JP2004350606A - 果実酢の炭酸飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭酸水が補助的に作用して果実酢のクエン酸の効能を高めるために健康の維持・向上に適しており、しかも、果実酢としては飲みやすく、希釈してもおいしさが保持される果実酢の炭酸飲料を提供する。
【解決手段】柑橘類果汁と、合わせ酢と、甘味料とを主体とした果実酢であって、5〜10倍に希釈することによって果実酢飲料として利用することができる所謂10倍濃縮型果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態とした。
【効果】炭酸水が補助的に作用して果実酢のクエン酸の効能を高めるために健康の維持・向上に適しており、しかも、果実酢としては飲みやすく、希釈してもおいしさが保持される。
【選択図】 なし
【解決手段】柑橘類果汁と、合わせ酢と、甘味料とを主体とした果実酢であって、5〜10倍に希釈することによって果実酢飲料として利用することができる所謂10倍濃縮型果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態とした。
【効果】炭酸水が補助的に作用して果実酢のクエン酸の効能を高めるために健康の維持・向上に適しており、しかも、果実酢としては飲みやすく、希釈してもおいしさが保持される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、健康の維持、向上のために酢、特にクエン酸を摂り入れるのに適した果実酢の炭酸飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
クエン酸は、酸っぱい果物、特に柑橘類の果実中に多く含まれている酸っぱい成分であり、日本薬局方において、クエン酸の薬効薬理として、「クエン酸の塩類投与により体液や尿はアルカリ性に傾く」と示している。本来、健康な人間には体液を一定に保つ機能が備わっており、体内で炭酸ガス(CO2)と重炭酸イオン(HCO3)の濃度調節によって、体液pHを7.35〜7.45ぐらいの範囲に保っている。細胞内の解糖経路で副生成物として過剰に生産されてしまった酸性物質(乳酸)は、細胞から体液へ、体液から血液へ、血液から腎臓を経て尿となって排泄される。その際に、乳酸の中和のために重炭酸イオンが消費され、重炭酸イオンの濃度が低下することで体液が酸性側に傾く(アシドーシス)。酸性体質になった体内ではさまざまな代謝機能が阻害されるため、疲労の回復低下やけが完治の遅れなど、病気や体調の変調要因となっている。
【0003】
一方、炭酸飲料は、炭酸水を原料としてこれに酸味料や香料などを添加したものであるが、炭酸水を飲むと胃酸の分泌を促進し、胃全体の働きばかりか、血行もよくなり、梅干と同等の消化促進の効果があるとされる。また、炭酸水と果汁を例えば7:3の割合である飲料が提供されるが、これを続けて飲むと、抗酸化能力が向上する。これは、果汁のビタミンCの吸収率があがったことによる(炭酸水の補助効果)。さらに、炭酸水は疲労も解消する。疲労の原因の一つとして、酸素が使われた後、血中に水素イオンが発生し血液が酸性に傾くと言われるが、炭酸水の炭酸ガスが水素イオンを中和し酸性を改善するからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、クエン酸や炭酸水は、身体に非常に良好に作用することが分かっており、従来、炭酸飲料として、炭酸水に酸味料としてクエン酸、リンゴ酸などを添加したものはあったが、酢を主体とした果実酢についての炭酸飲料は存在しなかった。つまり、炭酸水に果汁を少量添加したものが飲料と提供されてきたが、果汁を主にしてこれに炭酸水を添加したものはなかった。しかし、炭酸水とクエン酸との相乗効果においては、炭酸水はむしろ補助的に作用することが多いと考えられる。
【0005】
この発明は、上記のような観点から、炭酸水が補助的に作用して果実酢のクエン酸の効能を高めるために健康の維持・向上に適しており、しかも、果実酢としては飲みやすく、希釈してもおいしさが保持される果実酢の炭酸飲料を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1発明は、果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたことを特徴とする果実酢の炭酸飲料を提供するものである。
【0007】
【作用】
果実酢の炭酸飲料を上記のように構成したから、果実酢を炭酸水で割ると、味がまろやかになり飲みやすくなるだけでなく、果実酢に含まれるクエン酸効果が高まり、また、果実酢に含まれる各種アミノ酸やビタミン、ミネラル分の吸収が非常に良くなる。果実酢を炭酸水で割るとは、果実酢が主体であることを意味し、その成分効果がこのように炭酸水により非常に高められる。なお、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたのは、炭酸水に圧入されている炭酸ガスを封じ込めておく必要があるからである。
【0008】
また、第2発明は、柑橘類果汁と、合わせ酢と、甘味料とを主体とした果実酢であって、5〜10倍に希釈することによって果実酢飲料として利用することができる所謂10倍濃縮型果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたことを特徴とする果実酢の炭酸飲料を提供するものである。
【0009】
【作用】
なお、ここに10倍濃縮とは、レシピ(味付け)が高い倍濃縮であるために5〜10倍にまで希釈しても調理用、飲料用となり得ることを言い、酢濃度や酢酸度、糖度等が特別に10倍にまで濃縮したという意味ではない。このような果実酢の炭酸飲料では、希釈しても、良好な旨味、香り、風味がさらに保持されるとともに、第1発明の場合と同様に、炭酸水により栄養成分が身体に吸収されやすい。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1発明)
第1発明において使用される果実酢は、果実を原料として醸造されたりんご酢、ふどう酢、かき酢、蜜柑酢などであるが、柑橘類果汁をそのまま使用することもできる。柑橘類果汁としては、すだち、オレンジ、ゆず、グレープフルーツ、レモン、だいだい、夏みかん等、広くミカン科の果実を利用でき、それを搾って得られる。これらの果汁は、果汁を含み適度に酸度(クエン酸)を有し、一種の酢であるが、良好な旨味、香り、風味を有し、炭酸水で割られ希釈されても香りや風味が残りやすい。
【0011】
なお、炭酸水は、炭酸ガスを水に圧入して得られるが、それが放出されないように割る工程や、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態とするときには、圧力中においてなされる。しかし、主体が果実酢であるので、耐圧性は余り要求されない。また、果実酢が濃厚であるが、炭酸水で味がまろやかである。しかも、果実酢の栄養成分を多量に摂取するのに適しているが、さらに、果実酢の濃度から消費者において希釈して飲む飲料とするのに適している。
【0012】
特に、果実酢に柑橘類果汁が使用されていると、炭酸水が補助的であるので、それが特に少量であるときには、希釈に耐えて良好な旨味、香り、風味を保持するので、所謂10倍濃縮型果実酢とするときに適している。
【0013】
(第2発明)
第2発明においては、この所謂10倍濃縮型果実酢として、柑橘類果汁の他に、合わせ酢と、甘味料が使用され、これに炭酸水が添加されて、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態とされるもので(請求項2)、希釈しても、良好な旨味、香り、風味が保持されるとともに、炭酸水により栄養成分が身体に吸収されやすい。果実酢を構成する素材としての柑橘類果汁については、前述の通りであるので、他の素材としての合わせ酢と甘味料について次に説明する他、柑橘類果汁には、繊維成分や油性成分が含まれているので、その処理について引き続き説明する。
【0014】
合わせ酢には、調理用酢や飲用酢を広く使用できる。りんご酢、ふどう酢、かき酢、蜜柑酢等の果実酢の他に、米酢や玄米酢、黒酢等の醸造酢や合成酢を使用でき、これら果実酢以外であっても、柑橘類果汁により果実酢としての機能を保持する。また、その製造についても普通の飲用酢や果実酢と同様に様々となり、これらを破砕した果実搾汁液を原料として、アルコール発酵させた後、酢酸菌を接種して酢酸発酵をさせて得られるが、原料に醸造アルコールを添加して酢酸発酵させることもできる等、製法は様々となり、これにより、原料由来の有機酸類、アミノ酸類、ミネラル類、ビタミン類の等の滋養栄養成分が生成される。
【0015】
合わせ酢としてはりんご酢がクセがなく飲みやすく、とくにすだち果汁と合わせるのに適している。殊に、所謂10倍濃縮型の果実酢が、すだち果汁:13〜16%、りんご酢:18〜22%、果糖ぶどう糖液糖:50〜53%を添加して成るときには(請求項3)、これらの滋養栄養成分に富み、また、風味が豊かで旨味がある。
【0016】
甘味料は、主に酸味を緩和する調整のために用いられる。これには、果糖ぶどう糖液糖、ステビア、甘草等が使用されるが、原則として、5倍濃縮型の場合の2倍を必要とするところ、ステビア、甘草の場合であると、5倍濃縮型と同量程度で足り、それ以上は必要がないことが判明している。また、果糖ぶどう糖はあっさりした甘味があり、すだち果汁やりんご酢との合わせにおいて適しており(請求項3)、その場合、50〜53重量%程度が希釈されても旨味が保持され好ましい(請求項4)。
【0017】
10倍濃縮といっても、果実酢や甘味料については、5倍濃縮型に比べて余り変える必要はないが、柑橘類果汁の量が多く、食物繊維成分や油性成分の量は多くなりすい。そこで、その分散のために、繊維成分は90重量%以上を10μm以下に超微粉砕し(請求項4)、油性成分はマイクロカプセル化することが望ましく(請求項5)、こうすることにより、これらの成分が沈殿したり浮遊したりしない品質を保持できる。マイクロカプセル化については、分散性を確保するために、カプセルの材料の選定により、カプセル化により比重が原液と同じになるように処理することが肝要である。
【0018】
また、ニンニクやしょうが等の他の材料の微粉末を添加することもあり、このような場合にも食物繊維や油成分の処理が必要である。いずれにしても、5〜10μm程度に超微粉砕すると、1週間〜10日間は沈殿が見られなかった。また、1μm以下を90%にすると、6ヵ月間も沈殿しない。
【0019】
さらに、第1、第2発明の果実酢の炭酸飲料においては、健康志向に応じるために、さらに、紅麹成分を添加することがある(請求項6)。紅麹は、米、麦、大豆等に紅麹菌を接種し育成して得られる麹であって、血圧降下や汚血浄化、健胃等の機能を有することが知られている。これを粉末にして添加する。また、アルコール等で有効成分を抽出しエキスを添加しても良い。紅麹菌としては、モナスカス・ピロウサス、モナスカス・ピュープレウス等を挙げることができる。また、紅麹菌添加による生理活性物質モナコリンの産出と、アルコール発酵及び酢酸発酵とを同一系内で平行して行うことにより(特開平2−303477号公報)、所謂10倍濃縮型果実酢の製造期間を短縮することもできる。また、この紅麹についても、超微粉砕することが望ましい。
【0020】
なお、炭酸水などに使用される水成分については、例えば北海道などでみられる流氷を溶かして得られる所謂流氷水(商品名)を使用すれば、本発明の炭酸飲料をいっそう美味しく飲むことができる(請求項7)。これは、上記流氷水が、非常に純度の高いナチュラルミネラルウォターであることと、旨味の強い軟水であることによる。
【0021】
炭酸水で割る方法については、炭酸飲料の製造方法におけるポトミックス法やプレミックス法を採ることができる。
【0022】
そのうち、ポトミックス法の場合であると、一定量の果実酢を瓶に注入し、次に炭酸水を一定量まで充填し、同時に王冠を打栓し、瓶詰め後に上層の炭酸水と下層の果実酢を混合させる。また、プレミックッス法の場合であると、果実酢と処理水とが、計量装置で一定の割合に配合され、次に、冷却しながら炭酸ガスを圧入し、これが充填機に送られて瓶詰め打栓する。そして、炭酸飲料のガス内圧力はJAS規格で決められており、この発明の場合、缶、ペットボトル、瓶などがそれに耐える容器として使用される。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の果実酢の炭酸飲料によれば、炭酸水が補助的に作用して果実酢のクエン酸の効能を高めるために健康の維持・向上に適しており、しかも、果実酢としては飲みやすく、希釈してもおいしさが保持され、殊に、所謂10倍濃縮型果実酢の炭酸飲料とすると、流通経路における取扱い量が少なくなるので、運搬、保管などの費用が少なくなり、また、消費者においては好みに応じて希釈して健康的に飲用でき、冷蔵庫等においてスペースを取らない小型の包装容器を使用できる等の優れた効果がある。
【0024】
【実施例】
(第1発明の実施例)
果実酢にはリンゴ酸を使用し、重量でリンゴ酸3に対してこれを1の炭酸水で割ってペットポトルに詰めた。これには、炭酸飲料の製造方法としてのポストミックス法による三段びん詰法を取った。
▲1▼ リンゴ酸をペットポトルに注入し、次に炭酸水を充填する。
▲2▼ 蓋(栓)をする。
▲3▼ リンゴ酸と炭酸水とを混合させる。
【0025】
上記の果実酢の炭酸飲料を開封して飲用したところ、非常にさわやかな風味であって、しかも、体内酸性物質の乳酸を排出し、代謝機能の向上、疲労回復と言った健康効果が感じられた。
【0026】
(第2発明の実施例)
所謂10倍濃縮型果実酢としての果実酢の炭酸飲料であって、その果実酢の仕込み材料別にその割合を示し、同時に一部材料について旨味・風味成分としてのアミノ酸窒素の100g中の量を示す。そして、この実施例では、果実酢10に対して炭酸水1で割る程度に、処理水を配合し、前記したプレミックス法により、瓶詰め製品とした。
【0027】
【0028】
上記から旨味成分としてのアミノ酸窒素の量については、すだち果汁とりんご酢に特に多く、これが希釈に耐えて旨味を保持することが分かる。つまり、10倍希釈により水分が多くなっても美味しく飲めることを意味している。しかし、次に記すように、糖度(Bx)および酸度は上記した原液のほゞ10分の1となる。ちなみに、これが柑橘類果汁が機能的に補うことになる。
【0029】
【0030】
糖度の減少は、果糖ぶどう糖液糖の他、蜂蜜、ステビアを加えることにより調整した。酸度の減少については、クエン酸を添加することにより補ったが、柑橘類果汁(すだち果汁)、果実酢(りんご酢)が総体の14〜20重量%もしくはそれ以上の量であると、7〜8倍の希釈または10倍の希釈に旨味等が耐え得ることが分かった。
【0031】
本製品は比重が1.2076となっており、水溶性の物質以外は下に沈殿する可能性もある。紅麹もろみ粉末は、超微粒子粉末であるため、どの素材よりも分布性が良好である。すだち果汁に混じっている食物繊維系物質は、自然果汁なのでどうしても存在するが、一番しぼりを使用したので、それはごく少量と考えられる。ちなみに、さらにもろみ粉末の場合、5μm以下の超々微粒となれば6ヵ月間分布状態を続け沈殿を見ない。
【0032】
上記の仕込み材料のうち、次の材料について説明する。
▲1▼ すだちフレーバーNAB
着香料であって、10倍濃縮果実酢を希釈した際の香りを補強する目的で添加される。
▲2▼ ポリデキストロースライティスウルトラ
水溶性食物繊維である。不足しがちな繊維分の補給と、原液に粘土をつけ沈降しがちな成分を分離させにくくすることを目的とする。
▲3▼ TSアスタキサンチン
抗酸化物質である。エビ・カニ、鮭等に主に存在する眼や脳内、皮膚等における抗酸化物質として機能する。
▲4▼ ステビア
キク科の植物(ステビア)の葉より抽出された天然甘味料、甘さが砂糖の200倍あり、希釈された際の甘味の補助として用いた。
▲5▼ また、クエン酸の添加については、5倍濃縮型が酢酸の酸味を中心に味作りがなされているのに対して、クエン酸の爽やかな酸味を出すことに特徴を置いたことによる。
▲6▼ 安息香酸Naは、防菌用に入れてあり、これは濃縮液には必要であるからである。
【0033】
上記10倍濃縮果実酢は、5〜10倍のいずれの希釈にも旨味、風味が健全であっておいしく飲むことができた。
【0034】
試みに、すだち果汁を10%となし、クエン酸を増やしたものを作成した(その他は上記と同じ仕込み)。その結果は、7倍希釈までは大した差は感じられなかったが、8〜10倍にすると、著しく旨味、風味共に劣化していると認識した。これから、すだち果汁の量は重要であることが分かった。
【発明の属する技術分野】
この発明は、健康の維持、向上のために酢、特にクエン酸を摂り入れるのに適した果実酢の炭酸飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
クエン酸は、酸っぱい果物、特に柑橘類の果実中に多く含まれている酸っぱい成分であり、日本薬局方において、クエン酸の薬効薬理として、「クエン酸の塩類投与により体液や尿はアルカリ性に傾く」と示している。本来、健康な人間には体液を一定に保つ機能が備わっており、体内で炭酸ガス(CO2)と重炭酸イオン(HCO3)の濃度調節によって、体液pHを7.35〜7.45ぐらいの範囲に保っている。細胞内の解糖経路で副生成物として過剰に生産されてしまった酸性物質(乳酸)は、細胞から体液へ、体液から血液へ、血液から腎臓を経て尿となって排泄される。その際に、乳酸の中和のために重炭酸イオンが消費され、重炭酸イオンの濃度が低下することで体液が酸性側に傾く(アシドーシス)。酸性体質になった体内ではさまざまな代謝機能が阻害されるため、疲労の回復低下やけが完治の遅れなど、病気や体調の変調要因となっている。
【0003】
一方、炭酸飲料は、炭酸水を原料としてこれに酸味料や香料などを添加したものであるが、炭酸水を飲むと胃酸の分泌を促進し、胃全体の働きばかりか、血行もよくなり、梅干と同等の消化促進の効果があるとされる。また、炭酸水と果汁を例えば7:3の割合である飲料が提供されるが、これを続けて飲むと、抗酸化能力が向上する。これは、果汁のビタミンCの吸収率があがったことによる(炭酸水の補助効果)。さらに、炭酸水は疲労も解消する。疲労の原因の一つとして、酸素が使われた後、血中に水素イオンが発生し血液が酸性に傾くと言われるが、炭酸水の炭酸ガスが水素イオンを中和し酸性を改善するからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、クエン酸や炭酸水は、身体に非常に良好に作用することが分かっており、従来、炭酸飲料として、炭酸水に酸味料としてクエン酸、リンゴ酸などを添加したものはあったが、酢を主体とした果実酢についての炭酸飲料は存在しなかった。つまり、炭酸水に果汁を少量添加したものが飲料と提供されてきたが、果汁を主にしてこれに炭酸水を添加したものはなかった。しかし、炭酸水とクエン酸との相乗効果においては、炭酸水はむしろ補助的に作用することが多いと考えられる。
【0005】
この発明は、上記のような観点から、炭酸水が補助的に作用して果実酢のクエン酸の効能を高めるために健康の維持・向上に適しており、しかも、果実酢としては飲みやすく、希釈してもおいしさが保持される果実酢の炭酸飲料を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1発明は、果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたことを特徴とする果実酢の炭酸飲料を提供するものである。
【0007】
【作用】
果実酢の炭酸飲料を上記のように構成したから、果実酢を炭酸水で割ると、味がまろやかになり飲みやすくなるだけでなく、果実酢に含まれるクエン酸効果が高まり、また、果実酢に含まれる各種アミノ酸やビタミン、ミネラル分の吸収が非常に良くなる。果実酢を炭酸水で割るとは、果実酢が主体であることを意味し、その成分効果がこのように炭酸水により非常に高められる。なお、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたのは、炭酸水に圧入されている炭酸ガスを封じ込めておく必要があるからである。
【0008】
また、第2発明は、柑橘類果汁と、合わせ酢と、甘味料とを主体とした果実酢であって、5〜10倍に希釈することによって果実酢飲料として利用することができる所謂10倍濃縮型果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたことを特徴とする果実酢の炭酸飲料を提供するものである。
【0009】
【作用】
なお、ここに10倍濃縮とは、レシピ(味付け)が高い倍濃縮であるために5〜10倍にまで希釈しても調理用、飲料用となり得ることを言い、酢濃度や酢酸度、糖度等が特別に10倍にまで濃縮したという意味ではない。このような果実酢の炭酸飲料では、希釈しても、良好な旨味、香り、風味がさらに保持されるとともに、第1発明の場合と同様に、炭酸水により栄養成分が身体に吸収されやすい。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1発明)
第1発明において使用される果実酢は、果実を原料として醸造されたりんご酢、ふどう酢、かき酢、蜜柑酢などであるが、柑橘類果汁をそのまま使用することもできる。柑橘類果汁としては、すだち、オレンジ、ゆず、グレープフルーツ、レモン、だいだい、夏みかん等、広くミカン科の果実を利用でき、それを搾って得られる。これらの果汁は、果汁を含み適度に酸度(クエン酸)を有し、一種の酢であるが、良好な旨味、香り、風味を有し、炭酸水で割られ希釈されても香りや風味が残りやすい。
【0011】
なお、炭酸水は、炭酸ガスを水に圧入して得られるが、それが放出されないように割る工程や、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態とするときには、圧力中においてなされる。しかし、主体が果実酢であるので、耐圧性は余り要求されない。また、果実酢が濃厚であるが、炭酸水で味がまろやかである。しかも、果実酢の栄養成分を多量に摂取するのに適しているが、さらに、果実酢の濃度から消費者において希釈して飲む飲料とするのに適している。
【0012】
特に、果実酢に柑橘類果汁が使用されていると、炭酸水が補助的であるので、それが特に少量であるときには、希釈に耐えて良好な旨味、香り、風味を保持するので、所謂10倍濃縮型果実酢とするときに適している。
【0013】
(第2発明)
第2発明においては、この所謂10倍濃縮型果実酢として、柑橘類果汁の他に、合わせ酢と、甘味料が使用され、これに炭酸水が添加されて、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態とされるもので(請求項2)、希釈しても、良好な旨味、香り、風味が保持されるとともに、炭酸水により栄養成分が身体に吸収されやすい。果実酢を構成する素材としての柑橘類果汁については、前述の通りであるので、他の素材としての合わせ酢と甘味料について次に説明する他、柑橘類果汁には、繊維成分や油性成分が含まれているので、その処理について引き続き説明する。
【0014】
合わせ酢には、調理用酢や飲用酢を広く使用できる。りんご酢、ふどう酢、かき酢、蜜柑酢等の果実酢の他に、米酢や玄米酢、黒酢等の醸造酢や合成酢を使用でき、これら果実酢以外であっても、柑橘類果汁により果実酢としての機能を保持する。また、その製造についても普通の飲用酢や果実酢と同様に様々となり、これらを破砕した果実搾汁液を原料として、アルコール発酵させた後、酢酸菌を接種して酢酸発酵をさせて得られるが、原料に醸造アルコールを添加して酢酸発酵させることもできる等、製法は様々となり、これにより、原料由来の有機酸類、アミノ酸類、ミネラル類、ビタミン類の等の滋養栄養成分が生成される。
【0015】
合わせ酢としてはりんご酢がクセがなく飲みやすく、とくにすだち果汁と合わせるのに適している。殊に、所謂10倍濃縮型の果実酢が、すだち果汁:13〜16%、りんご酢:18〜22%、果糖ぶどう糖液糖:50〜53%を添加して成るときには(請求項3)、これらの滋養栄養成分に富み、また、風味が豊かで旨味がある。
【0016】
甘味料は、主に酸味を緩和する調整のために用いられる。これには、果糖ぶどう糖液糖、ステビア、甘草等が使用されるが、原則として、5倍濃縮型の場合の2倍を必要とするところ、ステビア、甘草の場合であると、5倍濃縮型と同量程度で足り、それ以上は必要がないことが判明している。また、果糖ぶどう糖はあっさりした甘味があり、すだち果汁やりんご酢との合わせにおいて適しており(請求項3)、その場合、50〜53重量%程度が希釈されても旨味が保持され好ましい(請求項4)。
【0017】
10倍濃縮といっても、果実酢や甘味料については、5倍濃縮型に比べて余り変える必要はないが、柑橘類果汁の量が多く、食物繊維成分や油性成分の量は多くなりすい。そこで、その分散のために、繊維成分は90重量%以上を10μm以下に超微粉砕し(請求項4)、油性成分はマイクロカプセル化することが望ましく(請求項5)、こうすることにより、これらの成分が沈殿したり浮遊したりしない品質を保持できる。マイクロカプセル化については、分散性を確保するために、カプセルの材料の選定により、カプセル化により比重が原液と同じになるように処理することが肝要である。
【0018】
また、ニンニクやしょうが等の他の材料の微粉末を添加することもあり、このような場合にも食物繊維や油成分の処理が必要である。いずれにしても、5〜10μm程度に超微粉砕すると、1週間〜10日間は沈殿が見られなかった。また、1μm以下を90%にすると、6ヵ月間も沈殿しない。
【0019】
さらに、第1、第2発明の果実酢の炭酸飲料においては、健康志向に応じるために、さらに、紅麹成分を添加することがある(請求項6)。紅麹は、米、麦、大豆等に紅麹菌を接種し育成して得られる麹であって、血圧降下や汚血浄化、健胃等の機能を有することが知られている。これを粉末にして添加する。また、アルコール等で有効成分を抽出しエキスを添加しても良い。紅麹菌としては、モナスカス・ピロウサス、モナスカス・ピュープレウス等を挙げることができる。また、紅麹菌添加による生理活性物質モナコリンの産出と、アルコール発酵及び酢酸発酵とを同一系内で平行して行うことにより(特開平2−303477号公報)、所謂10倍濃縮型果実酢の製造期間を短縮することもできる。また、この紅麹についても、超微粉砕することが望ましい。
【0020】
なお、炭酸水などに使用される水成分については、例えば北海道などでみられる流氷を溶かして得られる所謂流氷水(商品名)を使用すれば、本発明の炭酸飲料をいっそう美味しく飲むことができる(請求項7)。これは、上記流氷水が、非常に純度の高いナチュラルミネラルウォターであることと、旨味の強い軟水であることによる。
【0021】
炭酸水で割る方法については、炭酸飲料の製造方法におけるポトミックス法やプレミックス法を採ることができる。
【0022】
そのうち、ポトミックス法の場合であると、一定量の果実酢を瓶に注入し、次に炭酸水を一定量まで充填し、同時に王冠を打栓し、瓶詰め後に上層の炭酸水と下層の果実酢を混合させる。また、プレミックッス法の場合であると、果実酢と処理水とが、計量装置で一定の割合に配合され、次に、冷却しながら炭酸ガスを圧入し、これが充填機に送られて瓶詰め打栓する。そして、炭酸飲料のガス内圧力はJAS規格で決められており、この発明の場合、缶、ペットボトル、瓶などがそれに耐える容器として使用される。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の果実酢の炭酸飲料によれば、炭酸水が補助的に作用して果実酢のクエン酸の効能を高めるために健康の維持・向上に適しており、しかも、果実酢としては飲みやすく、希釈してもおいしさが保持され、殊に、所謂10倍濃縮型果実酢の炭酸飲料とすると、流通経路における取扱い量が少なくなるので、運搬、保管などの費用が少なくなり、また、消費者においては好みに応じて希釈して健康的に飲用でき、冷蔵庫等においてスペースを取らない小型の包装容器を使用できる等の優れた効果がある。
【0024】
【実施例】
(第1発明の実施例)
果実酢にはリンゴ酸を使用し、重量でリンゴ酸3に対してこれを1の炭酸水で割ってペットポトルに詰めた。これには、炭酸飲料の製造方法としてのポストミックス法による三段びん詰法を取った。
▲1▼ リンゴ酸をペットポトルに注入し、次に炭酸水を充填する。
▲2▼ 蓋(栓)をする。
▲3▼ リンゴ酸と炭酸水とを混合させる。
【0025】
上記の果実酢の炭酸飲料を開封して飲用したところ、非常にさわやかな風味であって、しかも、体内酸性物質の乳酸を排出し、代謝機能の向上、疲労回復と言った健康効果が感じられた。
【0026】
(第2発明の実施例)
所謂10倍濃縮型果実酢としての果実酢の炭酸飲料であって、その果実酢の仕込み材料別にその割合を示し、同時に一部材料について旨味・風味成分としてのアミノ酸窒素の100g中の量を示す。そして、この実施例では、果実酢10に対して炭酸水1で割る程度に、処理水を配合し、前記したプレミックス法により、瓶詰め製品とした。
【0027】
【0028】
上記から旨味成分としてのアミノ酸窒素の量については、すだち果汁とりんご酢に特に多く、これが希釈に耐えて旨味を保持することが分かる。つまり、10倍希釈により水分が多くなっても美味しく飲めることを意味している。しかし、次に記すように、糖度(Bx)および酸度は上記した原液のほゞ10分の1となる。ちなみに、これが柑橘類果汁が機能的に補うことになる。
【0029】
【0030】
糖度の減少は、果糖ぶどう糖液糖の他、蜂蜜、ステビアを加えることにより調整した。酸度の減少については、クエン酸を添加することにより補ったが、柑橘類果汁(すだち果汁)、果実酢(りんご酢)が総体の14〜20重量%もしくはそれ以上の量であると、7〜8倍の希釈または10倍の希釈に旨味等が耐え得ることが分かった。
【0031】
本製品は比重が1.2076となっており、水溶性の物質以外は下に沈殿する可能性もある。紅麹もろみ粉末は、超微粒子粉末であるため、どの素材よりも分布性が良好である。すだち果汁に混じっている食物繊維系物質は、自然果汁なのでどうしても存在するが、一番しぼりを使用したので、それはごく少量と考えられる。ちなみに、さらにもろみ粉末の場合、5μm以下の超々微粒となれば6ヵ月間分布状態を続け沈殿を見ない。
【0032】
上記の仕込み材料のうち、次の材料について説明する。
▲1▼ すだちフレーバーNAB
着香料であって、10倍濃縮果実酢を希釈した際の香りを補強する目的で添加される。
▲2▼ ポリデキストロースライティスウルトラ
水溶性食物繊維である。不足しがちな繊維分の補給と、原液に粘土をつけ沈降しがちな成分を分離させにくくすることを目的とする。
▲3▼ TSアスタキサンチン
抗酸化物質である。エビ・カニ、鮭等に主に存在する眼や脳内、皮膚等における抗酸化物質として機能する。
▲4▼ ステビア
キク科の植物(ステビア)の葉より抽出された天然甘味料、甘さが砂糖の200倍あり、希釈された際の甘味の補助として用いた。
▲5▼ また、クエン酸の添加については、5倍濃縮型が酢酸の酸味を中心に味作りがなされているのに対して、クエン酸の爽やかな酸味を出すことに特徴を置いたことによる。
▲6▼ 安息香酸Naは、防菌用に入れてあり、これは濃縮液には必要であるからである。
【0033】
上記10倍濃縮果実酢は、5〜10倍のいずれの希釈にも旨味、風味が健全であっておいしく飲むことができた。
【0034】
試みに、すだち果汁を10%となし、クエン酸を増やしたものを作成した(その他は上記と同じ仕込み)。その結果は、7倍希釈までは大した差は感じられなかったが、8〜10倍にすると、著しく旨味、風味共に劣化していると認識した。これから、すだち果汁の量は重要であることが分かった。
Claims (7)
- 果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたことを特徴とする果実酢の炭酸飲料。
- 柑橘類果汁と、合わせ酢と、甘味料とを主体とした果実酢であって、5〜10倍に希釈することによって果実酢飲料として利用することができる所謂10倍濃縮型果実酢を炭酸水で割り、缶、ペットボトル、瓶詰めなる包装形態としたことを特徴とする果実酢の炭酸飲料。
- 所謂10倍濃縮型果実酢が、すだち果汁:13〜16%、りんご酢:18〜22%、果糖ぶどう糖液糖:50〜53%を添加して成ることを特徴とする請求項2記載の果実酢の炭酸飲料。
- 所謂10倍濃縮型果実酢の繊維成分が10μm以下90%以上に超微粉砕されていることを特徴とする2又は3記載の果実酢の炭酸飲料。
- 所謂10倍濃縮型果実酢の油性成分がマイクロコーティングされていることを特徴とする請求項2,3又は4記載の果実酢の炭酸飲料。
- 紅麹成分が添加されていることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の果実酢の炭酸飲料。
- 使用されている水が、流氷から得られる水であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の果実酢の炭酸飲料。
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2003
- 2003-05-30 JP JP2003153860A patent/JP2004350606A/ja active Pending
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