JP2004168669A - 農作物の腐敗防止剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キク科アルテミシア属植物に含まれるカピリンを有効成分とし、0.01〜1000μg/gの濃度で液体媒体に含有されている溶液で、農作物およびこれらを収納する容器等を処理する。
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、農作物の腐敗防止剤に関し、特に果物、野菜、穀物等に付着またはこれらを収納する袋、容器、箱、部屋、倉庫、輸送用コンテナ等に付着したカビの発生を貯蔵や輸送時に防止することができる腐敗防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
我が国はカビの増殖に好適な高温多湿地域であるため、カビの汚染による様々な社会的問題が多い。例えば果実、野菜、穀物等の農作物に付着したカビは収穫後、貯蔵や輸送時に時間の経過と共に生長、繁殖し、これらの外観を著しく損なってそれらの品質または利用価値を低下させ、あるいはこれらを本来の用途に適さないものにする等の弊害をもたらす。カビの発生による社会的、経済的損出は大きいことから、農作物のカビの発生や繁殖を防ぐことは極めて重要である。
【0003】
従来、収穫後の農作物のカビによる被害を防止する方法として活性酸素の含まれた活性酸素水を噴霧する方法(特許文献1参照)やショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする青果物の病害防止剤(特許文献2参照)、柑橘類の果皮に含まれる抗菌性物質を防カビ剤として使用する方法(特許文献3参照)、ヒノキ精油を抗カビ剤として使用する方法(特許文献4参照)などが提案されている。しかしながら、いずれもカビに対する殺菌性、抗菌性、効力持続期間の点からいずれも完全にカビの発生を防止するまでには至っていない。また収穫前の農作物には青カビ病、灰色カビ病などのプレハーベスト処理として農薬が使用され、収穫後のポストハーベスト処理としてチオベンダゾール、オルトフェニルフェノールなどの防カビ剤が海外産の柑橘類で使用されている。しかしながら対象が農作物である為、いずれも人体に対する安全性の面で近年は特に大きな問題となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−157166号公報
【特許文献2】
特開2000−139340号公報
【特許文献3】
特開平8−27005号公報
【特許文献4】
特許番号第2799677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を鑑み、安全性の高い抗カビ成分を農作物に噴霧や浸漬などで処理することによりカビの発生を防止する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、安全性の点から化学合成品より望ましいと考えられる天然資源の抗カビ物質について検討した結果、キク科アルテミシア属植物に含まれるカピリンを0.01〜1000μg/g含有する溶液を農作物に噴霧、浸漬またはそれらの収納物に噴霧するなどにより農作物や収納物に付着したカビの発生を長期間抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明はカピリンを特定量含有した溶液で処理することにより農作物や収納物に付着したカビの発生を防止する腐敗防止剤である。
【0007】
【化1】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のカピリンは、キク科アルテミシア属に含まれる精油成分で、中でも生薬インチンコウとして使用されているカワラヨモギ(学名:Artemisia capillaris Thumb.)に多く含まれている。カワラヨモギよりエタノール抽出などで得られたエキスはカワラヨモギ抽出物の名称で既存食品添加物に登録されており、安全性の高い原料である。カピリンは、主にカワラヨモギの花穂から抽出することができ、抽出溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類、メチルエーテル等のエーテル類等の有機溶媒、またこれらのうち水と混和する溶剤では水との混合溶剤を使用することができる。また、カワラヨモギから水蒸気蒸留により得たカピリン等を含有する精油成分をエタノール等に希釈して使用しても良い。更に、溶媒抽出物や水蒸気蒸留で得た精油成分を、カラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー等によりカピリンを分取してエタノール等に希釈して使用しても良い。この他、化学合成により合成したカピリンをエタノール等に希釈して使用しても良い。
【0009】
本発明の腐敗防止剤のカピリン含有量は、カビの発生を防止するための最低量としてカピリンを0.1μg/g以上必要である。好ましくは0.2〜100μg/g、更に好ましくは0.5〜60μg/g含有させるに足りる量を配合する。カピリンを1000μg/g以上配合した腐敗防止剤の効果は変わらず、また経済的でない。
【0010】
本発明の腐敗防止剤は果物や野菜等の青果物、穀物等の貯蔵や輸送時におけるカビの発生を防止する目的で使用することができ、プレハーベストやポストハーベストの代替として使用することができる。また腐敗防止剤で処理する方法は、特に限定されないが、農作物や収納容器に腐敗防止成分が付着する処理方法が望ましい。例えばスプレー法、浸漬法、刷毛塗り法などが挙げられる。また特にカビが発生しやすい部分には集中的に処理することもできる。
【0011】
本発明に適用される農作物の種類は何ら制限されることはないが、例としては、柑橘類、葡萄、イチゴ、桃、メロン、リンゴ、梨、バナナ、パイナップル、さくらんぼ等の果物、胡瓜、トマト、白菜、キャベツ、葱、玉ねぎ、人参、大根、生姜、ピーマン、茄子、かぼちゃ、もやし、ジャガイモ、さつま芋、栗等の野菜、米、小麦、大麦、大豆、粟、とうもろこし等の穀物が挙げられる。
【0012】
本発明が対象にしているカビの種類は特に問わない。農作物を腐敗させるカビとして代表的なものは青カビ(Penicillium 属等)、緑カビ(Penicillium 属等)、白カビ(Geotricum、Alternaria 等)等が挙げられる。
【0013】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下実施例中の数値の単位は、特に断りのない限り重量%である。
【0014】
【実施例1】
乾燥したカワラヨモギの花穂1kgに水10kgを加えて加熱し、水と共に精油成分を留出させた。留出液をヘキサンにて抽出し、ヘキサンを留去してカワラヨモギの精油成分3.7gを得た。精油成分を下記条件の分取高速液体クロマトグラフィーによりカピリンを分取し、ヘキサン抽出後ヘキサンを留去してカピリン0.56gを得た。尚、このものがカピリンであることはGC−MSにより確認した。
分取高速液体クロマトグラフィーの条件
【0015】
【実施例2】
乾燥したカワラヨモギの花穂100gにヘキサン500mLを加えて常温にて24時間浸漬して抽出後、ロ過し、ヘキサンを留去して油状物2.98gを得た。これを50%エタノール水溶液で1000gに希釈して腐敗防止剤(1)を得た。この腐敗防止剤(1)のカピリンの含有量は59.1μg/gであった。尚、カピリンの含有量は、下記条件の高速液体クロマトグラフィーにて分析し、実施例1で得たカピリンを用いて作成した検量線から含有量を求めた。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件
【0016】
【実施例3】
乾燥したカワラヨモギの花穂100gにエタノール500gを加えて常温にて24時間浸漬して抽出後、ロ過し、抽出液350gを得た。抽出液10gに精製水1000gを加えて腐敗防止剤(2)を得た。この腐敗防止剤(2)のカピリンの含有量は1.65μg/gであった。
【0017】
【実施例4】
収穫直後のウンシュウみかん果実を選別し、傷がなく且つ大きさや成熟度が同等であるものを選別した。青カビ(Penicillium paxilli NBRC 7119)の胞子を10の2乗/mlに調製し、各みかんに0.5mlずつ全体に噴霧した。風乾後、実施例2、3で得られた腐敗防止剤(1)、(2)を試験区、50%エタノール水溶液を対照区として0.5mlを各みかんに全体に噴霧し、風乾後、ダンボール箱に並べ、20℃に3ヶ月間貯蔵し、状態を観察した。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【実施例5】
収穫直後の葡萄(品種:巨峰)から、傷がなく且つ成熟度が同じ程度の房を選別した。これらを1房あたりの粒数が30になるようにカットし、実施例2、3で得られた腐敗防止剤(1)、(2)を試験区、50%エタノール水溶液を対照区として0.5mlを各葡萄に全体に噴霧した。風乾後、それぞれを別のプラスチック製のかごに入れ、20℃に1ヶ月間貯蔵し、状態を観察した。結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【実施例6】
収穫直後のプチトマトから、傷がなく且つ成熟度が同じ程度のものを選別した。実施例3で得られた腐敗防止剤(2)を試験区、精製水を対照区としてプチトマトをそれぞれ10個ずつ10秒間浸漬させた。風乾後、それぞれを別のプラスチック製のトレイに入れ、20℃に1ヶ月間貯蔵し、カビの発生が認められたトマトを計数した。結果を表3に示す。
【0022】
【表3】
【0023】
【実施例7】
透明ポリ袋(30cm×23cm)の内面に実施例3で得られた腐敗防止剤(2)1.0mlを噴霧した。収穫直後のウンシュウみかん5個を入れ、封をして20℃に1ヶ月間貯蔵し、状態を観察したが、カビの発生は認められなかった。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した本発明は安全性が高く、且つ農作物に付着したカビに由来する腐敗を長期間防止することが可能であり、品質にも悪影響を及ぼさない腐敗防止剤が提供される。
Claims (3)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002333128A JP2004168669A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 農作物の腐敗防止剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002333128A JP2004168669A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 農作物の腐敗防止剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004168669A true JP2004168669A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32697926
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002333128A Pending JP2004168669A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 農作物の腐敗防止剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004168669A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107646845A (zh) * | 2017-10-17 | 2018-02-02 | 张锡林 | 一种含茵陈二炔酮和啶酰菌胺的复配组合物 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333128A patent/JP2004168669A/ja active Pending
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CN107646845A (zh) * | 2017-10-17 | 2018-02-02 | 张锡林 | 一种含茵陈二炔酮和啶酰菌胺的复配组合物 |
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