JP7319195B2 - 可視域および赤外域用偏光素子、および、偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、近赤外領域の光を吸収する水溶性化合物又はその塩を含有する偏光素子、偏光板及び液晶表示装置に関する。
偏光フィルムは一般に、二色性色素であるヨウ素又は二色性染料をポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向させ製造されている。二色性色素としてヨウ素を用いた偏光フィルムはヨウ素系偏光フィルムと呼ばれ、一方、二色性色素として二色性染料を用いた偏光フィルムは染料系偏光フィルムと呼ばれる。これら偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤層を介してトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを貼合して偏光板とし、液晶表示装置などに用いられる。ヨウ素系偏光フィルムからなるヨウ素系偏光板は、染料系偏光フィルムからなる染料系偏光板に比べ、高透過率で高偏光度、すなわち高コントラストを示すことから、一般的な液晶モニター、液晶テレビ、携帯電話、PDAなどに広く用いられている。しかしながら、ヨウ素系偏光板は光学特性の面では染料系偏光板に勝っているものの、光学耐久性の面では染料系偏光板に劣っており、例えば、ヨウ素系偏光板を高温多湿下に放置すると、脱色により透過率が上昇し、偏光度が低下するなどの問題が生じていた。透過率及び偏光度が高く、高コントラストで、かつ、耐熱性及び耐湿熱性にも優れる偏光板が求められ、この要望に対する発明として、透過率及び偏光度が高く、高コントラストで、かつ、環境試験、例えば乾熱耐久性にも優れる偏光板が求められている。この要望に対する発明として、特許文献1~3のように亜鉛を含有させる特許や、特許文献4のようにトリテルペノイド配糖体で処理して得られた偏光板や、特許文献5のように多価アルデヒドによっての熱に対する耐久性を向上させている技術がある。しかしながら、まだ上記要望を充分満たすものは得られておらず、安価で簡易的に作製しうる偏光板に関して、乾熱耐久性の向上等の高耐久化が切望されている。
一般的な偏光板は、延伸配向したポリビニルアルコール又はその誘導体のフィルムあるいは、ポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸又はポリビニルアルコール系フィルムの脱水によりポリエンを生成して配向せしめたポリエン系のフィルムなどの偏光膜基材に、偏光素子としてヨウ素や二色性染料を染色乃至は含有せしめて製造される。これらのうち、偏光素子としてヨウ素を用いたヨウ素系偏光膜は、偏光性能には優れるものの、水および熱に対して弱く、高温、高湿の状態で長時間使用する場合にはその耐久性に問題があり、かつ、赤外域までの透過率を制御しうるものではなかった。一方、偏光素子として二色性染料を用いた染料系偏光膜はヨウ素系偏光膜に比べ、耐湿性および耐熱性は優れるものの、可視波長域向けの波長に対する偏光機能を有する偏光板であって、赤外波長域の透過率を制御しうる偏光板ではなかった。
近年では、タッチパネル向け認識光源や防犯カメラ、センサー、偽造防止、通信機器等の用途において、可視域波長向けの偏光板だけでなく、赤外線領域に用いられる偏光板が求められている。そういった要望に対して、特許文献15のようにヨウ素系偏光板をポリエン化した赤外偏光板や、特許文献16または14のようなワイヤーグリットを応用した赤外偏光板や、特許文献17のような微粒子を含んだガラスを延伸した赤外偏光子や、特許文献18または6のようなコレステリック液晶を用いたタイプが報告されている。特許文献15では耐久性が弱く、耐熱性や湿熱耐久性、および耐光性が弱く実用性に至っていない。特許文献16または14のようなワイヤグリッドタイプは、フィルムタイプにも加工が可能であると同時に、製品として安定していることから普及が進みつつある。しかしながら、表面にナノレベルの凹凸がないと光学特性を維持でないことから、表面に触れてはならず、そのため使用される用途は制限され、さらには反射防止や防呟(アンチグレア)加工をすることが難しい。特許文献17のような微粒子を含んだガラス延伸タイプは高い耐久性を有し、高い二色性を有していることから実用性に至っている。しかしながら、微粒子を含みながら延伸されたガラスであるため、素子そのものが割れやすく、もろく、かつ、従来の偏光板のような柔軟性が無くいために表面加工や他の基板との貼合が難しいという問題点があった。参考文献5の技術は、古くから公開されている円偏光を用いた技術ではあるが、視認する角度によって色が変わってしまうことや、基本的に、反射を利用した偏光板であるため、迷光や絶対偏光光を形成させることが難しかった。つまり、一般的な偏光板のように吸収型偏光素子であって、フィルムタイプで柔軟性があり、かつ、高い耐久性を有する赤外線波長領域に対応した偏光板は無かった。
特開昭61-175602号公報 特開2003-50318号公報 特開2003-29042号公報 特開2005-241689号公報 特開平6-235815号公報 特開平2-167791号公報 特開昭61-221264号公報 特表2006-508034号公報 特開昭63-33477号公報 国際公開第2013/035560号 特開昭59-11385号公報 特開2010-106248号公報 特開2001-181184号公報 特開2013-24982号公報 米国特許US2,494,686号公報 特開2016-148871号公報 特開2004-86100号公報 特開2013-64798号公報 特開2004-251962号公報 特開2001-033627号公報 特開2001-290029号公報 特開2010-072548号公報 特開2007-084803号公報 特開2007-238888号公報
機能性色素の応用第1刷発行版、(株)CMC出版、入江正浩監修、p98~100 染料化学;細田豊著 1957年 621ページ
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、新規な偏光素子、偏光板、及び光学装置を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、赤外域の光を吸収する水溶性化合物又はその塩を含む新規な偏光素子を開発するに至った。
一態様において、本発明の偏光素子はヨウ素を含む
一態様において、特定の透過率を設定して、本発明の偏光素子が作製される。
一態様において、本発明の偏光素子は特定のアゾ化合物を含有する。
すなわち、本発明の要旨構成は以下に示すとおりである。
発明1
可視域において偏光特性を示す二色性色素を少なくとも1種と、赤外領域の光を吸収する水溶性化合物又はその塩を含む偏光素子。
発明2
前記赤外域の光を吸収する水溶性化合物が、アゾ化合物である発明1に記載の偏光素子。
発明3
前記アゾ化合物が下記式(1)に示されるアゾ化合物である発明2に記載の偏光素子:

式中、Ai、Aiは各々独立に水素原子、アゾ基、又は下記式(2)(ただし、Ai、Aiがともに水素原子であるものは除く)で表され、
-NH-は、aとa’、bとb’、aとb’、bとa’の組合せのいずれかの位置で両ナフタレン環と結合し、

式中、Riが置換している環は、各々独立に、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環であり、破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環であり、
Riは各々独立に、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基であり、
Biは各々独立に、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基であり、前記置換基は、水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基であり、
mは1~3の整数を示し、
Biがヒドロキシ基を置換基として有する場合、前記ヒドロキシ基は上記式(1)中のヒドロキシ基と銅原子とで-O-Cu-O-を形成することが可能である。)
発明4
式(2)が式(3)で表される発明1~3のいずれか一項に記載の偏光素子:

式中、Riが置換されている環、Ri、mはそれぞれ式(2)と同じであり、
-O-結合で表される酸素原子は式(1)中の-OH及び銅原子とで-O-Cu-O-を形成し、
Riは水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基である。
発明5
前記式(1)で表されるアゾ化合物が、下記式(4)で表されるアゾ化合物である発明1~4のいずれか一項に記載の偏光素子:

式中、Riは水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基であり、
mは式(2)と同じである。
発明6
前記少なくとも1種の二色性色素が式(5)または式(6)で示される化合物又はその塩である、発明1~5のいずれか一項に記載の偏光素子:

式中、Ab、Abはそれぞれ独立に、置換基を有するナフチル基又は置換基を有するフェニル基を示し、その置換基の少なくとも1つが水素原子、スルホ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、又は置換アミノ基であり、
Rb、Rbは各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を示し、

式中、Agは置換基を有するフェニル基または置換基を有するナフチル基を示し、
BgおよびCgは、各々独立に、下記式(7)または下記式(8)で表され、少なくとも一方が式(7)を示し、
Xgは、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアゾ基、または置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基を示し、

式中、Rgは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を示し、
kは0~2の整数を示し、

式中、RgおよびRgは各々独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を示す。
発明7
前記少なくとも1種の二色性色素が下記式(9)又は式(10)で示される化合物、その金属錯体化合物、又はその塩である、発明1~6のいずれか一項に記載の偏光素子:

式中、Acは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
Rc11~Rc14は、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、

式中、Acは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
Rc21~Rc25は、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
Rc26は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
Xcは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイル基、又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を表し、
p、qはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。
発明8
前記少なくとも1種の二色性色素が下記式(11)で示されるアゾ化合物、その金属錯体化合物又はその塩、又は、式(12)で示されるアゾ化合物又はその塩である、発明1~7のいずれか一項に記載の偏光素子:

式中、Abは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
Rb11~Rb14は、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、Rb15及びRb16は、各々独立して炭素数1~4のアルコキシ基を示し、
Xbは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、または置換基を有してもよいベンゾイル基を表し、
dは0または1を表し;

式中、Abは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
Rb21は水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、Xbは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキルアミン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基及び置換アミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、または置換基を有してもよいベンゾイル基を表す。
発明9
前記少なくとも1種の二色性色素が下記式(13)で示されるアゾ化合物又はその塩である、発明1~8のいずれか一項に記載の偏光素子:

式中、Ayは、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
Ry及びRyは、各々独立して、水素原子、スルホ基、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
hは1~3の整数である。
発明10
前記少なくとも1種の二色性色素がヨウ素である、発明1~9のいずれか一項に記載の偏光素子。
発明11
基材が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムである発明1~10のいずれか一項に記載の偏光素子。
発明12
偏光度が99%以上である発明1~11のいずれか一項に記載の偏光素子。
発明13
前記偏光素子2枚を、各々の吸収軸が互いに平行になるように重ねて配置した状態で求められる透過率において、
520nm~590nmの各波長の平均透過率と420nm~480nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として5%以下であり、かつ、600nm~640nmの各波長の平均透過率と520nm~590nmの各波長の平均透過率の平均値との差が絶対値として3%以下である、
発明1~12のいずれか一項に記載の偏光素子。
発明14
JIS Z 8781-4:2013に従い、自然光の透過率測定時に求められるa*値及びb*値の絶対値が、
前記偏光素子単体で、ともに1以下(-1≦a*-s≦1、-1≦b*-s≦1)であり、
前記偏光素子2枚を、各々の吸収軸が互いに平行になるよう重ねて配置した状態で、ともに2以下(-2≦a*-p≦2、-2≦b*-p≦2)である、
発明1~13のいずれか一項に記載の偏光素子(a*-sは単体でのa*値を示し、b*-sは単体でのb*値を示し、a*-pは平行位でのa*値を示し、b*-pは平行位でのb*を示す)。
発明15
前記偏光素子2枚を、各々の吸収軸が互いに直交するように重ねて配置した状態で求められる透過率において、
520nm~590nmの各波長の平均透過率と420nm~480nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として3%以下であり、かつ、600nm~640nmの各波長の平均透過率と520nm~590nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として2%以下である、
発明1~14のいずれか一項に記載の偏光素子。
発明16
発明1~15のいずれか一項に記載の偏光素子と、該偏光素子の少なくとも一方の面に透明保護層を備えた偏光板。
発明17
発明1~15のいずれか一項に記載の偏光素子又は発明16に記載の偏光板を含む光学装置。
発明18
液晶表示装置である、発明17に記載の光学装置。
本発明の偏光素子は、可視域において高い偏光特性を有し、赤外域の光を吸収してする。一態様において、可視域から赤外域の広帯域にかけて高い偏光性能を有する。一態様において、本発明の偏光素子は、偏光板及び液晶表示装置に用いるだけでなく、可視域から赤外域にかけての光で機能するセンサーやセキュリティ装置、可視域から赤外域にかけての光を感知することが可能なカメラ等に用いることができる。
一態様において、本発明の偏光素子は、ヨウ素系偏光板並みの高い透過率と高いコントラストを有しながらも、高い耐久性(耐湿性、耐熱性、及び/又は耐光性)、特に高い耐熱性有する。
一態様において、本発明の偏光素子は、赤外域の吸収を有しつつ、高い耐久性を有する。
一態様において、本発明の偏光素子は、可視域に無彩色な色を有し、赤外域に吸収を有し、及び高い耐久性を有する。
本明細書においては、赤外域の光を吸収する水溶性化合物又はその塩を、「赤外光吸収水溶性化合物」と略記する場合がある。
本願の請求項ならびに明細書において、「置換基」には水素原子を含んでもよいため、水素原子を便宜上「置換基」として説明することもある。「置換基を有してもよい」とは、置換基を有していない場合も含まれることを意味する。例えば、「置換基を有してもよいフェニル基」は、非置換の単なるフェニル基と、置換基を有するフェニル基を含む。また、本願の低級アルキル基、低級アルコキシ基などの「低級」とは特に記載がなければ、炭素数が1~4、好ましくは1~3であることを示す。
「低級(炭素数1~4の)脂肪族炭化水素基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等の直鎖アルキル基、sec-ブチル基、tert―ブチル基等の分鎖アルキル基、ビニル基等の不飽和炭化水素基等が挙げられる。
「低級(炭素数1~4の)アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられる。
本明細書においては、「アゾ化合物又はその塩」又は「アゾ化合物、その金属錯体化合物、又はその塩」の全てを含めて「アゾ化合物」と簡略して記載する場合がある。
[偏光素子]
本願は、可視域において偏光特性を示す二色性色素を少なくとも1種と、赤外域の光を吸収する水溶性化合物又はその塩を含む偏光素子に関するものである。
可視域において偏光特性を示す二色性色素とは、一般的に、ヨウ素、及びヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム等のヨウ素化合物よりなる化合物が知られており、他の2色性色素としては、非特許文献1に記載の色素が用いることが知られている。具体的には、ヨウ素系偏光板としては例えば特許文献21、特許文献22が挙げられ、染料系偏光板としては特許文献19、特許文献20が挙げられ、特定の波長のみを偏光制御出来る染料系偏光板であれば、特許文献23、特許文献24が挙げられ、こういった可視域に偏光機能を有する二色性色素が挙げられる。特に、後述する式(5)~式(14)に記載のアゾ色素を用いることによって、無彩色な偏光板やさらに高性能な偏光板が得られるため好ましい。
(赤外域の光を吸収する水溶性化合物)
近赤外域に光を吸収できる性能を持つ赤外光吸収水溶性化合物を用いることで、本発明の偏光素子に高い耐久性を付与させることができる。近赤外領域、特に700~1400nmに極大吸収を有する染料を用いることが好ましい。より好ましくは700~1100nm、さらに好ましくは700~1000m、特に好ましくは700~900nmに極大吸収を有する染料が用いられる。
上記赤外光吸収水溶性化合物の種類としては、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、ホウ素錯体系、シアニン系、スクアリリウム系、ジイモニウム系、ジフェニルアミン・トリフェニルアミン類系、キノン系、アゾ系などが挙げられる。一般的にこれらの染料は既存のπ共役系を拡張することによって吸収波長を長波長化させており、その構造により多種多様な吸収波長を示す。また、多くは疎水性染料や顔料の形態をとるが、水溶性化することにより親水性染料として利用もできる。
フタロシアニン・ナフタロシアニン系は平面性構造を有し、広いπ共役面を有する染料である。一般式(A-1)のMで示される中心金属により多様な吸収を示し、中心金属として一般的にはLi、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb等が挙げられる。金属酸化物としてはVO、GeO、TiO等が挙げられる。金属水酸化物としては例えば、Si(OH)、Cr(OH)、Sn(OH)、AlOH等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては例えば、SiCl、VCl、VCl、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl、AlCl等が挙げられる。これらの中でもFe、Co、Cu、Ni、Zn、Al、V等の金属原子、VO等の金属酸化物、AlOH等の金属水酸化物等が好ましく、VO等の金属酸化物がより好ましい。通常は顔料として用いられるが、特開平2-167791号公報に記載の一般式1のように、水溶性基を付与することにより水へ溶解させることもできる。
下記一般式(A-1)で表される染料は、例えば下記化合物例(A-1-1)で表される染料であることが好ましい。一般式(A-1)における破線の芳香環は、あってもなくてもよいことを意味する。化合物例(A-1-1)におけるe及びfは各々独立に0~12の整数を表し、e及びfの和が0~12であることを示し、特にeが1~4かつfが0であることが好ましい。

キノン系は幅広い吸収を有する染料であり、下記一般式(A-2)のように表される染料である。式中、Ar、Arは芳香環若しくは複素環から構成される環状構造であることが望ましく、吸収波長の長波長化の為には複素環がより好ましい。例えば、特開昭61-221264号公報に記載されるようなアンスラキノン系染料が挙げられる。また、これらの環は置換基を有してもよく、例えば置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基、スルホ基、アルキル基、アルコキシ基、スルホ基を有するアルキル基、水酸基を有するアルキル基等が挙げられる。Xは酸素原子又は窒素原子であることが好ましい。なお、Xが窒素原子の場合、その窒素原子は、水素付加体であるNH、あるいは炭素数1~4のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基等で置換された窒素原子を示す。
キノン系は、多くの構造のものが疎水性を示すが、水溶性基を付与することにより水への溶解が可能なものも報告されている。例えば、特表2006-508034号公報に記載されるようなインダンスロン染料が挙げられる。
上記置換基を有してもよいアミノ基としては、置換又は非置換のアミノ基を表し、置換アミノ基としては、モノメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、モノブチルアミノ基、モノフェニルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、セカンダリブチル基、ターシャリブチル基等の分鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。スルホ基を有するアルキル基としては、スルホメチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基等が挙げられる。水酸基を有するアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
下記一般式(A-2)で表される染料は、例えば下記化合物例(A-2-1)で表される染料であることが好ましい。化合物例(A-2-1)におけるnは1~12の整数を表し、nが1以上の場合、それぞれのスルホ基は遊離形態であっても、塩の形態であってもよく、あるいは遊離形態と塩の形態の両方を任意の割合で含んでいてもよい。

シアニン系は近赤外域に強い吸収を有する染料であり、一般式(A-3)、あるいは、一般式(A-4)で表され、Ar~Arは複素環を表わす。複素環としては例えば、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、チアゾリン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、キノリン環などが挙げられ、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環であることが好ましい。それぞれの複素環は各々任意の置換基を有してもよく、水溶液基を有することが好ましい。水溶性基としてはスルホ基、水酸基、スルホ基を有するアルキル基、水酸基を有するアルキル基等が挙げられる。これら置換基は、Ar~Arの環上に置換していてもよいし、複素環中の窒素原子上に結合してもよい。一般式(A-3)中のメチン鎖の数cは1~7の整数で表され、3~5が特に好ましい。このメチン鎖上は置換基Rを有してもよく、例えば置換基を有してもよいフェニル基等が挙げられる。また、cが2以上でRが複数存在する場合、それぞれのRは同じで合ってもよく、異なっていてもよい。一般式(A-4)中のArは炭素数5~7の環状骨格を表し、置換基Wはハロゲン、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基等が挙げられる。この場合の置換基が水溶性基を有してもよい。また、この染料は分子内塩型、又は分子間塩型であり、分子間塩型の場合、ハロゲン化塩、過塩素酸塩、フッ化アンチモン塩、フッ化リン塩、フッ化ホウ素塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタン)スルホン酸イミド塩、又はナフタレンスルホン酸などの有機塩等が挙げられる。具体的にはインドシアニングリーンや特開昭63-33477号公報に記載の水溶性染料等が挙げられ、例えば下記化合物例(A-3-1)及び(A-4-1)~(A-4-3)が挙げられる。スルホ基を有するアルキル基、水酸基を有するアルキル基としては、それぞれ上記と同じでよい。上記ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、塩素であることが好ましい。





シアニン系と類似の構造であるスクアリリウム系は下記一般式(A-5)で表されるような、四角酸を中心骨格に持つ染料である。一般式(A-5)中のAr、Arにはシアニン系と同様の複素環を有することが望ましい。また、この染料も分子内塩型、分子間型をとり、シアニン系と同様な塩の形をとる。この染料は疎水性を示すものが多いが、シアニン系と同様に水溶性基を付与することにより、水への溶解を可能にする。
アゾ系は可視光域を吸収する染料であり、水溶性インクが主な用途であるが、吸収を広帯域化することにより、近赤外域まで吸収可能な染料が市販されている。例えば、一般的には国際公開第2013/035560号に記載の黒色インク作製の目的でC.I. Acid Black 2(オリヱント化学工業社製)、C.I. Direct Black 19(アルドリッチ工業社製)を使用する例などが挙げられる。また、これらアゾ系染料は金属と錯形成させることもできる。この場合、下記一般式(A-6)ように表され、中心金属Mはコバルト、ニッケル等が挙げられ、Ar11、Bはベンゼン環又はナフタレン環等の芳香環が例示され、より具体的には、特開昭59-11385号公報に記載の染料構造が好適である。
金属錯体系は、下記一般式(A-7)、あるいは下記一般式(A-8)のように表される。式中のM、Mは金属を表し、Pd、Ni、Co、Cuが一般的であるが、Niが特に好ましい。R71、R72、R81、R82は任意の置換基を表すが、具体的にはハロゲン原子、スルホ基を有してもよいアルキル基、スルホ基を有してもよいアルコキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、置換基を有してもよいフェニル基等が挙げられる。X~Xは各々独立に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を表す。なお、X~Xが窒素原子の場合、その窒素原子は、水素付加体であるNH、あるいは炭素数1~4のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基等で置換された窒素原子であってもよい。

ホウ素錯体系は下記一般式(A-9)のように表され、特開2010-106248号公報に記載の染料構造が好適である。
上記一般式(A-9)において、R93、R94は水素原子、アルキル基、フェニル基が好ましく、R95は強い電子吸引性基、例えばニトロ基、シアノ基が好ましく、Ar90は置換基を有してもよいフェニル基が好ましく、Ar12は芳香環又は複素環から構成される環状構造であることが好ましく、吸収波長の長波長化のためには複素環がより好ましい。Yは硫黄原子又は酸素原子であることが好ましい。
ジイモニウム系は近赤外域でも比較的長波長側(950~1100nm)に吸収を有する染料であり、下記一般式(A-10)のように表される。
上記一般式(A-10)において、R~R13は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい芳香環などが挙げられる。一般的には疎水性染料であるが、水溶性基が付与された特開2001-181184号公報に示される染料も開示されている。この染料も分子内塩、分子間塩型であり、分子間塩型の場合、Q-はハロゲン化イオン、過塩素酸イオン、フッ化アンチモンイオン、フッ化りんイオン、フッ化ホウ素イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタン)スルホン酸イミドイオン、又はナフタレンスルホン酸イオンなどが挙げられる。置換基を有してもよいアルキル基としては、例えば、ハロゲン、水酸基、シアノ基、置換又は非置換のアミノ基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基等が置換した直鎖又は分鎖又は環状のC1~C8アルキル基等が挙げられる。ハロゲンとしては、上記と同じでよい。置換又は非置換のアミノ基としては、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。カルボキシアルキル基としては、例えば、メチルカルボキシ基、エチルカルボキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ターシャリブトキシ基等が挙げられる。
ジフェニルアミン・トリフェニルアミン類は下記一般式(A-11)、あるいは下記一般式(A-12)のように表される。
上記一般式(A-11)におけるR14~R17、一般式(A-12)におけるR18~R23は各々独立に、水素原子、又は少なくとも1個の炭素原子を含むアルキル基であり、そのアルキル基は、任意に窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びハロゲン原子から選択される1個又は複数個のヘテロ原子を含み、1個以上の窒素原子はカチオンラジカルであり、前記1個以上のカチオンラジカルは、1個以上のアニオンによって電荷が平衡化されている。
上記赤外光吸収水溶性化合物としては、アゾ化合物又はその塩が好ましい。
上記アゾ化合物としては、上記式(1)で表されるアゾ化合物が好ましい。
本発明の偏光素子に上記式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩を含有させることにより、飛躍的に高い耐久性を付与させることができる。さらには、赤外領域の広い波長にわたって高い偏光を提供しうる偏光素子を得ることができる。一般的な染料系偏光素子に関し、例えば、特許文献19または20では可視域では高い偏光度を示す偏光素子を得ることができるが、赤外域に偏光を有する偏光素子を提供することができないことに加え、耐久性試験において680nmより長波長領域における光透過率変化が極めて大きく、偏光板が耐久性試験後に色変化、例えば赤く変化してしまうという問題を有していた。該問題に対して、式(1)に示すアゾ化合物を用いることにより、より高い耐久性と広帯域での偏光機能を兼ね備える偏光素子が得られるため極めて好ましい。
上記式(1)中、Ai、Aiは各々独立に水素原子、アゾ基、又は上記式(2)(ただし、Ai、Aiがともに水素原子であるものは除く)で表され、Ai、Aiがそれぞれ式(2)で表されるものが好ましい。また、-NH-は、aとa’、bとb’、aとb’、bとa’の組合せのいずれかであり、aとa’の組合せであることが好ましい。
上記式(2)中、Riが置換している環は、各々独立に、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環、破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環である。Riは各々独立に、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基からなる群から選択される置換基を表す。
上記炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ノルマルブチル基等の直鎖アルキル基、セカンダリブチル基やターシャリブチル基等の鎖状アルキル基等が挙げられる。炭素数1~4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基としては、スルホメチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基等が挙げられる。ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
上記ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としては、好ましくはアルコキシ基末端がヒドロキシ基で置換された直鎖アルコキシ基であり、より好ましくは4-ヒドロキシプロポキシ基又は4-ヒドロキシブトキシ基である。カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としては、好ましくはアルコキシ基末端がカルボキシ基で置換された直鎖アルコキシ基であり、より好ましくは4-カルボキシプロポキシ基又は4-カルボキシブトキシ基である。スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としては、好ましくはアルコキシ基末端がスルホ基で置換された直鎖アルコキシ基であり、より好ましくは4-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基である。
上記式(2)中、Biは各々独立に、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいナフチル基を表す。
上記フェニル基及びナフチル基が有していてもよい置換基としては、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基からなる群から選択される置換基を表す。
上記式(2)中のBiがヒドロキシ基を置換基として有する場合、式(1)中のヒドロキシ基と銅原子とで、-O-Cu-O-結合を形成し、アゾ金属錯体化合物又はその塩とすることが可能である。
上記式(2)中、mは1~3の整数を表し、好ましくは1または2であり、より好ましくは2である。
Biが置換基を有してもよりフェニル基の場合、置換位置は特に限定されないが、2位と4位、2位と5位、又は3位と5位の組合せが好ましく、2位と4位が特に好ましい。Biが置換基を有してもよいナフチル基の場合、置換位置は特に限定されないが、2位、6位、7位、2位と6位、2位と7位の組合せが好ましく、2位、2位と7位が特に好ましい。式(1)においてAi、Aiは各々独立に水素原子、又は式(2)で表されるが、Ai、Aiが共に水素原子である場合は除外され、水素原子と式(2)の組み合わせ、又はAi、Aiが共に式(2)の組合せが好ましく、Ai、Aiが共に式(2)の組合せが特に好ましい。
上記式(2)が上記式(3)で表される場合、本願の偏光素子の耐久性をさらに向上させ、また、赤外域での偏光性能を向上させることができるため好ましい。上記式(3)中、Riは上記式(2)のRiと同じである。
上記式(3)中、Riは水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基からなる群から選択される置換基を表す。式(3)中のRiの置換位置は、酸素原子が置換する位置に対して、オルト位、メタ位、パラ位をとり得るが、パラ位に置換していることが好ましい。また、式(3)中の酸素原子と式(1)中の-OHと銅原子とで-O-Cu-O-を形成することが好ましい。上記式(1)で表されるアゾ化合物が上記式(4)であることによってさらに高性能かつ広帯域を有する赤外域用の偏光素子を提供できるため、より好ましい。式(4)中、mは上記式(2)と同じであり、Riは式(3)中のRiと同じでよく、Riの置換位置についてもRiと同じでよい。
式(1)~式(4)で表されるアゾ化合物は遊離形態であっても、塩の形態であってもよい。塩は、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩やアルキルアミン塩等の有機塩であってもよく、好ましくはナトリウム塩である。
上記式(1)で表されるアゾ化合物の具体例を以下に挙げるが、特にこれらに限定されるものではない。式中のスルホ基、カルボキシ基及びヒドロキシ基は遊離酸として表す。





上記式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩は、例えば、特許文献14、特許文献15及び非特許文献2に記載されるような通常のアゾ染料の製造方法に従って、ジアゾ化、カップリングを行うことにより製造することができる。
具体的な製造方法の例としては次の方法が挙げられる。例えば、下記式(A)で示されるアミノチアゾール類をジアゾ化し、下記式(B)で示されるアニリン類又は下記式(C)で示されるアミノナフタレン類と一次カップリングさせ、下記式(D)又は下記式(E)で示されるモノアゾアミノ化合物を得る。
このジスアゾアミノ化合物(D)又は(E)をそれぞれ、Ai成分またはAi成分として、ジアゾ化し、下記式(F)のナフトール類とそれぞれ二次カップリングさせることにより式(1)のアゾ化合物が得られる。

上記式(A)~(F)において、Ri及びRiが置換している環における破線の有無は式(2)におけるものと同じ意味を表し、Riは式(3)におけるものと同じ意味を表し、R24またはR25は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を示し、mは式(2)におけるものと同じ意味を表す。
炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としてはそれぞれ、前記と同様でよい。
上記製造方法において、ジアゾ化工程は、ジアゾ成分の塩酸、硫酸などの鉱酸水溶液又はけん濁液に亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩を混合するという、いわゆる「順法」によるか、あるいはジアゾ成分の中性又は弱アルカリ性の水溶液に亜硝酸塩を加えておき、これと鉱酸を混合するという、いわゆる「逆法」によって行うことが好ましい。ジアゾ化の温度は、-10~40℃が適当である。また、アニリン類とのカップリング工程は塩酸、酢酸などの酸性水溶液と上記各ジアゾ液を混合し、温度が-10~40℃でpH2~7の酸性条件で行うことが好ましい。
カップリング反応により得られた式(D)又は式(E)のモノアゾ化合物は、そのまま濾過するか、酸析や塩析により析出させ濾過して取り出すか、溶液又はけん濁液のまま次の工程へ進むこともできる。ジアゾニウム塩が難溶性でけん濁液となっている場合は濾過し、プレスケーキとして次のカップリング工程で使うこともできる。
式(D)又は式(E)のモノアゾ化合物のジアゾ化物と、式(F)で表されるナフトール類との三次カップリング反応は、温度が-10~40℃でpH7~10の中性からアルカリ性条件で行われることが好ましい。反応終了後、得られた式(1)のアゾ化合物又は塩を、好ましくは塩析により析出させ濾過して取り出す。また、精製が必要な場合には、塩析を繰り返すか又は有機溶媒を使用して水中から析出させればよい。精製に使用する有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類等の水溶性有機溶媒が挙げられる。
上記式(A)で表される化合物は、破線で表される環が存在しない場合には2-アミノベンゾチアゾール類であり、例えば、2-アミノ-6-スルホベンゾチアゾール、2-アミノ-7-メトキシ-6-スルホベンゾチアゾール、2-アミノ-4,6-ジスルホベンゾチアゾール、2-アミノ-7-メトキシ-4,6-ジスルホベンゾチアゾール、等が挙げられる。破線で表される環が存在する場合には2-アミノナフトチアゾール類であり、例えば、2-アミノ-6,8-ジスルホナフトチアゾール、2-アミノ-4,6,8-トリスルホナフトチアゾール、2-アミノ-4-クロロ-6,8-ジスルホナフトチアゾール、2-アミノ-6-スルホプロポキシ-4,8-ジスルホナフトチアゾール、2-アミノ-6-スルホプロポキシ-4,7,8-トリスルホナフトチアゾール、2-アミノ-6-メトキシ-4,7,8-トリスルホナフトチアゾール、2-アミノ-7-スルホプロポキシ-4,9-ジスルホナフトチアゾール、2-アミノ-4-スルホプロポキシ-5,7,9-トリスルホナフトチアゾール、等が挙げられ、2-アミノ-6-スルホベンゾチアゾール、2-アミノ-7-メトキシ-6-スルホベンゾチアゾール、2-アミノ-6,8-ジスルホナフトチアゾールが好ましい。
式(B)のアニリン類としては、スルホ基を有する低級アルコキシ基を有するアニリン類として、3-(2-アミノ-4-メチルフェノキシ)プロパン-1-スルホン酸、3-(2-アミノフェノキシ)プロパン-1-スルホン酸、及び3-(2-アミノ-4-メチルフェノキシ)ブタン-1-スルホン酸等が挙げられる。それ以外のアニリン類としては、例えばアニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、2-エチルアニリン、3-エチルアニリン、2,5-ジメチルアニリン、2,5-ジエチルアニリン、2-メトキシアニリン、3-メトキシアニリン、2-メトキシ-5-メチルアニリン、2,5-ジメトキシアニリン、3,5-ジメチルアニリン、2,6-ジメチルアニリン、及び3,5-ジメトキシアニリン等が挙げられる。これらのアニリン類はアミノ基が保護されていてもよい。式(C)のアミノナフタレン類としては、例えば、1-アミノナフタレン、1-アミノナフタレン-6-スルホン酸、1-アミノナフタレン-7-スルホン酸、1-アミノ-2-メトキシナフタレン-6-スルホン酸、1-アミノ-2-メトキシナフタレン-7-スルホン酸、1-アミノ-2-エトキシナフタレン-6-スルホン酸、及び1-アミノ-2-エトキシナフタレン-7-スルホン酸が挙げられ、好ましくは1-アミノナフタレン-7-スルホン酸及び1-アミノ-2-メトキシナフタレン-7-スルホン酸が挙げられる。これらのアミノナフタレン類はアミノ基が保護されていてもよい。保護基としては、例えばそのω-メタンスルホン基が挙げられる。
上記式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩は、赤外域に高い偏光性能、並びに、耐湿性、耐熱性、及び/又は耐光性を有する高性能な偏光板を提供する。よって、本発明に係る偏光素子は、高温高湿条件下で使用される車載用偏光板、屋外表示用のニュートラルグレー偏光板、赤外域の光による制御が必要な各種センサーの作製に好適である。
上記偏光素子には、本発明の性能を損なわない程度に、色の補正及び/又は偏光性能の向上を目的として、可視域において偏光特性を示す二色性色素を少なくとも1種を用いる。例えば、式(1)で表されるアゾ化合物以外の可視域において偏光特性を示す二色性色素を少なくとも1種を含有させてもよい。
無彩色な偏光素子を作製するには、本発明の偏光素子は式(5)または式(6)のアゾ化合物又はその塩を、その一方を、または、両方を含むことが好適である。その処方は高い透過率で、高偏光度でありながらも無彩色な偏光素子を提供しうるに至る。式(5)または式(6)のアゾ化合物を含む偏光素子は耐久性が高く、信頼性の高い液晶ディスプレイを提供しうるに至る。
まず、式(5)について説明する。式(5)中、Ab、Abはそれぞれ独立に、置換基を有するナフチル基又は置換基を有するフェニル基を示し、その置換基の少なくとも1つが水素原子、スルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、又は置換アミノ基であり、Rb、Rbは各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。
さらに、より高透過率、かつ、高偏光度を有し、かつ、平行位、直交位の色相がより無彩色である偏光素子を得るためには、式(5)のRb、Rbが各々独立に置換基がメチル基、または、メトキシ基であることが好ましく、メトキシ基であることがさらに好ましい。
さらに、より高透過率、かつ、高偏光度を有し、かつ、平行位、直交位の色相がより無彩色である偏光素子を得るためには、式(5)のAb、Abはそれぞれ独立に、スルホ基またはカルボニル基を有するナフチル基であることが好ましく、スルホ基を有するナフチル基であることが、高コントラストな偏光板が得られるためさらに好ましい。
本願で用いられる式(5)で表されるアゾ化合物の具体例を、下記に遊離酸の形式で示す。
次に、式(6)の化合物について説明をする。
式(6)において、Agは、置換基を有するフェニル基または置換基を有するナフチル基を示す。Agがフェニル基である場合には、その置換基としてスルホ基またはカルボキシ基を少なくとも1つ有することが好ましい。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合は、その置換基の少なくとも1つがスルホ基またはカルボキシ基であり、その他の置換基が、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基、または低級アルキルアミノ基置換アミノ基であることが好ましい。その他の置換基は、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、またはアミノ基であり、特に好ましくはスルホ基、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、またはカルボキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基および4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。フェニル基が有する置換基の数は1または2が好ましく、置換位置は特に限定されないが、4位のみ、2位と4位の組合せ、および3位と5位の組合せが好ましい。
Agが置換基を有するナフチル基である場合、その置換基としてスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましい。ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合は、好ましくは、その置換基の少なくとも1つがスルホ基であり、その他の置換基としては、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、またはスルホ基を有する低級アルコキシ基である。ナフチル基は、置換基として2つ以上のスルホ基を有することが特に好ましい。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましい。より好ましくは3-スルホプロポキシ基および4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。ナフチル基が有するスルホ基の数が2である場合、スルホ基の置換位置は好ましくは4、8位の組合せ、および6、8位の組合せが好ましく、6、8位の組合せがより好ましい。ナフチル基が有するスルホ基の数が3である場合、スルホ基の置換位置は好ましくは1、3、6位の組合せである。
上記式(6)におけるBgおよびCgは、各々独立に、下記式(7)または下記式(8)で表されるが、BgおよびCgの少なくとも一方が式(7)で表される。
上記式(7)および式(8)において、RgからRgは、各々独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。式(7)において、Rgは、好ましくは水素原子、低級アルキル基、または低級アルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、またはメトキシ基であり、特に好ましくは、水素原子またはメトキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましい。より好ましくは3-スルホプロポキシ基および4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。Rgの置換位置は、Ag側のアゾ基を1位とした場合、2位または3位が好ましい。より好ましくはAg側のアゾ基を1位とした場合、3位であることがより好ましい。スルホ基がある場合には、そのスルホ基の置換位置は6位または7位が好ましく、より好ましくは6位である。kは0~2の整数を示す。式(8)において、RgまたはおよびRgは、各々独立に、好ましくは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはスルホ基を有する低級アルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基、3-スルホプロポキシ基、または、4-スルホプロポキシ基である。Rg、または、Rgの置換位置としては、Xg側のアゾ基を1位とした場合、2位のみ、5位のみ、2位および5位、3位および5位、2位および6位、または、3位および6位の組合せが適用でき、好ましくは、2位のみ、5位のみ、2位および5位である。
上記式(6)におけるXgは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、または置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を示す。Xgは、好ましくは、置換基を有してもよいアミノ基または置換基を有してもよいフェニルアミノ基であり、より好ましくはフェニルアミノ基である。置換基を有してもよいアミノ基は、好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、および低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1つまたは2つを有するアミノ基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、スルホ基を1つまたは2つ有するアミノ基である。置換基を有してもよいフェニルアミノ基は、好ましくは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、および低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1つまたは2つの置換基を有するフェニルアミノ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、およびアミノ基からなる群から選択される1つまたは2つの置換基を有するフェニルアミノ基である。置換位置は特に限定されないが、置換基の1つはフェニルアミノ基のアミノ基に対してp位であることが好ましい。フェニルアゾ基は、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基およびカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される1~3つを有するフェニルアゾ基である。置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基は、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、およびカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される1つの置換基を有するベンゾイルアミノ基である。Xgの置換位置は、置換しているナフチル基のヒドロキシ基を1位とした場合、6位または7位が好ましく、より好ましくは6位である。
式(6)で表されるアゾ化合物またはその塩は、下記式(6’)で表されるアゾ化合物またはその塩である場合、特に性能が向上するために好ましい。
上記式(6’)中、Agは置換基を有するフェニル基または置換基を有するナフチル基を示し、RgおよびRgは各々独立に式(7)中のRgと同じ意味を示し、Xgは式(6)中のXgと同じ意味を示す。kおよびkは各々独立に0~2の整数を示す。
式(6)で表されるアゾ化合物の具体例としては、例えば、
C.I.Direct Blue 34、
C.I.Direct Blue 69、
C.I.Direct Blue 70、
C.I.Direct Blue 71、
C.I.Direct Blue 72、
C.I.Direct Blue 75、
C.I.Direct Blue 78、
C.I.Direct Blue 81、
C.I.Direct Blue 82、
C.I.Direct Blue 83、
C.I.Direct Blue 186、
C.I.Direct Blue 258、
Benzo Fast Chrome Blue FG(C.I.34225)、
Benzo Fast Blue BN(C.I.34120)、
C.I.Direct Green 51、
等のアゾ化合物が挙げられる。
以下に、式(6)で表されるアゾ化合物の具体例を、遊離酸の形式で示す。



本発明の偏光素子において、式(5)または式(6)で表されるアゾ化合物またはその塩の含有量は、水溶液100質量部に対して、0.0001~5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.001~1質量部である。
式(5)で示されるアゾ化合物を得る方法、および、アゾ化合物としては、例えば、国際公開第2012/165223号に記載の方法で得ることができるが、これらに限定されるものではない。
式(6)で示されるアゾ化合物またはその塩は、例えば特開平1-161202号公報、特開平01-172907号公報、特開平01-248105号公報、特開平01-265205号公報、および特公平07-92531号公報等に記載される方法により合成することができるが、これらに限定されない。
一態様において、本発明の偏光素子は上記式(9)又は式(10)で示されるアゾ化合物、その金属錯体化合物、又はその塩を含む。上記偏光素子を作製するには、赤外光吸収化合物、及び、式(9)又は式(10)のアゾ化合物を、それぞれ独立に、又は、同時に用いることが好適であり、高い透過率で、高偏光度でありながらも無彩色な偏光素子の提供を可能とする。特に、式(9)、又は式(10)のアゾ化合物を用いた偏光素子は耐久性が高く、信頼性の高い液晶ディスプレイの提供を可能とする。
まず、式(9)について下記に説明する。
上記式(9)中、Acは、スルホ基、カルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、Rc11~Rc14は、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す
上記式(9)中、Acがフェニル基である場合には、その置換基としてスルホ基又はカルボキシ基を少なくとも1つ有することが好ましい。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合には、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基及び低級アルキルアミノ基置換アミノ基からなる群から選択され、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基及びアミノ基からなる群から選択され、特に好ましくは、スルホ基、メチル基、メトキシ基、エトキシ基及びカルボキシ基からなる群から選択される。上記スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。このようなスルホ基を有する低級アルコキシ基として、より好ましくは、3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。フェニル基が置換基としてスルホ基を有する場合、スルホ基の数は、1つ又は2つであることが好ましい。スルホ基の置換位置については、特に限定されるものではないが、スルホ基が1つである場合にはアゾ基の位置を1位として、フェニル基の4-位が好ましく、スルホ基が2つである場合には、フェニル基の2-,4-位の組合せ又はフェニル基の3-,5-位の組合せが好ましい。
上記式(9)中、Acがナフチル基である場合には、その置換基としてスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましい。ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合には、その置換基の少なくとも1つがスルホ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びスルホ基を有する低級アルコキシ基からなる群から選択される。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。このようなスルホ基を有する低級アルコキシ基として、より好ましくは3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。ナフチル基に置換されるスルホ基の数が2つである場合、アゾ基の位置を2位として、スルホ基の置換位置はナフチル基の4-,8-位の組み合わせ又は6-,8-位の組合せが好ましく、6-,8-位の組合せがより好ましい。ナフチル基に置換されるスルホ基の数が3つである場合、スルホ基の置換位置は、1-,3-,6-位の組合せであることが好ましい。
上記式(9)中、Rc11~Rc14は、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。Rc11~Rc14は、好ましくは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基又は3-スルホプロポキシ基である。Rc11~Rc14が置換されるフェニル基の置換位置としては、ウレイド骨格側のアゾ基の置換位置を1位とした場合、好ましくはフェニル基の2-位のみ、5-位のみ、2-位と6-位の組合せ、2-位と5-位の組合せ、3-位と5-位の組合せであり、特に好ましくは、2-位のみ、5-位のみ、2-位と5-位の組合せである。なお、上記2-位のみ、5-位のみとは、Rc11とRc12、Rc13とRc14との関係で、Rc11とRc12又はRc13とRc14のいずれか一方が、2-位又は5-位のみに水素原子以外の置換基を1つ有し、他方が水素原子であることを意味する。
上記式(9)で表されるアゾ化合物の中でも、特に、下記式(9b)で表されるアゾ化合物が好ましい:

式中、Ac、Rc11~Rc14は、上記式(9)に定義された通りである。このようなアゾ化合物の使用により、偏光素子の偏光性能をより向上させることができる。
上記式(9)で表されるアゾ化合物の具体例として、例えば、以下の化合物が挙げられる。



上記式(9)で表されるアゾ化合物は、例えば、特開2009-155364号公報等に記載された方法及びこれに類する方法で合成することができるが、これらに限定されるものではない。例えば、後述する式(9-v)で表されるベースとなる化合物を、クロロ炭酸フェニル等のウレイド化剤と、20~95℃で反応させることにより上記式(9)で表されるアゾ化合物を作製することができる。他のウレイド化による合成方法として、ホスゲン化合物等を使用し、アミン化合物をウレイド化させる方法が知られている。この合成方法により、ウレイド骨格を有する本発明における式(9)で表されるアゾ化合物を得ることができる。
上記式(9)で表されるアゾ化合物の具体的な合成方法を以下に説明する。まず、下記式(9-i)で表されるような置換基を有するアミン類を、例えば、細田豊著「染料化学」,技報堂,1957年,P.135-234に記載されている製法と同様の製法によりジアゾ化し、次いで、下記式(9-ii)で表されるアニリン類とカップリングさせることにより、下記式(9-iii)で表されるモノアゾアミノ化合物を得る。
式(9-i)中、Acは上記式(9)のAcと同じ意味を表す。式(9-ii)中、Rc11及びRc12は、上記式(9)におけるRc11及びRc12とそれぞれ同じ意味を表す。式(9-iii)中、Acは上記式(9)のAcと同じ意味を表し、Rc11及びRc12は上記式(9)におけるRc11及びRc12とそれぞれ同じ意味を表す。
次いで、上記式(9-iii)で表されるモノアゾアミノ化合物をジアゾ化し、さらに、下記式(9-iv)で表されるアニリン類と2次カップリングさせ、下記式(9-v)で表されるジスアゾアミノ化合物を得る。なお、式(9-iv)中、Rc13及びRc14は上記式(9)におけるRc13及びRc14とそれぞれ同じ意味を表す。式(9-v)中、Acは上記式(9)のAcと同じ意味を表し、Rc11~Rc14は上記式(9)におけるRc11及びRc14とそれぞれ同じ意味を表す。
上記反応経路におけるジアゾ化工程は、ジアゾ成分の塩酸、硫酸等の鉱酸水溶液又はけ懸濁液に亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を混合するといった順法により行われるか、或いはジアゾ成分の中性若しくは弱アルカリ性の水溶液に亜硝酸塩を加えておき、これと鉱酸を混合するといった逆法によって行われる。ジアゾ化の温度は、-10~40℃が適当である。また、アニリン類とのカップリング工程は、塩酸、酢酸等の酸性水溶液と上記各ジアゾ液とを混合し、温度が-10~40℃でpH2~7の酸性条件で行われる。
カップリング工程により得られたモノアゾアミノ化合物又はジスアゾアミノ化合物は、そのまま或いは酸析や塩析により析出させ濾過して取り出すか、溶液又は懸濁液のまま更なる工程を行うこともできる。ジアゾニウム塩が難溶性で懸濁液である場合には、当該懸濁液を濾過し、プレスケーキとして濾過後のジアゾニウム塩を更なるカップリング工程で使用することもできる。
上記の工程により得られたジスアゾアミノ化合物を、その後、クロロ炭酸フェニルとウレイド化反応に施すことにより、上記式(9)で表されるアゾ化合物が合成される。当該ウレイドか反応は、例えば、特開2009-155364号公報に記載される製法により、温度が10~90℃でpH7~11の中性~アルカリ性条件で行われる。ウレイド化反応の終了後、塩析により得られたアゾ化合物を析出させ、次いで濾過させる。また、精製が必要な場合には、塩析を繰り返すか又は有機溶媒を使用して水中から得られたアゾ化合物を析出させればよい。精製に使用する有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類等の水溶性有機溶媒が挙げられる。このようにして、本発明で使用される上記式(9)で表されるアゾ化合物を合成させることができる。
次に、式(10)について説明する。
上記式(10)中、Acは、スルホ基、カルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表す。Rc21~Rc25は、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。Rc26は、水素原子、低級アルキル基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。Xcは、置換基を少なくとも1つ有してもよいアミノ基、置換基を少なくとも1つ有してもよいフェニルアゾ基、置換基を少なくとも1つ有してもよいナフトトリアゾール基、又は置換基を少なくとも1つ有してもよいベンゾイルアミノ基を表し、上記置換基は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される。p、qはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。
上記式(10)中、Acは置換基を有するフェニル基、又は置換基を有するナフチル基を表すが、Acが置換基を有するフェニル基である場合には、フェニル基が置換基としてスルホ基又はカルボキシ基を少なくとも1つ有することが好ましく、フェニル基が置換基を2つ以上有する場合には、それらの置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基であり、他の置換基が、スルホ基、カルボキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、又は置換アミノ基(特に、アセチルアミノ基又は炭素数1~4のアルキルアミノ基)であることが好ましく、他の置換基は、スルホ基、カルボキシ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はアミノ基であることがより好ましく、スルホ基、カルボキシ基、メチル基、メトキシ基、又はエトキシ基であることが特に好ましい。また、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としては、直鎖アルコキシ基が好ましく、スルホ基の置換位置は、アルコキシ基末端であることが好ましい。スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としては、3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基がより好ましく、3-スルホプロポキシ基が特に好ましい。フェニル基上の置換基数は、1又は2であることが好ましく、フェニル基上の置換基の位置は、特に限定されないが、4-位のみであるか、2-位と4-位との組み合わせ、又は3-位と5-位との組み合わせであることが好ましい。
上記式(10)中、Acが置換基を有するナフチル基である場合には、ナフチル基が置換基としてスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましく、ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合には、それらの置換基の少なくとも1つがスルホ基であり、他の置換基が、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましい。また、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としては、直鎖アルコキシ基が好ましく、スルホ基の置換位置は、アルコキシ基末端であることが好ましい。スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基としては、3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基がより好ましく、3-スルホプロポキシ基が特に好ましい。ナフチル基上のスルホ基数が2である場合、アゾ基の置換位置を2位として、スルホ基の置換位置は4-位と8-位との組み合わせ又は6-位と8-位との組み合わせであることが好ましく、6-位と8-位との組み合わせであることが特に好ましい。ナフチル基上のスルホ基数が3である場合、スルホ基の置換位置は、アゾ基の置換位置を2位として、1-位と3-位と6-位との組み合わせであることが特に好ましい。
上記式(10)中、Xcは、置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、置換基を少なくとも1つ有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を少なくとも1つ有していてもよいフェニルアゾ基、置換基を少なくとも1つ有していてもよいナフトトリアゾール基、置換基を少なくとも1つ有していてもよいベンゾイル基、又は置換基を少なくとも1つ有していてもよいベンゾイルアミノ基を表し、好ましくは、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイル基、又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基が挙げられ、特に好ましいXcとしては、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基が挙げられる。上記置換基は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される。
Xcが、置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基である場合、当該アミノ基は、非置換でもよいが、好ましくは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、置換アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有し、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有する。
Xcが、置換基を少なくとも1つ有していてもよいフェニルアミノ基である場合、当該フェニルアミノ基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有し、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、スルホ基及びアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有する。
Xcが、置換基を少なくとも1つ有していてもよいフェニルアゾ基である場合、当該フェニルアゾ基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を1~3つ有し、より好ましくは、メチル基、メトシキ基、アミノ及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基を1~3つ有する。
Xcが、置換基を少なくとも1つ有していてもよいナフトトリアゾール基である場合、当該ナフトトリアゾール基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、スルホ基、アミノ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基1つ又は2つを有し、より好ましくは、置換基としてスルホ基を1つ又は2つ有する。
Xcが、上記置換基を少なくとも1つ有していてもよいベンゾイルアミノ基である場合、当該ベンゾイルアミノ基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、ヒドロキシ基、アミノ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ有し、より好ましくは、置換基としてヒドロキシ基又はアミノ基を1つ又は2つ有する。
Xcが、置換基を少なくとも1つ有していてもよいベンゾイル基である場合、当該ベンゾイル基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、ヒドロキシ基、アミノ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ有し、より好ましくは、置換基としてヒドロキシ基又はアミノ基を1つ又は2つ有する。
さらに好ましいXcとしては以下が挙げられる。
・水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、及び炭素数1~4のアルキルアミノ基からなる群より選択される1つ若しくは2つの置換基を有していてもよいアミノ基、
・水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基からなる群より選択される1つ若しくは2つの置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、
・アミノ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群より選択される1つの置換基を有していてもよいベンゾイル基、
・水素原子、アミノ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群より選択される1つの置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基、又は
・水素原子、ヒドロキシ基、メチル基、メトキシ基、アミノ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群より選択される1~3つの置換基を有していてもよいフェニルアゾ基。
置換基の位置は、特に限定されないが、例えばXcがフェニルアミノ基の場合にはフェニル基上の置換基の少なくとも1が、アミノ基に対してフェニル基のp-位であることが特に好ましい。
上記式(10)中、Rc21~Rc25は、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。Rc21~Rc25はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基、又は末端にスルホ基を有する直鎖型アルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、3-スルホプロポキシ基、又は4-スルホブトキシ基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、メトキシ基、又は3-スルホプロポキシ基であることが特に好ましい。
上記式(10)中、Rc26は、水素原子、低級アルキル基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し。水素原子、炭素数1~4のアルキル基、末端にスルホ基を有する直鎖型アルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、3-スルホプロポキシ基、又は4-スルホブトキシ基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、又は3-スルホプロポキシ基であることが特に好ましい。
上記式(10)中、p及びqはそれぞれ独立に0又は1の整数である。本発明の偏光素子において良好な偏光性能を得るには、p及びqのいずれか一方が0の場合、他方が1であることが好ましく、pおよびqが1であることがより好ましい。
上記式(10)で表されるアゾ化合物の中でも、下記式(10b)で表されるアゾ化合物が好ましい。このようなアゾ化合物の使用により、偏光素子の偏光性能をより向上させることができる。式(10b)中、Ac、Rc21~Rc26、Xc、p、及びq上記式(10)に定義された通りである
次に、遊離酸の形が式(10)で表されるアゾ化合物の具体例を以下に挙げる。なお、以下の化合物例では、スルホ基及びヒドロキシ基を遊離酸の形で表しているが、スルホ基及びヒドロキシ基は塩の形であってもよい。













遊離酸の形が式(10)で表されるアゾ化合物の合成方法としては、例えば、特開平9-302250号公報、特開平3-12606号公報、国際公開第2005/075572号、国際公開第2012/108169号、国際公開第2012/108173号などに記載されている方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。遊離酸の形が式(10)で表されるアゾ化合物としては、例えば、C.I.Direct Red 117、C.I.Direct Red 127、特開平3-12606号公報に記載されているアゾ化合物、国際公開第2005/075572号に記載されているアゾ化合物、国際公開第2012/108169号に記載されているアゾ化合物等が挙げられる。
一態様において、本発明の偏光素子は上記式(11)で示されるアゾ化合物、その金属錯体化合物、又はその塩、又は、式(12)で示されるアゾ化合物又はその塩をさらに含む。
式(11)に示す化合物について説明する。
式(11)中、Abは、スルホ基、カルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、Rb11~Rb14は、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表し、Rb15及びRb16は、各々独立して低級アルコキシ基を示し、Xbは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、または置換基を有してもよいベンゾイル基を表す。dは0または1の整数を表す。また、その化合物は金属錯体化合物であってもよく、好ましくは銅錯体化合物であってもよい。
前記銅錯体化合物とは、例えば、下記の式(11b)を指し、式(11b)のMが金属であり、銅、ニッケル、コバルトなどが用いられるが、好ましくは銅である。尚、式(11b)中、Ab、Rb11~Rb14、Rb16、Xb、dはそれぞれ上記式(11)におけるものと同じ意味を示す。
上記式(11)及び式(11b)中、Abがフェニル基である場合には、その置換基としてスルホ基又はカルボキシ基を少なくとも1つ有することが好ましい。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合は、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ベンゾイル基、アミノ基、アセチルアミノ基及び低級アルキルアミノ基置換アミノ基からなる群から選択され、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、3-スルホプロポキシ基及び4-スルホブトキシ基からなる群から選択され、特に好ましくは、スルホ基、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基及び3-スルホプロポキシ基からなる群から選択される。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、上記の3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基のように、直鎖のアルコキシが好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。フェニル基が置換基としてスルホ基を有する場合が好ましく、スルホ基の数は1つ又は2つであることが好ましい。置換基の置換位置については、特に限定されるものではないが、アゾ基の位置を1位とした場合、フェニル基の4位-が好ましく、スルホ基が2つである場合には、フェニル基の2位-,4-位の組合せ又は3-位,5-位の組合せが好ましい。
上記式(11)及び式(11b)中、Abがナフチル基である場合には、その置換基としてスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましい。ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合には、その置換基の少なくとも1つがスルホ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びスルホ基を有する低級アルコキシ基からなる群から選択される。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。このようなスルホ基を有する低級アルコキシ基として、より好ましくは3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。ナフチル基に置換されるスルホ基の数が2つである場合、スルホ基の置換位置は、アゾ基の位置を2位としてナフチル基の4-,8-位の組合せ又は6-,8-位の組合せが好ましく、6-,8-位の組合せがより好ましい。ナフチル基に置換されるスルホ基の数が3つである場合、アゾ基の位置を2位として、スルホ基の置換位置は3-,6-,8-位の組合せであることが好ましい。
上記式(11)及び式(11b)中、Rb11~Rb14は、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。Rb11~Rb14は、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは、スルホ基、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基又は3-スルホプロポキシ基である。
上記式(11)中のRb15およびRb16、式(11b)中のRb16は、各々独立して低級アルコキシ基を表し、好ましくは、メトキシ基又はエトキシ基である。メトキシ基は、本発明に係る偏光素子又は偏光板の偏光性能は飛躍的に向上するため、より好ましい。
上記式(11)及び式(11b)中、Xbは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、または置換基を有してもよいベンゾイル基を表す。
Xbが、上記置換基を有していてもよいアミノ基である場合、当該アミノ基は、非置換でもよいが、好ましくは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有し、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有する。
Xbが、上記置換基を有していてもよいフェニルアミノ基である場合、当該フェニルアミノ基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有し、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、スルホ基及びアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有する。
Xbが、上記置換基を有していてもよいフェニルアゾ基である場合、当該フェニルアゾ基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を1~3つ有し、より好ましくは、メチル基、メトシキ基、アミノ及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基を1~3つ有する。
Xbが、上記置換基を有していてもよいナフトトリアゾール基である場合、当該ナフトトリアゾール基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、スルホ基、アミノ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基1つ又は2つを有し、より好ましくは、置換基としてスルホ基を1つ又は2つ有する。
Xbが、上記置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基である場合、当該ベンゾイルアミノ基は、非置換であるか、或いは、好ましくは、ヒドロキシ基、アミノ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ有し、より好ましくは、置換基としてヒドロキシ基又はアミノ基を1つ又は2つ有する。
Xbは、上記置換基を少なくとも1つ有していてもよい、ベンゾイルアミノ基又はフェニルアミノ基であることが好ましく、最も好ましくは、上記置換基を有していてもよいフェニルアミノ基である。ベンゾイルアミノ基又はフェニルアミノ基が上記置換基を有する場合、当該置換基の位置は特に限定されるものではないが、フェニルアミノ基の場合、上記置換基の1つはアミノ基に対してp-位であることが好ましく、一方、ベンゾイルアミノ基の場合、上記置換基の1つはカルボニル基に対してp-位であることが好ましい。
上記式(11)で表されるアゾ化合物の中でも、下記式(11c)で表されるアゾ化合物が好ましく、このようなアゾ化合物の使用により、偏光素子の偏光性能をより向上させることができる。式(11c)中、Ab、Rb11~Rb16、Xb及びdは、それぞれ上記式(11)おいて定義された通りである。
上記式(11)、(11b)、(11c)で表されるアゾ化合物の具体例として、例えば、特開平3-12606号公報、特開平5-295281号公報、特開平10-259311号公報、国際公開第2007/145210号、国際公開第2012/108169号、及び国際公開第2012/108173号等に記載されているような以下のアゾ化合物が挙げられる。





上記式(11)、(11b)、(11c)で表されるアゾ化合物は、例えば、特開平3-12606号公報、特開平5-295281号公報、特開平10-259311号公報、国際公開第2007/145210号、国際公開第2012/108169号、及び国際公開第2012/108173号等に記載された方法により製造することできるが、これらに限定されるものではない。
続いて、上記式(12)で表されるアゾ化合物について説明する。
式(12)中、Abは、スルホ基、カルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、Rb21は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表し、Xbは、低級アルキル、低級アルコキシ基、低級アルキルアミン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基及び置換アミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、または置換基を有してもよいベンゾイル基を表す)
式(12)中、Abは、スルホ基、カルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、該フェニル基又は該ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合には、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基及び置換アミノ基からなる群から選択され、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基及びアミノ基からなる群から選択され、特に好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基及び低級アルコキシ基からなる群から選択される。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。このようなスルホ基を有する低級アルコキシ基として、より好ましくは、3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。また、フェニル基が有する置換基の数は、1つ又は2つであることが好ましく、一方、ナフチル基が有する置換基の数は2つ又は3つであることが好ましい。これらの置換基の位置については、特に限定されるものではないが、フェニル基が有する置換基の数が1つである場合には、アゾ基の位置を1位としてフェニル基の4位-が好ましく、置換基の数が2つである場合には、フェニル基の2位-,4-位の組合せ又は3-位,5-位の組合せが好ましい。一方、ナフチル基は、置換基としてスルホ基を2つ又は3つ有していることが好ましく、ナフチル基に置換されるスルホ基の数が2つである場合、スルホ基の置換位置は、ナフチル基のアゾ基の置換位置を2位として4-,8-位の組合せ又は6-,8-位の組合せが好ましく、6-,8-位の組合せがより好ましい。また、ナフチル基に置換されるスルホ基の数が3つである場合、スルホ基の置換位置はアゾ基の置換位置を2位として、3-,6-,8-位の組合せであることが好ましい。
上記式(12)中、Rb21は、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。Rb21として、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、3-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは、スルホ基、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基又は3-スルホプロポキシ基である。特に、Rb21がメトキシ基である場合、本発明に係る偏光素子又は偏光板の偏光性能は飛躍的に向上するため好ましい。
上記式(12)中、Xbは、低級アルキル、低級アルコキシ基、低級アルキルアミン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基及び置換アミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有してもよいアミノ基、もしくは、水素原子、低級アルキル、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基及び置換アミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいフェニルアミノ基、フェニルアゾ基、ナフトトリアゾール基又はベンゾイルアミノ基を表す。
Xbが、上記置換基を有していてもよいアミノ基である場合、当該アミノ基は、非置換でもよいが、好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有し、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有することがよい。
Xbが、上記置換基を有していてもよいフェニルアミノ基である場合、当該フェニルアミノ基は、非置換であるか、或いは、メチル基、メトキシ基、アミノ基、置換アミノ基、及びスルホ基からなる群から選択される置換基を有し、好ましくは、非置換もしくは置換基としてメトキシ基を有する。フェニルアミノ基が上記置換基を有する場合、当該置換基の位置は特に限定されるものではないが、上記置換基の1つは、フェニル基に結合したアミノ基に対してp-位であることが好ましい。
Xbが、上記置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基である場合、当該ベンゾイルアミノ基は、非置換であるか、或いは、アミノ基、置換アミノ基、及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基を有し、好ましくは、置換基としてアミノ基を有する。ベンゾイルアミノ基が上記置換基を有する場合、当該置換基の位置は特に限定されるものではないが、上記置換基の1つは、フェニル基に結合したカルボニル基に対してp-位であることが好ましい。
Xbが、上記置換基を有していてもよいフェニルアゾ基である場合、当該フェニルアゾ基は、非置換であるか、或いは、ヒドロキシ基、アミノ基、メチル基、メトキシ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を有し、より好ましくは、置換基としてヒドロキシ基を有する。
Xbが、上記置換基を有していてもよいナフトトリアゾール基である場合、当該フェニルアゾ基は、非置換であるか、或いは、置換基としてスルホ基を有する。
上記式(12)で表されるアゾ化合物の中でも、下記式(12b)で表されるアゾ化合物が好ましく、このようなアゾ化合物の使用により、偏光素子の偏光性能をより向上させることができる。
式(12b)中、Ab、Rb21及びXbは、それぞれ上記式(12)に定義された通りである。
このような式(12)で表されるアゾ化合物の具体例として、例えば、以下のアゾ化合物が挙げられる。

上記式(12)で表されるアゾ化合物は、例えば、特公昭64-5623号公報、特開平5-53014号公報に記載されているような、公知のジアゾ化、カップリングにより製造することができるが、これらに限定されるものではない。
上記偏光素子において、式(11)又は式(12)で表されるアゾ化合物又はその塩の含有量は、水溶液100質量部に対して、0.0001~5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.001~1質量部である。
一態様において、本発明の偏光素子は、偏光性能をさらに向上させるために、下記式(13)又は(13’)で表されるアゾ化合物又はその塩の少なくとも1種を含むことが好ましい。

上記式(13)中、Ayは水素原子、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基であり、好ましくはスルホ基又はカルボキシ基である。Ry~Ryは、各々独立に、水素原子、スルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基であり、好ましくは水素原子、スルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。jは1~3の整数を示す。
上記式(13’)中、iは0又は1である。Ay、Ay、Ry、Ry、及びjは、式(13)におけるものと同じ意味を表す。
式(13’)中、Ay及びAyは、スルホ基、カルボキシ基又は低級アルコキシ基であることが好ましく、より好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、メトキシ基又はエトキシ基であり、さらに好ましくは、スルホ基又はカルボキシ基である。
式(13’)中、Ry及びRyは、水素原子、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基であることが好ましく、より好ましくは、水素原子、スルホ基、メチル基又はメトキシ基である。
上記式(13)又は(13’)で表されるアゾ化合物の中でも、特に、下記式(13b)で表されるアゾ化合物が好ましく、このようなアゾ化合物の使用により、偏光素子の偏光性能をより向上させることができる。式(13b)中、Ay、Ry、Ryは上記式(13)に定義された通りである
好ましい一態様において、式(13)又は(13’)で表されるアゾ化合物は、式(5)又は式(6)で示されるアゾ化合物とともに用いられてもよい。
上記偏光素子において、上記式(13)又は(13’)で表されるアゾ化合物又はその塩の含有量は、式(5)又は(6)のアゾ化合物の含有量100質量部に対して、0.01~300質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~200質量部であり、30~200質量部であることがさらに好ましい。
上記式(13)及び(13’)で表されるアゾ化合物は、400~500nmの透過率に影響を与える。偏光素子において、特に、400~500nmの短波長側の透過率と偏光度(二色性)は、黒表示時の青抜けや白表示時の白色の黄色化に影響を与える。式(13)及び(13’)で表されるアゾ化合物は、偏光素子の平行位における短波長側の透過率の低下を抑えつつも、400~500nmの偏光特性(二色性)を向上させ、白表示時の黄色っぽさと黒表示時の青色の抜けをさらに低下させることができる。偏光素子は、式(13)又は(13’)で表されるアゾ化合物をさらに含有することにより、特に視感度補正後の単体透過率が30~65%の範囲において、単体でより無彩色性を示し、白表示時により高品位な紙のような白色を表現し、さらに視感度補正後の単体透過率が特に35~45%である時、偏光度、またはコントラストが向上するため好ましい。
式(13)及び(13’)で表されるアゾ化合物の具体例としては、例えば、C.I.Direct Yellow 4、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 72、およびC.I.Direct Orange 39、並びに国際公開第2007/138980号等に記載されるスチルベン構造を有するアゾ化合物等があるが、これらに限定されるものではない。
式(13)及び(13’)で表されるアゾ化合物のさらなる具体例を以下に挙げる。なお、化合物例は、遊離酸の形態で表す。
式(13)及び(13’)で表されるアゾ化合物又はその塩は、例えば国際公開第2007/138980号等に記載される方法により合成することができるが、市販のものを入手することもできる。
本発明の偏光素子には、本発明に係る性能を損なわない程度に、色の補正を目的として他のアゾ化合物を含有させてもよい。含有させる他のアゾ化合物としては、特に、二色性の高いものが好ましい。例えば、非特許文献1に示されるようなアゾ化合物、C.I.Direct.Yellow12、C.I.DirectYellow28、C.I.Direct. Yellow44、C.I.Direct.Orange26、C.I.Direct.Orange39、C.I.Direct.Orange107、C.I.Direct.Red2、C.I.Direct.Red31、C.I.Direct.Red79、C.I.Direct.Red247、C.I.Direct.Green80、C.I.Direct.Green59、並びに、特開2001-33627号公報、特開2002-296417号公報及び特開昭60-156759号公報に記載されたアゾ化合物等が挙げられる。特に、トリスアゾ構造にフェニルJ酸を有するアゾ化合物を好適に用いることができる。そのような他のアゾ化合物を式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩とともに偏光素子に用いることが好適である。上記他のアゾ化合物は、遊離酸のほか、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩)、アンモニウム塩、又はアミン類の塩、あるいは銅錯体化合物又はその塩としても用いることができる。上記他のアゾ化合物はこれらに限定されず、公知の二色性を有するアゾ化合物を用いることができる。他のアゾ化合物を、遊離酸、その塩、又はその銅錯塩の形態で含ませることで、特に、光学特性を向上させることが可能となる。他のアゾ化合物は、1種のみで用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
一態様において、本発明の偏光素子は、ヨウ素を含むことにより、耐熱耐久性が向上する。基材にヨウ素を含ませる際、ヨウ素のみでは溶媒に溶解しにくく、基材へ含浸させにくいため、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化銅、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化コバルト、ヨウ化亜鉛などのヨウ化物、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウムなどの塩化物をヨウ素と共に含有させるのが一般的である。上記ヨウ化物を用いて偏光素子を作製した場合、通常、480nm付近および600nm付近を中心とした可視域において高い偏光度を有する偏光素子を作製することができる。
一態様において、本発明の偏光素子はヨウ素を含んでもよく、それにより、例えば、視感度補正後の単体透過率が35~50%であって高い偏光度、つまりはコントラストを有することができる。ヨウ素系偏光板の特徴である高い透過率と高いコントラストを有しながらも、高い耐久性、特に、耐熱性において光学特性、特に色変化が少なく、また、透過率の変化が少ないという特徴を有することができる。
(基材)
上記偏光素子の作製に用いる基材としては、赤外光吸収水溶性化合物等の二色性色素を含ませることが可能なものであれば特に限定されず、例えば、親水性高分子から成形される成形体が挙げられる。親水性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、アミロース系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸塩系樹脂などが挙げられる。上記赤外光吸収水溶性化合物等の二色性色素を基材に含ませる際、加工性、染色性及び架橋性などの観点から、基材としてポリビニルアルコール系樹脂を用いることが最も好ましい。基材の形状は特に限定されないが、フィルム状であることが好ましい。
(透過率)
2つの波長帯域の平均透過率の差において、本発明の偏光素子は、特定の波長帯域間の平均透過率の差の絶対値が所定の値以下であることが好ましい。平均透過率は、特定の波長帯域における各波長の透過率の平均値である。
一態様において、本発明の偏光素子は、2枚の偏光素子の吸収軸を平行にして測定した時の520nm~590nmにおける各波長の透過率の平均値と420nm~480nmにおける各波長の透過率の平均値との差の絶対値が5%以下であり、かつ、600nm~640nmにおける各波長の透過率の平均値と520nm~640nmにおける各波長の透過率の平均値との差の絶対値が3%以下であることを特徴とする。
(視感度補正後の透過率)
視感度補正後の透過率は、JIS Z 8722:2009に従って求められる、視感度補正後の透過率である。補正するために用いる透過率の測定は、測定試料(例えば、偏光素子または偏光板)について、C光源(2度視野)を用いて400~700nmの各波長について、5nmまたは10nmごとに分光透過率を測定し、これをJIS Z 8722:2009に従って視感度に補正することで求めることができる。視感度補正後の透過率は、偏光素子、または偏光板を単体で測定した場合の視感度補正後の単体透過率、偏光素子、または偏光板を2枚用いて各々の吸収軸を平行にした時の透過率を視感度に補正した場合の視感度補正後の平行位透過率、偏光素子、または偏光板を2枚用いて各々の吸収軸を直交にした時の透過率を視感度に補正した場合の視感度補正後の直交位透過率がある。
波長帯域420nmから480nm、520nmから590nm、および600nmから640nmは、JIS Z 8781-4:2013において色を示す際に計算で用いる等色関数に基づく主な波長帯域である。具体的には、JIS Z 8781-4:2013の元になるJIS Z 8701のXYZ等色関数において、600nmを最大値とするx(λ)、550nmを最大値とするy(λ)、455nmを最大値とするz(λ)のそれぞれの最大値を100としたとき、20以上となる値を示すそれぞれの波長が、420nmから480nm、520nmから590nm、および600nmから640nmの各波長帯域である。
偏光素子2枚を吸収軸方向が平行になるように重ねて配置した状態(明表示時、または、白表示時)について測定して得られる透過率を「平行位透過率」とも称する。また、○nmから△nmの各波長の平均透過率を「AT○-△」とも称する。本発明の偏光素子の一態様において、平行位透過率について、AT420-480とAT520-590との差が絶対値として5.0%以内であり、好ましくは3.5%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。また、一態様において、平行位透過率について、AT520-590とAT600-640との差が絶対値として3.0%以内であり、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。このような偏光素子は、平行位で高品位な紙のような白色を表示することができる。
偏光素子2枚を吸収軸方向が直交になるように重ねて配置した状態(黒表示時、または、暗表示時)について測定して得られる透過率を「直交位透過率」とも称する。本発明の偏光素子の一態様において、直交位透過率について、好ましくは、AT420-480とAT520-590との差が絶対値として3.0%以下であり、かつ、AT520-590と、AT600-640との差が絶対値として2.0%以下である。このような偏光素子は、直交位で無彩色な黒色を表示することができる。さらに、直交位透過率について、AT420-480とAT520-590との差が、絶対値として、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下である。直交位透過率について、AT520-590とAT600-640との差が、絶対値として、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
さらに、波長帯域380nmから420nm、480nmから520nm、および640nmから780nmの各々における各波長の単体透過率、各波長の平行位透過率、および各波長の直交位透過率のそれぞれの平均透過率は、上記波長帯域420nmから480nm、520nmから590nm、600nmから640nmにおける各波長の平均透過率が上述したように調整されている場合には、色素へ大きな影響を与えにくいが、ある程度調整されていることが好ましい。各波長の単体透過率について、AT380-420とAT420-480との差が絶対値として15%以下であることが好ましく、AT480-520とAT420-480との差が絶対値として15%以下、AT480-520とAT520-590との差が絶対値として15%以下、AT640-780とAT600-640との差が絶対値として20%以下であることが好ましい。
一態様において、本発明に係る偏光素子は、視感度補正後の単体透過率が30%から65%であることが良い。視感度補正後の単体透過率は、測定試料(例えば、偏光素子または偏光板)1枚について、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。偏光板の性能としては、透過率がより高いものが求められるが、視感度補正後の単体透過率が30%から65%であれば表示装置に用いても、違和感なく明るさを表現できる。透過率が高いほど偏光度は下がる傾向にあるため、偏光度とのバランスの観点からは、視感度補正後の単体透過率は、35%から50%であることがより好ましく、さらに好ましくは37%から47%が良く、特に好ましくは38%から45%である。視感度補正後の単体透過率が65%を超えると偏光度が低下する場合があるが、偏光素子の明るい透過率、または、特定の偏光性能やコントラストを求める場合には、視感度補正後の単体透過率が65%を超えてもよい。
偏光素子における平行位透過率において、AT520-590が25%から50%であることが良い。このような偏光素子は、表示装置に設けた際に、明るく、輝度の高い明瞭な表示装置とすることができる。520nmから590nmの波長帯域の各波長の透過率は、JIS Z 8781-4:2013において色を示す際に計算で用いる等色関数に基づく主な波長帯域の1つである。特に、520nmから590nmの各波長帯域は、等色関数に基づく最も視感度の高い波長帯域であり、この範囲における透過率が、目視で確認できる透過率と近い。このため、520nmから590nmの波長帯域の各波長の透過率を調整することが非常に重要である。平行位で測定されたAT520-590は、より好ましくは28%から45%であり、さらに好ましくは30%から40%である。さらに、このときの偏光素子の偏光度は、80%から100%で良いが、好ましくは90%~100%、より好ましくは97%~100%であり、さらに好ましくは99%以上であり、特に好ましくは99.5%以上である。偏光度は、高い方が好ましいが、偏光度と透過率との関係において、明るさを重視するか、偏光度(またはコントラスト)を重視するかにより、適した透過率および偏光度に調整することができる。
視感度補正後の単体透過率は、2°視野(C光源)により視感度補正を行った単体透過率である。視感度補正後の単体透過率は、測定試料(例えば、偏光素子又は偏光板)1枚について、400~700nmの各波長について、5nm又は10nm毎に単体透過率を算出し、さらに2°視野(C光源)により、視感度補正を行うことで求めることができる。
(偏光度)
本発明の偏光素子は、少なくとも700nm~1400nmの一部又は全部の波長域の光に対して偏光性能を有している。
本発明の偏光素子の偏光度は特に限定されないが、偏光度が80%~100%あれば一般的な偏光素子としては汎用的な用途で使用が可能である。偏光度が90%以上であることが好ましい。偏光素子の偏光度が90%以上であれば、液晶表示装置に用いても、偏光機能を表現することができる。偏光度は、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。ただし、偏光度の要求は明るさ(透過率)とコントラスト(偏光度)との関係で用いられる用途が異なるため、必ずしも99%である必要はなく、その要求に応じて偏光度を設定し、用いることができる。
(色度)
色度a*値およびb*値は、JIS Z 8781-4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる値である。JIS Z 8781-4:2013に定められる物体色の表示方法は、国際照明委員会(略称:CIE)が定める物体色の表示方法に相当する。色度a*値およびb*値の測定は、測定試料(例えば、偏光素子または偏光板)に自然光を照射して行われる。なお、以下において、測定試料1枚について求められる色度a*値およびb*値はa*-sおよびb*-s、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態(白表示時)について求められる色度a*値およびb*値はa*-pおよびb*-p、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態(黒表示時)について求められる色度a*値およびb*値はa*-cおよびb*-cと示す。
一態様において、本発明に係る偏光素子は、a*-sおよびb*-sの絶対値の各々が1.0以下であることが好ましく、a*-pおよびb*-pの絶対値の各々が2.0以下であることが好ましい。このような偏光素子は、単体で中性色であり、白表示時に高品位な白色を表示することができる。偏光素子のa*-pおよびb*-pの絶対値は、各々独立に、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以下である。さらに、偏光素子は、a*-cおよびb*-cの絶対値が3.0以下であることが好ましいが、より好ましくは各々独立に2.0以下であり、さらに好ましくは1.0以下である。このような偏光素子は、黒表示時に無彩色の黒色を表示することができる。色度a*値およびb*値の絶対値に0.5の差があるだけでも人間は色の違いを知覚でき、人によっては色の違いを大きく感じることがある。このため、偏光素子において、これらの値を制御することは非常に重要である。特に、a*-p、b*-p、a*-c、およびb*-cの絶対値の値が、各々、1.0以下である場合には、白表示時の白色および黒表示時の黒色にその他の色がほぼ確認できない、良好な偏光板が得られる。そのような偏光板は、平行位で無彩色性、すなわち高品位な紙のような白色を実現し、かつ、直交位で無彩色な高級感ある明瞭な黒色を実現することができる。
一態様において、本発明に係る偏光素子は、高コントラストおよび高透過率を有しながら、単体での無彩色性と高偏光度を有する。本発明の偏光素子は、白表示時に高品位な紙のような白色(ペーパーホワイト)を表現することができ、黒表示時に無彩色な黒色、特に高級感ある明瞭な黒色を表現することができる。これまでは、このような高透過率と無彩色性、および、赤外域の吸収性能、さらには赤外域の偏光性能を兼ね備えた偏光素子は存在していなかった。本発明の偏光素子は、さらに、高耐久性であり、特に高温および高湿度に対する耐久性を有する特徴を有する。
[偏光素子の製造方法]
以下、基材として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを例にして、具体的な偏光素子の製造方法を説明する。偏光素子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の製造、原反フィルムの作製、膨潤処理、染色処理、第1洗浄処理、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる処理、延伸処理、第2洗浄処理、乾燥処理を順に行うことによって製造される。なお、これらの一部の処理は省略することが可能である。
偏光素子の作製方法では、後述する膨潤工程における基材の膨潤度、染色工程における各アゾ化合物の配合比、染色溶液の温度、pH、塩化ナトリウムや芒硝、トリポリリン酸ナトリウム等の塩の種類やその濃度、および染色時間、並びに延伸工程における延伸倍率は、一態様において、偏光素子が以下の(i)~(v)の条件の少なくとも1つを満たすように調整することが好適であり、(vi)の条件をさらに満たすように調整することがより好適である。
(i)平行位透過率について、AT420-480とAT520-590との差の絶対値が5%以下となり、AT520-590と、AT600-640との差の絶対値が3%以下となる。
(ii)直交位透過率について、AT420-480とAT520-590との差の絶対値が3%以下となり、AT520-590とAT600-640との差の絶対値が2%以下となる。
(iii)視感度補正後の単体透過率が35%から50%となる。
(iv)a*値およびb*値の絶対値の各々が、偏光素子単体でともに1.0以下となり、平行位でともに2.0以下となる。
(v)直交位で測定されたa*値およびb*値の絶対値の各々が、ともに3以下となる。
(vi)単体透過率、直交透過率のそれぞれについて、それぞれ独立に、380nmから420nmの各波長の平均透過率と420nmから480nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として15%以下、480nmから520nmの各波長の平均透過率と420nmから480nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として15%以下、480nmから520nmの各波長の平均透過率と520nmから590nmの各波長の平均透過率と差が絶対値として15%以下、および/または640nmから780nmの各波長の平均透過率と600nmから640nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として20%以下となる。
(ポリビニルアルコール系樹脂の製造)
ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは95モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用できる。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、粘度平均重合度を意味し、当該技術分野において周知の手法によって求めることができる。重合度は、通常1,000~10,000程度、好ましくは1,500~6,000程度である。
(原反フィルムの作製)
次に、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜し、原反フィルムを作製する。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法を採用することができる。原反フィルムには、可塑剤としてグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコールなどを含有させてもよい。可塑剤の含有量は原反フィルム中5~20重量%であり、好ましくは8~15重量%である。原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、5μm~150μm程度であることが好ましく、より好ましくは10μm~100μm程度である。
(膨潤処理)
以上により得られた原反フィルムには、次に膨潤処理が施される。膨潤処理は原反フィルムを、20~50℃の溶液に30秒~10分間浸漬させることによって行われる。溶液は水溶液が好ましい。膨潤処理における延伸倍率は1.00~1.50倍で調整することが好ましく、より好ましくは1.10~1.35倍である。後述する染色処理においても膨潤するため、偏光素子を作製する時間を短縮する場合には、この膨潤処理を省略してもよい。
(染色処理)
膨潤処理の後に、染色処理が施される。染色処理は、赤外光吸収水溶性化合物等の染料を用いて染色する処理である。少なくとも赤外線領域に光を吸収する水溶性化合物とともに、可視域での二色性色素として機能する色素、例えばヨウ素、及びヨウ素化合物、非特許文献1、特許文献19、特許文献20、特許文献23、特許文献24などで示される色素、好ましくは式(5)~(13)に記載のアゾ化合物、を用いて染色する処理である。染色は、例えば、膨潤処理後のフィルムを、上記化合物を含む染色用溶液に浸漬させることによって行われる。尚、二色性色素としてヨウ素を用いる場合、ヨウ化物としては特に限定されないが、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化コバルト、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。染色用溶液におけるヨウ素の濃度は、好ましくは0.0001重量%~0.5重量%であり、より好ましくは0.001重量%~0.4重量%であり、さらに好ましくは0.001重量%~0.1重量%である。
染色処理での溶液温度は、5~60℃が好ましく、20~50℃がより好ましく、25~50℃が特に好ましい。溶液に浸漬させる時間は適度に調節できるが、30秒~20分が好ましく、1~10分がより好ましい。染色用溶液は、水溶液であることが好ましい。染色方法は、染色用溶液に浸漬させる方法が好ましいが、膨潤処理後のフィルムに染色用溶液を塗布する方法を採用することもできる。染色用溶液に、染色助剤として、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどを含有させてもよい。染色助剤の含有量は、二色性染料の染色性による時間、温度によって任意に調整できるが、0~5重量%が好ましく、0.1~2重量%がより好ましい。
複数の染料を用いて染色する場合、染色処理の順番は特に限定されない。同時に行ってもよく、任意の順序で各染料を基材に含浸させてもよい。赤外光吸収水溶性化合物と共に他のアゾ化合物を用いる場合、それらの染色は同時に行うのが好ましい。ヨウ素を用いる場合、赤外光吸収水溶性化合物及び任意の他のアゾ化合物を基材に含浸させた後、ヨウ素を含浸させるのが、染色液の管理や生産性などの観点から好ましい。
(第1洗浄処理)
染色処理の後、次の処理を行う前に洗浄処理(以下、「第1洗浄処理」という)を行うことができる。第1洗浄処理とは、染色処理でフィルム表面に付着した染色用溶液を洗浄する処理である。第1洗浄処理を行うことによって、次の処理で使用する溶液中に染料が混入するのを抑制することができる。第1洗浄処理では、一般的に洗浄液として水が用いられる。洗浄方法は、染色処理後のフィルムを洗浄液に浸漬させる方法が好ましいが、染色処理後のフィルムに洗浄液を塗布する方法を採用することもできる。洗浄時間は、特に限定されないが、好ましくは1~300秒、より好ましくは1~60秒である。第1洗浄処理での洗浄液の温度は、染色処理後のフィルムが溶解しない温度であることが必要となる。一般的には5~40℃で洗浄される。ただし、第1洗浄処理を行わなくても性能に問題は出ないため、この第1洗浄処理を省略してもよい。
(架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる処理)
第1洗浄処理の後、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる処理を行うことができる。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂又はホウ酸アンモニウムなどのホウ素化合物、グリオキザール又はグルタルアルデヒドなどの多価アルデヒド、ビウレット型、イソシアヌレート型又はブロック型などの多価イソシアネート系化合物、チタニウムオキシサルフェイトなどのチタニウム系化合物が挙げられ、他にもエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙げられる。耐水化剤としては、例えば、過酸化コハク酸、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カルシウム、ベンゾインエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、塩化アンモニウム又は塩化マグネシウムなどが挙げられる。この中で、ホウ酸が最も好ましい。架橋剤、耐水化剤は1種のみ用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
第1洗浄処理後のフィルムを、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有した溶液に浸漬させる方法が好ましいが、第1洗浄処理後のフィルムに、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有した溶液を塗布する方法を採用することもできる。溶液は水溶液であることが好ましい。溶液中の架橋剤及び/又は耐水化剤の含有量は、ホウ酸を例にして示すと、0.1~6.0重量%が好ましく、1.0~4.0重量%がより好ましい。溶液の温度は、5~70℃が好ましく、5~50℃がより好ましい。処理時間は30秒~6分が好ましく、1~5分がより好ましい。ただし、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させることは必須でなく、時間を短縮したい場合、架橋処理又は耐水化処理が不必要な場合には、この処理を省略してもよい。
(延伸処理)
架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる処理を行った後に、延伸処理を行う。延伸処理とは、フィルムを1軸に延伸する処理である。延伸方法は湿式延伸法又は乾式延伸法のどちらでもよい。延伸倍率は3倍以上、好ましくは5~7倍である。
湿式延伸法の場合には、水、水溶性有機溶剤、又はその混合溶液中で延伸する。第1洗浄処理後のフィルムを、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有した溶液中に浸漬させながら延伸処理を行うことが好ましい。架橋剤、耐水化剤としては、上記のものが挙げられる。溶液中の架橋剤及び/又は耐水化剤の含有量は、ホウ酸を例にして示すと、0.5~15重量%が好ましく、2.0~8.0重量%がより好ましい。延伸倍率は2~8倍が好ましく、5~7倍がより好ましい。溶液の温度は40~60℃が好ましく、45~58℃がより好ましい。延伸時間は通常30秒~20分であるが、2~5分がより好ましい。フィルムを1段で延伸することもできるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
乾式延伸法の場合には、延伸加熱媒体が空気媒体であるとき、空気媒体の温度は常温~180℃であることが好ましい。また、湿度20~95%RHの雰囲気中で処理するのが好ましい。加熱方法としては、例えば、ロール間ゾーン延伸法、ロール加熱延伸法、圧延伸法、赤外線加熱延伸法などが挙げられるが、その延伸方法は限定されるものではない。フィルムを1段で延伸することもできるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
(第2洗浄処理)
延伸処理を行った後には、フィルム表面に架橋剤及び/又は耐水化剤が析出するか、又は異物が付着することがあるため、フィルム表面を洗浄する洗浄処理(以下、「第2洗浄処理」という)を行うことができる。洗浄方法は、延伸処理後のフィルムを洗浄液に浸漬させる方法が好ましいが、延伸処理後のフィルムに洗浄液を塗布する方法を採用することもできる。1段で洗浄処理することもできるし、2段以上の多段処理をすることもできる。洗浄時間は1秒~5分が好ましい。洗浄液の温度は特に限定されないが、通常5~50℃、好ましくは10~40℃である。
なお、ここまでの処理で用いる溶媒として、例えば、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリメチロールプロパン等のアルコール類、エチレンジアミン又はジエチレントリアミン等のアミン類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、1種以上のこれら溶媒の混合物を用いることもできる。最も好ましい溶媒は水である。
(乾燥処理)
第2洗浄処理の後に、フィルムを乾燥させる乾燥処理を行う。乾燥処理は、自然乾燥により行うことができる。乾燥効率をより高めるために、ロールを用いて圧縮したり、エアーナイフ又は吸水ロール等によって表面の水分を除去してもよいし、送風乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、20~100℃が好ましく、60~100℃がより好ましい。乾燥時間は30秒~20分が好ましく、より好ましくは5~10分である。
以上の方法で、赤外光吸収水溶性化合物を含有する偏光素子を得ることができる。
一態様において、本発明の偏光素子はヨウ素を含有し、高い透過率、コントラスト、及び耐久性を有する。
一態様において、本発明の偏光素子は、平行位で測定されたAT520-590とAT420-480との差の絶対値が5%以下であり、かつ、AT600-640とAT520-590との差の絶対値が3%以下であり、それによって、赤外域に吸収または偏光機能を持ちながらも、可視域に無彩色な色と、高い透過率と偏光度を有し、かつ、高い耐久性を有する。
一態様において、本発明の偏光素子は式(9)又は式(10)で示される化合物を含み、それによって、赤外域に吸収または偏光機能を持ちながらも、可視域に高い透過率と、偏光度と高い耐久性を有する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光素子と、偏光素子の少なくとも一方の面、すなわち片面又は両面に形成した透明保護層とを備える。偏光素子の少なくとも一方の面にポリマーを塗布した後、乾燥又は熱処理を行うことにより、偏光素子の少なくとも一方の面に透明保護層を設けることができる。また、ポリマーをフィルム状に成形したものを透明保護層とし、透明保護層を偏光素子の少なくとも一方の面と貼り合わせた後、乾燥又は熱処理を行うことにより、偏光素子の少なくとも一方の面に透明保護層を設けることができる。
透明保護層を形成するポリマーは、機械的強度が高く、熱安定性が良好な透明ポリマーが好ましい。このようなポリマーとして、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースなどのセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ノルボルネンなどの環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー樹脂、ノルボルネン骨格を有するポリオレフィン又はその共重合体、主鎖又は側鎖にイミド基及び/又はアミド基を有する樹脂が挙げられる。また、透明保護層を形成するポリマーは、液晶ポリマーであってもよい。透明保護層の厚みは、例えば、0.5μm~200μm程度である。透明保護層を備えた偏光板は、偏光素子と同等の光学特性を有する。
透明保護層を偏光素子の少なくとも一方の面と貼り合わせるためには接着剤が必要となる。接着剤としては特に限定されないが、ポリビニルアルコールを主成分とする接着剤が好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤として、例えば、ゴーセノールNH-26(日本合成化学社製)、エクセバールRS-2117(クラレ社製)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。ポリビニルアルコール系接着剤には、架橋剤及び/又は耐水化剤を混合させることができる。また、ポリビニルアルコール系接着剤には、無水マレイン酸とイソブチレンの共重合体、又はその変性体を含有させてもよい。無水マレイン酸とイソブチレンの共重合体としては、例えば、イソバン#18(クラレ社製)、イソバン#04(クラレ社製)が挙げられ、アンモニア変性した無水マレイン酸-イソブチレン共重合体としては、イソバン#104(クラレ社製)、イソバン#110(クラレ社製)が挙げられ、イミド化した無水マレイン酸-イソブチレン共重合体としては、イソバン#304(クラレ社製)、イソバン#310(クラレ社製)が挙げられる。架橋剤には、水溶性多官能エポキシ化合物を用いることができる。水溶性多官能エポキシ化合物としては、例えば、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX-521(ナガセケムテック社製))、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(TETRAD-C(三菱ガス化学社製))などが挙げられる。また、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤といった公知の接着剤を用いることもできる。また、接着剤の接着力の向上、又は耐水性の向上を目的として、亜鉛化合物、塩化物、ヨウ化物等の添加物を同時に0.1~10重量%程度の濃度で含有させることもできる。
偏光板を、例えば液晶、有機エレクトロルミネッセンス等の表示装置と貼り合わせる場合、後に非露出面となる表面に視野角改善及び/又はコントラスト改善のための各種機能性層、輝度向上性を有する層を設けることができる。偏光板を、これらの層や表示装置と貼り合せるには粘着剤を用いるのが好ましい。
また、偏光板を、例えば液晶、有機エレクトロルミネッセンス等の表示装置と貼り合わせる場合、後に露出面となる表面に反射防止層や防眩層、ハードコート層など、公知の各種機能性層を設けることができる。この各種機能性を有する層を作製するには塗工方法が好ましいが、その機能を有するフィルムを接着剤又は粘着剤を介して貼り合わせることもできる。また、各種機能性層とは、例えば、位相差を制御する層である。
一態様において、ヨウ素を含有する本発明の偏光板は、一般的なヨウ素系偏光板と同様に480nm付近及び600nm付近を中心に高い偏光度を有すると共に、耐久性試験に適用しても色変化が従来のヨウ素系偏光板よりも少ない。
一態様において、赤外光吸収水溶性化合物を含有した基材からなり、2枚の偏光素子の吸収軸を平行にして測定した時の520nm~590nmにおける透過率の平均値と420nm~480nmにおける透過率の平均値との差の絶対値が5%以下であり、かつ、600nm~640nmにおける透過率の平均値と520nm~590nmにおける透過率の平均値との差の絶対値が3%以下であることを特徴とする本発明の偏光素子を用いてなる偏光板は、赤外線領域に吸収または偏光機能を持ちながらも、可視域に無彩色な色と、高い透過率と、偏光度と高い耐久性を有する染料系偏光素子を得ることができる。一態様において、赤外光吸収水溶性化合物、並びに、式(9)又は式(10)で示されるアゾ化合物を含有した本発明の偏光素子を用いてなる偏光板は、赤外域に吸収または偏光機能を持ちながらも、可視域に高い透過率と、偏光度と高い耐久性を有する染料系偏光素子を得ることができる。従来のヨウ素系偏光板又は染料系偏光板は、赤外域に偏光を有する偏光素子を提供することができないことに加え、耐久性試験において600nm~780nmの透過率変化が極めて大きく、偏光板が耐久性試験後に色変化、例えば赤く変化してしまうという問題点を有していた。すなわち、JIS Z 8729に示されるL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値の値が変化してしまう問題を有しており、特に、偏光板2枚を吸収軸方向が直交位になるよう重ねて測定して得られる透過率の値において、600nm~780nmの透過率の上昇が激しく、赤く変化し、すなわちa*値が上昇する問題を有している。しかしながら、本願の方法では、そういったa*値の変化はより少なく、色変化が少ない高い耐久性を有する偏光板が得られる。
本発明の偏光板は、少なくとも一方の面に支持体を備えていてもよい。支持体は偏光板と貼り合わせるため、平面部を有しているものが好ましい。支持体としては、例えば、ガラス、水晶、サファイヤなどの無機材料からなる成形品、アクリル、ポリカーボネート等の有機プラスチック板が挙げられる。光学用途であるため、支持体はガラス成形品が好ましい。ガラス成形品としては、例えばガラス板、レンズ、プリズム(例えば三角プリズム、キュービックプリズム)等が挙げられる。ガラスの材質としては、例えばソーダガラス、ホウ珪酸ガラスが挙げられる。レンズに偏光板を貼付したものは液晶プロジェクターにおいて偏光板付のコンデンサレンズとして利用し得る。また、プリズムに偏光板を貼付したものは液晶プロジェクターにおいて偏光板付きの偏光ビームスプリッタや偏光板付ダイクロイックプリズムとして使用し得る。また、偏光板を、液晶セルに貼付してもよい。支持体の厚さ及び大きさは特に限定されない。
ガラスを備えた偏光板には、単体透過率をより向上させるために、ガラス又は偏光板の少なくとも一方の面に反射防止層を設けることが好ましい。例えば、支持体の平面部に透明な接着(粘着)剤を塗布した後、この塗布面に本発明の偏光板を貼付する。また、偏光板に透明な接着(粘着)剤を塗布した後、この塗布面に支持体を貼付してもよい。ここで使用する接着(粘着)剤は、例えばアクリル酸エステル系のものが好ましい。なお、この偏光板を楕円偏光板として使用する場合、位相差層を支持体に貼付するのが通常であるが、偏光板を支持体に貼付してもよい。
[液晶表示装置]
本発明の偏光素子又は偏光板は、液晶表示装置に用いることができる。本発明の偏光素子又は偏光板を用いた液晶表示装置は信頼性が高い、長期的に高コントラストで、かつ、高い色再現性を有する液晶表示装置になる。
本発明の偏光素子又は偏光板は、必要に応じて保護層又は機能層、及び支持体等を備え、液晶プロジェクター、電卓、時計、ノートパソコン、ワープロ、液晶テレビ、偏光レンズ、偏光メガネ、カーナビゲーション、センサー、カメラ、分析装置及び屋内外の計測器や表示器等に使用される。特に、反射型液晶表示装置、半透過液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス等において有効に利用される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。「実施例」は、出願当初特許請求の範囲に記載の発明の実施(製造等。中間段階を含む)を例示したものであり、補正で除外された発明の例(参考例)も含む。
<<実施例A>>
[測定試料の作成]
(実施例A1)
ケン化度99%以上の平均重合度2400のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS)を40℃の温水に2分浸漬し、延伸倍率が1.30倍になるように膨潤処理を行った。次に、膨潤処理したフィルムを、水を1500重量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5重量部、無水硫酸ナトリウムを1.5重量部、及び700nm~1400nmの赤外域の光を吸収する水溶性化合物として式(101)で示す構造を有するC.I.Direct Black 19(SHAOXING BIYING TEXITILE TECHNOLOGY Co., LTD社製)を0.30重量部含有し45℃に調整した水溶液に3分30秒浸漬させ、上記赤外光吸収水溶性化合物をフィルムに含有させた。次に、得られたフィルムを、ホウ酸(Societa chimica lardrello s.p.a社製) 28.6g/l、ヨウ素(純正化学社製) 0.25g/l、ヨウ化カリウム(純正化学社製) 17.7g/lに調整した水溶液100部を2000部の水で希釈した水溶液に30℃で2分間浸漬させて、上記フィルムにヨウ素およびヨウ素化合物を含有させた。次に、得られたフィルムに対して、ホウ酸30.0g/lを含有した水溶液中50℃で5分間、延伸倍率が5.0倍になるように延伸処理を行った。次に、得られたフィルムの緊張状態を保ちつつ、ヨウ化カリウム 50g/lを含有した水溶液中30℃で20秒間浸漬処理を行った。次に、得られたフィルムに対して70℃で9分間乾燥処理を行い、偏光素子を得た。得られた偏光素子に対して、ポリビニルアルコール接着剤を用いて、アルカリ処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)をラミネートして偏光板を得た。得られた偏光板は偏光素子の光学特性を維持していた。偏光板を40mm角にカットし、粘着層(ポラテクノ社製 AD-ROC)を介して、透明板ガラスに貼合することによって、本願の偏光板を用いた耐久性試験サンプルを作製し、本願の測定試料とした。
(実施例A2)
実施例A1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、式(102)に示すFEW CHEMICAL社製 S0378 0.30重量部に替えた以外は実施例A1と同様にして、測定試料を作製した。
(実施例A3)
実施例A1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、式(103)に示すFEW CHEMICAL社製 S2180 0.30重量部に替えた以外は実施例A1と同様にして、測定試料を作製した。
(実施例A4)
実施例A1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、化合物例(1-10)に示す化合物 0.30重量部に替えた以外は実施例A1と同様にして、測定試料を作製した。
(実施例A5)
実施例A1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、化合物例(1-21)に示す化合物 0.30重量部に替えた以外は実施例A1と同様にして、測定試料を作製した。
(実施例A6)
実施例A1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、化合物例(1-10)に示す化合物1.0重量部に替えた以外は実施例A1と同様にして、測定試料を作製した。
(比較例A1)
実施例A1における、膨潤後の染色工程において、式(101)で示す構造を有するC.I.Direct Black 19を含有した水溶液で処理しないこと以外は実施例A1と同様にして、アゾ染料を含まないヨウ素系偏光板を作製して測定試料とした。
(比較例A2)
実施例A1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、特開平3-12606号公報 実施例1に示すアゾ化合物0.3重量部に替えた以外は実施例A1と同様にして、測定試料を作製した
[評価方法]
実施例A1~A6及び比較例A1~A2で得られた測定試料の評価を次のようにして行った。
(a)各波長の単体透過率Ts、各波長の平行位透過率Tp、及び各波長の直交位透過率Tc
各測定試料の各波長の単体透過率Ts、各波長の平行位透過率Tp、及び各波長の直交位透過率Tcを、分光光度計(日立製作所社製“U-4100”)を用いて測定した。ここで、各波長の単体透過率Tsは、測定試料を1枚で測定した際の各波長の透過率である。各波長の平行位透過率Tpは、2枚の測定試料をその吸収軸方向が互いに平行になるよう重ねて測定した各波長の透過率である。各波長の直交位透過率Tcは、2枚の測定試料をその吸収軸方向が互いに直交するように重ねて測定した各波長の透過率である。測定は、400~900nmの波長にわたって5nm間隔で行った。
(b)視感度補正後の単体透過率Ys、視感度補正後の平行位透過率Yp、及び視感度補正後の直交位透過率Yc
JIS Z 8722:2009(C光源2°視野)に基づき各光学特性(透過率、偏光度、色相等)を算出した。C光源2°視野等色度関数に基づいて視感度補正を行うことにより、視感度補正後の単体透過率Ys、視感度補正後の平行位透過率Yp、及び視感度補正後の直交位透過率Ycを算出した。
(c)偏光度
偏光度ρyは、視感度補正後の平行位透過率Yp及び視感度補正後の直交位透過率Ycから、下記計算式(1)により求めた。

ρy={(Yp-Yc)/(Yp+Yc)}1/2×100 (1)
(d)色度a*値およびb*値
各測定試料について、JIS Z 8781-4:2013に従って、単体透過率Ts測定時、平行位透過率Tp測定時、及び直交位透過率Tc測定時の各々における色度a*値及びb*値を測定した。測定には、上記の分光光度計を使用し、光源には、C光源を用いた。ここで、a*-s及びb*-s、a*-p及びb*-p、並びにa*-c及びb*-cは、単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcの測定時における色度a*値及びb*値にそれぞれ対応する。
実施例A1~6、比較例A1及びA2で得られた耐久性試験サンプルの初期の視感度補正後の単体透過率(Ys-s)、初期の視感度補正後の直交位透過率(Yc-s)、初期の780nmの直交位透過率(Tc780-s)、及び初期の直交位のa*値(a*c-s)、並びに、耐久性試験として105℃環境下において1000時間適用後の視感度補正後の単体透過率(Ys-e)、視感度補正後の直交位透過率(Yc-e)、耐久性試験後の780nmの直交位透過率(Tc780-e)、及び耐久性試験後の直交位のa*値(a*c-e)を表A1に示す。偏光素子としては、耐久性試験後の780nmの直交位透過率(Tc780-e)の値が35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。
表1に示すように、実施例A1~6は、比較例A1及び2と比較して、同等の透過率と高い偏光度を有していることが分かる。さらに、105℃を1000時間適用後においても、従来のヨウ素系偏光板(比較例A1)に比べて、直交位での780nmの変化が少なく、かつ、a*値の変化が少なく、見た目としても色の変化の少ない高い耐久性を有していることが分かる。すなわち、本発明の偏光素子を用いて得られる偏光板は、従来のヨウ素系偏光板と同等のコントラストを実現しながらも、高い温度のような耐久性を適用した環境下でも高い耐久性を維持していることが分かる。本願の結果から、本発明の偏光素子又は偏光板を用いた液晶表示装置は、高輝度、高コントラストなだけでなく、信頼性が高い、長期的に高コントラストな液晶表示装置となる。
(e)近赤外領域の偏光度
実施例A4~A6において、850nmの単体透過率(Ts)、直交位透過率(Tc)、および、偏光度(ρ)を測定した。その結果を表A2に示す。
表2に示すように、実施例A4~6は、赤外域である850nmにおいても90%以上の高い偏光度を有していることが分かった。対して、比較例A1は、同偏光度は3%弱であり、ほとんど偏光性能を確認できなかった。つまり、本願の偏光板は、可視域においてヨウ素系偏光板並みの高い偏光度を有しているばかりでなく、かつ、赤外域に至るまで高い偏光度を有する広帯域な偏光板が得られていることが分かる。
<<実施例B>>
[測定試料の作成]
(実施例B1)
ケン化度99%以上の平均重合度2400のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS)を40℃の温水に2分浸漬し、延伸倍率が1.30倍なるように膨潤処理を行った。次に、膨潤処理したフィルムを、水を1500重量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5重量部、無水硫酸ナトリウムを1.5重量部、700nm~1400nmの赤外域に光を吸収する水溶性化合物として下記式(101)に示す構造を有するC.I.Direct Black 19(SHAOXING BIYING TEXITILE TECHNOLOGY Co., LTD社製)を0.30重量部、式(5)の化合物として本願化合物例(5-1)に示すアゾ化合物を0.16重量部、式(10)の構造を有する化合物として上記式(10-22)に示すアゾ化合物を0.040重量部、式(10)の構造を有する化合物として本願化合物例(10-2)に示すアゾ化合物を0.027重量部、日本化薬社製 Kayarus Supra Orange 2GLを0.16重量部含有し45℃に調整した水溶液に、13分浸漬させ、上記赤外光吸収水溶性化合物等をフィルムに含有させた。次に、得られたフィルムを、ホウ酸(Societa chimica lardrello s.p.a社製) 40重量部を2000部の水に溶解させた水溶液に30℃で2分間浸漬させた。次に、得られたフィルムに対して、ホウ酸30.0g/lを含有した水溶液中50℃で5分間、延伸倍率が5.0倍になるように延伸処理を行った。次に、得られたフィルムに対して20℃の水中で20秒間浸漬処理(洗浄処理)を行った。次に、得られたフィルムに対して70℃で9分間乾燥処理を行い、偏光素子を得た。得られた偏光素子に対して、ポリビニルアルコール接着剤を用いて、アルカリ処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)をラミネートして偏光板を得た。得られた偏光板は偏光素子の光学特性を維持していた。偏光板を40mm角にカットし、粘着層(ポラテクノ社製 AD-ROC)を介して、透明板ガラスに貼合することによって、本願の偏光板を用いた耐久性試験サンプルを作製し、本願の測定試料とした。
(実施例B2)
実施例B1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、下記式(102)に示すFEW CHEMICAL社製 S0378 0.30重量部に替えた以外は実施例B1と同様に測定試料を作製した。
(実施例B3)
実施例B1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、式(103)に示すFEW CHEMICAL社製 S2180 0.30重量部に替えた以外は実施例B1と同様に測定試料を作製した。
(実施例B4)
実施例B1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、本願化合物例(1-10)に示す化合物0.30重量部に替えた以外は実施例B1と同様に測定試料を作製した。
(実施例B5)
実施例B1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、本願化合物例(1-21)に示す化合物0.30重量部に替えた以外は実施例B1と同様に測定試料を作製した。
(実施例B6)
実施例B1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、本願化合物例(1-10)に示す化合物1.0重量部に替えた以外は実施例B1と同様に測定試料を作製した。
(実施例B7)
実施例B6で用いた式(10-22)に示すアゾ化合物0.040重量部を、上記式(11-30に示すアゾ化合物0.3重量部に替えた以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(実施例B8)
実施例B6において、本願化合物例(5-1)に示す化合物0.16重量部及び上記式(10-22)に示す化合物0.040重量部のそれぞれを用いずに、代わりにC.I.Direct Blue 71(本願化合物例6-9)0.3重量部を用いた以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(実施例B9)
実施例B6において、本願化合物例(5-1)に示す化合物0.16重量部及び上記式(10-22)に示す化合物0.040重量部のそれぞれを用いずに、代わりにC.I.Direct Blue 69(本願化合物例6-19)0.3重量部を用いた以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(実施例B10)
実施例B6において、本願化合物例(5-1)に示す化合物0.16重量部及び上記式(10-22)に示す化合物0.040重量部を用いずに、代わりに本願化合物例(6-7)に示すアゾ化合物0.3重量部を用い、アゾ化合物を含有させる時間を13分から9分とした以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(実施例B11)
実施例B10において、アゾ化合物を含有させる時間を9分から13分とした以外は実施例B10と同様に測定試料を作製した。
(実施例B12)
実施例B6で用いた本願化合物例(10-2)に示す化合物0.027重量部を、式(10)の構造を有する本願化合物例(10-1)であるC.I.Direct Red 81 0.040重量部に替えた以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(実施例B13)
実施例B6で用いた本願化合物例(10-2)に示す化合物0.027重量部を、式(9)の構造を有するアゾ化合物として式(9-23) 0.027重量部に替えた以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(実施例B14)
実施例B6で用いたKayarus Supra Orange 2GL 0.16重量部を、C.I.Direct Orange 72 0.16重量部に替えた以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(実施例B15)
実施例B6で用いたKayarus Supra Orange 2GL 0.16重量部を、C.I.Direct Yellow 28 0.16重量部に替えた以外は実施例B6と同様に測定試料を作製した。
(比較例B1)
実施例B1において、C.I.Direct Black 19 0.30重量部を用いなかった以外は、実施例B1と同様に測定試料を作製した。
[評価方法]
実施例B1~B15及び比較例B1で得られた測定試料の評価を次のようにして行った
(a)単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tc
実施例Aの[評価方法](a)と同様に、各測定試料の単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcを測定した。
平行位透過率Tp及び直交位透過率Tcの各々の420~480nmにおける各波長の平均値、520~590nmにおける各波長の平均値、及び600~640nmにおける各波長の平均値、並びに、800nmの単体透過率を求めた。その結果を表B1に示す。
(b)2つの波長帯域の平均透過率の差の絶対値
表B2には、各測定試料の平行位透過率Tp及び直交位透過率Tcの各々の520~590nmにおける各波長の平均値と420~480nmにおける各波長の平均値との差の絶対値、及び520~590nmにおける各波長の平均値と600~640nmにおける各波長の平均値との差の絶対値を示す。
(c)視感度補正後の単体透過率Ys、視感度補正後の平行位透過率Yp、及び、視感度補正後の直交位透過率Yc
各測定試料の視感度補正後の単体透過率Ys、視感度補正後の平行位透過率Yp、及び視感度補正後の直交位透過率Ycをそれぞれ求めた。視感度補正後の単体透過率Ys、視感度補正後の平行位透過率Yp、及び視感度補正後の直交位透過率Ycは、400~700nmの波長領域で、所定波長間隔dλ(ここでは5nm)おきに求めた上記各波長の単体透過率Ts、各波長の平行位透過率Tp、及び各波長の直交位透過率Tcのそれぞれについて、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。具体的には、上記各波長の単体透過率Ts、各波長の平行位透過率Tp、及び各波長の直交位透過率Tcを、下記式(V)~(VII)に代入して、それぞれ算出した。なお、下記式(V)~(VII)中、Pλは標準光(C光源)の分光分布を表し、yλは2度視野等色関数を表す。結果を表B3に示す。尚、その際、YpをYcで除算した値がコントラスト(CR)として表す事ができる。

(d)視感度補正後の偏光度
各測定試料の視感度補正後の偏光度ρyは、視感度補正後の平行位透過率Yp及び視感度補正後の直交位透過率Ycから、下記式(VIII)により求めた。

ρy={(Yp-Yc)/(Yp+Yc)}1/2×100 (VIII)
(e)色度a*値及びb*値
実施例Aの[評価方法](d)と同様に、a*-s及びb*-s、a*-p及びb*-p、並びにa*-c及びb*-cを測定した。
表B3に、実施例B1~B15、及び、比較例B1のYs、Yp、Yc、CR、ρy、色度を示す。
表B4には実施例B1~B15、及び、比較例B1の750nm、800nm、850nmの赤外域波長におけるTp、Tc、及び偏光度を示す。
表B5には、初期の実施例B6、B10、B11、及び比較例B1の、可視域の波長である700nmにおけるTp、Tc、及び偏光度、並びに、各偏光板を105℃x500時間適用した後の各値を示す。
上記表B1、表B2より、本願の偏光素子は700nm~1400nmの赤外域の光を吸収する水溶性化合物を含む基材でありながらも、2枚の偏光素子の吸収軸を平行にして測定した時の520nm~590nmにおける各波長の透過率の平均値と420nm~480nmにおける各波長の透過率の平均値との差の絶対値が5%以下であり、かつ、600nm~640nmにおける各波長の透過率の平均値と520nm~590nmにおける各波長の透過率の平均値との差の絶対値が3%以下であることを特徴とする偏光素子、又はそれを用いた偏光板になっていることが分かる。表B3により、その得られた偏光素子は、a*-s、b*-sがともに絶対値で1.0以内であることから、無彩色性を有していることが分かる。また、a*-p,b*-pが共に絶対値で2.0以下であることから、平行位において偏光板は高品位な白さを実現できていることが分かる。一方で、比較例B1は、赤外域700nm以上の吸収及び偏光度が顕著に低いことが分かる。また、表B4から、本願の偏光板は、無彩色な色を実現しながらも赤外域において高い偏光度を有していることが分かる。さらに、表B5から可視域である700nmの透過率、及び、偏光度変化が少ない偏光板が得られていることが分かる。
<<実施例C>>
[測定試料の作成]
(実施例C1)
ケン化度99%以上の平均重合度2400のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS)を40℃の温水に2分浸漬し、延伸倍率が1.30倍なるように膨潤処理を行った。次に、膨潤処理したフィルムを、水を1500重量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5重量部、無水硫酸ナトリウムを1.5重量部、700nm~1400nmの赤外域の光を吸収する水溶性化合物として、下記式(101)に示す構造を有するC.I.Direct Black 19(SHAOXING BIYING TEXITILE TECHNOLOGY Co., LTD社製)を0.30重量部、式(9)の構造を有するアゾ化合物として、本願化合物例(9-23)に示すアゾ化合物を0.22重量部、式(11)の構造を有するアゾ化合物として下記式(11-45)に示すアゾ化合物を0.54重量部、式(13)の構造を有する化合物として本願化合物例(13-2)に示すアゾ化合物を0.13重量部を含有し45℃に調整した水溶液に、13分00秒浸漬させ、上記赤外光吸収水溶性化合物等をフィルムに含有させた。次に、得られたフィルムを、ホウ酸(Societa chimica lardrello s.p.a社製) 40重量部を2000部の水に溶解させた水溶液に30℃で2分間浸漬させた。次に、得られたフィルムに対して、ホウ酸30.0g/lを含有した水溶液中50℃で5分間、延伸倍率が5.0倍になるように延伸処理を行った。次に、得られたフィルムに対して20℃の水中で20秒間浸漬処理(洗浄処理)を行った。次に、得られたフィルムに対して70℃で9分間乾燥処理を行い、偏光素子を得た。得られた偏光素子に対して、ポリビニルアルコール接着剤を用いて、アルカリ処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)をラミネートして偏光板を得た。得られた偏光板は偏光素子の光学特性を維持していた。偏光板を40mm角にカットし、粘着層(ポラテクノ社製 AD-ROC)を介して、透明板ガラスに貼合することによって、本願の偏光板を用いた耐久性試験サンプルを作製し、本願の測定試料とした。

(実施例C2)
実施例C1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、下記式(102)に示すFEW CHEMICAL社製 S0378(0.30重量部)に替えた以外は実施例C1と同様に測定試料を作製した。
(実施例C3)
実施例C1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、式(103)に示すFEW CHEMICAL社製 S2180(0.30重量部)に替えた以外は実施例C1と同様に測定試料を作製した。
(実施例C4)
実施例C1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、化合物例(1-10)に示す化合物0.30重量部に替えた以外は実施例C1と同様に測定試料を作製した。
(実施例C5)
実施例C1で用いた赤外光吸収水溶性化合物0.30重量部を、化合物例(1-21)に示す化合物0.30重量部に替えた以外は実施例C1と同様に測定試料を作製した。
(実施例C6)
実施例C1で用いたC.I.Direct Black 19 0.30重量部を、化合物例(1-10)に示す化合物1.0重量部に替えた以外は実施例C1と同様に測定試料を作製した。
(実施例C7)
実施例C6で用いた本願化合物例(11-45)に示す化合物0.54重量部を、本願化合物例(11-5)に示すアゾ化合物0.33重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(実施例C8)
実施例C6で用いた本願化合物例(11-45)に示す化合物0.54重量部を、本願化合物例(12-12)に示すアゾ化合物0.33重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(実施例C9)
実施例C6で用いた式本願化合物例(11-45)に示す化合物0.54重量部を、本願化合物例(11-14)に示すアゾ化合物0.46重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(実施例C10)
実施例C6で用いた本願化合物例(9-23)に示す化合物0.22重量部を、C.I.DIRECT RED 81(本願化合物例10-1)0.19重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(実施例C11)
実施例C6で用いた本願化合物例(9-23)に示す化合物0.22重量部を、下記式(10-85)に示すアゾ化合物0.21重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(実施例C12)
実施例C6で用いた本願化合物例(9-23)に示す化合物0.22重量部を、本願化合物例(10-51)に示す化合物0.40重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(実施例C13)
実施例C6で用いた本願化合物例(13-2)に示す化合物0.13重量部を、C.I.Direct Orange 72 0.11重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(実施例C14)
実施例C6で用いた本願化合物例(13-2)に示す化合物0.13重量部を、C.I.Direct Yellow 28 0.16重量部に替えた以外は実施例C6と同様に測定試料を作製した。
(比較例C1)
実施例C1において、C.I.Direct Black 19 0.30重量部を用いなかった以外は、実施例C1と同様に測定試料を作製した。
[評価方法]
実施例C1~C14及び比較例C1で得られた測定試料の評価を次のようにして行った
(a)各波長の単体透過率Ts、各波長の平行位透過率Tp、及び各波長の直交位透過率Tc
実施例Aの[評価方法](a)と同様に、各測定試料の各波長の単体透過率Ts、各波長の平行位透過率Tp、及び各波長の直交位透過率Tcを測定した。
(c)視感度補正後の単体透過率Ys、視感度補正後の平行位透過率Yp、及び、視感度補正後の直交位透過率Yc
実施例Bの[評価方法](c)と同様に、各測定試料の視感度補正後の単体透過率Ys、視感度補正後の平行位透過率Yp、及び視感度補正後の直交位透過率Ycをそれぞれ求めた。結果を表C1に示す。尚、その際、YpをYcで除算した値がコントラスト(CR)として表す事ができる。
(d)偏光度
実施例Bの[評価方法](d)と同様に、偏光度ρyを求めた。
実施例C1~C14、及び、比較例C1のYs、Yp、Yc、CR、ρyを表C1に示す。
表C2には実施例C1~C14、及び、比較例C1の750nm、800nm、850nmの近赤外域の波長におけるTp、Tc、及び偏光度を示す。
表C3には、初期の実施例C6及び比較例C1の、可視域の波長である700nmにおけるTp、Tc、及び偏光度、並びに、各偏光板を105℃x500時間適用した後の各値を示す。
表C1及び表C2より、本願の偏光素子は700nm~1400nmの赤外域の光を吸収する水溶性化合物またはその塩を含みながらも、可視域において高い偏光度を有していることが分かる。さらに、表C2から、本願の偏光素子は赤外域に光を吸収するだけでなく、高い偏光性能を有していることが分かる。このことから、本願の偏光素子は可視域から赤外域まで高い偏光度を有していることが分かる。また、表C3から、可視域である700nmの透過率、及び、偏光度変化が少ない偏光板が得られていることが分かることから、本願の偏光板は高い耐久性を有していることが分かる。
上記表C1~表C3に示すように、本願の偏光素子又は偏光板は、可視域で無彩色性を実現しながらも、赤外領域で吸収を有し、かつ、高い偏光度を有し赤外域に至るまで高い偏光度を有する広帯域な偏光板が得られていることが分かる。また、その偏光板は、可視域において高い耐久性を実現しうることが示された。
本発明の偏光素子、または、偏光板は、液晶ディスプレイ、有機EL、液晶プロジェクター、電卓、時計、ノートパソコン、ワープロ、液晶テレビ、偏光レンズ、偏光メガネ、カーナビゲーション、及び屋内外の計測器や表示器、赤外線センサー、赤外線カメラ、光アイソレータ、セキュリティシステム等の光学装置に使用される。特に、反射型液晶表示装置、半透過液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス等において有効に利用できる。

Claims (18)

  1. 400nm~700nmにおいて偏光特性を示す二色性色素を少なくとも1種と、700~1400nmの光を吸収する水溶性化合物又はその塩を含む偏光素子であって、
    当該偏光素子が、前記少なくとも1種の二色性色素として下記式(9)又は式(10)で示される化合物、その金属錯体化合物、又はその塩を含み:

    式中、Acは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
    Rc11~Rc14は、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、

    式中、Acは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
    Rc21~Rc25は、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
    Rc26は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
    Xcは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイル基、又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を表し、
    p、qはそれぞれ独立に0又は1の整数を表し、
    800nmの波長における偏光度が80%以上である、及び、850nmの波長における偏光度が80%以上である、のうち少なくとも1つを満たす、
    偏光素子。
  2. 前記水溶性化合物が、アゾ化合物である請求項1に記載の偏光素子。
  3. 前記アゾ化合物が下記式(1)に示されるアゾ化合物である請求項2に記載の偏光素子:

    式中、Ai、Aiは各々独立に水素原子又は下記式(2)(ただし、Ai、Aiがともに水素原子であるものは除く)で表され、
    -NH-は、aとa’、bとb’、aとb’、bとa’の組合せのいずれかの位置で両ナフタレン環と結合し、

    式中、Riが置換している環は、各々独立に、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環であり、破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環であり、
    Riは各々独立に、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基であり、
    Biは各々独立に、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフチレン基であり、前記置換基は、水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基であり、
    mは1~3の整数を示し、
    Biがヒドロキシ基を置換基として有する場合、前記ヒドロキシ基は上記式(1)中のヒドロキシ基と銅原子とで-O-Cu-O-を形成することが可能である。)
  4. 式(2)が式(3)で表される請求項3に記載の偏光素子:

    式中、Riが置換されている環、Ri、mはそれぞれ式(2)と同じであり、
    -O-結合で表される酸素原子は式(1)中の-OH及び銅原子とで-O-Cu-O-を形成し、
    Riは水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基である。
  5. 前記式(1)で表されるアゾ化合物が、下記式(4)で表されるアゾ化合物である請求項3に記載の偏光素子:

    式中、Riは水素原子、塩素原子、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、カルボキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、又はカルボキシ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基であり、
    mは1又は2である。
  6. 前記少なくとも1種の二色性色素として式(5)または式(6)で示される化合物又はその塩をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の偏光素子:

    式中、Ab、Abはそれぞれ独立に、置換基を有するナフチル基又は置換基を有するフェニル基を示し、その置換基の少なくとも1つが水素原子、スルホ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、又は置換アミノ基であり、
    Rb、Rbは各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を示し、

    式中、Agは置換基を有するフェニル基または置換基を有するナフチル基を示し、
    BgおよびCgは、各々独立に、下記式(7)または下記式(8)で表され、少なくとも一方が式(7)を示し、
    Xgは、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアゾ基、または置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基を示し、

    式中、Rgは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を示し、
    kは0~2の整数を示し、

    式中、RgおよびRgは各々独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を示す。
  7. 前記少なくとも1種の二色性色素として下記式(11)で示されるアゾ化合物、その金属錯体化合物又はその塩、又は、式(12)で示されるアゾ化合物又はその塩をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の偏光素子:

    式中、Abは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
    Rb11~Rb14は、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、Rb15及びRb16は、各々独立して炭素数1~4のアルコキシ基を示し、
    Xbは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、スルホ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、または置換基を有してもよいベンゾイル基を表し、
    dは0または1を表し;

    式中、Abは、スルホ基及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、
    Rb21は水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、Xbは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキルアミン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基及び置換アミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、または置換基を有してもよいベンゾイル基を表す。
  8. 前記少なくとも1種の二色性色素として下記式(13)で示されるアゾ化合物又はその塩をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の偏光素子:

    式中、Ayは、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
    Ry及びRyは、各々独立して、水素原子、スルホ基、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基、又はスルホ基を有する炭素数1~4のアルコキシ基を表し、
    hは1~3の整数である。
  9. 前記少なくとも1種の二色性色素としてヨウ素をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の偏光素子。
  10. 基材が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムである請求項1~9のいずれか一項に記載の偏光素子。
  11. 800nmの波長における偏光度が99%以上である請求項1~10のいずれか一項に記載の偏光素子。
  12. 850nmの波長における偏光度が99%以上である請求項1~11のいずれか一項に記載の偏光素子。
  13. 前記偏光素子2枚を、各々の吸収軸が互いに平行になるように重ねて配置した状態で求められる透過率において、
    520nm~590nmの各波長の平均透過率と420nm~480nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として5%以下であり、かつ、600nm~640nmの各波長の平均透過率と520nm~590nmの各波長の平均透過率の平均値との差が絶対値として3%以下である、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の偏光素子。
  14. JIS Z 8781-4:2013に従い、自然光の透過率測定時に求められるa*値及びb*値の絶対値が、
    前記偏光素子単体で、ともに1以下(-1≦a*-s≦1、-1≦b*-s≦1)であり、
    前記偏光素子2枚を、各々の吸収軸が互いに平行になるよう重ねて配置した状態で、ともに2以下(-2≦a*-p≦2、-2≦b*-p≦2)である、
    請求項1~13のいずれか一項に記載の偏光素子(a*-sは単体でのa*値を示し、b*-sは単体でのb*値を示し、a*-pは平行位でのa*値を示し、b*-pは平行位でのb*を示す)。
  15. 前記偏光素子2枚を、各々の吸収軸が互いに直交するように重ねて配置した状態で求められる透過率において、
    520nm~590nmの各波長の平均透過率と420nm~480nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として3%以下であり、かつ、600nm~640nmの各波長の平均透過率と520nm~590nmの各波長の平均透過率との差が絶対値として2%以下である、
    請求項1~14のいずれか一項に記載の偏光素子。
  16. 請求項1~15のいずれか一項に記載の偏光素子と、該偏光素子の少なくとも一方の面に透明保護層を備えた偏光板。
  17. 請求項1~15のいずれか一項に記載の偏光素子又は請求項16に記載の偏光板を含む光学装置。
  18. 液晶表示装置である、請求項17に記載の光学装置。
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