JP7322452B2 - シリコーンゴム複合体、およびその製造方法 - Google Patents

シリコーンゴム複合体、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気・電子製品に組み込まれるIC、受動部品、半導体等の、ディスプレー・タッチパネル関連製品部材やLED照明製品部材、運動・生体機能測定部材などの成形に利用される各種離型材、滑り止め材(以下「シール材」という)として好適に使用できる弾力性、平滑性、柔らかい触感などに優れたシリコーンゴム複合体に関する。
従来からシリコーンゴムは、耐熱性や電気的性質に優れていることから、上記シール材等の用途に使用されてきた。
しかしながら、シリコーンゴム単体からなるシートをそのままプレス成形の離型材等として使用しようとすると、ゴム製品であるがために変形を生じ、組みつけ寸法精度が悪くなったり、しわが生じたりして、作業性に問題があった。
そこで、上記問題点を解消するためにシリコーンゴム単体とプラスチックフィルムを複合一体化することが検討されてきた。このことにより、しわや密着などの作業性のほか、長尺の複合体が得られやすくなり効率的なロールtoロールの製造にも使える。
複合化の一つの方法として、あらかじめ架橋されたシリコーンゴム単体とプラスチックフィルムとを接着剤を介して複合化する方法、両面テープ貼り合わせや粘着剤塗布等の方法で、粘着層を介して複合化する方法がある。この場合、通常シリコーンゴム用の接着剤あるいは粘着剤が用いられるが、接着剤あるいは粘着剤を別に塗布する必要性があり、加工コストが高くなるとか、長尺の複合体が得られにくい等の不都合があった。
さらに、このような不都合を解決するためにプラスチックフィルムにシリコーン系プライマーを塗布し、シリコーン未架橋ゴムを貼り合わせ、しかる後、熱架橋させると同時にシリコーンゴムと一体化させることが検討されている。しかしながら、プラスチックフィルムが結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする場合には、シリコーン系プライマーと該プラスチックフィルムとの接着性に乏しく、得られる複合体に剥離等の問題が生じ易かった。
また、該プラスチックフィルムが耐熱性の低いものである場合、シリコーンゴム架橋時に熱が加わるため、適用できない。さらに、該プラスチックフィルムとシリコーンゴムとの熱膨脹の差が大きいため、得られる複合体にカールが生じるという問題があった。
加えて、厚み精度が十分でないことから、該プラスチックフィルムを積載ないしロール状に集積したとき、その集積量が大きくなるにつれてしわや折れ曲がりを生じたりして元の形状に戻らず、離型材としての利用が困難になることがあった。
上述の問題点を解消できるシリコーンゴム複合体として、特許文献1では、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも片面に、下塗り層と下塗り層に対して親和性が高く、かつシリコーン樹脂を含有する薄膜層を順に形成し、特定の硬度を有するシリコーンエラストマー樹脂からなるシリコーンゴム層を形成し、上記フィルムとシリコーンゴム層が一体化してなるシリコーンゴム複合体の提案がされている。
特開平11-20082号公報
しかしながら、特許文献1のシリコーン複合体を電気・電子製品部材に関わるプレス成形の離型材として使用した際に、条件によっては、出来上がる成形部材の厚み精度が十分ではなく、気泡の跡やしわが入る不具合が発生し、歩留まり生産性が不十分となる場合があり、具体的な改善が望まれていた。
さらに、シリコーンゴム複合体を枚葉状やロール状で用いる際、シリコーンゴム複合体を重ねた時に基材層とシリコーンゴム層とが密着しすぎて、シリコーンゴム複合体が剥がれにくくなり、作業性が低下するという問題があった。
本発明は、枚葉状やロール状で用いる際、シリコーンゴム複合体を重ねた時にシリコーンゴム複合体同士が剥がれやすくなり、良好な作業性を有するシリコーンゴム複合体を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決すべく鋭意検討したところ、基材層(A層)の片面側とは異なる他面側の中心線平均粗さを調整することにより、シリコーンゴム複合体同士が容易に剥がれやすいシリコーンゴム複合体の完成に至った。
すなわち本発明は、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)の片面側に、非晶性ポリマーを含有する下塗り層(B層)、シリコーン樹脂を含有する薄膜層(C層)、シリコーンエラストマー樹脂を含有するシリコーンゴム層(D層)の順に積層され、一体化してなるシリコーンゴム複合体であり、当該基材層(A層)の片面側とは異なる他面側の中心線平均粗さ(Sa)が1.0μm以上であるシリコーンゴム複合体である。
また、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)の片面側に、非晶性ポリマーを含有する下塗り層(B層)、シリコーン樹脂を含有する薄膜層(C層)、シリコーンエラストマー樹脂を含有するシリコーンゴム層(D層)の順に積層され、一体化してなるシリコーンゴム複合体の製造方法において、前記基材層(A層)の片面側とは異なる他面側に粗面処理を行う工程を有するシリコーンゴム複合体の製造方法である。
さらに本発明のシリコーンゴム複合体は、加工時にシリコーンゴム複合体が剥がれやすくなることによって、作業性が改善される。
<シリコーンゴム複合体>
以下、本発明の実施形態の一例としてのシリコーンゴム複合体(以下、「本複合体」とも称する)について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本複合体は、シリコーンゴムと、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)が積層されているため、しわや折れ曲がりが生じず、プレス成形の離型材として使用した際の成形体の生産性が向上できる。さらにはロール状に捲回、または、枚葉状に重ねたシリコーンゴム複合体を用いて成形加工する際に、シリコーンゴム複合体同士の密着、すなわち基材層(A層)とシリコーンゴム層(D層)との密着による作業性の低下を改善することができる。
[基材層(A層)]
本発明に使用される基材層(A層)の主成分は、耐熱性や機械的強度の観点から、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする。前記結晶性ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。なかでも、耐熱性、フィルムの腰、平滑性、商業的入手のしやすさ等に加え、他の層との接着性の観点から、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
また、基材層(A層)は機械的強度の観点から、少なくとも1軸に配向されていることが好ましく、2軸に延伸されていることがより好ましい。
基材層(A層)の厚みは、10μm~350μmが好ましく、15μm~300μmがより好ましく、20μm~250μmがさらに好ましい。前記厚みが10μm以上とすることで、表面に他の層を積層させる際、しわ等の発生が十分抑制される。一方、350μm以下とすることで、基材層(A層)が硬くなりすぎないため、後述する下塗り層等を塗工しやすくなる傾向がある。
基材層(A層)の表面粗さは、後述の下塗り層(B層)、薄膜層(C層)、シリコーンゴム層(D層)と積層する片面側とは異なる他面側において、中心線平均粗さ(Sa)は1.0μm以上が重要であり、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは10μm以上である。前記Saが1.0μm以上とすることで、シリコーンゴム複合体を重ね合わせた際、基材層(A層)と後述のシリコーンゴム層(D層)とが過度に密着されにくい。そのため、ロール状に捲回、または、枚葉状に重ねたシリコーンゴム複合体を用いて成形加工する際に、基材層(A層)とシリコーンゴム層(D層)とが密着しすぎて、シリコーンゴム複合体が剥がれにくいなどの不具合を抑制することができる。これは基材層を粗面化することによって、シリコーンゴム複合体同士、すなわち、基材層(A層)とシリコーンゴム層(D層)との接触面積が小さくなるため、シリコーンゴム複合体を重ねても剥がれやすくなると考えられる。一方、前記中心線平均粗さ(Sa)の上限は特に限定されないが、平滑性の観点から300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
中心線平均粗さ(Sa)は、面粗さにおいて、表面の平均面に対する各点の高さの差の絶対値の平均であり、ISO 25178に準拠される。
前記中心線平均粗さ(Sa)を1.0μm以上にするには、基材層(A層)の片面側とは異なる他面側に粗面処理を行うことが重要である。粗面処理の方法は、公知の方法を適用することができる。具体的な粗面処理の方法としてはコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理、エンボス処理、レーザーアブレージョン処理等の物理的方法、溶剤等の薬品による腐食処理等の化学的方法が挙げられる。中でも、生産性の観点からサンドブラスト処理、レーザーアブレージョン処理が好ましい。
[下塗り層(B層)]
本発明では、基材層(A層)の片面に、非晶性ポリマーを含有する下塗り層(B層)を有する。下塗り層(B層)を用いることで、薄膜層(C層)を均一に形成することができる。
非晶性ポリマーとしては、前記基材層(A層)の表面に均一に塗布できるものであれば特に限定されるものではなく、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂など実質的に結晶性の無いポリマーから適宜選択すればよい。
具体例としては、ポリエステル樹脂及び/またはポリエーテル樹脂をウレタン結合等で直鎖状に高分子量化したポリウレタン樹脂、アクリル酸及び/またはメタクリル酸エステルの共重合体からなるアクリル樹脂、酸成分あるいはグリコール成分が2種類以上の単量体よりなる共重合ポリエステル樹脂が挙げられる。これら非晶性樹脂は、薄膜に塗工されるので、通常有機溶剤で希釈した状態、あるいは水中に乳化または可溶化させて適度な濃度に調整したものが使用される。
前記下塗り層(B層)は、耐熱性、耐溶剤性を向上させる目的で、架橋構造を持つものであってもよく、この場合、上記非晶性ポリマーは、主鎖あるいは側鎖にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等架橋性官能基を持つものであり、架橋剤としては、ポリイソシアネート、メラミン、多官能エポキシ樹脂、金属化合物等から適時選択される。また、塗工液には、上記架橋剤のほか、界面活性剤等からなるレベリング剤、シリカ等ブロッキング防止剤、増粘剤等が添加されていても良い。
下塗り層(B層)の厚みは、0.01~5μmであることが好ましい。下塗り層(B層)の厚みが0.01μm以上であれば、厚みの調整が容易であり、また、後述するシリコーン樹脂を含有する薄膜層(C層)との接着性も良好となるため好ましい。また、厚みが5μm以下であれば、下塗り層(B層)の塗工が困難になることもない。かかる観点から、下塗り層(B層)の厚みは0.05~4μmであることがより好ましく、0.1~3μmであることがさらに好ましい。
[薄膜層(C層)]
本発明では、下塗り層(B層)の上にさらに薄膜層(C層)を形成させる。薄膜層(C層)にはシリコーン樹脂が含まれており、中でも下塗り層(B層)に対して親和性が高く、塗布後、加熱あるいはUV照射等で架橋被膜を形成するものや、シリコーンゴム層(D層)架橋時に同時に架橋被膜を形成するものが好ましい。
薄膜層(C層)に使用可能なシリコーン樹脂の例として、付加型シリコーン樹脂、縮合型シリコーン樹脂、UV硬化型シリコーン樹脂などが挙げられる。
付加型シリコーン樹脂としては、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合し、白金触媒の存在下で反応硬化させて得られるものが挙げられる。縮合型シリコーン樹脂としては、末端にシラノール基を含有するポリジメチルシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合し、有機スズ触媒存在下で加熱硬化して得られるものが挙げられる。
UV硬化型シリコーン樹脂としては、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基を含有するポリジメチルシロキサンをベースポリマーとするもの、メルカプト基とビニル基を含有するポリジメチルシロキサンをベースポリマーとするもの、前述の付加型シリコーン樹脂、あるいはカチオン硬化機構で硬化するエポキシ基を含有するポリジメチルシロキサンをベースポリマーとするもの等に光重合開始剤を配合し、UV光を照射することによって硬化させるものが挙げられる。
また、該塗工液には、下塗り層(B層)との親和性を上げる目的で、シランカップリング剤等の添加剤が含まれることが好ましい。この目的を満たすシランカップリング剤は、一般式YRSiXで表される化合物で、Yはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等の有機官能基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン等アルキレン基、Xはメトキシ基、エトキシ基等加水分解性官能基あるいはアルキル基である。具体的化合物として、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γーグリシジルプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
薄膜層(C層)の厚みは、溶剤乾燥後で0.01~1μmであることが好ましい。厚みが0.01μm以上であれば、均一な厚みの硬化被膜が得られ、かつ、シリコーンゴム層(D層)との接着力も十分に得られる。また、上記組成のシリコーン樹脂は一般に膜強度がそれほど強くないため、本複合体の剥離力を評価する際、前記薄膜層(C層)で凝集破壊が起こる傾向にあるが、その厚みが1μm以下であれば、前記薄膜層(C層)の凝集破壊を抑制し、シリコーンゴム複合体として十分な強度を得ることができる。かかる観点から、薄膜層(C層)の厚みは、0.03~0.7μmがより好ましく、0.05~0.5μmがさらに好ましい。
[シリコーンゴム層(D層)]
シリコーンゴム層(D層)には、シリコーンエラストマー樹脂が含まれていることが特徴である。
シリコーンゴム層(D層)に使用可能なシリコーンエラストマー樹脂の例として、ポリジメチルシロキサンを主成分とするシリコーンエラストマー樹脂が好ましく挙げられる。
また、シリコーンゴム層(D層)は、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンを主成分とするシリコーンエラストマー樹脂を含むことも、圧縮永久歪みの調整の観点から好ましい。ビニル基を含有する場合は、ポリジメチルシロキサン全量に対するビニル基の含有量は、0.05~5モル%であることが好ましく、0.5~4モル%であることがより好ましく、1~3モル%であることがさらに好ましい。ビニル基の含有量が0.05モル%であれば、シリコーンエラストマー樹脂の架橋密度を調整しやすくなり、所望の圧縮永久歪みを有するシリコーンエラストマー樹脂を得ることができる。一方、5モル%以下であれば、シリコーンエラストマー樹脂が過度に硬化することがないため好ましい。
このようなシリコーンエラストマー樹脂として、市販品を使用することもできる。市販品としては、信越化学工業社製ミラブル型シリコーンコンパウンドやモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製ミラブル型シリコーンゴムを使用することができる。
ここで、シリコーンエラストマー樹脂は、フュームドシリカ、沈殿シリカ、ケイソウ土、石英粉などの補強性充填剤や各種加工助剤、耐熱性向上剤などの他、エラストマーとしての機能性を持たせる各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、難燃性付与剤、放熱性フィラー、導電性フィラーなどが挙げられる。
シリコーンゴム層(D層)の厚みは、50μm以上であることが好ましい。上記厚みが50μm以上であれば、本複合体として、ゴム弾性としての性質が十分に得られる。また、上記厚みの下限は、用途等から1.5mm以下が好ましい。
シリコーンゴム層(D層)は、シリコーンエラストマー樹脂を硬化させた際、シリコーンゴム層(D層)の硬度は10~80であることが好ましく、20~70がより好ましい。前記硬度が10以上であることにより、本複合体は十分な取り扱い性を有することができ、80以下であることにより、十分な弾力性を有することができる。
なお、硬度の測定方法は、JIS K6301スプリング式硬さ試験A形に準拠する。
[積層構成]
なお、本発明のシリコーンゴム複合体の積層構成は、A層/B層/C層/D層の順に積層され、一体化してなるものである。または、必要に応じて、シリコーンゴム層(D層)の表面に保護層などの他の層を積層させてもよい。
[剥離特性]
本発明のシリコーンゴム複合体同士の室温での剥離力が0.03mN/20mm以下が好ましく、0.02mN/20mm以下がより好ましい。一方、下限は剥離特性の観点から特に限定されない。
本複合体を離型材として用いる際、室温での剥離力が低いほど、本複合体の加工時に本複合体同士を剥がす際、必要な力が少なくて済み、生産工程における剥離の失敗、本複合体の変形などの不具合を抑制することができる。中でも、本複合体は、粘着性をシリコーンゴム層(D層)があっても、上記不具合は抑制され、低い剥離特性を有することができる。
室温での剥離力は後述の実施例に記載の方法で測定するものとする。
<シリコーンゴム複合体の製造方法>
本発明のシリコーンゴム複合体の製造方法は、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)の片面側に、非晶性ポリマーを含有する下塗り層(B層)、シリコーン樹脂を含有する薄膜層(C層)、シリコーンエラストマー樹脂を含有するシリコーンゴム層(D層)の順に積層させ、一体化させる。
まず、前述のポリエステル系樹脂を主成分とする基材層(A層)の片面に、下塗り層(B層)としての塗工液を塗布し、次いで乾燥、さらに必要に応じて熱架橋させることにより、下塗り層(B層)を形成させる。塗布方法としては、塗工液に適した公知の方法が適用でき、別工程で延伸した基材層(A層)に塗布しても良いし、基材層(A層)の未延伸シートに直接塗工液を塗布した後に延伸して、下塗り層(B層)を形成させたものであってもよい。また、塗工液のレベリング性や密着性を上げる目的で塗工面にあらかじめコロナ処理等の表面処理を施すこともできる。
次に、下塗り層(B層)の上に、薄膜層(C層)を塗工する。塗布方法としては、上述の下塗り層(B層)と同様に、薄膜が精度良く得られる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の方法を使用することができる。
さらに、シリコーンエラストマー樹脂を含有するシリコーンゴム層(D層)は、次の方法により積層するのが好ましい。まず、シリコーン樹脂を含有する薄膜層(C層)の上に、未架橋状態のシリコーンエラストマー樹脂を積層させる。積層方法としては、未架橋状態のシリコーンエラストマー樹脂を押出成形、射出成形、カレンダー成形、プレス成形等によってシート状に成形した後に、薄膜層(C層)の上に積層させるのが好ましい。もしくは、公知のコーティング方法によって、薄膜層(C層)の上に直接製膜するという方法であってもよい。
次いで、上記未架橋状態のシリコーンエラストマー樹脂を硬化させることで、本発明のシリコーンゴム複合体を得ることができる。シリコーンエラストマー樹脂を硬化する手段としては、硬化触媒を添加する方法、高温加熱する方法、架橋剤を添加する方法、放射線照射による架橋方法等が挙げられる。
なかでも、本複合体のシリコーンゴム層(D層)は、放射線照射によって硬化させた放射線硬化物であることが好ましい。放射線照射による硬化は、触媒や架橋剤の残渣等による耐熱、耐光信頼性を損なう懸念がないため好ましい。また、硬化時に熱が加わらないため、熱劣化の懸念もなく好ましい。
放射線としては、例えば電子線、X線、γ線等が挙げられる。これらの放射線は工業的にも広く利用されているものであり、容易に利用可能であり、エネルギー効率の良い方法である。これらの中でも、吸収損失がほとんどなく、透過性が高いという観点から、γ線を利用することが好ましい。
γ線の照射線量は、樹脂種や架橋基の量、そして線源の種類により、適宜選択して決定することができる。本複合体において、例えば、γ線の照射線量は、20~150kGyであることが好ましい。照射線量が20kGy以上であれば、シリコーンゴム層(D層)を十分に硬化させることができ、結果として所望の圧縮永久歪を得ることができる。一方、照射線量が150kGy以下でれば、分解反応による低分子量成分の増加を抑制できる。かかる観点から、照射線量は30~120kGyであることがより好ましく、40~110kGyであることがさらに好ましい。
また、この照射線量の選定には、シリコーンエラストマー樹脂の架橋密度の他、基材層(A層)として使用するプラスチックフィルムの耐放射線性も考慮に入れる必要がある。この点、本発明で使用する結晶性ポリエステル系樹脂は、一般に放射線に対する耐性に優れ、本発明の目的に極めて適合した基材である。
なお、本発明において「主成分」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。
この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
また、本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(JIS K6900:1994)。しかし、「シート」と「フィルム」の境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下、実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
基材層(A層)として、厚み50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル(株)製、S-100)を用いた。基材層(A層)の片面は、サンドブラスト処理による粗面処理を施し、中心線平均粗さ(Sa)を3.3μmとした。
基材層(A層)で粗面化した表面とは異なる表面に、下記に示す方法で下塗り層(B層)、薄膜層(C層)、シリコーンゴム層(D層)の順に積層させ、一体化させることでシリコーン複合体を得た。
[下塗り層(B層)]
非晶性ポリエステル樹脂、(東洋紡績(株)製、商品名:バイロン240)15質量部、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製、商品名:コロネートL)2質量部を溶剤(MEK/トルエン=1/4(質量比))85質量部に希釈し、塗工液とした。これを上記基材層(A層)の表面に乾燥後の厚みが1.0μmになるようにバーコーターで塗工し、ギアオーブン中で、100℃で10分間乾燥および架橋を行った。
[薄膜層(C層)]
縮合型シリコーン樹脂組成物(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、商品名:SRX290)20質量部および硬化剤(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、商品名:SRX242C)1.2質量部を溶剤(トルエン)79.8質量部に希釈して塗工液を得た。これを下塗り層(B層)の表面に乾燥後の厚みが0.1μmになるようにバーコーターで塗工し、ギアオーブン中で、100℃で10分間乾燥および架橋を行った。
[シリコーンゴム層(D層)]
ミラブル型シリコーンコンパウンド(信越化学工業社製、商品名KE-561U)をプレス成形法にて、厚みが3mmの未架橋状態のシリコーンエラストマー樹脂シートを得た。前記樹脂シートを薄膜層(C層)の表面に接するように積層して、室温でプレス圧50kg/cmでシリコーンゴム複合体を作製した。
前記シリコーンゴム複合体のシリコーンゴム層(D層)表面に、加速電圧200kVの電子線照射装置にて100kGyの電子線を照射し、硬度が55のシリコーンゴム層(D層)を形成した。
得られたシリコーンゴム複合体は、以下の測定を行った。評価結果は表1に示す。
(1)中心線平均粗さ(Sa)
シリコーンゴム層(D層)とは反対側の基材層(A層)の表面の中心線平均粗さ(Sa)を、表面粗さ測定器((株)小坂研究所社製、SE-3F)を用いて測定した。
すなわち、測定によって得られた試料フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として、粗さ曲線y=f(x)で表した時、次の式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
(2)剥離特性
20mm×120mmのサイズにカットしたシリコーンゴム複合体を2枚準備した後、シリコーンゴム複合体の基材層(A層)と、もう1枚のシリコーンゴム複合体のシリコーンゴム層(D層)とが接するように貼り合わせ、室温での剥離力を測定した。剥離力測定には、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/minの条件下、T字剥離を行った。
(実施例2)
サンドブラスト処理の代わりにレーザーアブレージョン処理で粗面処理を施した以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム複合体を作製した。評価結果は表1に示す。
(比較例1)
基材層(A層)の片面に、サンドブラスト処理による粗面処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム複合体を作製した。評価結果は表1に示す。
Figure 0007322452000001
実施例のように、基材層(A層)に粗面処理を施した場合、基材層(A層)とシリコーンゴム層(D層)との剥離特性が良好なものとなり、加工の際にシリコーンゴム複合体同士が剥がれやすくなり、十分な生産性を有するシリコーンゴム複合体となる。
一方、比較例のように、基材層(A層)に粗面処理を施さなかった場合、基材層(A層)とシリコーンゴム層(D層)との剥離特性が不十分なものとなり、加工の際にシリコーンゴム複合体同士が剥がれにくくなり、生産性が悪化するおそれがある。
本発明のシリコーンゴム複合体は、プレス成形時の離型材として優れた特性を有する。例えば、電気・電子製品に組み込まれるIC、半導体、受動部品等のディスプレー・タッチパネル関連製品部材やLED照明製品部材等の成形体の製造に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)の片面側に、非晶性ポリマーを含有する下塗り層(B層)、シリコーン樹脂を含有する薄膜層(C層)、シリコーンエラストマー樹脂を含有するシリコーンゴム層(D層)の順に積層され、一体化してなるシリコーンゴム複合体であり、
    当該基材層(A層)の片面側とは異なる他面側のISO 25178に基づく中心線平均粗さ(Sa)が1.0μm以上であるシリコーンゴム複合体。
  2. 前記基材層(A層)が、少なくとも1軸方向に配向を有する請求項1に記載のシリコーンゴム複合体。
  3. 前記シリコーンゴム層(D層)が、放射線硬化物である請求項1または2に記載のシリコーンゴム複合体。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のシリコーンゴム複合体を用いた離型材。
  5. 結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)の片面側に、非晶性ポリマーを含有する下塗り層(B層)、シリコーン樹脂を含有する薄膜層(C層)、シリコーンエラストマー樹脂を含有するシリコーンゴム層(D層)の順に積層され、一体化してなるシリコーンゴム複合体の製造方法において、
    前記基材層(A層)の片面側とは異なる他面側に粗面処理を行う工程を有し、該多面側のISO 25178に基づく中心線平均粗さ(Sa)が1.0μm以上である、シリコーンゴム複合体の製造方法。
  6. 前記粗面処理は、サンドブラスト処理またはレーザーアブレージョン処理である請求項5に記載のシリコーンゴム複合体の製造方法。
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