JP7316767B2 - 端子付き電線およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は例えば自動車等に用いられる端子付き電線およびその製造方法に関するものである。
従来、自動車、OA機器、家電製品等の分野では、電力線や信号線として、電気導電性に優れた銅系材料からなる電線が使用されている。特に、自動車分野においては、車両の高性能化、高機能化が急速に進められており、車載される各種電気機器や制御機器が増加している。したがって、これに伴い、使用される端子付き電線も増加する傾向にある。
一方、環境問題が注目される中、自動車の軽量化が要求されている。したがって、ワイヤハーネスの使用量増加に伴う重量増加が問題となる。このため、従来使用されている銅線に代えて、軽量なアルミニウム電線が注目されている。
ここで、このような電線同士を接続する際や機器類等の接続部においては、接続用端子が用いられる。しかし、アルミニウム電線を用いた端子付き電線であっても、接続部の信頼性等のため、端子部には、電気特性に優れる銅が使用される場合がある。このような場合には、アルミニウム電線と銅製の端子とが接合されて使用される。
しかし、異種金属を接触させると、標準電極電位の違いから、いわゆる電食が発生する恐れがある。特に、アルミニウムと銅との標準電極電位差は大きいため、接触部への水の飛散や結露等の影響により、電気的に卑であるアルミニウム側の腐食が進行する。このため、接続部における電線と端子との接続状態が不安定となり、接触抵抗の増加や線径の減少による電気抵抗の増大、更には断線が生じて電装部品の誤動作、機能停止に至る恐れがある。
このため、電線と端子との接続部を防食材で被覆する方法が提案されている。例えば、合成樹脂の止水部が形成される端子付電線において、被覆圧着部の縁部が外側へ反った環状の拡径部を形成し、第一止水樹脂部が、絶縁電線の端部における圧着端子から露出している部分を覆い、環状の第二止水樹脂部が、絶縁電線の絶縁被覆と拡径部との間を埋める端子付き電線が提案されている。(特許文献1)。
特開2014-191973号公報
しかし、電線に曲げや引張などが付与された場合や、熱伸縮によって、第二止水樹脂部が破損するおそれがある。この場合には、被覆圧着部の後端部の止水性が失われる。また、第二止水樹脂部は、端子圧着時に副次的に生じる端子後端の拡径部を利用しているが、この拡径部の形状が不安定であるため、第二止水樹脂部を再現性良く確実に形成することは困難である。
さらに、拡径部において、端子内面と電線被覆間を合成樹脂によって埋めることで止水性を確保するため、端子内面部の樹脂形状について検査することができない。このため、十分な止水性を確保できているかどうかを判断することが困難である。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、被覆圧着部における止水性を確実に確保することが可能な端子付き電線およびその製造方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が第1防食層で覆われており、前記被覆圧着部の後端面および前記被覆圧着部から露出する前記被覆部の全周と前記被覆圧着部の後端部における外周面の全周とが第2防食層で覆われており、前記第2防食層は、前記被覆部または前記端子に対するせん断接着強度が3MPa以上であり、かつ-40℃における引張破断伸びが50%以上であることを特徴とする端子付き電線である。
前記第2防食層は、光硬化樹脂であることが望ましい。
前記被覆圧着部の長手方向における前記第2防食層で覆われる前記外周面の被覆長は、端子の板厚以上、被覆圧着部の長さ以下であることが望ましい。
第1の発明によれば、被覆圧着部の後端面および被覆圧着部から露出する被覆部の全周と被覆圧着部の後端部における外周面の全周とが第2防食層で覆われているため、高い防食性能を確保することができる。また、第2防食層の被覆部または端子に対するせん断接着強度が3MPa以上であり、第2防食層のはがれ等を抑制することができる。
また、第2防食層の-40℃における引張破断伸びが50%以上あれば、熱伸縮がかかる環境下でも第2防食層の割れや破損を抑制することができる。
また、第2防食層が光硬化樹脂であれば、短時間で硬化させることができるとともに、加熱処理も不要である。
さらに、前記被覆圧着部の長手方向における前記第2防食層で覆われる前記外周面の被覆長が、端子の板厚以上、被覆圧着部の長さ以下であれば、接着強度が安定し、かつ防食材の節約に資する。
第2の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、ディスペンサにより、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位を前記圧着部の下面にはみだすことがなく第1防食層で覆うとともに、前記被覆圧着部の後端面および前記被覆圧着部から露出する前記被覆部の全周と前記被覆圧着部の後端部における外周面の全周とを第2防食層で覆い、前記第2防食層を、前記被覆部または前記端子に対するせん断接着強度が3MPa以上とすることを特徴とする端子付き電線の製造方法である。
第2の発明によれば、高い防食性能を確保することが可能な端子付き電線を容易に製造することができる。
第3の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位を前記圧着部の下面にはみだすことがなく第1防食層で覆うとともに、前記被覆圧着部の後端面および前記被覆圧着部から露出する前記被覆部の全周と前記被覆圧着部の後端部における外周面の全周とを第2防食層で覆い、該第2防食層を、前記被覆部または前記端子に対するせん断接着強度が3MPa以上とし、前記第2防食層を形成する際には、光透過性を有する離型性材料で作られた成形型を前記被覆圧着部の後端部と前記被覆圧着部から露出する前記被覆部にわたる部位にセットし、前記成形型の内側に防食材を充填し、光照射により防食材を硬化させ、前記成形型を離型することを特徴とする端子付き電線の製造方法である。
第3の発明によれば、防食材の形態が安定し、高い防食性能を確保することが可能な端子付き電線を容易に製造することができる。
本発明によれば、被覆圧着部における止水性を確実に確保することが可能な端子付き電線およびその製造方法を提供することができる。
端子付き電線10を示す斜視図。 (a)は端子付き電線10を示す断面図、(b)は(a)のA部拡大図。 (a)は防食材17を塗布する工程を示す断面図、(b)は、(a)のB-B線断面図、(c)は、第2防食層17bが形成された状態を示す図。 (a)、(b)は、防食材17を塗布する他の工程を示す断面図。 (a)、(b)は、成形型19を用いた防食材17を塗布する方法を示す断面図。 (a)、(b)は、成形型19を用いた防食材17を塗布する方法を示す断面図。 (a)は、成形型19を用いた防食材17を塗布する方法を示す断面図、(b)は第2防食層17bが形成された状態を示す図。 (a)、(b)、(c)は、他の形態の第2防食層17bが形成された状態を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、端子付き電線10を示す斜視図であり、図2(a)は断面図である。なお、図1は、第1防食層17aおよび第2防食層17bを透視した図である。端子付き電線10は、端子1と被覆導線11が接続されて構成される。
被覆導線11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である導線13と、導線13を被覆する被覆部15からなる。すなわち、被覆導線11は、被覆部15と、その先端から露出する導線13とを具備する。導線13は、例えば、複数の素線が撚り合わせられた撚り線である。
端子1は、オープンバレル型であり、銅または銅合金製である。端子1には被覆導線11が接続される。端子1は、端子本体3と圧着部5とがトランジション部4を介して連結されて構成される。圧着部5と端子本体3の間に位置するトランジション部4は、上方が開口する。
端子本体3は、所定の形状の板状素材を、断面が矩形の筒体に形成したものである。端子本体3は、内部に、板状素材を矩形の筒体内に折り込んで形成される弾性接触片を有する。端子本体3は、前端部から雄型端子などが挿入されて接続される。なお、以下の説明では、端子本体3が、雄型端子等の挿入タブ(図示省略)の挿入を許容する雌型端子である例を示すが、本発明において、この端子本体3の細部の形状は特に限定されない。例えば、雌型の端子本体3に代えて例えば雄型端子の挿入タブを設けてもよい。
圧着部5は、被覆導線11と圧着される部位であり、圧着前においては、端子1の長手方向に垂直な断面形状が略U字状のバレル形状を有する。端子1の圧着部5は、被覆導線11の先端側に被覆部15から露出する導線13を圧着する導線圧着部7と、被覆導線11の被覆部15を圧着する被覆圧着部9と、導線圧着部7と被覆圧着部9の間のバレル間部8からなる。
導線圧着部7の内面の一部には、幅方向(長手方向に垂直な方向)に、図示を省略したセレーションが設けられる。このようにセレーションを形成することで、導線13を圧着した際に、導線13の表面の酸化膜を破壊しやすく、また、導線13との接触面積を増加させることができる。
被覆導線11の先端は、被覆部15が剥離され、内部の導線13が露出する。被覆導線11の被覆部15は、端子1の被覆圧着部9によって圧着される。また、被覆部15が剥離されて露出する導線13は、導線圧着部7により圧着される。導線圧着部7において、導線13と端子1とが電気的に接続される。なお、被覆部15の端面は、被覆圧着部9と導線圧着部7の間のバレル間部8に位置する。
本発明では、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位が第1防食層17aで覆われている。したがって、導線13は、第1防食層17aによって外部に露出しない。また、被覆圧着部9の後端部近傍は、第2防食層17bで覆われている。
第1防食層17aおよび第2防食層17bは、例えば、アクリレート系の光硬化樹脂である。なお、第1防食層17aは、主に導線13の露出部を覆うものであり、第2防食層17bは、主に被覆圧着部9の後端部を覆うものであるが、第1防食層17aと第2防食層17bとは、明確な境界なく完全に一体化されていてもよい。なお、両者の形成タイミングが異なる場合など、その境界を、断面研磨後に光学顕微鏡や偏光顕微鏡で識別も可能であってもよい。
図2(b)は、図2(a)のA部拡大図である。図示したように、被覆圧着部9の後端面および被覆圧着部9から露出する被覆部15の全周と被覆圧着部9の後端部における外周面の少なくとも一部が第2防食層17bで覆われている。なお、被覆圧着部9の長手方向における外周面の被覆長(図中K)は、端子の板厚以上(例えば200μm以上)が望ましい。このようにすることで、接着強度が安定する。なお、被覆圧着部9の長手方向における外周面の被覆長(図中K)は、防食材の節約のため、被覆圧着部9の長さ以下であることが望ましい。
次に、端子付き電線10の製造方法について説明する。まず、被覆導線11と端子1とを圧着により接続する。次に、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位に第1防食層17aを形成する。第1防食層17aは、例えばディスペンサ等で防食材を塗布して硬化させる。
次に、被覆圧着部9の後端側に、ディスペンサにより防食材を塗布する。図3(a)は、被覆圧着部9の後方に防食材を塗布する工程を示す図であり、図3(b)は、図3(a)のB-B線断面図である。図3(a)に示すように、防食材17は、被覆圧着部9の後端部の上面に塗布してもよく(図中矢印C)、被覆圧着部9の後端部から露出している被覆部15の上面に塗布してもよい(図中矢印D)。
なお、本発明において、防食材17を塗布するとは、前述したように、防食材17の液滴を対象部に接触させる方法や、防食材17の液滴を供給部から打ち出して(滴下させて)対象部に付着させる方法など、対象部に防食材17が付着した状態を得る方法の全てを含むものとする。例えば、防食材17の液滴を対象部に対して、メカニカルディスペンサで接触させて塗布してもよく、ジェットディスペンサで供給部から打ち出して塗布してもよい。
図3(c)に示すように、被覆圧着部9または被覆部15の上面に塗布された防食材17は、被覆圧着部9の後端部近傍を上方から下方に流れ(図中矢印E)、被覆圧着部9の後端面および被覆圧着部9から露出する被覆部15の全周と被覆圧着部9の後端部における外周面の少なくとも一部が防食材17で覆われる。その後、防食材17を硬化させることで、第2防食層17bを形成することができる。なお、第2防食層17bは、被覆圧着部9の後端部における外周面の全周を形成することが望ましい。
なお、第1防食層17aを第2防食層17bの形成後に形成してもよい。また、第1防食層17aと第2防食層17bの硬化を同時に行ってもよい。以上により、端子付き電線10を製造することができる。なお、防食材17が光硬化樹脂以外の場合には、熱等の方法を適宜用いて防食材17を硬化させる。
第2防食層17bの、-40℃における引張破断伸びが50%以上である。より好ましくは、第1防食層17aの、-40℃における引張破断伸びも50%以上であることが望ましい。第1防食層17aと第2防食層17bの、-40℃における引張破断伸びは、200μm厚みの樹脂材のシート状降下物を作成し、JISK6251に準じて測定することができる。
また、第2防食層17bは、導線13、被覆部15または端子1に対するせん断接着強度が3MPa以上である。より好ましくは、第1防食層17aも、導線13、被覆部15または端子1に対するせん断接着強度が3MPa以上であることが望ましい。第1防食層17aと第2防食層17bの接着強度は、JIS K6850 「接着剤の引張せん断接着強さ試験方法」により、錫めっき付銅板とガラス板との重ねあわせ、アルミニウム板とガラス板との重ねあわせ、及び軟質PVC板とガラス板との重ねあわせの各々により測定することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第2防食層17bが、少なくとも、被覆圧着部9の後端面の全周と、ここから露出する被覆部15の外面の全周に形成されるため、被覆圧着部9の後方からの水の浸入を抑制することができる。
また、第1防食層17aと第2防食層17bの-40℃における引張破断伸びが50%以上あるため、熱伸縮がかかる環境下でも各防食層の割れや破損を抑制することができる。
また、第1防食層17aと第2防食層17bの接着対象部に対するせん断接着強度が3MPa以上であるため、各防食層の端子等からのはがれ等を抑制することができる。
次に、第2の実施形態について説明する。図4(a)、図4(b)は、端子付き電線の他の製造方法を示す図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については、図1~図3と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態においては、まず、図4(a)に示すように、被覆圧着部9の上方から、被覆圧着部9の後端上面または被覆圧着部9から露出する被覆部15の上面に防食材17に塗布し、前述と同様の方法で、被覆圧着部9の下方に流す(図中矢印F)。この際、防食材17は、最下方まで流す必要はなく、おおよそ中間の高さ程度でよい。
次に、図4(b)に示すように、端子1をひっくり返して、被覆圧着部9の後端下面または被覆圧着部9から露出する被覆部15の下面に防食材17に塗布し、前述と同様の方法で、被覆圧着部9の上面側に流す(図中矢印G)。この際、防食材17は、最初に塗布した防食材17と一体化する程度まで流せばよい。この状態で、防食材17を硬化することで、第2防食層17bが形成される。なお、図4(a)に示す段階で、一度防食材17を硬化させ、その後、図4(b)の状態で再度防食材17を硬化させてもよい。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上下の2方向から防食材17を塗布するため、第2防食層17bの上下の厚みの差を小さくし、より均一な厚みとすることができる。
次に、第3の実施形態について説明する。図5(a)は、第3の実施形態にかかる端子付き電線の他の製造方法を示す軸方向の図であり、図5(b)は、図5(a)のH-H線断面図である。本実施形態では、第2防食層17bを形成する際に、成形型19が用いられる。
本実施形態においても、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位を第1防食層17aで覆うとともに、被覆圧着部9の後端面および被覆圧着部9から露出する被覆部15の全周と被覆圧着部9の後端部における外周面の少なくとも一部を第2防食層17bで覆う。
第2防食層17bを形成する際には、まず、成形型19を被覆圧着部9の後端部と被覆圧着部9から露出する被覆部15にわたる部位にセットする。成形型19は、光が透過する光透過性を有し、柔軟性を有する離型性材料で作られ、例えば、透明シリコーン等から構成される。なお、成形型19は、2分割されていて、互いに組み合わせることで、被覆圧着部9の後端部近傍を全周に渡って覆うように配置することができる。
なお、成形型19の内面の周方向には、図示を省略した複数の突起が形成され、当該突起が、被覆圧着部9または被覆部15の外周面と接触することで、被覆圧着部9に対する位置決めをすることができる。すなわち、成形型19の内面と被覆圧着部9又は被覆部15の外周面に対して、周方向に所定のクリアランスを形成することができる。
なお、クリアランスは、最終的な第2防食層17bの厚みに対応し、数μm~500μmで設定される。例えば、クリアランスを500μm程度とすれば、耐久性に優れる第2防食層17bを得ることができる。また、クリアランスを100μm程度とすれば、コンパクトであり、第2防食層17bとコネクタキャビティとの干渉を抑制することができる。
次に、図6(a)に示すように、成形型19の上部に設けられた充填口21より、成形型19の内部に防食材17を注入充填する(図中矢印I)。この際、防食材17の粘度は、例えば常温で数百mPa・s~数千mPa・sで、クリアランス等に応じて調整される。図5(a)に示すように、成形型19は、先後端が解放されていて塞がれていない。しかし、粘度とクリアランスを適正に設定することで、表面張力により、防食材17が、先後端の解放部分から流出することがない。
このように、成形型19への防食材17の充填時には、過剰な加圧は不要である。例えば、従来、金型を用いた端子への樹脂被覆層の形成の際には、10MPa程度の圧力で金型内へ樹脂が充填されるが、本発明では、あえて加圧せずに、防食材17の表面張力等によって塗布対象部の全面に防食材17を塗布する。このため、柔軟性のある成形型19を用いても、内圧による成形型19の膨張や変形、被覆部15の変形が抑制される。なお、クリアランスが数十μm以下である場合には、例えば、防食材17を加熱して、粘度を数十mPa・s~数百mPa・s程度として注入すればよい。
なお、成形型19を大きくして、第1防食層17aと第2防食層17bとを同時に形成してもよい。しかし、より小範囲である第2防食層17bのみを成形型19で成形することで、より確実に、加圧することなく表面張力等によって塗布対象部の全面に防食材17を塗布することができる。
次に、図6(b)に示すように、成形型19の外方から、光照射する。成形型19は、光透過性を有するため、防食材17が光硬化樹脂であれば、光照射により容易に内部の防食材17を硬化させることができる。なお、光照射は、後述する成形型19の離型後に再度行ってもよい。成形型19の離型後に光照射することで、成形型19を透過する際の光エネルギーの減衰がない状態で防食材17をより確実に硬化させることができる。
次に、図7(a)に示すように、成形型19を二つ割りにして離型する(図中矢印J)。この際、成形型19は離型性に優れているため、容易に離型することができる。なお、離型性が優れているとは、例えば、JIS K6850 「接着剤の引張せん断接着強さ試験方法」により、硬化後の防食材と成形型19の素材との接着強度が1MPa以下であることが望ましい。
図7(b)は、第2防食層17bが形成された状態を示す長手方向の断面図である。なお、本実施形態では、第1防食層17aを形成後に、第2防食層17bを形成したが、その逆でも良い。例えば、先に第2防食層17bを成形型19で形成後に、第1防食層17aをディスペンサによって形成することで、第2防食層17bを、第1防食層17aを形成する際に防食材17が後方に流れることを抑制する流れ止めとして機能させることができる。
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、成形型19を用いることで、安定した形状の第2防食層17bを容易に形成することができる。
また、成形型19が柔軟性であるため、離型等の作業が容易である。また、防食材17を加圧して注入しないため、柔軟性のある成形型19の内圧による変形もない。また、成形型19が光透過性を有するため、外部から容易に光を照射して防食材17を硬化させることができる。また、成形型19は、離型性が良好であるため、容易に離型することができる。
また、成形型19を用いるため、第2防食層17bの厚み精度よく形成することができる。また、第2防食層17bの厚みを、全周に渡って略均一に形成することができる。
なお、第2防食層17bは、全周に渡って均一な厚みでなくてもよい。例えば、図8(a)は、上部の厚みに対して下部の厚みの薄い第2防食層17bを示す図である。図に示した例では、被覆圧着部9の下面側において、第2防食層17bの厚みが極めて薄い。この場合には、被覆圧着部9の後端部における外面の周方向の一部が第2防食層17bで覆われずに露出してもよい。このようにすることで、第2防食層17bのコネクタキャビティに対する干渉を抑制することができる。
また、第2防食層17bの断面形状は、円形でなくてもよい。例えば、図8(b)に示すように、略矩形の断面であってもよい。なお、図示した例では、前述したのと同様に、第2防食層17bの下面の厚みを薄くしているが、上下の厚みを同一にしてもよい。このように、例えばコネクタキャビティの形状等に合わせて、第2防食層17bの断面形状を設定してもよい。
また、断面を略矩形にする際に、図8(c)に示すように、両端部の第2防食層17bの厚みを薄くしても良い。ハウジング等の幅方向の余裕がない場合には、このように第2防食層17bの幅を狭くして、両側の厚みを薄く(略0mm)してもよい。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した各構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
1………端子
3………端子本体
4………トランジション部
5………圧着部
7………導線圧着部
8………バレル間部
9………被覆圧着部
10………端子付き電線
11………被覆導線
13………導線
15………被覆部
17………防食材
17a………第1防食層
17b………第2防食層
19………成形型
21………充填口

Claims (5)

  1. 被覆導線と端子とが接続される端子付き電線であって、
    前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
    前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
    前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、
    少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が第1防食層で覆われており、
    前記被覆圧着部の後端面および前記被覆圧着部から露出する前記被覆部の全周と前記被覆圧着部の後端部における外周面の全周とが第2防食層で覆われており、前記第2防食層は、前記被覆部または前記端子に対するせん断接着強度が3MPa以上であり、かつ-40℃における引張破断伸びが50%以上であることを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記第2防食層は、光硬化樹脂であることを特徴とする請求項に記載の端子付き電線。
  3. 前記被覆圧着部の長手方向における前記第2防食層で覆われる前記外周面の被覆長は、端子の板厚以上、被覆圧着部の長さ以下である請求項1または2に記載の端子付き電線。
  4. 被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、
    前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
    前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
    前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、
    ディスペンサにより、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位を前記圧着部の下面にはみだすことがなく第1防食層で覆うとともに、前記被覆圧着部の後端面および前記被覆圧着部から露出する前記被覆部の全周と前記被覆圧着部の後端部における外周面の全周とを第2防食層で覆い、前記第2防食層を、前記被覆部または前記端子に対するせん断接着強度が3MPa以上とすることを特徴とする端子付き電線の製造方法。
  5. 被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、
    前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
    前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
    前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、
    少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位を前記圧着部の下面にはみだすことがなく第1防食層で覆うとともに、前記被覆圧着部の後端面および前記被覆圧着部から露出する前記被覆部の全周と前記被覆圧着部の後端部における外周面の全周とを第2防食層で覆い、該第2防食層を、前記被覆部または前記端子に対するせん断接着強度が3MPa以上とし、
    前記第2防食層を形成する際には、光透過性を有する離型性材料で作られた成形型を前記被覆圧着部の後端部と前記被覆圧着部から露出する前記被覆部にわたる部位にセットし、前記成形型の内側に防食材を充填し、光照射により防食材を硬化させ、前記成形型を離型することを特徴とする端子付き電線の製造方法。
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