクのつぶれおよび定着性のいずれもが許容範囲であった。これに対し、第１活性線照射部が照射する活性線のエネルギー量の過剰であると、インクの定着性が低下していた。また、第１活性線照射部が照射する活性線のエネルギー量が不足していると、インクにつぶれが発生していた。

本発明は、中間転写体を用いて活性線硬化型インクによる画像を形成する画像形成装置として好適である。

１１、１２、１３、１４ 画像形成装置
２０ 外部装置
４０ 制御部
４１ ＣＰＵ
４２ ＲＡＭ
４３ ＲＯＭ
４４ 記憶部
５１ 搬送駆動部
５２ 入出力インターフェース
１００ 給紙部
１１０ 給紙トレイ
１２０ 媒体供給部
１３２ 照射部
１３４ 測定部
２００ 画像形成部
２１０ 受け渡しユニット
２１２ スイングアーム部
２１４ 受け渡しドラム
２２０ ヘッドユニット
２２２ ヘッド駆動部
２２４ インクジェットヘッド
２２６ インク層
２２６ａ 表面
２３０ 中間転写体
２３０ａ 裏面
２３０ｂ 表面
２３２、２３４ 従動ローラー
２３６ 転写ローラー
２４０ 搬送ドラム
２５０ デリバリー部
２５１ 受け渡しドラム
２５２ ベルトループ
２６２ 第１活性線照射部
２６４ 第２活性線照射部
２７０ クリーニング部
３００ 排紙部
３１０ 排紙トレイ
５１０ 温度調整部
６１０ 透過量測定部
６２０ 反射量測定部
７１０ 中間画像撮像部

Claims (19)

1. 中間転写体と、
   活性線硬化型のインクを前記中間転写体の表面に付与するインク付与部と、
   前記付与されたインクを記録媒体に転写する転写部と、
   前記転写部のみにおいて、前記インクが付与された表面とは異なる裏面側から前記中間転写体を透過した活性線を前記インクに照射する、活性線照射部と、を有し、
   前記活性線照射部は、前記記録媒体の前記インクが転写される表面における前記活性線の反射率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   画像形成装置。
2. 中間転写体と、
   活性線硬化型のインクを前記中間転写体の表面に付与するインク付与部と、
   前記付与されたインクを記録媒体に転写する転写部と、
   前記転写部のみにおいて、前記インクが付与された表面とは異なる裏面側から前記中間転写体を透過した活性線を前記インクに照射する、活性線照射部と、を有し、
   前記活性線照射部は、前記中間転写体を透過した前記活性線のエネルギー量と、前記記録媒体の前記インクが転写される表面で反射する前記活性線のエネルギー量との和を、記録媒体によらず一定にさせるように、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   画像形成装置。
3. 中間転写体と、
   活性線硬化型のインクを前記中間転写体の表面に付与するインク付与部と、
   前記付与されたインクを記録媒体に転写する転写部と、
   前記転写部のみにおいて、前記インクが付与された表面とは異なる裏面側から前記中間転写体を透過した活性線を前記インクに照射する、活性線照射部と、を有し、
   前記活性線照射部は、前記記録媒体の特性に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更し、
   前記活性線照射部はさらに、前記活性線を透過させる前記中間転写体の、前記活性線の透過率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更し、
   前記中間転写体の走行距離データを記憶する記憶部を有し、
   前記活性線照射部はさらに、前記記憶部が記憶している前記中間転写体の走行距離データに応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   画像形成装置。
4. 中間転写体と、
   活性線硬化型のインクを前記中間転写体の表面に付与するインク付与部と、
   前記付与されたインクを記録媒体に転写する転写部と、
   前記転写部のみにおいて、前記インクが付与された表面とは異なる裏面側から前記中間転写体を透過した活性線を前記インクに照射する、活性線照射部と、を有し、
   前記活性線照射部は、前記記録媒体の特性に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更し、
   前記中間転写体の前記活性線の透過率を測定する透過率測定部を有し、
   前記活性線照射部はさらに、前記透過率測定部が測定した前記活性線の透過率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   画像形成装置。
5. 中間転写体と、
   活性線硬化型のインクを前記中間転写体の表面に付与するインク付与部と、
   前記付与されたインクを記録媒体に転写する転写部と、
   前記転写部のみにおいて、前記インクが付与された表面とは異なる裏面側から前記中間転写体を透過した活性線を前記インクに照射する、活性線照射部と、を有し、
   前記活性線照射部は、前記記録媒体の特性に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更し、
   前記インクの付与により中間転写体の表面に形成された中間画像の、前記インクによる隠蔽率を求める隠蔽率測定部を有し、
   前記活性線照射部はさらに、前記隠蔽率測定部が測定した前記隠蔽率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   画像形成装置。
6. 中間転写体と、
   活性線硬化型のインクを前記中間転写体の表面に付与するインク付与部と、
   前記付与されたインクを記録媒体に転写する転写部と、
   前記転写部のみにおいて、前記インクが付与された表面とは異なる裏面側から前記中間転写体を透過した活性線を前記インクに照射する、活性線照射部と、を有し、
   前記活性線照射部は、前記記録媒体の特性に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更し、
   形成すべき画像を示す画像データを受け付ける入力受付部を有し、
   前記活性線照射部はさらに、前記画像データから算出される、前記インクの付与により中間転写体の表面に形成された中間画像の前記インクによる隠蔽率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   画像形成装置。
7. 前記活性線照射部は、前記記録媒体の前記インクが転写される表面における前記活性線の反射率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   請求項２～６のいずれか１項に記載の画像形成装置。
8. 前記活性線照射部は、前記中間転写体を透過した前記活性線のエネルギー量と、前記記録媒体の前記インクが転写される表面で反射する前記活性線のエネルギー量との和を、記録媒体によらず一定にさせるように、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   請求項１および３～６のいずれか１項に記載の画像形成装置。
9. 前記活性線照射部は、前記活性線を透過させる前記中間転写体の、前記活性線の透過率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
   請求項１～２および５～６のいずれか１項に記載の画像形成装置。
10. 前記中間転写体の走行距離データを記憶する記憶部を有し、
    前記活性線照射部は、前記記憶部が記憶している前記中間転写体の走行距離データに応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
    請求項４または９に記載の画像形成装置。
11. 前記中間転写体の前記活性線の透過率を測定する透過率測定部を有し、
    前記活性線照射部は、前記透過率測定部が測定した前記活性線の透過率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
    請求項３または９に記載の画像形成装置。
12. 前記インクの付与により中間転写体の表面に形成された中間画像の、前記インクによる隠蔽率を求める隠蔽率測定部を有し、
    前記活性線照射部は、前記隠蔽率測定部が測定した前記隠蔽率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
    請求項１～４のいずれか１項に記載の画像形成装置。
13. 形成すべき画像を示す画像データを受け付ける入力受付部を有し、
    前記活性線照射部は、前記画像データから算出される、前記インクの付与により中間転写体の表面に形成された中間画像の前記インクによる隠蔽率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
    請求項１～４のいずれか１項に記載の画像形成装置。
14. 前記活性線照射部は、前記反射率がより高い前記記録媒体に対しては、前記照射する活性線のエネルギー量をより少なくする、
    請求項１または７に記載の画像形成装置。
15. 前記記録媒体の前記インクが転写される表面における前記活性線の反射率を測定する反射率測定部を有し、
    前記活性線照射部は、前記反射率測定部が測定した反射率に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
    請求項１～２、７～８および１４のいずれか１項に記載の画像形成装置。
16. 記録媒体の選択または設定を受け付ける入力受付部を有し、
    前記活性線照射部は、前記入力受付部が受け付けた前記記録媒体の選択または設定に応じて、前記照射する活性線のエネルギー量を変更する、
    請求項１～１４のいずれか１項に記載の画像形成装置。
17. 前記記録媒体の前記インクが転写される表面の温度を調整する温度調整部を有し、
    前記温度調整部は、前記記録媒体の特性に応じて、前記記録媒体の表面の温度を変更する、
    請求項１～１６のいずれか１項に記載の画像形成装置。
18. 記録媒体の選択または設定を受け付ける入力受付部を有し、
    前記温度調整部は、前記入力受付部が受け付けた前記記録媒体の選択または設定に応じて、前記記録媒体の表面の温度を変更する、
    請求項１７に記載の画像形成装置。
19. 前記インク付与部は、インクジェット法により前記インクを付与する、
    請求項１～１８のいずれか１項に記載の画像形成装置。

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