JP4163694B2 - 青果物用腐敗防止組成物、及び、青果物 - Google Patents

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Description

本発明は、青果物用腐敗防止組成物、および、青果物に関するものである。
我が国はかびの増殖に好適な高温多湿地域であるため、かびの汚染による様々な社会的問題が多い。中でも新鮮な青果物は約90%にも及ぶ多量の水分を含み、収穫後もひとつの独立した生物体として呼吸や蒸散などの生理作用を営んでいるので、青果物に付着、侵入したかびは青果物が生きている間は、常温下の宿主上で増殖を続ける。よって収穫後の青果物は、貯蔵や輸送時に時間の経過と共に一部の青果物から発芽、増殖、伝染し、腐敗や変敗を引き起こし、外観を著しく損なって品質または利用価値を低下させるなどの弊害をもたらす。かびの発生による社会的、経済的損出は大きいことから、青果物のかびの発生や増殖を防ぐことは極めて重要である。
従来において、海外産の柑橘類果実を例に挙げると、収穫前の柑橘類果実の青かび病、灰色かび病などに対するプレハーベスト処理として農薬が使用され、収穫後のポストハーベスト処理としてチアベンダゾール、オルトフェニルフェノールなどの防かび剤が使用されている。このような処理における農薬や防かび剤は、近年、いずれも人体に対する安全性の面で問題視されている。
他方で、青果物のかびによる被害を防止する手段が公知の特許文献で開示されている。例えば、特許文献1に、収穫後の青果物に活性酸素の含まれた活性酸素水を噴霧して、かびによる被害を防止する方法が記載されている。また、かびによる青果物の被害を防止する組成物として、特許文献2にショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする病害処理剤が、特許文献3にβ−D−グルコピラノキシフロログルシノールを有効成分とする組成物が開示されている。その他、特許文献4には、抗かび剤としてヒノキ精油を使用することができることが開示されている。これら特許文献1乃至4に開示されているいずれの手段や組成物を採用したとしても、かびに対する殺菌性、抗菌性、効力持続期間の点からいずれも完全にかびの発生を防止するまでには至っていない。
その他に、非特許文献1には、カワラヨモギ抽出物が人体への悪影響がない保存料として使用可能であって、抗かび性を発揮し、その有効成分が下記の(化1)に示す構造式で表されるカピリンであることが開示されている。カピリンは、人体への影響の懸念が報告されておらず、これを有効成分として0.01〜1000μg/gの濃度で含有する農作物の腐敗防止剤が、特許文献5により公知となっている。
Figure 0004163694
また、非特許文献2には、青果物にかびが発生・増殖して腐敗に至るまでの機構が開示されている。その機構は、植物の細胞壁の構成成分であって植物細胞間を結合する役割を担っているペクチンが、かびが分泌する酵素により分解されるというものである。そして、非特許文献3には、ポリフェノールがペクチン分解酵素の活性を阻害することが開示されている。
カピリンやポリフェノールは、天然物から抽出することができる安全性の高いものであり、この安全性の高いカピリンやポリフェノールを青果物の腐敗防止に採用することは非常に価値あるものとなる。
特開2000−157166号公報 特開2000−139340号公報 特開平8−27005号公報 特許第2799577号公報 特開2004−168669号公報 「既存添加物名簿収載品目リスト注解書」、1999年、p.162 宇田川俊一「食品のかび汚染と危害」幸書房出版社、2004年 飯田貢「酵素の利用」化学工業日報社、1981年
しかしながら、特許文献5に開示されたカピリンのみを含有する腐敗防止剤は、青果物のかびの発生を抑制することができるものであるが、更にかびの発生を抑制して長期にわたって青果物が腐敗することを防止することが望まれている。
一方で、ポリフェノールを青果物の腐敗防止のために使用したとしても、カピリン同様に、かびが発生するまでの期間が短期間であり、かびの増殖が十分に抑えられていない。そのため、青果物の腐敗は、十分に抑制されていない。
上述の事情に鑑み、本発明は、青果物にかびが発生・増殖することを抑制し、青果物の腐敗抑制期間を長期化することができる腐敗防止組成物、および、腐敗が抑制されている青果物を提供することを目的とする。
本発明者は、カピリン又はポリフェノールを単独で腐敗防止組成物として使用するよりも、腐敗防止組成物に両者を含有させることにより、格別にかびの発生が抑制され、且つ、かびの増殖も抑制されているものとなって、腐敗防止に優れたものとなることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ペクチン分解酵素活性阻害作用を示すポリフェノール及びカピリンを含有することを特徴とする青果物用腐敗防止組成物である。前記ポリフェノールは、タンニン酸であることが好ましい。前記組成物は、更にHLB値が8〜20の界面活性剤および/又は脂肪酸グリセリドを含有するものであることが好適である。
また、本発明は、前記組成物で処理された青果物である。
上記のように構成された青果物用腐敗防止組成物によれば、かびの発生・増殖することを抑制して青果物の腐敗を抑制することができるで、青果物の商品価値の低下を防止することが可能となる。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。本実施形態における腐敗防止組成物は、カピリン及びポリフェノールを含有する組成物であり、好適には、更に界面活性剤および/又は脂肪酸グリセリドを含有する組成物である。この組成物は、青果物の腐敗防止に使用される。
組成物中におけるカピリン濃度は、限定されるものではないが、2000ppm以上であると果実の腐敗抑制にバラつきが生じることがあるので、2000ppm未満であることが好ましい。より好適なカピリン濃度は、30ppmを超えるものである。本実施形態の組成物を青果物に噴霧して使用する場合には、150〜1500ppmの濃度であることが好ましい。
カピリンは、化学合成により得ることもできるが、キク科アルテミシア属に含まれる精油成分で、中でも生薬インチンコウとして使用されているカワラヨモギ(学名:Artemisia capillaris Thumb.)から抽出したものを使用しても良い。
カワラヨモギから抽出する場合、カワラヨモギ抽出エキスを使用すると良い。カワラヨモギ抽出エキスは、カワラヨモギを溶媒に浸漬した後、カワラヨモギを溶媒から除去、次いで、この除去した溶媒を留去して残る精油残渣として得られる。また、水蒸気中にカワラヨモギを暴露後、この水蒸気を集めることによって、カワラヨモギ抽出エキスを得ることができる。なお、カワラヨモギ抽出エキスをエタノール等に希釈して使用することができる。更に、カラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー等により、カワラヨモギ抽出エキスからカピリンを分取してエタノール等に希釈して使用しても良い。
カワラヨモギ抽出エキスを得るために使用するカワラヨモギは、植生しているカワラヨモギの地上部の部分を使用すると良く、乾燥した花穂を使用することが好適である。
カワラヨモギを浸漬する溶媒には、一価又は多価アルコール、ケトン類、エーテル類、炭化水素等の有機溶媒や水を単独又は混合して使用すると良い。一価のアルコールには、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが例示される。多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが例示される。また、ケトン類には、アセトン、メチルエチルケトンが、エーテル類には、メチルエーテル、石油エーテルが、炭化水素には、ヘキサン、シクロヘキサンが例示される。中でもエタノール、又は含水エタノールを使用することが好適である。
ポリフェノールは、組成物中においてその濃度が特に限定されるものではないが、カピリンとポリフェノールとの重量濃度比が、カピリン:ポリフェノール=1:1〜1000であると良い。好適には、1:30〜100となるものである。
ポリフェノールは、同一分子内に複数のフェノール性水酸基(ヒドロキシ基)をもつ化合物の総称で、光合成により生成された色素や苦味などの成分としてほとんどの植物に含まれており、抗酸化能力に優れた水溶性(一部は脂溶性)物質である。ポリフェノールとしては、大豆に含まれるイソフラボン、緑茶に含まれるカテキン、コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸、カカオ豆に含まれるクロマミド類、葡萄果皮に含まれるアントシアニン、ウコンに含まれるクルクミン、ゴマに含まれるセサミン、カキの果実、クリの渋皮、五倍子、タマリンドの種皮、タラ末、没食子、ミモザの樹皮、リンゴ、芍薬および桂皮等から抽出することができるタンニンが例示される。好適にはペクチン分解酵素活性阻害作用を示すものを選択することであり、更にタンニンを選択することが好ましく、縮合型タンニンよりもタンニン酸、チョウジ等の加水分解型タンニンが選択されていることがより好ましい。最適には、タンニン酸が選択される。
界面活性剤には、Griffinの経験式から計算されるHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance Value値)が8〜20、好ましくは14〜20のものが選択される。この界面活性剤を本実施形態の腐敗防止組成物が含有していると、組成物の腐敗防止効果が一層向上する。これは、界面活性剤を含有することにより、組成物が青果物表皮内に浸透することが促進されて、表皮内においてのかびの発生・増殖を抑制することができるためと推測される。
本実施形態の組成物における界面活性剤の濃度は、特に限定されるものではないが、カピリンとの重量濃度比が、カピリン:界面活性剤=1:1〜1000であると良く、1:1〜10〜200であることが好ましい。このような濃度比となる範囲では、界面活性剤濃度が高くなるにつれて腐敗防止効果が向上する傾向がある。
本実施形態で選択される界面活性剤としては、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、グリセリンモノカプリレート等のモノグリセリド、ジグリセリンモノカプリレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレエート、デカグリセリンモノカプリレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレエート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、アルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖カプリル酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステルが例示される。ポリグリセリン脂肪酸エステルを選択するときには、デカグリセリンモノミリステートが選択されていることが好適であり、ショ糖脂肪酸エステルを選択するときには、ショ糖モノミリスチン酸エステルを含有するショ糖エステルを選択することが好適である。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルが選択されているとき、その濃度が高まるにつれて青果物表面のべた付く触感が生じ易くなるが、ショ糖脂肪酸エステルが選択されているとき、ポリグリセリン脂肪酸エステルよりも果実表面のべた付く触感が抑制される。
なお、界面活性剤にポリグリセリン脂肪酸エステルを選択するとき、これを構成するポリグリセリンは、水酸基価から算出される平均重合度が2〜20のポリグリセリンであると良い。この水酸基価から算出される平均重合度(n)とは、末端分析法によって算出される値であり、次式(式1)及び(式2)から算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
前記水酸基価とは、エステル化物中に含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのエステル化物に含まれる遊離のヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいい、水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法(I)、1996年度版」に準じて算出される。なお、ケン価は、30〜140の範囲であると良い。
本実施形態の組成物における脂肪酸グリセリドの濃度は、特に限定されず、カピリンとの重量濃度比が、カピリン:脂肪酸グリセリド=1:3〜5000であると良く、好ましくは、1:25〜400である。この脂肪酸グリセリドが組成物に含有されているとき、カピリンの揮発や蒸散が抑制されて、組成物の腐敗防止効果が一層向上する。
脂肪酸グリセリドは、グリセリンと脂肪酸とのエステルであり、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドのうち一種又は二種以上を含有する脂肪酸グリセリドが使用される。なお、脂肪酸グリセリドが固体の場合は、これを加熱する等して融解させた後に組成物調製に使用すると良い。
脂肪酸グリセリドには、例えば、公知の脂肪酸とグリセリンをエステル化する方法によって製造されたものを使用すると良い。脂肪酸グリセリドを製造する場合に使用する脂肪酸は、酪酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ノクチン酸、アラギン酸等が使用され、これらの脂肪酸のうち一種又は二種以上選択して使用すると良い。
また脂肪酸グリセリドには、主成分にトリグリセリドを含有する天然油脂を使用しても良い。天然油脂には、動物脂や動物油である動物油脂、又は、植物脂や植物油である植物油脂のいずれを使用しても良い。
動物脂としては、牛乳脂、ヤギ乳脂、牛脂、豚脂、羊脂が例示される。動物油としては、イワシ油、サバ油、サメ肝油が例示される。植物脂としては、ヤシ油、パーム油等である。植物油としては、乾性油、半乾性油及び不乾性油を使用することが可能であり、乾性油としては、アマニ油、キリ油、サフラワー油が例示され、半乾性油としては、大豆油、コーン油、ゴマ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油が例示され、不乾性油としては、オリーブ油、カラシ油、ツバキ油、ヒマシ油、落花生油が例示される。また、前記天然油脂に含まれる構成油脂を分別して使用することも可能である。
好適な脂肪酸グリセリドは、一種又は二種以上の炭素数が8〜12の脂肪酸とグリセリンとをエステル化した脂肪酸グリセリドである。
本実施形態の組成物の調製は、カピリン、ポリフェノールを混合することにより行われる。界面活性剤および/又は脂肪酸グリセリドを含有する組成物を調製する場合には、結果として界面活性剤および/又は脂肪酸グリセリドを組成物が含有していると良く、混合手順を問わない。なお、本実施形態における組成物は、その他に、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の食品に使用できる溶媒やカワラヨモギより溶媒抽出したカワラヨモギ抽出液のうちの一種又は二種以上を含有するものであっても良く、この場合においても、混合する手順を問うものでもない。水を含有する場合には、エタノールも含有させることが、カピリンや脂肪酸グリセリドが組成物中に均一に分散し、青果物に組成物成分が均等に分散して腐敗抑制が安定したものとなるので好適である。また、キサンタンガム等の増粘剤も組成物中に含有させることにより、組成物が保管中に相分離することが抑制され、組成物の各成分が青果物に均等に存在することになる。
上記組成物を収穫後のみならず収穫前の青果物に対しても使用することができ、当然、収穫後の貯蔵、輸送、市場、及び、店頭陳列の間、並びに、消費者による購入後に使用することができる。また、プレハーベストやポストハーベストの代替として使用することができる。本実施形態における組成物が腐敗防止効果を発揮する青果物は、野菜や果物を意味し、例えば、果物としては、葡萄、キウイフルーツ、びわ、柿、イチゴ、桃、メロン、リンゴ、梨、バナナ、パイナップル、さくらんぼが挙げられ、ミカン科の温州ミカン、夏ミカン、伊予柑等のカンキツ属、キンカン属、カラタチ属の範疇にある柑橘類も挙げられる。野菜としては、胡瓜、トマト、白菜、キャベツ、葱、玉ねぎ、人参、大根、生姜、ピーマン、茄子、かぼちゃ、もやし、ジャガイモ、さつま芋、栗、茶等が挙げられる。
組成物で青果物を処理するとき、組成物が青果物と接触する処理であれば良い。処理方法としては、青果物を組成物中に浸漬する浸漬法、青果物に向けて組成物を噴霧や散布するスプレー法、刷毛などで青果物表面に組成物を塗りつける塗布法や予め青果物収納容器に組成物を付着させておく方法が挙げられる。青果物のかびが発生し易い部分には、集中的な処理を行うこともできる。カピリンが150ppm以上の組成物を使用して青果物を処理したとき、浸漬法を採らず、噴霧によるスプレー法を採ると良い。浸漬法を採った場合には、青果物表面が変色する等の薬害が発生することがある。
組成物で処理された青果物は、べと病、灰色かび病、こうじかび病、白かび病、炭そ病、枯損病、汚斑病、かいよう病、乾腐病、葉班病、そうか病、軟腐病等の病黴を抑制したものとなる。抑制されるかびは、緑かび病を誘発する緑かび(Penicillium digitatum)、青かび病を誘発する青かび(Penicillium italicum)、軸腐病を誘発する黒点病菌(Diaporthe citri)、黒腐病を誘発する腐生菌(Alternaria alternata)、灰色かび病を誘発する病原菌(Botrytis cinerea)、白かび病を誘発する病原菌(Geotrichum candidum)、黒班病を誘発する病原菌(Phoma citricarpa var. mikan)、炭そ病を誘発する病原菌(Colletotrichum gloeosporioides)等が挙げられる。即ち、上記組成物は、青果物に真菌が発生・増殖することを抑制して、青果物が腐敗することを防止するものである。
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜5および比較例1〜5の組成物を調製し、試験例1〜4に基づき腐敗試験を行なった。実施例1〜5、比較例1〜5および試験例1〜4の詳細は、以下の通りである。
(実施例1)
カピリン溶液500g、タンニン酸(大日本製薬株式会社製「局方タンニン酸」)10g、および、水490gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して実施例1の組成物を調製した。
実施例1において使用したカピリン溶液は、次の通り調製した(以下の全ての実施例および比較例おいても同じ)。10kgのエタノールに乾燥したカワラヨモギの花穂2kgを常温で24時間浸漬した。その後、エタノールを分取・ろ過し、カピリンを含有したエタノール液を得た。これをカピリン溶液とした。カピリン溶液中のカピリン濃度は、0.02重量%であった。なお、カピリン濃度は、高速液体クロマトグラフィーでカピリンの検量線から定量した。
高速液体クロマトグラフィーにおける定量条件は、次の通りである。
株式会社島津製作所製 LC-10Aシステム
カラム:信和化工株式会社製 STR ODS-2 4.6mmI.D.×150mm
移動相:0.5%酢酸水溶液/エタノール=55/45
流速 :0.8ml/min
検出器:UV280nm
試料 :移動相により10倍希釈し、20ml注入
(実施例2)
カピリン溶液500g、タンニン酸10g、デカグリセリンモノミリステート1g、および、水489gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して実施例2の組成物を調製した。
(実施例3)
カピリン溶液500g、クローブエキス10g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王株式会社製「レオドールスーパー TW−L120」)1g、および、水489gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して実施例3の組成物を調製した。
実施例3において使用したクローブエキスは、次の通り調製した(以下の全ての実施例および比較例おいても同じ)。乾燥したクローブ花蕾1kgに、エタノール2kgを加えて1時間還流し、ろ過して、抽出液を得た。残渣に再度エタノール2kgを加えて1時間還流し、ろ過して、抽出液を得た。2回の抽出液を合わせ、減圧下に濃縮し、精製水4kgを加えて析出した水不溶性成分をろ過して除去した。ろ液を減圧下に濃縮し、再度精製水4kgを加えてろ過及び濃縮を行い、オイゲノール等の精油成分を水と共に共沸させて完全に除去した。乾燥後、クローブエキス40gを得た。
(実施例4)
カピリン溶液500g、クローブエキス10g、デカグリセリンモノミリステート1g、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(日清オイリオ株式会社製「O.D.O」)5g、および、水484gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して実施例4の組成物を調製した。
(実施例5)
カピリン溶液500gとタンニン酸10g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート1g、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル5g、および、水484gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して実施例5の組成物を調製した。
(比較例1)
水1000gを比較例1の組成物とした。
(比較例2)
カピリン溶液500g、および、水500gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して比較例2の組成物を調製した。
(比較例3)
タンニン酸10g、エタノール500g、および、水490gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して比較例3の組成物を調製した。
(比較例4)
クローブエキス10g、デカグリセリンモノミリステート1g、エタノール500g、および、水489gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して比較例4の組成物を調製した。
(比較例5)
タンニン酸10g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート1g、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル5g、エタノール500g、および、水484gを混合して一晩静置後、No.5Cろ紙でろ過して比較例5の組成物を調製した。
[試験例1]
収穫直後で無傷かつ大きさや成熟度が同等の温州ミカン果実を選別し、実施例1〜5および比較例1〜5の組成物に各系列100個の果実を2秒間浸漬した。風乾後、PDA培地で培養して10個/mlに調製した緑かび病菌(Penicillium digitatum NBRC 9651)の胞子懸濁液0.5mlを果実全体に噴霧した。風乾後、ダンボール箱に並べ、25℃に2ヶ月間貯蔵し、かびの発生を観察した。
[試験例2]
収穫直後の葡萄(品種:巨砲)から、傷がなく且つ成熟度が同じ程度の房を選別した。これらを1房あたりの粒数が30になるようにカットし、実施例1〜5および比較例1〜5の組成物に果実を2秒間浸漬した。風乾後、それぞれ別のプラスチック製のかごに入れ、5℃、2ヶ月間貯蔵し、かびの発生を観察した。
[試験例3]
収穫直後の桃(品種:白桃)から、傷がなく且つ成熟度が同じ程度の房を選別した。実施例1〜5および比較例1〜5の組成物に各系列20個ずつの果実を2秒間浸漬した。風乾後、段ボール箱に並べ、25℃、1ヶ月間貯蔵し、かびの発生を観察した。
[試験例4]
収穫直後のさくらんぼ(品種:佐藤錦)から、傷がなく且つ成熟度が同じ程度の房を選別した。実施例1〜5および比較例1〜5の組成物に各系列50個ずつの果実を2秒間浸漬した。風乾後、それぞれ別のプラスチック製のかごに入れ、5℃、2ヶ月間貯蔵し、かびの発生を観察した。
試験例1〜4の結果を表1に示す。
Figure 0004163694
表1において、カピリンおよびポリフェノール(タンニン酸またはクローブエキス)を含有している実施例1〜5の組成物に浸漬した全ての青果物には、かびが発生していないか、僅かに発生しているに留まっている。一方で、カピリンおよびポリフェノール(タンニン酸またはクローブエキス)のいずれかを含有していない比較例1〜5の組成物に浸漬した全ての青果物には、かびが発生し、広がる結果となっている。以上より、青果物をカピリンとポリフェノールとを含有する組成物で処理することにより、青果物にかびが発生・増殖することを著しく抑制、即ち、青果物の腐敗を著しく防止することができるようになることを確認することができる。また、実施例4、5に見られるように、界面活性剤および脂肪酸トリグリセリドを更に組成物が含有していると、腐敗防止が一層向上している。
次に実施例6および7の組成物を調製し試験例5に基づいて腐敗試験を行なった。この実施例の組成物の及び試験例の詳細は、次の通りである。
(実施例6)
カピリン溶液、エタノール、デカグリセリンモノミリステート、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、タンニン酸、および水を混合し、カピリンが500ppm、エタノールが50重量%、デカグリセリンモノミリステートが0.5重量%、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルが2.5重量%、タンニン酸が2.5重量%、水が44.5重量%の実施例6の組成物を調製した。
(実施例7)
カピリン溶液、エタノール、ショ糖ミリスチン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製ショ糖モノミリスチン酸エステル主成分、商品名「リョートーシュガーエステルM−1695」)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、タンニン酸、および水を混合し、カピリンが250ppm、エタノールが50重量%、ショ糖ミリスチン酸エステルが2.5重量%、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルが2.5重量%、タンニン酸が1.5重量%、水が43.5重量%の実施例7の組成物を調製した。
[試験例5]
収穫直後で無傷かつ大きさや成熟度が同等の温州ミカン果実を100果選別し、噴霧器を使用して、実施例6または7の組成物を選別した果実表面全体に向けて噴射した。次に果実を風乾した後、PDA培地で培養して10個/mlに調製した緑かび病菌(Penicillium digitatum NBRC 9651)の胞子懸濁液0.5mlを果実全体に噴霧した。風乾後、ダンボール箱に並べ、25℃に2ヶ月間貯蔵し、かびの発生を観察した。
試験例5の結果を表2に示す。なお、表2のカッコ内の数値は、カピリンの重量濃度に対する比であり、カピリン比=特定成分の重量濃度/カピリンの重量濃度、により算出される値である。
Figure 0004163694
表2において、実施例6と実施例7の組成物を使用して処理した果実には、全くかびが発生していなかったことを確認することができる。

Claims (4)

  1. ペクチン分解酵素活性阻害作用を示すポリフェノール及びカピリンを含有することを特徴とする青果物用腐敗防止組成物。
  2. HLB値が8〜20の界面活性剤を含有する請求項1に記載の腐敗防止組成物。
  3. 脂肪酸グリセリドを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の腐敗防止組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の腐敗防止組成物で処理された青果物(カピリン、ポリフェノール、HLBが8〜20の界面活性剤、および脂肪酸グリセリドを含有する腐敗防止組成物で処理された柑橘類果実を除く)。
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