JP2011246344A - ガラス成形体の製造方法、光学素子及び光学機器 - Google Patents

ガラス成形体の製造方法、光学素子及び光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】特に遷移金属であるNb成分を含有するガラスにおいて、着色の少ないガラスを得ることが可能な、光学ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス成形体の製造方法は、Nb成分を必須成分として含有するガラス原料を溶解し、溶解したガラス中で非酸化性ガスをバブリングする工程を有する。この製造方法は、ガラス原料Sを溶融する溶融槽11と、この溶融槽11に連通され且つ溶融ガラスGを清澄する清澄槽12と、この清澄槽12に連通され且つ溶融ガラスGを撹拌する撹拌槽13と、を用い、ガラス原料Sを溶融槽11で溶融する溶融工程、溶融したガラス原料Sを清澄槽12で清澄させる清澄工程、清澄した溶融ガラスGを撹拌槽13で撹拌する撹拌工程、撹拌した溶融ガラスGを流出させる流出工程、及び、流出したガラスを成形する成形工程を有することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス成形体の製造方法、光学素子及び光学機器に関する。
近年、光学レンズを使用する光学機器の高機能化が急速に進められており、これに伴って光学レンズに対する高精度化の要求が強まっている。これら高精度化に対する市場の要求としては、具体的にはガラス内部の均質性が高いこと、透過率が極めて高いこと、屈折率やアッベ数といった光学特性が一定であること等が挙げられるが、これらを実現するために種々の方法が公知である。
かかる方法として、フッ素化合物やメタリン酸化合物を含有するガラス原料から得られる溶融ガラスに酸化性ガスをバブリングする工程を有する方法が公知である(特許文献1参照)。また、SiO及び/又はBを含有するガラス原料を溶融して得られる溶融物に非酸化性ガスをバブリングする工程を有する方法が公知である(特許文献2参照)。
特開2002−128528号公報 特開2007−126296号公報
特に、特許文献1に記載された方法では、酸化性ガスを溶融ガラスにバブリングすることによって、得られるガラスの着色がある程度は低減される。しかしながら、特許文献1の実施例に記載された方法に従って酸化性ガスをバブリングする場合、得られるガラスは、精密アニール等の熱処理を行っても、ガラスの光線透過率が改善されないため、高い光学性能が要求される光学機器の用途に用い難い。
また、特許文献2に記載された方法では、Ti以外の遷移金属の合計含有量を微量成分としても殆ど含有しないことが求められており、これらの遷移金属は少量添加しても透過率の劣化を招く旨が記載されている。そのため、特許文献2に記載された方法は、Ti以外の遷移金属を含有するガラスに対して適用できない。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、特に遷移金属であるNb成分を含有し、且つ着色が少ないガラスを得ることが可能な、光学ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意試験研究を重ねた結果、ガラス原料にNb成分を含有させた上で、溶解したガラス中で非酸化性ガスをバブリングする工程を行うことで、高分散を有しながらも、ガラスの可視光に対する透過率が高められることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ガラス成形体の製造方法であって、Nb成分を必須成分として含有するガラス原料を溶解し、溶解したガラス中で非酸化性ガスをバブリングする工程を有する製造方法。
(2) 前記非酸化性ガスは、実質的に不活性ガスからなる(1)記載の製造方法。
(3) ガラス原料を溶融する溶融槽と、この溶融槽に連通され且つガラスを清澄する清澄槽と、この清澄槽に連通され且つガラスを撹拌する撹拌槽と、を用い、ガラス原料を前記溶融槽で溶融する工程(溶融工程)、溶融したガラス原料を前記清澄槽で清澄させる工程(清澄工程)、清澄した溶融ガラスを前記撹拌槽で撹拌する工程(撹拌工程)、撹拌した溶融ガラスを流出させる工程(流出工程)、及び流出したガラスを成形する工程(成形工程)を有する(1)又は(2)記載の製造方法。
(4) 前記ガラス原料として、アンチモン及び/又はスズを含有するものを用いる(1)から(3)いずれか記載の製造方法。
(5) 前記ガラス原料として、アンチモン成分の含有量が1.0質量%以下のものを用いる(1)から(4)いずれか記載の製造方法。
(6) (1)から(5)いずれか記載の製造方法で製造され、白金の含有量が酸化物基準で50ppm以下であるガラス成形体からなる光学素子。
(7) (6)記載の光学素子を用いる光学機器。
本発明によれば、ガラス原料にNb成分を含有させた上で、溶解したガラス中で非酸化性ガスをバブリングする工程を行うことにより、高屈折率及び高分散を有しながらも、着色の少ないガラスを得ることが可能な、光学ガラスの製造方法を提供できる。
本発明の実施形態で用いられるガラス溶融装置の好ましい一例を示す断面図である。
本発明の光学ガラスの製造方法は、ガラス成形体の製造方法であって、Nb成分を必須成分として含有するガラス原料を溶解し、溶解したガラス(溶融ガラス)中で非酸化性ガスをバブリングする工程を有する。これにより、Nb成分によって高屈折率及び高分散がもたらされながらも、バブリングによって溶融ガラスに含まれる余分な酸素成分の排出が促進され、適度な酸素成分の濃度に調節される。すなわち、ガラスからの酸素成分の過剰な排出によるNb成分の還元を低減でき、且つ、ガラス溶解装置に含まれる成分(特にPt等の貴金属)の余分な酸素成分による溶出も低減できることで、ガラスの可視光に対する透過率が高められる。そのため、高屈折率及び高分散を有しながらも、着色の少ないガラスを得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの製造方法の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス原料]
まず、本発明の製造方法で用いられるガラス原料について説明する。本発明で用いられるガラス原料は、Nb成分を必須成分として含有し、且つガラスを形成可能な原料の中から適宜選択される。その中でも、以下に述べるようなガラス原料を用いることが好ましい。
以下、本発明で用いられるガラス原料を構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は特に断りがない場合は、全て酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対する質量%(酸化物基準の質量%)で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明でガラス原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス原料中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
本発明で用いるガラス原料は、Nb成分を含有する。Nb成分を含有する溶融ガラスに非酸化性ガスをバブリングすることにより、ガラスに含まれる酸素の濃度が適度に保たれることでNb成分の還元が低減されるため、それによるガラスの着色を低減できる。それとともに、酸素等の酸化性の成分を過剰に含有することで生じうる溶解設備(特にPt等の貴金属)の溶存が低減されるため、ガラスの着色を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するNb成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは30.0%を下限とする。一方、Nb成分の含有量を60.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めて耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するNb成分の含有量は、好ましくは60.0%、より好ましくは58.0%、最も好ましくは56.0%を上限とする。Nb成分は、例えばNb等を用いてガラス原料に含有できる。
また、本発明で用いるガラス原料は、アンチモン及び/又はスズを含有することが好ましい。これにより、非酸化性ガスのバブリングによって酸素成分が必要以上に除去され、溶融ガラスに酸素の欠乏状態が生じたとしても、アンチモン及び/又はスズから放出される酸素原子によって補われ易くなる。より具体的には、非酸化性ガスのバブリングによって引き起こされうる、溶融ガラス中のNb成分等の遷移金属成分の還元が、この酸素原子によって起こり難くなる。すなわち、遷移金属成分の還元によって低下しがちであった、短波長側の可視光に対するガラスの透過率を高められることで、ガラスの着色を低減することができる。加えて、特にガラスに対して熱処理を行う場合、アンチモン及び/又はスズの少量の含有によって、溶融ガラスに既に還元した状態で含まれていたNb成分等の遷移金属成分の酸化が促進されるため、ガラスを除歪することができ、特に短波長側の可視光についてのガラスの透明性を高めることで、着色を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対する、Sb成分及びSnO成分からなる群より選択される1種以上の質量和は、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.01%、最も好ましくは0.05%を下限とする。なお、本発明で用いるガラス原料は、アンチモン及びスズを含有しなくてもよい。
このうち、Sb成分の含有量は、1.0%以下にすることが好ましい。これにより、Sb成分から放出される酸素による溶解設備(特にPt等の貴金属)の溶存が低減されるため、溶解設備の溶存によって生じる、ガラスの着色を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するSb成分の含有量は、溶解設備の溶存を低減する観点から、好ましくは1.0%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.3%を上限とする。Sb成分は、例えばSb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス原料に含有することができる。
一方、SnO成分の含有量は、0.5%以下にすることが好ましい。これにより、SnO成分から放出される酸素による溶解設備(特にPt等の貴金属)の溶存が低減されるため、溶解設備の溶存によって生じる、ガラスの着色を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するSnO成分の含有量は、同じく溶解設備の溶存を低減する観点から、好ましくは0.5%、より好ましくは0.3%、最も好ましくは0.1%を上限とする。SnO成分は、例えばSnO、SnO、SnO等を用いてガラス原料に含有することができる。
また、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するSb成分及びSnO成分からなる群より選択される1種以上の質量和は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.3%を上限とする。
成分は、ガラス形成成分であり、ガラスの溶解温度を下げる成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、P成分の含有量を40.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するP成分の含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは35.0%、最も好ましくは30.0%を上限とする。なお、P成分は含有しなくとも所望の特性を有するガラスを得ることは可能であるが、P成分の含有量を10.0%以上にすることで、ガラスの可視光に対する透過率を高めつつ、ガラスの安定性を高めて耐失透性を高めることができる。また、ガラスの溶解温度が低くなるため、酸素成分の蒸発によるNb成分の還元を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するP成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは20.0%を下限とする。P成分は、例えばAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いてガラス原料に含有できる。
TiO成分及びWO成分は、ガラスの屈折率及び分散を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、TiO成分及び/又はWO成分の含有量を所定以下にすることで、ガラスの安定性を高めて耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対して、TiO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは28.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。また、WO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。なお、TiO成分及びWO成分はいずれも含有しなくとも技術的な不利益はないが、TiO成分を0.1%以上、又はWO成分を0.1%以上にすることで、所望の高屈折率及び高分散を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対して、TiO成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは1.0%、最も好ましくは2.0%を下限とする。また、WO成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは1.0%、最も好ましくは2.0%を下限とする。TiO成分及びWO成分は、例えばTiO、WO等を用いてガラス原料に含有できる。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、ガラス転移点(Tg)を下げる成分であるとともに、ガラス形成時の耐失透性を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、LiO成分、NaO成分及びKO成分のうち1種以上の含有量を所定以下にすることで、所望の高屈折率を得易くすることができ、ガラスの安定性を高めて失透等の発生を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対して、LiO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。また、NaO成分の含有量は、好ましくは35.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。また、KO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。LiO成分、NaO成分及びKO成分は、例えばLiCO、LiNO、LiF、NaCO、NaNO、NaF、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラス原料内に含有できる。
さらに、このガラス原料は、RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の質量和が、35.0%以下であることが好ましい。特に、RnO成分の含有量の質量和が35.0%以下であることにより、ガラスの屈折率の低下が抑えられるため、所望の高屈折率を得易くすることができる。また、ガラスの安定性が高められるため、ガラスへの失透等の発生を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するRnO成分の含有量の質量和は、好ましくは35.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。なお、RnO成分はいずれも含有しなくとも所望の特性を備えた光学ガラスを得ることができるが、RnO成分の含有量の質量和が0.1%以上であることにより、ガラスの高分散化を図りつつ、ガラス転移点(Tg)を下げ、ガラスの耐水性を高めることができる。また、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの耐失透性をより高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するRnO成分の含有量の質量和は、好ましくは0.1%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは7.0%を下限とする。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、ガラスの液相温度を下げることでガラスの耐失透性を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分のうち1種以上の含有量を所定以下にすることで、所望の高屈折率及び高分散を得易くし、耐失透性や化学的耐久性の低下を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対して、MgO成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは4.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。また、CaO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。また、SrO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。また、BaO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは28.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、例えばMgCO、MgF、CaCO、CaF、Sr(NO、SrF、BaCO、Ba(NO、BaF等を用いてガラス原料内に含有できる。
このガラス原料は、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の質量和が、30.0%以下であることが好ましい。これにより、RO成分による屈折率及び分散の低下が抑えられるため、所望の高屈折率及び高分散を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するRO成分の含有量の質量和は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。なお、RO成分はいずれも含有しなくとも所望の特性を備えた光学ガラスを得ることができるが、RO成分の少なくともいずれかを0.1%以上含有することで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの耐失透性をより高めることができる。従って、この場合における酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するRO成分の含有量の質量和は、好ましくは0.1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは1.0%を下限とする。
La成分、Gd成分及びY成分は、ガラスの屈折率を高めるとともに、ガラスの化学的耐久性を向上する成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、Ln成分(式中、LnはY、La、Gdからなる群より選択される1種以上)の含有量を所定以下にすることで、Ln成分によるアッベ数の上昇が抑えられるため、所望の高分散を得易くすることができる。また、Ln成分の含有量を所定以下にすることにより、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの耐失透性を高めて光線透過率を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するLn成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。また、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するLn成分の合計の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。Ln成分は、例えばY、YF、La、La(NO・XHO(Xは任意の整数)、Gd、GdF等を用いてガラス原料に含有できる。
SiO成分及びB成分は、着色を低減して短波長の可視光に対する透過率を高めるとともに、ガラスの液相温度を低くしてガラスの耐失透性を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、SiO成分及び/又はB成分の含有量を60.0%以下にすることで、SiO成分及び/又はB成分による屈折率の低下が抑えられるため、所望の高屈折率を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するSiO成分及び/又はB成分の含有量は、従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するSiO成分及び/又はB成分の含有量は、好ましくは60.0%、より好ましくは40.0%、さらに好ましくは30.0%を上限とする。特に、屈折率及び分散が高いガラスを得易くできる観点では、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するSiO成分及び/又はB成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とし、最も好ましくは2.0%未満とする。SiO成分及びB成分は、例えばSiO、KSiF、NaSiF、HBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス原料に含有できる。
なお、SiO成分及びB成分は、いずれも含有しなくとも所望の特性を有するガラスを得ることは可能であるが、SiO成分及びB成分の合計含有量を0.1%以上にすることで、ガラスの可視光に対する透過率を高めつつ、ガラスの安定性を高めて耐失透性を高めることができる。また、ガラスの溶解温度が低くなるため、酸素成分の蒸発によるNb成分の還元を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するSiO成分及びB成分の合計含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは1.0%を下限とする。
GeO成分は、ガラスの屈折率を高めるとともに、ガラスの液相温度を低くしてガラスの耐失透性を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、GeO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するGeO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。GeO成分は、例えばGeO等を用いてガラス原料に含有できる。
Bi成分は、ガラスの屈折率を上げ、ガラスの分散を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、Bi成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を低くして耐失透性の低下を抑えることができるため、ガラスの透過率の低下を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するBi成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%を上限とし、さらに好ましくは10.0%未満とし、最も好ましくは5.0%未満とする。
ZrO成分は、可視光に対する透過率を高めるとともに、ガラスの耐失透性を高めてガラスの耐失透性を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、ZrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ZrO成分による屈折率の低下が抑えられるため、所望の高屈折率を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するZrO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。ZrO成分は、例えばZrO、ZrF等を用いてガラス原料内に含有できる。
ZnO成分は、ガラスの液相温度を下げることでガラスの耐失透性を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、ZnO成分の含有量を10.0%以下にすることで、所望の高屈折率及び高分散を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するZnO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。ZnO成分は、例えばZnO、ZnF等を用いてガラス原料内に含有できる。
Al成分は、ガラスの化学的耐久性を向上し、ガラス溶融時の粘度を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、Al成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの溶融性を高めつつ、ガラスの失透傾向を弱めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するAl成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF等を用いてガラス原料内に含有できる。
Ta成分は、ガラスの屈折率を高める成分であり、ガラス原料中の任意成分である。特に、Ta成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスを失透し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス原料の全質量に対するTa成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは4.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス原料内に含有できる。
<含有すべきでない成分について>
ガラス原料には、ガラスの特性を損なわない範囲で、他の成分を必要に応じて添加できる。しかしながら、上述の各成分を除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、例えばNb、Ti及びWに比べてもガラスの着色を起こり易くする性質が強いため、本発明の光線透過率に関する効果を減殺し易い。従って、これらの遷移金属成分は、含有量を低減させることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
また、PbO等の鉛化合物、及び、Th、Cd、Tl、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄できる。
[光学ガラスの作製]
本発明の製造方法では、上述のガラス原料Sに対して溶融工程、清澄工程、撹拌工程、流出工程及び成形工程を行い、光学ガラスを作製する。
<ガラス溶解装置>
これら溶融工程、清澄工程、撹拌工程及び流出工程は、例えば図1に示すような、溶融槽11と、清澄槽12と、撹拌槽13と、を備えたガラス溶解装置1を用いる。溶融槽11はガラス原料Sを溶融する溶融工程を行い、清澄槽12はガラスを清澄する清澄工程を行い、撹拌槽13はガラスを撹拌する撹拌工程を行う。図1では、溶融槽11と清澄槽12が連通管16で連通され、清澄槽12と撹拌槽13が連通管17で連通されている。これにより、溶融ガラスGが溶融槽11、清澄槽12及び撹拌槽13の順に流動するため、各工程における溶融ガラスGの温度や酸素濃度等に適した部材で構成された、溶融槽11、清澄槽12及び撹拌槽13を用いることができる。従って、バブリングを行う前における溶融ガラスGへのガラス溶解装置1の成分の溶出を低減しながらも、バブリングによって生じる気泡の除去を行い易くして、Nb成分等の遷移金属の還元によるガラスの着色を低減できる。
溶融槽11及び/又は清澄槽12は、原料ガラスS及び/又は溶融ガラスGと接する部分(器壁111、121)の少なくとも一部が石英、白金及び白金合金からなる群より選択される1種以上から形成されることが好ましい。これにより、溶融槽11や清澄槽12が溶融ガラスGの熱に耐えることができる。特に、バブリングを行う前に溶融ガラスGが貯留される槽(溶融槽11及び/又は清澄槽12)のうち、溶融ガラスGと接する部分の少なくとも一部は、石英から形成されることが好ましい。これにより、溶融槽11及び/又は清澄槽12と、バブリングを行う前の酸素濃度の高い溶融ガラスGとの反応が低減されるため、着色の少ない光学ガラスを形成し易くできる。
一方、撹拌槽13は、溶融ガラスGと接する部分(器壁131)の少なくとも一部が白金又は白金合金から形成されることが好ましい。これにより、白金又は白金合金の有する自由電子によって器壁131の熱伝導性が高められるため、溶融ガラスGに気泡が含まれていても溶融ガラスGの均熱性を高められることで、溶融ガラスGからの気泡の除去を促進しつつ、溶融ガラスGの局所的な過剰な加熱によるNbの還元を低減できる。
ガラス原料Sの溶融槽11への供給、溶融ガラスGの溶融槽11から清澄槽12への供給、及び溶融ガラスGの清澄槽12から撹拌槽13への供給は、連続的に行うことが好ましい。これにより、ガラス原料Sや溶融ガラスGが供給される槽に貯留された溶融ガラスGの温度が変動し難くなるため、バブリングされた非酸化性気体や溶融ガラスGに含まれる余分な気体成分の排出を促進できる。一方で、ガラス原料Sの溶融槽11への供給、溶融ガラスGの溶融槽11から清澄槽12への供給、及び溶融ガラスGの清澄槽12から撹拌槽13への供給は、間欠的に行うことも好ましい。これにより、余分な気体成分を多く含んだ溶融ガラスGやガラス原料Sが供給されなくなる時間が生じるため、溶融ガラスGに含まれる余分な気体成分がより排出された状態で、溶融ガラスGを次工程に送ることができる。
一方で、溶融工程、清澄工程及び撹拌工程のうち二以上の工程は、同一の槽で行い、若しくは一工程を複数の槽で行うものであってもよい。より具体的には、ガラス原料Sを槽に供給した後で、溶融工程、清澄工程及び撹拌工程を同一の槽で行い、この槽から溶融ガラスGを流出させるようにしてもよい。このように本明細書における溶融槽、清澄槽及び撹拌槽は、溶融工程、清澄工程及び撹拌工程を行う槽のことであり、これらのうち2以上を兼ねる槽も含むものとする。
<バブリング>
本発明の製造方法は、溶融ガラスG中で非酸化性ガスをバブリングする工程を有する。これにより、溶融ガラスGに含まれる酸素成分の排出が促進され、適度な酸素成分の濃度に調節される。すなわち、ガラスからの酸素成分の過剰な排出によるNb成分等の遷移金属成分の還元を低減できることで、遷移金属成分の還元によるガラスの着色を低減できる。また、溶融ガラスGに含まれる余分な酸素成分によって引き起こされる、ガラス溶解装置に含まれる成分(特にPt等の貴金属)の溶融ガラスGへの溶出を低減できることで、光学ガラスの着色を低減できる。従って、高屈折率及び高分散を有しながらも、着色の少ない光学ガラスを得ることができる。
ここで、バブリングは、溶融ガラスGが流出手段14に隣接する槽に貯留されるよりも前、又は、溶融ガラスGが流出手段14から流出するよりも前に行うことが好ましく、より具体的には、溶融ガラスGが溶融槽11及び/又は清澄槽12に貯留されているとき、すなわち溶融工程及び/又は清澄工程で行うことが好ましい。これにより、溶融ガラスGに供給された非酸化性ガスが、バブリングを行った槽から撹拌槽13までの間で排出され易くなるため、流出手段14から気泡を流出し難くでき、光学ガラスにおける気泡の形成を低減できる。
バブリングを行う際の気体の供給手段は、溶融ガラスGの中に気体を供給できれば特に限定されないが、本実施形態では、溶融槽11及び/又は清澄槽12の溶融ガラスG中で開口する気体供給管21、22と、気体供給管21、22に設けられる気体供給弁23、24と、気体供給弁23、24に設けられる気体供給源25とを有する気体供給装置2である。気体供給源25から気体を供給するタイミングや供給速度が気体供給弁23、24によって調節されながら、気体供給管21、22の開口から気体が供給される。そのため、溶融槽11及び/又は清澄槽12に貯留される溶融ガラスGの量や、溶融槽11及び/又は清澄槽12で溶融ガラスGが貯留される時間の長さに適したバブリングを行うことができる。
ここで、気体供給管21、22は、少なくとも溶融ガラスGと接する部分が石英、白金又は白金合金から形成されることが好ましい。これにより、気体供給管21、22が溶融ガラスGの熱に耐えられ、且つ、気体供給管21、22と溶融ガラスGとの反応が低減されるため、溶融ガラスGへのバブリングを確実に行えることで、所望の特性を有する光学ガラスを形成できる。特に、溶融ガラスGと接する部分が白金合金から形成される場合、気体供給管21、22は、少なくとも一部が開口211、221から上方向に延びていることが好ましい。これにより、気体供給管21、22に接する部分の溶融ガラスGが、開口211、221から供給される気泡によって余分な酸素成分が取り除かれ易くなるため、気体供給管21、22からの白金成分の溶出も低減でき、且つ、気体供給管21、22の長寿命化を図ることができる。
バブリングを行う際に溶融ガラスGに供給する気体は、非酸化性気体の中から適宜選択されるが、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)又はキセノン(Xe)、窒素(N)等の不活性ガス、一酸化炭素(CO)又は水素(H)等の還元性気体、若しくはこれら気体の1種以上の混合気体であることが好ましい。これにより、溶融ガラスGに含まれる余分な酸素成分が、溶融ガラスGに供給される非酸化性気体に溶け込み、又は非酸化性気体と反応する。そのため、溶融ガラスに含まれる余分な酸素成分を溶融ガラスGの外部に排出でき、溶融ガラスGの酸素成分の濃度を適切な範囲にすることができる。
その中でも特に、不活性ガスが好ましい。これにより、溶融ガラスGに供給される気体と、溶融ガラスGとの間での化学反応が抑えられることで、気体が溶融ガラスGに取り込まれ難くなるため、得られる光学ガラスの特性が気体によって悪影響を受け難い。
一方で、溶融ガラスGに供給する気体として、還元性気体を用いてもよい。溶融ガラスGから取り込まれる酸素成分が還元性気体と反応することで、酸素成分を取り込んだ後の気体の酸素分圧が低減される。そのため、酸素成分を取り込んだ後の非酸化性気体が、さらに酸素成分を取り込み易くすることができる。
<溶融工程>
溶融工程は、溶融槽11に供給された上述のガラス原料Sを溶融し、溶融ガラスGを形成する。ここで、溶融ガラスGを形成する方法は、ガラス原料Sの性状によって適宜選択される。
例えば、ガラス化されていないガラス原料Sからなるバッチを1回の加熱操作で溶融し、ガラス原料Sのガラス化と溶融ガラスGの形成とを同時に行うことが好ましい。これにより、少ない加熱時間で溶融ガラスGが形成され、ガラス原料Sと溶融槽11との接触時間が低減されるため、溶融槽11に含まれる成分(特にPt等の貴金属)のガラス中への溶出による着色を低減できる。
一方で、ガラス原料Sのうち、溶融及びガラス化が困難といわれるNb成分を含む1種以上を溶融後に冷却して少なくとも一部をガラス化させたカレットを、他のガラス原料や他のカレットに混合して溶融することも好ましい。これにより、溶融及びガラス化が、複数回に分かれることで進められ易くなり、ガラス原料Sや溶融ガラスGからの気泡の発生速度が低減されることで、ガラス原料Sや溶融ガラスGの均熱性が高められるため、より均一な組成及び特性を有する光学ガラスを得ることができる。
溶融工程でガラス原料Sを溶融する溶融温度は、ガラス原料Sを溶融でき且つ冷却後にガラス化できる温度の中から適宜選択される。より具体的には、溶融温度は900℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましく、1030℃以上がさらに好ましく、1050℃以上が最も好ましい。これにより、ガラス原料Sが溶融され易くなって溶け残りが生じ難くなるため、後述する撹拌工程の後に均質な光学ガラスを得ることができる。一方で、この溶融温度は、1400℃未満が好ましく、1300℃未満がより好ましく、1250℃未満がさらに好ましく、1240℃未満が最も好ましい。これにより、溶融槽に含まれる成分の溶融ガラスGへの溶出が低減されるため、これらの成分によるガラスの着色を低減できる。
なお、本願明細書における「溶融温度」は、溶融槽11の上部におけるガラス原料Sの温度と、溶融槽11の下部におけるガラス原料Sの温度と、の平均を指す。ここで、溶融槽11の上部及び下部におけるガラス原料Sの温度は、例えば溶融槽11の内部や壁面に設けられた図示しない熱電対を用いて求めることができる。また、溶融槽11の上部におけるガラス原料Sの温度は、放射温度計を用いて求めてもよい。
<清澄工程>
清澄工程は、溶融工程で溶融したガラス原料Sを、清澄槽12で所定時間にわたり滞留させて清澄させる。これにより、ガラス原料Sのガラス化がより進められるとともに、ガラス化によって生じる余分な気体成分(例えば酸素原子や水素原子)や、バブリングによって供給された非酸化性気体が気泡になって清澄槽12から排出され易くなる。そのため、ガラスの失透を低減できるとともに、ガラス溶解装置1に含まれる成分(特にPt等の貴金属)のガラス中への溶出を低減できる。従って、光学ガラスの可視光についての光線透過率を低下し難くすることができる。なお、本明細書における「溶融ガラス」は、ガラス化した後の溶融状態のガラス原料Sに加えて、ガラス化する前の溶融状態のガラス原料Sをも含むものとする。
清澄工程で溶融ガラスGを清澄させる清澄温度は、ガラス化を進めることが可能な温度の中から適宜選択されるが、溶融温度より高い温度であることが好ましい。より具体的には、清澄工程における清澄温度は、900℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましく、1020℃以上がさらに好ましく、1050℃以上がさらに好ましく、1080℃以上が最も好ましい。これにより、ガラス原料Sのガラス化の効率が高められながらも、溶融ガラスGの粘度が小さくなって非酸化性気体や余分な気体成分を含有する気泡が溶融ガラスGを浮上し易くなるため、失透及び気泡の少ない光学ガラスを得易くすることができる。一方で、この清澄温度は、1400℃未満が好ましく、1300℃未満がより好ましく、1250℃未満がさらに好ましく、1240℃未満が最も好ましい。清澄温度を所定以下の温度にすることで、溶融ガラスGと清澄槽12との相互作用、例えば清澄槽12に含まれる成分のガラス原料Sへの溶出が低減されるため、光学ガラスの着色を低減できる。
なお、本願明細書における「清澄温度」は、清澄槽12の上部における溶融ガラスGの温度と、清澄槽12の下部における溶融ガラスGの温度と、の平均を指す。ここで、清澄槽12の上部及び下部における溶融ガラスGの温度は、例えば清澄槽12の内部や壁面に設けられた図示しない熱電対を用いて求めることができる。また、清澄槽12の上部における溶融ガラスGの温度は、放射温度計を用いて求めてもよい。
<撹拌工程>
撹拌工程は、清澄した溶融ガラスGを撹拌槽13で撹拌する。溶融ガラスGに残留する非酸化性気体の気泡に余分な気体成分が取り込まれ、溶融ガラスGに残留する気泡が撹拌槽13の外部に排出され易くなるため、ガラス溶解装置1に含まれる成分(特にPt等の貴金属)のガラス中への溶出をより低減でき、且つ気泡の少ない光学ガラスを得ることができる。それとともに、溶融ガラスGの組成の均一性が高められるため、形成される光学ガラスの特性の変動を低減することができる。
撹拌工程で溶融ガラスGを撹拌する撹拌手段4は、溶融ガラスGの粘度や撹拌槽13の形状等によって適宜選択される。ここで、撹拌手段4は、攪拌翼41が撹拌槽13の底面及び/又は壁面の近傍に設けられ、この攪拌翼41が回転軸43を軸にして撹拌槽13の底面及び/又は壁面に沿って回動することが好ましい。これにより、撹拌槽13の底面及び壁面に沿って溶融ガラスGの流れが形成されることで、気泡が形成され易い撹拌槽13の底面及び壁面から気泡が効率よく除去される。特に、撹拌手段4の攪拌翼41が、撹拌槽13の底面に沿って設けられることが好ましい。これにより、撹拌槽13から溶融ガラスGを全て排出させる際にも、撹拌槽13が空になる直前まで溶融ガラスGが撹拌されるため、流出工程の開始時から終了時まで、気泡の形成を低減できる。
撹拌工程で溶融ガラスGを撹拌させる撹拌温度は、清澄温度以下の温度であることが好ましい。より具体的には、撹拌工程における撹拌温度のうち最も高い温度は、1400℃未満が好ましく、1300℃未満がより好ましく、1250℃未満がさらに好ましく、1240℃未満が最も好ましい。これにより、溶融ガラスGに残留する非酸化性気体を含有する気泡が除去されながらも、溶融ガラスGに含まれる酸素成分の必要以上の蒸発が起こり難くなる。そのため、ガラス溶解装置1に含まれる成分の溶融ガラスGへの溶出を低減しながらもNb成分の還元を低減できることで、着色の少ない光学ガラスを得ることができる。一方、この撹拌温度のうち最も低い温度は、900℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましく、1050℃以上がさらに好ましく、1100℃以上が最も好ましい。これにより、溶融ガラスGの粘度が高くなり過ぎないことで、気泡が除去され易くなりながらも、撹拌手段4に掛かる負荷が軽減される。そのため、撹拌工程を効率よく行うことができ、且つ撹拌手段4の長寿命化を図ることができる。
なお、この撹拌温度は、溶融ガラスGに含まれる気泡を排出できる温度範囲にあればよいため、撹拌工程を行う所定の時間に亘って一定の温度である必要は必ずしもない。このとき、撹拌温度のうち最も高い温度は、溶融ガラスGに含まれる酸素成分の必要以上の蒸発を低減できる観点では、清澄温度以下の温度であることが好ましいが、一時的に気泡の排出を促進するために、清澄温度より高い温度にしてもよい。
なお、本願明細書における「撹拌温度」は、撹拌工程において撹拌槽13に滞留する溶融ガラスGの複数の箇所における平均の温度を用いることが好ましい。より具体的には、撹拌槽13の上部における溶融ガラスGの温度と、撹拌槽13の下部における溶融ガラスGの温度と、の平均を用いることが好ましい。これにより、特に溶融ガラスGの内部で温度勾配が生じている場合であっても、溶融ガラスGの着色が抑えられ易くなるため、可視光の透過率の高い光学ガラスを得易くすることができる。ここで、撹拌槽13の上部及び下部における溶融ガラスGの温度は、例えば撹拌槽13の内部や壁面に設けられた図示しない熱電対を用いて求めることができる。また、撹拌槽13の上部における溶融ガラスGの温度は、放射温度計を用いて求めてもよい。
<流出工程>
流出工程は、撹拌された溶融ガラスGを撹拌槽から流出させる。これにより、溶融ガラスGの流れが形成されるため、可視光の透過率の高い光学ガラスを、連続的及び/又は断続的に所望の形状に成形することができる。
ここで、流出工程で溶融ガラスGを流出させる流出手段14は、例えば図1に示すような、撹拌槽13から延出した流出管である。
流出工程で溶融ガラスGを流出させる流出温度は、清澄温度及び撹拌温度よりも低い温度であることが好ましい。より具体的には、流出工程における流出温度は、1350℃未満が好ましく、1250℃未満がより好ましく、1200℃未満がさらに好ましく、1180℃未満がさらに好ましく、1150℃未満が最も好ましい。これにより、溶融ガラスGに含まれている酸素成分の蒸発による遷移金属成分の還元や、溶解設備に含まれる成分の溶融ガラスGへの溶出が抑えられるため、光学ガラスの着色を低減できる。一方で、この流出温度は、900℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましく、1020℃以上がさらに好ましく、1050℃以上がさらに好ましく、1060℃以上が最も好ましい。これにより、流動ガラスに所望の流動性が確保されて溶融ガラスGの流量が略一定になるため、流出手段での溶融ガラスGの詰まりや、光学ガラスの成形不良を低減できる。
なお、本願明細書における「流出温度」は、流出手段14における溶融ガラスGの温度を指す。ここで、流出手段14における溶融ガラスGの温度は、例えば流出手段14の壁面に設けられた図示しない熱電対や、放射温度計を用いて求めることができる。
<成形工程>
成形工程は、所定の流量で供給される溶融ガラスGを成形手段5で成形する。これにより、溶融ガラスGが成形手段5によって所定の形状に成形されて流動性を失いながら、溶融ガラスGからの気体成分の蒸発やNbの還元が止められるため、可視光の透過率をより高めた光学ガラスを得ることができる。
ここで、成形工程で溶融ガラスGを成形する成形温度は、上述の流出温度と同様に、清澄温度及び撹拌温度以下の温度であることが好ましい。より具体的には、1300℃未満が好ましく、1200℃未満がより好ましく、1150℃未満がさらに好ましく、1100℃以下が最も好ましい。これにより、溶融ガラスGに含まれている酸素成分の蒸発による遷移金属成分の還元や、成形手段5に含まれる成分の溶融ガラスGへの溶出が抑えられるとともに、溶融ガラスGと成形手段5とが接触する際の急激な温度変動が低減されるため、着色が少なく且つ割れの少ない光学ガラスを得ることができる。一方、この流出温度は、800℃以上が好ましく、900℃以上がより好ましく、1000℃以上がさらに好ましく、1050℃以上が最も好ましい。これにより、流動ガラスに所望の流動性が確保されるため、光学ガラスの成形不良を低減できる。
なお、本明細書における「成形温度」は、溶融ガラスGが成形型等の成形手段5に接触する際の成形手段5の温度を指す。ここで、溶融ガラスGが成形手段5に接触する際の温度は、例えば放射温度計を用いて求めることができる。
本発明の製造方法では、成形工程で成形されたガラスに対して必要に応じて熱処理を行ってもよい。これにより、成形されたガラスに還元した状態のNb成分が含まれたとしても、そのNb成分を酸化してガラスの着色を低減できる。ここで、本発明で形成されるガラスは、バブリングによってガラス溶融装置に含まれるPt等の白金成分が低減されているので、熱処理によっても除去することが困難な着色は低減されている。
[光学ガラス]
本発明により作製される光学ガラスは、高い屈折率(n)を有するとともに、高い分散を有する必要がある。特に、光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.70、より好ましくは1.75、さらに好ましくは1.80、最も好ましくは1.90を下限とし、好ましくは2.30、より好ましくは2.20、最も好ましくは2.10を上限とする。また、光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは35、より好ましくは29、さらに好ましくは25、さらに好ましくは22、最も好ましくは19を上限とする。これらにより、光学設計の自由度が広がり、更に素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。特に、本発明の方法は、Nb成分を含有しているので、アッベ数(νd)が19未満、より具体的には18.5未満、さらに具体的には18未満の高分散を有する光学ガラスを製造する際に有用である。なお、光学ガラスのアッベ数(ν)の下限は特に限定されず、技術水準に応じて適宜決定されるものであるが、本発明によって得られる光学ガラスのアッベ数(ν)は、概ね10以上、具体的には12以上、さらに具体的には15以上であることが多い。
また、本発明により作製される光学ガラスは、着色が少ない。特に、本発明により作製される光学ガラスは、(Tg−100)℃以上(Tg+100)℃以下の再加熱温度に昇温させる再加熱試験の後において、厚み10mmのサンプルで波長420nmの光に対する分光透過率が、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、最も好ましくは30%以下である。これにより、形成されたガラスを熱処理せずに研磨等の冷間加工によって光学素子を作製する場合、及び精密アニールやプレス成形を行うためにガラスを再加熱(熱処理)して光学素子を作製する場合の各々において、可視光に対する透明性が高められ、着色が低減される。すなわち、この光学ガラスに対して種々の加工工程を行って、所望の光学特性を有するレンズ等の光学素子を作製することができる。なお、光学ガラスの波長420nmの光に対する分光透過率の下限は特に限定されず、技術水準に応じて適宜決定されるものであるが、本発明によって得られる光学ガラスの波長420nmの光に対する分光透過率の下限は、概ね80%以下、具体的には75%以下、さらに具体的には70%以下であることが多い。
ここで、本発明により作製される光学ガラスは、上述の再加熱温度への昇温を、例えば精密アニールやプレス成形と同時に行ってもよい。これにより、所望の形状に成型され又は機械的な衝撃への耐性が強化されながらも、ガラスが熱処理されることでガラスに含まれる遷移金属成分が酸化されるため、所望の形状や機械的特性を有しながらも、高い分光透過率を有する光学ガラスを得ることができる。なお、本発明により作製される光学ガラスの用途は、再加熱温度への昇温を要する用途に限定されない。
また、本発明により作製される光学ガラスは、低いガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。特に、本発明により作製される光学ガラスは、700℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。これにより、ガラスがより低い温度で軟化するため、より低い温度でガラスをプレス成形できる。また、プレス成形に用いる金型の酸化を低減して金型の長寿命化を図ることもできる。従って、本発明により作製される光学ガラスのガラス転移点(Tg)は、好ましくは700℃、より好ましくは670℃、最も好ましくは650℃を上限とする。なお、本発明により作製される光学ガラスのガラス転移点(Tg)の下限は特に限定されないが、概ね100℃以上、具体的には150℃以上、さらに具体的には200℃以上であることが多い。
[光学素子の作製]
本発明により作製される光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用なレンズやプリズム等の光学素子を作製することができる。そして、これらの光学素子は、カメラやプロジェクタ等の光学機器に用いることが好ましい。これにより、光学素子による光の吸収が低減されて光の透過率が高められるため、高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現できる。
特に、本発明で作製される光学ガラスの成形体からなる光学素子は、白金の含有量が酸化物基準で50ppm以下である。これにより、加熱しても取り除くことが困難であったガラスの変色が低減されているため、光学素子の製造工程に関する自由度を高めながらも、この光学素子をカメラやプロジェクタ等のような可視領域の光を透過させる用途に好ましく用いることができる。ここで、酸化物基準における、光学素子に含まれる白金の含有量は、好ましくは10ppm、より好ましくは5ppm、最も好ましくは3ppmを上限とする。
表1に、光学ガラスの作製に用いられるガラス原料の組成、バブリングに用いた気体の種類、気体の供給速度及び気体の供給位置、並びに、溶融工程、清澄工程、撹拌工程、流出工程及び成形工程の温度を示す。また、作製される光学ガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、ガラス転移点(Tg)、並びに、再加熱試験の後における波長420nmの光に対する分光透過率も表1に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明の実施例(No.1〜No.2)では、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定した。これらを表1に示した実施例の組成の割合で秤量し、全ての原料を均一に混合し、表1に記載の溶融温度で0.5〜30時間溶融した後で冷却し、ガラス原料Sの一部をガラス化させたカレット(原料ガラス)を作製した。その後、形成されたカレットを白金からなる溶融槽に1.5L/minの供給速度でガラス溶融装置に連続的に供給した。
ここで、溶融槽では、表1に記載の溶融温度及び溶融時間で原料ガラスを溶融して溶融ガラスを形成しながら、溶融槽への原料ガラスの供給速度と同じ速度で溶融ガラスを清澄槽に供給した。また、清澄槽では、表1に記載の清澄温度及び清澄時間で溶融ガラスを静置しながら、清澄槽への溶融ガラスの供給速度と同じ速度で溶融ガラスを撹拌槽に供給した。また、撹拌槽では、表1に記載の撹拌温度及び撹拌時間で、撹拌槽の底面に沿って設けられた撹拌翼を用い、撹拌翼を撹拌槽の底面に沿って回動させて溶融ガラスを撹拌した。それとともに、撹拌槽への溶融ガラスの供給速度と同じ速度で溶融ガラスを流出手段に供給し、溶融ガラスの温度を表1の流出温度に調整し、撹拌槽の底面に設けられた流出手段(流出管)から溶融ガラスを流出させ、表1の成形温度に調整された溶融ガラスを成形型に供給して鋳込み、これらを徐冷してガラスを作製した。
このとき、実施例(No.1〜No.2)では、原料ガラスの溶融槽(図1の溶融槽11)及び清澄槽(図1の清澄槽12)のうち、表1に記載された少なくとも一方の槽に対して、表1に記載された種類の気体を、表1に記載された供給速度で連続的に供給した。
実施例(No.1〜No.2)で得られるガラスの屈折率(n)及びアッベ数(ν)については、日本光学硝子工業会規格JOGIS01―2003に基づいて測定した。なお、本測定に用いたガラスとして、アニール条件は徐冷降下速度を−25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
また、実施例(No.1〜No.2)で得られるガラスのガラス転移点(Tg)は、横型膨張測定器を用いた測定を行うことで求めた。ここで、測定を行う際のサンプルはφ4.5mm、長さ5mmのものを使用し、昇温速度4℃/minとした。
また、実施例(No.1〜No.2)で得られるガラスのPt成分の含有量は、実施例によって得られるガラスを粉末状にして、酸処理することによって得られた溶液について、ICP発光分析装置(セイコーインスツル株式会社製 Vista−PRO)を用いて測定した。
また、実施例(No.1〜No.2)で得られるガラスの透過率については、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、波長420nmの光に対する分光透過率を測定し、その透過率の値からガラスの着色の有無と程度を求めた。本実施例では、ガラスの透過率の測定は、精密アニールやプレス成形を想定した再加熱試験をした後のものについて行った。ここで、ガラスの再加熱試験は、実施例で得られるガラスから作製される15mm×15mm×30mmの角柱状のガラス試料を耐火物上に載せて電気炉に入れ、150分で常温からガラス試料のガラス転移点(Tg)より20℃高い温度まで昇温し、30分間保温することで行った。再加熱試験を行った後のガラスは、常温まで冷却して炉外に取り出した後、対向する2面を厚み10mm±0.1mmに研磨し、上述と同様の方法で分光透過率を測定した。
Figure 2011246344
表1に表されるように、本発明の実施例で得られる光学ガラスは、いずれも再加熱試験の後において、波長420nmの光に対する分光透過率が20%以上、より詳細には55%以上であった。このため、本発明の実施例により得られる光学ガラスは、特に再加熱試験の後において、可視光に対する分光透過率が高く、着色し難いことが明らかになった。
これに関し、本発明の実施例で得られる光学ガラスは、いずれも白金含有量が50ppm以下、より詳細には2.0ppm以下であり、所望の範囲内であった。従って、本発明の実施例で得られる光学ガラスは、可視光に対する分光透過率が高く、着色し難いことが推察される。
また、本発明の実施例で得られる光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.80以上、より詳細には1.84以上であるとともに、この屈折率(n)は2.20以下、より詳細には1.95以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例で得られる光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が10以上、より詳細には17.3以上であるとともに、このアッベ数(ν)は29以下、より詳細には24.0以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもガラス転移点(Tg)が700℃以下、より詳細には660℃以下であり、所望の範囲内であった。
従って、本発明の実施例で得られる光学ガラスは、屈折率(n)が所望の範囲内にありながら、高い分散(低いアッベ数ν)を有し、熱処理を行わなくとも着色が少なく、熱処理を行った後における着色も低減されており、且つ、プレス成形を行い易いことが明らかになった。
また、本発明の実施例2の成形工程で、溶融ガラスを所定の形状に成形し、この成形体を660℃に24時間加熱して精密アニールしたところ、精密アニール後の成形体の分光透過率は55%であった。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。
1 ガラス溶解装置
11 溶融槽
12 清澄槽
13 撹拌槽
111、121、131
器壁
14 流出手段
16、17 連通管
2 気体供給装置
21、22 気体供給管
211、221 開口
23、24 気体供給弁
25 気体供給源
3 原料供給手段
31 原料貯留槽
32 原料供給弁
33 原料供給管
4 撹拌手段
41 撹拌翼
5 成形手段

Claims (7)

  1. ガラス成形体の製造方法であって、
    Nb成分を必須成分として含有するガラス原料を溶解し、溶解したガラス中で非酸化性ガスをバブリングする工程を有する製造方法。
  2. 前記非酸化性ガスは、実質的に不活性ガスからなる請求項1記載の製造方法。
  3. ガラス原料を溶融する溶融槽と、この溶融槽に連通され且つガラスを清澄する清澄槽と、この清澄槽に連通され且つガラスを撹拌する撹拌槽と、を用い、
    ガラス原料を前記溶融槽で溶融する工程(溶融工程)、溶融したガラス原料を前記清澄槽で清澄させる工程(清澄工程)、清澄した溶融ガラスを前記撹拌槽で撹拌する工程(撹拌工程)、撹拌した溶融ガラスを流出させる工程(流出工程)、及び流出したガラスを成形する工程(成形工程)を有する請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記ガラス原料として、アンチモン及び/又はスズを含有するものを用いる請求項1から3いずれか記載の製造方法。
  5. 前記ガラス原料として、アンチモン成分の含有量が1.0質量%以下のものを用いる請求項1から4いずれか記載の製造方法。
  6. 請求項1から5いずれか記載の製造方法で製造され、白金の含有量が酸化物基準で50ppm以下であるガラス成形体からなる光学素子。
  7. 請求項6記載の光学素子を用いる光学機器。
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