JP7320100B2 - 光学ガラスおよび光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学ガラスおよび光学素子、ならびに、撮像レンズに関する。
写真撮影用レンズでは色収差補正のため、アッベ数νdが24付近の高分散ガラス製の単レンズと低分散ガラス製の単レンズとが組合されている。
特許文献1の実施例1には、物体側から像側に向かって3番目の位置に、アッベ数νdが23.78、屈折率ndが1.84666のガラスからなり、中心肉厚が3.5mmの凸メニスカスレンズを搭載したズームレンズが開示されている。
特許文献2の数値実施例2には、像側から物体側に向かって4番目の位置に、アッベ数νdが23.78、屈折率ndが1.84666のガラスからなり、中心肉厚が1.0mmの凹メニスカスレンズを搭載したインナーフォーカス式望遠レンズが開示されている。
特許文献3の第1実施例には、物体側から像側に向かって7番目と11番目の位置に、アッベ数νdが23.8、屈折率ndが1.84666のガラスからなり、中心肉厚が5.5mmの凸メニスカスレンズと、中心肉厚が2.94mmの凹メニスカスレンズを搭載したズーム望遠レンズが開示されている。
特許文献4の数値実施例2には、物体側から像側に向かって8番目の位置、倍率変換光学系挿入状態における最も像側に位置などに、アッベ数νdが23.9、屈折率ndが1.84666のガラスからなり、中心肉厚が1.90~3.79mmのレンズを搭載したズーム望遠レンズが開示されている。
このような撮像光学系をより高機能化したり、コンパクト化する上で、高分散レンズのアッベ数をさらに小さくしたり、屈折率を高めることが有効である。
なお、特許文献1~4に記載されている高分散レンズを構成するガラスよりも、さらに分散が高い光学ガラスが特許文献5に記載されている。
特開2013-044964号公報 特開2013-161076号公報 特開2013-174758号公報 特開2013-238827号公報 特開2005-206433号公報
特許文献5に開示されている高分散ガラスは、分散を高めるためにガラス成分として、Ti、Nb、Bi、Wを含有している。アッベ数νdが23未満になるように特性を調整するには、Ti、Nb、Bi、Wの合計含有量を増加させる必要がある。
Ti、Nb、Bi、Wは、ガラスを熔融する過程で還元されやすい。これら成分が還元されると可視域に吸収を有するようになる。そのため、Ti、Nb、Bi、Wの合計含有
量が多いガラスでは、可視域の透過率、特に青色に相当する波長域の透過率が低下するという問題がおこる。
ところで、特許文献1~4に開示されているような写真撮影用レンズの色特性は、ISO色特性指数(ISO/CCI)「JIS 光学 ISO色特性指数(ISO/CCI)による写真撮影用レンズの色特性の表し方 B7097-1986」(以下、CCI規格という)によって推奨される範囲が定められている。
具体的には、CCI規格で定められている三角座標0/0/0、1/1/0、1/3/0、0/9/6、0/9/9、0/7/9、0/0/2、0/0/0の各点を順に結んでできる六角形の辺上およびその内部、すなわち、図1の破線で示されている六角形の辺上およびその内部にある色特性指数が、写真撮影用レンズの色特性として推奨されている。
特許文献1~4に記載されている高分散レンズの中心肉厚は1~5mm程度であるため、高分散レンズの肉厚は概ね5mm以下と考えることができる。
特許文献5に実施例3として記載されているアッベ数νdが17.9のガラスについて、厚さ5mmにおける色特性指数を算出すると、ISO/CCI(B)が0、ISO/CCI(G)が11.6、ISO/CCI(R)が12.1となる。
この色特性指数は、単レンズ1枚で既にCCI規格で定められている推奨許容範囲の範囲外になっており、写真撮影用レンズを構成する単レンズの材料としては好ましいとはいえない。
因みに、特許文献1~4に記載の撮像レンズに搭載されている高分散レンズの材料であるアッベ数νdが23.78、屈折率ndが1.84666のガラスは、HOYA製硝材FDS90と同等の光学特性を有している。HOYA製硝材FDS90について、実際に使用されているレンズの中心肉厚よりも厚い、厚さ10mmにおける色特性指数を計算すると、ISO/CCI(B)が0、ISO/CCI(G)が2、ISO/CCI(R)が2となり、CCI規格の推奨許容範囲の中に入っている。
このように、レンズ材料である光学ガラスのアッベ数νdを23未満にすると、緑色および赤色に関する色特性指数が急激に増加するため、高分散ガラス製レンズをより高分散化させつつ、CCI規格の推奨許容範囲内に収まる撮像用レンズを提供することは容易でなかった。
本発明は、アッベ数νdが23未満であって、写真撮影用レンズを構成する単レンズ用材料として好適な光学ガラスおよび上記光学ガラスからなる光学素子、上記光学ガラスからなるレンズを備える撮像レンズを提供することを目的とする。
色特性指数とは、CCI規格において、あるレンズを使用して撮影したカラー写真の色が、そのレンズを使用したことによって、撮影系にレンズがないときのカラー写真の色に比べてどの程度変化するかを予測するための指数であり、青、緑、赤の3色によって決められる3個一組の数値で示されると定められている。
波長λにおいて、写真撮影用レンズを構成する全レンズの分光透過率を総合した相対分光透過率をτ(λ)とする。
写真昼光に対してカラーフィルムを構成している主として青の光を感じる感光層(青感
層)、主として緑の光を感じる感光層(緑感層)および主として赤の光を感じる感光層(赤感層)の写真レスポンスが、ISO色特性指数(ISO/CCI)の計算においてそれぞれ等しくなるように定めた青感層、緑感層および赤感層の分光感度を重み付き分光感度と呼び、青感層についてはWB(λ)、緑感層についてはWG(λ)、赤感層についてはWR(λ)と表記される。
次にRB、RG、RRを下記(1)~(3)式のように定義する。
B=Σ(WB(λ)×τ(λ)) ・・・(1)
G=Σ(WG(λ)×τ(λ)) ・・・(2)
R=Σ(WR(λ)×τ(λ)) ・・・(3)
ここで、WB(λ)×τ(λ)は、370nmから10nm刻みで510nmまでの波長域にある波長λについて、青感層の重み付き分光感度と相対分光透過率とを乗じた値を意味する。Σ(WB(λ)×τ(λ))は、370nmから10nm刻みで510nmまでの波長域の各λについて求めたWB(λ)×τ(λ)の合計を意味する。
G(λ)×τ(λ)は、470nmから10nm刻みで600nmまでの波長域にある波長λについて、緑感層の重み付き分光感度と相対分光透過率とを乗じた値を意味する。Σ(WG(λ)×τ(λ))は、470nmから10nm刻みで600nmまでの波長域の各λについて求めたWG(λ)×τ(λ)の合計を意味する。
R(λ)×τ(λ)は、550nmから10nm刻みで680nmまでの波長域にある波長λについて、赤感層の重み付き分光感度と相対分光透過率とを乗じた値を意味する。Σ(WR(λ)×τ(λ))は、550nmから10nm刻みで680nmまでの波長域の各λについて求めたWR(λ)×τ(λ)の合計を意味する。
Bの常用対数log10B、RGの常用対数log10G、RRの常用対数log10Rの最小値を(log10iminとする。
青についての色特性指数ISO/CCI(B)、緑についての色特性指数ISO/CCI(G)、赤についての色特性指数ISO/CCI(R)は、それぞれ下記(4)~(6)式により表される。
ISO/CCI(B)=[log10B-(log10imin]×100 ・・・(4)
ISO/CCI(G)=[log10G-(log10imin]×100 ・・・(5)
ISO/CCI(R)=[log10R-(log10imin]×100 ・・・(6)
以下、写真撮影用レンズと、写真撮影用レンズを構成する単レンズとを明瞭に区分するために、撮影用レンズを撮像光学系と呼び、単レンズをレンズと呼ぶことにする。
撮像光学系としては、一眼レフカメラのボディーに取り付ける交換レンズ、ミラーレス一眼レフカメラのボディーに取り付ける交換レンズ、ビデオカメラの撮像光学系などを例示することができる。撮像光学系を保持する鏡筒と、鏡筒に撮像光学系を組み込んだものを撮像レンズという。
撮像光学系を構成する光学素子に使用される光学ガラスは、紫外域から可視域にかけての吸収端より長波長側(可視域)においては、ほとんど吸収が認められない。すなわち、緑色および赤色における透過率は、青色における透過率よりも高い。
したがって、(log10imin=log10Bとなり、(4)式からISO/CCI(B)は0となる。
青色における透過率が高いほど、log10B、すなわち、(log10iminが大きな値となる。その結果、ISO/CCI(G)、ISO/CCI(R)がともに小さな値となり、撮像光学系の色特性指数をCCI規格で定められた推奨許容範囲内に入れやすくなる。
撮像光学系を構成するレンズの中で、青色における透過率が最も低いレンズは上記高分散レンズであり、従来、他のレンズの透過率と比べると、高分散レンズの青色における透過率は一段と低かった。そのため、撮像光学系のISO/CCIを決める要因としては、高分散レンズを構成するガラスの青色における透過率が支配的になる。
高分散レンズの中心肉厚は概ね5mm以下であるが、ISO/CCIを評価するにあたり、本実施形態において、レンズの最大中心肉厚の2倍の厚さである厚さ10mmの平板で高分散ガラスのISO/CCIを評価する。
厚さ10mmで高分散ガラスのISO/CCIがCCI規格の推奨許容範囲内に入っていれば、実際にレンズとして使用する場合、その厚みは10mmの半分程度または半分以下になり、肉厚が薄い分、高い透過率が得られる。実際に使用するレンズの肉厚よりも厚いガラスについて、ISO/CCIが推奨許容範囲内に入っていれば、高分散レンズ以外のレンズによる影響を考慮しても、撮像光学系全体のISO/CCIは推奨許容範囲内に十分入ると考えられる。
そのため、アッベ数νdが23未満の光学ガラスのISO/CCIを、厚さ10mmのガラスについて評価する。
因みに、光学ガラスの透過率を評価する場合も、厚さ10mmにおける分光透過率により評価することが多く、ガラスのISO/CCIを厚さ10mmで評価することは評価技術の面からも好都合である。
CCIの規格における推奨許容範囲のISO/CCI(G)、ISO/CCI(R)の最大値はともに9である。前述のように、ISO/CCI(B)は0である。
したがって、アッベ数νdが23未満の光学ガラスであり、厚さ10mmにおいて、ISO/CCI(B)が0、ISO/CCI(G)が9以下、ISO/CCI(R)が9以下であれば、撮像光学系を構成する光学素子用の高分散材料として好適なガラス材料を提供することができる。
本発明は、このような知見からなされたものである。
すなわち、本発明の第1の実施形態は、アッベ数νdが23未満であり、厚さ10mmの平板に換算したときのISO色特性指数ISO/CCIが、青色(B)については0、緑色(G)については9以下、赤色(R)については9以下である光学ガラスである。
本発明の第2の実施形態は、上記第1の実施形態の光学ガラスからなる光学素子である。
本発明の第3の実施形態は、鏡筒と、上記鏡筒に配置された複数の単レンズを備える撮像レンズにおいて、上記複数の単レンズの少なくとも一つが上記光学ガラスからなる単レンズである撮像レンズである。
本発明によれば、アッベ数νdが23未満であって、写真撮影用レンズを構成する単レンズ用材料として好適な光学ガラスおよび上記光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。また、本発明によれば、上記光学ガラスからなるレンズを備える撮像レンズを提供することができる。
三角座標を用いてCCI規格で定められている推奨許容範囲を示した図である。 実施例4に係る撮像レンズの第1レンズ群の光軸を含む断面図である。 実施例5に係る撮像レンズの第1レンズ群の光軸を含む断面図である。
第1の実施形態は、アッベ数νdが23未満であり、厚さ10mmの平板に換算したときのISO色特性指数ISO/CCIが、青色(B)については0、緑色(G)については9以下、赤色(R)については9以下である光学ガラスである。
ISO色特性指数ISO/CCIの評価を次の方法により行う。
互いに平行な2つの光学研磨面を有する平板を用意する。2つの光学研磨面の間隔、すなわち、平板の厚さを10mmとする。
ガラス平板の一方の光学研磨面に、当該光学研磨面に対して垂直に、所定波長の測定光を入射させ、ガラス平板を透過した透過光の強度Ioutを測定する。
ガラス平板に入射する前の測定光の強度Iinを測定し、強度Ioutを強度Iinで割った値を外部透過率とする。
分光光度計を用いて、350nm~680nmの波長域においてガラス平板の外部透過率を求める。こうして求めた透過率が分光透過率であり、相対分光透過率は、上記波長域における最高透過率が1となるように各波長における透過率に一定の係数を乗じた値である。なお、相対分光透過率は、青色、緑色、赤色の各波長域毎に算出する。
ISO/CCIの計算には、上記のように波長350nmから10nm刻みに680nmまでの相対分光透過率τ(λ)を用いる。τ(λ)が得られたら、CCI規格に基づき、ISO/CCIを算出すればよい。
相対分光透過率τ(λ)の測定に使用するガラス平板の厚さは、必ずしも10mmでなくてもよい。光学ガラスは均質であることから、厚さの異なる2枚のガラス平板を用いて相対分光透過率を測定し、ガラスの各波長における吸光度を求め、厚さ10mmに換算した相対分光透過率を計算し、得られた値に基づきISO/CCIを算出することができる。
こうした異なる厚さにおける相対分光透過率から、厚さ10mmに換算した相対分光透過率を計算する方法は周知である。同様に任意の厚さにおける分光透過率、相対分光透過
率も算出することができる。
なお、測定光が入出射する面は、測定光の散乱損失を無視できる程度に平滑であれば光学研磨面としなくてもよい。また、測定光が入出射する面は、測定光が透過する範囲で入出射面の間隔が一定とみなせれば、必ずしも平面でなくてもよい。
アッベ数νdが23未満のガラスからなるレンズを用いて、CCI規格の推奨許容範囲内の撮像光学系を作製する上で、緑色のISO色特性指数ISO/CCI(G)と赤色のISO色特性指数ISO/CCI(R)がさらに小さい方が、光学設計の自由度を拡大することができる。そのため、厚さ10mmの平板に換算したときのISO色特性指数ISO/CCIが、Gについては8.8以下であることが好ましく、8.5以下であることがより好ましい。
厚さ10mmの平板に換算したときのISO色特性指数ISO/CCIが、Rについては8.8以下であることが好ましく、8.5以下であることがより好ましい。
厚さ10mmの平板に換算したときの青色(B)についてのISO色特性指数ISO/CCIは0となる。
アッベ数νdが20未満のガラスについては、厚さ10mmの平板に換算したときの緑色(G)および赤色(R)についてのISO色特性指数ISO/CCIの好ましい範囲は、上記のとおりである。
一方、アッベ数νdが20以上23未満のガラスは、アッベ数νdが20未満のガラスよりもTi、Nb、Bi、Wの合計含有量が少ないため、カラーバランスがHOYA製硝材FDS90のカラーバランスに比較的近い。そのため、アッベ数νdが20以上23未満のガラスでは、厚さ10mmの平板に換算したときのISO色特性指数ISO/CCIが、緑色(G)については、7以下であることがさらに好ましく、6以下であることが一層好ましく、赤色(R)については、7以下であることがさらに好ましく、6以下であることが一層好ましい。
アッベ数νdが23未満のガラスにおいて、緑色(G)、赤色(R)のISO色特性指数ISO/CCIが大きくなることが問題であった。そのため、緑色(G)、赤色(R)のISO色特性指数ISO/CCIが小さくなり過ぎることはない。敢えて、厚さ10mmの平板に換算したときの緑色(G)、赤色(R)のISO色特性指数ISO/CCIの下限をいえば、それぞれ2を目安に考えればよい。
アッべ数νdが23未満のガラスとしては、ガラス成分としてTi、Nb、BiおよびWのうち少なくとも一種以上を含むガラスが好ましい。アッべ数νdが23未満のガラスを得る上から、酸化物換算で、TiO2、Nb25、Bi23およびWO3の合計含有量(以下、HRと記す)が35モル%以上であることが好ましい。好ましくは、HRの下限は37モル%、より好ましくは38モル%、さらに好ましくは38.5モル%、一層好ましくは39モル%、より一層好ましくは40モル%、さらに一層好ましくは43モル%、なお一層好ましくは50モル%である。また、HRの上限は、好ましくは85モル%、より好ましくは80モル%、さらに好ましくは75モル%、一層好ましくは60モル%、より一層好ましくは55モル%である。
ガラス成分としてTi、Nb、BiおよびWのうち少なくとも一種以上を含むガラスにおいて、青色における透過率を高める上から、上記ガラスがリン酸塩光学ガラスであることが好ましい。
リン酸塩光学ガラスは、ガラス成分としてP25を含有し、モル%表示において、P25の含有量がSiO2の含有量よりも大きくかつB23の含有量よりも多い光学ガラスである。例えば、上記ガラスであって、P25の含有量が5モル%以上の光学ガラスが含まれる。リン酸塩光学ガラスとして好ましいガラスは、モル%表示において、P25の含有量がSiO2とB23の合計含有量よりも多いガラスである。
前述のように、特許文献5に記載されているような従来の高分散ガラスでは、ガラスの熔融過程でこれらのTi、Nb、Bi、Wなどの高屈折率高分散成分が還元され、可視光域の短波長側の光を吸収するため、得られた光学ガラスにおいて着色(以下、還元色ということがある。)が増加する、すなわち、青色における透過率が低下する。
還元色を呈したガラスを酸化性雰囲気下で熱処理することで、ガラスの着色を低減できる。このような現象は、還元状態のTi、Nb、W、Biが酸化され、短波長側の可視光吸収が弱まることによると考えられる。
しかし、従来のガラスを酸化性雰囲気下で熱処理しても、ガラス中のTi、Nb、W、Biを酸化する速度が遅く、還元色の低減効果は小幅なものに留まっていた。短時間で還元色を低減するには、熱処理時のTi、Nb、W、Bi等の酸化速度を速くすればよい。
これら成分の酸化速度を上げるためには、熱処理時に、ガラス中を速やかに移動でき、電荷を受け渡すことでTi、Nb、W、Bi等を酸化できるイオンの存在が重要である。このようなイオンとしてはH+が適していると考えられる。
+をより移動しやすくするためには、ガラス構造中にOH-を導入し、OH-を起点にH+がホッピングできるようにすることが有効である。これにより熱処理時の酸化速度を増加させることができると考えられる。このような現象は、リン酸塩系のガラスにおいて特に顕著である。つまり、リン酸塩光学ガラス中にできるだけ多くのH+とOH-とを導入する(すなわち、光学ガラスの含水量をできるだけ大きくする)ことで、光学ガラスを熱処理した際に、その還元色を劇的に低減でき、青色における透過率を大幅に増加することができる。
本実施形態の光学ガラスを得るには、アッべ数νdが23未満になるように、各ガラス成分の含有量を調整し、厚さ10mmの平板に換算したときのISO色特性指数ISO/CCIが、青色(B)については0、緑色(G)については9以下、赤色(R)については9以下となるように、ガラスの熔融過程において含水量を高める操作を行い、熔融して得たガラス融液、すなわち、熔融ガラスを冷却、ガラス化してガラスを得、このガラスを酸化性雰囲気中で熱処理すればよい。
ガラスのβOH
上記ガラスの含水量は、下記(7)式で定義されるβOHと対応付けることができる。
βOH=-[ln(B/A)]/t ・・・(7)
ここで、上記式(7)中、tは外部透過率の測定に用いる上記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、上記式(7)中、lnは自然対数である。βOHの単位はmm-1である。
なお、外部透過率とは、前述のように、ガラスに入射する入射光の強度Iinに対するガラスを透過した透過光の強度Ioutの比(Iout/Iin)、すなわち、ガラスの表面における表面反射も考慮した透過率である。これに対し、後述する内部透過率とは、ガラスの表面における表面反射がない場合の透過率(すなわちガラスを構成するガラス材料自体の透過率)である。それぞれの透過率は、分光光度計を用いて、透過スペクトルを測定することにより得られる。
上記式(7)で表されるβOHは、水酸基に起因する吸光度を意味する。そのため、βOHを評価することにより、ガラス中に含まれる水(および/または水酸化物イオン、以下、単に「水」という。)の濃度を評価できる。すなわち、βOHが高いガラスは、ガラス中に含まれる水の濃度、すなわち、含水量が高いことを意味している。
したがって、βOHが高いガラスでは、ガラス中に水に由来するH+が多く存在するといる。そのため、熱処理によって、H+がガラス中を速やかに移動して、電荷を受け渡し、Ti、Nb、W、Bi等の各イオンを効率的に酸化できる。これにより、短時間の熱処理で劇的に着色を低減でき、熱処理後のガラスは、高分散ガラスとしては、青色における透過率が高く、緑色および赤色における色特性指数を低下させることができる。
さらに、本実施形態に係る光学ガラスは、上記式(1)に示すβOHの値が0.1mm-1以上である。このような本実施形態に係る光学ガラスは、ガラス成分としてTi、Nb、W、Bi等の高屈折率成分を多量に含むリン酸塩系の組成あっても、熱処理によって、効率よく還元色を低減できる。
上記所望の色特性指数を有する光学ガラスを得る上から、ガラスのβOHの値が0.1mm-1以上であることが好ましい。
なお、βOHの下限は、熱処理後の透過率改善の観点から、好ましくは、0.12mm-1以上であり、0.15mm-1以上、0.18mm-1以上、0.20mm-1以上、0.23mm-1以上、0.25mm-1以上、0.28mm-1以上、0.30mm-1以上、0.33mm-1以上、0.35mm-1以上、0.37mm-1以上、0.40mm-1以上の順に下限値が大きいほど一層好ましい。
また、βOHの上限は、ガラスの種類や製造条件によって異なり、特に制限されるものではないが、βOHを高めていくと、熔融ガラスからの揮発物量が増加する傾向にあるため、熔融ガラスからの揮発を抑制する上から、好ましくはβOHが10mm-1以下、より好ましくは8mm-1以下、さらに好ましくは6mm-1以下、一層好ましくは5mm-1以下、より一層好ましくは4mm-1以下、さらに一層好ましくは3mm-1以下、なお一層好ましくは2mm-1以下、特に好ましくは1.0mm-1以下、最も好ましくは0.4mm-1以下とすることができる。
なお、赤外光は、濃く着色したガラスであっても透過するため、βOHはガラスの着色の有無(還元色の有無)によらず評価できる。また、通常、熱処理はガラスの軟化点よりも低い温度で行われるため、その前後でガラスのβOHの値は実質的に変化せず、熱処理の前後いずれで測定してもよい。したがって、ガラスのβOHは、熱処理(着色の低減する処理)を経た透明なガラス、および熱処理を経ていない濃く着色しているガラスのいずれで測定してもよい。
ガラスの貴金属含有量
高分散ガラスにおいて、還元色を低減することが、青色における透過率の改善する上で最も有効であるが、ガラス中に含まれる貴金属の含有量を低減することも、青色における
透過率の改善に寄与する。
貴金属は、ガラスを熔融するときに、ガラス原料を熔融する容器、熔融ガラスを収容する容器、熔融ガラスを均質化するために攪拌する攪拌具などに使用される。貴金属は、耐蝕性に優れているものの、熔融ガラス中に少量の貴金属イオンとして溶け込む。熔融ガラス中に溶け込んだ貴金属イオンは可視光を吸収するため、ガラスの着色が増加する。
したがって、上記所望の色特性指数を有する光学ガラスを得る上から、本実施形態において、貴金属を含有し、貴金属の含有量が3.0ppm以下である光学ガラスが好ましい。
貴金属の含有量を低減することにより、貴金属イオンに由来する着色の低減に加え、貴金属に由来するソラリゼーションを抑制することができる。ソラリゼーションを抑制することにより、長期にわたり、上記所望の色特性指数を維持することができる。
また、異物としてガラスに混入する貴金属粒子を低減することにより、貴金属粒子による光散乱を抑制することができる。
貴金属イオンに起因するガラスの着色の低減、ソラリゼーションの低減、貴金属異物の低減、透過率の改善などの観点から、本実施形態に係る光学ガラスの貴金属含有量が2.
0ppm未満であることがより好ましい。
同様の理由により、貴金属含有量の上限値は、低いほど好ましく、1.8ppm、1.6ppm、1.4ppm、1.2ppm、1.1ppm、1.0ppm、0.9ppmの順に上限値が低いほどより一層好ましい。貴金属の含有量の下限は、特に制限されないが不可避的に含まれる量であり、例えば、0.001ppm程度と考えればよい。
貴金属としては、Pt、Au、Rh、Ir等の金属単体、Pt合金、Au合金、Rh合金、Ir合金などの合金を例示することができる。熔融容器材料や熔融器具材料としては、貴金属の中でも、耐熱性、耐蝕性に優れるPtまたはPt合金が好ましい。
したがって、PtまたはPt合金製の熔融容器、熔融器具を用いて作製したガラスについては、Ptを含有し、ガラス中に含まれるPtの含有量が3.0ppm以下であること
が好ましい。Ptの含有量のより好ましい上限については、ガラス中に含まれる貴金属の含有量のより好ましい上限と同じである。また、Ptの含有量の下限は、特に制限されないが、不可避的に含まれる量であり、例えば、0.001ppm程度と考えればよい。
ガラスの屈折率
本実施形態に係る光学ガラスの屈折率ndは、1.90以上であることが好ましい。屈折率ndのより好ましい下限は1.91、さらに好ましくは1.92、特に好ましくは1.93である。ガラスが得られる限り制限はないが、上記所望の色特性指数を得やすくする上から、屈折率ndの好ましい上限は2.5、より好ましい上限は2.2、さらに好ま
しい上限は2.1、一層好ましい上限は2.0、より一層好ましい上限は1.98、さらに一層好ましい上限は1.96である。
屈折率の高い光学ガラスからなる光学素子を用い、光学系を構成することによって、光学系のコンパクト化、高機能化が可能なる。
ガラスの清澄性
本実施形態に係る光学ガラスのうち、熔融過程で含水量を高めたガラスは、熔融雰囲気
に水蒸気を付加する処理等が行われているため、熔融ガラス中の溶存ガス量が高められていると考えられる。その結果、優れた清澄性により、その製造過程において、清澄工程に要する時間を短縮でき、生産性が向上する。
ガラス転移温度
本実施形態に係る光学ガラスのガラス転移温度は、好ましくは400℃以上、より好ましくは、500℃以上、さらに好ましくは550℃以上、一層好ましくは570℃以上、より一層好ましくは600℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲であると、酸化性雰囲気中におけるガラスの熱処理温度を高くすることができ、着色低減を効率よく行うことができる。また、研削、研磨等のガラスの加工性を改善することもできる。
光学ガラスの製造方法
本実施形態に係る光学ガラスの製造方法は、例えば、リンを含むガラス原料と、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の少なくとも一種以上の成分を含むガラス原料とを、貴金属製の熔融容器内にて加熱、熔融し、熔融ガラスを得る熔融工程(i)を有し、
上記ガラス原料における、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量(HR)が35モル%以上であり、
上記熔融工程において、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理(ia)、および、熔融物内に水蒸気をバブリングする処理(ib)、の少なくともいずれか一方を行う方法である。
一般に、白金などの貴金属製の熔融容器を用いて、TiO2、Nb25、WO3およびBi23などの高屈折率成分を多量に(HRが35モル%以上)含む高屈折率のガラスを熔融する場合に、大気雰囲気で熔融すると、熔融雰囲気中に含まれる酸素が熔融容器を構成する貴金属と反応し、得られるガラスにおいて貴金属含有量が増加する問題があった。
上述のように、貴金属がガラス中に多量に存在すると、透過率劣化やソラリゼーション等の問題の原因となるため、従来から、熔融雰囲気を調整することにより、熔融容器を構成する金属材料がイオン化して熔融ガラスに溶け込まない状態を作る技術が提案されていた。
例えば、熔融雰囲気を還元側にしてガラスを熔融すると、熔融ガラスへの貴金属イオン(熔融容器を構成する貴金属のイオン)の溶け込みは抑制できる。しかし、熔融ガラスを過剰に還元側にすると、還元された高屈折率高分散成分により熔融容器が合金化されることがある。さらに、過剰に還元側にしないまでも、非酸化性雰囲気下では高屈折率高分散成分は還元される傾向にあるため、ガラスの着色(還元色)の度合は強まる。還元色があまりに強いガラスは、後工程において熱処理を施しても、着色の低減の効果は小幅なものに留まる。
そのため、上記のような問題を改善するにあたり、本発明者は、熔融容器を構成する貴金属材料がイオン化して熔融ガラスに溶け込まない状態で熔融し、かつ、得られたガラスにおいて、熱処理後のガラスの着色(還元色)の低減効果が大きいことが重要であると考た。
本実施形態に係る光学ガラスを製造する際、熔融工程において、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理(以下、単に「水蒸気付加」ということがある。)および熔融物内に水蒸気をバブリングする処理(以下、単に「水蒸気バブリング」ということがある。)の少なくとも一方を行うことにより、熔融工程において熔融容器に由来する貴金属量が極めて低く
、熱処理後の透過率を劇的に改善でき、着色が少なく、極めて優れた透過率を有する光学ガラスが得られる。
上記の製造方法によれば、熔融容器等に由来する貴金属(例えば白金等)のガラス中への溶け込みを有効に防止でき、得られる光学ガラスにおいて、貴金属イオンに由来する着色を一層低減できる。
以下の説明では、熔融容器が白金(Pt)の場合を例にとるが、白金以外の貴金属等の金属材料からなる熔融容器等を用いる場合についても同様である。
通常、ガラスの熔融は大気雰囲気中で行われ、大気中の酸素が熔融容器の材料である白金等の貴金属材料と反応することがある。特に、熔融容器が白金系材料である場合、二酸化白金(PtO2)が生成し熔融物中に溶け込む、あるいは、熔融物と白金系材料との界面から白金イオン(Pt4+)として熔融物に溶け込むことがある。熔融ガラス中に溶け込んだ貴金属イオンは可視光を吸収するため、ガラスの着色が増加する傾向にある。
このような白金イオンに由来する着色を低減するためには、熔融雰囲気を還元雰囲気にすることで、熔融ガラスへの貴金属イオンの溶け込みを抑制する方法等が挙げられる。しかし、熔融ガラスを過剰に還元側にすると、熔融容器が合金化し、熔融容器の強度、耐久性が著しく低下する。また、熔融雰囲気を不活性ガスで置換する方法等もあるが、Arなどの不活性ガスは高価で、長時間の熔融に適さない。
これに対し、上記の光学ガラスの製造方法では、熔融工程において、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理および熔融物内に水蒸気をバブリングする処理の少なくとも一方を行うことより、熔融雰囲気中の酸素分圧を低減し、熔融容器を構成する白金材料が酸化されるのを防止する。その結果、熔融雰囲気中の酸素が白金材料等と反応して生成する二酸化白金や白金イオン(Pt4+)が、熔融物(ガラス)中に溶け込むことを有効に防止でき、得られる光学ガラスにおいて、白金(Pt)の溶け込み量が一層低減される。その結果、得られる光学ガラスの貴金属含有量を極めて少なくすることができる。水蒸気の供給には、熔融雰囲気中の酸素分圧低減効果に加え、次の効果があると考えられる。H2Oが白金の表面に到達すると、白金の触媒効果によってH+とOH-に分解し、OH-の一部が白金イオンと結合し、白金の酸化を防ぐと考えられる。アルゴン、窒素などの不活性ガスには、上記効果を期待できない。実際、水蒸気を含むガスを供給することにより、乾燥状態の非酸化性ガスを供給するよりも、ガラス中の白金等の貴金属含有量を一層低減することができる。
熔融容器等の製造器具に由来するPtなどの貴金属の含有量が極めて少ないので、ソラリゼーションと呼ばれる紫外線照射によるガラスの着色が少ない。そのため、このようなガラスを例えば光学素子として用いた場合には、透過率の経年変化が少ない。また、紫外線硬化型接着剤を用いて光学素子を固定するとき、光学素子に紫外線を照射しても、透過率が低下しないという効果も得られる。
ガラス原料として正リン酸、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物のように含水量の多い原料成分を用いてもよいが、ガラス原料を熔解して熔融ガラスとする過程や、高温の熔融ガラスの状態において水分が蒸散してしまう。また、化合物を調合してバッチ原料とし、このバッチ原料を粗熔解してカレットを作り、このカレットを再調合して熔融容器中で再熔融することでガラスを得る場合でも、バッチ原料中に当初含まれていた水分はカレット化する際に失われ、さらに熔融容器中で再熔融する過程でも、水分が失われる。したがって、いずれの方法を用いても、熔融過程において、熔融ガラスに水分を供給する操作を行わないと、ガラスの含水量は低下する傾向を示す。
さらに、熔融容器に由来する貴金属の溶出を防止するため、非酸化性雰囲気下でガラスを熔融する場合には、ガラスの含水量はより一層小さくなる傾向にある。一般に、ガラスの熔融は大気雰囲気下で行われるが、大気中には多少水分が含まれている。しかし、熔融雰囲気を非酸化性雰囲気とする場合、通常乾燥ガスである還元ガスや不活性ガスなどの非酸化性ガス熔融雰囲気を置換する必要があるため、大気雰囲気下で熔融されたガラスよりも、含水量はさらに小さくなる。
このような含水量の低いガラスは、酸化性雰囲気下で熱処理を行っても着色低減の効果が小幅に留まる。
これに対し、熔融ガラスに対して外部から水分を供給することにより、高温の熔融ガラスから蒸散して失われた水分を補うことができる。そのため、この方法によれば、光学ガラスの含水量を容易に高めることができ、熱処理後の着色を大幅に低減できる。
よって、熔融工程において、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理(以下、単に「水蒸気付加」ということがある)および熔融物内に水蒸気をバブリングする処理(以下、単に「水蒸気バブリング」ということがある)の少なくとも一方を行うことが好ましい。
熔融雰囲気に水蒸気を付加する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熔融装置に設けた開口部から連結パイプを坩堝内へ挿入し、必要に応じてこのパイプを通して水蒸気を含むガスを坩堝内の空間へと供給する方法等が挙げられる。
坩堝内の空間に供給する水蒸気を含むガスの流量は、特に限定されず、試験的に作製したガラスのβOHの測定結果をもとに調整したり、試験的に作製したガラスを酸化性雰囲気中で熱処理し、透過率を測定し、その結果をもとに調整することができる。例えば、略密閉された熔融容器内に水蒸気を供給する場合は、比較的少量の水蒸気を供給すれば、所望のガラスが得られる。一方、蓋をしない坩堝をガラス熔融炉内に配置してガラスを熔融する場合は、ガラス熔融炉内の体積が坩堝内の体積に比べて大きくなるため、ガラス熔融炉内に比較的多量の水蒸気を供給することになる。このような実験結果に基づいて、水蒸気の供給量、すなわち、ガスの流量を次の生産にフィードバックすることで、酸化性雰囲気中における熱処理によって所望の透過率特性を有するガラスを生産できる。なお、以下、ガスの流量、水蒸気の流量、雰囲気付加流量、水蒸気の供給量は、25℃、1気圧に換算した値である。
また、バブリング方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、白金製または白金合金製のパイプを熔融容器中の熔融物中に差し込み、パイプを通して水蒸気を含むガスを熔融物中に吹き込む方法、熔融容器の底部付近に熔融容器の材料と同じ材料からなるパイプを取り付け、このパイプから熔融物中に水蒸気を含むガスを吹き込む方法などが挙げられる。
熔融物中に吹き込む水蒸気を含むガスの気泡径は、好ましくは直径0.01~100mmであり、より好ましくは0.1~30mmである。上記範囲とすることで、熔融ガラス中の水分量を効果的に高めることができると考えられる。なお、気泡径が小さ過ぎる場合には、熔融物に挿入するバブリング用の管が詰まりやすい等の問題がある。
熔融物中に吹き込む水蒸気を含むガスの流量は、特に限定されず、試験的に作製したガラスのβOHの測定結果をもとに調整できる。例えば、試験的に作製したガラスのβOHを測定し、測定結果が所望の値よりも小さい場合は、ガスの流量を増加させ、逆に測定結果が所望のβOH値より大きい場合は、ガスの流量を減少させる調整を行う。このように
試験的にガラスのβOHを求め、測定結果からガスの流量を調整すればよい。このように、試験的に作製したガラスのβOHの測定結果や、試験的に作製したガラスを酸化性雰囲気中で熱処理し、透過率を測定し、その結果をもとに、水蒸気の供給量、すなわち、ガスの流量を次の生産にフィードバックすることで、所望のガラスを生産することができる。
水蒸気を含むガス中の水蒸気の含有量は、好ましくは3体積%以上である。水蒸気の含有量は、高いほど好ましく、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上、一層好ましくは40体積%以上、より一層好ましくは50体積%以上、さらに一層好ましくは60体積%以上、なお一層好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上、さらに特に好ましくは90体積%以上である。特に上記範囲とすることで、最終的に得られるガラスにおいて、着色の低減効果を高めることができると共に、貴金属の含有量を低減でき、かつ清澄性を改善できる。
なお、水蒸気を含むガスは、生成したものや、市販のものを用いることができ、他のガスとの混合ガスであってもよい。他のガスとしては、例えば、非酸化性ガスや空気等が挙げられる。中でも、非酸化性ガスが好ましい。
また、上記ガラスの製造方法では、上記水蒸気を付加する処理(ia)および熔融物内に水蒸気をバブリングする処理(ib)のいずれかまたは両方において、水蒸気と共に非酸化性ガスを供給するのが好ましい。
供給する水蒸気の一部を、非酸化性ガスに置換してもよい。
非酸化性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、ヘリウムおよびヨウ素などが挙げられる。好ましくは、アルゴンなどの不活性ガスである。
非酸化性ガスの供給量は、特に限定されないが、好ましくは、供給するガス(水蒸気を含むガス)の体積を100体積%とした場合に、非酸化性ガスが占める割合が0体積%を超え、97体積%以下であり、より好ましい上限は90体積%、80体積%、70体積%、60体積%、50体積%、40体積%、30体積%、20体積%、10体積%の順に上限が小さくなるほど、熱処理による着色低減効果を大きくする上から好ましい。
なお、上記光学ガラスの製造方法において、本願明細書において説明した事項以外については、ガラス原料の調整法、ガラス原料の加熱法、熔融法、熔融ガラスの成形法については公知の方法が適宜採用できる。また、光学ガラスの製造方法に用いられるガラス原料や熔融容器を構成する材料についても公知の材料が適宜利用できる。
ここで、ガラスの作製に際して用いられる熔融容器等を構成する材料としては、通常、熔融ガラスを熔融する温度・雰囲気において耐熱性と耐侵蝕性と有する材料(例えば、金属材料や石英材料等)を適宜利用できる。
ただし、作製しようとするガラス組成によっては、著しい侵蝕性を示す熔融生成物が生成したり、熔融ガラスが熔融容器等を構成する材料と反応し、熔融容器が溶けたりする場合もある。そのため、熔融容器等を構成する材料を選択する際には、ガラス組成に応じて適宜材料を選択することが好ましい。
例えば、高屈折率高分散成分を含有するリン酸塩光学ガラス(P25と、TiO2、Nb25、WO3およびBi23から選択される少なくとも1種の酸化物とを含むガラス)の場合、特に、バッチ原料を加熱・熔解する際に、著しい侵蝕性を示す熔解生成物
が生成する。このような熔融生成物は、白金等の耐蝕性に優れた材料をも侵蝕する傾向があるため、白金等の貴金属材料は、上記熔融生成物により侵蝕され、熔融物中に溶け込み、異物として生成したり、ガラスの着色を増大させたりする問題がある。
そのため、上記リン酸塩光学ガラスを製造する場合には、バッチ原料を加熱・熔解する際の熔融容器は、熔融工程の後半や清澄工程等とは別に、熔融容器等の材料を選択することが好ましい。バッチ原料を加熱・熔解する際に用いる熔融容器等としては、石英製など、耐火物製の容器や器具が好適である。石英などの耐火物は、上記熔融生成物により侵蝕されるが、侵蝕されて熔融物中に混入してもガラス組成物の一部となるため、貴金属材料のような問題は少ないためである。熔融工程の後半や清澄工程等では、熔融生成物が貴金属材料をも侵蝕するという問題は少ないため、白金製や白金合金製等の貴金属製の容器や器具を用いるのが好適である。
他方、B23と、高屈折率高分散成分を含有するホウ酸塩ガラス(TiO2、Nb25、WO3およびBi23から選択される少なくとも1種の酸化物を含むガラス)の場合には、上記リン酸塩ガラスのような熔融生成物が貴金属材料をも侵蝕するという問題は少ない。むしろ、ホウ酸ガラスの場合、石英などの耐火物容器は著しく侵蝕される傾向にある。そのため、熔融容器等としては、ガラスの製造過程で侵蝕され難い白金製や白金合金製等の貴金属製の容器や器具を用いるのが好適である。
上記光学ガラスの製造方法では、加熱・熔融工程は、通常、ガラス原料を加熱することで熔解して熔融ガラスにする熔解工程に加えて、熔融ガラスの脱泡を促進する清澄工程と、清澄後の熔融ガラスを降温して成形に適した粘度にするとともに攪拌して均質化する均質化工程とを含むことが好ましい。
ガラス原料としては、所望の特性の光学ガラスが得られるように、ガラス成分に対応する原材料を秤量し、十分混合して得られた調合原料(バッチ原料)や、調合カレットを用いることができる。
ガラス原料としてカレットを使用する場合には、バッチ原料を粗熔解してカレット化するカレット化工程(ラフメルト工程)が、熔解工程(リメルト工程)の前に実施される。また、カレットは、好ましくは事前に屈折率測定の測定が行われている。屈折率の測定値が所望の値と等しい場合、カレットをそのまま調合カレットとし、屈折率の測定値が所望の値からずれている場合、所望の値より高い屈折率を有するカレットと所望の値より低い屈折率を有するカレットを混合して、調合カレットとする。
なお、カレットはガラスからなるが、均質なガラスである必要はない。また、カレットは気泡を含むものであってもよい。さらに、バッチ原料の未熔解物を含むものであってもよい。カレットの組成、光学特性(例えば、屈折率、アッベ数など)は、カレットを再熔融して均質で泡を含まないガラスを作り、このガラスの組成、光学特性をそれぞれカレットの組成、光学特性とする。
カレットを作製する方式(ラフメルトーリメルト方式)であっても、バッチ原料を直接熔解工程で熔解する方式(バッチダイレクト方式)であっても、Ti、Nb、WおよびBiの過剰な還元を抑えるとともに、熔融容器が金属材料から構成される場合にその金属材料のイオン化を抑制し、ガラス中の含水量を確保する観点から、加熱・熔融工程中のガラスの加熱温度は、800~1500℃に維持することが好ましく、より好ましくは1400℃以下、さらに好ましくは1300℃以下に維持することが好ましい。さらに清澄性を改善しつつ、ガラスを酸化性雰囲気中で熱処理した際の着色の大幅な低減を容易とする観点からは、加熱・熔融工程中のガラスの加熱温度が清澄工程で最も高くなるように設定す
る、すなわち、清澄温度以下でガラスを熔融することが好ましい。
また、加熱・熔融工程の開始から終了までの時間を長くすると、高屈折率高分散成分の還元、熔融容器が金属材料からなる場合においてその金属材料のイオン化を助長し、ガラス中の含水量も低下傾向を示すことになる。このため、加熱・熔融工程の開始から終了までの時間は100時間以内にすることが好ましい。なお、加熱・熔融工程の開始から終了までの時間は熔融容器の容量の大小などにより適宜調整すればよい。
上記光学ガラスの製造方法は、より好ましくは、ラフメルト-リメルト方式で行われる。ラフメルト-リメルト方式では、調合材料を熔融してカレットを得るラフメルト工程と、カレットを再熔融してガラスを得るリメルト工程と、を有し、ラフメルト工程およびリメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理(ia)、および、熔融物内に水蒸気をバブリングする処理(ib)、の少なくともいずれか一方を行うことが好ましい。
特に、ラフメルト-リメルト方式でガラスを作製する場合には、ラフメルト時のバッチ原料の熔解温度(粗熔解温度)は、800~1400℃の範囲とすることが好ましい。ただし、溶存ガスの溶解度は熔融物の温度上昇とともに減少するため、清澄効果をより高める上で、ラフメルト工程における熔融物の温度は、リメルト工程におけるカレットの熔融温度(再熔解温度)以下であることが好ましく、特にリメルト工程における清澄温度よりも低くすることが好ましい。
また、ラフメルト工程における熔解時間は、坩堝の容量、バッチ原料の坩堝への投入量を考慮して適宜調整でき、例えば、熔解時間を0.1~100時間、より好ましくは0.1~20時間の範囲としてもよい。
また、リメルト工程における調合カレットの熔解温度(再熔解温度)は、800~1500℃の範囲にすることが好ましい。ただし、清澄効果をより高める上から、この再熔解温度を清澄温度よりも低くすることが好ましい。リメルト工程における熔解時間は坩堝の容量、調合カレットの坩堝への投入量を考慮して適宜調整でき、例えば、再熔融時の熔解時間を0.1~100時間、より好ましくは2~20時間の範囲としてもよい。
熔融時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、熔融ガラス中の水分量を効果的に高める観点から、熔融雰囲気に水蒸気が付加されていることが好ましい。
熔融雰囲気は、はじめ大気雰囲気や窒素雰囲気などの水蒸気以外の熔融雰囲気で熔融を開始し、途中から熔融雰囲気に水蒸気が付加されてもよいし、熔融雰囲気を予め水蒸気雰囲気に調整しておいてもよい。
熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理等を行う際の、熔融雰囲気の水蒸気分圧は、大気中の水蒸気分圧よりも高く、より好ましくは酸素分圧よりも高い。さらに、水蒸気分圧の上限は、特に限定されるものではなく、例えば熔融雰囲気を全て水蒸気で置換することもできる。
また、熔融工程全体を通して、熔融雰囲気中の水蒸気分圧が高いことで、酸素が白金等の貴金属材料からなる熔融容器と反応することを有効に防止でき、ガラス中へのPt等の溶け込み量を低減でき、透過率の劣化(低下)を効果的に防ぐことができる。さらに、溶存ガス量を清澄工程の直前まで維持することで、清澄性の改善効果が高まる。
また、熔融工程は、熔融物の均質化を目的として、熔融物の攪拌を伴うこともできる。
攪拌方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、気体を熔融物にバブリングする方法や攪拌棒により攪拌する方法などが挙げられる。
特に、水蒸気を含むガスを用いたバブリングや、水蒸気を付加した熔融雰囲気中での熔融物の攪拌は、熔融物の均質化を図ると共に、熔融ガラス中の水分量を高める観点で好適である。
ガラス原料を熔融容器内にて加熱、熔融し、熔融ガラスを得る熔融工程(i)の後に、さらに熔融ガラスを熔融容器外に流出する工程(ii)、および熔融ガラスを成形する工程(iii)を有する。
流出工程(ii)では、清澄・均質化した熔融ガラスを熔融容器底部に取り付けたガラス流出パイプより流出する。ガラス流出パイプの温度は、流れる熔融ガラスが失透しない温度域であって、成形に適した粘度になるように調整、維持する。
成形工程(iii)では、熔融容器内の熔融ガラスを所定の形状に成形できるのであれば公知の如何様な成形方法も利用できる。例えば、熔融ガラスを、鋳型に流し込んでブロック状としてもよく、パイプから流下させた線状の熔融ガラス流を、一定の長さ(一定の量)ごとに切断してガラス塊としてもよい。また、後工程において、より精度の高い形状加工を行う場合は、成形工程を経て得られる個々のガラスの形状は大きくばらついていてもよい。また、得られたガラスは濃く着色していてもよく、後工程において、熱処理を行うことにより着色は低減できる。
流出工程(ii)および成形工程(iii)の少なくともいずれか一つの工程を酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、ガラスの還元色を効率よく低減できる。
通常、高屈折率高分散成分に由来する還元色は、ガラスを酸化性雰囲気で熱処理することで低減できる。特に、Ti、Nb、WおよびBi等の酸化は、ガラスの温度が高いほど速やかに進む傾向にある。
そのため、できるだけ高温のガラス、すなわち熔融工程(i)のガラスを酸化性雰囲気に晒すとよいとも考えられる。しかし、熔融容器や清澄槽等が貴金属材料等で構成されている場合、熔融工程(i)のガラスは、貴金属材料と接する状態にあるため、熔融雰囲気を酸化性雰囲気にすると、貴金属材料が雰囲気中の酸素と反応し、ガラス中に貴金属のイオンが溶け込む等の問題がある。
一方、流出工程(ii)および成形工程(iii)のガラスは、熔融工程(i)のガラスに比べて温度が低いが、成形後に降温したガラスに比べれば、なお十分に高温に保たれているといる。そのため、これらの工程でも、ガラスを酸化性雰囲気に晒すことによるガラスの着色低減の効果は十分に期待できる。さらに、流出工程(ii)および成形工程(iii)では、ガラスが熔融容器等を構成する貴金属材料と接触することもないため、上記のような問題は生じ難いと考えられる。
そのため、流出工程(ii)および成形工程(iii)の少なくともいずれか一つの工程を酸化性雰囲気とすることで、熔融ガラスへの貴金属材料等の溶け込みを危惧することなく、効率よく還元色を低減できる。
また、熔融ガラス流の方が、鋳型中のガラスブロックよりも、単位体積あたり、酸化性雰囲気に晒されるガラスの表面積が大きくなるため、より効率よく還元色を低減できる。
また、流出工程(ii)および成形工程(iii)の少なくともいずれか一つの工程で、ガラスの還元色の低減が図られていることにより、成形工程(iii)後のガラスについて、気泡や析出物の有無などガラス内部の検査が容易にできる。その結果、早い段階で良質のガラスを精査でき、歩留まりも向上する。
上記光学ガラスの製造方法において、成形されたガラスの熱処理は、酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。これにより得られるガラスの着色を大幅に低減できる。熱処理工程を経て得られたガラスは、着色が少なく透明度が高い、すなわち、可視域における透過率、特に青色における透過率が高い。
熱処理工程(iv)において、熱処理温度および熱処理時間は、所望の光学特性が得られるように適宜設定すればよい。例えば、熱処理温度は、ガラスの軟化点よりも低く、ガラス転移温度Tgよりも100℃低い温度(Tg-100℃)以上の温度が好ましい。
なお、ガラスの着色を所定のレベルまで低減する際、熱処理温度が高ければ、熱処理時間を短縮できる。また、酸化性雰囲気中の酸素分圧を高めても熱処理時間を短縮できる。このように熱処理時間は、熱処理温度や酸化性雰囲気中の酸素分圧により変わるが、ガラスの着色が所望のレベルになるように設定すればよい。熱処理時間は、典型的には、0.1時間~100時間であることが好ましい。
なお、上記流出工程(ii)、成形工程(iii)および熱処理工程(iv)において、酸化性雰囲気とは、大気雰囲気、または大気よりも酸素分圧が高い雰囲気であり、好ましくは大気よりも酸素分圧が高い雰囲気である。
酸化性雰囲気とするための方法は、特に限定されるものではないが、例えば酸化性雰囲気ガスを供給する方法などが挙げられる。酸化性雰囲気ガスとしては、酸素を含むガスであればよく、酸素濃度は、例えば、空気と同程度前後かそれ以上であればよい。このような酸化性雰囲気ガスとしては、例えば、空気、空気に酸素を加えたガス、実質的に酸素のみからなるガスなどを挙げることができる。
ガラス組成について
次に、本実施形態に係る光学ガラスの組成について説明する。
以下、特記しない限り、ガラス成分の含有量、合計含有量、添加剤の含有量は、酸化物換算のモル%で表示する。
上記のように、本実施形態に係る光学ガラスは、好ましくは、リン酸塩光学ガラスであり、ガラス成分として、TiO2、Nb25、WO3およびBi23から選択される少なくともいずれか1種の酸化物(以下、「高屈折率高分散成分」ということがある)を含有する。好ましくは、ガラス中に含まれるTiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量は、35モル%以上であり、好ましくは37モル%以上、より好ましくは38モル%以上、さらに好ましくは38.5モル%以上、一層好ましくは39モル%以上、より一層好ましくは40モル%以上、さらに一層好ましくは43モル%以上、なお一層好ましくは50モル%以上である。TiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量が85%を超えると耐失透性が悪化傾向を示すため、耐失透性を維持する観点から、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量は85モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましく、75モル%以下であることがさらに好ましく、60モルモル%以下であることが一層好ましく、55モル%以下であることがより一層好ましい。
リン酸塩光学ガラスであることは、ガラス中のTiO2、Nb25、WO3およびBi23の含有量を高める観点からも好ましい。リン酸塩光学ガラス中では、加熱処理時
のH+の移動速度が速く、他の組成系に比べると短時間の加熱処理で着色を低減できる。
本実施形態は、実施例に例示する組成に加え、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の含有量が上記範囲にある公知の組成を含むガラス組成に適用できる。
次に、本実施形態における好ましいガラス組成について説明する。
25は、ガラスネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性を維持する働きがある。P25の含有量が7%未満であると、熱的安定性が低下傾向を示すため、P25の含有量を7%以上にすることが好ましい。P25の含有量が40%より大きいと、屈折率が低下する。したがって、P25の含有量を7~40%の範囲にすることが好ましい。P25の含有量のより好ましい下限は10%、さらに好ましい下限は12%、一層好ましい下限は15%、より一層好ましい下限は18%である。P25の含有量のより好ましい上限は35%、さらに好ましい上限は33%、一層好ましい上限は30%、より一層好ましい上限は28%である。
SiO2は、P25系組成のガラスには溶け難く、多量に導入すると溶け残りが生じてガラスの均質性が悪化する傾向を示す。溶け残りが生じないよう熔融温度を高めると、貴金属含有量が増加し、ガラスの着色も増大する。そのため、SiO2の含有量は、P25の含有量(M)よりも少ない。SiO2の含有量を上記M(P25の含有量[%])との関係を表すと、好ましいSiO2の含有量の範囲は0%~0.8×M[%]であり、より好ましい範囲は0%~0.5×M[%]、さらに好ましい範囲は0%~0.3×M[%]、一層好ましい範囲は0%~0.15×M[%]である。
23は、少量を含有させることにより耐失透性を改善する働きをする。B23の含有量を上記M(P25の含有量[%])との関係を表すと、B23の含有量の範囲は0%以上、M[%]未満であり、好ましい範囲は0%~0.9×M[%]、より好ましい範囲は0%~0.7×M[%]、さらに好ましい範囲は0%~0.6×M[%]、一層好ましい範囲は0%~0.5×M[%]、より一層好ましい範囲は0%~0.4×M[%]、さらに一層好ましい範囲は0%~0.35×M[%]である。
TiO2、Nb25、WO3およびBi23は屈折率を高めるとともに、分散を高める働きをし、化学的耐久性を改善する働きをする成分である。しかし、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の含有量がそれぞれ多くなると耐失透性が悪化する傾向を示す。
耐失透性を維持する観点から、TiO2の含有量の好ましい上限は40%、より好ましい上限は35%、さらに好ましい上限は33%、一層好ましい上限は30%である。TiO2の導入効果を得る上から、TiO2の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は3%である。TiO2の含有量を0%にすることもできる。
耐失透性を維持する観点から、Nb25の含有量の好ましい上限は45%、より好ましい上限は40%、さらに好ましい上限は35%である。Nb25の導入効果を得る上から、Nb25の含有量の好ましい下限は5%、より好ましい下限は8%、さらに好ましい下限は11%である。Nb25の含有量を0%にすることもできる。
WO3の含有量の好ましい範囲は0~30%である。上記WO3の導入効果を得る観点から、WO3の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は3%、さらに好ましい下限は5%である。一方、耐失透性を維持する上で、WO3の含有量の好ましい上限は27%、より好ましい上限は24%、さらに好ましい上限は20%、一層好ましい上限は1
8%である。WO3の含有量を0%にすることもできる。
Bi23の含有量の好ましい範囲は0~35%である。上記Bi23の導入効果を得る上で、Bi23の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は3%、さらに好ましい下限は5%である。一方、耐失透性を維持する観点から、Bi23の含有量の好ましい上限は30%、より好ましい上限は28%、さらに好ましい上限は24%である。Bi23の含有量を0%にすることもできる。
Bi23とB23の合計含有量の好ましい範囲は50%未満、より好ましい範囲は45%未満、さらに好ましい範囲は40%である。
BaO、SrO、CaO、MgO、ZnO等の二価金属成分は、ガラスの熔融性を改善し、ガラスの着色を低減する働きをする。また、適量であれば耐失透性を改善する働きをする。しかし、過剰量の含有により屈折率が低下し、耐失透性が悪化する傾向を示すため、BaO、SrO、CaO、MgOおよびZnOの合計含有量が0~40%であることが好ましく、0~32%であることがより好ましい。BaO、SrO、CaO、MgOおよびZnOの合計含有量の好ましい上限は30%、より好ましい上限は27%、さらに好ましい上限は25%である。BaO、SrO、CaO、MgOおよびZnOの合計含有量の好ましい下限は0.1%、より好ましい下限は0.5%、さらに好ましい下限は1%である。
これら2価金属成分のうち、BaOは高屈折率を維持する上で有効な成分であることから、BaOの含有量を0~40%の範囲にすることが好ましく、0~32%の範囲にすることがより好ましい。BaOの含有量の好ましい上限は30%、より好ましい上限は27%、さらに好ましい上限は25%である。BaOの含有量の好ましい下限は0.1%、より好ましい下限は0.5%、さらに好ましい下限は1%である。BaOの含有量を0%にすることもできる。
Li2O、Na2O、K2O等のアルカリ金属酸化物はガラスの熔融性を改善し、ガラスの着色を低減する働きをする。またガラス転移温度、軟化温度を低下させ、ガラスの加熱処理温度を低下させる働きもする。しかし、過剰量の含有により屈折率が低下し、耐失透性が悪化する傾向を示すため、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量が0~40%であることが好ましく、0~35%であることがより好ましく、0~32%であることがさらに好ましく、0~30%であることが一層好ましい。Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量をそれぞれ0%にすることもできる。特に、アルカリ金属酸化物としてLi2Oを用いる場合、高屈折率ガラスを得る観点から、その含有量は製造されるガラス中において0%を超え10%未満であることがより好ましく、0%を超え9%以下であることがさらに好ましく、0%を超え8%以下であることが特に好ましい。
Al23は少量であれば耐失透性を改善する働きをするが、過剰量の含有により屈折率が低下する。したがって、Al23の含有量の好ましい範囲は0~12%、より好ましい範囲は0~7%、さらに好ましい範囲は0~3%である。
ZrO2は屈折率を高める働きをし、少量であれば耐失透性を改善する働きをする。しかし、過剰量の含有により、耐失透性や熔融性が悪化傾向を示すため、ZrO2の含有量の好ましい範囲は0~16%、より好ましい範囲は0~12%、さらに好ましい範囲は0~7%、一層好ましい範囲は0~3%である。
GeO2は耐失透性を維持しつつ、屈折率を高める働きをする。また、GeO2は屈折率を高める働きを有するが、TiO2、Nb25、WO3およびBi23と異なり、
ガラスの着色を増大させない。しかし、他の成分と比較して非常に高価な成分であるため、ガラスの製造コストを低減する上からGeO2の含有量は少ないほどよい。したがって、高屈折率ガラス製品を広く普及するためには、GeO2の含有量を削減しつつ、透過率の優れた高屈折率ガラスを提供することが望まれる。本実施態様によれば、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量を20%以上とすることにより、多量のGeO2を使用しなくても、透過率の優れた高屈折率ガラスを提供できる。
このような観点から、GeO2の含有量の好ましい範囲は0~10%、より好ましい範囲は0~5%、さらに好ましい範囲は0~3%、一層好ましい範囲は0~2%、より一層好ましい範囲は0~1%、さらに一層好ましい範囲は0~0.5%であり、GeO2を含有しなくてもよい。なお、製造コストを考慮しなければ、有効量で好適に用いることができる。
TeO2は耐失透性を維持しつつ、屈折率を高める働きをする。しかし、環境への負荷を軽減する上からTeO2の含有量の好ましい範囲は0~10%、より好ましい範囲は0~5%、さらに好ましい範囲は0~3%、一層好ましい範囲は0~2%、より一層好ましい範囲は0~1%、さらに一層好ましい範囲は0~0.5%であり、TeO2を含有しなくてもよい。
Sb23は酸化作用を有し、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の還元を抑制する働きをする。しかし、Sb23自体が可視域に吸収を有し、その酸化作用により貴金属製の熔融容器を酸化して貴金属イオンの熔融ガラスへの溶け込みを助長する。したがって、Sb23の含有量の好ましい範囲は0ppm以上1000ppm未満である。上記観点から、Sb23の含有量の上限は、900ppm、800ppm、700ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm、200ppm、100ppmの順に少ない値ほど一層好ましい。Sb23を含有させなくてもよい。
上記成分以外の成分を多量に含有させると、ガラスの耐失透性が悪化し、液相温度が上昇する傾向を示す。そのため、ガラス熔融温度を高めなければならず、貴金属製熔融容器の侵蝕が増大し、ガラスに溶け込む貴金属の量が増加する。また、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の還元色も増大する。
こうした貴金属量の増加を抑制し、ガラスの着色を抑制する上から、P25、SiO2、B23、TiO2、Nb25、WO3、Bi23、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Li2O、Na2O、K2O、Al23、ZrO2、GeO2、TeO2およびSb23の合計含有量を90%以上とすることが好ましく、92%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることがさらに好ましく、96%以上とすることが一層好ましく、97%以上とすることがより一層好ましく、98%以上とすることがさらに一層好ましく、99%超とすることがなお一層好ましい。なお、上記合計含有量を100%としてもよい。
Ta25、Y23、La23、Gd23、Yb23、In23、Ga23、SnO2、CeO2、Fなども少量であれば含有させることができる。Ta25、Y23、La23、Gd23、Yb23、In23、Ga23およびFの合計含有量を0~10%とすることが好ましく、0~7%とすることがより好ましく、0~5%とすることがさらに好ましく、0~3%とすることが一層好ましく、0~1%とすることがより一層好ましく、0~0.5%とすることがさらに一層好ましい。
Fは、熔融ガラスの揮発性を高め、均質なガラスを得る上からも、安定した光学特性を有するガラスを得る上からも、多量に含有させるべき成分ではない。Fの含有量の好まし
い範囲は0~3%、より好ましい範囲は0~1%、さらに好ましい範囲は0~0.5%であり、実質的にFを含まないことが一層好ましい。
環境への負荷を低減する上から、Pb、As、Cd、U、Th、Tlを実質的に含有しないことが好ましい。
ガラスの着色を低減する上から、Cu、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、V、Mo、Nd、Eu、Er、Tb、Ho、Prなどの可視域に吸収を有する成分、添加剤を実質的に含有しないことが好ましい。
しかしながら、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、不可避的不純物の含有を排除するものではない。「実質的に含有しない」とは、含有量が0.5モル%未満であることを目安にすることができる。実質的に含有しない成分、添加剤は、ガラスに含まれないことが好ましいから、その含有量が0.1モル%未満であることが好ましく、0.08モル%未満であることがより好ましく、0.05モル%未満であることがさらに好ましく、0.01モル%未満であることが一層好ましく、0.005モル%未満であることがより一層好ましい。
なお、ガラス原料としては、ガラス成分に応じて、酸化物、リン酸、リン酸塩(ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩など)、ホウ酸、無水ホウ酸、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物など、公知のガラス原料を使用することができる。
光学素子
本実施形態の光学素子は、上記実施形態の光学ガラスからなる。
上記実施形態の光学ガラスを使用して光学素子を作るには、公知の方法を適用すればよい。例えば、熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラス素材を作製する。次に、このガラス素材を再加熱、プレス成形して光学素子ブランクを作製する。さらに光学素子ブランクの研磨を含む工程により加工して光学素子を作製する。
あるいは、熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラス素材を作製し、このガラス素材を加熱、精密プレス成形して光学素子を作製する。
上記の各工程において、熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、ガラス成形体を加工してプレス成形用ガラス素材を作製してもよい。
あるいは、熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、この成形体を加工して光学素子を作製する。
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
光学素子としては、球面レンズ、非球面レンズ、マクロレンズ、レンズアレイなどの各種レンズ、プリズム、回折格子などを例示することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
また、本実施形態に係る光学ガラスは、光学素子用の材料として好適であるため、非晶質性(アモルファス)のガラスであることが好ましい。ガラス製の光学素子を作製する方
法には、例えば、ガラス材料を加熱、軟化させて成形する方法がある。ガラス質の中に結晶相が分散した結晶化ガラスは、上記成形方法には不向きである。また、結晶化ガラス中の結晶相が光を散乱し、光学素子としての性能を低下させることもある。非晶質性ガラスには、このような問題はない。
また、本実施形態では、光学ガラスの製造方法の一例として、主として坩堝を用いて原材料を熔融する方法を例示しているが、熔融容器としては、両端が開口した石英製のチューブ等を用いてもよい。
具体的には、ガラス熔解炉内に、石英製等のチューブを傾斜状態で固定する。ガラス熔解炉の底部には、チューブの低位置側の開口端下方に相当する位置に開口部を設けておく。チューブの高位置側の開口端からチューブ内に原材料(バッチ原料、またはカレット)を導入し、チューブ内で熔解(または熔融)して熔融物とする。熔融物はチューブ中をゆっくりと流動し、チューブの低位置側の開口側から次々に流出する。
例えば、ラフメルト工程で上記チューブ等を用いる場合には、流出物は炉底の開口部を通過し、予めガラス熔解炉の底部の開口部下方に配置した水槽中の水へと、次々に滴下され、カレットになる。
上記の方法では、石英製等のチューブを用いて原材料を熔融したが、チューブの替わりに、石英製等の坩堝を用いてもよい。まず石英製等の坩堝の中に原材料を入れて加熱、熔融し、熔融物とし、次いで、熔融物を水中にキャストしたり、冷却した耐熱板上に流し出したりしてカレットを作製してもよい。
撮像レンズ
本実施形態は、鏡筒と、上記鏡筒に配置された複数の単レンズを備える撮像レンズにおいて、上記複数の単レンズの少なくとも一つが上記光学ガラスからなる単レンズである撮像レンズである。
上記撮像レンズの鏡筒内には、光学設計により定められた位置に各単レンズは配置されている。複数の単レンズは、例えば、1つまたは2つ以上の単レンズからなる複数のレンズ群を構成する。各レンズ群の距離を可変にすることにより、ズームレンズとすることもできる。
アッべ数νdが23未満の高分散ガラスは、例えば、凹メニスカスレンズに加工され、高分散ガラスよりも低分散側の光学ガラスからなる凸メニスカスレンズと接合され、最も物体側に配置される第1レンズ群を構成する接合レンズとして撮像レンズに組み込まれる。
本実施形態に係る光学ガラスと、アッべ数νdが23以上の青色における透過率が高い光学ガラスを用いて、それぞれ単レンズを作製し、鏡筒に組み込むことにより、撮像レンズ全体の色特性指数をCCI規格において定められている推奨許容範囲内に収めることができる。
こうした撮像レンズは、一眼レフカメラなどの交換レンズ、監視カメラ用レンズなどに好適である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[バッチ原料の調製]
まず、所望の特性を備えた光学ガラスを作製するにあたり、ガラスの原材料として、リン酸、メタリン酸バリウム、酸化チタン、酸化ニオブ、ホウ酸、炭酸バリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムをそれぞれ準備した。次に、最終的に得られる光学ガラスのガラス組成が、表1に示す酸化物組成I、IIとなるように、上記原材料を適宜選択、秤量し、十分混合してバッチ原料I、IIを作製した。
Figure 0007320100000001
[カレットおよび調合カレットの作製(ラフメルト工程)]
調合されたバッチ原料I、IIを、各光学ガラスのガラス原料とした。このガラス原料を石英製坩堝に投入し、大気雰囲気中で900~1350℃で熔解して熔融物を得た。このようにして得られた熔融物を水中に滴下してカレットを得た。
水中から取り出したカレットを乾燥させ、カレットの一部を屈折率測定用にサンプリングし、白金製坩堝に入れて熔解し、得られたガラス融液を清澄、均質化した後、鋳型に鋳込んで成形し、ガラス転移温度付近の温度で保持した後、-30℃/時の降温速度で冷却した。このようにして得た屈折率測定用試料の屈折率ndを日本光学硝子工業会規格で定められた屈折率測定法により測定した。
次に、測定した屈折率ndに応じて、所望の屈折率となるようにカレットを調合し、光学ガラス製造用の調合カレットを得た。
[光学ガラスの作製(リメルト工程)]
次に、調合カレットを白金製坩堝(熔融容器)に投入し、800~1350℃の範囲内で白金製坩堝内の調合カレットを加熱、熔融し、熔融ガラスとした(熔融工程)。
その後、坩堝の温度を清澄温度(900~1450℃の範囲)にまで昇温し、清澄した(清澄工程)。続けて、坩堝の温度を均質化温度にまで降温し、攪拌器具で攪拌して均質化した(均質化工程)。
なお、熔融炉内の容積(坩堝を収納する耐火物製の炉内空間の体積)、および熔融炉内での熔融物の滞在時間(白金熔融容器にカレットを投入してから、熔融容器から熔融ガラスを流出するまでの時間)は、表2に示す。
また、熔融工程、清澄工程、均質化工程の実施に際しては、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理(ia)を行った。
具体的には、熔融炉外から白金製パイプを、炉内に配置した白金製坩堝内に挿入し、この白金製パイプを通して、水蒸気(H2O 100体積%)を白金製坩堝内の空間へと供給した。このように、熔融雰囲気への水蒸気の付加は、大気に水蒸気を付加することにより行った。供給した水蒸気の流量は、表2に示す。
なお、表2中に示す、水蒸気の流量は常温、常圧での流量に換算した値であり、単位はリットル/分である。
Figure 0007320100000002
このようにして均質化した熔融ガラスを、大気雰囲気中で、坩堝底部に取り付けた白金製のガラス流出パイプより流出し(流出工程)、流出パイプの下方に配置した鋳型に流し込むことで、長尺のガラスブロック(幅150mm×厚10mm)を成形した(成形工程)。
その後、上記ガラスブロックを、大気雰囲気中で、+100℃/時の速度で昇温し、それぞれのガラス転移温度付近で1.5~8時間保持し、-10℃/時の速度で降温して(アニール工程)、歪を除去し、酸化物組成Iを有す試料1、酸化物組成IIを有する試料2の2種類の光学ガラスサンプルを得た。
[光学ガラスの評価]
得られた光学ガラスサンプル(試料1、2)の各種物性は、以下のように測定、評価した。
[1]ガラス組成
光学ガラスサンプルを適量採取し、これを酸およびアルカリ処理し、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS法)、イオンクロマトグラフィー法を用いて、各成分の含有量を定量することで測定し、酸化物組成I、IIと一致していることを確認した。
[2]屈折率nd、アッベ数νdおよびガラス転移温度Tg
光学ガラスサンプルを作製する際の、均質化工程を経た熔融ガラスを、鋳型に鋳込んで成形し、ガラス転移温度付近の温度で保持した後、-10℃/時の降温速度で冷却し、測定用試料を作製した。得られた測定用試料について、日本光学硝子工業会規格で定められた屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、ncを測定した。さらに、これら屈折率の測定値より、アッベ数νdを算出した。
次に、光学ガラスサンプルを加工して、円柱形状の測定用試料(直径5mm、高さ20mm)を作製した。得られた測定用試料について、熱機械分析装置(TMA)を用い、昇温速度+10℃/分の条件で、ガラス転移温度Tgを測定した。
なお、これらの特性値は、ガラス組成に起因するため、同じバッチ原料をガラス原料としている光学ガラスサンプルでは、実質的に同じ値となることが確認された。結果を表3に示す。
Figure 0007320100000003
[3]βOH
光学ガラスサンプルを加工して、両面が互いに平行かつ平坦に光学研磨された厚さ1mmの板状ガラス試料を準備した。この板状ガラス試料の研磨面に垂直方向から光を入射して、波長2500nmにおける外部透過率Aおよび波長2900nmにおける外部透過率Bを、分光光度計を用いてそれぞれ測定し、下記式(7)により、βOHを算出した。
βOH=-[ln(B/A)]/t ・・・(7)
上記式(7)中、lnは自然対数であり、厚さtは上記2つの平面の間隔に相当する。また、外部透過率は、ガラス試料表面における反射損失も含み、ガラス試料に入射する入射光の強度に対する透過光の強度の比(透過光強度/入射光強度)である。また、βOHの値は、高いほど、ガラス中に水が多く含まれていることを意味する。結果を表6に示す。
[4]分光透過率および色特性指数
光学ガラスサンプルを、大気雰囲気中で、+100℃/時の速度で昇温し、所定の保持温度で100時間保持して、-30℃/時の速度で降温して、熱処理した。なお、保持温度は、組成に応じて異なるため、それぞれの光学ガラスサンプルの酸化物組成に応じて、表4に示す温度とした。
Figure 0007320100000004
熱処理後の光学ガラスサンプルを加工して、両面が互いに平行かつ平坦に光学研磨された厚さ10mmの板状ガラス試料を準備した。このようにして得られた板状ガラス試料について、分光光度計を用いて波長370nm~680nmにおける外部透過率(分光透過率)を測定した。なお、上記分光透過率の測定法は、CCI規格の附属書で定められている方法に準ずるものである。
分光透過率から、CCI規格において定められた計算法により、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)のそれぞれについて色特性指数ISO/CCI(B)、ISO/CCI(G)、ISO/CCI(R)を算出した。
測定によって得られた分光透過率、相対分光透過率、色特性指数ISO/CCI(B)、ISO/CCI(G)、ISO/CCI(R)について、試料1の測定結果および計算結果を表5に、試料2の測定結果および計算結果を表6に示す。
Figure 0007320100000005
Figure 0007320100000006
[5]Pt含有量
光学ガラスサンプルを適量採取し、これをアルカリ融解して、Ptを分離する処理した後、ICP-MS法によりガラス中のPt量を定量した。結果を表7に示す。Pt以外の貴金属の含有量は0であった。
[6]泡切れ
光学ガラスサンプルを作製する際の、清澄工程を開始する前の熔融ガラス(ガラス融液)を40cc採取し、大気中で別の白金坩堝で一定時間清澄し、ガラス融液を白金坩堝中で冷却し、固化させた。この過程で、ガラス中に含まれる泡の数をカウントできる程度に着色を低減した。次に固化したガラスを白金坩堝から取り出した。
このようにして得られた測定用サンプルについて、光学顕微鏡(倍率20~100倍)を用いてガラス内部を拡大観察(100倍)し、ガラス中に含まれる泡の数をカウントした。清澄時間の異なる測定用サンプルのそれぞれについて同様の観察を行い、ガラス中に残留する泡数が100個/kg以下になる測定用試料の清澄時間を、泡切れの時間として
評価した。泡切れ時間は、短いほど清澄性に優れている。結果を表7に示す。
Figure 0007320100000007
表7に示すように、本実施例によれば、熔融容器であるPtが熔融ガラス中に溶け込むことを有効に防止することができ、得られる光学ガラスサンプルにおいて、貴金属の含有量を低減できることが確認された。また、得られる光学ガラスサンプルの含水量を高めることができ、このような光学ガラスサンプルは酸化雰囲気中において熱処理を施すことで透過率を劇的に改善し、色特性指数をCCI規格で定められている推奨許容範囲内に収めることができた。
(比較例)
熔融容器には蓋をせずに、開放した状態で、水蒸気を供給せず、熔解工程から清澄工程を経て均質化工程に至るまで、全て大気雰囲気下で行った以外は、実施例1と同様にして酸化物組成Iを有する光学ガラスサンプル(試料1´)と酸化物組成IIを有する光学ガラスサンプル(試料2´)を作製した。試料1´、試料2´の分光透過率、βOH、Pt含有量、泡切れに要する時間を、実施例1と同様の方法で測定、評価した。
試料1´の厚さ10mmにおける分光透過率、相対分光透過率、特性指数ISO/CCI(B)、ISO/CCI(G)、ISO/CCI(R)を表8に示す。
試料2´の厚さ10mmにおける分光透過率、相対分光透過率、特性指数ISO/CCI(B)、ISO/CCI(G)、ISO/CCI(R)を表9に示す。
試料1´、試料2´のβOH、Pt含有量、泡切れに要する時間を表10に示す。
Figure 0007320100000008
Figure 0007320100000009
Figure 0007320100000010
試料1´の厚さ10mmにおけるISO/CCI(B)は0、ISO/CCI(G)は10.6、ISO/CCI(R)は11.2であり、CCI規格の色特性指数の推奨許容範囲外になっている。
試料2´の厚さ10mmにおけるISO/CCI(B)は0、ISO/CCI(G)は
19.2、ISO/CCI(R)は20.0であり、CCI規格の色特性指数の推奨許容範囲外になっている。
(実施例1および比較例のまとめ)
10mm、5mm、2mm、1.5mmの各厚さにおける試料1、試料2についての色特性指数を表11に示す。
10mm、5mm、2mm、1.5mmの各厚さにおける試料1´、試料2´についての色特性指数を表11に示す。
Figure 0007320100000011
(実施例2)
実施例1で作製した酸化物組成Iからなる光学ガラスサンプル(試料1)をプレス成形用ガラス素材とし、ガラス素材を加熱、軟化して、プレス成形型を用いてプレスし、凹メニスカスレンズの形状に近似する形状のレンズブランクを成形した。
レンズブランクをアニールして歪を低減するとともに、屈折率nd、アッべ数νdを表3に記載の値に一致させた。
その後、レンズブランクを研削、研磨加工し、レンズブランクの一方の主表面を曲率半径が287.45mmの凸球面形状の光学研磨面(第1面)とし、他方の主表面を曲率半径が119.14mmの凹球面形状の光学研磨面(第2面)とし、凹メニスカスレンズを作製した。なお、凹メニスカスレンズの中心肉厚は1.5mmとした。レンズの両光学機能面に反射防止機能を備える光学多層膜をコートした。
(実施例3)
実施例1で作製した酸化物組成IIからなる光学ガラスサンプル(試料2)をプレス成形用ガラス素材とし、ガラス素材を加熱、軟化して、プレス成形型を用いてプレスし、凹メニスカスレンズの形状に近似する形状のレンズブランクを成形した。
レンズブランクをアニールして歪を低減するとともに、屈折率nd、アッべ数νdを表3に記載の値に一致させた。
その後、レンズブランクを研削、研磨加工し、レンズブランクの一方の主表面を曲率半径が26.00mmの凸球面形状の光学研磨面(第1面)とし、他方の主表面を曲率半径が18.81mmの凹球面形状の光学研磨面(第2面)とし、凹メニスカスレンズを作製した。なお、凹メニスカスレンズの中心肉厚は0.8mmとした。レンズの両光学機能面に反射防止機能を備える光学多層膜をコートした。
(実施例4)
実施例2において作製した凹メニスカスを用いて、焦点距離24mm~69mmのズームレンズを作製した。
ズームレンズは正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、正の第3レンズ群、正の第4レンズ群の4群からなる。
上記凹メニスカスレンズは第1レンズ群の最も物体側(被写体側)に使用する。第1レンズ群は上記凹メニスカスレンズを含む3枚のレンズからなる。
第1レンズ群を構成する他の2枚のレンズは、一方の光学機能面が曲率半径119.14mmの凸球面(第3面)、他方の光学機能面の曲率半径が963.83mmの凹球面(第4面)であり、中心肉厚が7.0mm、屈折率ndが1.773、アッべ数νdが 49.62の光学ガラスからなる凸メニスカスレンズ、一方の光学機能面の曲率半径が64.75mmの凸球面(第5面)、他方の光学機能面の曲率半径が158.53mmの凹球面(第6面)であり、中心肉厚が7.0mm、屈折率ndが1.729、アッべ数νdが5
4.67の光学ガラスからなる凸メニスカスレンズである。
凹メニスカスレンズの第2面と凸メニスカスレンズの第3面を公知の方法で接合する。そして、図2に示すように、物体側から像側に、第1面1、第2面2、第3面2、第4面3、第5面4、第6面5の順に並ぶように、各レンズを配置し、第1レンズ群とする。第2面2と第3面2とは接合面である。
第4面と第5面の間隔は0.2mmとする。すなわち、物体側に配置する接合レンズと、第5面と第6面を有する凸メニスカスレンズの間隔を0.2mmとする。
このようにして得た第1レンズ群と、負の第2レンズ群、正の第3レンズ群、正の第4レンズ群をレンズ鏡筒内に組み込み、ズームレンズを作製した。ズームレンズは、各レンズ群の距離を変えることによりズーム機能が得られる。
なお、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群に使用した各レンズはいずれもアッべ数νdが23以上であり、従来の高分散ガラス製レンズのように、還元色等による青色における透過率の低下を起こし難い。したがって、上記ズームレンズは、ズームレンズ全体の色特性指数はCCI規格で定められている推奨許容範囲になっている。
そのため、上記ズームレンズは、一眼レフカメラなどの撮像機器の交換レンズとして好適である。
(実施例5)
実施例3において作製した凹メニスカスを用いて、焦点距離5mm~34mmのズームレンズを作製した。
ズームレンズは正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、正の第3レンズ群、正の第4レンズ群の4群からなる。
上記凹メニスカスレンズは第1レンズ群の最も物体側(被写体側)に使用する。第1レンズ群は上記凹メニスカスレンズを含む2枚のレンズからなる。
第1レンズ群を構成する他のレンズは、一方の光学機能面が曲率半径18.81mmの凸球面(第3面)、他方の光学機能面の曲率半径が191.91mmの凹球面(第4面)であり、中心肉厚が3.5mm、屈折率ndが1.816、アッべ数νdが46.62の光学ガラスからなる凸メニスカスレンズである。
凹メニスカスレンズの第2面と凸メニスカスレンズの第3面を公知の方法で接合する。図3は、このようにして作製した接合レンズの光軸を含む断面図であり、上記接合レンズが第1レンズ群となる。第2面2´と第3面2´とが接合面である。
上記第1レンズ群と、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群をレンズ鏡筒内に組み込み、ズームレンズを作製した。ズームレンズは、各レンズ群の距離を変えることによりズーム機能が得られる。
なお、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群に使用した各レンズはいずれもアッべ数νdが23以上であり、従来の高分散ガラス製レンズのように、還元色等による青色における透過率の低下を起こし難い。したがって、上記ズームレンズは、ズームレンズ全体の色特性指数はCCI規格で定められている推奨許容範囲になっている。
そのため、上記ズームレンズは、一眼レフカメラなどの撮像機器の交換レンズとして好適である。
1 実施例4における最も物体側のレンズの第1面
2 実施例4における最も物体側のレンズの第2面、物体側から2番目のレンズの第3面3 実施例4における物体側から2番目のレンズの第4面
4 実施例4における物体側から3番目のレンズの第5面
5 実施例4における物体側から3番目のレンズの第6面
1´ 実施例5における最も物体側のレンズの第1面
2´ 実施例5における最も物体側のレンズの第2面、物体側から2番目のレンズの第3面
3´ 実施例5における物体側から2番目のレンズの第4面


Claims (5)

  1. アッベ数νdが23未満であり、
    屈折率ndが1.91以上であり、
    厚さ10mmの平板に換算したときのISO色特性指数ISO/CCIが、青色(B)については0、緑色(G)については9以下、赤色(R)については9以下であり、
    酸化物換算で、Li 2 O、Na 2 OおよびK 2 Oの合計含有量が0~16モル%であり、
    酸化物換算で、TiO 2 、Nb 2 5 、Bi 2 3 およびWO 3 の合計含有量が35モル%以上であり、
    下記(1)または(2)の何れか一方、または両方を満たし、
    (1)酸化物換算で、P 2 5 、SiO 2 、B 2 3 、TiO 2 、Nb 2 5 、WO 3 、Bi 2 3 、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Li 2 O、Na 2 O、K 2 O、Al 2 3 、ZrO 2 、GeO 2 、TeO 2 およびSb 2 3 の合計含有量を99モル%以上である;
    (2)酸化物換算で、Ta 2 5 、Y 2 3 、La 2 3 、Gd 2 3 、Yb 2 3 、In 2 3 、Ga 2 3 およびFの合計含有量を0~0.5モル%である:かつ
    ガラス成分として、TiO 2 、Nb 2 5 、WO 3 およびBi 2 3 のうち少なくとも一種以上を含む、リン酸光学ガラス。
  2. Pb、As、Cd、U、Th、Tlを実質的に含有しない、請求項1に記載のリン酸塩光学ガラス。
  3. Sb 2 3 を実質的に含有しない、請求項1または2に記載のリン酸塩光学ガラス
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のリン酸塩光学ガラスからなる光学素子。
  5. 鏡筒と、前記鏡筒に配置された複数の単レンズを備える撮像レンズにおいて、
    前記複数の単レンズの少なくとも一つが、請求項1~3のいずれかに記載のリン酸塩光学ガラスからなる撮像レンズ。

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