JP7319445B1 - 飲料、及び飲料の塩味を改善する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、アミノ酸の一種であるアラニンは、様々な栄養機能を有し、人体において脳や筋肉に送られるエネルギーである糖の材料となるほか、肝臓の保護、アルコールの代謝等にも役立つことが知られている。
前記ナトリウムの含有量が25~120mg/100mLであり、
前記アラニンの含有量が25~180mg/100mLであり、
前記グリシンの含有量が12~200mg/100mLである、前記飲料。
2.前記ナトリウムの含有量と、前記アラニンの含有量とが、下記式(1)を満たす、1記載の飲料。
0.50≦[前記アラニンの含有量]/[前記ナトリウムの含有量]≦10.0・・・(1)
3.前記ナトリウムの含有量と、前記グリシンの含有量とが、下記式(2)を満たす、1又は2記載の飲料。
0.20≦[前記グリシンの含有量]/[前記ナトリウムの含有量]≦6.0・・・(2)
4.前記アラニンの含有量と、前記グリシンの含有量とが、下記式(3)を満たす、1~3のいずれか記載の飲料。
0.20≦[前記グリシンの含有量]/[前記アラニンの含有量]≦2.5・・・(3)
5.前記ナトリウムが、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、及びその混合物からなる群より選択される1以上の形態で含まれている、1~4のいずれか記載の飲料。
6.水分補給に適したものである、1~5のいずれか記載の飲料。
7.容器詰め飲料である、1~6のいずれか記載の飲料。
8.ナトリウムと、アラニンと、を含む飲料に、グリシンを含有させる、飲料の塩味を改善する方法。
本明細書中において、一の特徴についての好ましい態様を、他の一又はそれより多い特徴の好ましい態様と任意に組み合わせることができる。
また、本明細書中において、数値範囲を示す「X~Y」の記載は、「X以上、Y以下」であることを意味し、各パラメータについて、下限値と上限値を任意に組み合わせて数値範囲とすることができる。
本発明の一態様に係る飲料(以下、本発明の飲料ともいう。)は、ナトリウムと、アラニンと、グリシンと、を含む飲料であって、ナトリウムの含有量が25~120mg/100mLであり、アラニンの含有量が25~180mg/100mLであり、グリシンの含有量が12~200mg/100mLである。
本発明の飲料は、上記の構成とすることにより、ナトリウムによる水分補給と、アラニンによる栄養機能とを共に期待でき、さらにアラニンによる塩味の増強効果が抑制され、飲みやすい飲料とすることができる。
本発明の飲料は、ナトリウムを含む。ナトリウムは、生体内において、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節している。効果的に体内に水分補給するには、一定量のナトリウムイオンを摂取するとよいことが知られており、特に熱中症対策等に有効である。
塩化物としては、例えば塩化ナトリウムが挙げられる。
クエン酸との塩としては、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
本発明の飲料は、アラニンを含む。本明細書において、アラニンとは、食品添加物として使用が認められているDL-アラニン又はL-アラニンをいう。アラニンは、遊離のアラニンであっても、飲料分野で一般的に使用される塩の形態(ナトリウム塩、カリウム塩等)であってもよい。これらは一種又は二種以上を用いることができる。
本発明の飲料は、グリシンを含む。グリシンは、遊離のグリシンであっても、飲料分野で一般的に使用される塩の形態(ナトリウム塩、カリウム塩等)であってもよい。これらは一種又は二種以上を用いることができる。
一実施形態において、本発明の飲料は、ナトリウムの含有量と、アラニンの含有量とが、下記式(1)を満たす。
0.50≦[アラニンの含有量]/[ナトリウムの含有量]≦10.0・・・(1)
一実施形態において、本発明の飲料は、ナトリウムの含有量と、グリシンの含有量とが、下記式(2)を満たす。
0.20≦[グリシンの含有量]/[ナトリウムの含有量]≦6.0・・・(2)
一実施形態において、本発明の飲料は、アラニンの含有量と、グリシンの含有量とが、下記式(3)を満たす。
0.20≦[グリシンの含有量]/[アラニンの含有量]≦3.5・・・(3)
本発明の飲料は、本発明の効果を損なわないことを条件として、以上説明した成分のほか、飲料に常用される成分を任意に含んでいてもよい。飲料に常用される任意成分としては、酸化防止剤、乳化剤、保存料、pH調整剤、品質安定剤、香料、色素、エステル、有機酸及びその塩類、無機酸及びその塩類、調味料、甘味料、酸味料、ガム、油、ビタミン、アミノ酸、果汁、果物エキス、野菜エキス、花エキス、糖類、乳、茶、茶エキス等が挙げられる。これらの任意成分は、一種を含んでいてもよく、二種以上を含んでいてもよい。
炭酸飲料としては、強化(enhanced)発泡性飲料、コーラ、レモン-ライムフレーバーの発泡性飲料、オレンジフレーバーの発泡性飲料、グレープフレーバーの発泡性飲料、イチゴフレーバーの発泡性飲料、パイナップルフレーバーの発泡性飲料、ジンジャーエール、ソフトドリンク、及びルートビア等が挙げられるが、これらに限定されない。
非炭酸飲料としては、果実ジュース、果実フレーバーのジュース、ジュース飲料、ネクター、野菜ジュース、野菜フレーバーのジュース、スポーツドリンク、エネルギードリンク、強化飲料水、ビタミン強化水、ニアウォーター飲料(例えば、天然又は合成香味料を含む水)、ココナッツ水、茶タイプの飲料(例えば、紅茶、緑茶、ウーロン茶、白茶、黄茶、黒茶、花茶、茶外茶(例えば、麦茶、ルイボス茶、ハーブティ))、コーヒー、ココアドリンク、乳成分を含有する飲料(例えば、乳飲料、乳成分を含有するコーヒー、カフェオレ、ミルクティ、フルーツミルク飲料)、穀類抽出物を含有する飲料、スムージー、ゼリー飲料、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において、容器は、透明であってもよく、半透明であってもよく、不透明であってもよい。充填される容量は特に限定されない。
容器の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器(例えば、ペットボトル等)、缶、アルミパウチ、紙容器、プラスチックカップ、ビン等が挙げられ、好ましくは、PET容器である。
本発明の一態様に係る飲料の塩味を改善する方法は、ナトリウムと、アラニンと、を含む飲料に、グリシンを含有させることを特徴とする。ナトリウム、アラニン、グリシン、及びこれらの含有量については、本発明の飲料について説明した特徴を適用できる。
・グリシン:昭和電工株式会社製
・アラニン:株式会社武蔵野化学研究所製「DL-アラニン」
・ロイシン、イソロイシン、バリン:味の素株式会社製
・果糖ブドウ糖液糖:加藤化学株式会社製
・香料(グレープフレーバー、グレープフルーツフレーバー、レモンフレーバー):ジボダンジャパン株式会社製
・乳化香料:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
・焙煎大麦、ブレンド茶原料:株式会社小谷穀粉製
なお、塩化ナトリウム(塩化Na)、クエン酸三ナトリウム(クエン酸Na)、塩化カリウム、乳酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ブドウ果皮色素、食塩、カラメルは、商業的に入手可能な一般的なものを使用した。水としては、RO水を使用した。
[試験用飲料の調製]
表1に示す組成で4種の水溶液(A1液、B1液、C1液、及びD1液)をそれぞれ調製した。これら4種の水溶液を表2に示す組成にしたがって混合して、試験用飲料を調製した。
調製した試験用飲料を、3名の熟練したパネラーにて、「塩味の強さ」について官能評価を行った。「塩味の強さ」は0~6点の範囲で、1点刻みで7段階にて点数を付け、3名の平均点の小数点以下1桁目を四捨五入して算出した。
官能評価に際しては、評点を1点上げ下げするにはどの程度「塩味の強さ」が変化すればよいのかをパネラー間で共通になるようにした。
結果を表2に示す。
表3に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例1とともに表3に示す。
表4に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例1及び4とともに表4に示す。
表5に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例1及び5とともに表5に示す。
表6に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例1及び6とともに表6に示す。
表7に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例1及び7とともに表7に示す。
表8に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例1とともに表8に示す。
[試験用飲料の調製]
表9に示す組成で4種の水溶液(A2液、B2液、C2液、及びD2液)をそれぞれ調製した。表9からわかるように、A2は水である。
表11に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例25とともに表11に示す。
表12に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例26とともに表12に示す。
表13に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例27とともに表13に示す。
これに対して、アラニンを100mg/100mL、グリシンを75mg/100mL含む実施例12は、比較例36と比較して、塩味の増強が抑制された。
表14に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例28とともに表14に示す。
これに対して、アラニンを100mg/100mL、グリシンを75mg/100mL含む実施例13は、比較例37と比較して、塩味の増強が抑制された。
表15に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例29とともに表15に示す。
これに対して、アラニンを100mg/100mL、グリシンを75mg/100mL含む実施例14は、比較例38と比較して、塩味の増強が抑制された。
表16に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、比較例1と同様にして評価した。結果を比較例30とともに表16に示す。
これに対して、アラニンを100mg/100mL、グリシンを75mg/100mL含む実施例15は、比較例39と比較して、塩味の増強が抑制された。
[試験用飲料の調製]
表17に示す組成で6種の水溶液(A3液、B3液、C3液、D3液、E3液、及びF3液)をそれぞれ調製した。
アラニンに加えて、バリン、ロイシン、又はイソロイシンを20mg/100mL含有する場合、比較例41と比較してアラニンによる塩味の増強は抑制されなかった。
これらに対して、アラニンに加えてグリシンを20mg/100mL含有する場合、比較例41と比較してアラニンによる塩味の増強が抑制された。
表19に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、実施例16と同様にして評価した。結果を比較例40及び41とともに表19に示す。
これらに対して、アラニンに加えてグリシンを30mg/100mL含有する場合、比較例41と比較してアラニンによる塩味の増強が抑制された。
表20に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、実施例16と同様にして評価した。結果を比較例40及び41とともに表20に示す。
これらに対して、アラニンに加えてグリシンを50mg/100mL含有する場合、比較例41と比較してアラニンによる塩味の増強が抑制された。
表21に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、実施例16と同様にして評価した。結果を比較例40及び41とともに表21に示す。
これらに対して、アラニンに加えてグリシンを100mg/100mL含有する場合、比較例41と比較してアラニンによる塩味の増強が抑制された。
表22に示す配合にしたがって、試験用飲料を調製した。調製した試験用飲料について、実施例16と同様にして評価した。結果を比較例40及び41とともに表22に示す。
これらに対して、アラニンに加えてグリシンを150mg/100mL含有する場合、比較例41と比較してアラニンによる塩味の増強が抑制された。
[試験用グレープフレーバー発泡性飲料の調製]
表23に示す組成で原料を混合した後、カーボネーターにより3.2ガスボリュームになるように炭酸ガスを溶解させ、ベース飲料A100を調製した。
調製した試験用飲料を、3名の専門パネラーにて、「飲みやすさ」について官能評価を行った。「飲みやすさ」は1~5点の範囲で、1点刻みで5段階にて点数を付け、3名の平均点を整数になるように四捨五入して算出した。
官能評価に際しては、評点を1点上げ下げするにはどの程度「飲みやすさ」が変化すればよいのかをパネラー間で共通になるようにした。
[試験用麦茶飲料の調製]
焙煎大麦20gあたり、95℃のRO水を300g用いて、40分間抽出を行った。この抽出液をステンレスメッシュ(80メッシュ)で粗濾過した後、25℃に冷却し、ステンレスメッシュ(300メッシュ)で濾過した。その後、3000rpm、5分間の遠心分離を実施し、沈殿物を取り除き、この麦茶抽出液をベース飲料D100とした。
なお、比較例107と比較例108を比較すると、アラニンによる塩味の増強効果が見られないが、これは、麦茶に含まれる多様な成分が影響を及ぼした可能性がある。そのような成分の存在下においても、グリシンによる塩味の抑制効果と飲料の飲みやすさの向上効果を確認することができた。
[試験用ブレンド茶飲料の調製]
ブレンド茶原料25gあたり、85℃のRO水を375g用いて、40分間抽出を行った。この抽出液をステンレスメッシュ(80メッシュ)で粗濾過した後、25℃に冷却し、ステンレスメッシュ(300メッシュ)で濾過した。その後、3000rpm、5分間の遠心分離を実施し、沈殿物を取り除いた。このブレンド茶抽出液をベース飲料E100とした。
なお、比較例109と比較例110を比較すると、アラニンによる塩味の増強効果が見られないが、これは、ブレンド茶に含まれる多様な成分が影響を及ぼした可能性がある。そのような成分の存在下においても、グリシンによる塩味の抑制効果と飲料の飲みやすさの向上効果を確認することができた。
Claims (8)
- ナトリウムと、アラニンと、グリシンと、を含む飲料であって、
前記アラニンは、DL-アラニン及びL-アラニンからなる群から選択される1以上であり、
前記ナトリウムの含有量が25~120mg/100mLであり、
前記アラニンの含有量が25~180mg/100mLであり、
前記グリシンの含有量が12~200mg/100mLである、前記飲料。 - 前記ナトリウムの含有量と、前記アラニンの含有量とが、下記式(1)を満たす、請求項1記載の飲料。
0.50≦[前記アラニンの含有量]/[前記ナトリウムの含有量]≦10.0・・・(1) - 前記ナトリウムの含有量と、前記グリシンの含有量とが、下記式(2)を満たす、請求項1又は2記載の飲料。
0.20≦[前記グリシンの含有量]/[前記ナトリウムの含有量]≦6.0・・・(2) - 前記アラニンの含有量と、前記グリシンの含有量とが、下記式(3)を満たす、請求項1又は2記載の飲料。
0.20≦[前記グリシンの含有量]/[前記アラニンの含有量]≦3.5・・・(3) - 前記ナトリウムが、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、及びその混合物からなる群より選択される1以上の形態で含まれている、請求項1又は2記載の飲料。
- 水分補給に適したものである、請求項1又は2記載の飲料。
- 容器詰め飲料である、請求項1又は2記載の飲料。
- ナトリウムと、アラニンと、を含む飲料に、グリシンを含有させる、飲料の塩味を改善する方法であって、
前記アラニンは、DL-アラニン及びL-アラニンからなる群から選択される1以上である、前記方法。
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