JP7320158B1 - ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Abstract
Description
バイオマス度は、製品に含まれる天然由来原料の割合を意味し、天然由来の物質にしか含まれていない放射性炭素C14が製品にどのくらい含まれているかを測定することで、その製品のバイオマス度を測ることができる。
本発明におけるバイオマス度は、ASTM D6866-20に基づき、加速器質量分析法(AMS法)でポリウレタンフォームのC14濃度を測定し、現在における100%天然由来物質のC14濃度に対する割合(%)を計算することにより求められる。
変性ヒマシ油ポリオールは、ヒマシ油とヒマシ油以外の油脂とのエステル交換反応物、ヒマシ油と油脂脂肪酸とのエステル交換反応物、ヒマシ油と多価アルコールとのエステル交換反応物、ヒマシ油脂肪酸と多価アルコールとのエステル化反応物、ヒマシ油に含まれる水酸基の一部と酢酸などのモノカルボン酸とのエステル化反応物、これらにアルキレンオキサイドを付加重合した反応物、これらに水素を付加した水素添加物等が挙げられる。
未変性ヒマシ油ポリオールは、精製ヒマシ油ポリオール、半精製ヒマシ油ポリオール、未精製ヒマシ油ポリオール等が挙げられる。
植物由来ポリオールの量は、ASTM D6866-20によって測定されるバイオマス度が24%以上となるように決定されるが、ポリオール成分100質量部中に15質量部以上が好ましく、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上である。ポリオール成分には石油油来のポリオールを含んでいてもよい。石油由来ポリオールを含むことにより、成形性・生産性が良好になる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
触媒は、ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができ、特に限定されない。使用可能な触媒として、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等の錫触媒や、フェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)が挙げられる。触媒の全配合量は、触媒の種類によって適宜決定されるが、ポリオール成分100質量部に対して0.01~3.0質量部が一般的であり、好ましくは0.02~1.5質量部、さらに好ましくは0.05~1.2質量部である。
スラブ発泡品は、ポリウレタンフォーム組成物を混合撹拌してコンベア上に吐出し、コンベア上で発泡させてポリウレタンフォームを連続形成し、その後裁断により所定サイズにしたものである。それに対してモールド発泡品は、金型にポリウレタンフォーム組成物を注入して発泡させたものであり、金型の内面形状に応じた外形状を有する。
除膜処理は、ポリウレタンフォームのセル膜を除去するための公知の処理であり、ポリウレタンフォームをアルカリ溶液に浸漬してセル膜を溶融する方法や、密閉容器にポリウレタンフォームを収容し、酸素等の可燃ガスを密閉容器に充填した後に点火することにより爆発させてセル膜を破壊する方法等がある。
・植物由来ポリオール1;未変性(精製処理)ヒマシ油ポリオール、植物度100%、官能基数2.7、水酸基価160mgKOH/g、分子量947、品名:H-30、伊藤製油株式会社製
・植物由来ポリオール2;精製ヒマシ油100質量部とセバシン酸10.9質量部とを撹拌しながら反応させたものであり、精製ヒマシ油/セバシン酸=2/1モルからなる植物度100%のヒマシ油ポリオール、官能基数3.5、水酸基価86mgKOH/g、分子量2182
・石油由来ポリオール1;官能基数3、水酸基価24.1mgKOH/g、分子量6983.4、品名:KC737、三洋化成工業株式会社社製
・石油由来ポリオール2;官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/g、分子量3000、品名:EP505S、三井化学株式会社社製
・石油由来ポリオール3;ポリエーテルポリオール、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/g、分子量3000、品名:GP-3050NS、三洋化成工業株式会社製
・石油由来ポリオール4;官能基数3、水酸基価31mgKOH/g、分子量5429、品名:Y-7530、三井化学SKCポリウレタン株式会社社製
・ジエチレングリコール
<発泡剤>
・水
<アミン触媒>
・アミン触媒1;脂肪族3級アミン組成物、品名:DABCO 33LSI、エボニックジャパン社製
・アミン触媒2;品名:2Mabs、日本乳化剤株式会社製
<整泡剤>
・整泡剤1;シリコーン系、品名:SZ1136、東レ・ダウコーニング株式会社製
・整泡剤2;シリコーン系、品名:L-594Plus、エボニック・ジャパン株式会社製
・整泡剤3;シリコーン系、品名:L3184J、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製
<金属触媒>
・スタナスオクトエート、品名:MRH-110、城北化学工業株式会社製
・ポリイソシアネート1;2,4-TDI/2,6-TDI=80/20のトルエンジイソシアネート、品名:コロネートT-80、東ソ-株式会社製
・ポリイソシアネート2;2,4-TDI/2,6-TDI=65/35のトルエンジイソシアネート、品名:コロネートT-65、東ソ-株式会社製
・ポリイソシアネート3;モノメリックMDI(4,4’-MDIと2,4-MDIの混合物。2,4-MDIの比率が25~50%)
バイオマス度(植物度)は、ASTM D6866-20に基づき、加速器質量分析法(AMS法)によって測定した値と、計算上の値の両方を示す。
ASTM D6866では、1950年の大気中の炭素14濃度の標準物質と資料の炭素14濃度測定を行い、その比をもってバイオマス度とすると規定されている。但し、現在の大気中の炭素14濃度は、年々増加しているため補正のためにこの値に係数をかけると規定されている。ASTM D6866-20に従った算出では、2020年の大気補正係数であるREF(pMC)=100.0を用いてバイオマス度の算出をした。
AMS法による測定値によってバイオマス度を評価した。評価基準は、AMS法による測定値が50%以上の場合「◎」、24~50%未満の場合「〇」、24%未満の場合「×」とした。
計算上の値は、式:バイオマス度=植物ポリオール添加部数/(全添加部数-ガスロス)
ガスロス=水添加部数/18×44により算出した。
上記のガスロス算出式における「18」は水の分子量、「44」は二酸化炭素の分子量である。
吸水率(%)=(各回の洗濯コース後サンプルの重量-洗濯前サンプルの重量)/(洗濯前サンプルの重量)×100
各回の吸水率の値を図3に示す。なお、「洗濯前」は1回目洗濯コースの開始前である。
洗濯後吸水性評価は、次の基準で評価した。スラブ発泡品の比較例1及び実施例1~実施例3については、洗濯後吸水率が160%未満の場合「◎」、160~200%未満の場合「〇」、200%以上の場合「×」とした。モールド発泡品の比較例2及び実施例4については、洗濯後吸水率が95%未満の場合「◎」、95~100%未満の場合「〇」、100%以上の場合「×」とした。
吸水率(%)=(各回の脱水コース後サンプルの重量-洗濯前サンプルの重量)/(洗濯前サンプルの重量)×100
各回の脱水コース終了後の吸水率の値を図3に示す。
洗濯後脱水性評価は、次の基準で評価した。スラブ発泡品の比較例1及び実施例1~実施例3については、脱水後吸水率が120%未満の場合「◎」、120~185%未満の場合「〇」、185%以上の場合「×」とした。モールド発泡品の比較例2及び実施例4については、脱水後吸水率が90%未満の場合「◎」、90~95%未満の場合「〇」、95%以上の場合「×」とした。
24時間乾燥後の吸水率(%)=(24時間放置後のサンプルの重量)/(洗濯前のサンプルの重量)×100
24時間乾燥後の吸水率の値を図3に示す。
洗濯後乾燥性評価は、次の基準で評価した。スラブ発泡品の比較例1及び実施例1~実施例3については、24時間乾燥後吸水率が1%未満の場合「◎」、1~3%未満の場合「〇」、3%以上の場合「×」とした。モールド発泡品の比較例2及び実施例4については、24時間乾燥後吸水率が5%未満の場合「◎」、5~10%未満の場合「〇」、10%以上の場合「×」とした。
・比較例1
比較例1は、ポリオール成分を石油由来ポリオール3の100質量部とし、植物油来ポリオールが0質量部の例である。
比較例1は、AMS法によるバイオマス度が1%、バイオマス度評価「×」、計算上のバイオマス度が0%、洗濯後吸水率248.4%、洗濯後吸水性評価「×」、脱水後吸水率193.3%、洗濯後脱水性評価「×」、24時間乾燥後吸水率3.95%、洗濯後乾燥性評価「×」、洗濯後乾燥性総合評価「×」であった。
実施例1は、ポリオール成分を、植物由来ポリオール1の60質量部、植物油来ポリオール2の20質量部、石油由来ポリオール3の20.45質量部で構成した例である。
実施例1は、AMS法によるバイオマス度が58%、バイオマス度評価「◎」、計算上のバイオマス度が53%、洗濯後吸水率169.9%、洗濯後吸水性評価「〇」、脱水後吸水率137.0%、洗濯後脱水性評価「〇」、24時間乾燥後吸水率0.06%、洗濯後乾燥性評価「◎」であり、洗濯後吸水率、脱水後吸水率及び24時間乾燥後吸水率の何れも比較例1よりも小になり、洗濯後乾燥性総合評価「◎」であった。
実施例2は、実施例1と同じ配合のポリオール組成物から形成されたポリウレタンフォームに対し、除膜処理を行って、セル膜を除去した例である。
実施例2は、ポリオール組成物の配合が同じである実施例1と同様の物性及びバイオマス度を示し、AMS法によるバイオマス度が57%、バイオマス度評価「◎」、計算上のバイオマス度が53%であった。
実施例2は、洗濯後吸水率136.0%、洗濯後吸水性評価「◎」、脱水後吸水率107.2%、洗濯後脱水性評価「◎」、24時間乾燥後吸水率0.06%、洗濯後乾燥性評価「◎」であり、洗濯後吸水率、脱水後吸水率及び24時間乾燥後吸水率の何れも比較例1よりも小になり、洗濯後乾燥性総合評価「◎」であった。なお、ポリウレタンフォームのセル膜が除去されたことにより、洗濯後吸水率、脱水後吸水率について、実施例1よりも小となり乾燥性が良好になった。
実施例3は、ポリオール成分を、植物由来ポリオール1の37質量部、石油由来ポリオール4の63質量部で構成した例である。
実施例3は、AMS法によるバイオマス度が28%、バイオマス度評価「〇」、計算上のバイオマス度が26%、洗濯後吸水率197.1%、洗濯後吸水性評価「〇」、脱水後吸水率184.7%、洗濯後脱水性評価「〇」、24時間乾燥後吸水率1.77%、洗濯後乾燥性評価「〇」であり、洗濯後吸水率、脱水後吸水率及び24時間乾燥後吸水率の何れも比較例1よりも小になり、洗濯後乾燥性総合評価「〇」であった。
・比較例2
比較例2は、ポリオール成分を石油由来ポリオール1の70質量部と石油由来ポリオール2の10質量部及び石油由来ポリオール3の20質量部で構成し、植物油来ポリオールが0質量部の例である。
比較例2は、計算上のバイオマス度が0%、洗濯後吸水率115.6%、洗濯後吸水性評価「×」、脱水後吸水率96.4%、洗濯後脱水性評価「◎」、24時間乾燥後吸水率13.7%、洗濯後乾燥性評価「×」、洗濯後乾燥性総合評価「×」であった。
実施例4は、ポリオール成分を、植物由来ポリオール1の22質量部、植物油来ポリオール2の17質量部、石油由来ポリオール1の51質量部、石油由来ポリオール2の10質量部で構成した例である。
実施例4は、AMS法によるバイオマス度が27%、バイオマス度評価「〇」、計算上のバイオマス度が23%、洗濯後吸水率94.0%、洗濯後吸水性評価「◎」、脱水後吸水率87.5%、洗濯後脱水性評価「◎」、24時間乾燥後吸水率4.1%、洗濯後乾燥性評価「◎」であり、洗濯後吸水率、脱水後吸水率及び24時間乾燥後吸水率の何れも比較例2よりも小になり、洗濯後乾燥性総合評価「◎」であった。
なお、本発明は実施例に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
Claims (2)
- ポリオール成分、ポリイソシアネート、発泡剤を含むポリウレタンフォーム組成物から得られるポリウレタンフォームにおいて、
前記ポリオール成分は、ヒマシ油とセバシン酸との反応物、及び、石油由来のポリオールを含み、
ASTM D6866-20によって測定されるバイオマス度が50%以上であることを特徴とするポリレウレタンフォーム。 - 請求項1に記載のポリウレタンフォームであって、
以下の測定方法で測定された前記ポリウレタンフォームの洗濯後吸水率、脱水後吸水率、24時間乾燥後吸水率は、
前記ポリウレタンフォームがスラブ発泡品の場合、前記洗濯後吸水率が200%未満、前記脱水後吸水率が185%未満、前記24時間乾燥後吸水率が3%未満であり、
前記ポリウレタンフォームがモールド発泡品の場合、前記洗濯後吸水率が100%未満、前記脱水後吸水率が95%未満、前記24時間乾燥後吸水率が10%未満であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
洗濯後吸水率の測定方法は、縦型洗濯機を用い、表1に示す1回目洗濯コース、2回目洗濯コース、3回目洗濯コースを、前記ポリウレタンフォームのサンプルについて順に実施し、各洗濯コース終了毎に前記サンプルの重量を測定して吸水率を算出し、3回目洗濯コース終了後の吸水率の値を前記洗濯後吸水率とした。
洗濯後吸水率(%)=(各回の洗濯コース後サンプルの重量-洗濯前サンプルの重量)/(洗濯前サンプルの重量)×100
脱水後吸水率の測定方法は、3回目洗濯コース終了後に、表1に示す1回目脱水コースと2回目脱水コースを順に行い、各回の脱水コース終了毎に、前記サンプルの重量を測定して吸水率を算出し、2回目脱水コース終了後の吸水率を前記脱水後吸水率とした。
脱水後吸水率(%)=(各回の脱水コース後サンプルの重量-洗濯前サンプルの重量)/(洗濯前サンプルの重量)×100
24時間乾燥後吸水率は、2回目脱水コース終了後の前記サンプルを24時間室温(20~28℃を室温という。)で放置し、その後の前記サンプルの重量から前記24時間乾燥後吸水率を算出した。
24時間乾燥後吸水率(%)=(24時間放置後のサンプルの重量)/(洗濯前のサンプルの重量)×100
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