JP7319910B2 - 遮音部材及び遮音部材の製造方法 - Google Patents

遮音部材及び遮音部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、遮音部材及び遮音部材の製造方法に関する。
液晶ポリエステルを形成材料とする成形体は、高強度であり耐熱性が高いこと、また寸法精度が高い。そのため、液晶ポリエステルは、コネクターやリレー部品等、比較的小型の電子部品の形成材料として用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような成形体は、射出成形により成形されている。
特開平07-126383号公報
近年、自動車分野においては、燃費向上を目的として軽量化の検討がなされており、例えばボンネットやルーフなどの外板と呼ばれる部材のほか、内装やエンジンルーム内の部材など、種々の部品を樹脂性の部品に置き換える検討がなされている。樹脂製の部品のことを、以下単に「樹脂製部品」と称することがある。
金属部品を樹脂製部品に置き換えた場合、軽量化ができる反面、樹脂製部品を透過して伝わる音が大きく感じられ、問題となることがある。例えば、自動車のルーフを樹脂製部品に置き換えた場合、軽量化ができる反面、雨天時にルーフで生じる雨音が大きく感じられ、車内環境を損ねるおそれがある。
このような課題に対しては、樹脂製部品にフェルトなど通常知られた防音材を取り付けた複合成形体とすることで、車内の遮音性を担保する対策が考えられる。しかし、防音材を取り付けると、部材の体積が大きくなり、さらに重量が増えることから、樹脂製部品の利点を損なうことになる。
なお、本明細書において「遮音」とは、樹脂製部品の一方側で発せられた音が、樹脂製部品を介して樹脂製部品の他方側へ達する際に、樹脂製部品が音を遮ることを示す。「遮音性」は、遮音の程度を示し、樹脂製部品に入射する音の音圧と、樹脂製部品を透過する音の音圧との差である「遮音量」を用いて評価する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液晶ポリエステルを形成材料とし、優れた遮音性を示す遮音部材を提供することを目的とする。また、本発明は上述の遮音部材を容易に製造可能とする遮音部材の製造方法を提供することを併せて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の態様を包含する。
[1]液晶ポリエステルを形成材料とする成形体であり、前記成形体の内層に形成されるコア層と、前記成形体の表面に形成される配向層と、を有し、前記配向層を形成する液晶ポリエステルは、前記コア層を形成する液晶ポリエステルよりも配向しており、前記成形体の弾性率に対する前記コア層の弾性率の比が0.60以上0.95以下である遮音部材。
[2]車両用部品である[1]に記載の遮音部材。
[3]液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステル組成物の溶融樹脂を射出成形する工程を含み、前記溶融樹脂の金型内の平均樹脂速度は、100mm/秒以上500mm/秒以下である遮音部材の製造方法。
本発明によれば、液晶ポリエステルを形成材料とし、優れた遮音性を示す遮音部材を提供することができる。また、本発明は上述の遮音部材を容易に製造可能とする遮音部材の製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態の遮音部材1の一例を示す模式図である。 図2は、遮音部材1の断面を示す模式図である。 図3は、遮音性の評価方法を示す模式図である。
以下、図を参照しながら、本実施形態に係る遮音部材及び遮音部材の製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
[遮音部材]
図1は、本実施形態の遮音部材1の一例を示す模式図である。本実施形態の遮音部材1は、音源Xを内部に収容するケースである。このような遮音部材1では、遮音部材1の内部に収容された音源Xから発せられた音S1が、遮音部材1を介して遮音部材1の外部へ達する際に、遮音部材1が音を遮る。そのため、遮音部材1の外部に漏れ出る音S2は、音源Xから発せられた音S1よりも低減している。
例えば、遮音部材1としては、音源Xとしてモータを収容するモータカバーや、音源Xとしてギヤを収容するギヤボックスなどが挙げられる。
本実施形態の遮音部材1は、液晶ポリエステルを形成材料とする成形体である。
[液晶ポリエステル]
本実施形態で用いられる液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーの一つであり、光学的異方性を示す溶融体を450℃以下の温度で形成し得る。
本実施形態の液晶ポリエステルは、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)と、を有することがより好ましい。
(1)-O-Ar-CO-
(2)-CO-Ar-CO-
(3)-X-Ar-Y-
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(-NH-)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)-Ar-Z-Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。
Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
本実施形態で用いられる液晶ポリエステルとしては、具体的には、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られる重合体、
(2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる重合体、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られる重合体、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られる重合体、などを挙げることができる。
なお、液晶ポリエステルの製造において、原料モノマーとして使用する芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールの一部又は全部を、予めエステル結合を形成しやすい誘導体にして重合に供することもできる。このような誘導体を用いることにより、液晶ポリエステルをより容易に製造できるという利点がある。
上記誘導体としては次のような化合物が例示される。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の誘導体の例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が有するカルボキシ基が、ハロホルミル基(酸ハロゲン化物)やアシルオキシカルボニル基(酸無水物)などの高反応性の基に転化した化合物が挙げられる。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の誘導体の他の例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が有するカルボキシ基が、一価のアルコール類やエチレングリコール等の多価アルコール類、フェノール類などとエステルを形成した化合物が挙げられる。このようなエステルは、エステル交換反応によりポリエステルを生成する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールの誘導体の例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールが有するフェノール性水酸基が低級カルボン酸類とエステルを形成した化合物が挙げられる。このようなエステルは、エステル交換反応によりポリエステルを生成する。
さらに、エステル形成を阻害しない程度であれば、上述の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又は芳香族ジオールは、その芳香環に、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1~10のアルキル基;フェニル基などの炭素数6~20のアリール基を置換基として有していてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、5-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸、4-ヒドロキシ-4’-カルボキシジフェニルエーテルが挙げられる。また、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸の芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
p-ヒドロキシ安息香酸は、後述の(A)を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸である。
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸は、後述の(A)を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸である。
上述した芳香族ヒドロキシカルボン酸は、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示す繰返し単位が挙げられる。なお、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。
なお、本明細書において「由来」とは、原料モノマーが重合するために化学構造が変化し、その他の構造変化を生じないことを意味する。
Figure 0007319910000001
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、2,6-ナフタレンジルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸が挙げられる。また、これらの芳香族ジカルボン酸の芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
テレフタル酸は、後述の(B)を誘導する芳香族ジカルボン酸である。
イソフタル酸は、後述の(B)を誘導する芳香族ジカルボン酸である。
2,6-ナフタレンジルボン酸は、後述の(B)を誘導する芳香族ジカルボン酸である。
上述した芳香族ジカルボン酸は、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示す繰返し単位が挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。
Figure 0007319910000002
芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレンが挙げられる。また、これらの芳香族ジオールの芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ジオールが挙げられる。
4,4’-ジヒドロキシビフェニルは、後述の(C)を誘導する芳香族ジオールである。
ハイドロキノンは、後述の(C)を誘導する芳香族ジオールである。
レゾルシは、後述の(C)を誘導する芳香族ジオールである。
上述した芳香族ジオールは、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位を含む。芳香族ジオールに由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示す繰返し単位が挙げられる。なお、芳香族ジオールに由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。
Figure 0007319910000003
前記繰返し単位(芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位、芳香族ジオールに由来する繰返し単位)が任意に有していてもよい置換基において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
同様に、繰返し単位が任意に有していてもよい置換基において、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1~4程度の低級アルキル基が挙げられる。
同様に、繰返し単位が任意に有していてもよい置換基において、アリール基の例としては、フェニル基が挙げられる。
特に好適な液晶ポリエステルに関し説明する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位としては、パラヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位((A))又は2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸もしくはその両方に由来する繰返し単位((A))を有していると好ましい。
芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位としては、テレフタル酸に由来する繰返し単位((B))、イソフタル酸に由来する繰返し単位((B))及び2,6-ナフタレンジカルボン酸((B))に由来する繰返し単位からなる群より選ばれる繰返し単位を有していると好ましい。
芳香族ジオールに由来する繰返し単位としては、ヒドロキノンに由来する繰返し単位((C))又は4,4’-ジヒドロキシビフェニルもしくはその両方に由来する繰返し単位((C))を有していると好ましい。
そして、これらの組み合わせとしては、下記(a)~(h)で表される組み合わせが好ましい。これら(a)~(h)の繰返し単位の組み合わせであれば、良好な電気絶縁性を有する液晶ポリエステルが得られる。
(a):(A)、(B)及び(C)からなる組み合わせ、又は、(A)、(B)、(B)及び(C)からなる組み合わせ。
(b):(A)、(B)及び(C)からなる組み合わせ、又は(A)、(B)、(B)及び(C)からなる組み合わせ。
(c):(A)及び(A)からなる組み合わせ。
(d):(a)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(A)の一部又は全部を(A)で置きかえた組み合わせ。
(e):(a)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(B)の一部又は全部を(B)で置きかえた組み合わせ。
(f):(a)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(C)の一部又は全部を(C)で置きかえた組み合わせ。
(g):(b)の繰返し単位の組み合わせにおいて、(A)の一部又は全部を(A)で置きかえた組み合わせ。
(h):(c)の繰返し単位の組み合わせに、(B)と(C)を加えた組み合わせ。
特に好ましい液晶ポリエステルとしては、全繰返し単位の合計に対して、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位の合計が30~80モル%、芳香族ジオールに由来する繰返し単位の合計が10~35モル%、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位の合計が10~35モル%、である液晶ポリエステルを挙げることができる。
前記液晶ポリエステルの製造方法としては、例えば、特開2002-146003号公報に記載の方法などの公知の方法が適用できる。すなわち、上述の原料モノマー(芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール又はこれらのエステル形成用誘導体)を溶融重合(重縮合)させて、比較的低分子量の芳香族ポリエステル(以下、「プレポリマー」と略記する。)を得、次いで、得られたプレポリマーを粉末とし、加熱することにより固相重合する方法が挙げられる。このように固相重合させることにより、重合がより進行して、より高分子量の液晶ポリエステルを得ることができる。
その他、最も基本的な構造となる前記(a)、(b)の繰返し単位の組み合わせを有する液晶ポリエステルの製造方法については、特公昭47-47870号公報、特公昭63-3888号公報などにも記載されている。
溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属化合物や、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1-メチルイミダゾールなどの含窒素複素環式化合物が挙げられる。中でも、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
本実施形態の遮音部材に使用する液晶ポリエステルとしては、下記の方法で求められる流動開始温度が280℃以上の液晶ポリエステルであることが好ましい。上述のように、液晶ポリエステルの製造において固相重合を用いた場合には、液晶ポリエステルの流動開始温度を280℃以上にすることが比較的短時間で可能である。そして、このような流動開始温度の液晶ポリエステルを用いることにより、得られる成形体は高度の耐熱性を有する成形体となる。一方、成形体を実用的な温度範囲で成形する面では、本実施形態の遮音部材に使用する液晶ポリエステルの流動開始温度は420℃以下が好ましく、390℃以下であればさらに好ましい。
ここで、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度である。流動開始温度は、当技術分野で周知の液晶ポリエステルの分子量を表す指標である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用-」、95~105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。流動開始温度を測定する装置としては、例えば、(株)島津製作所製の流動特性評価装置「フローテスターCFT-500D」を用いることができる。
[充填材]
本実施形態の遮音部材は、充填材を含有してもよい。本実施形態では、遮音部材が充填材を含有することで、遮音部材に十分な強度を付与できる。
本実施形態で用いられる充填材は、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。また、繊維状充填材であってもよく、板状充填材であってもよく、粒状充填材であってもよい。
繊維状充填材の例としては、ガラス繊維;パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維などのセラミック繊維;及びステンレス繊維などの金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカーなどのウイスカーも挙げられる。
板状充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムなどが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。
粒状充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、炭化ケイ素及び炭酸カルシウムなどが挙げられる。
[その他の成分]
本実施形態に係る遮音部材は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記液晶ポリエステル及び充填材のいずれにも該当しない、他の成分を含有してもよい。
上記他の成分の例としては、フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などの、樹脂成形体に一般的に使用される添加剤が挙げられる。
また、上記他の成分の例としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などの外部滑剤効果を有する化合物も挙げられる。
さらに、上記他の成分の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂も挙げられる。
本実施形態においては、液晶ポリエステル、充填材、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括又は適当な順序で混合する。
本実施形態においては、液晶ポリエステル、充填材、及び必要に応じて用いられる他の成分を、押出機を用いて溶融混練することで、ペレット化することが好ましい。
図2は、遮音部材1の断面を示す模式図である。図に示すように、本実施形態の遮音部材1は、成形体の厚み方向において、成形体の内層に形成されるコア層11と、成形体の表面に形成される配向層12とを有する。
配向層12は、コア層11に対し成形体の厚み方向の両側に形成されている。配向層12を形成する液晶ポリエステルは、コア層11を形成する液晶ポリエステルよりも配向している。
本明細書においては、コア層11と配向層12とは以下のようにして区別する。
まず、成形体を切削し、樹脂の流れ方向(MD)、樹脂の流れと垂直方向(TD)として、MDと平行な方向の断面を作製する。
成形体におけるMDと平行な方向は、例えば成形体表面を顕微全反射測定法(Attenuated Total Reflection、ATR法)で分析し、液晶ポリエステルの分子鎖の配向を分析することで判別できる。測定には、フーリエ変換赤外分光分析装置(例えば、FastImageIR、アジレントテクノロジー社製)を用いることができる。
具体的には、まず、成形体表面に対し偏光を照射し、成形体表面に垂直な姿勢のエステル基(赤外吸収:1732cm-1)に対応する吸光度と、成形体表面に平行な姿勢のエーテル基(赤外吸収:1152cm-1)に対応する吸光度とを測定する。
次いで、エステル基の吸光度に対するエーテル基の吸光度の比(吸光度比=(エーテル基の吸光度)/(エステル基の吸光度))を求める。成形体表面に対して複数の偏光方向の偏光を照射して、偏光方向ごとに上記吸光度比を求め、吸光度比が最大となる偏光方向を樹脂の流れ方向(MD)と判断する。
次いで、作製した断面をATR法で分析し、液晶ポリエステルの分子鎖の配向を分析する。測定には、上記MDと平行な方向の判別に用いるフーリエ変換赤外分光分析装置(例えば、FastImageIR、アジレントテクノロジー社製)を用いることができる。
具体的には、作製した断面の複数個所について、作製した断面、すなわちMDと平行な方向の偏光に対して垂直な姿勢のエステル基に対応する吸光度と、断面、すなわちMDと平行な方向の偏光に対して平行な姿勢のエーテル基に対応する吸光度とを測定する。
次いで、測定した箇所ごとに吸光度比=(エーテル基の吸光度)/(エステル基の吸光度)を求める。成形体の表面から一定幅の領域であって吸光度比が1.05以上である領域を配向層とする。
発明者らは、遮音部材の遮音性能を向上させる検討を行った結果、高い遮音性能を示す遮音部材1はコア層11の弾性率と配向層12の弾性率が最適な関係を示していることを突き止めた。
すなわち、本実施形態の遮音部材1は、遮音部材1を構成する成形体の弾性率に対するコア層11の弾性率の比が0.60以上0.95以下である。
「遮音部材1を構成する成形体」は、コア層11と配向層12とを有する。配向層12は、コア層11よりも配向しており、相対的にコア層11よりも高い弾性率を示す。そのため、コア層11と配向層12とを有する成形体(=遮音部材1)の弾性率は、コア層11のみの弾性率よりも高い。このような成形体の様子を言い換えるならば、遮音部材1を構成する成形体は、硬い配向層12の中に、相対的に配向層12よりも柔らかいコア層11が形成されていると言える。
本実施形態の遮音部材1は、上記弾性率の比が0.60以上0.95以下であることにより、本要件を満たさない遮音部材1と比べて高い遮音性を示す。
上記弾性率の比は、0.65以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましく、0.80以上がさらに好ましい。また、上記弾性率の比は、0.945以下であることが好ましく、0.94以下であることがより好ましく、0.90以下がさらに好ましい。
上記弾性率の比の上限値と下限値とは、任意に組み合わせることができる。
例えば、0.65以上0.945以下であることが好ましく、0.70以上0.94以下であることがより好ましく、0.80以上0.90以下であることがさらに好ましい。
遮音部材1の弾性率は、例えば下記の方法で測定することができる。
遮音部材1について、上述の方法でMDを判断する。遮音部材1からそれぞれ長辺をMD、TDと一致させて幅が10mmであり、長さが(遮音部材1の厚み)(単位:mm)×15.6を超える試験片を切り出し、MD弾性率評価用の試験片と、TD弾性率評価用の試験片とを作製する。
試験片の長さは、後述のスパン間距離を超える長さとする。例えば、試験片は幅10mm×長さ100mm×厚み1.6mmとする。
また、遮音部材1を切削し、MDと平行な方向の断面を作製する。作製した断面を上述した方法で分析し、配向層の厚みを求める。
求めた配向層の厚みに基づいて、上述の弾性率評価用の試験片の配向層をサンドペーパーで研磨して除去し、コア層の弾性率評価用の試験片を作製する。コア層の弾性率評価用の試験片は、長辺がMD、TDと一致するMD弾性率評価用の試験片と、TD弾性率評価用の試験片との2種である。
弾性率は、3点曲げ試験により求める。
弾性率評価用の試験片について、万能試験機(例えば、テンシロンRTG-1250、(株)エー・アンド・デイ社製)を用いて3回測定し、測定値の算術平均値を求める弾性率とする。
弾性率の測定条件は、スパン間距離=(試験片厚み(単位:mm))×15.6、試験速度=1mm/分とする。
遮音部材1の遮音性は、例えば下記の方法で評価することができる。
図3は、本実施形態の遮音部材1についての遮音性の評価方法を示す模式図である。図3では、遮音部材1の一例として遮音部材1が平板である場合を示す。遮音部材1が、本評価方法で用いる平板と同じ構造を有する場合、遮音部材1についても同様の遮音性が期待できる。
まず、遮音部材1の形成材料と同じ樹脂組成物について、溶融混練して得られたペレットを、射出成形し、100mm×100mm×1.6mmの平板を成形する。成形時には、後述する平均樹脂速度を制御する。得られた平板を、遮音部材1のモデルとして評価する。
遮音性の評価には、2つの直方体状の簡易無音室100,110を用いる。簡易無音室100,110は、外形が同じ大きさであり、内部空間100x、110xの容積も同じである。
簡易無音室として、例えば、FOSTEX社製のスピーカーボックス(型番:P650-E)を使用する。簡易無音室の内壁には、ウレタン製の防音材を設置する。
簡易無音室100の1つの壁101の中心には、直径60mmの円形の貫通孔100aが設ける。また、壁101と対向する壁102の中心には、スピーカ200を取り付ける。
簡易無音室110の1つの壁111の中心には、直径60mmの円形の貫通孔110aが設ける。また、壁111と対向する壁112の中心には、マイク300を取り付ける。
作製した平板の成形体Aを挟んで簡易無音室100の貫通孔100aと簡易無音室110の貫通孔110aとを対向させ、簡易無音室100、成形体A、簡易無音室110を順に配置し、簡易無音室100と簡易無音室110とで成形体Aを挟持する。
スピーカ200から100Hz~10000Hzの音S1を照射し、成形体Aを介して簡易無音室110に伝わった音S2をマイク300で集音する。成形体Aに入射する音S1の音圧レベル(dB)に対する、成形体Aを透過した音S2の音圧レベル(dB)の差である遮音量(dB)を求め、遮音性を評価する。
遮音性評価においては、遮音部材1が主として遮音したい音の周波数に応じ、所望の周波数の遮音性を評価してもよい。例えば、遮音部材1が金属音を遮音することを主たる目的とする場合、成形体の遮音性は、2000Hzの音S1を照射したときの、2000Hzの音S2を測定し、遮音量を求めて評価する。
遮音性の評価にあたっては、参考値として別途評価した鋼板の遮音量「10dB」を基準とし、遮音量が鋼板よりも多い平板を良品、遮音量が鋼板と同等以下の平板を不良品として評価する。用いた鋼板の寸法は、100mm×100mm×0.8mm厚である。
本実施形態の遮音部材1は、成形体の弾性率が3000以上であることが好ましい。
また、本実施形態の遮音部材1は、コア層11の弾性率が1000以上であることが好ましい。通常、成形体及びコア層11の弾性率は、30000以下である。
上記弾性率の比は、添加する充填材の種類、充填材の配合量、後述する成形条件の1つ以上を変更することにより調整可能である。
上述した充填材のうち、ガラスフィラーのような繊維状充填材は、配向層12よりもコア層11に分散しやすい。そのため、遮音部材1に含まれる繊維状充填材を増量すると、コア層11の弾性率が高くなりやすく、結果として上記弾性率の比が大きくなりやすい。
また、上述した充填材のうち、マイカのような板状充填材は、コア層11よりも配向層12に分散しやすい。そのため、遮音部材1に含まれる繊維状充填材を増量すると、配向層12の弾性率が高くなりやすく、結果として上記弾性率の比が小さくなりやすい。
また、上述した充填材のうち、アルミナのような粒状充填材は、コア層11と配向層12とに対して同等に分散しやすい。一方で、粒状充填材は、繊維状充填材や板状充填材と比べると、増量しても遮音部材1の弾性率を高める効果が小さい。遮音部材1に含まれる粒状充填材を増量すると、上記弾性率の比が小さくなりやすい傾向がある。
遮音部材1の厚さは、遮音性や構造材としての強度等機械特性を高めるうえで、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましい。通常、遮音部材1の厚さは、5.0mm以下である。
[遮音部材の製造方法]
本実施形態の遮音部材1の製造方法は、液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステル組成物の溶融樹脂を射出成形する工程を含む。さらに、本実施形態の遮音部材1の製造方法においては、液晶ポリエステル組成物の溶融樹脂を金型に射出する際の金型内の平均樹脂速度を100mm/秒以上500mm/秒以下に制御する。すなわち、溶融樹脂の金型内の平均樹脂速度は、100mm/秒以上500mm/秒以下である。
本実施形態において、「金型内の平均樹脂速度」は、金型内へ溶融樹脂を充填する際の射出速度と、金型の温度と、金型のキャビティの大きさ(=成形する成形体の寸法)とから求めることができる。
「平均樹脂速度」は、「射出成形機の射出速度」及び「射出成形機のシリンダー径」から算出される溶融樹脂の充填速度(mm/秒)を、キャビティの断面積(mm)で除すことで算出できる。
金型内の平均樹脂速度は、速いほど上記弾性率の比が小さくなる傾向がある。
金型内の平均樹脂速度が100mm/秒以上であると、樹脂やフィラーが適度に配向し、成形体の弾性率が過度に高くなりにくい傾向がある。
また、金型内の平均樹脂速度が500mm/秒以下であると、配向層が薄くなりすぎず、適切な弾性率の成形体となる。
金型内の平均樹脂速度は、100mm/秒以上が好ましく、120mm/秒以上がより好ましく、240mm/秒以上がさらに好ましい。また、金型内の平均樹脂速度は、500mm/秒以下が好ましく、480mm/秒以下がより好ましく、400mm/秒以下がさらに好ましい。
金型内の平均樹脂速度の上限値と下限値とは、任意に組み合わせることができる。
例えば、100mm/秒以上500mm/秒以下が好ましく、120mm/秒以上480mm/秒以下がより好ましく、240mm/秒以上400mm/秒以下がさらに好ましい。
また、本実施形態の遮音部材の製造方法においては、射出速度を成形初期と成形後期とで変更してもよい。射出速度を成形初期と後期で変更することで、得られる遮音部材1を構成する成形体の弾性率に対するコア層11の弾性率の比を、好適な範囲に制御しやすくなる。
本実施形態の遮音部材の製造方法においては、上述のように射出速度を変更する場合においても、射出成形全体で、金型内の平均樹脂速度を100mm/秒以上500mm/秒以下に制御する。
本実施形態の遮音部材の製造方法においては、金型内の平均樹脂速度を制御することにより、本実施形態の遮音部材1を容易に製造することができる。
以上のような構成の遮音部材1によれば、液晶ポリエステルを形成材料とし、優れた遮音性を示す遮音部材となる。
また、以上のような遮音部材の製造方法によれば、上述の遮音部材を容易に製造可能となる。
なお、本実施形態の遮音部材1としては、すでにモータカバー、ギヤボックスを例示したが、これに限らない。
本実施形態の遮音部材1は、車両用部品に適用し、音源から運転手や同乗者に伝わる音(例えば、エンジンやギヤボックスからの金属音。代表的には周波数2000Hz付近の音)を遮る用途に好適に用いられる。このような遮音部材1としては、音源としてエンジンを主要するエンジンカバーを挙げることができる。
さらに、車両用部品である遮音部材1としては、車両外部から乗車空間に伝わる音を遮るための外板を挙げることができる。外板としては、ルーフやドアを挙げることができる。
本実施形態の遮音部材1をこれらの部材に適用すると、樹脂成形体であることによる軽量化と、高い遮音性とを両立することができる。
その他、遮音部材1としては、スピーカなどの音響部材、遮音性の高い建築部材を挙げることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<評価1>
(実施例1~8、比較例1,2)
(液晶ポリエステルの製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、4,4’-ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を入れた。
反応器内を窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、1-メチルイミダゾール0.18gを添加して、30分かけて150℃まで昇温し、その温度を保持したまま30分間還流した。
次いで、1-メチルイミダゾールを2.4g添加した後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら反応器内の混合物を2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
得られた固形分を室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕した。その後、粉砕した固形分を、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、さらに250℃から295℃まで5時間かけて昇温した後、295℃で3時間保持して固相重合を進めた。次いで、反応生成物を冷却して、液晶ポリエステルを得た。
(液晶ポリエステル樹脂組成物の製造)
液晶ポリエステルと充填材とを後述の表1に記載の割合で混合し、得られた混合物を、2軸押出機(型番:PCM-30、株式会社池貝製)を用いて溶融混錬することにより、液晶ポリエステル組成物のペレットを製造した。
表1中の各数値は、組成物全体に対する各構成の質量%を示す。用いた材料はそれぞれ以下のとおりである。
PES:スミカエクセル3601GL30(住友化学社製)
ガラスフィラー:CS03JAPX-1(オーウェンスコーニング社製)
マイカ:A-41S(ヤマグチマイカ社製)
Al:ALM-41(住友化学社製)
Figure 0007319910000004
溶融混錬条件は、2軸押出機のシリンダー設定温度が340℃であり、スクリュー回転速度が150rpmであった。なお、「シリンダー設定温度」とは、シリンダーの下流側からシリンダー長の約2/3の部分までに設けられた加熱機器(シリンダーヒータ)の設定温度の算術平均値を意味する。
(試験片の成形)
得られたペレットを、射出成形機(型番:UH1000、日精樹脂工業株式会社製)を用いて成形温度340℃、金型温度130℃の条件で成形し、100mm×100mm×1.6mmの平板を成形した。
平均樹脂速度は240mm/秒であった。
(弾性率の測定)
(1)試験片の調整方法1
成形した平板2枚から、それぞれ長辺をMD、TDと一致させて10mm×100mm×1.6mmの試験片を切り出し、MD弾性率評価用の試験片と、TD弾性率評価用の試験片とを作製した。
(2)試験片の調整方法2
平板を切削し、樹脂の流れ方向(MD)と平行な方向の断面を作製した。
次いで、作製した断面を顕微全反射測定法(Attenuated Total Reflection、ATR法)で分析し、液晶ポリエステルの分子鎖の配向を分析した。測定には、フーリエ変換赤外分光分析装置(例えば、FastImageIR、アジレントテクノロジー社製)を用いた。
具体的には、まず、作製した断面の複数個所について、断面(MD)に平行な偏光を照射し分光分析を行った。分析では、照射した偏光に対し垂直な姿勢のエステル基(赤外吸収:1732cm-1)に対応する吸光度と、照射した偏光に平行な姿勢のエーテル基(赤外吸収:1152cm-1)に対応する吸光度とを測定した。
偏光に対して垂直な姿勢のエステル基は、作製した断面に対して垂直である。また、偏光に対して平行な姿勢のエーテル基は、作製した断面に対して平行である。
次いで、測定した箇所ごとに吸光度比=(エーテル基の吸光度)/(エステル基の吸光度)を求めた。成形体の表面から一定幅の領域であって吸光度比が1.05以上である領域を配向層とし、配向層の厚みを求めた。
求めた配向層の厚みに基づいて、上述の弾性率評価用の試験片の配向層をサンドペーパーで研磨して除去し、コア層の弾性率評価用の試験片を作製した。コア層の弾性率評価用の試験片は、長辺がMD、TDと一致するMD弾性率評価用の試験片と、TD弾性率評価用の試験片との2種である。
(3)弾性率の測定
弾性率は、3点曲げ試験により求めた。
弾性率評価用の試験片について、万能試験機(テンシロンRTG-1250、(株)エー・アンド・デイ社製)を用いて3回測定し、測定値の算術平均値を求める弾性率とした。
弾性率の測定条件は、スパン間距離=(試験片厚み(単位:mm))×15.6mm、試験速度=1mm/分とした。
(遮音性評価)
図3は、遮音性の評価方法を示す模式図である。本実施例においては、上述の方法で作製した平板の成形体を用いて遮音性を評価した。
遮音性の評価には、2つの直方体状の簡易無音室100,110を用いた。簡易無音室100,110は、外形が同じ大きさであり、内部空間100x、110xの容積も同じである。
簡易無音室として、FOSTEX社製のスピーカーボックス(型番:P650-E)を使用した。簡易無音室の内壁には、ウレタン製の防音材を設置した。
簡易無音室100の1つの壁101の中心には、直径60mmの円形の貫通孔100aが設けられていた。また、壁101と対向する壁102の中心には、スピーカ200が取り付けられていた。
簡易無音室110の1つの壁111の中心には、直径60mmの円形の貫通孔110aが設けられていた。また、壁111と対向する壁112の中心には、マイク300が取り付けられていた。
作製した平板の成形体Aを挟んで簡易無音室100の貫通孔100aと簡易無音室110の貫通孔110aとを対向させ、簡易無音室100、成形体A、簡易無音室110を順に配置し、簡易無音室100と簡易無音室110とで成形体Aを挟持した。
スピーカ200から100Hz~10000Hzの音S1を照射し、成形体Aを介して簡易無音室110に伝わった音S2をマイク300で集音した。成形体Aに入射する音S1の音圧レベル(dB)に対する、成形体Aを透過した音S2の音圧レベル(dB)の差である遮音量(dB)を求め、遮音性を評価した。本実施例においては、成形体の遮音性は、2000Hzの音S1を照射したときの、2000Hzの音S2を測定し、遮音量を求めて評価した。
遮音性の評価にあたっては、参考値として別途評価した鋼板の遮音量「10dB」を基準とし、遮音量が鋼板よりも多い平板を良品、遮音量が鋼板と同等以下の平板を不良品として評価した。用いた鋼板の寸法は、100mm×100mm×0.8mm厚であった。
評価に用いた各成形体の弾性率を表2に示す。
さらに、遮音性の評価結果を表3に示す。
Figure 0007319910000005
Figure 0007319910000006
実施例1~8の平板は、鋼板よりも明らかに遮音性が良く、金属部品の代替品として有用であることが分かった。対して、比較例1,2の平板は、遮音性が低いことが分かった。
<評価2>
(実施例9,10、比較例3)
上記評価1の実施例3で用いたペレットと同じペレットを用い、射出成形条件を異ならせた平板を作製した。得られた平板について、評価1と同様の評価を行った。
(比較例4)
上記評価1の実施例3で用いたペレットと同じペレットを用い、熱プレス加工にて平板を作製した。得られた平板について、評価1と同様の評価を行った。
評価結果を、表4に示す。
Figure 0007319910000007
評価の結果、平均樹脂速度が100mm/秒以上500mm/秒以下を満たす実施例9,10の平板は、良好な遮音性を示した。
一方で、平均樹脂速度が950mm/秒である比較例3の平板は、遮音性が鋼板と同等であった。
また、射出成形を行っていない比較例4の平板も、遮音性が鋼板と同等であった。
<評価3>
(実施例11~16)
上記評価1の実施例3で用いたペレットと同じペレットを用い、射出速度を、成形初期は50mm/秒に設定し、成形途中で150mm/秒に変更して平板を作製した。射出成形全体としては、平均樹脂速度を240mm/秒を維持した。得られた平板について、評価1と同様の評価を行った。
評価結果を、表5に示す。
Figure 0007319910000008
評価の結果、実施例11~16の平板は、平均樹脂速度が100mm/秒以上500mm/秒以下を満たすため、射出速度を成形中に変更しても良好な遮音性を示した。
以上の結果より、本発明が有用であることが分かった。
1…遮音部材、11…コア層、12…配向層、100…簡易無音室、100a…貫通孔、100x…内部空間、101…壁、102…壁、110…簡易無音室、110a…貫通孔、110x…内部空間、111…壁、112…壁、200…スピーカ、300…マイク、A…成形体、S1…音、S2…音、X…音源

Claims (3)

  1. 液晶ポリエステルを形成材料とする成形体であり、
    前記成形体の内層に形成されるコア層と、
    前記成形体の表面に形成される配向層と、を有し、
    前記配向層を形成する液晶ポリエステルは、前記コア層を形成する液晶ポリエステルよりも配向しており、
    前記成形体の弾性率に対する前記コア層の弾性率の比が0.60以上0.95以下である遮音部材。
  2. 車両用部品である請求項1に記載の遮音部材。
  3. 液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステル組成物の溶融樹脂を射出成形する工程を含み、
    前記溶融樹脂の金型内の平均樹脂速度は、100mm/秒以上500mm/秒以下である遮音部材の製造方法。
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