JP2022169929A - 青果物の品質保持方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】呼吸の温度係数Q10が2.0以上であり、かつ、収穫後から急速に蒸散と品質劣化が進む青果物の品質を保持する方法を提供する。【解決手段】青果物の品質を保持するための冷却方法であって、収穫した青果物を、出荷又は輸送前に、相対湿度85%以上の高湿度冷却空気の通風下で、冷却し、及びその後、代謝停止することを含む方法。【選択図】図2

Description

本発明は、青果物の品質を保持する方法に関する。具体的には、上記方法は、収穫した青果物を、出荷又は輸送前に、高湿度空気冷却下で、冷却し、及びその後、代謝停止することを含む。
青果物は栽培中に根からの水分吸収と葉からの蒸散によって生育可能な温度を保っている。しかし、収穫後は水分吸収が出来なくなり、輻射熱や呼吸熱による品温の上昇と蒸散による萎れが進む。また容器に箱詰めされた場合、熱はより逃げにくくなり、品質が低下する。
生化学的に品質劣化速度は青果物の呼吸速度と密接な関係がある(非特許文献1、表1)。温度が高いほど呼吸速度が速い点は青果物に共通である。ブロッコリーを例に挙げると20.5℃(299)に対して0℃(20)と1/10に低下する。このように品温を下げることは極めて重要である。またその速度は品目によって異なる。20.5℃で比較するとキャベツ(39)や結球レタス(56)と比較してアスパラガス(388)やブロッコリー(299)は非常に速い。ここで、上記括弧内の数字は、呼吸速度(mg・kg-1・h-1)を表す。
実際に路地で栽培されるレタスの品質保持プロセスを見ると、夏場、日中は日射や外気温の影響を受けて収穫後急速に品質が低下するため、気温の低い朝収穫して少しでも品温を低く保つ工夫をしている。
また、通常、冷却設備が畑から離れており、収穫後すぐに冷却ができないため、蒸気圧を変化させ短時間に冷却する真空冷却が行われている。真空冷却は、バッチ式のため、一定量の入庫量が集まってから冷却処理を行う。この間、青果物は常温環境で待機されることとなる。冷却が終わったレタスなどの野菜は通常の冷蔵庫に保管され出荷を待つ。
しかし、この真空冷却プロセスは早朝からの作業で農家の負担が大きいこと、設備のイニシャルコストや維持費が高いこと、表面積が大きく凹凸や空間がある青果物にしか使えないこと、待機時間中に品温が上昇することなどから、呼吸速度が遅いレタスやキャベツに限られたものであり、一方、呼吸速度が速いアスパラガスやブロッコリーなどの青果物には適応できない。
一般に、蒸散を防ぐため、フィルム等の包装容器に青果物を包装して冷却又は真空冷却する鮮度保持方法は、特許文献1~5などに記載されている。
特開2014-76842号公報 特開2013-81485号公報 特開2009-220829号公報 特開平7-170907号公報 特開平5-161449号公報
椎名武夫,野菜情報,2016年9月,農畜産業振興機構調査情報部
野菜や果実を含む青果物は、収穫後でさえ呼吸を行い個体維持のためのエネルギーを得ている。このため、収穫後に時間の経過につれて品質が徐々に低下し、例えば出荷先では品質や棚持ちが著しく低下する、品質を維持するために収穫時間や梱包、前処理などの作業が負担になるなどの課題がある。とりわけ、呼吸速度が速い青果物は、収穫後から急速に蒸散と品質劣化が進むため、収穫時の品質が長く維持できない。
本発明は、できるだけ簡便な手法を用いて上記課題を解決することを目的とする。
本発明者らは、収穫後に急速に蒸散と品質劣化が進み易い青果物の品質をできるだけ長く保持するための方法を鋭意検討し、収穫から出荷もしくは輸送までの期間における、冷却設備と空気の状態、収穫から冷却に入るまでの工程、冷却起点から所定の温度に至るまでの冷却の工程、並びに、所定の冷却温度に到達してから一定時間、温度と湿度を保持する代謝停止の工程の最適化を可能とした。
具体的には、本発明は以下の特徴を包含する。
(1)青果物の品質を保持する方法であって、収穫した青果物を、出荷又は輸送前に、相対湿度85%以上の高湿度冷却空気の通風下で、冷却し、及びその後、代謝停止することを含む方法。
(2)上記冷却を、青果物の収穫から30分以内に行う、上記(1)に記載の方法。
(3)上記冷却が、青果物の品質低下に及ぼす温度の影響を表す危険度に応じて設定した時間行う工程を含み、但し、該危険度と該時間が、温度を30℃から20℃まで冷却する時間を30分以内とし、温度を20℃から10℃まで冷却する時間を30分以内とし、及び/又は、温度を10℃から0℃まで冷却する時間を200分以内とする、上記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)上記代謝停止が、所定の冷却温度に到達してから1時間~120時間、前記温度と湿度を保持して代謝を停止させる工程を含む、上記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)上記高湿度冷却空気が、高湿度空気冷却装置によって形成される、上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)上記青果物が、呼吸の温度係数Q10が2.0以上であり、かつ、収穫後から急速に蒸散と品質劣化が進み易いものである、上記(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)上記青果物が、アスパラガス、ブロッコリー、ホウレンソウ、カリフラワー、インゲン、芽キャベツ、リーフレタス、スイートコーン、イチゴ、オクラ、パセリ、キヌサヤ、エダマメ、グリーンピース、クレソン、ケール、ネギ、及び、シュンギクからなる群から選択される、上記(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
本発明は、収穫後から店頭販売までの間に、呼吸速度が速い、茎が伸び易い、蕾が開きやすい、及び/又は、乾燥しやすい、などの青果物に対し特に効果がある。
この図は、高湿度冷却空気の通風下で冷却する冷蔵庫内(SF区)で、収穫後の青果物の冷却起点から設定温度に至るまでの冷却の工程、並びに、青果物の芯温が設定温度に到達してから一定時間温度と湿度を保持する代謝停止の工程を示す。 この図は、SF区と冷蔵庫区で代謝停止を行ったときの、代謝停止時間(時間)とアスパラガスの重量変化(収穫時の重量を100%とする)を測定した結果を示す。*は、有意水準p<0.05を表し、統計上95%以上の確率で偶然ではない有意差であることを示す。 この図は、SF区と冷蔵庫区で代謝停止を行ったときの、代謝停止時間(時間)とアスパラガスの長さ変化(収穫時の長さを100%とする)を測定した結果を示す。*は、有意水準p<0.05を表す。 この図は、SF区と冷蔵庫区で、代謝停止工程後、水揚げし、10℃でさらに3日間アスパラガスを保管し、保管時間(時間)とアスパラガスの重量変化(収穫時の重量を100%とする)を測定した結果を示す。 この図は、SF区と冷蔵庫区で、代謝停止工程後、水揚げし、10℃でさらに3日間アスパラガスを保管し、保管時間(時間)とアスパラガスの長さ変化(収穫時の長さを100%とする)を測定した結果を示す。 この図は、SF区と冷蔵庫区で、代謝停止工程後、水揚げし、10℃でさらに3日間アスパラガスを保管し、保管時間(時間)とアスパラガスの糖度(Brix)変化を測定した結果を示す。 この図は、高湿度冷却空気の通風下で青果物を冷却する庫内(SF区)の外観を示す。1は、冷蔵庫を示す。2は、冷凍機を示す。3は、空気の吹き出しを示す。4は、ファンを示す。5は、散水式冷却コイルを示す。6は、空気の吸い込みを示す。7は、水タンクであり、水はポンプ(8)で汲み上げて散水(5)される。9は、(青果物が入った)穴あき容器を示す。10は、湿度調整部(例えば、デミスター)を示す。
本発明をさらに具体的に説明する。
1.定義
本明細書中「青果物」は、野菜、果実、山菜、きのこなどの総称を指す。
青果物は、収穫後、温度、乾燥、エチレンなどによって品質の劣化を引き起こすことが知られている(非特許文献1)。収穫時の青果物の品質に近い状態をできる限り保持するために、本発明の方法は、従来の冷却法である、例えば、普通冷蔵(通風式予冷)、真空式予冷、冷水式予冷などの方法と異なる、高湿度冷却空気の通風式冷却を利用する。普通冷蔵や真空冷却では青果物からの水分蒸発が避けられないため、例えば、プラスチックフィルムで包装する方式なども行われているが、結露によるカビの発生などの問題があるし、また真空冷却は、特にレタスなどの表面積が大きい、凹凸がある野菜に使用されており、冷却が均一で速い利点があるものの、バッチ式で入庫前の待機時間が長い、専用の真空容器と真空ポンプが必要になり設備コスト、メンテナンスコストが高い、蒸発潜熱による冷却のため野菜などの青果物の水分の3~4%を奪い乾燥する、根菜類など表面積が小さいものに向かないため、青果物の種類が限定されるという欠点がある。
例えば野菜を冷却したときの真空冷却と高湿度空気冷却の特性の違いを表1に示す。
Figure 2022169929000002
表1から明らかなように、高湿度空気冷却は、高湿度冷却は通常の段ボールで梱包された野菜の冷却性能は劣るが、表面に穴を有する段ボール箱の使用により冷却性能を高めることができること、野菜の乾燥が少ないこと、すべての野菜に適用可能であること、連続して冷却が可能であること、風量を上げても乾燥しないため冷却速度の調整が容易にできること、汎用的な設備の組み合わせで製造できるため設備コストが低いことなどの特性を有する。
本明細書中で使用する「相対湿度85%以上の高湿度冷却空気」なる用語は、冷蔵庫内で85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の飽和に近い、かつ、冷却した空気(すなわち、「高湿度冷却空気」)を通風し、好ましくは循環することを意味し、これによって、青果物への結露を防ぎながら蒸散を防ぎ(又は、除湿させないで)、青果物の呼吸を抑制する。
高湿度冷却空気を形成する装置は、高湿度空気冷却装置、例えば図7に示す装置である。コイル5に冷凍機2により冷却された冷媒を流すのと同時に、水タンク7よりポンプ8にて組み上げた水を散水部(5の上部)より散水させ、コイル5における水と空気6の接触によって空気6を冷却し、相対湿度を高湿度に維持する。湿度調整部10で過剰な水滴を除去するため、相対湿度が100%を超えることはない。これにより熱を奪っても相対湿度は変わらない冷風を放出する。このため冷蔵庫に加湿器を必要とせず、冷蔵庫内の相対湿度を85%以上に維持しながら青果物の乾燥や結露を防ぐことができる。冷蔵庫内の温度は、青果物の種類、例えば、0~2℃で保存されるもの(例、アスパラガス、ブロッコリー、スイートコーン、インゲン、サヤエンドウ、ワサビ、ホウレンソウ、セロリ、ダイコン、ニンジン、ナス、キウイ、ブルーベリー、モモ、ブドウ、ナシ、カキ、リンゴ、等)、3~10℃で保存されるもの(例、トウガラシ、ジャガイモ、アボガド、パイナップル、オレンジ、メロン、等)、10℃以上で保存されるもの(例、キュウリ、ピーマン、トマト、ショウガ、サツマイモ、スイカ、レモン、バナナ、グレープフルーツ、等)などに応じて調整可能である(John Frith,“The Transport of Perishable Foodstuffs”,second ed.,1991,Cambridge:SRCRA,44)。本発明では代謝停止が必要であるため、本発明の方法は、0~10℃の温度で保存可能な種類の青果物に適している。
本明細書中「代謝停止」又は「代謝を停止させる」という用語は、出荷前に冷却によって青果物の生体の代謝を停止又は停止に近い状態まで下げて一定時間、所定の冷却温度(例えば、0~10℃、非限定的に例えば、1~9℃、1~7℃、1~5℃など)に維持することを意味し、完全に代謝を停止することのみを意味しない。代謝とは生命活動に必要な呼吸等を示し、青果物の種類によって異なる。特に呼吸は温度と高い相関性があり、温度を下げると呼吸速度も遅くなる。しかし所定の温度まで冷却したとしても、青果物自体の温度(「品温」という)が所定の温度になる時間と実際に呼吸速度が遅くなる所定値まで低下する時間にはタイムラグがあるため、生体の代謝を停止又は停止に近い状態まで下げてから次の工程(例えば、保管、輸送など)に移すことが好ましい。そうすることによって、万一保管や輸送時に青果物の品温が上がったとしても品質に対する影響を少なくすることができる。
一般に、青果物は、収穫後も生命活動を維持するために、体内の糖や有機酸を有酸素的に分解して生命活動に必要なエネルギーを作るために呼吸反応をしている。青果物の品質と呼吸速度と温度には密接な関係がある。呼吸速度を対数軸で示すと温度と呼吸速度の間には直線関係が成り立つ。これはGoreが提唱する式Q=a×10bTで示される。Q;呼吸速度、T;温度(℃)、aとbは定数で青果物の種類によって異なる。また温度が10℃変化したときの呼吸速度の比を呼吸の温度係数Q10と呼び、例えば30℃の呼吸速度が20℃の呼吸速度の2倍であるとQ10は2となる。したがって、冷却することによって呼吸速度は遅くなるので、品質劣化が抑制可能になる(非特許文献1)。上記の代謝停止は、呼吸反応を実質的に停止又は顕著に抑制することである。ここで、呼吸反応は、ブドウ糖と酸素を基質にして水と二酸化炭素が生成する反応であり、1モルのブドウ糖から686kcalのエネルギーが発生する。
本明細書で使用する「品質」という用語は、外観や鮮度を含み、その評価には、例えば色、つや、萎れ、香り、触感などを含む(永田雅靖,“青果物の鮮度に関する収穫後生理学”,食糧56,43-66頁,農研機構食品研究部門,2018年3月)。
2.青果物の品質保持方法
本発明は、青果物の品質を保持する方法であって、収穫した青果物を、出荷又は輸送前に、相対湿度85%以上の高湿度冷却空気の通風下で、冷却し、及びその後、代謝停止することを含む方法を提供する。
青果物は、上記定義のとおり、野菜、果実、山菜、きのこなどを含み、好ましくは、野菜及び果実、より好ましくは呼吸速度が速い野菜である。本発明では青果物の種類を限定するものではないが、従来の冷却法で実質的に品質が保持できる青果物よりは、表面積が小さく、かつ呼吸速度が速いために品質が劣化し易い青果物に対して品質保持の効果を発揮することができる。青果物は、以下のものに制限されないものとし、Q10が2.0以上の青果物(非特許文献1、表1)、例えば、アスパラガス、ブロッコリー、ホウレンソウ、カリフラワー、インゲン、芽キャベツ、リーフレタス、スイートコーン、イチゴ、オクラ、パセリ、キヌサヤ、エダマメ、グリーンピース、クレソン、ケール、ネギ、シュンギクなどを含む。
高湿度冷却空気は、冷蔵庫内の相対湿度を85%以上に維持しながら青果物の乾燥や結露を防ぐことができる装置(「高湿度空気冷却装置」)を冷蔵庫内に設置して形成もしくは作製されうる。この装置は、例えば図7に示されるような装置であり、具体的には、水タンク(7)からポンプ(8)によって汲み上げられた水を散水する散水式冷却コイル(5)を流れる冷媒を、庫外に設置された冷凍機(2)を用いて青果物の種類に応じて設定される所定温度(上記1.参照)に冷却し、水タンク(5)の上部から吸い込まれた空気(6)が散水式冷却コイル(5)で冷却し及び相対湿度を維持しながら湿度調整部(10)で水滴を除去し、上部から、ファン(4)で高湿度冷却空気を庫内に吹き出し(3)、庫内に積載された穴あき容器(9)内の青果物を高湿度冷却空気の通風によって冷却することができる。このような装置によると、庫内の温度と湿度を実質的に所定値に安定に保持することが可能になり、結露の発生の原因となる加湿器を使用しないため、青果物を除湿することなく(すなわち、乾燥させることなく)、より好適に青果物を所定温度に冷却することができる。また、このような装置は、従来の冷却装置と加湿器を用いるときに生じるデフロスト、カビの発生などの問題を引き起こさないし、フィルム包装の必要もない。或いは、図7では、冷却コイルに散水をしているが、散水するための水を別途冷却し、図7のコイルの近傍に湿度調整部又はメッシュを設ける(それにより空気の冷却及び相対湿度を保持することができる)ことでもよいし、庫内に、空気を冷却する冷却装置の他に必要に応じて加湿器を置いてもよい。湿度調整部として例えば、デミスターが挙げられ、塩化ビニル等の樹脂を不織布状に編み込んだフィルターや、細い金属線(例えばステンレス線)を編んで作った網を2枚1組として交互に重ね合わせ、90%以上の空間率を有するフィルターであり、例えばワイヤーメッシュデミスターが市販されている。
或いは、高湿度冷却空気は、上記装置の方法と異なり、例えば、吸い込まれた空気に直接、外部で冷却した水を散水することによって該空気を冷却かつ高湿度にすることができる装置によって作製されてもよい。
庫内の青果物は、表面に穴を有する段ボール箱、プラコンテナなどの、表面に穴を有する容器(「穴あき容器」という)の中を、冷却空気が通り抜け可能なように穴が所定個数配置される。穴について、容器内の青果物に損傷が生じない、及び、容器内部を冷却空気が通り抜け可能である限り、穴の大きさ、穴の形状、穴の数、及び穴の位置などを任意に決定することができる。このとき、容器内に高湿度冷却空気が入り込める空間を有するように青果物を配置することが好ましい。空気は、庫内を循環し、各容器内部を通過し、容器内部の青果物を冷却することができる。
本発明の方法のさらなる特徴は、収穫から冷却に入るまでの工程、冷却起点から所定温度に至るまでの冷却の工程、及び、青果物の代謝を停止させる工程の最適化である。
収穫から冷却に入るまでの工程では、青果物の収穫から30分以内に上記高湿度冷却空気の通風によって冷却に入ることが好ましい。特に呼吸速度が速い青果物は、収穫から冷却に入るまでの工程が非常に重要であり収穫30分以内がよい。収穫から冷却までの時間が30分を超える時間が長いほど、青果物の品質がより劣化し易い。このため、次の工程で、青果物の呼吸速度を品質低下の危険の少ない温度域に所定時間で素早く下げる必要がある。この工程では、収穫後の冷却で通過する温度域を温度が10℃変化すると呼吸速度が2倍になるQ102.0を基準に危険度に係数を割り当てる。本明細書で使用する「危険度」は、青果物の品質低下に及ぼす温度の影響を表す。
10℃毎に4つの区分に分け、それぞれ危険度1~4で示す。
危険度4(係数8):雰囲気温度30℃以上40℃未満
危険度3(係数4):雰囲気温度20℃以上30℃未満
危険度2(係数2):雰囲気温度10℃以上20℃未満
危険度1(係数1):雰囲気温度0℃以上10℃未満
ここで、「雰囲気温度」は、青果物周辺の温度を指す。
各危険度への放置時間と係数の積で青果物の劣化を数値化することができる。危険度1~4の温度域はそれぞれの区分で以下に示す時間で通過することが好ましい。
冷却起点から所定の温度に至るまでの冷却の工程は、温度による青果物の品質低下の危険度に応じて設定した時間、上記冷却を行う工程を含み、但し、該危険度と該時間が、危険度4から危険度3への移行、つまり温度を30℃から20℃まで冷却する時間を30分以内とし、危険度3から危険度2への移行、つまり温度を20℃から10℃まで冷却する時間を30分以内とし、及び/又は、危険度2から危険度1への移行、つまり温度を10℃から0℃まで冷却する時間を200分以内とする(図1)。
また、収穫から冷却までの時間が短ければ影響は小さいが、例えば10分以内など、極端に短い時間である必要はない。
例えば同じ時間、30℃に放置された青果物(係数8)は、例えば10℃に放置された青果物(係数2)より4倍劣化が早い計算になる。品質低下は不可逆的であり、高い温度に長い時間放置された後、いかに早く冷却しても意味がないことを示している。
青果物の代謝を停止させる工程では、所定の冷却温度(例えば0~10℃の間の設定温度)に到達してから一定時間、好ましくは1時間~120時間、又はそれ以上の時間、温度と湿度を保持して青果物の代謝を停止させる、又は停止に近い状態にする(図1)。
呼吸速度が速い青果物は所定の冷却温度に到達しても直ちに代謝が停止できないため、所定の冷却温度に到達してから一定時間、温度と湿度を保持して青果物の代謝を停止させる工程が必要になる。もしこの工程を設けず直ちに温度を上げると、出荷先で青果物の品質又は棚持ちが低下する。
本発明の方法の上記最後の工程を、もし青果物の保管時や、輸送時、及び、店頭に並べるまでの期間も実施するならば、それによって、青果物の品質劣化を防止することが可能になる。
後述の実施例では、アスパラガスを例として、本発明方法による保存による品質保持効果(例えば保存時間の延長、重量減少の抑制、長さ増加の抑制、糖度の増加、など)が証明される。
青果物は、野菜、果物、きのこなどを含み、特に制限されないが、好ましくは、Q10が2.0以上であり、かつ、収穫後から急速に蒸散と品質劣化が進み易い野菜及び果物からなる群から選択することができる。そのような野菜及び果物は、上に例示したとおりである。
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]アスパラガスの貯蔵試験
<材料>
温室で8月に栽培、収穫されたアスパラガス(ゼンユウガリバー)を長さ25cmに揃えて切断し、規格別に選別した。選別されたMサイズのアスパラガスを、各試験区において50本試供した。アスパラガスは一般的に収穫後に水で濡らした新聞紙等で包装し、さらにビニール等に入れて乾燥を防ぎながら冷蔵庫で保管される。その後店舗に配送され、包装を外して水の入った容器に入れ、水揚げされた状態で店頭に並ぶ。この間アスパラガスは水を吸いながら生長を続け、重量が増して伸長する。しかしこれは品質劣化の症状であり、本来であれば収穫時と同じ長さと重量であることが好ましい。
<試験区>
試験区として、3℃に設定した高湿度冷却空気通風式冷蔵庫(本発明、「SF」)と普通冷蔵庫(対照、「冷蔵庫」)で冷却し、代謝停止0、3、11、24、72時間後、3日間、10℃の冷蔵庫で保管した。調査は冷却後と10℃、3日間の冷蔵庫での保管後に行い、冷却後は、重量と長さを測定し、保管後はそれらに加え、糖度、糖含量及びアスコルビン酸含量を測定した。
<調査項目>
調査した項目は、重量(10本)、糖度(10本)、糖含量(10本)、アスコルビン酸含量(10本)、及び冷却速度(3本)である。
<試験方法>
収穫したアスパラガスを30分以内に冷却する工程、代謝停止(0、6、11、24及び72時間)する工程について、SF区と冷蔵庫区とで比較した。
<結果>
[1]冷却工程
SF区と冷蔵庫区で冷却を行い、冷却速度を測定した結果、図1に示すように、SF区では、試験開始の温度が33.0℃で、収穫から30分以内に危険度4、危険度3、危険度2、危険度1の4段階を通過する冷却を行い、庫内の設定温度が3.4℃になるまで217分かかった。一方、冷蔵庫区では、試験開始時の温度が33.8℃で、通常の冷却により一気に庫内の温度が2.8℃になるまで109分かかった。SF区と比較して冷蔵庫区の方が冷却速度は速いが、各ステージに区分してみると、収穫から冷却に入る時間が30分以内、危険度4から3への移行が30分以内、危険3から2への移行が30分以内、危険度2から1への移行が200分以内と共通なため、この工程での品質に差が無かった。
[2]代謝停止工程
SF区と冷蔵庫区で代謝停止工程中の、処理時間(時間)とアスパラガスの重量変化(対収穫時重量(100%))及び長さ変化(対収穫時長さ(100%))を測定した結果をそれぞれ図2、図3に示した。図中、重量と長さについては、100%に近いほど収穫時の状態に近く品質が良いことを示す。
その結果、SF区は11時間以降も重量変化と長さ変化が少なく0時間と変わらず100%に近いが、冷蔵庫区は相対湿度が低いため11時間以降、重量の減少と長さの縮みが有意に発生した。この工程で高湿度保管が極めて重要であることを示した。
[3]保管工程
代謝停止工程の後、水を溜めた容器にアスパラガスの茎の切口をつけて水揚げをしながら10 ℃で3日間、保管を行った。
その際の代謝停止時間とアスパラガスの重量変化(対収穫時重量(100%))、長さ変化(対収穫時長さ(100%))、並びに、糖度(Brix)変化を測定した結果をそれぞれ図4、図5、図6に示した。
その結果、冷蔵庫区では代謝停止0時間に比べ、代謝停止11、24及び72時間で重量及び長さが有意に減少し、糖度は有意に増加した(図4~図6)。一方、SF区では代謝停止0時間に比べ、代謝停止11、24及び72時間で重量及び長さが有意に減少し、糖度は代謝停止6、11、24及び72時間で有意に増加した(図4~図6)。
アスパラガスは、収穫後に成長するため、重量、長さともに100%に近い方が品質がよい。上記結果から、代謝停止を11時間以上、例えば72時間行うことによってアスパラガスの伸長が抑えられ品質が保持されることが判った。
なおこの工程では水揚げ保管をしている為、相対湿度の影響が少なくSF区と冷蔵庫区での差がないが、水揚げをしないで保管を行った場合は代謝工程同様に重量減少に大きな差が出る。
糖含量(グルコース、フルクトース、スクロース)及びアスコルビン酸含量については、冷蔵庫区では、代謝停止0時間のときと全項目において有意な差は認められなかった。一方、SF区では、代謝停止0時間のときと比べて24時間以上でグルコースとフルクトース含量が有意に増加したが、それ以外の項目に関しては代謝停止0時間と有意な差は認められなかった。
本発明は、日持ちしない又は蒸散しやすい青果物の品質を保持しながら従来法より長い期間保存することを可能にするため、青果物の品質保持方法として産業上有用である。また出荷先で品質の低下(いわゆる棚持ちの悪さ)を軽減することができる。さらに生産者は収穫時間に左右されることなく作業が可能となり、乾燥防止の包装や水揚げ作業などの前処理作業の負担がなくなる。
1 冷蔵庫
2 冷凍機
3 空気の吹き出し
4 ファン
5 散水式冷却コイル
6 空気の吸い込み
7 水タンク
8 ポンプ
9 穴あき容器
10 湿度調整部

Claims (7)

  1. 青果物の品質を保持する方法であって、収穫した青果物を、出荷又は輸送前に、相対湿度85%以上の高湿度冷却空気の通風下で、冷却し、及びその後、代謝停止することを含む方法。
  2. 前記冷却を、青果物の収穫から30分以内に行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記冷却を、青果物の品質低下に及ぼす温度の影響を表す危険度に応じて設定した時間行う工程を含み、但し、該危険度と該時間が、温度を30℃から20℃まで冷却する時間を30分以内とし、温度を20℃から10℃まで冷却する時間を30分以内とし、及び/又は、温度を10℃から0℃まで冷却する時間を200分以内とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記代謝停止が、所定の冷却温度に到達してから1時間~120時間、前記温度と湿度を保持して代謝を停止させる工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記高湿度冷却空気が、高湿度空気冷却装置によって形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記青果物が、呼吸の温度係数Q10が2.0以上であり、かつ、収穫後から急速に蒸散と品質劣化が進み易いものである、請求項1~5のいずれか1項に記の方法。
  7. 前記青果物が、アスパラガス、ブロッコリー、ホウレンソウ、カリフラワー、インゲン、芽キャベツ、リーフレタス、スイートコーン、イチゴ、オクラ、パセリ、キヌサヤ、エダマメ、グリーンピース、クレソン、ケール、ネギ、及び、シュンギクからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
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