JP4068880B2 - 生分解性軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、生分解性ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、より詳細には、植物由来天然高分子がウレタン鎖に結合し、微生物分解性を向上させた生分解性軟質ポリウレタンフォームを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生分解性軟質ポリウレタンフォームの多くは植物由来天然高分子をポリオールの成分の一つとして利用しており、例えば、特許第2883271号公報には、糖蜜を、平均分子量が200〜400のポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール(EG)もしくはグリセリン、および平均分子量が600〜3000のPEG、ポリプロピレングリコール(PPG)或いはポリエステルポリオールに溶解させてイソシアネートと反応させことにより、生分解性軟質ポリウレタンフォームを製造する方法が開示されている。
特開平4−106128号公報、特開平7−10985号公報、特開平6−136168号公報には、リグノセルロース物質とポリオールに溶解させて液化しイソシアネートと反応させる方法が提案されている。
特開平2002−37867号公報には、木材工業分野や食品農産品等の加工により発生する残渣をバイオマス物質として利用するため酸触媒下で液状化し、特定のエステル化剤又はエーテル化剤で変性してバイオマス由来ポリオールとする方法が開示されている。
更に、特開平7−82336号公報にはポリオール化合物に多糖類粉末を混合してイソシアネ−トと反応させる方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第2883271号に開示されている方法では、確かに糖蜜成分がウレタン鎖中に結合しているポリウレタンフォームが得られるが、糖蜜成分と併用されるポリオール成分として、低分子量ポリオールと高分子量ポリオールとを使用しており、両者のイソシアネート化合物との反応性が大きく異なるため、反応が不均一となり、この結果、層分離、セルの破泡・不均一化を生じてしまうという問題がある。また、低分子量ポリオールを使用しているため、配合組成によっては、半硬質、硬質フォームしか得られず、自動車シートやOAチェア、家具等のクッション材として利用するには物性面に大きな問題がある。
【0004】
特開平4−106128号公報や特開平2002−37867号公報に開示されている方法では、植物由来天然高分子とポリオールを前段階で反応させてウレタン重合反応に使用するため、植物由来天然高分子とポリオールの液状化反応及びエステル化剤又はエステル化剤との反応工程が必要なことからコスト高、生産性の問題が発生する。
【0005】
さらに、特開平7−82336号公報にはポリオール化合物に多糖類粉末を混合してイソシアネートと反応させる方法では多糖類をウレタン鎖中に完全に化学結合させることができず、多糖類が充填剤としての役割しか果たさないため、生分解性、物性において著しく不満足である。
【0006】
従って、本発明の目的は、植物由来天然高分子が液状、粉体或いは短繊維状の何れであっても確実にウレタン鎖に結合し、優れた生分解性を示すと共に、しかも層分離、セルの破泡・不均一化等を生じることなく、優れた軟質フォーム特性を示す軟質ポリウレタンフォームを製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)デンプン、セルロース、リグニン、木粉、竹粉、ケナフ、コーヒー豆抽出殻、茶殻、糖蜜、ふすま及び米ぬかからなる群より選択された少なくとも1種の植物由来天然高分子、(B)平均分子量が500〜8000の合成高分子ポリオール、(C)0.10〜6.00[L2/g・mol・h]の樹脂化反応速度定数(k1c)と0.01〜10.00[L2/g・mol・h]の泡化反応定数(k2c)とを有する触媒及び(D)水を混合してポリオール組成物を調製し、(E)ポリイソシアネート化合物を、該ポリイソシアネート化合物に含まれるNCO基と前記ポリオール組成物中に含まれるOH基との当量比(NCO/OH)が0.10〜1.20となる量で、前記ポリオール組成物に添加して反応させることを特徴とする生分解性軟質ポリウレタンフォームの製造方法が提供される。
【0008】
本発明においては、ポリオールとイソシアネートとの縮重合反応及び発泡剤である水とイソシアネートとの発泡反応に対して、一定の活性を有する触媒を選択的に使用することが重要な特徴である。即ち、上記成分(C)の触媒は、樹脂化反応速度定数(k1c)及び泡化反応定数(k2c)が、それぞれ一定の範囲にあることから、上記縮重合反応と発泡反応に対して適度な活性を有しており、これにより、植物由来天然高分子(A)中のヒドロキシル基とポリオール成分(B)とイソシアネートとの縮重合反応、並びに水とイソシアネートとの発泡反応が適度な割合で並行して進行し、この結果として、軟質フォームとしての物性低下を生じることなく、植物由来天然高分子(A)のポリウレタン鎖への結合が確実に行われ、優れた生分解性を有する軟質ポリウレタンフォームを得ることが可能となるのである。
尚、本発明において、樹脂化反応速度定数(k1c)とは、
k 1 c(樹脂化)
TDIとDEGをベンゼン溶媒中で反応させ次式により求めた値、
dx/dt=k(a−x)2 (1)
x:反応したNCO基の濃度(mol/l)
a:NCO基の初期濃度 (mol/l)
k:反応速度定数 (l/mol・h)
t:反応時間(h)
t=0、X=0のとき(1)式を積分すると、
1/(a−x)=kt+1/a (2)
(2)式よりkを求め、(3)式に代入してKcを求める。
k=ko+KcC (3)
ko:無触媒の反応速度定数(l/mol・h)
Kc:触媒定数(l2/g・mol・h)
C:反応系の触媒濃度(mol/l)
Kcを触媒の分子量で除して重量当りの活性能とみなしうる
k1c(l2/g・mol・h)を求める。
Kc/mc=k1c
によって算出されるパラメータであり、泡化反応定数(k2c)とは、TDIと水をベンゼン溶媒中で反応させて求めた値であり、算出方法はk1cと同じ。
によって算出されるパラメータである。
【0009】
本発明では、
(1)植物由来天然高分子(A)と合成高分子ポリオール(B)とをA:B=0.5:100乃至200:100の重量比で使用すること、
(2)合成高分子ポリオール(B)として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピル化グリセリン、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート及びポリエチレンブチレンアジペートからなる群より選択された少なくとも1種を使用すること、
が好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(A)植物由来天然高分子:
本発明において用いる植物由来天然高分子は、分子中にヒドロキシル基を有しており、イソシアネートと反応性を有している。即ち、このような高分子をポリウレタン鎖中に導入することにより、得られるポリウレタンフォームは微生物により容易に分解可能となり、優れた生分解性を示すものとなる。
かかる植物由来天然高分子の形態は特に制限されず、例えば液状、粉体或いは短繊維状の何れであってもよい。また、イソシアネートとの反応性を有している限り、任意のものを使用することができるが、一般的には、入手の容易さ、コストの点から、デンプン、セルロース、リグニン、木粉、竹粉、ケナフ、コーヒー豆抽出殻、茶殻、糖蜜、ふすま等を用いることができる。これらの植物由来天然高分子は、1種単独でも、2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0011】
(B)合成高分子ポリオール:
本発明において、合成高分子ポリオールとしては、平均分子量が500〜8000の範囲にあるもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピル化グリセリンなどが使用される。また、少なくとも分子鎖両端にヒドロキシル基を有するポリエステル、例えば、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジペートなども使用することができる。これらの合成高分子は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用することもでき、後述するイソシアネート化合物との縮重合反応によりポリウレタンを形成する。本発明において、平均分子量が上記範囲外の合成高分子ポリオールを使用した場合には、得られる軟質ポリウレタンフォームの物性低下を生じてしまう。
【0012】
上述した植物由来天然高分子(A)と合成高分子ポリオール(B)とは、A:B=0.5:100乃至200:100、特に1:100乃至100:100の重量比で使用することが好ましい。即ち、植物由来天然高分子(A)の使用量が上記範囲よりも少量であると、所望の生分解性が得られないおそれがあり、一方、上記範囲よりも多量に使用されると、軟質ポリウレタンフォームの物性低下を生じるおそれがある。
【0013】
(C)触媒:
ポリウレタンフォームを製造する際に使用される触媒としては、アミン系、スズ系等、種々のものが知られているが、本発明においては、(C)成分の触媒として、樹脂化反応速度定数(k1c)が0.10〜6.00[L2/g・mol・h]、特に0.70〜4.00[L2/g・mol・h]の範囲にあり、かつ泡化反応定数(k2c)が0.01〜10.00[L2/g・mol・h]、特に0.05〜8.40[L2/g・mol・h]の範囲にあるものを選択し、このような触媒を1種類または2種類以上併用して使用する。
【0014】
即ち、樹脂化反応速度定数(k1c)が上記範囲よりも低い触媒を使用すると、OH基とイソシアネート中のNCO基との反応に対する活性が弱いため、植物由来天然高分子が反応せず、結局、植物由来天然高分子をポリウレタン鎖中に導入することができず、生分解性を得ることができない。また、樹脂化反応速度定数(k1c)が上記範囲よりも高い触媒を使用すると、植物由来天然高分子よりも反応性の高い合成高分子ポリオールが優先的にポリイソシアネート化合物と反応してしまい、この場合にも、植物由来天然高分子が反応せず、やはり生分解性を得ることができない。
【0015】
更に、泡化反応定数(k2c)が上記範囲よりも高い触媒を使用すると、発泡剤である水とイソシアネートとの反応が優先して生じてしまい、OH基とNCO基とにより縮重合反応が十分に進行せず、軟質フォームとしての物性低下を招いてしまう。また、泡化反応定数(k2c)が上記範囲よりも低い触媒を使用すると、発泡が十分に行われず、やはり軟質フォームとしての物性低下を招いてしまう。
【0016】
上述した範囲の樹脂化反応速度定数(k1c)及び泡化反応定数(k2c)を有する触媒としては、これに限定されるものではないが、その一例を挙げると、以下の通りである。
尚、トリエチレンジアミン(TEDA)についてのk1c及びk2cは、TEDAをジプロピレングリコール(DPG)で希釈した33%液についての測定値であり、ピス−2−ジメチルアミノエチルエーテルについては、これをDPGで希釈した70%液についての測定値である。
【0017】
本発明において、上記の触媒(C)は、その種類によっても異なるが、一般に、前記(A)の植物由来天然高分子、(B)の合成高分子ポリオール及び後述する(E)のポリイソシアネート化合物の合計量100重量部当り、0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部の量で使用される。
【0018】
(D)水:
成分(D)の水は、発泡剤であり、かかる水と後述するポリイソシアネート化合物(E)中のNCO基との反応により、縮重合反応と共に発泡を生じ、軟質のポリウレタンフォームが得られる。
かかる水は、通常、後述するポリイソシアネート化合物(E)100重量部当り、0.1〜50重量部、特に0.5〜30重量部の量で使用するのがよい。水の使用量が上記範囲よりも多いと、縮重合反応よりも発泡反応が優先してしまい、この結果、植物由来天然高分子のポリウレタン鎖への導入が不十分となり、生分解性が損なわれるばかりか、軟質ウレタンフォームとしての物性も低下するおそれがある。また、水の使用量が上記範囲よりも少ないと、発泡が十分に行われず、軟質ウレタンフォームとしての物性が低下する傾向がある。
【0019】
(E)ポリイソシアネート化合物:
ポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタン、特に軟質ウレタンフォームの製造に使用されている従来公知のポリイソシアネート化合物を使用することができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族系ポリイソシアネート等を、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0020】
本発明において、かかるポリイソシアネート化合物は、該化合物に含まれるNCO基と、前記(A)の植物由来天然高分子及び(B)の合成高分子ポリオールに含まれるOH基との当量比(NCO/OH)が、0.10〜1.20、特に、0.35〜0.95の範囲となるような量で使用する。OH基を残すことにより生分解基点が増え、生分解性が向上する。この当量比が上記範囲よりも低いと、ポリウレタンフォームとして固まらず、一方、上記範囲よりも高いと、得られる軟質ポリウレタンフォームの生分解性が低下し、またフォーム物性も低下する。NCO/OHが0.1〜1.2の範囲内でも上記触媒を使用しないと、(A)がポリウレタン鎖へ化学結合しない。(ON基が残るため赤外吸収で検出される。)
【0021】
軟質ポリウレタンフォームの製造:
上述した(A)〜(E)成分を用いての軟質ポリウレタンフォームの製造は、以下のようにして行われる。
即ち、(A)の植物由来天然高分子と、(B)の合成高分子ポリオールと、(C)の触媒及び(D)の発泡剤である水とを、前述した所定の量割合で混合し、各成分が溶解乃至分散した液からなるポリオール組成物を調製する。この場合、(A)の植物由来天然高分子の中には、比較的多量の水分を含有しているものがある。従って、このような植物由来天然高分子を用いる場合には、予め、乾燥等を行って、水分量が所定の範囲内となるようにしておくのがよい。
また、上記のポリオール組成物中には、軟質ポリウレタンフォーム中に配合される種々の添加剤、例えばシリコーン油などの整泡剤を配合しておくことができる。
上記のようにして得られたポリオール組成物に、(E)のポリイソシアネート化合物を加え、例えば40〜120℃の温度に加熱して、縮重合及び発泡を行うことにより、目的とする軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0022】
かくして得られた軟質ポリウレタンフォームは、植物由来天然高分子がウレタン鎖中に確実に導入されており、優れた生分解性を示すと共に、発泡不良等を生じることもなく、軟質フォームとして優れた物性を示し、種々の用途、例えば自動車シートやOAチェア、家具等のクッション材として有効に使用することができる。
【0023】
【実施例】
本発明を次の例で説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、製造された軟質ポリウレタンフォームの物性等は、以下の方法で測定した。
OH基の有無;
赤外分光法により、3300〜3600cm−1付近のOH赤外吸収ピークの有無により確認した。
植物由来天然高分子のウレタン鎖への化学結合性;
ウレタン鎮への化学結合性評価方法
過剰のn−ブチルアミン溶液に粉砕したウレタンフォームを分散させ、残存NCO基をn−ブチルアミンと反応させ完全に消費する。0.2N-HCLアルコール溶液を用いて逆滴定し、ブランク溶液に消費されるHCL量との差から−NCOが反応せず残存しているかを判断した。
生分解度(%);
JIS K 6950に準拠して、閉鎖呼吸計を用いる酸素消費量の測定により生分解度を算出した。
圧縮残留歪(%);
70℃×22時間、50%圧縮の条件で測定した。
反発弾性率(%);
JIS K 6400に準拠して測定した。
綜合評価;
生分解度と化学結合性及び物性値から総合的に4段階で評価した。
(◎、○、×、××)
【0024】
[実施例1]
木粉 10重量部、
ポリエチレングリコール(PEG、分子量3000) 70重量部
シリコーン整泡剤 1重量部、
トリエチレンジアミン(TEDA) 0.40重量部
アミン系触媒
k1c=3.63、k2c=0.48
ビスジメチルアミノエチルエーテル 0.10重量部
アミン系触媒
k1c=2.09、k2c=8.19
水 3重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=0.75となるように、
トリレンジイソシアネート(TDI)/ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)=80/20(重量比)
を33.1重量部を加え、50℃で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、諸物性等を、前述した方法により測定し、その結果を表1に示した。
【0025】
[実施例2]
NCO/OH当量比=1.05とする以外は実施例1と同様にして軟質ウレタンフォームを作製し、同様に諸物性等を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
[実施例3]
ケナフ 20重量部、
ポリプロピレングリコール(PPG,分子量2000)70重量部、
3官能ポリカプロラクトン(PCL、分子量500) 10重量部
シリコーン整泡剤 1重量部、
トリエチレンジアミン(TEDA) 0.36重量部
アミン系触媒
k1c=3.63、k2c=0.48
N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン 0.20重量部
k1c=0.93、k2c=0.08
水 2.5重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=0.72となるように、
TDI/MDI=80/20(重量比)
を40.0重量部を加え、50℃で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0027】
[実施例4]
セルロース 20重量部、
ポリプロピル化グリセリン(GP、分子量3000) 60重量部
2官能ポリカプロラクトン(分子量2000) 20重量部
シリコーン整泡剤 1.5重量部
N−2−ジメチルアミノエチル−N−メチルピペラジン 0.30重量部
k1c=1.71、k2c=0.78
ビスジメチルアミノエチルエーテル酸プロック触媒 0.18重量部
k1c=1.59、k2c=6.21
水 3重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=0.67となるように、TDIを35.5重量部を加え、40℃で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0028】
[実施例5]
でんぷん 30重量部
2官能ポリカプロラクトン(PCL,分子量2000) 60重量部
3官能ポリカプロラクトン(PCL,分子量500) 10重量部
シリコーン整泡剤 1.0重量部
TEDA 0.45重量部
k1c=3.63、k2c=0.48
N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン 0.15重量部
k1c=0.93、k2c=0.08
水 2.5重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=0.50となるように、
TDI/MDI=80/20(重量比)
を31.8重量部を加えて常温で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0029】
[実施例6]
NCO/OH当量比=1.20とする以外は実施例5と同様にして軟質ウレタンフォームを作製し、且つ実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0030】
[比較例1]
ポリプロピル化グリセリン(GP,分子量3000) 80重量部
PPG(分子量2000) 20重量部
シリコーン整泡剤 1重量部
TEDA 0.35重量部
k1c=3.63、k2c=0.48
水 4重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=1.05となるように、
TDI/MDI=80/20(重量比)
を31.8重量部を加えて常温で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0031】
[比較例2]
木粉 10重量部
PEG(分子量3000) 70重量部
シリコーン整泡剤 1重量部
TEDA 0.40重量部
k1c=3.63、k2c=0.48
ビスジメチルアミノエチルエーテル 0.10重量部
k1c=2.09、k2c=8.19
水 3重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=1.30となるように、
TDI/MDI=80/20(重量比)
を57.3重量部を加え、50℃で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0032】
[比較例3]
触媒にスズ系触媒であるジブチルスズラウレート(k1c=14.4、k2c=0.48)0.25重量部を使用した以外は、比較例2と同様にして軟質ウレタンフォームを作製して諸物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0033】
[比較例4]
ケナフ 20重量部
PPG(分子量2000) 70重量部
3官能PCL(分子量500) 10重量部
シリコーン整泡剤 1重量部
TEDA 0.36重量部
k1c=3.63、k2c=0.48
N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン 0.20重量部
k1c=0.93、k2c=0.08
水 2.5重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=1.50となるように、
TDI/MDI=80/20(重量比)
を83.3重量部を加え、50℃で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0034】
[比較例5]
セルロース 20重量部
GP(分子量3000) 60重量部
2官能PCL(分子量2000) 20重量部
シリコーン整泡剤 1.5重量部
N−2−ジメチルアミノエチル−N−メチルピペラジン 0.30重量部
k1c=1.71、k2c=0.78
ビスジメチルアミノエチルエーテル酸プロック触媒 0.18重量部
k1c=1.59、k2c=6.21
水 3重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=1.40となるように、74.2重量部のTDIを加え、40℃で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0035】
[比較例6]
でんぷん 30重量部
2官能PCL(分子量2000) 60重量部
3官能PCL(分子量500) 10重量部
シリコーン整泡剤 1.0重量部
TEDA 0.45重量部
k1c=3.63、k2c=0.48
N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン 0.15重量部
k1c=0.93、k2c=0.08
水 2.5重量部
を混合し、撹拌してポリオール溶液を調製した。
この溶液に、NCO/OH当量比=1.50となるように、
TDI/MDI=80/20(重量比)
を95.3重量部を加え、常温で反応させ軟質ウレタンフォームを作製した。
得られた軟質ウレタンフォームについて、実施例1と同様に諸物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0036】
[比較例7]
触媒にスズ系触媒であるジブチルスズジラウレート(k1c=14.4、k2c=0.48)0.20重量部を使用し、50℃で反応を行った以外は比較例6と同様にして軟質ウレタンフォームを作製して諸物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明は適切な樹脂化反応速度定数(k1c)かつ泡化反応定数(k2c)を持つ触媒を使用することにより植物由来天然高分子をポリウレタン鎖中に化学結合させることができ、またNCO/OH当量比を変えることにより、自然環境下でも速やかに微生物分解が可能な生分解性に優れた軟質ポリウレタンフォームを得ることができた。
Claims (3)
- (A)デンプン、セルロース、リグニン、木粉、竹粉、ケナフ、コーヒー豆抽出殻、茶殻、糖蜜、ふすま及び米ぬかからなる群より選択された少なくとも1種の植物由来天然高分子、(B)平均分子量が500〜8000の合成高分子ポリオール、(C)0.10〜6.00[L2/g・mol・h]の樹脂化反応速度定数(k1c)と0.01〜10.00[L2/g・mol・h]の泡化反応定数(k2c)とを有する触媒及び(D)水を混合してポリオール組成物を調製し、(E)ポリイソシアネート化合物を、該ポリイソシアネート化合物に含まれるNCO基と前記ポリオール組成物中に含まれるOH基との当量比(NCO/OH)が0.10〜1.20となる量で、前記ポリオール組成物に添加して反応させることを特徴とする生分解性軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 前記植物由来天然高分子(A)と合成高分子ポリオール(B)とを、A:B=0.5:100乃至200:100の重量比で使用する請求項1に記載の製造方法。
- 前記合成高分子ポリオール(B)として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピル化グリセリン、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート及びポリエチレンブチレンアジペートからなる群より選択された少なくとも1種を使用する請求項1に記載の製造方法。
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