JP7316045B2 - 収穫した農産物の貯蔵中及び出荷中の腐敗を低減させる方法 - Google Patents

収穫した農産物の貯蔵中及び出荷中の腐敗を低減させる方法 Download PDF

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    • A23V2002/00Food compositions, function of food ingredients or processes for food or foodstuffs

Description

(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2016年4月1日に出願された米国仮特許出願第62/316,741号に対する優先権を主張する。
[0002] 本開示は、農産物のような農業生産物を処理して、貯蔵中及び出荷中の腐敗を低減させるための配合物(formulation)に関する。
[0003] 生鮮農産物のような一般的な農業生産物は、環境に曝された場合に劣化及び分解(例えば腐敗)の影響を大変受けやすい可能性がある。農業生産物の劣化は、農業生産物の外表面から大気への蒸発による水分損失、及び/又は環境から農業生産物内に拡散する酸素による酸化、及び/又は表面に対する機械的損傷、及び/又は光によって誘起された劣化(すなわち光分解)の結果として、非生物的手段を介して発生し得る。更に、例えば細菌、菌類、ウイルス、及び/又は害虫のような生物ストレッサも、農業生産物に侵入し分解する可能性がある。
[0004] また、収穫農産物(例えば果実、野菜、ベリー等)は、消費される前に、長期間にわたって高密度で(すなわち、貯蔵容器の単位体積当たり大きい農産物総質量で)保存されることがある。従って、高品質の農産物を高密度の充填体積に維持しつつ、貯蔵中及び出荷中の質量/水分の損失を最小限に抑えながら、腐敗率を低下させる方法が望まれている。
[0005] 本明細書に記載される配合物及び方法は、水分又は質量の損失率を増大させることなく収穫農産物の貯蔵時間を延長させると共にその腐敗を低減し、結果として、より低い腐敗率で高品質の農産物を得るためのものである。本開示は、貯蔵中及び出荷中に農産物からの水分損失を防止するための保護コーティング及び農産物をコーティングするための方法を開示する。これによって、より低い相対湿度(例えば、出荷及び貯蔵の業界標準よりも低いか、又は約90%よりも低い相対湿度)で農産物を出荷及び貯蔵することが可能となり、これは、菌類、細菌、ウイルス、及び/又は害虫のような生物ストレッサの増殖を抑制又は遅延することに役立ち得る。
[0006] 一態様において、収穫した農産物の貯蔵中の腐敗を低減する方法は、農産物にコーティング剤を塗布して農産物の表面上にコーティングを形成することを含む。コーティング剤は、複数のモノマー、オリゴマー、低分子量ポリマー、脂肪酸、エステル、又はそれらの組み合わせを含む。方法は更に、農産物の貯蔵中に菌類の増殖を抑制するため充分に低い平均相対湿度レベルで農産物を貯蔵することを含む。コーティングは、平均相対湿度レベルにおいて農産物の質量損失率を低減させるように配合されている。
[0007] 別の態様において、収穫した農産物の貯蔵中の腐敗を低減する方法は、農産物を受け取ることを含み、農産物は表面上に配置されたコーティング剤でコーティングされ、コーティング剤は、モノマー、オリゴマー、低分子量ポリマー、脂肪酸、エステル、又はそれらの組み合わせを含む組成物から形成されている。方法は更に、農産物を平均相対湿度レベルで貯蔵することを含み、平均相対湿度レベルは農産物の貯蔵中に菌類の増殖を抑制するため充分に低い。コーティングは、平均相対湿度レベル以下の相対湿度レベルにおいて農産物の質量損失率を低減させるように配合されている。
[0008] 別の態様において、農産物を貯蔵する方法は、溶媒にコーティング剤を溶解して溶液を形成することと、溶液を農産物の表面に塗布することと、を含む。方法は更に、溶媒を少なくとも部分的に蒸発させて農産物上にコーティングを形成することと、約50%から約90%の範囲内の平均相対湿度レベルで農産物を閉鎖型容器内に貯蔵することと、を含む。
[0009] 別の態様において、農産物を貯蔵する方法は、農産物の表面にコーティング剤を塗布させることであって、コーティング剤は農産物の表面上にコーティングを形成するように配合されている、ことと、閉鎖型容器の外部の周囲湿度よりも高く、かつ90%未満の平均相対湿度レベルで、農産物を容器内に貯蔵することと、を含む。
[0010] 別の態様において、農産物を貯蔵する方法は、溶媒にコーティング剤を溶解して溶液を形成することと、溶液を農産物の表面に塗布することと、を含む。方法は更に、溶媒を少なくとも部分的に蒸発させて農産物上にコーティングを形成することと、約60%と約90%との間の平均相対湿度レベルで農産物を貯蔵させることと、を含む。
[0011] 別の態様において、農産物を貯蔵する方法は、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液を農産物の表面に塗布させることであって、コーティング剤は農産物の表面上にコーティングを形成するように配合されている、ことと、約55%から約90%の範囲内の平均相対湿度レベルで農産物を閉鎖型容器内に貯蔵させることと、を含む。更に、容器は、容器内の湿度レベルを平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む。
[0012] 別の態様において、農産物を貯蔵する方法は、表面上にコーティングが形成された農産物を受け取ることを含み、コーティングは、脂肪酸、エステル、モノマー、オリゴマー、及び低分子量ポリマーのうち少なくとも1つを含むコーティング剤から形成されている。方法は更に、約90%未満の平均相対湿度レベルで農産物を閉鎖型容器内に貯蔵することを含み、容器の内部体積の少なくとも20%に農産物が充填されている。
[0013] 本明細書に記載される方法及び配合物は各々、以下のステップ又は特徴のうち1つ以上を含むことができる。コーティングを形成することは、モノマー、オリゴマー、低分子量ポリマー、又はそれらの組み合わせを、例えば農産物の表面上で架橋させることを含み得る。例えば、コーティング剤の成分は架橋してコーティングを形成することができる。農産物は、容器内に(例えば約90%未満の相対湿度のような平均湿度レベルで)、少なくとも約1日間、少なくとも2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約15日間、少なくとも約20日間、少なくとも約25日間、少なくとも約30日間、少なくとも約35日間、少なくとも約40日間、少なくとも約45日間、少なくとも約50日間、少なくとも約55日間、少なくとも約60日間、約1~約120日間、約1~約110日間、約1~約100日間、約1~約90日間、約1~約80日間、約1~約70日間、約1~約60日間、約1~約50日間、約1~約40日間、約1~約30日間、約1~約25日間、約1~約20日間、約1~約15日間、約1~約10日間、約1~約5日間、約5~約120日間、約5~約110日間、約5~約100日間、約5~約90日間、約5~約80日間、約5~約70日間、約5~約60日間、約5~約50日間、約5~約40日間、約5~約30日間、約5~約25日間、約5~約20日間、約5~約15日間、約5~約10日間、約10~約120日間、約10~約110日間、約10~約100日間、約10~約90日間、約10~約80日間、約10~約70日間、約10~約60日間、約10~約50日間、約10~約40日間、約10~約30日間、約10~約25日間、約10~約20日間、約20~約120日間、約20~約110日間、約20~約100日間、約20~約90日間、約20~約80日間、約20~約70日間、約20~約60日間、約20~約50日間、約20~約40日間、又は約20~約30日間、貯蔵することができる。農産物を収容した容器は、(例えば農産物が貯蔵されている間に)輸送又は出荷することができる。例えば、農産物を含む容器は、第1のロケーションから第2のロケーションへ、更に任意選択的に第3のロケーション又は任意の数のロケーションへ輸送することができる。第1のロケーションから第2のロケーション等への輸送中、農産物を約90%未満(例えば90%未満)の相対湿度で貯蔵することができる。農産物は容器内に貯蔵することができ、容器の体積の少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%に農産物を充填することができる。農産物は容器内に貯蔵することができ、容器は、容器内の湿度レベルを平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含むことができる。
[0014] 農産物は容器内で貯蔵することができ、容器内の湿度レベルは容器の周りの周囲湿度とは異なる。容器内の湿度レベルは容器の周りの周囲湿度よりも高くすることができる。農産物は容器内に貯蔵することができ、容器は、例えば-4℃~8℃の範囲内のような所定の温度範囲内である容器内の温度を維持するように構成された湿度コントローラを含むことができる。
[0015] (例えば、本明細書に記載される組成物で農産物をコーティングした後に農産物を出荷するための)容器内の平均相対湿度レベルは、約90%以下とすることができる。(例えば、本明細書に記載される組成物で農産物をコーティングした後に農産物を出荷するための)容器内の平均相対湿度レベルは、農産物の貯蔵中に菌類の増殖を抑制するため充分に低くすることができる。容器内の平均相対湿度レベルは、農産物の出荷のための従来の業界標準未満とすることができる。
[0016] コーティング剤は、(例えば出荷中又は貯蔵中に)農産物からの水分損失を低減するように配合することができる。コーティング剤は、モノマー、オリゴマー、低分子量ポリマー、脂肪酸、及びエステルのうち少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティング剤はモノアシルグリセリドを含む。コーティングは更に、農産物のかび発生を防止するように機能できる。コーティングは更に、農産物における細菌の増殖を防止するように機能できる。コーティングは農産物のクチクラ層上に形成することができる。
[0017] 本明細書に記載される組成物及び配合物は、下記の化学式I、化学式I-A、及び/又は化学式I-Bの化合物を含むことができる。組成物又は配合物における化学式I-Aの化合物に対する化学式I-Bの化合物の質量比は、0.1~1.0の範囲内又は0.2~0.7の範囲内とすることができる。溶媒にコーティング剤を溶解して溶液を形成し、この溶液を農産物の表面に塗布し、溶媒の少なくとも一部を蒸発させることによって、農産物上にコーティングを形成することができる。溶媒は、エタノール及び水のうち少なくとも1つを含むことができる。本開示の組成物でコーティングした農産物の出荷のための平均相対湿度レベルは、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、又は約5%未満とすることができる。平均相対湿度レベルは、約55%~約90%、約60%~約85%、約65%~約80%、又は約65%~約75%の範囲内とすることができる。
[0018] 方法は更に、約-4℃~約8℃、約-2℃~約8℃、約-2℃~約6℃、又は約-1℃~約8℃の温度範囲で農産物を貯蔵することを含むことができる。保護コーティングは約0.1ミクロンを超える厚さ有することができる。保護コーティングは約1ミクロン未満の厚さを有することができる。保護コーティングは可視範囲の光に対して少なくとも約60%の平均透過率を有することができる。コーティングは人の目では実質的に検出不可能であり得る、及び/又は実質的に無臭又は無味であり得る。農産物は、容器内に平均相対湿度レベルで少なくとも20日間(例えば少なくとも約25日間、少なくとも約30日間、約20~約60日間)貯蔵することができ、方法は、少なくとも20日間(又は少なくとも約25日間、少なくとも約30日間、約20~約60日間)の後に容器から農産物を取り出すことを更に含むことができる。農産物は、容器内に配置された際に第1の質量を有すると共に容器から取り出された時に第2の質量を有し、第2の質量は第1の質量の約30%以内である(例えば約28%以内、約26%以内、約25%以内、約24%以内、約23%以内、約22%以内、約21%以内、又は約20%以内)。
[0019] 本明細書において使用する場合、「相対湿度」(又は「RH」)という用語は、空気中に存在する水蒸気の分圧を、同一温度における平衡蒸気圧(すなわち飽和に必要な水蒸気の分圧)に対して百分率で表した比として定義される。
[0020] 本明細書において使用する場合、「約」及び「ほぼ」という用語は概ね、示された値のプラス又はマイナス2%を意味する。例えば、約50%の相対湿度は49%~51%までの相対湿度を含む。温度について、「約」及び「ほぼ」という用語は概ね、示された絶対温度(ケルビンで測定される)のプラス又はマイナス1%を意味する。例えば、約10℃(283.15K)は7.17℃~12.83℃(280.32K~285.98K)までを含む。
[0021] 本明細書において使用する場合、「コーティング」又は「保護コーティング」は、1個の農産物のような農業生産物の表面に配置されてこの表面を実質的に覆っているモノマー、オリゴマー、低分子量ポリマー、又はそれらの組み合わせの層を意味すると理解される。モノマー、オリゴマー、低分子量ポリマー、又はそれらの組み合わせは、例えば下記の化学式I、化学式I-A、及び/又は化学式I-Bのものとすることができる。
[0022] 本明細書において使用する場合、「第1の相対湿度」又は「第1の相対湿度レベル」は、農産物の貯蔵又は出荷のための業界標準の相対湿度レベルとして理解することができる。いくつかの実施形態において、第1の湿度レベルは周囲(例えば大気)湿度よりも高くすることができる。例えば第1の湿度レベルは、約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、又は約85%の相対湿度とすることができる。いくつかの実施形態では、農産物を約80%~95%の相対湿度で出荷又は貯蔵するのが慣習となっている(例えば業界標準)。いくつかの実施形態では、農産物からの著しい水分損失を防止又は軽減するため、第1の湿度は比較的高いレベルに維持される。しかしながら、本明細書において説明するように、高い「第1の湿度」は、農産物の望ましくない腐敗を招き得る菌類及び細菌のような生物ストレッサの増殖を許すと共に促進する恐れがある。
[0023] 本明細書において使用する場合、「コーティング剤」は、(例えばコーティング剤が分散している溶媒を除去した後に)基質の表面をコーティングして農産物の表面上にコーティング(例えば保護コーティング)を形成するために使用できる化学配合物を指す。コーティング剤は1つ以上のコーティング成分を含むことができる。例えばコーティング成分は、化学式I、化学式I-A、及び/又は化学式I-Bの化合物、又は化学式I、化学式I-A、及び/又は化学式I-Bの化合物のモノマーもしくはオリゴマーとすることができる。また、コーティング成分は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩(無機及び有機)、又はそれらの組み合わせも含むことができる。
[0024] コーティング剤は、複数のモノマー、オリゴマー、脂肪酸、エステル、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩、又はそれらの組み合わせを含むことができる。コーティング剤が分散している溶媒は、水及び/又はアルコールを含み得る。コーティング剤が分散している溶媒は、殺菌剤を含むか又は殺菌剤で形成することができる。例えば溶媒は、エタノール、メタノール、アセトン、イソプロパノール、又は酢酸エチルを含むことができる。農産物又は食用生産物を殺菌すると、農産物又は食用生産物における菌類の増殖率の低下、又は菌類の増殖前の農産物又は食用生産物の貯蔵寿命の延長が可能となる。
[0025] 「アルキル」という用語は、直鎖又は分枝飽和炭化水素を指す。C~Cアルキル基は、1~6個の炭素原子を含む。C~Cアルキル基の例には、限定ではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル、イソペンチル、及びネオペンチルが含まれる。
[0026] 「アルケニル」という用語は、炭素-炭素二重結合を含み、鎖内に約2個から約6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝であり得る脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルケニル基は鎖内に2個から約4個の炭素原子を有する。分枝は、メチル、エチル、又はプロピルのような1つ以上の低級アルキル基が直鎖状のアルケニル鎖に結合されることを意味する。例示的なアルケニル基は、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、及びi-ブテニルを含む。C~Cアルケニル基は、2個から6個の炭素原子を含むアルケニル基である。本明細書で定義されるように、「アルケニル」という用語は、「E」及び「Z」の双方、又は「シス」及び「トランス」二重結合の双方を含むことができる。
[0027] 「アルキニル」という用語は、炭素-炭素三重結合を含み、鎖内に約2個から約6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝であり得る脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキニル基は鎖内に2個から約4個の炭素原子を有する。分枝は、メチル、エチル、又はプロピルのような1つ以上の低級アルキル基が直鎖状のアルキニル鎖に結合されることを意味する。例示的なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニル、及びn-ペンチニルを含む。C~Cアルキニル基は、2個から6個の炭素原子を含むアルキニル基である。
[0028] 「シクロアルキル」という用語は、3~18個の炭素原子を含む単環又は多環飽和炭素環を意味する。シクロアルキル基の例には、限定ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプタニル、シクロオクタニル、ノルボラニル(norboranyl)、ノルボレニル(norborenyl)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、又はビシクロ[2.2.2]オクテニルが含まれる。C~Cシクロアルキルは、3個から8個の炭素原子を含むシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、融合(fused)(例えばデカリン)又は架橋(例えばノルボルナン)することができる。
[0029] 「アリール」という用語は、1~2つの芳香環を有する環状芳香族炭化水素基を指し、フェニル、ビフェニル、又はナフチルのような単環又は二環の基を含む。2つの芳香環を含む場合(二環等)、アリール基の芳香環は単一ポイントで結び付く(例えばビフェニル)か、又は融合する(例えばナフチル)ことができる。アリール基は任意選択的に、結合の任意のポイントで、例えば1~5つの置換基のような1つ以上の置換基によって置換され得る。
[0030] 「ヘテロアリール」という用語は、5~12の環原子の一価の単環もしくは二環芳香族ラジカル又は多環芳香族ラジカルを意味し、N、O、又はSから選択された1つ以上の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子はCである。また、本明細書で定義されるヘテロアリールは、1又は複数のヘテロ原子がN、O、又はSから選択される二環ヘテロ芳香族基を意味する。芳香族ラジカルは任意選択的に、本明細書に記載される1つ以上の置換基によって独立に置換される。
[0031] 本明細書において使用する場合、「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
[0032] 全体を通して以下の略語が用いられる。ヘキサデカン酸(すなわちパルミチン酸)はPAと省略される。オクタデカン酸(すなわちステアリン酸)はSAと省略される。テトラデカン酸(すなわちミリスチン酸)はMAと省略される。(9Z)-オクタデセン酸(すなわちオレイン酸)はOAと省略される。1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルパルミテート(すなわち2-グリセロパルミテート(glycero palmitate))はPA-2Gと省略される。1,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート(すなわち2-グリセロステアレート(glycero stearate))はSA-2Gと省略される。1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカン酸(すなわち2-グリセロミリステート(glycero myristate))はMA-2Gと省略される。1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル(9Z)-オクタデセノアート(すなわち2-グリセロオレアート(glycero oleate))はOA-2Gと省略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルパルミテート(すなわち1-グリセロパルミテート)はPA-1Gと省略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート(すなわち1-グリセロステアレート)はSA-1Gと省略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカノアート(すなわち1-グリセロミリステート)はMA-1Gと省略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル(9Z)-オクタデセノアート(すなわち1-グリセロオレアート)はOA-1Gと省略される。ヘキサデカン酸エチル(すなわちパルミチン酸エチル)はEtPAと省略される。
[0033] 一実施形態に従った、農産物をコーティング剤でコーティングすることによって農産物の腐敗を低減するためのプロセスを表すフローチャートを示す。 [0034] 上部に傷をつけた場合の、様々な相対湿度で貯蔵したブルーベリーの群内のかび発生率のプロットである。 [0035] 下部に傷をつけた場合の、様々な相対湿度で貯蔵したブルーベリーの群内のかび発生率のプロットである。 [0036] 様々な相対湿度で貯蔵した傷のないブルーベリーの群内のかび発生率のプロットである。 [0037] 本明細書に記載される化合物で形成したコーティングを用いた場合と用いない場合の双方のレモンの高解像度低速度(time-lapse)写真を示す。 [0038] 本明細書に記載される化合物でコーティングしたレモン及びこの化合物を用いなかったレモンの断面積を時間の関数として示す正規化プロットである。 [0039] コーティングなしのイチゴ及びC16グリセロールエステルを含むコーティング剤でコーティングしたイチゴの平均質量損失率のプロットである。 [0040] 本明細書に記載される化合物で形成したコーティングを用いた場合と用いない場合の双方のイチゴの高解像度低速度写真を示す。 [0041] 本明細書に記載される化合物で形成したコーティングを用いた場合と用いない場合のブルーベリーの質量損失百分率を時間の関数として示すプロットである。 [0042] 本明細書に記載される化合物で形成したコーティングを用いた場合と用いない場合の双方のブルーベリーの5日後の高解像度低速度写真を示す。 [0043] 本明細書に記載される化合物で形成したコーティングを用いた場合と用いない場合の、様々な相対湿度レベルで貯蔵した、消毒したブルーベリーの平均質量損失率を表す棒グラフを示す。 [0044] 本明細書に記載される化合物で形成したコーティングを用いた場合と用いない場合の、様々な相対湿度レベルで貯蔵した、消毒していないブルーベリーの平均質量損失率を表す棒グラフを示す。 [0045] 周囲温度及び75%相対湿度で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率のプロットを示す。 [0046] 周囲温度及び85%相対湿度で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率のプロットを示す。 [0047] 周囲温度及び100%相対湿度で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率のプロットを示す。 [0048] 2℃及び75%相対湿度で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率のプロットを示す。 [0049] 2℃及び85%相対湿度で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率のプロットを示す。 [0050] 2℃度及び100%相対湿度で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率のプロットを示す。 [0051] パルミチン酸の1-グリセロールエステル及び2-グリセロールエステルでコーティングしたフィンガライムの1日当たりの質量損失率のプロットを示す。 [0052] パルミチン酸の2-グリセロールエステル、並びにミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸の1-グリセロールエステルで形成されたコーティングでコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示す。 [0053] パルミチン酸の2-グリセロールエステル及び脂肪酸添加物で形成されたコーティングでコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示し、脂肪酸添加物はミリスチン酸、パルミチン酸、又はステアリン酸である。 [0054] パルミチン酸エチル及びオレイン酸と組み合わせたパルミチン酸の2-グリセロールエステルを含む組成物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示し、更に、脂肪酸添加物と組み合わせたステアリン酸の1-グリセロールエステルを含む組成物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示し、脂肪酸添加物はミリスチン酸、パルミチン酸、又はステアリン酸である。 [0055] ミリスチン酸、パルミチン酸、又はステアリン酸と様々に組み合わせたミリスチン酸、パルミチン酸、又はステアリン酸の1-グリセロールエステルでコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示す。 [0056] ミリスチン酸、パルミチン酸、又はステアリン酸の1-グリセロールエステルの様々な混合物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示す。 [0057] パルミチン酸、パルミチン酸の2-グリセロールエステル、及びステアリン酸の1-グリセロールエステルの組み合わせを含む混合物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示す。 [0058] パルミチン酸、オレイン酸、及びステアリン酸の1-グリセロールエステルの組み合わせを含む混合物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数のプロットを示す。 [0059] 湿度コントローラ及び温度コントローラを備えた貯蔵容器のブロック図である。
[0060] 収穫の後、例えば過剰生産のために又は出荷中に貯蔵される農産物及びその他の農業生産物(例えば果実、野菜、根菜、塊茎、花)は、典型的に、貯蔵箱、容器、又はガス置換包装(MAP:modified atmospheric packaging)内で高密度に詰め込まれ、高い平均相対湿度(RH:relative humidity)レベル(例えば90%平均相対湿度よりも高い)に維持される。高い相対湿度レベルは農業生産物の経時的な質量及び水分の損失率を低減し、これによって、農業生産物が貯蔵及び/又は出荷後に販売される際に許容可能な高い品質を保つと共に、販売時に所望の農産物質量を提供するため販売人及び荷送人が容器に過剰に詰め込む必要性をなくす。しかしながら、そのような高い湿度条件は、かび、菌類、及び細菌のような病原体の増殖を促進する可能性がある。こういった効果は、特に高いパッキング密度では悪化し、結果として高い腐敗率が生じる恐れがある。
[0061] 以下の表3は、生果実及び生野菜の長期貯蔵のための推奨相対湿度を含む推奨条件を編集したものである。ほとんどの種類の農産物の推奨貯蔵条件は、貯蔵中の農産物からの質量損失の防止と、収穫後病原体の増殖リスクの最小化との間の妥協を示している。具体的には、ほとんどの農産物品目は、貯蔵中の質量損失を最小限に抑えるため、ほぼ飽和した環境(例えばパッケージ内の相対湿度が少なくとも95%)が有効である。しかしながら、そのような高いRHレベルは、菌類及びその他の収穫後病原体(例えばかび、細菌)の増殖リスクが深刻である環境を生じ得る。これは、農産物の表面上もしくは農産物が貯蔵されるパッケージング内で凝縮が形成される場合、又は、高いパッキング密度又は農産物の取扱いに起因して農産物が表面に損傷を生じる場合は特に当てはまる。更に、貯蔵又は出荷容器全体にわたって相対湿度をそのような高いレベルに精密に制御することは極めて難しい可能性があるので、局所的なRHのばらつきが更に凝縮形成のリスクを悪化させる恐れがある。このため、高品質の農産物を維持しつつ、貯蔵中及び出荷中の質量/水分の損失を最小限に抑えながら、腐敗率を低下させる改良された方法が望まれている。
[0062] 水分又は質量の損失率を増大させることなく収穫農産物及びその他の農業生産物の腐敗を低減させ、これにより質量損失の低減と腐敗率低下の双方を達成して高品質の農産物を得る方法が、本明細書において記載される。農産物を貯蔵/出荷容器に詰め込む前に、農産物の表面に保護コーティングを形成し、これが以下で更に記載されるように水分移動に対するバリアとして機能する。農産物が低い平均相対湿度レベルに維持される場合であっても(例えば、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、もしくは約5%未満の相対湿度、又は、約40%~約90%、約45%~約90%、約50%~約90%、約55%~約90%、約60%~約90%、約65%~約90%、約70%~約90%、約75%~約90%、約80%~約90%、約40%~約85%、約45%~約85%、約50%~約85%、約55%~約85%、約60%~約85%、約65%~約85%、約70%~約85%、約75%~約85%、約80%~約85%、約40%~約80%、約45%~約80%、約50%~約80%、約55%~約80%、約60%~約80%、約65%~約80%、約70%~約80%、約40%~約75%、約45%~約75%、約50%~約75%、約55%~約75%、約60%~約75%、もしくは約65%~約75%の相対湿度の範囲)、保護コーティングは、農産物の質量損失率を低下させるように機能する。農産物はこの後、貯蔵/出荷中に、低い平均RHレベルに維持される(例えば、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、もしくは約5%未満の相対湿度、又は、約40%~約90%、約45%~約90%、約50%~約90%、約55%~約90%、約60%~約90%、約65%~約90%、約70%~約90%、約75%~約90%、約80%~約90%、約40%~約85%、約45%~約85%、約50%~約85%、約55%~約85%、約60%~約85%、約65%~約85%、約70%~約85%、約75%~約85%、約80%~約85%、約40%~約80%、約45%~約80%、約50%~約80%、約55%~約80%、約60%~約80%、約65%~約80%、約70%~約80%、約40%~約75%、約45%~約75%、約50%~約75%、約55%~約75%、約60%~約75%、もしくは約65%~約75%の相対湿度の範囲)。貯蔵及び/又は出荷中の低い相対湿度レベルによって、腐敗率(例えば生物ストレッサによって生じる腐敗)の低下を得ることができ、一方で保護コーティングは、低い相対湿度レベルにおいて水分及び質量の高い損失率を防止し、場合によっては、より高い平均相対湿度で貯蔵されるコーティングされていない農産物に比べて水分及び質量の損失を低減することができる。このように、貯蔵された農産物の品質を維持すると同時に、質量/水分の損失を最小限に抑え、腐敗率を低減することができる。
[0063] 図1は、貯蔵のために農産物を調製し、その後、質量/水分の損失を最小限に抑えると同時に腐敗率を低減させるように農産物を貯蔵するためのプロセス100を示す。最初に、溶媒(例えばエタノール、メタノール、アセトン、イソプロパノール、酢酸エチル、水、又はそれらの組み合わせ)に、コーティング剤(例えばモノマーユニット及び/又はオリゴマーユニット及び/又はポリマーユニット)の固体混合物を溶解して、溶液を形成する(ステップ102)。溶媒中のコーティング剤の濃度は、例えば約0.1~200mg/mLの範囲内とすることができる。次に、コーティング剤を含む溶液を、農産物又はその他のコーティング対象の農業生産物にスプレーコーティングすることで、又は農産物又は農業生産物を溶液中に浸すことで、農産物又は農業生産物の表面に塗布する(ステップ104)。スプレーコーティングの場合、例えば細かい霧状噴射を発生するスプレーボトルに溶液を入れることができる。次いで、スプレーボトルヘッドを農産物/農業生産物から約3~12インチに保持し、農産物/農業生産物にスプレーすることができる。ディップコーティングの場合、農産物/農業生産物を例えば袋に入れ、コーティング剤を含む溶液を袋の中に流し込み、次いで袋を密閉し、農産物/農業生産物の全表面が濡れるまで袋の内容物をかき混ぜるか又は攪拌することができる。溶液を農産物/農業生産物に塗布した後、溶媒が少なくとも部分的に蒸発するまで農産物/農業生産物を乾燥させ、これによって、コーティング剤の構成物質(例えばモノマーユニット及び/又はオリゴマーユニット及び/又はポリマーユニット)から成る保護コーティングを農産物/農業生産物の表面に形成することができる(ステップ106)。最後に、充分に低い水分/質量損失率に対応するため必要であるよりも低い相対湿度(例えば、90%未満又は約90%未満の平均相対湿度レベル)で、コーティングされた農産物/農業生産物を貯蔵する。
[0064] ここで、プロセス100(図1)のプロセスステップ102、104、106、及び108、並びに関連する処理剤とそれによって得られるコーティングについて、更に詳しく記載する。溶媒に溶解するコーティング剤(ステップ102)は、複数のモノマー、オリゴマー、ポリマー、脂肪酸、エステル、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、アミド、アミン、チオール、チオエステル、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩(無機及び有機)、酸、塩基、タンパク、酵素、又はそれらの組み合わせを含むことができる(例えば図I、I-A、及び/又はI-B)。モノマー、オリゴマー、ポリマー、脂肪酸、エステル、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、アミド、アミン、チオール、チオエステル、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩(無機及び有機)、酸、塩基、タンパク、酵素、又はそれらの組み合わせの特定の組成物は、それによって農業生産物上に形成されるコーティング(ステップ106)が農産物のクチクラ層を模倣するか又は強化するように配合することができる。生体ポリエステルクチン(biopolyester cutin)は、ほとんどの陸生植物の空中の表面を構成するクチクラの主要構造成分を形成する。クチンは、重合モノヒドロキシ及び/又はポリヒドロキシ脂肪酸及びエステルの混合物、並びに埋め込まれたクチクラワックスから形成される。クチクラ層のヒドロキシ脂肪酸及びエステルは、高い架橋密度で強固に結合されたネットワークを形成することにより、水分損失及び酸化に対するバリアとして作用すると共に、他の環境ストレッサに対する保護を与える。
[0065] コーティング剤が構成されるモノマー、オリゴマー、ポリマー、脂肪酸、エステル、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、アミド、アミン、チオール、チオエステル、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩(無機及び有機)、酸、塩基、タンパク、酵素、又はそれらの組み合わせは、植物から、特に植物から得られるクチンから抽出又は誘導することができる。典型的に、植物の一部は、クチンを含有する及び/又は高密度のクチンを有し(例えば果物の皮、葉、芽等)、他の部分は、クチンを含有しない及び/又は低密度のクチンを有する(例えば生果実、種子等)。クチン含有部分は、モノマーユニット及び/又はオリゴマーユニット及び/又はポリマーユニットから形成され得る。これらは後に、農業生産物の表面にコーティングを形成するための本明細書に記載される配合物において利用される。また、クチン含有部分は、非ヒドロキシ脂肪酸及びエステル、タンパク、多糖、フェノール、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカン、及びアルデヒドのような他の構成物質も含むことができ、これらは、配合物に含めるか又は省略することが可能である。
[0066] モノマー、オリゴマー、ポリマー、又はそれらの組み合わせは、最初に、コーティング剤に望ましい分子を含む植物の部分を、所望の分子を含まない部分から分離する(又は少なくとも部分的に分離する)ことによって取得される。例えば、コーティング剤組成物の原料としてクチンを利用する場合、植物のクチン含有部分をクチン非含有部分から分離(又は少なくとも部分的に分離)し、クチン含有部分からクチンを取得する(例えば、クチン含有部分が果実の皮である場合、その皮からクチンを分離する)。次いで、複数の脂肪酸又はエステル化クチンモノマー、オリゴマー、ポリマー(例えば低分子量ポリマー)、又はそれらの組み合わせを含む混合物を取得するため、植物の取得した部分(例えばクチン)を脱重合(又は少なくとも部分的に脱重合)する。クチン由来のモノマー、オリゴマー、ポリマー、又はそれらの組み合わせは、溶媒に直接溶解して、コーティングの形成に使用される溶液を形成するか、あるいは、最初に活性化又は化学的に修飾する(例えば官能化する)ことができる。化学的な修飾又は活性化は、例えば、モノマー、オリゴマー、ポリマー、又はそれらの組み合わせのグリセラート(glycerate)によって、1-モノアシルグリセリド(monoacylglyceride)及び/又は2-モノアシルグリセリドの混合物を形成することを含み得る。1-モノアシルグリセリド及び/又は2-モノアシルグリセリドの混合物を溶媒に溶解して溶液を形成し、これによって、保護コーティングを調製するために図1のステップ102で形成される配合物が得られる。
[0067] いくつかの実施において、コーティング剤は、脂肪酸、エステル、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、アミド、アミン、チオール、チオエステル、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩(無機及び有機)、酸、塩基、タンパク、酵素、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施において、コーティング剤は、2016年9月15日に出願された「Precursor Compounds for Molecular Coatings」と題する米国特許出願第15/330,403号(US2017/0073532号として公開されている)に記載されたものと実質的に同様又は同一であり得る。この開示は参照により全体が本願に含まれる。例えばコーティング剤は化学式Iの化合物を含み得る。
ここで、Rは、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールから選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールは、任意選択的に1以上のC~Cアルキル又はヒドロキシで置換され、
、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールは、任意選択的に-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、あるいは、
及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、及び/又は、
及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、
14及びR15は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、又は-C~Cアルキニルであり、
記号
は、任意選択的に、単結合又はシス又はトランス二重結合を表し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
mは、0、1、2、又は3であり、
qは、0、1、2、3、4、又は5であり、
rは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8である。
[0068] いくつかの実施形態において、Rは、-H、-CH、又は-CHCHである。
[0069] いくつかの実施において、コーティング剤は、モノアシルグリセリド(例えば1-モノアシルグリセリド及び/又は2-モノアシルグリセリド)エステル及び/又はモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はそれらで形成された低分子量ポリマーを含む。1-モノアシルグリセリドと2-モノアシルグリセリドとの差は、グリセロールエステルの接続点である。従って、いくつかの実施形態では、コーティング剤は化学式I-Aの化合物(例えば2-モノアシルグリセリド)を含む。
ここで、各Rは独立に、-H又は-C~Cアルキルであり、
各Rは独立に、-H、-C~Cアルキル、又は-OHから選択され、
、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、あるいは、
及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、及び/又は、
及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、
14及びR15は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、又は-C~Cアルキニルであり、
記号
は、任意選択的に、単結合又はシス又はトランス二重結合を表し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
mは、0、1、2、又は3であり、
qは、0、1、2、3、4、又は5であり、
rは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8である。
[0070] いくつかの実施形態では、コーティング剤は化学式I-Bの化合物(例えば1-モノアシルグリセリド)を含む。
ここで、各Rは独立に、-H又は-C~Cアルキルであり、
各Rは独立に、-H、-C~Cアルキル、又は-OHから選択され、
、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘトロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、あるいは、
及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、及び/又は、
及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、
14及びR15は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、又は-C~Cアルキニルであり、
記号
は、任意選択的に、単結合又はシス又はトランス二重結合を表し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
mは、0、1、2、又は3であり、
qは、0、1、2、3、4、又は5であり、
rは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8である。
[0071] いくつかの実施形態において、コーティング剤は以下の脂肪酸化合物のうち1つ以上を含む。
[0072] いくつかの実施形態において、コーティング剤は以下のメチルエステル化合物のうち1つ以上を含む。
[0073] いくつかの実施形態において、コーティング剤は以下のエチルエステル化合物のうち1つ以上を含む。
[0074] いくつかの実施形態において、コーティング剤は以下の2-グリセロールエステル化合物のうち1つ以上を含む。
[0075] いくつかの実施形態において、コーティング剤は以下の1-グリセロールエステル化合物のうち1つ以上を含む。
[0076] いくつかの実施形態において、コーティング剤は少なくとも2つの異なる化合物の組み合わせで形成される。例えばコーティング剤は、化学式I-Aの化合物と添加物を含み得る。添加物は、例えば、化学式I-Bの飽和又は不飽和化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、エチルエステル、又は化学式I-Aの(第1の)化合物とは異なる(例えば異なる長さの炭素鎖を有する)化学式I-Aの第2の化合物を含むことができる。化学式I-Aの化合物は、コーティング剤の質量の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%を構成し得る。化学式I-Aの化合物と添加物を合わせた質量は、コーティング剤の全質量の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%であり得る。コーティング剤中の化学式I-Aの化合物に対する添加物のモル比は、約0.1~約5の範囲内であり、例えば約0.1~約4、約0.1~約3、約0.1~約2、約0.1~約1、約0.1~約0.9、約0.1~約0.8、約0.1~約0.7、約0.1~約0.6、約0.1~約0.5、約0.15~約5、約0.15~約4、約0.15~約3、約0.15~約2、約0.15~約1、約0.15~約0.9、約0.15~約0.8、約0.15~約0.7、約0.15~約0.6、約0.15~約0.5、約0.2~約5、約0.2~約4、約0.2~約3、約0.2~約2、約0.2~約1、約0.2~約0.9、約0.2~約0.8、約0.2~約0.7、約0.2~約0.6、約0.2~約0.5、約0.3~約5、約0.3~約4、約0.3~約3、約0.3~約2、約0.3~約1、約0.3~約0.9、約0.3~約0.8、約0.3~約0.7、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約1~約5、約1~約4、約1~約3、又は約1~約2の範囲内である。コーティング剤は、例えば化学式I-Aの化合物と以下の表1にリスト化した添加物の組み合わせのうち1つから形成することができる。
[0077]
[0078] いくつかの実施形態において、コーティング剤は、以下の表2にリスト化した化合物の組み合わせのうち1つから形成される。
[0079]
[0080] 上記の表2で見られるように、コーティング剤は第1の成分と第2の成分を含むことができ、第1の成分は化学式I-Bの化合物であり、第2の成分は、脂肪酸、又は化学式I-Bの(第1の)化合物とは異なる化学式I-Bの第2の化合物である。化学式I-Bの化合物は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%を構成し得る。第1の化合物と第2の化合物を合わせた質量は、コーティング剤の全質量の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%であり得る。
[0081] ここでプロセス100(図1)のステップ104及び106を参照すると、コーティング剤を溶媒に溶解して溶液を形成した後、1つの農産物又は他の農業生産物の表面に保護コーティングを形成するため、その表面に溶液を塗布する。保護コーティングはコーティング剤の構成物質から形成される。前述のように、農産物又は農業生産物を溶液中に浸すことで、又はその表面に溶液をスプレーすることで、表面に溶液を塗布することができる。次いで、例えば溶媒を蒸発させるか又は少なくとも部分的に蒸発させることによって、農産物又は農業生産物の表面から溶媒を除去する。いくつかの実施形態では、農産物の表面から溶媒を少なくとも部分的に除去する行為は、農産物の表面から溶媒の少なくとも90%を除去することを含み得る。溶媒が除去される(例えば蒸発する)と、コーティング剤は農産物又は農業生産物の表面上で再び固化して表面上に保護コーティングを形成する。場合によっては、表面から溶媒が除去される間、コーティングが形成される際にコーティング剤のモノマー、オリゴマー、ポリマー(例えば低分子量ポリマー)、又はそれらの組み合わせが架橋する。これによって得られた保護コーティングは、農産物又は農業生産物からの水分損失及び/又はそれらの酸化に対するバリアとして機能できると共に、農産物又は農業生産物を生物及び非生物ストレッサから保護することができる。
[0082] コーティング剤の特定の組成物、溶媒の特定の組成物、溶媒中のコーティング剤の濃度、及びコーティング堆積プロセスの条件(例えば、溶媒を除去する前に農産物又は農業生産物の表面に溶液を塗布する時間量、堆積プロセス中の温度、スプレーヘッドとサンプルとの間の離間距離、及びスプレー角度)を調整することによって、コーティングの厚さ、モノマー/オリゴマー/ポリマーの架橋密度、及び透過性のような特性を変動させることで、特定の農業生産物に適したものとすることができる。例えば、塗布時間が短すぎると、結果として形成される保護コーティングが薄すぎる可能性があるが、塗布時間が長すぎると、結果として農産物又は農業生産物が溶媒による損傷を受ける可能性がある。従って、農産物又は農業生産物の表面に対する溶液の塗布は、約1~約3,600秒の間とすることができ、例えば1~3000秒の間、1~2000秒の間、1~1000秒の間、1~800秒の間、1~600秒の間、1~500秒の間、1~400秒の間、1~300秒の間、1~250秒の間、1~200秒の間、1~150秒の間、1~125秒の間、1~100秒の間、1~80秒の間、1~60秒の間、1~50秒の間、1~40秒の間、1~30秒の間、1~20秒の間、1~10秒の間、約5~約3000秒の間、約5~約2000秒の間、約5~約1000秒の間、約5~約800秒の間、約5~約600秒の間、約5~約500秒の間、約5~約400秒の間、約5~約300秒の間、約5~約250秒の間、約5~約200秒の間、約5~約150秒の間、約5~約125秒の間、約5~約100秒の間、約5~約80秒の間、約5~約60秒の間、約5~約50秒の間、約5~約40秒の間、約5~約30秒の間、約5~約20秒の間、約5~約10秒の間、約10~約3000秒の間、約10~約2000秒の間、約10~約1000秒の間、約10~約800秒の間、約10~約600秒の間、約10~約500秒の間、約10~約400秒の間、約10~約300秒の間、約10~約250秒の間、約10~約200秒の間、約10~約150秒の間、約10~約125秒の間、約10~約100秒の間、約10~約80秒の間、約10~約60秒の間、約10~約50秒の間、約10~約40秒の間、約10~約30秒の間、約10~約20秒の間、約20~約100秒の間、約100~約3,000秒の間、又は約500~約2,000秒の間である。
[0083] 更に、溶媒中のコーティング剤の濃度は、例えば0.1~200mg/mL、又は約0.1~約200mg/mLの範囲内とすることができ、例えば、約0.1~約100mg/mL、約0.1~約75mg/mL、約0.1~約50mg/mL、約0.1~約30mg/mL、約0.1~約20mg/mL、約0.5~約200mg/mL、約0.5~約100mg/mL、約0.5~約75mg/mL、約0.5~約50mg/mL、約0.5~約30mg/mL、約0.5~約20mg/mL、1~200mg/mL、1~100mg/mL、1~75mg/mL、1~50mg/mL、1~30mg/mL、約1~約20mg/mL、約5~約200mg/mL、約5~約100mg/mL、約5~約75mg/mL、約5~約50mg/mL、約5~約30mg/mL、又は約5~約20mg/mLの範囲である。
[0084] 本明細書に記載されるコーティング剤から形成される保護コーティングは、可食性コーティングとすることができる。保護コーティングは、人の目では実質的に検知不可能とすることができ、無臭及び/又は無味とすることができる。保護コーティングの平均厚さは約0.1ミクロン~約300ミクロンの範囲内とすることができ、例えば約0.5ミクロン~約100ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、約0.1ミクロン~約1ミクロン、約0.1ミクロン~約2ミクロン、約0.1ミクロン~約5ミクロン、又は約0.1ミクロン~約10ミクロンの範囲内である。いくつかの実施において、保護コーティングは全体的に有機性である(例えば、化学的性質の意味でなく農業的な意味で有機性である)。いくつかの実施形態において、農産物は皮の薄い果物又は野菜である。例えば農産物はベリー又はブドウとすることができる。いくつかの実施形態では、農産物はカットした果物の表面を含み得る(例えばカットしたリンゴの表面)。
[0085] 本明細書に記載されるコーティング剤から形成される保護コーティングは、多くの目的を果たし得る。例えば保護コーティングは、冷蔵庫がない場合であっても、農産物又は農業生産物の品質保持期間を延長することができる。更に、農産物及び他の農業生産物は、高い相対湿度レベルに比べ、低い相対湿度レベル(例えば90%未満の相対湿度)で維持された場合、低い相対湿度レベルでは水分蒸発の推進力が増大することから、(水分損失のために)高率で質量を失う傾向がある。このため保護コーティングは、低い相対湿度レベルであっても農産物又は農業生産物の質量損失率を低減するように配合することができる。例えば保護コーティングは、第1の相対湿度レベル(例えば90%未満の相対湿度、80%未満の相対湿度、70%未満の相対湿度)以下の相対湿度レベルにおいて農産物の質量損失率を低減するように配合することができる。いくつかの実施において、第1の相対湿度レベルは、農産物の貯蔵中に菌類の増殖を抑制するために充分な低さである。いくつかの実施では、保護コーティングによって、第1の相対湿度レベルよりも低い相対湿度レベルにおけるコーティングされた農産物の質量損失率は、第1の相対湿度レベル以上の相対湿度レベルにおける同様のコーティングされていない農産物の質量損失率よりも低くなる。
[0086] ここでプロセス100(図1)のステップ108を参照すると、農産物又は農業生産物にコーティングを形成した後、コーティングされた農産物/生産物は、例えば容器(例えば貯蔵用容器又は出荷用容器)内で、しばしば長期間にわたって貯蔵される。例えばいくつかの実施において、農産物の生産者は、過剰な量の農産物を収穫し、農産物に保護コーティングを形成し、過剰な農産物を後日販売するために閉鎖型貯蔵用容器に貯蔵する。あるいは、農産物が収穫場所から販売場所まで出荷される場合、農産物はコーティングされ、密閉した出荷用容器に詰め込まれ、出荷される。いくつかの実施において、農産物が貯蔵される容器は、特定のパッケージ内相対湿度に農産物を維持するように構成されたガス置換包装(MAP)を含む。多くの場合、農産物は船で出荷され、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも15日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、少なくとも35日間、少なくとも40日間、又は少なくとも45日間、容器内に留まる。農産物は容器に詰め込まれ、高いパッキング密度で貯蔵されることが多い。例えば、容器の内部体積の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%に農産物を充填することができる。
[0087] 農産物が容器内で貯蔵及び/又は出荷されるが前述のようにコーティングされない場合、農産物は、貯蔵及び/又は出荷される期間にわたって充分に低い質量損失率を維持するため、充分に高いパッケージ内相対湿度レベル(例えば少なくとも90%平均相対湿度)で貯蔵される。例えば、場合によっては、貯蔵中に農産物を最初の質量の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%に維持することが必要であり得る。従って農産物は、貯蔵中に所望の質量百分率を維持することを保証するため、貯蔵期間中は充分に高い平均湿度に維持される。しかしながら、高い相対湿度レベルによって過度に高いかび発生率、菌類の増殖、及び腐敗が生じるという問題が起こる。
[0088] 表3は、生鮮農産物(例えば果実及び野菜)の長期貯蔵及び/又は出荷のための推奨相対湿度を含む推奨業界標準条件を示す表である。表3に示されているように、多くの種類の農産物の貯蔵に推奨されるレベルである約90%よりも高い湿度レベルは、多種多様な農産物において、特に高率の菌類増殖及び腐敗を招くことがわかっている。
[0089]
[0090] 農産物が貯蔵される前に上述のようにコーティングされた場合、貯蔵中に維持すべき農産物の所望の質量百分率を確保しながら、相対湿度レベルを著しく低減することができる。例えば場合によっては、コーティングされた農産物を、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、又は約60%未満の平均相対湿度レベルで貯蔵及び/又は出荷することができる。このように、貯蔵中の質量損失を許容可能レベルに維持しながら、農産物における菌類の増殖及び農産物の腐敗を低減する。
[0091] 表3を参照すると、体積に対する表面積の比が極めて大きい葉物野菜、ハーブ、又は野菜、例えばアーティチョーク、ルッコラ、アスパラガス、チンゲンサイ、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、セロリ、チャイブ、トウモロコシ、ダイコン、コリアンダー、ミント、パセリ、ケール、リーキ、レタス、グリーンオニオン、アマトウガラシ、ホウレンソウ、スプラウト(アルファルファモヤシ、マメモヤシ、カイワレダイコン)、及びニンジンは、他のほとんどの農産物よりも高率で質量百分率を失う傾向があり、従って通常は、典型的に少なくとも95%という極めて高い相対湿度で貯蔵及び出荷されるので、貯蔵中にかび及び腐敗が極めて生じやすい。上述のように、これらの農業生産物の表面に保護コーティングを形成すると、例えば95%未満のRH、90%未満のRH、又は85%未満のRHのようなより低い相対湿度レベルでそれらを貯蔵及び/又は出荷することが可能となり、これによって充分に低い質量損失率を維持しながら腐敗率を低減させることができる。
[0092] 引き続き表3を参照すると、ブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、デューベリー、エルダーベリー、ローガンベリー、ラズベリー、及びイチゴを含むベリーは全て、典型的に少なくとも90%の相対湿度で貯蔵される。上述のように、これらの農業生産物の表面に保護コーティングを形成すると、例えば90%未満のRH、85%未満のRH、又は80%未満のRHのようなより低い相対湿度レベルでそれらを貯蔵及び/又は出荷することが可能となり、これによって充分に低い質量損失率を維持しながら腐敗率を低減させることができる。
[0093] 引き続き表3を参照すると、アンズ、ナシ、サクランボ、キンカン、キュウリ、ブドウ、マッシュルーム、ネクタリン、モモ、ナシ、プラム、プルーン、ジャガイモ、トマトを含む他の薄い皮の果実及び野菜も、典型的に少なくとも90%の相対湿度で貯蔵される。リンゴ、メロン、バナナ、マメ類(例えばサヤマメ、ライマメ、ジュウロクササゲ)、ブラッドオレンジ、タンジェリン、ナス、グアバ、キーウィフルーツ、レイシ、柿、ザクロ、スイカを含む多くの厚い皮の果実も、典型的に少なくとも90%の相対湿度で貯蔵される。上述のように、これらの農業生産物の表面に保護コーティングを形成すると、例えば90%未満のRH、85%未満のRH、又は80%未満のRHのようなより低い相対湿度レベルでそれらを貯蔵及び/又は出荷することが可能となり、これによって充分に低い質量損失率を維持しながら腐敗率を低減させることができる。
[0094] 引き続き表3を参照すると、例えばサクランボ、アボカド、パパイヤ、スターフルーツ、オレンジ(ブラッドオレンジ以外)、ザボン、タンジェロ、レモン、ライム、グレープフルーツ、イチジク、クズイモ、マンゴー、多くのメロン(カサバ、クレンショーメロン、ハネデュー、及びペルシャメロン)、パパイヤ、パッションフルーツ、ヤムイモ、キャッサバのような他の果実及び野菜は、典型的に少なくとも85%の相対湿度で貯蔵される。上述のように、これらの農業生産物の表面に保護コーティングを形成すると、例えば85%未満のRH、80%未満のRH、又は75%未満のRHのようなより低い相対湿度レベルでそれらを貯蔵及び/又は出荷することが可能となり、これによって充分に低い質量損失率を維持しながら腐敗率を低減させることができる。
[0095] 図2、図3、及び図4は、室温でのブルーベリー貯蔵中の相対湿度レベルと、それによって発生したかび/腐敗との相関を実証する測定データのプロットである。図2に示されているように、24個のブルーベリーの群を4つ作り、ブルーベリーの上部(花の端部)の近くに針で傷をつけ(腐敗に対するブルーベリーの感受性を制御可能に増大させるため)、次いでボトリチスシネレア分生胞子(spores of Botrytis cinerea conidia)を接種した。次いで、相対湿度の上昇がかび/腐敗の発生に対して及ぼす効果を実証するため、これらの群を室温(約18~20℃)に保ち、12日間にわたって異なる相対湿度レベルに維持した。第1の群は、相対湿度が12日間全体にわたって30~50%の範囲内である周囲条件に維持した。第2の群は75%相対湿度に維持し、第3の群は85%相対湿度に維持し、第4の群は飽和条件(約100%相対湿度)に維持した。図2は、5日後と12日後の、目に見えるかびの兆候を示した各群内のブルーベリーの百分率を示す。5日後に、第1の群、第2の群、又は第3の群のブルーベリーはかび発生を全く示さなかったが、第4の群のブルーベリーの38%は5日後にかび発生を示した。12日後に、30~50%相対湿度に維持されたブルーベリー(第1の群)は目に見えるかびを全く示さなかったが、75%相対湿度に維持されたブルーベリー(第2の群)の42%と、85%相対湿度に維持されたブルーベリー(第3の群)の100%が、目に見えるかび発生を示した。更に、100%相対湿度に維持されたブルーベリーの96%が目に見えるかび発生を示した。
[0096] 図3は図2と同様であるが、図3のデータのために使用したブルーベリーは下部(茎の端部)の近くに針で傷をつけ、次いでボトリチスシネレア分生胞子を接種した。次いで、24個のブルーベリーの群を4つ作り、室温(約18~20℃)に保ち、12日間にわたって異なる相対湿度レベルに維持した。第1の群は、相対湿度が12日間全体にわたって30~50%の範囲内である周囲条件に維持した。第2の群は75%相対湿度に維持し、第3の群は85%相対湿度に維持し、第4の群は飽和条件(約100%相対湿度)に維持した。図3は、5日後と12日後の、目に見えるかびの兆候を示した各群内のブルーベリーの百分率を示す。第1の群のブルーベリーは、5日後にも12日後にもかび発生を全く示さなかった。しかしながら第2の群では、5日後にブルーベリーの42%が目に見えるかび発生を示し、12日後に92%が目に見えるかび発生を示した。第3の群では、5日後にブルーベリーの58%が目に見えるかび発生を示し、12日後に96%が目に見えるかび発生を示した。第4の群では、5日後にブルーベリーの88%が目に見えるかび発生を示し、12日後に全て(100%)が目に見えるかび発生を示した。
[0097] 図4のグラフでは、どれも傷をつけていない50個のブルーベリーの群を3つ作り、ボトリチスシネレア分生胞子を接種した。次いで、相対湿度の上昇がかび/腐敗の発生に対して及ぼす効果を実証するため、これらの群を室温(約18~20℃)に保ち、20日間にわたって異なる相対湿度レベルに維持した。第1の群は75%相対湿度に維持し、第2の群は85%相対湿度に維持し、第3の群は飽和条件(約100%相対湿度)に維持した。図4は、6日後、8日後、11日後、14日後、16日後、及び20日後の、目に見えるかびの兆候を示した各群内のブルーベリーの百分率を示す。図示のように、飽和条件に維持した群(第3の群)のかび発生率が最も高く、次は85%相対湿度に維持した群(第2の群)であった。75%相対湿度に維持した群(第1の群)はかび発生率が最低であった。具体的には、20日後に、第1の群のブルーベリーの28%が目に見えるかび発生の兆候を示し、第2の群のブルーベリーの42%が目に見えるかびの兆候を示し、第3の群のブルーベリーの74%が目に見えるかび発生の兆候を示した。図4には示されていないが、室温で約30~50%の範囲内の相対湿度に維持した傷をつけていないブルーベリーは概ね、20日後でもかび発生をほとんど又は全く示さないことが観察された(典型的に、20日後にブルーベリーの5%未満が目に見えるかび発生の兆候を示した)。
[0098] 理論に束縛されることは望まないが、図2、図3、及び図4に示した結果は、高い相対湿度(例えば約75%又は85%よりも高い相対湿度)の条件下で農産物(例えばベリー)を貯蔵すると、より低い相対湿度での農産物の貯蔵に比べ、かび発生による腐敗が増大することを示している。
[0099] 広範な実験によって、上記の化合物、特に、2-モノアシルグリセリドと上記の他の化合物(例えば、1-モノアシルグリセリド、脂肪酸、エステル、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、アミド、アミン、チオール、チオエステル、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩(例えば無機及び有機塩)、酸、塩基、タンパク、酵素、又はそれらの組み合わせ)のうち1つ以上との組み合わせから形成したコーティングは、相対湿度レベルを低下させた場合であっても、質量/水分損失の低減と農業生産物の貯蔵の延長に有効であることがわかっている。場合によっては、コーティングは更に、同じ温度及び相対湿度に維持されたコーティングなしの同様の農産物に比べ、農産物におけるかび発生と腐敗を防止又は低減させるのに有効であることがわかった。
[00100] 図5から図25は、本明細書に記載されるようにコーティングした多種多様な農産物についての様々な相対湿度における質量損失低減の効果、及び相対湿度が腐敗率に及ぼす効果を示す。いくつかの場合(例えば図7及び図12~図17に示すようなイチゴ及びブルーベリー)、コーティングによって、同じ温度及び相対湿度に維持されたコーティングなしの同様の農産物に比べ、かび発生及び/又は腐敗も低減した。図5~図19に示すか又は参照される農産物に形成されたコーティングは各々、(先に規定したような)化学式I-Aの化合物と(やはり先に規定したような)化学式I-Bの化合物を含む添加物との混合物を含む組成物から形成した。指示する場合を除いて、化学式I-Aの化合物に対する添加物の質量比は0.1~1の範囲内であった。コーティングを形成するため、組成物の固体混合物を最初にエタノール及び/又はエタノール/水の混合物に充分に溶解して溶液を形成した。次いで、この溶液をスプレーコーティング又はディップコーティングによって農業生産物に塗布した。これについては以下で各事例において詳述する。次いで、溶媒が全て蒸発するまで、農業生産物を乾燥棚で周囲条件下(23~27℃の範囲内の温度、40~55%の範囲内の相対湿度)で乾燥させて、基質上にコーティングを形成した。これによって得られた各コーティングの厚さは0.5μm~1μmの範囲内であった。
[00101] 図5は、コーティングなしのレモン及び本明細書に記載された組成物でコーティングしたレモンの双方について、3週間にわたって観察された経時的な質量損失の効果を示す。組成物は、25:75モル比で混合したPA-1G及びPA-2Gを含んだ。組成物を10mg/mLの濃度でエタノールに溶解して溶液を形成した。コーティングを形成するため、レモンを袋に入れ、組成物を含む溶液を袋の中に流し込んだ。次いで袋を密閉し、各レモンの全表面が濡れるまで軽く攪拌した。次いでレモンを袋から取り出し、乾燥棚で、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の相対湿度の周囲室内条件下で乾燥させた。試験を行った全持続時間中、レモンをこれらの同じ温度及び相対湿度条件に保った。502は、採取した直後(1日目)のコーティングなしのレモンの高解像度写真であり、504は、同じ日に採取しコーティングした直後のレモンの高解像度写真である。512及び514はそれぞれ、22日目、つまり写真502及び504の21日後のコーティングなしのレモン及びコーティングしたレモンの写真である。断面積の損失(これは質量損失に直接関連する)を更に良好に可視化するため、1日目のコーティングなしのレモンの外形のオーバーレイ522を512の周りに示し、1日目のコーティングしたレモンの外形のオーバーレイ524を514の周りに示す。コーティングしたレモンの断面積は最初の面積の90%よりも大きかった(例えば最初の面積の92%より大きかった)のに対し、コーティングなしのレモンの断面積は最初の面積の80%未満であり、これによって、90%未満の相対湿度(例えば40~55%相対湿度)で貯蔵されたコーティングありのレモンは、同一の条件下で貯蔵されたコーティングなしのレモンに比べ、質量損失の低減が観察されたことが示されている。
[00102] 図6は、図5を参照して記載したのと同様にコーティングを形成した場合の、コーティングしたレモン(602)及びコーティングなしのレモン(604)について、20日の期間にわたる時間の関数として断面積の低減を示すプロットである。具体的には、それぞれの日で、各レモンの高解像度画像を(図5におけるように)撮影し、画像処理ソフトウェアで解析して、レモンの初期断面積に対する特定の日のレモンの断面積を決定した。図6で見られるように、20日後、コーティングしたレモンの断面積は最初の面積の90%よりも大きかった(例えば最初の面積の92%よりも大きかった)のに対し、コーティングなしのレモンの断面積は最初の面積の80%未満であり、これによって、90%未満の相対湿度(例えば40~55%相対湿度)で貯蔵されたコーティングありのレモンは、同一の条件下で貯蔵されたコーティングなしのレモンに比べ、質量損失の低減が観察されたことが示されている。
[00103] 図7Aは、4日間にわたって低い相対質量レベルで貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしの収穫したイチゴについて、1日の平均質量損失率を示すグラフである。コーティング剤は、以下で詳述するようにPA-1G及びPA-2Gの様々な混合物を含んだ。グラフの各バーは、15個のイチゴを含む群について1日の平均質量損失率を表している。バー702に対応するイチゴは未処理とした(対照群)。バー704に対応するイチゴは、コーティング剤が実質的に純粋なPA-1Gである溶液で処理した。バー706に対応するイチゴは、コーティング剤が75質量%のPA-1G及び25質量%のPA-2Gである溶液で処理した。バー708に対応するイチゴは、コーティング剤が50質量%のPA-1G及び50質量%のPA-2Gである溶液で処理した。バー710に対応するイチゴは、コーティング剤が25質量%のPA-1G及び75質量%のPA-2Gである溶液で処理した。バー712に対応するイチゴは、コーティング剤が実質的に純粋なPA-2Gである溶液で処理した。コーティング剤はそれぞれ10mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノール(殺菌剤)に溶解して溶液を形成し、この溶液をイチゴの表面に塗布して表面を殺菌すると共にコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下にイチゴを保持した。
[00104] 図7Aに示されているように、未処理のイチゴ(702)は1日当たり7.5%よりも高い平均質量損失率を示した。実質的に純粋な2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート配合物で処理したイチゴ(704)及び実質的に純粋な1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート配合物で処理したイチゴ(712)の質量損失率は、6%と6.5%との間の1日の平均質量損失率を示し、これは未処理のイチゴのもの(702)よりも良好であった。バー706に対応するイチゴ(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートに対する2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの質量比が3)は、更に低い質量損失率を示し、1日当たり6%よりもわずかに低かった。バー708及び710に対応するイチゴ(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートに対する2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの質量比がそれぞれ1及び0.33)は、著しく改善した質量損失率を示した。すなわち、バー708に対応するイチゴは5%をわずかに超える1日の平均質量損失率を示し、バー710に対応するイチゴは5%よりも低い1日の平均質量損失率を示した。
[00105] 図7Bは、5日間にわたる4つのコーティングありのイチゴ及び4つのコーティングなしのイチゴの高解像度写真を示している。コーティング組成物は、図7Aのバー710と同様の、モル比が25:75のPA-1G及びPA-2Gであった。図示のように、コーティングなしのイチゴは、3日目までに菌類の増殖及び変色を示し始め、5日目までに大部分が菌類で覆われた。これに対し、コーティングしたイチゴは、5日目まで目に見える菌類の増殖を示さず、1日目及び5日目において全体的な色と外見は概ね同様であり、90%未満の相対湿度(例えば40~55%の相対湿度)で貯蔵したコーティングありのイチゴでは、同一条件下で貯蔵したコーティングなしのイチゴに比べ、かび発生と腐敗の低減が示された。従って、理論に束縛されることは望まないが、図7A及び図7Bで説明したように、1-モノアシルグリセリド及び/又は2-モノアシルグリセリドを含むコーティング剤で農産物をコーティングすると、菌類の増殖率を低下させる及び/又は菌類の増殖開始を遅延させるのに効果的であると同時に、低い相対湿度での貯蔵中に農産物の質量損失率を低下させることができる。すなわち、この処理は農産物上の菌類の増殖率を低下させ、及び/又は菌類増殖前の農産物の貯蔵寿命を延長させると同時に、農産物の質量損失率を低下させることができる。
[00106] 図8は、コーティングなしのブルーベリー(802)、エタノールに10mg/mLで化合物を溶解した第1の溶液を用いてコーティングしたブルーベリー(804)、及びエタノールに20mg/mLで化合物を溶解した第2の溶液を用いてコーティングしたブルーベリー(806)の、5日間にわたる質量損失百分率のプロットを示している。第1及び第2の双方の溶液中の化合物はPA-1G及びPA-2Gの混合物を含み、PA-2Gに対するPA-1Gの質量比及びモル比は約0.33であった(すなわちモル比は25:75)。ブルーベリーにコーティングを形成するため、以下のディップコーティング手順を使用した。各ブルーベリーをピンセットで静かにつまみ、個々に溶液中に約1秒以下浸し、その後、乾燥棚に置いて乾燥させた。乾燥させる間、及び試験を行った全持続時間にわたって、ブルーベリーを約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の相対湿度の周囲室内条件下に保った。毎日ブルーベリーを慎重に計量することにより、質量損失を測定した。報告された質量損失百分率は、初期質量に対する質量低減率と等しかった。図示のように、コーティングなしのブルーベリーの質量損失百分率は5日後にほぼ20%であったのに対し、10mg/mL溶液でコーティングしたブルーベリーの質量損失百分率は5日後に15%未満であり、20mg/mL溶液でコーティングしたブルーベリーの質量損失百分率は5日後に10%未満であり、これによって、90%未満の相対湿度(例えば40~55%相対湿度)で貯蔵されたコーティングありのブルーベリーは、同一の条件下で貯蔵されたコーティングなしのブルーベリーに比べ、質量損失の低減が観察されたことが示されている。
[00107] 図9は、コーティングなしのブルーベリー(902)及び10mg/mL溶液でコーティングしたブルーベリー(904)の5日目の高解像度写真を示している。コーティングなしのブルーベリー802の皮は、ブルーベリーの質量損失の結果として多くのしわができたのに対し、コーティングしたブルーベリーの皮は極めて滑らかなままであった。
[00108] 図10~図17は、様々な相対湿度で貯蔵したエメラルドブルーベリーの質量損失率及び腐敗率の双方に対するコーティングの効果を比較した別の実験セットの結果を示している。図10~図11は、異なる相対湿度レベルにおけるコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーの質量損失率を比較し、図12~図17は、異なる相対湿度レベルにおけるコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーの腐敗率を比較している。図10~図14は周囲温度(約20℃)における貯蔵に対応し、図15~図17は2℃における貯蔵に対応している。
[00109] 図10及び図11は、周囲温度(約20℃)において様々な相対湿度レベルで貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーの群について、23日の期間中の1日の平均質量損失率を示すプロットである。図10に対応するブルーベリーはコーティング/試験の前に1%漂白溶液中に2分間浸すことで殺菌し、図11に対応するブルーベリーは殺菌を行わずにコーティング/試験した。図10を参照すると、バー1040、1030、1020、及び1010は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーに対応し、バー1042、1032、1022、及び1012は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーに対応する。図11を参照すると、バー1140、1130、1120、及び1110は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーに対応し、バー1142、1132、1122、及び1112は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーに対応する。双方のグラフの各バーは、50個のブルーベリーから成る群を表している。コーティングありのブルーベリーにおいて、各コーティングを形成するために使用した溶液は、80%エタノール(すなわちエタノールと水の80:20混合物)に20mg/mLの濃度で溶解したコーティング組成物を含み、コーティング組成物はPA-1G及びPA-2Gの30:70混合物であった。
[00110] コーティングを形成するため、ブルーベリーを袋に入れ、組成物を含む溶液を袋の中に流し込んだ。次いで袋を密閉し、各ブルーベリーの全表面が濡れるまで軽く攪拌した。次いでブルーベリーを袋から取り出し、乾燥棚で乾燥させた。次いで、試験を行った全持続時間中、先に示した温度及び相対湿度レベルにブルーベリーを保持した。所望の相対湿度は、露出した飽和塩溶液を含む7L容器中に50個のブルーベリーから成る群を密閉することによって達成した。75%相対湿度では塩化ナトリウム、85%では塩化カリウム、100%では純水を用いた。
[00111] 図10及び図11に見られるように、コーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーの双方で、1日の平均質量損失率は相対湿度の上昇と共に低下した。更に、殺菌したブルーベリーでは、100%、85%、75%、及び約55%の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは全て、同一条件で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーに比べ、1日の平均質量損失率が実質的に低かった(すなわち少なくとも10%低かった)。非殺菌ブルーベリーの場合は、100%、85%、及び約55%の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは全て、同一条件で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーに比べ、1日の平均質量損失率が実質的に低かった(すなわち少なくとも10%低かった)が、75%の相対湿度で貯蔵したブルーベリーの1日の平均質量損失率は、コーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーでほぼ同じであった。更に、図10で参照される殺菌したブルーベリーでは、75%の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーの1日の平均質量損失率は、85%の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーとほぼ同じであり、75%又は85%の相対湿度のいずれかで貯蔵したコーティングありのブルーベリーよりも実質的に低かった。
[00112] 図12~図17は、様々な相対湿度条件で測定したコーティングあり及びコーティングなしの双方のエメラルドブルーベリーについて、ブルーベリーかび発生率(すなわち目に見えるかび発生を示すブルーベリーの百分率)を時間の関数として示すプロットである。図12~図14は、それぞれ75%、85%、及び100%の相対湿度において周囲温度(約20℃)で貯蔵したブルーベリーに対応し、図15~図17は、それぞれ75%、85%、及び100%の相対湿度において2℃で貯蔵したブルーベリーに対応する。図12~図14において、データライン1220、1330、及び1440はコーティングなしのブルーベリーに対応し、データライン1222、1332、及び1442はコーティングありのブルーベリーに対応する。図15~図17において、データライン1520、1630、及び1740はコーティングなしのブルーベリーに対応し、データライン1522、1632、及び1742はコーティングありのブルーベリーに対応する。各データラインは、50個のブルーベリーから成る群を表している。図12~図17で参照されるコーティングありの全てのブルーベリーのコーティング配合物は、図10~図11のブルーベリーのものと同一であり(PA-1G及びPA-2Gの30:70混合物)、各コーティングを形成するため使用した溶液及びコーティング堆積方法も、図10~図11を参照して記載したものと同一であった。また、周囲湿度(約55%相対湿度)で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率を、周囲温度(約20℃)及び2℃の双方で測定したが、図12~図17に報告した時間期間中、ブルーベリーのいずれにおいても目に見えるかびの兆候は観察されなかった。
[00113] 図12~図17に見られるように、周囲温度及び2℃で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーでは、かび発生率は相対湿度の上昇と共に上昇した。更に、所与の温度の各相対湿度レベルにおいて、同一条件下で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは、対応するコーティングなしのブルーベリーよりも低いかび発生率を示した。更に、コーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーの双方において、かび発生は、低い温度では著しく遅く開始した。このため、周囲温度で貯蔵したブルーベリーのかび発生率は貯蔵の最初の20日間で測定及び報告を行ったのに対し、2℃で貯蔵したブルーベリーのかび発生率は貯蔵の24~37日目で測定及び報告を行った。
[00114] 図18は、数日間にわたって測定した、PA-2G(化学式I-Aの化合物)及びPA-1G(添加物)の様々な混合物でコーティングしたフィンガライムについて、1日の平均質量損失率を示すグラフである。グラフの各バーは、24個のフィンガライムから成る群の1日の平均質量損失率を表している。バー1802に対応するフィンガライムはコーティングなしとした(対照群)。バー1804に対応するフィンガライムは、実質的に純粋なPA-1Gである混合物でコーティングした。バー1806に対応するフィンガライムは、約75質量%のPA-1G及び25質量%のPA-2Gである(PA-2Gに対するPA-1Gの質量比及びモル比は約3である)混合物でコーティングした。バー1808に対応するフィンガライムは、約50質量%のPA-1G及び50質量%のPA-2Gである(PA-2Gに対するPA-1Gの質量比及びモル比は約1である)混合物でコーティングした。バー1810に対応するフィンガライムは、約25質量%のPA-1G及び75質量%のPA-2Gである(PA-2Gに対するPA-1Gの質量比及びモル比は約0.33である)混合物でコーティングした。バー1812に対応するフィンガライムは、実質的に純粋なPA-2Gである混合物でコーティングした。コーティング組成物はそれぞれ、10mg/mLの濃度でエタノールに溶解して溶液を形成し、この溶液をフィンガライムの表面に塗布してコーティングを形成した。
[00115] コーティングを形成するため、フィンガライムを袋に入れ、組成物を含む溶液を袋の中に流し込んだ。次いで袋を密閉し、各フィンガライムの全表面が濡れるまで軽く攪拌した。次いでフィンガライムを袋から取り出し、乾燥棚で乾燥させた。乾燥させる間、及び試験を行った全持続時間にわたって、フィンガライムを約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下に保った。
[00116] 図18に示されているように、コーティングなしのフィンガライム(1802)は、1日当たり5%を超える平均質量損失率を示した。実質的に純粋なPA-1Gの配合物でコーティングしたフィンガライム(1804)及び実質的に純粋なPA-2Gの配合物でコーティングしたフィンガライム(1812)の質量損失率は、それぞれ4%よりもわずかに高い及び4%よりもわずかに低い1日の平均質量損失率を示し、名目上、コーティングなしのフィンガライム(1802)よりも良好であった。バー1806に対応するフィンガライム(PA-1GとPA-2Gの質量比が75:25、又は質量比が約3)では結果が向上し、1日の平均質量損失率は3.5%未満であった。バー1808及び1810に対応するフィンガライム(それぞれ、PA-1GとPA-2Gの質量比は1(50:50)及び0.33(25:75))は、それぞれ3.5%未満及び2.6%未満の質量損失率を示し、コーティングなしのフィンガライム(1802)に比べて著しく改善した。
[00117] 図19は、PA-2G(化学式I-Aの化合物)と1-モノアシルグリセリド添加物との様々な混合物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである(バー1902、1904、及び1906はMA-1Gであり、バー1912、1914、及び1916はPA-1Gであり、バー1922、1924、及び1926はSA-1Gである)。本明細書で用いる場合、「貯蔵寿命係数(shelf life factor)」という用語は、コーティングした農産物の平均質量損失率に対する対応したコーティングなしの農産物の平均質量損失率(対照群について測定される)の比として定義される。バー1902、1912、及び1922は、1-モノアシルグリセリド及びPA-2Gの25:75の混合物(PA-2Gに対する1-モノアシルグリセリドのモル比が約0.33)に対応する。バー1904、1914、及び1924は、1-モノアシルグリセリド及びPA-2Gの50:50の混合物(PA-2Gに対する1-モノアシルグリセリドのモル比が約1)に対応する。バー1906、1916、及び1926は、1-モノアシルグリセリド及びPA-2Gの75:25の混合物(PA-2Gに対する1-モノアシルグリセリドのモル比が約3)に対応する。
[00118] グラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解させたそれぞれの混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保った。
[00119] 図示のように、MA-1G/PA-2G及びSA-1G/PA-2Gの組み合わせの双方では、PA-2Gに対する1-モノアシルグリセリドのモル比が約0.33の場合に最大の貯蔵寿命係数が達成された。PA-1G/PA-2Gの組み合わせでは、75:25のPA-1G/PA-2Gの比でコーティングされたアボカドで最大の貯蔵寿命係数が達成された。
[00120] 図20~図25は、様々なコーティング剤の配合物でコーティングしたアボカドについて、低い相対湿度における質量損失低減の効果を実証している。図20は、PA-2G(化学式I-Aの化合物)と脂肪酸添加物との様々な混合物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである(バー2002、2004、及び2006はMAであり、バー2012、2014、及び2016はPAであり、バー2022、2024、及び2026はSAである)。バー2002、2012、及び2022は、脂肪酸及びPA-2Gの25:75の混合物(PA-2Gに対する脂肪酸のモル比が約0.33)に対応する。質量比はそれぞれ約0.23、0.25、及び0.28である。バー2004、2014、及び2024は、脂肪酸及びPA-2Gの50:50の混合物(PA-2Gに対する脂肪酸のモル比が約1)に対応する。質量比はそれぞれ約0.35、0.39、及び0.43である。バー2006、2016、及び2026は、脂肪酸及びPA-2Gの75:25の混合物(PA-2Gに対する脂肪酸のモル比が約3)に対応する。質量比はそれぞれ約2.1、2.3、及び2.6である。
[00121] グラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解させたそれぞれの混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保った。図示のように、これら3つの組み合わせの全てにおいて、PA-2Gに対する脂肪酸のモル比が約0.33の場合に最大の貯蔵寿命係数が達成された。
[00122] 図21は、様々な他の化合物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。グラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解させたそれぞれの混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保った。
[00123] バー2101~2103は、PA-2G(化学式I-Aの化合物)と、添加物としてのパルミチン酸エチルとの混合物に対応する。バー2111~2113は、PA-2G(化学式I-Aの化合物)と、添加物としてのオレイン酸(不飽和脂肪酸)との混合物に対応する。バー2101及び2111は、添加物及びPA-2Gの25:75の混合物に対応する(PA-2Gに対する添加物のモル比が約0.33)。質量比は双方とも約0.86である。バー2102及び2112は、添加物及びPA-2Gの50:50の混合物に対応する(PA-2Gに対する添加物のモル比が約1)。質量比は双方とも約0.43である。バー2103及び2113は、添加物及びPA-2Gの75:25の混合物に対応する(PA-2Gに対する添加物のモル比が約3)。質量比は双方とも約2.58である。PA-2G及びEtPAの組み合わせ及びPA-2G及びOAの組み合わせで見られるように、PA-2Gに対する添加物のモル比が約0.33の場合に最大の貯蔵寿命係数が達成された。
[00124] バー2121~2123、2131~2133、及び2141~2143は、化学式I-Bの化合物(例えば1-モノアシルグリセリド)及び添加物(例えば脂肪酸)で形成されたコーティングに対応する。バー2121~2123は、SA-1G(化学式I-Bの化合物)と、添加物としてのミリスチン酸との混合物に対応する。バー2131~2133は、SA-1G(化学式I-Bの化合物)と、添加物としてのパルミチン酸との混合物に対応する。バー2141~2143は、SA-1G(化学式I-Bの化合物)と、添加物としてのステアリン酸との混合物に対応する。バー2121、2131、及び2141は、脂肪酸及びSA-1Gの25:75の混合物に対応する(SA-1Gに対する脂肪酸のモル比が約0.33)。質量比はそれぞれ0.21、0.23、及び0.26である。バー2122、2132、及び2142は、脂肪酸及びSA-1Gの50:50の混合物に対応する(SA-1Gに対する脂肪酸のモル比が約1)。質量比はそれぞれ約0.32、0.35、及び0.40である。バー2123、2133、及び2143は、脂肪酸及びSA-1Gの75:25の混合物に対応する(SA-1Gに対する脂肪酸のモル比が約3)。質量比はそれぞれ約1.89、2.13、及び2.37である。これら3つの組み合わせの全てで見られるように、SA-1Gに対する脂肪酸のモル比が約0.33の場合に最大の貯蔵寿命係数が達成された。
[00125] 図22は、化学式I-Bの化合物及び脂肪酸の添加物を含む混合物でそれぞれコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。全ての混合物は、化学式I-Bの化合物と脂肪酸を1:1のモル比で混合した。バー2201~2203は、化学式I-Bの化合物としてのMA-1Gと、脂肪酸の添加物としてのMA(2201)、PA(2202)、及びSA(2203)とを含むコーティングに対応する。質量比はそれぞれ約1.32、1.18、及び1.06である。バー2211~2213は、化学式I-Bの化合物としてのPA-1Gと、脂肪酸の添加物としてのMA(2211)、PA(2212)、及びSA(2213)とを含むコーティングに対応する。質量比はそれぞれ約1.44、1.29、及び1.16である。バー2221~2223は、化学式I-Bの化合物としてのSA-1Gと、脂肪酸の添加物としてのMA(2221)、PA(2222)、及びSA(2223)とを含むコーティングに対応する。質量比はそれぞれ約1.57、1.39、及び1.25である。グラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解した対応する混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。
[00126] 図示のように、貯蔵寿命係数は、1-モノアシルグリセリドの炭素鎖長が長くなると増大する傾向があった。例えば、炭素鎖長が13よりも長い1-モノアシルグリセリドを有する全ての混合物は1.2よりも大きい貯蔵寿命係数を示し、炭素鎖長が15よりも長い1-モノアシルグリセリドを有する全ての混合物は1.35よりも大きい貯蔵寿命係数を示し、炭素鎖長が17よりも長い1-モノアシルグリセリドを有する全ての混合物は1.6よりも大きい貯蔵寿命係数を示した。
[00127] 図23は、1:1のモル比で混合した化学式I-Bの2つの異なる化合物を含む混合物でそれぞれコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。各混合物において、化学式I-Bの2つの化合物は炭素鎖長が異なっている。バー2302はSA-1G(C18)及びPA-1G(C16)の混合物に対応し、バー2304はSA-1G(C18)及びMA-1G(C14)の混合物に対応し、バー2306はPA-1G(C16)及びMA-1G(C14)の混合物に対応する。グラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解させたそれぞれの混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保った。図示のように、PA-1G/MA-1G混合物(2306)では貯蔵寿命係数は1.4よりも大きく、SA-1G/PA-1G混合物(2302)では貯蔵寿命係数は1.5よりも大きく、SA-1G/MA-1G混合物(2304)では貯蔵寿命係数は1.6よりも大きかった。
[00128] 図24及び図25は、2元又は3元化合物混合物でコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。双方のグラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解させたそれぞれの混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保った。
[00129] 図24に示されている研究は、目に見える沈殿物やその他の目に見える残留物が存在しない効果的なコーティングを維持しながら、混合物中の化学式I-Aの化合物の相対量を低減させるため、化学式I-Aの化合物及び第1の添加物を含む混合物に第2の添加物を加える効果を調べることを対象とした(第1の添加物は第2の添加物とは異なる)。多くの場合、化学式I-Aの化合物は生産コストが高く、しばしば他のタイプの化合物(例えば脂肪酸及び化学式I-Bの化合物)よりも安定でない傾向がある(すなわち、平衡推進力のため経時的に他のタイプの化合物に変換する傾向がある)ので、混合物中の化学式I-Aの化合物の相対組成を低減させると、コストの削減と共に、混合物の安定性の向上が可能となる。
[00130] バー2402は、質量比30:70で混合したSA-1G(第1の添加物、化学式I-Bの化合物)及びPA-2G(化学式I-Aの化合物)を含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。このコーティングでは貯蔵寿命係数は約1.6であった。バー2404は、質量比30:50:20で混合したSA-1G、PA-2G、及びPAを含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。すなわち、バー2402に対応する化合物と比較すると、バー2404のコーティング配合物は、バー2404の配合物が50%(質量)の化学式I-Aの化合物及び50%(質量)の添加物となるように、バー1602に対応する配合物中のPA-2Gの一部を除去し、これをPAで置き換えることによって形成され得る。図示のように、貯蔵寿命係数は(バー2402に比べ)わずかに低下して約1.55である。バー2406は、質量比30:30:40で混合したSA-1G、PA-2G、及びPA(すなわち、更にPA-2Gを除去し、これをPAで置き換える)を含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。この場合、配合物は、30%(質量)のみの化学式I-Aの化合物及び70%(質量)の添加物であった。図示のように、貯蔵寿命係数は(バー2402及び2404に比べ)低下して約1.43であるが、このコーティング配合物はアボカドの質量損失率の低減において依然として極めて効果的であった。
[00131] 図25は、化学式I-Aの化合物を含まない3成分混合物を用いてコーティングを形成するが、それでもなお、幅広い組成物のバリエーションによって、水分損失に対して効果的なバリアを与えるコーティングを得ることを対象とした研究の結果を示す。バー2502は、質量比50:50で混合したSA-1G(化学式I-Bの化合物)及びPA(第1の脂肪酸)を含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。これらのアボカドの貯蔵寿命係数は約1.47であった。バー2504は、質量比45:10:45で混合したSA-1G、OA、及びPAを含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。すなわち、バー2502に対応する化合物と比較すると、バー2504のコーティング配合物は、バー2502の配合物中のSA-1G及びPAを等しい部分(質量)だけ除去し、これらをOAで置き換えることによって形成され得る。これらのアボカドの貯蔵寿命係数は依然として1.4よりも大きかった。バー2506は、質量比40:20:40で混合したSA-1G、OA、及びPAを含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。すなわち、バー2504に対応する化合物と比較すると、バー2506のコーティング配合物は、バー2504の配合物中のSA-1G及びPAを等しい部分(質量)だけ更に除去し、これらをOAで置き換えることによって形成され得る。これらのアボカドの貯蔵寿命係数は1.3よりも大きかった。
[00132] 出荷容器内の生鮮農産物の周りの空気の相対湿度は、農産物の表面を介した蒸散(及び呼吸)、外気の通気度、外気の相対湿度、及び積荷スペース内の空気の露点に対する冷却コイルの温度に依存することは、当業者には理解されよう。
[00133] 生果実及び生野菜の周りの空気の相対湿度は、以下の要素に依存し得る。(i)輸送の開始時に湿度の高い空気が冷却された場合、相対湿度は上昇する可能性がある。(ii)農産物の表面を介した蒸散(及び呼吸)は、空気に対して追加の湿度を与える可能性がある。(iii)湿度の高い空気による外気の換気は、相対湿度レベルを更に上昇させる可能性がある。(iv)冷却プロセス自体は、蒸発器フィンにおける凝縮によって容器の空気から湿度を除去する可能性がある。従って、場合によっては、農産物を出荷又は貯蔵する場合に精密な相対湿度を維持することは動作上難しいことがあるものの、概ねある範囲のRH値(例えば約85%~95%)と平均相対湿度レベル(例えば約90%)との自然なバランスは容易に形成することができる。更に、生鮮農産物が輸送される温度は、約-3℃~約16℃の間であり得る(例えば約0℃~約10℃)。本開示によって、従来の実施よりも低い平均相対湿度における農産物の輸送が可能となる(例えば約90%未満、又は約85%未満の相対湿度)。
[00134] 上記のことを考慮すると、本明細書に開示されるコーティングでコーティングし、次いで貯蔵及び/又は出荷される農産物では、例えば貯蔵容器を通る空気又は他のガスや蒸気の還流、冷却/冷蔵のレベル、及び換気量のような貯蔵/出荷容器のパラメータを全て制御して、貯蔵前にコーティングされない同一の農産物において維持されるよりも低い平均相対湿度を容器内で達成することができ、一方では、貯蔵中に許容可能な低い質量損失率を達成できる。例えば、ブルーベリーのようなコーティングした農産物を、約60%~約90%の平均RH、約60%~約85%の平均RH、又は約65%~約85%の平均RHで、少なくとも約20日間にわたって、わずか約30%未満、約25%未満、又は約20%未満の質量損失で、容器内に貯蔵することができる。次いでこの農産物は、例えば消費するため又は販売用に包装するため、容器から取り出すことができる。
[00135] いくつかの実施形態では、農産物をある場所で栽培して収穫した後、販売及び/又は消費のため別の場所に輸送することがある。多くの場合、農産物は、出荷時に加えて、収穫の後及び/又は販売もしくは出荷の前に、数日又は数週間にわたって貯蔵される。
[00136] いくつかの実施形態において、農産物の生産者(例えば農家)は自身が生産した農産物の出荷及び販売に責任を負わないことは、当業者には理解されよう。言い換えると、生産現場(例えば生産される畑又は果樹園)から適切な販売場所(例えば食料品店)へ農産物を配達するのに必要なサプライチェーンには、複数の関係者が関与する可能性がある。そのような関係者には、限定ではないが、農家、荷送人、流通業者、小売業者(例えば食料雑貨店)、及び消費者、並びに、荷送人から農産物を受け取り、その後農産物を小売業者(例えば食料品店)へ配達する卸売業者が含まれる。
[00137] 例えば農家は、生産現場(例えば農産物が栽培される畑又は果樹園)から農産物の収穫を輸送するために荷送人と連絡を取ることができる。荷送人は小売業者(例えば食料雑貨店主又は食料雑貨店チェーン)と連絡を取って農産物を小売業者に配達し、小売業者は農産物を消費者に販売することができる。場合によっては、荷送人は農産物の収穫を農家から卸売業者に配達し、卸売業者は農産物を小売業者(例えば食料雑貨店チェーン)に配達することができる。そのような場合、農産物を卸売業者から小売業者に輸送するために第2の荷送人が必要となり得る。従って、収穫場所から最終消費者までの農産物の配達に応じて変化する可能性のある複数の関係者がいる(例えば生産者、荷送人、卸売業者、流通業者、小売業者等)ことは、当業者に理解されよう。
[00138] 上記の状況のいくつかの実施形態では、農産物を生産現場から消費者まで届けるのに関与する関係者(例えば農家、荷送人、流通業者、小売業者)の各々は、独立した業者であり得る。あるいはいくつかの実施形態では、単一の組織が、農産物を生産現場から消費者まで配達するのに必要なサプライチェーンの1つ又は全ての部分に責任を負うことがある。言い換えると、1つの組織が、農産物の栽培、収穫、出荷、及び流通を管理することができる。いくつかの実施形態では、1つの組織が、農産物を生産現場から消費者まで配達するのに必要なサプライチェーンの全てではないが一部に責任を負うことがある。例えば流通業者は、農産物の出荷及び販売に責任を負うが、農産物の栽培にも収穫にも責任を負わない可能性がある。
[00139] 従って、本開示は、農産物を生産現場から消費者へ輸送することができる複数の状況について考慮する。更に、本開示は、農産物を本開示のコーティングでコーティングするか又はコーティングさせると共に消費者へ輸送することができる複数の状況について考慮する。
[00140] 例えば生産者は、自身が栽培した農産物に本開示のコーティングを適用することができる。いくつかの実施形態において、生産者は、農産物の収穫前又は農産物の収穫後(例えば農産物の収穫後であるが出荷の前)に本開示のコーティングを適用することができる。いくつかの実施形態において、生産者はその後、農産物を消費者に直接販売する前に農産物を貯蔵する可能性がある。そのような実施形態において、生産者は、農産物のコーティングと消費者への販売との間に、コーティングした農産物を現在の業界標準よりも低い相対湿度レベル(例えば90%未満の相対湿度)で貯蔵することができる。
[00141] あるいは、いくつかの実施形態において生産者は、自身が生産した農産物を本開示のコーティングでコーティングし、その農産物を流通業者、小売業者(例えば食料雑貨店)、又は卸売業者に販売することができる。いくつかの実施形態において、生産者は、農産物を流通業者、小売業者、又は卸売業者に配達するため荷送人と連絡を取ることができる。いくつかの実施形態において、流通業者、小売業者、又は卸売業者は、農産物を生産者から流通業者、小売業者、又は卸売業者に配達するため、荷送人と連絡を取ることができる。上記の実施形態のいずれにおいても、生産者、卸売業者、流通業者、小売業者、又は別の関係者は、コーティングされた農産物を現在の業界標準よりも低い相対湿度(例えば約90%未満の相対湿度)で輸送するよう荷送人に指示することができる。あるいは荷送人は、コーティングされた農産物を現在の業界標準よりも低い相対湿度(例えば約90%未満の相対湿度)で輸送することを自主的に選択することができる。次いで卸売業者又は流通業者は、所望の宛先で荷送人から農産物を収集することができる。
[00142] いくつかの実施形態において、卸売業者、流通業者、又は小売業者は、本開示のコーティング配合物を生産者に提供し、出荷前(例えば収穫の直前又は直後)に農産物をコーティングするよう生産者に指示することができる。卸売業者、流通業者、又は小売業者は、生産者から農産物を購入する条件として、生産者が農産物をコーティングすることを要求する可能性がある。そのような実施形態において、生産者、卸売業者、流通業者、又は小売業者のいずれも、農産物を現在の業界標準よりも低い相対湿度(例えば約90%未満)で輸送するよう荷送人に指示することができる。あるいは荷送人は、自主的に農産物を現在の業界標準よりも低い相対湿度(例えば約90%未満)で輸送することができる。
[00143] 例えば、荷送人又は卸売業者又は流通業者又は小売業者は、生産者又はサプライチェーンの他の関係者から取得した農産物に本開示のコーティングを適用することができる。いくつかの実施形態において、生産者は農産物を卸売業者又は流通業者又は小売業者に販売することができる。卸売業者又は流通業者又は小売業者は、農産物の出荷前に本開示のコーティングを適用できる。次いで農産物を、現在の業界標準よりも低い相対湿度(例えば約90%未満の相対湿度)で出荷することができる。あるいは、卸売業者又は流通業者又は小売業者は、出荷前にコーティングを適用し、次いで農産物を現在の業界標準よりも低い相対湿度(例えば約90%未満の相対湿度)で出荷するよう、荷送人に指示することができる。
[00144] 例えば、卸売業者又は流通業者又は小売業者は、生産者又は荷送人から取得した農産物に本開示のコーティングを適用することができる。あるいは、卸売業者又は流通業者又は小売業者は、出荷又は貯蔵の前に農産物にコーティングを適用するよう生産者又は荷送人に指示することができる。
[00145] 上記の分析に鑑みて、本開示は、農産物の流通に関与するいずれの関係者(例えば生産者、荷送人、卸売業者、流通業者、又は小売業者)も、本開示のコーティングで農産物をコーティングできるだけでなく、本開示のコーティングで農産物をコーティングさせ得ることも考慮する。すなわち、農産物の流通に関与する関係者は、出荷又は貯蔵の前に農産物をコーティングするよう別の関係者に指示することができる(例えば要求することができる)。従って、例えば流通業者又は小売業者が本明細書に記載される方法及び組成物によって農産物をコーティングしない場合であっても、流通業者又は小売業者は、例えば生産者又は荷送人にそのような実施を要求することによって、農産物をコーティングさせ、低い相対湿度(例えば約90%未満の相対湿度)で出荷させることができる。
[00146] 従って、本明細書において用いる場合、1つの農産物をコーティングする行為は、農産物をコーティングするよう別の関係者に指示すること又は農産物を本開示のコーティングによってコーティングさせることも含む。また、本明細書において用いる場合、1つの農産物を出荷する行為は、農産物を出荷するよう別の関係者に指示すること又は農産物を出荷させることも意味すると理解される。また、本明細書において用いる場合、1つの農産物を貯蔵する行為は、農産物を貯蔵するよう別の関係者に指示すること又は農産物を貯蔵させることも意味すると理解される。
[00147] 本開示は、多数の異なる出荷及び貯蔵方法について考慮している。例えば農産物は、陸路で(例えばトラックもしくは鉄道で)、海路で(例えば荷船もしくはコンテナ船のような船で)、又は空路で(例えば貨物輸送機で)出荷することができる。農産物は輸送コンテナで出荷することができる。輸送コンテナは、例えば一貫輸送コンテナであり得る。一貫輸送コンテナは、上に列挙したような異なる輸送形態で使用できる規格化輸送コンテナとして理解される。一貫輸送コンテナは、他の一貫輸送コンテナとモジュール式に積み重ねられるように規格化寸法を有し得る。一貫輸送コンテナのいくつかの例示的な寸法は、長さが約20フィート又は約40フィート、高さ及び幅が約8フィート6インチ又は約9フィート6インチである。いくつかの実施形態において、農産物は、「乾燥貨物用(dry freight)」又は「汎用(general purpose)」コンテナで出荷することができる。
[00148] いくつかの実施形態において、農産物を収容した輸送コンテナは、内部の農産物の鮮度を維持するため、コンテナ内の温度及び/又は湿度を制御するための温度コントローラ及び/又は湿度コントローラ(例えば空調ユニット又は冷蔵システム)を備えることができる。いくつかの従来の用途では、相対湿度を約90%に保つことが慣習となっている。また、冷蔵システム又は空調システムは、輸送コンテナ内部を一貫した温度に維持することを担当している。例えば冷蔵システム又は空調システムは、特定の温度(例えば約5℃)及び特定の相対湿度(例えば約90%)を維持することを担当している。
[00149] そのような相対湿度レベルは、水分損失効果が農産物の価値を下げることを防ぐのに役立ち得るが、菌類又はかび等の細菌の増殖を促進することによって同じ農産物の腐敗の可能性も招き得る。従って本開示は、水分損失を防止するコーティングで農産物をコーティングすることによって、農産物が比較的低い湿度(例えば業界標準よりも低いか又は約90%よりも低い相対湿度)で貯蔵又は出荷されるように温度及び/又は湿度コントローラの条件が調整された場合であっても農産物を新鮮に保つための方法を提供する。これにより、農産物を新鮮なままに維持できると共に、貯蔵又は出荷の間に農産物を腐敗させる恐れのある生成物(product)(例えば菌類、かび等)の成長を防止するのに役立つ。
[00150] 図26は、指定された時間期間にわたって所定の温度及び相対湿度レベルで農産物を貯蔵するための貯蔵容器2610を示すブロック図である。図示のように、貯蔵容器2610は、容器内の所定の温度及び相対湿度レベルを維持するための湿度コントローラ2620及び温度コントローラ2630(例えば冷蔵ユニット)を備えている。いくつかの実施形態において、湿度コントローラ2620及び/又は温度コントローラ2630は、ガス及び/又は蒸気を輸送コンテナ2610の内部へ注入するか又はその外部へ排出する。いくつかの実施形態において、湿度コントローラ2620及び温度コントローラ2630は、農産物の貯蔵中に容器2610内の所望の温度及び所望の相対湿度の双方を維持することができる単一のデバイスとして実施される。
[00151] いくつかの実施形態において、貯蔵容器2610、又は農産物を貯蔵又は出荷できる本明細書に記載される他の任意の容器は、閉鎖型容器とすることができる。本明細書において用いる場合、「閉鎖型容器(enclosed container)」は、貯蔵された内容物がガス及び/又は水分の流れを通さない材料によって充分に囲まれて、内部で所望の相対湿度及び/又は温度範囲を維持できるようになっている容器である。いくつかの実施形態において、閉鎖型容器は、容器の内側と周囲の環境との間である程度のガス又は蒸気の移動を可能とする孔又は他の開口を含むことができる。いくつかの実施形態において、この孔又は他の開口は、容器の内側と周囲の環境との間のガス又は蒸気の移動の量を制限するように、充分に小さくすることができる。
[00152] 更に、本開示は多数の異なる貯蔵方法について考慮している。いくつかの実施形態において、農産物は収穫場所と販売場所との間で容器に貯蔵される。例えば農産物は、かご、「クラムシェル型容器(clamshell)」、又は他の容器(vessel)に貯蔵することができる。更に、農産物は大型の貯蔵又は輸送コンテナに貯蔵することができる。いくつかの実施形態において、農産物は、かご又は「クラムシェル型容器」に貯蔵され、貯蔵又は輸送のため輸送コンテナに積まれる。
[00153] 農産物を貯蔵又は出荷する効果は、新鮮な農産物に対する効果に関して冗長であり得ることは、当業者には理解されよう。すなわち、いくつかの実施形態において、農産物の収穫物に生じる腐敗の量は、農産物が貯蔵されているか又は出荷されているかにかかわらず、時間の関数と見なすことができる。従っていくつかの実施形態では、農産物を出荷する効果は、同じ時間量にわたって農産物を貯蔵するのと実質的に同じ効果を有し得る。すなわち、いくつかの実施形態では、農産物が貯蔵されているか又は出荷されているかは問題でなく、腐敗の量は農産物が貯蔵及び/又は出荷されている時間量に依存する。従って、本明細書で理解されるように、「貯蔵」又は「貯蔵すること」という用語は農産物を「出荷すること」又は「輸送すること」も含む可能性があり、その逆もまた同様である。
実施例
[00154] 以下の実施例及び合成実施例によって本開示を更に説明する。これらの実施例は、本開示の範囲又は精神を本明細書に記載される特定の手順に限定するものとして解釈されるべきではない。実施例は特定の実施形態を説明するために与えられること、それによって本開示の範囲に対する限定は意図されないことは理解されよう。更に、本開示の精神及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に想起され得る様々な他の実施形態、変更、及び均等物(equivalents)に頼ることが可能であることは理解されよう。
[00155] 以下の実施例の各々において、パルミチン酸はSigma Aldrichから購入し、2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート(PA-1G)はTokyo Chemical Industry Co,から購入し、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート(PA-2G)は実施例1の方法に従って調製し、ステアリン酸(オクタデカン酸)はSigma Aldrichから購入し、2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート(SA-1G)はAlfa Aesarから購入し、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート(SA-2G)から実施例2の方法に従って調製し、テトラデカン酸はSigma Aldrichから購入し、2,3-ジヒドロキシプロパン-2-テトラデカノアート(MA-1G)はTokyo Chemical Industry Co,から購入し、オレイン酸はSigma Aldrichから購入し、パルミチン酸エチル(EtPA)はSigma Aldrichから購入した。全ての溶媒及びその他の化学試薬は、商業的供給源(例えばSigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス))から調達し、特に断りのない限り、更に精製することなく使用した。
実施例1:コーティング剤成分として使用するための1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデノアート(PA-2G)の合成
ステップ1. 1,3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルヘキサデノアート
[00156] 70.62g(275.34ミリモル)のパルミチン酸、5.24g(27.54ミリモル)のp-TsOH、75g(275.34ミリモル)の1,3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-オル、及び662mLのトルエンを、テフロン加工の磁石攪拌子を備えた丸底フラスコに投入した。フラスコにディーンスタークヘッド及び凝縮器を取り付け、Nの正の流れ(positive flow)を開始した。フラスコを加熱マントルで加熱して還流させながら、ディーンスタークヘッドに集まった水の量(~5mL)が完全なエステル変換を示すまで(~8時間)、反応混合物を激しく攪拌した。フラスコを室温まで冷却し、反応混合物を、75mLのNaCOの飽和水溶液及び75mLの塩水を含む分液漏斗に流し込んだ。トルエン留分を集め、水層を125mLのEtOで抽出した。有機層を混ぜ合わせて100mLの塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濾過して濃縮した。無職の原油を高真空下で乾燥させ、(135.6g、265.49ミリモル、粗収量=96.4%の)1.3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルヘキサデカノアートを得た。
HRMS(ESI-TOF)(m/z):C3350Na,[M+Na]の計算値533.3607、実測値533.3588
H NMR(600MHz、CDCl):δ7.41-7.28(m、10H)、5.28(p、J=5.0Hz、1H)、4.59(d、J=12.1Hz、2H)、4.54(d、J=12.1Hz、2H)、3.68(d、J=5.2Hz、4H)、2.37(t、J=7.5Hz、2H)、1.66(p、J=7.4Hz、2H)、1.41-1.15(m、24H)、0.92(t、J=7.0Hz、3H)ppm
13C NMR(151MHz、CDCl):δ173.37、138.09、128.43、127.72、127.66、73.31、71.30、68.81、34.53、32.03、29.80、29.79、29.76、29.72、29.57、29.47、29.40、29.20、25.10、22.79、14.23ppm
ステップ2. 1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデノアート
[00157] 7.66g(15.00ミリモル)の1,3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルヘキサデカノアート、79.8mg(0.75ミリモル)の10wt%Pd/C、及び100mLのEtOAcを、テフロン加工の磁石攪拌子を備えた三つ口丸底フラスコに投入した。これに、オイルを充填したバブラーを取り付けた冷たいフィンガと、H/Nの1:4混合物のガスタンクに接続したバブリングストーンを取り付けた。出発材料及び単一保護された(mono-deprotected)基質の双方がTLCによって消滅したと確定されるまで(~60分)、フラスコ内でH/Nを1.2LPMで泡立てた。完了したら、反応混合物をセライトのプラグを通して濾過し、次いで100mLのEtOAcで洗浄した。濾液を4℃の冷蔵室に24時間放置した。濾液からの沈殿物(白い透明な針状物)を濾過し、高真空下で乾燥させ、(2.124g、6.427ミリモル、粗収量=42.8%の)1.3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを得た。
HRMS(FD-TOF)(m/z):C1938の計算値330.2770、実測値330.2757
H NMR(600MHz、CDCl):δ4.93(p、J=4.7Hz、1H)、3.84(t、J=5.0Hz、4H)、2.37(t、J=7.6Hz、2H)、2.03(t、J=6.0Hz、2H)、1.64(p、J=7.6Hz、2H)、1.38-1.17(m、26H)、0.88(t、J=7.0Hz、3H)ppm
13C NMR(151MHz、CDCl):δ174.22、75.21、62.73、34.51、32.08、29.84、29.83、29.81、29.80、29.75、29.61、29.51、29.41、29.26、25.13、22.85、14.27ppm
実施例2:コーティング剤成分として使用するための1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアート(SA-2G)の合成
ステップ1. 1,3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルステアレート
[00158] 28.45g(100ミリモル)のステアリン酸、0.95g(5ミリモル)のp-TsOH、27.23g(275.34ミリモル)の1,3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-オル、及び200mLのトルエンを、テフロン加工の磁石攪拌子を備えた丸底フラスコに投入した。フラスコにディーンスタークヘッド及び凝縮器を取り付け、Nの正の流れを開始した。フラスコをオイルバスで加熱して還流させながら、ディーンスタークヘッドに集まった水の量(~1.8mL)が完全なエステル変換を示すまで(~16時間)、反応混合物を激しく攪拌した。フラスコを室温まで冷却し、反応混合物を、100mLのヘキサンで希釈した。反応混合物を、50mLのNaCOの飽和水溶液を含む分液漏斗に流し込んだ。有機層を混ぜ合わせて100mLの塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濾過して濃縮した。ヘキサン及びアセトニトリルを用いた選択的液体-液体抽出によって無職の原油を更に精製し、生成物を再び真空中で濃縮し、(43.96g、81.60ミリモル、粗収量=81.6%の)1.3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルステアレートを得た。
H NMR(600MHz、CDCl):δ7.36-7.27(m、10H)、5.23(p、J=5.0Hz、1H)、4.55(d、J=12.0Hz、2H)、4.51(d、J=12.1Hz、2H)、3.65(d、J=5.0Hz、4H)、2.33(t、J=7.5Hz、2H)、1.62(p、J=7.4Hz、2H)、1.35-1.22(m、25H)、0.88(t、J=6.9Hz、3H)ppm
ステップ2. 1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルステアレート
[00159] 6.73g(12.50ミリモル)の1,3-ビス(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルステアレート、439mg(0.625ミリモル)の20wt%Pd(OH)/C、及び125mLのEtOAcを、テフロン加工の磁石攪拌子を備えた三つ口丸底フラスコに投入した。これに、オイルを充填したバブラーを取り付けた冷たいフィンガと、H/Nの1:4混合物のガスタンクに接続したバブリングストーンを取り付けた。出発材料及び単一保護された基質の双方がTLCによって消滅したと確定されるまで(~120分)、フラスコ内でH/Nを1.2LPMで泡立てた。完了したら、反応混合物をセライトのプラグを通して濾過し、次いで150mLのEtOAcで洗浄した。濾液を4℃の冷蔵室に48時間放置した。濾液からの沈殿物(白い透明な針状物)を濾過し、高真空下で乾燥させ、(2.12g、5.91ミリモル、粗収量=47.3%の)1.3-ジヒドロキシプロパン-2-イルステアレートを得た。
LRMS(ESI+)(m/z):C2143[M+H]の計算値359.32、実測値359.47
H NMR(600MHz、CDCl):δ4.92(p、J=4.7Hz、1H)、3.88-3.78(m、4H)、2.40-2.34(m、2H)、2.09(t、J=6.2Hz、2H)、1.64(p、J=7.3Hz、2H)、1.25(s、25H)、0.88(t、J=7.0Hz、3H)ppm
13C NMR(151MHz、CDCl):δ174.32、75.20、62.63、34.57、32.14、29.91、29.89、29.87、29.82、29.68、29.57、29.47、29.33、25.17、22.90、14.32ppm
実施例3:低い平均相対湿度で貯蔵したレモンの収穫後質量損失に対するコーティングの効果
[00160] レモンを同時に収穫し、各々が質的に同一である2つの群に分割した(すなわち、双方の群のレモンはほぼ同じ平均サイズ及び品質であった)。第1の群は未処理とし、第2の群は以下の手順に従ってコーティングした。最初に、25:75のモル比でPA-1G及びPA-2Gを組み合わせることで組成物を形成した。この組成物を10mg/mLの濃度でエタノールに溶解して溶液を形成した。コーティング対象のレモンを袋に入れ、組成物を含む溶液を袋の中に流し込んだ。次いで袋を密閉し、各レモンの全表面が濡れるまで軽く攪拌した。次いでレモンを袋から取り出し、乾燥棚で、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の相対湿度の周囲室内条件(周囲温度及び相対湿度)下で乾燥させた。試験を行った全持続時間中、コーティングしたレモン及びコーティングなしのレモンの双方をこれらの同じ温度及び相対湿度条件に保った。
[00161] 図5は、コーティングしたレモン及びコーティングなしのレモンの双方について、3週間にわたって観察された経時的な質量損失の効果を示す。502は、採取した直後(1日目)のコーティングなしのレモンのうち1つの高解像度写真であり、504は、同じ日に採取しコーティングした直後のレモンの高解像度写真である。512及び514はそれぞれ、22日目、つまり写真502及び504の21日後のコーティングなしのレモン及びコーティングしたレモンの写真である。断面積の損失(これは質量損失に直接関連する)を更に良好に可視化するため、1日目のコーティングなしのレモンの外形のオーバーレイ522を512の周りに示し、1日目のコーティングしたレモンの外形のオーバーレイ524を514の周りに示す。
[00162] 図6は、コーティングしたレモン(602)及びコーティングなしのレモン(604)について、20日の期間にわたる時間の関数として断面積の低減を示すプロットである。具体的には、それぞれの日で、各レモンの高解像度画像を(図5におけるように)撮影し、画像処理ソフトウェアで解析して、レモンの初期断面積に対する特定の日のレモンの断面積を決定した。図6で見られるように、20日後、コーティングしたレモン(非複製群(non-duplicate group))の平均断面積は最初の平均断面積の93%であったのに対し、コーティングなしのレモン(非複製群)の平均断面積は最初の平均断面積の79%であった。
実施例4:低い平均相対湿度で貯蔵したイチゴの収穫後質量損失及びかび発生率に対するコーティングの効果
[00163] C16グリセリルエステルを用いた5つの溶液を調製して、低い平均相対湿度で貯蔵したイチゴの質量損失率に対するコーティング剤組成物の効果を調べた。イチゴをコーティングするため使用した5つの溶液はそれぞれ、10mg/mLの濃度で純粋エタノールに溶解した以下のコーティング剤の1つから構成された。第1の溶液のコーティング剤は純粋PA-1Gであった。第2の溶液のコーティング剤は75質量%のPA-1G及び25質量%のPA-2Gであった。第3の溶液のコーティング剤は50質量%のPA-1G及び50質量%のPA-2Gであった。第4の溶液のコーティング剤は25質量%のPA-1G及び75質量%のPA-2Gであった。第5の溶液のコーティング剤は純粋PA-2Gであった。
[00164] イチゴを同時に収穫し、各々が質的に同一である、15個のイチゴから成る6つの群に分割した(すなわち、全ての群のイチゴはほぼ同じ平均サイズ及び品質であった)。上述の5つの溶液からイチゴの5つの群に対するコーティングを形成するため(第6の群は未処理のままとした)、以下の手順に従ってイチゴにスプレーコーティングを行った。最初に、イチゴを乾燥棚に置いた。5つの溶液の各々を、細かい霧状噴射を発生するスプレーボトルに入れた。各ボトルについて、スプレーヘッドをイチゴから約6インチに保持し、イチゴにスプレーし、次いで乾燥棚で乾燥させた。乾燥させる間、及び試験を行った全持続時間にわたって、イチゴを約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下に保った。
[00165] 図7Aは、4日間にわたって、未処理のイチゴ及び上述した5つの溶液のうち1つでコーティングしたイチゴについて測定された1日の平均質量損失率を示すグラフである。バー702に対応するイチゴは未処理とした(対照群)。バー704に対応するイチゴは、第1の溶液(すなわち純粋PA-1G)でコーティングした。バー706に対応するイチゴは、第2の溶液(すなわち75%のPA-1G及び25%のPA-2G)で処理した。バー708に対応するイチゴは、第3の溶液(すなわち50%のPA-1G及び50%のPA-2G)で処理した。バー710に対応するイチゴは、第4の溶液(すなわち25%のPA-1G及び75%のPA-2G)で処理した。バー712に対応するイチゴは、第5の溶液(すなわち純粋PA-2G)で処理した。
[00166] 図7Aに示されているように、未処理のイチゴ(702)は1日当たり7.6%の平均質量損失率を示した。純粋PA-1G配合物で処理したイチゴ(704)は、6.4%の1日の平均質量損失率を示した。純粋PA-2G配合物で処理したイチゴ(712)は、6.1%の1日の平均質量損失率を示した。バー706に対応するイチゴ(PA-2Gに対するPA-1Gのモル比が3)は、5.9%の1日の平均質量損失率を示した。バー708に対応するイチゴ(PA-2Gに対するPA-1Gのモル比が1)は、5.1%の1日の平均質量損失率を示した。バー710に対応するイチゴ(PA-2Gに対するPA-1Gのモル比が0.33)は、4.8%の1日の平均質量損失率を示した。
[00167] 図7Bは、5日間にわたる、上述した温度及び相対湿度条件での4つのコーティングありのイチゴ及び4つのコーティングなしのイチゴの高解像度写真を示している。コーティングありのイチゴは、コーティング剤が質量比0.33で組み合わされたPA-1G及びPA-2Gの混合物である溶液(図7Aのバー710に対応する)でコーティングした群から得た。図示のように、未処理のイチゴは、3日目までに菌類の増殖及び変色を示し始め、5日目までに大部分が菌類で覆われた。これに対し、処理したイチゴは、5日目まで菌類の増殖を示さず、1日目及び5日目において全体的な色と外見は概ね同様であった。
実施例5:貯蔵中のブルーベリーのかび発生率に対する相対湿度の効果
[00168] 図2及び図3は、ブルーベリーに傷をつけ、接種し、次いで様々な相対湿度レベルで貯蔵した後、かび発生を示したブルーベリーの百分率を示す棒グラフである。図2を参照すると、24個のブルーベリーの群を4つ作り、ブルーベリーの上部(花の端部)の近くに針で傷をつけ(腐敗に対するブルーベリーの感受性を制御可能に増大させるため)、次いでボトリチスシネレア分生胞子を接種した。次いで、これらの群を室温(約18~20℃)に保ち、12日間にわたって異なる相対湿度レベルに維持した。第1の群は、相対湿度が12日間全体にわたって30~50%の範囲内である周囲条件に維持した。第2の群は75%相対湿度に維持し、第3の群は85%相対湿度に維持し、第4の群は飽和条件(約100%相対湿度)に維持した。所望の相対湿度は、露出した飽和塩溶液を含む7L容器中にブルーベリーの群を密閉することによって達成した。75%相対湿度では塩化ナトリウム、85%では塩化カリウム、100%では純水を用いた。図2は、5日後と12日後の、目に見えるかびの兆候を示した各群内のブルーベリーの百分率を示す。5日後には、第1の群、第2の群、又は第3の群のブルーベリーはかび発生を全く示さなかったが、第4の群のブルーベリーの38%は5日後にかび発生を示した。12日後には、30~50%相対湿度に維持されたブルーベリー(第1の群)は目に見えるかびを全く示さなかったが、75%相対湿度に維持されたブルーベリー(第2の群)の42%と、85%相対湿度に維持されたブルーベリー(第3の群)の100%が、目に見えるかび発生を示した。更に、100%相対湿度に維持されたブルーベリーの96%が目に見えるかび発生を示した。
[00169] 図3は図2と同様であるが、図3のデータのために使用したブルーベリーは下部(茎の端部)の近くに針で傷をつけ、次いでボトリチスシネレア分生胞子を接種した。次いで、24個のブルーベリーの群を4つ作り、室温(約18~20℃)に保ち、12日間にわたって異なる相対湿度レベルに維持した。第1の群は、相対湿度が12日間全体にわたって30~50%の範囲内である周囲条件に維持した。第2の群は75%相対湿度に維持し、第3の群は85%相対湿度に維持し、第4の群は飽和条件(約100%相対湿度)に維持した。所望の相対湿度は、露出した飽和塩溶液を含む7L容器中にブルーベリーの群を密閉することによって達成した。75%相対湿度では塩化ナトリウム、85%では塩化カリウム、100%では純水を用いた。図3は、5日後と12日後の、目に見えるかびの兆候を示した各群内のブルーベリーの百分率を示す。第1の群のブルーベリーは、5日後にも12日後にもかび発生を全く示さなかった。第2の群では、5日後にブルーベリーの42%が目に見えるかび発生を示し、12日後に92%が目に見えるかび発生を示した。第3の群では、5日後にブルーベリーの58%が目に見えるかび発生を示し、12日後に96%が目に見えるかび発生を示した。第4の群では、5日後にブルーベリーの88%が目に見えるかび発生を示し、12日後に全て(100%)が目に見えるかび発生を示した。
[00170] 図4は、様々な相対湿度で貯蔵した傷をつけなかったブルーベリー群におけるかび発生率のプロットである。図4のプロットでは、どれも傷をつけていない50個のブルーベリーの群を3つ作り、ボトリチスシネレア分生胞子を接種した。次いで、相対湿度の上昇がかび/腐敗の発生に対して及ぼす効果を実証するため、これらの群を室温(約18~20℃)に保ち、20日間にわたって異なる相対湿度レベルに維持した。第1の群は75%相対湿度に維持し、第2の群は85%相対湿度に維持し、第3の群は飽和条件(約100%相対湿度)に維持した。所望の相対湿度は、露出した飽和塩溶液を含む7L容器中にブルーベリーの群を密閉することによって達成した。75%相対湿度では塩化ナトリウム、85%では塩化カリウム、100%では純水を用いた。図4は、6日後、8日後、11日後、14日後、16日後、及び20日後の、目に見えるかびの兆候を示した各群内のブルーベリーの百分率を示す。図示のように、飽和条件に維持した群(第3の群)のかび発生率が最も高く、次は85%相対湿度に維持した群(第2の群)であった。75%相対湿度に維持した群(第1の群)はかび発生率が最低であった。具体的には、20日後、第1の群のブルーベリーの28%が目に見えるかび発生の兆候を示し、第2の群のブルーベリーの42%が目に見えるかびの兆候を示し、第3の群のブルーベリーの74%が目に見えるかび発生の兆候を示した。
実施例6:周囲温度及び湿度で貯蔵したブルーベリーの質量損失率に対するコーティングの効果
[00171] 純粋エタノール(殺菌剤)に溶解したPA-1G(25%)及びPA-2G(75%)の混合物で形成されるコーティング剤を含む2つの溶液を調製した。第1の溶液では、コーティング剤を10mg/mLの濃度でエタノールに溶解し、第2の溶液では、コーティング剤を20mg/mLの濃度でエタノールに溶解した。
[00172] ブルーベリーを同時に収穫し、各々が質的に同一である、60個のブルーベリーから成る3つの群に分割した(すなわち、全ての群のブルーベリーはほぼ同じ平均サイズ及び品質であった)。第1の群は未処理のブルーベリーの対照群とし、第2の群は10mg/mL溶液で処理し、第3の群は20mg/mL溶液で処理した。
[00173] ブルーベリーを処理するため、各ブルーベリーをピンセットでつまみ、個々に溶液中に約1秒間浸し、その後、乾燥棚に置いて乾燥させた。乾燥させる間、及び試験を行った全持続時間にわたって、ブルーベリーを約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下に保った。毎日ブルーベリーを慎重に計量することによって、質量損失を測定した。報告された質量損失百分率は、初期質量に対する質量低減率と等しかった。
[00174] 図8は、未処理の(対照)ブルーベリー(802)、10mg/mLの第1の溶液を用いて処理したブルーベリー(804)、及び20mg/mLの第2の溶液を用いて処理したブルーベリー(806)の、5日間にわたる質量損失百分率のプロットを示している。図示のように、未処理のブルーベリーの質量損失百分率は5日後に19.2%であったのに対し、10mg/mL溶液で処理したブルーベリーの質量損失百分率は5日後に15%であり、20mg/mL溶液で処理したブルーベリーの質量損失百分率は5日後に10%であった。
[00175] 図9は、コーティングなしのブルーベリー(902)及び10mg/mL溶液でコーティングしたブルーベリー(904)の、5日目に撮影した高解像度写真を示している。コーティングなしのブルーベリー(902)の皮は、ブルーベリーの質量損失の結果として多くのしわができたのに対し、10mg/mL溶液でコーティングしたブルーベリー(904)の皮は極めて滑らかなままであった。
実施例7:様々な相対湿度で貯蔵したブルーベリーの質量損失率に対するコーティングの効果
[00176] 図10及び図11は、周囲温度(約20℃)において様々な相対湿度レベルで貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーの群について、23日の期間中の1日の平均質量損失率のプロットである。双方のグラフの各バーは、50個のブルーベリーから成る群を表している。図10に対応するブルーベリーはコーティング/試験の前に1%漂白溶液中に2分間浸すことで殺菌し、図11に対応するブルーベリーは殺菌を行わずにコーティング/試験した。コーティングは全てのブルーベリーに対して以下のように形成した。最初に、80%エタノール(すなわちエタノールと水の80:20混合物)に20mg/mLの濃度でコーティング剤を溶解することによって溶液を形成した。コーティング剤はPA-1G及びPA-2Gの30:70混合物であった。次に、ブルーベリーを袋に入れ、組成物を含む溶液を袋の中に流し込んだ。次いで袋を密閉し、各ブルーベリーの全表面が濡れるまで軽く攪拌した。次いでブルーベリーを袋から取り出し、乾燥棚で乾燥させた。
[00177] 図10を参照すると、バー1040、1030、1020、及び1010は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーに対応し、バー1042、1032、1022、及び1012は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーに対応する。図11を参照すると、バー1140、1130、1120、及び1110は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーに対応し、バー1142、1132、1122、及び1112は、それぞれ100%(飽和条件)、85%、75%、及び約55%(ほぼ周囲湿度)の相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーに対応する。双方のグラフの各バーは、50個のブルーベリーから成る群を表している。所望の相対湿度は、露出した飽和塩溶液を含む7L容器中に50個のブルーベリーから成る各群を密閉することによって達成した。75%相対湿度では塩化ナトリウム、85%では塩化カリウム、100%では純水を用いた。
[00178] 図10を参照すると、コーティングの前に殺菌したブルーベリーでは、周囲湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり3.14%の平均質量損失率を示し、周囲湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり2.12%の平均質量損失率を示した。75%相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり1.76%の平均質量損失率を示し、75%相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり1.38%の平均質量損失率を示した。85%相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり1.53%の平均質量損失率を示し、85%相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり1.34%の平均質量損失率を示した。100%相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり0.09%の平均質量損失率を示し、100%相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり0.07%の平均質量損失率を示した。
[00179] 図11を参照すると、コーティングの前に殺菌しなかったブルーベリーでは、周囲湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり2.97%の平均質量損失率を示し、周囲湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり2.47%の平均質量損失率を示した。75%相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり1.41%の平均質量損失率を示し、75%相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり1.40%の平均質量損失率を示した。85%相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり1.23%の平均質量損失率を示し、85%相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり1.10%の平均質量損失率を示した。100%相対湿度で貯蔵したコーティングなしのブルーベリーは1日当たり0.08%の平均質量損失率を示し、100%相対湿度で貯蔵したコーティングありのブルーベリーは1日当たり0.06%の平均質量損失率を示した。
実施例8:様々な相対湿度で貯蔵したブルーベリーのかび発生率に対するコーティングの効果
[00180] 図12~図17は、様々な相対湿度レベルで貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしの双方のエメラルドブルーベリーについて、ブルーベリーかび発生率(すなわち目に見えるかび発生を示すブルーベリーの百分率)を時間の関数として示すプロットである。各条件で50個のブルーベリーを測定した。コーティングは全てのブルーベリーに対して以下のように形成した。最初に、80%エタノール(すなわちエタノールと水の80:20混合物)に20mg/mLの濃度でコーティング剤を溶解することによって溶液を形成した。コーティング剤はPA-1G及びPA-2Gの30:70混合物であった。次に、ブルーベリーを袋に入れ、組成物を含む溶液を袋の中に流し込んだ。次いで袋を密閉し、各ブルーベリーの全表面が濡れるまで軽く攪拌した。次いでブルーベリーを袋から取り出し、乾燥棚で乾燥させた。
[00181] 図12~図14は、それぞれ75%、85%、及び100%の相対湿度において周囲温度(約20℃)で貯蔵したブルーベリーに対応し、図15~図17は、それぞれ75%、85%、及び100%の相対湿度において2℃で貯蔵したブルーベリーに対応する。所望の相対湿度は、露出した飽和塩溶液を含む7L容器中に50個のブルーベリーから成る各群を密閉することによって達成した。75%相対湿度では塩化ナトリウム、85%では塩化カリウム、100%では純水を用いた。図12~図14において、データライン1220、1330、及び1440はコーティングなしのブルーベリーに対応し、データライン1222、1332、及び1442はコーティングありのブルーベリーに対応する。図15~図17において、データライン1520、1630、及び1740はコーティングなしのブルーベリーに対応し、データライン1522、1632、及び1742はコーティングありのブルーベリーに対応する。また、周囲湿度(約55%相対湿度)で貯蔵したコーティングあり及びコーティングなしのブルーベリーのかび発生率を、周囲温度(約20℃)及び2℃の双方で測定したが、図12~図17に報告した時間期間中、ブルーベリーのいずれにおいても目に見えるかびの兆候は観察されなかった。
[00182] 図12~図14は、周囲温度における貯蔵の6日後、8日後、11日後、14日後、16日後、及び20日後のかび発生率のプロットを示す。図示のように、75%相対湿度において周囲温度で貯蔵したブルーベリーでは、20日後に、コーティングなしのブルーベリーの20%が目に見えるかび発生を示し、コーティングありのブルーベリーの14%のみが目に見えるかび発生を示した。85%相対湿度において周囲温度で貯蔵したブルーベリーでは、20日後に、コーティングなしのブルーベリーの28%が目に見えるかび発生を示し、コーティングありのブルーベリーの8%のみが目に見えるかび発生を示した。100%相対湿度において周囲温度で貯蔵したブルーベリーでは、20日後に、コーティングなしのブルーベリーの74%が目に見えるかび発生を示し、コーティングありのブルーベリーの56%のみが目に見えるかび発生を示した。
[00183] 図15~図17で見られるように、貯蔵温度を2℃まで低下させると周囲室温に比べてかび発生の開始が遅れるので、図15~図17におけるかび発生率は、貯蔵の24日後、26日後、30日後、33日後、35日後、及び37日後でプロットされている。75%相対湿度において2℃で貯蔵したブルーベリーでは、37日後に、コーティングなしのブルーベリーの8%が目に見えるかび発生を示し、コーティングありのブルーベリーの4%のみが目に見えるかび発生を示した。85%相対湿度において2℃で貯蔵したブルーベリーでは、37日後に、コーティングなしのブルーベリーの68%が目に見えるかび発生を示し、コーティングありのブルーベリーの16%のみが目に見えるかび発生を示した。100%相対湿度において2℃で貯蔵したブルーベリーでは、37日後に、コーティングなしのブルーベリーの80%が目に見えるかび発生を示し、コーティングありのブルーベリーの50%のみが目に見えるかび発生を示した。
実施例9:周囲温度及び湿度で貯蔵したフィンガライムの質量損失率に対するコーティングの効果
[00184] C16グリセリルエステルを用いた5つの溶液を調製して、低い平均相対湿度で貯蔵したフィンガライムの質量損失率に対するコーティング剤組成物の効果を調べた。フィンガライムをコーティングするため使用した5つの溶液はそれぞれ、10mg/mLの濃度で純粋エタノールに溶解した以下のコーティング剤の1つから構成された。第1の溶液のコーティング剤は純粋PA-1Gであった。第2の溶液のコーティング剤は75質量%のPA-1G及び25質量%のPA-2Gであった。第3の溶液のコーティング剤は50質量%のPA-1G及び50質量%のPA-2Gであった。第4の溶液のコーティング剤は25質量%のPA-1G及び75質量%のPA-2Gであった。第5の溶液のコーティング剤は純粋PA-2Gであった。
[00185] フィンガライムを同時に収穫し、各々が質的に同一である、24個のフィンガライムから成る6つの群に分割した(すなわち、全ての群のフィンガライムはほぼ同じ平均サイズ及び品質であった)。上述の5つの溶液からフィンガライムの5つの群に対するコーティングを形成するため(第6の群は未処理のままとした)、24個のフィンガライムから成る群をそれぞれ袋に入れ、対応する組成物を含む溶液を袋の中に流し込んだ。次いで袋を密閉し、各フィンガライムの全表面が濡れるまで軽く攪拌した。次いでフィンガライムを袋から取り出し、乾燥棚で乾燥させた。乾燥させる間、及び試験を行った全持続時間にわたって、フィンガライムを約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下に保った。
[00186] 図18は、未処理のフィンガライム及び上述した5つの溶液の各々でコーティングしたフィンガライムについて、1日当たりの平均質量損失率を示すグラフである。バー1802に対応するフィンガライムは未処理とした(対照群)。バー1804に対応するフィンガライムは、第1の溶液(すなわち純粋PA-1G)でコーティングした。バー1806に対応するフィンガライムは、第2の溶液(すなわち75%のPA-1G及び25%のPA-2G)でコーティングした。バー1808に対応するフィンガライムは、第3の溶液(すなわち50%のPA-1G及び50%のPA-2G)で処理した。バー1810に対応するフィンガライムは、第4の溶液(すなわち25%のPA-1G及び75%のPA-2G)で処理した。バー1812に対応するフィンガライムは、第5の溶液(すなわち純粋PA-2G)でコーティングした。
[00187] 図18に示されているように、コーティングなしのフィンガライム(1802)は、1日当たり5.3%の平均質量損失率を示した。実質的に純粋なPA-1Gの配合物でコーティングしたフィンガライム(1804)は、1日当たり4.3%の平均質量損失率を示した。バー1806に対応するフィンガライム(PA-1GとPA-2Gの質量比が75:25)は、1日当たり3.4%の平均質量損失率を示した。バー1808に対応するフィンガライム(PA-1GとPA-2Gの質量比が50:50)は、1日当たり3.3%の平均質量損失率を示した。バー1810に対応するフィンガライム(PA-1GとPA-2Gの質量比が25:75)は、1日当たり2.5%の平均質量損失率を示した。実質的に純粋なPA-2Gの配合物でコーティングしたフィンガライム(1812)は、1日当たり3.7%の平均質量損失率を示した。
実施例10:周囲温度及び湿度で貯蔵したアボカドの質量損失率に対するコーティングの効果
[00188] 1-グリセリル及び2-グリセリルエステルの組み合わせを用いた9つの溶液を調製して、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液で処理することでアボカドにコーティングを形成したアボカドの質量損失率に対するコーティング剤組成物の効果を調べた。各溶液は、5mg/mLの濃度で純粋エタノールに溶解した以下に記載するコーティング剤で構成された。
[00189] 第1の溶液は、1:3のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第2の溶液は、1:1のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第3の溶液は、3:1のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第4の溶液は、3:1のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第5の溶液は、1:1のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第6の溶液は、1:3のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第7の溶液は、1:3のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第8の溶液は、1:1のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第9の溶液は、3:1のモル比で組み合わせた2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。
[00190] アボカドを同時に収穫し、各々が質的に同一である、30個のアボカドから成る9つの群に分割した(すなわち、全ての群のアボカドはほぼ同じ平均サイズ及び品質であった)。コーティングを形成するため、各アボカドを個別に溶液のうち1つに浸し、30個のアボカドから成る各群をそれぞれ同じ溶液で処理した。次いでアボカドを乾燥棚に置いて、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の相対湿度の周囲室内条件下で乾燥させた。試験を行った全持続時間中、アボカドを全てこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。
[00191] 図19は、上述した9つの溶液のうち1つでそれぞれ処理したアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。バー1902は第1の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー1904は第2の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー1906は第3の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応し、バー1912は第4の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー1914は第5の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー1916は第6の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応し、バー1922は第7の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー1924は第8の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー1926は第9の溶液(2,3-ジヒドロキシプロパン-2-オクタデカノアート及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応する。前述のように、「貯蔵寿命係数」という用語は、処理した農産物の1日当たりの平均質量損失率に対する対応した未処理の農産物の1日当たりの平均質量損失率(対照群について測定される)の比である。従って、1よりも大きい貯蔵寿命係数は、未処理の農産物に比べて処理した農産物の1日当たりの平均質量損失率が小さいことに対応し、より大きい貯蔵寿命係数は、1日当たりの平均質量損失率のより大きな低減に対応する。
[00192] 図19に示されているように、第1の溶液を用いたコーティング(1902)では貯蔵寿命係数は1.48であり、第2の溶液を用いたコーティング(1904)では貯蔵寿命係数は1.42であり、第3の溶液を用いたコーティング(1906)では貯蔵寿命係数は1.35であり、第4の溶液を用いたコーティング(1912)では貯蔵寿命係数は1.53であり、第5の溶液を用いたコーティング(1914)では貯蔵寿命係数は1.45であり、第6の溶液を用いたコーティング(1916)では貯蔵寿命係数は1.58であり、第7の溶液を用いたコーティング(1922)では貯蔵寿命係数は1.54であり、第8の溶液を用いたコーティング(1924)では貯蔵寿命係数は1.47であり、第9の溶液を用いたコーティング(1926)では貯蔵寿命係数は1.52であった。
実施例11:アボカドの腐敗を低減するためのコーティング剤の使用 - 脂肪酸及びグリセリルエステルの組み合わせを用いたコーティング剤組成物の効果
[00193] 脂肪酸及びグリセリルエステルの組み合わせを用いた9つの溶液を調製して、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液で処理することでアボカドにコーティングを形成したアボカドの質量損失率に対するコーティング剤組成物の効果を調べた。各溶液は、5mg/mLの濃度で純粋エタノールに溶解した以下に記載するコーティング剤で構成された。
[00194] 第1の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたテトラデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第2の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたテトラデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第3の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたテトラデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第4の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたヘキサデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第5の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたヘキサデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第6の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたヘキサデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第7の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたオクタデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第8の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたオクタデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第9の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたオクタデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。
[00195] アボカドを同時に収穫し、各々が質的に同一である、30個のアボカドから成る9つの群に分割した(すなわち、全ての群のアボカドはほぼ同じ平均サイズ及び品質であった)。コーティングを形成するため、各アボカドを個別に溶液のうち1つに浸し、30個のアボカドから成る各群をそれぞれ同じ溶液で処理した。次いでアボカドを乾燥棚に置いて、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の相対湿度の周囲室内条件下で乾燥させた。試験を行った全持続時間中、アボカドを全てこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。
[00196] 図20は、上述した9つの溶液のうち1つでそれぞれ処理したアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。バー2002は第1の溶液(テトラデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2004は第2の溶液(テトラデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2006は第3の溶液(テトラデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応し、バー2012は第4の溶液(ヘキサデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2014は第5の溶液(ヘキサデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2016は第6の溶液(ヘキサデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応し、バー2022は第7の溶液(オクタデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2024は第8の溶液(オクタデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2026は第9の溶液(オクタデカン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応する。
[00197] 図20に示されているように、第1の溶液における処理(2002)では貯蔵寿命係数は1.39であり、第2の溶液における処理(2004)では貯蔵寿命係数は1.35であり、第3の溶液における処理(2006)では貯蔵寿命係数は1.26であり、第4の溶液における処理(2012)では貯蔵寿命係数は1.48であり、第5の溶液における処理(2014)では貯蔵寿命係数は1.40であり、第6の溶液における処理(2016)では貯蔵寿命係数は1.30であり、第7の溶液における処理(2022)では貯蔵寿命係数は1.54であり、第8の溶液における処理(2024)では貯蔵寿命係数は1.45であり、第9の溶液における処理(2026)では貯蔵寿命係数は1.35であった。
実施例12:アボカドの腐敗を低減するためのコーティング剤の使用 - エチルエステル及びグリセリルエステル又は脂肪酸及びグリセリルエステルの組み合わせを用いたコーティング剤組成物の効果
[00198] エチルエステル及びグリセリルエステル又は脂肪酸及びグリセリルエステルの組み合わせを用いた15の溶液を調製して、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液で処理することでアボカドにコーティングを形成したアボカドの質量損失率に対するコーティング剤組成物の効果を調べた。各溶液は、5mg/mLの濃度で純粋エタノールに溶解した以下に記載するコーティング剤で構成された。
[00199] 第1の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたパルミチン酸エチル及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第2の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたパルミチン酸エチル及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第3の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたパルミチン酸エチル及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第4の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたオレイン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第5の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたオレイン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第6の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたオレイン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートを含んだ。第7の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたテトラデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第8の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたテトラデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第9の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたテトラデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第10の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたヘキサデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第11の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたヘキサデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第12の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたヘキサデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第13の溶液は、1:3のモル比で組み合わせたオクタデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第14の溶液は、1:1のモル比で組み合わせたオクタデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。第15の溶液は、3:1のモル比で組み合わせたオクタデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートを含んだ。
[00200] アボカドを同時に収穫し、各々が質的に同一である、30個のアボカドから成る9つの群に分割した(すなわち、全ての群のアボカドはほぼ同じ平均サイズ及び品質であった)。コーティングを形成するため、各アボカドを個別に溶液のうち1つに浸し、30個のアボカドから成る各群をそれぞれ同じ溶液で処理した。次いでアボカドを乾燥棚に置いて、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の相対湿度の周囲室内条件下で乾燥させた。試験を行った全持続時間中、アボカドを全てこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。
[00201] 図21は、上述した15の溶液のうち1つでそれぞれ処理したアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。バー2101は第1の溶液(パルミチン酸エチル及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2102は第2の溶液(パルミチン酸エチル及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2103は第3の溶液(パルミチン酸エチル及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応し、バー2111は第4の溶液(オレイン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2112は第5の溶液(オレイン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2113は第6の溶液(オレイン酸及び1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルヘキサデカノアートの3:1混合物)に対応し、バー2121は第7の溶液(テトラデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2122は第8の溶液(テトラデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2123は第9の溶液(オクタデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカンの3:1混合物)に対応し、バー2131は第10の溶液(ヘキサデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2132は第11の溶液(ヘキサデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2133は第12の溶液(ヘキサデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの3:1混合物)に対応し、バー2141は第13の溶液(オクタデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの1:3混合物)に対応し、バー2142は第14の溶液(オクタデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの1:1混合物)に対応し、バー2143は第15の溶液(オクタデカン酸及び2,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノアートの3:1混合物)に対応する。
[00202] 図21に示されているように、第1の溶液における処理(2101)では貯蔵寿命係数は1.54であり、第2の溶液における処理(2102)では貯蔵寿命係数は1.45であり、第3の溶液における処理(2103)では貯蔵寿命係数は1.32であり、第4の溶液における処理(2111)では貯蔵寿命係数は1.50であり、第5の溶液における処理(2112)では貯蔵寿命係数は1.32であり、第6の溶液における処理(2113)では貯蔵寿命係数は1.29であり、第7の溶液における処理(2121)では貯蔵寿命係数は1.76であり、第8の溶液における処理(2122)では貯蔵寿命係数は1.68であり、第9の溶液における処理(2123)では貯蔵寿命係数は1.46であり、第10の溶液における処理(2131)では貯蔵寿命係数は1.72であり、第11の溶液における処理(2132)では貯蔵寿命係数は1.66であり、第12の溶液における処理(2133)では貯蔵寿命係数は1.56であり、第13の溶液における処理(2141)では貯蔵寿命係数は1.76であり、第14の溶液における処理(2142)では貯蔵寿命係数は1.70であり、第15の溶液における処理(2143)では貯蔵寿命係数は1.47であった。
実施例13:アボカドの腐敗を低減するためのコーティング剤の使用 - 脂肪酸及び1-グリセロールエステルの組み合わせを用いたコーティングの効果
[00203] 1-グリセロールエステル及び脂肪酸の組み合わせを用いた9つの溶液を調製して、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液で処理することでアボカドにコーティングを形成したアボカドの質量損失率に対するコーティング剤組成物の効果を調べた。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解した対応する混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。
[00204] 結果が図22に示されている。図22は、化学式I-Bの化合物及び脂肪酸の添加物を含む混合物でそれぞれコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。全ての混合物は、化学式I-Bの化合物(すなわち、1-グリセロールエステル)と脂肪酸を1:1のモル比で混合した。バー2201~2203は、化学式I-Bの化合物としてのMA-1Gと、脂肪酸の添加物としてのMA(2201)、PA(2202)、及びSA(2203)とを含むコーティングに対応する。バー2211~2213は、化学式I-Bの化合物としてのPA-1Gと、脂肪酸の添加物としてのMA(2211)、PA(2212)、及びSA(2213)とを含むコーティングに対応する。バー2221~2223は、化学式I-Bの化合物としてのSA-1Gと、脂肪酸の添加物としてのMA(2221)、PA(2222)、及びSA(2223)とを含むコーティングに対応する。グラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。
[00205] 図示のように、貯蔵寿命係数は、1-モノアシルグリセリドの炭素鎖長が長くなると増大する傾向があった。第1の溶液による処理(2201)では貯蔵寿命係数は1.25であった。第2の溶液による処理(2202)では貯蔵寿命係数は1.35であった。第3の溶液による処理(2203)では貯蔵寿命係数は1.32であった。第4の溶液による処理(2211)では貯蔵寿命係数は1.51であった。第5の溶液による処理(2212)では貯蔵寿命係数は1.51であった。第6の溶液による処理(2213)では貯蔵寿命係数は1.37であった。第7の溶液による処理(2221)では貯蔵寿命係数は1.69であった。第8の溶液による処理(2222)では貯蔵寿命係数は1.68であった。第9の溶液による処理(2223)では貯蔵寿命係数は1.70であった。
実施例14:アボカドの腐敗を低減するためのコーティング剤の使用 - 1-グリセロールエステルの組み合わせを用いたコーティングの効果
[00206] 2つの異なる1-グリセロールエステルの組み合わせを用いた3つの溶液を調製して、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液で処理することでアボカドにコーティングを形成したアボカドの質量損失率に対するコーティング剤組成物の効果を調べた。5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解した対応する混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。
[00207] 結果が図23に示されている。図23は、1:1のモル比で混合した化学式I-Bの2つの異なる化合物(すなわち、2つの異なる1-グリセロールエステル)を含む混合物でそれぞれコーティングしたアボカドの貯蔵寿命係数を示すグラフである。各混合物において、化学式I-Bの2つの化合物は炭素鎖長が異なっている。バー2302はSA-1G(C18)及びPA-1G(C16)の混合物に対応し、バー2304はSA-1G(C18)及びMA-1G(C14)の混合物に対応し、バー2306はPA-1G(C16)及びMA-1G(C14)の混合物に対応する。グラフの各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。
[00208] 図示のように、PA-1G/MA-1G混合物(2306)では貯蔵寿命係数は1.44であり、SA-1G/PA-1G混合物(2302)では貯蔵寿命係数は1.51であり、SA-1G/MA-1G混合物(2304)では貯蔵寿命係数は1.6であった。
実施例15:アボカドの腐敗を低減するためのコーティング剤の使用 - 3成分の組み合わせを用いたコーティングの効果
[00209] SA1G、PA2G、及びPA(任意選択的)の組み合わせを含む3つの溶液を調製して、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液で処理することでアボカドにコーティングを形成したアボカドの質量損失率に対する3成分組成物の効果を調べた。
[00210] 5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解した対応する混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。結果が図24に示されている。図24の各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。
[00211] バー2402は、質量比30:70:0で混合したSA-1G(第1の添加物、化学式I-Bの化合物)、PA-2G(化学式I-Aの化合物)、及びPA(化学式Iの化合物)を含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。このコーティングでは、貯蔵寿命係数は1.6であった。バー2404は、質量比30:50:20で混合したSA-1G、PA-2G、及びPAを含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。すなわち、バー2402に対応する化合物と比較すると、バー2404のコーティング配合物は、バー2404の配合物が50%(質量)の化学式I-Aの化合物及び50%(質量)の添加物となるように、バー1602に対応する配合物中のPA-2Gの部分を除去し、これをPAで置き換えることによって形成され得る。図示のように、貯蔵寿命係数は1.55である。バー2406は、質量比30:30:40で混合したSA-1G、PA-2G、及びPA(すなわち、更にPA-2Gを除去し、これをPAで置き換える)を含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。この場合、配合物は、30%(質量)のみの化学式I-Aの化合物及び70%(質量)の添加物であった。図示のように、貯蔵寿命係数は1.43である。
実施例16:アボカドの腐敗を低減するためのコーティング剤の使用 - 1-グリセロールエステルの組み合わせを用いたコーティングの効果
[00212] SA1G、OA(任意選択的)、及びPAの組み合わせを含む3つの溶液を調製して、溶媒に溶解したコーティング剤を含む溶液で処理することでアボカドにコーティングを形成したアボカドの質量損失率に対する3成分組成物の効果を調べた。
[00213] 5mg/mLの濃度で実質的に純粋なエタノールに溶解した対応する混合物を含む溶液中にアボカドを浸し、アボカドを乾燥棚に置き、約23~27℃の範囲内の温度及び約40~55%の範囲内の湿度の周囲室内条件下でアボカドを乾燥させることによって、全てのコーティングを形成した。試験を行った全持続時間中、アボカドをこれらの同じ温度及び湿度条件に保持した。結果が図25に示されている。図25の各バーは、30個のアボカドから成る群を表している。
[00214] バー2502は、質量比50:0:50で混合したSA-1G(化学式I-Bの化合物)、OA、及びPA(第1の脂肪酸)を含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。これらのアボカドの貯蔵寿命係数は1.47であった。バー2504は、質量比45:10:45で混合したSA-1G、OA、及びPAを含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。すなわち、バー2502に対応する化合物と比較すると、バー2504のコーティング配合物は、バー2502の配合物中のSA-1G及びPAを等しい部分(質量)だけ除去し、これらをOAで置き換えることによって形成され得る。これらのアボカドの貯蔵寿命係数は1.41であった。バー2506は、質量比40:20:40で混合したSA-1G、OA、及びPAを含む混合物でコーティングしたアボカドに対応する。すなわち、バー2504に対応する化合物と比較すると、バー2506のコーティング配合物は、バー2504の配合物中のSA-1G及びPAを等しい部分(質量)だけ更に除去し、これらをOAで置き換えることによって形成され得る。これらのアボカドの貯蔵寿命係数は1.33であった。
[00215] 組成物及び方法の様々な実施について上述した。しかしながら、それらは限定でなく単なる例示として提示されていることは理解されよう。上述の方法及びステップが、特定の順序で発生する特定のイベントを示している場合、特定のステップの順序を変更できること、及びそのような変更が本開示の変形に従っていることは、本開示の利益を有する当業者には認められるであろう。実施について具体的に図示し記載したが、形態及び詳細において様々な変更を行い得ることは理解されよう。従って、他の実施は以下の特許請求の範囲内にある。

Claims (30)

  1. 収穫した農産物の貯蔵中の腐敗を低減する方法であって、
    モノアシルグリセリドを少なくとも40質量%含むコーティング剤を溶媒に溶解して溶液を形成することであって、前記モノアシルグリセリドの炭素鎖長は13よりも長い、ことと、
    前記溶液を前記農産物の表面に塗布することと、
    前記溶媒を少なくとも90%蒸発させて前記農産物上に0.5~5ミクロンの厚さのコーティングを形成することと、
    前記農産物の貯蔵中に菌類の増殖を抑制するため80%未満の平均相対湿度レベルで前記農産物を閉鎖型容器内に貯蔵することと、
    を含み、
    前記コーティングは、前記平均相対湿度レベルにおいて前記農産物の質量損失率を低減させるように配合されており、
    前記容器は、前記容器内の湿度レベルを前記平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む、
    方法。
  2. 収穫した農産物の貯蔵中の腐敗を低減する方法であって、
    表面上に0.5~5ミクロンの厚さのコーティングが形成された前記農産物を受け取ることであって、前記コーティングは、ノアシルグリセリドを少なくとも40質量%含むコーティング剤から形成されており、前記モノアシルグリセリドの炭素鎖長は13よりも長い、ことと、
    前記農産物を平均相対湿度レベルで閉鎖型容器内に貯蔵することであって、前記平均相対湿度レベルは前記農産物の貯蔵中に菌類の増殖を抑制するため80%未満である、ことと、
    を含み、
    前記コーティングは、前記平均相対湿度レベル以下の相対湿度レベルにおいて前記農産物の質量損失率を低減させるように配合されており、
    前記容器は、前記容器内の湿度レベルを前記平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む、
    方法。
  3. 農産物を貯蔵する方法であって、
    ノアシルグリセリドを少なくとも40質量%含むコーティング剤を溶媒に溶解して溶液を形成することであって、前記モノアシルグリセリドの炭素鎖長は13よりも長い、ことと、
    前記溶液を前記農産物の表面に塗布することと、
    前記溶媒を少なくとも90%蒸発させて前記農産物上に0.5~5ミクロンの厚さのコーティングを形成することと、
    50%から80%の範囲内の平均相対湿度レベルで前記農産物を閉鎖型容器内に貯蔵することと、
    を含み、
    前記容器は、前記容器内の湿度レベルを前記平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む、
    方法。
  4. 農産物を貯蔵する方法であって、
    前記農産物の表面にモノアシルグリセリドを少なくとも40質量%含むコーティング剤を塗布して、前記農産物の表面上に0.5~5ミクロンの厚さのコーティングを形成し、前記モノアシルグリセリドの炭素鎖長は13よりも長い、ことと、
    閉鎖型容器の外部の周囲湿度よりも高く、かつ80%未満の平均相対湿度レベルで、前記農産物を前記容器内に貯蔵することと、
    を含み、
    前記容器は、前記容器内の湿度レベルを前記平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む、
    方法。
  5. 農産物を貯蔵する方法であって、
    ノアシルグリセリドを少なくとも40質量%含むコーティング剤を溶媒に溶解して溶液を形成することであって、前記モノアシルグリセリドの炭素鎖長は13よりも長い、ことと、
    前記溶液を前記農産物の表面に塗布することと、
    前記溶媒を少なくとも90%蒸発させて前記農産物上に0.5~5ミクロンの厚さのコーティングを形成することと、
    80%未満の平均相対湿度レベルで前記農産物を貯蔵させることと、
    を含み、
    前記農産物は閉鎖型容器内に貯蔵され、
    前記容器は、前記容器内の湿度レベルを前記平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む、
    方法。
  6. 農産物を貯蔵する方法であって、
    ノアシルグリセリドを少なくとも40質量%含むコーティング剤を溶媒に溶解して形成された溶液を前記農産物の表面に塗布させることであって、前記溶媒を少なくとも90%蒸発させることにより前記農産物の前記表面上に0.5~5ミクロンの厚さのコーティングを形成し、前記モノアシルグリセリドの炭素鎖長は13よりも長い、ことと、
    80%未満の平均相対湿度レベルで前記農産物を閉鎖型容器内に貯蔵させることと、
    を含み、前記容器は、前記容器内の湿度レベルを前記平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む、方法。
  7. 農産物を貯蔵する方法であって、
    表面上に0.5~5ミクロンの厚さのコーティングが形成された農産物を受け取ることであって、前記コーティングは、モノアシルグリセリドを少なくとも40質量%含むコーティング剤から形成されており、前記モノアシルグリセリドの炭素鎖長は13よりも長い、ことと、
    80%未満の平均相対湿度レベルで前記農産物を閉鎖型容器内に貯蔵することであって、前記容器の内部体積の少なくとも20%に前記農産物が充填されている、ことと、
    を含み、
    前記容器は、前記容器内の湿度レベルを前記平均相対湿度レベルに維持するように構成された湿度コントローラを含む、
    方法。
  8. 前記農産物は前記平均相対湿度レベルで少なくとも1日間貯蔵される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記農産物は前記平均相対湿度レベルで少なくとも10日間貯蔵される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記方法は、前記農産物が貯蔵されている間に前記容器を輸送することを更に含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  11. 前記容器の体積の少なくとも30%に前記農産物が充填されている、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  12. 前記容器内の前記湿度レベルは前記容器の周りの周囲湿度とは異なる、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  13. 前記容器内の前記湿度レベルは前記容器の周りの前記周囲湿度よりも高い、請求項12に記載の方法。
  14. 前記容器は、前記容器内の温度を所定の温度範囲内に維持するように構成された温度コントローラを含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  15. 前記所定の温度範囲は-4℃から8℃である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記コーティング剤は前記農産物からの水分損失を低減するように配合されている、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  17. 前記コーティング剤は化学式Iの化合物を含み、
    ここで、Rは、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールは、任意選択的に1以上のC~Cアルキル又はヒドロキシで置換され、
    、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、
    、R、R、及びRは、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールは、任意選択的に-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、あるいは、
    及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、及び/又は、
    及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、
    14及びR15は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、又は-C~Cアルキニルであり、
    記号
    は、任意選択的に、単結合又はシス又はトランス二重結合を表し、
    nは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
    mは、0、1、2、又は3であり、
    qは、0、1、2、3、4、又は5であり、
    rは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8である、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  18. 前記コーティング剤は化学式I-Aの化合物を含み、
    ここで、各Rは独立に、-H又は-C~Cアルキルであり、
    各Rは独立に、-H、-C~Cアルキル、又は-OHから選択され、
    、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、
    、R、R、及びRは、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、あるいは、
    及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、及び/又は、
    及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、
    14及びR15は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、又は-C~Cアルキニルであり、
    記号
    は、任意選択的に、単結合又はシス又はトランス二重結合を表し、
    nは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
    mは、0、1、2、又は3であり、
    qは、0、1、2、3、4、又は5であり、
    rは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記コーティング剤は化学式I-Bの化合物を含み、
    ここで、各Rは独立に、-H又は-C~Cアルキルであり、
    各Rは独立に、-H、-C~Cアルキル、又は-OHから選択され、
    、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、
    、R、R、及びRは、それぞれ独立に、各出現において、-H、-OR14、-NR1415、-SR14、ハロゲン、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールは、任意選択的に1以上の-OR14、-NR1415、-SR14、又はハロゲンで置換され、あるいは、
    及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、及び/又は、
    及びRは、結合することでC~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、又は三員から六員の複素環を形成する炭素原子と結合することができ、
    14及びR15は、それぞれ独立に、各出現において、-H、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、又は-C~Cアルキニルであり、
    記号
    は、任意選択的に、単結合又はシス又はトランス二重結合を表し、
    nは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
    mは、0、1、2、又は3であり、
    qは、0、1、2、3、4、又は5であり、
    rは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記化学式I-Aの化合物に対する前記化学式I-Bの化合物の質量比は0.1から1.0の範囲内である、請求項19に記載の方法。
  21. 溶媒に前記コーティング剤を溶解して溶液を形成し、前記溶液を前記農産物の表面に塗布し、前記溶媒の少なくとも90%を蒸発させることによって、前記農産物上に前記コーティングが形成される、請求項2、又は4、又は7のいずれかに記載の方法。
  22. 前記溶媒はエタノール及び水のうち少なくとも1つを含む、請求項3、又は5から6、又は21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記平均相対湿度レベルは55%から65%の範囲内である、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  24. 前記農産物は-1℃から8℃の範囲内の温度で貯蔵される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  25. 前記コーティングは1ミクロン未満の厚さを有する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  26. 前記コーティングは可視範囲の光に対して少なくとも60%の平均透過率を有する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  27. 前記コーティングは更に前記農産物のかび発生を防止するように機能する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  28. 前記コーティングは更に前記農産物における細菌の増殖を防止するように機能する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  29. 前記コーティングは前記農産物のクチクラ層上に形成される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  30. 前記農産物は前記容器内に前記平均相対湿度レベルで少なくとも20日間貯蔵され、前記方法は前記少なくとも20日間の後に前記容器から前記農産物を取り出すことを更に含み、前記農産物は前記容器内に配置された際に第1の質量を有すると共に前記容器から取り出された時に第2の質量を有し、前記第1の質量から前記第2の質量への変化量は前記第1の質量の30%以内である、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
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